(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090453
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】磁気共鳴イメージング装置、画像処理装置および画像処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
A61B5/055 380
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202862
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000888
【氏名又は名称】特許業務法人 山王坂特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河田 康雄
(72)【発明者】
【氏名】原田 邦明
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AA10
4C096AC03
4C096AD06
4C096AD14
4C096BA06
4C096BA18
4C096DC18
4C096DC36
4C096DC40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】3DのMRI画像から、適切なオパシティ設定を自動で行ってボリュームレンダリング画像を得る。
【解決手段】被検体の3次元画像を受け取って、3次元画像の画素値の分布を求め、画素値の分布から予め定めておいた特徴量の画素値を算出し、特徴量の画素値に基づいて、3次元画像に含まれる画素値ごとのオパシティを設定する。これにより、自動でオパシティを設定できる。オパシティを用いて3次元画像のボリュームレンダリング画像を生成する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の撮像部位が配置される空間に静磁場を発生させる静磁場発生部と、前記被検体に傾斜磁場と高周波磁場を印加して、前記撮像部位から発生する核磁気共鳴信号を検出する計測制御部と、前記検出された核磁気共鳴信号を用いて前記被検体の3次元画像を再構成する演算処理部とを有し、
前記演算処理部は、前記3次元画像の画素値の分布を求め、前記画素値の分布から予め定めておいた特徴量の画素値を算出し、前記特徴量の画素値に基づいて、前記3次元画像に含まれる画素値ごとのオパシティを設定することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記特徴量の画素値は、前記3次元画像の画素値の分布の平均値であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記演算処理部は、前記特徴量の画素値より予め定めた値だけ大きい画素値を境界として、画素値が大きくなるにつれ、オパシティが0から1に変化するオパシティ曲線を設定することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記演算処理部は、前記特徴量の画素値より予め定めた第1の値だけ大きい画素値C1と、前記特徴量の画素値より予め定めた第2の値だけ大きい画素値C2との間でオパシティが0から1に線形または非線形に変化するオパシティ曲線を設定することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記演算処理部は、前記予め定めた値を、前記画素値の分布から算出した分散(σ)に基づいて設定することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記撮像部位は、脳であり、
前記演算処理部は、前記3次元画像の脳実質の像に対応する画素値の範囲にはオパシティ0が、血管の像に対応する画素値の範囲にはオパシティ0より大きく1以下の値が設定されるように、画素値ごとのオパシティを設定することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記演算処理部は、前記オパシティの設定の前に、前記3次元画像に対してクリッピング処理を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記演算処理部は、前記オパシティの設定の後に、前記3次元画像のボリュームレンダリング画像を生成することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
請求項3に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記演算処理部は、前記境界とする画素値をずらしながら複数のオパシティ曲線を設定し、複数のオパシティ曲線を用いて前記3次元画像の画素値の分布について演算を行い、演算結果に基づいて一つのオパシティ曲線を選択することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項10】
請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記演算処理部は、前記オパシティ曲線の前記画素値C1およびC2の値の少なくとも一方をシフトさせながら、前記オパシティ曲線のオパシティを用いて前記3次元画像のボリュームレンダリング画像を生成し、前記ボリュームレンダリング画像に残存する画像の体積および/または前記ボリュームレンダリング画像から生成した2次元画像の面積算出し、前記体積および/または面積に基づいて前記オパシティ曲線に用いる前記画素値C1および/またはC2の値を決定することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
請求項9に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記演算処理部は、前記ボリュームレンダリング画像について予め定めた画像処理を行うことにより不要領域を抽出し、抽出した不要領域を削除する処理を行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項12】
請求項10に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記予め定めた画像処理は、不連続領域を抽出する処理であることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項13】
請求項7に記載の磁気共鳴イメージング装置であって、前記演算処理部は、血管の像から、予め定めた特定の血管の像を抽出する処理をさらに行うことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項14】
被検体の3次元画像を受け取って、演算処理する演算処理部を有し、
前記演算処理部は、前記3次元画像の画素値の分布を求め、前記画素値の分布から予め定めておいた特徴量の画素値を算出し、前記特徴量の画素値に基づいて、前記3次元画像に含まれる画素値ごとのオパシティを設定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項15】
被検体の3次元画像を受け取って、
前記3次元画像の画素値の分布を求め、
前記画素値の分布から予め定めておいた特徴量の画素値を算出し、
前記特徴量の画素値に基づいて、前記3次元画像に含まれる画素値ごとのオパシティを設定し、
前記オパシティを用いて前記3次元画像のボリュームレンダリング画像を生成することを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気共鳴イメージング(以下、「MRI」という)装置等が撮像した3次元(3D)画像から、所望の組織のボリュームレンダリング(Volume Rendering)画像を作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
MRI装置は、被検体、特に人体の組織を構成する原子核スピンが発生する核磁気共鳴(NMR)信号を計測し、その頭部、腹部、四肢等の形態や機能を2次元的に或いは3次元的に画像化する装置である。撮像においては、NMR信号には、傾斜磁場によって異なる位相エンコードが付与されるとともに周波数エンコードされて、時部列データとして計測される。計測されたNMR信号は、2次元又は3次元フーリエ変換されることにより画像に再構成される。
【0003】
脳動脈瘤などの脳血管の病変の画像診断のために、3D TOF(time of flight)シーケンスにより撮像することにより、造影剤を用いることなく脳血管が高信号の画像を得る方法が用いられている。得られた3D TOF画像をMIP(最大値投影)法で所望の角度に投影することにより、所望の角度から血管像を見ることができる。なお、MIP法で投影する前に、皮下脂肪や、表在血管などの観察対象の血管以外の不要な組織の信号を除去(クリッピング処理)し、さらに、脳の実質の画素を透明にして表示されないようにする不透明度(オパシティ)も設定することにより、より明瞭に、脳血管の形態を観察可能な画像を得ることができる。しかしながら、クリッピング処理やオパシティの設定は、手動で行われ、煩雑で時間の要する作業である。
【0004】
そこで、特許文献1には、上記クリッピング処理を自動で行うため、3DのMRI画像を画像処理することにより、脳の領域を抽出する脳抽出マスク画像と、血管の領域を抽出する血管マスク画像とを生成し、両マスク画像を統合したマスクを用いて、3D画像から脳領域と脳内の血管の画像を抽出する技術が開示されている。この方法により、脳血管の観察に必要な、脳領域内の血管と頭蓋底側の血管とを、一つの3DMRI画像から抽出(クリッピング)することができる。
【0005】
一方、特許文献2には、X線CT画像において脳の輪郭を特定し、対応するMRI画像において脳の輪郭に位置する画素のMR信号の強度を取得し、この信号強度に基づいて、脳の輪郭の画素が不透明に表示され、それ以外の領域は透明に表示されるようにオパシティカーブを設定する技術が開示されている。このオパシティカーブは、MR信号値と表示画素値の不透明度との関係を示し、具体的には、脳の輪郭画素の示すMRI値の範囲は不透明度1、それ以外のMRI値の範囲は、不透明度0に設定する。これにより、脳の輪郭部分のみを疑似3次元画像として表示することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-39507号公報
【特許文献2】特開2012-100955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の技術は、自動でクリッピング処理を行う技術であり、ボリュームレンダリング画像を作成する際には、オパシティの設定は手動で行う必要がある。
【0008】
一方、特許文献2の方法では、X線CT画像とMRI画像の2種類の画像が必要である。また、特許文献2の方法では、脳の輪郭の領域の示すMRI信号のみを不透明にするオパシティ設定方法を開示しているが、脳の血管の輪郭のみを不透明にするようにオパシティを設定する方法については何ら開示がない。脳の血管は、脳の輪郭形状よりも複雑に入り組んでいるため、特許文献2の技術によってオパシティを設定するのは容易ではないと推測される。
【0009】
さらに、特許文献2の方法は、クリッピング処理を行っていないため、仮に脳の血管のオパシティ設定に特許文献2の方法を適用した場合には、MRI画像に、皮下脂肪や表在血管などの観察対象の血管以外の不要な組織の信号が残り、煩雑なクリッピングが必要になる。
【0010】
また、特許文献1のクリッピング処理と、特許文献2のオパシティ処理とを組み合わせたと仮定した場合、特許文献2の手法は、抽出しようとする領域の輪郭画素のMR信号強度のヒストグラムに基づいてオパシティを設定するのに対し、特許文献1の技術において統合マスクを用いて3D画像から脳と脳血管画像を抽出してクリッピング処理を行って不要組織を除去するため、MR信号強度のヒストグラムは、クリッピング前のヒストグラムとは変化する。そのため、変化したMRI信号強度のヒストグラムから、血管の評価に適切なオパシティを設定できない可能性がある。
【0011】
本願の目的は、3DのMRI画像から、適切なオパシティ設定を自動で行ってボリュームレンダリング画像を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の磁気共鳴イメージング装置は、被検体の撮像部位が配置される空間に静磁場を発生させる静磁場発生部と、被検体に傾斜磁場と高周波磁場を印加して、撮像部位から発生する核磁気共鳴信号を検出する計測制御部と、検出された核磁気共鳴信号を用いて被検体の3次元画像を再構成する演算処理部とを有する。演算処理部は、3次元画像の画素値の分布を求め、画素値の分布から予め定めておいた特徴量の画素値を算出し、特徴量の画素値に基づいて、3次元画像に含まれる画素値ごとのオパシティを設定する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、3D MRI画像から、適切なオパシティを自動で設定することができるため、MRIのボリュームレンダリング画像が自動で作成できる。よって、操作者の煩雑な作業量が低減し、効率性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係るMRI装置の全体構成の一例を示すブロック図。
【
図3】本発明の実施形態1の演算処理部の処理を示すフローチャート。
【
図4】本発明の実施形態1の演算処理部のオパシティ設定の処理を示すフローチャート。
【
図5】(a)~(c)本発明の実施形態1の処理前、処理途中、処理後の画像を示す図。
【
図6】本発明の実施形態1の演算処理部のオパシティ設定のための生成するヒストグラムと、オパシティ曲線を示すグラフ。
【
図7】本発明の実施形態2の演算処理部の処理を示すフローチャート。
【
図8】本発明の実施形態3の演算処理部の処理を示すフローチャート。
【
図9】本発明の実施形態4の演算処理部の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面に従って本発明のMRI装置の好ましい実施形態について詳説する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0016】
本実施形態のMRI装置は、3D TOF画像を撮像し、自動的にクリッピング処理と、透明度設定とを行い、最適なボリュームレンダリング画像の作成を行う。
【0017】
最初に、本発明に係るMRI装置の一例の全体概要を
図1に基づいて説明する。
図1は、本発明に係るMRI装置の一実施形態の全体構成を示すブロック図である。このMRI装置は、NMR現象を利用して被検体の断層画像を得るもので、
図1に示すように、MRI装置は静磁場発生部2と、傾斜磁場発生部3と、送信部5と、受信部6と、信号処理部7と、シーケンサ4と、演算処理装部(CPU)8とを備えて構成される。傾斜磁場発生部3と、送信部5と、受信部6、及び、シーケンサ4を纏めて計測制御部100と呼ぶ。
【0018】
静磁場発生部2は、被検体1の撮像部位が配置される空間に静磁場を発生させる。静磁場発生部2は、被検体1の周りに配置された、永久磁石方式、常電導方式あるいは超電導方式の静磁場発生源である。静磁場発生源は、垂直磁場方式であれば被検体1の体軸と直交する方向に、水平磁場方式であれば被検体1の体軸方向に均一な静磁場を発生させる。
【0019】
傾斜磁場発生部3は、MRI装置の座標部(静止座標部)であるX,Y,Zの3軸方向に傾斜磁場を印加する傾斜磁場コイル9と、それぞれの傾斜磁場コイルを駆動する傾斜磁場電源10とを備えて構成され、後述のシ-ケンサ4からの命令に従ってそれぞれのコイルの傾斜磁場電源10を駆動することにより、X,Y,Zの3軸方向に傾斜磁場Gx,Gy,Gzを印加する。撮像時には、スライス面(撮像断面)に直交する方向にスライス選択傾斜磁場パルス(Gs)を印加して被検体1に対するスライス面を設定し、そのスライス面に直交して且つ互いに直交する残りの2つの方向に位相エンコード傾斜磁場パルス(Gp)と周波数エンコード傾斜磁場パルス(Gf)を印加して、エコー信号にそれぞれの方向の位置情報をエンコードする。
【0020】
送信部5は、被検体1の生体組織を構成する原子の原子核スピンに核磁気共鳴を起こさせるために、被検体1に高周波磁場パルス(以下、「RFパルス」という)を照射するもので、高周波発振器11と変調器12と高周波増幅器13と送信側の高周波コイル(送信コイル)14aとを備えて構成される。高周波発振器11から出力されたRFパルスを、後述するシーケンサ4からの指令によるタイミングで変調器12により振幅変調し、この振幅変調されたRFパルスを高周波増幅器13で増幅した後に被検体1に近接して配置された高周波コイル14aに供給する。これにより、高周波コイル14aからRFパルスが被検体1に照射される。
【0021】
受信部6は、被検体1の生体組織を構成する原子核スピンの核磁気共鳴(NMR)により放出されるエコー信号(以下、NMR信号)を検出するもので、受信側の高周波コイル(受信コイル)14bと信号増幅器15と直交位相検波器16と、A/D変換器17とを備えて構成される。
【0022】
送信コイル14aから照射された電磁波によって誘起された被検体1の応答のNMR信号は、被検体1に近接して配置された受信コイル14bで検出され、信号増幅器15で増幅された後、シーケンサ4からの指令によるタイミングで直交位相検波器16により直交する二部統の信号に分割され、それぞれがA/D変換器17でディジタル量に変換されて、信号処理部7に送られる。
【0023】
シーケンサ4は、RFパルスと、傾斜磁場パルスとをある所定のパルスシーケンスに従って、繰り返し印加し、これにより発生したNMR信号を所定のタイミングで受信させる制御手段である。シーケンサ4は、演算処理部8の制御で動作し、パルスシーケンスに従って、送信部5、傾斜磁場発生部3、および受信部6に種々の命令を送り、被検体1の断層画像の生成に必要なNMR信号データを収集する。
【0024】
信号処理部7は、各種データ処理と処理結果の表示及び保存等を行うもので、光ディスク19、磁気ディスク18等の外部記憶装置と、CRT等からなるディスプレイ20とを有する。
【0025】
受信部6からNMR信号のデータが演算処理部(CPU)8に入力されると、演算処理部8が信号処理および画像再構成等の処理を実行し、被検体1の断層画像を再構成する。演算処理部8は、被検体1の断層画像をディスプレイ20に表示すると共に、外部記憶装置の磁気ディスク18等に記録する。
【0026】
操作部25は、MRI装置の各種制御情報や上記信号処理部7で行う処理の制御情報を入力するもので、トラックボール又はマウス23、及び、キーボード24から成る。この操作部25はディスプレイ20に近接して配置され、操作者がディスプレイ20を見ながら操作部25を通してインタラクティブにMRI装置の各種処理を制御する。
【0027】
なお、
図1において、送信側の高周波コイル14aと傾斜磁場コイル9は、被検体1が挿入される静磁場発生部2の静磁場空間内に、垂直磁場方式であれば被検体1に対向して、水平磁場方式であれば被検体1を取り囲むようにして設置されている。一方、受信側の高周波コイル14bは、被検体1に対向して、或いは取り囲むように設置されている。なお、上述したように、上記傾斜磁場発生部3、送信部5、受信部6、及びシーケンサ4を纏めて計測制御部100ともいう。
【0028】
現在MRI装置の撮像対象核種は、臨床で普及しているものとしては、被検体の主たる構成物質である水素原子核(プロトン)である。プロトン密度の空間分布や、励起状態の緩和時間の空間分布に関する情報を画像化することで、人体頭部、腹部、四肢等の形態または、機能を2次元もしくは3次元的に撮像する。
【0029】
MRIを用いた脳血管の画像化手法として、3D Time of Flight (TOF)法のパルスシーケンスがある。
図2は3D TOF法のシーケンス図の一例である。
図2において、RFは、RFパルス401の印加及びNMR信号402の取得のタイミングを示し、Gs、Gp及びGrは、スライス方向、位相エンコード方向及び読み出し方向の傾斜磁場パルス403~408の印加タイミングと大きさを示している。3桁の数字のあとのハイフン後の数字は、繰り返し回数を示す数字である。例えば402「-1」の「1」は、1回目の繰り返しで印加されるパルス及び取得される信号を示し、「-2」の「2」は、2回目の繰り返しで印加されるパルス及び取得される信号を示す。すなわち、
図2の3D TOF法のパルスシーケンスは、スライス方向Gsの傾斜磁場パルス403を印加しながら、RFパルス401を照射した後、スライス方向Gsの傾斜磁場パルス404と位相エンコード方向Gpの傾斜磁場パルス405と読み出し方向Grの傾斜磁場パルス408とを印加し、その後読み出し方向の傾斜磁場パルス407を印加しながら、NMR信号402を受信するシーケンスを、所定回数繰り返す。繰り返しのたびに、スライス方向Gsの傾斜磁場パルス404の大きさを変化させるとともに、位相エンコード方向Gpの傾斜磁場パルス405および406の大きさを変化させることにより、スライス位置と位相エンコードを変化させて3D TOF画像の生成に必要なNMR信号を取得する。
【0030】
以下、本実施形態のMRI装置において、演算処理部8が、3D TOFの画像から、自動的にクリッピング処理とオパシティ設定を行い、ボリュームレンダリング画像を作成する処理について説明する。各実施形態の演算処理部8の行う処理は、画像処理であり、演算処理部8は画像処理装置として機能する。
【0031】
<<実施形態1>>
実施形態1のMRI装置の、クリッピング処理とオパシティ設定の処理を、
図3および
図4のフローチャートに基づいて詳細に説明する。また、
図5(a)~(c)に、処理中の画像を示し、
図6に、画素値のヒストグラムを示す。
【0032】
実施形態1において、演算処理部8は、3次元画像(3D TOF画像)の画素値の分布を求め、画素値の分布から予め定めておいた特徴量の画素値を算出し、特徴量の画素値に基づいて、3次元画像に含まれる画素値ごとのオパシティを設定する。撮像部位は、脳である場合、演算処理部8は、3次元画像の脳実質の像に対応する画素値の範囲にはオパシティ0が、血管の像に対応する画素値の範囲にはオパシティ1が設定されるように、画素値ごとのオパシティを設定する。
【0033】
具体的には、上記特徴量の画素値としては、3次元画像の画素値の分布の平均値を用いる。演算処理部8は、特徴量の画素値(平均値)より予め定めた値だけ大きい画素値を境界として、画素値が大きくなるにつれ、オパシティが0から1に変化するオパシティ曲線を設定する。例えば、予め定めた値としては、画素値の分布から算出した分散(σ)に基づいて設定する。
【0034】
さらに具体的には、演算処理部8は、特徴量の画素値より予め定めた値(3σ)だけ大きい画素値を境界として、オパシティが0から1に線形または非線形に変化するオパシティ曲線を設定する。
【0035】
以下、演算処理部8の処理をさらに詳細に説明する。
【0036】
図3および
図4に示した演算処理部8の処理フローは、予めプログラムとして磁気ディスク18に記憶されており、演算処理部(CPU)8が磁気ディスク1からそのプログラムを読み込んで実行することによりソフトウエアにより実現される。なお、演算処理部8の一部または全部をハードウエアによって実現することも可能である。例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のようなカスタムICや、FPGA(Field-Programmable Gate Array)のようなプログラマブルICを用いて演算処理部8の一部または全部を構成し、その機能を実現するように回路設計を行えばよい。
【0037】
(ステップS201)
操作者は、被検体1の撮像部位(ここでは脳)を静磁場発生部2が発生する静磁場空間内にセットアップする。演算処理部8は、操作部25を介して、操作者から3D TOF画像の撮像を行うためのシーケンスの撮像条件の設定入力を受け付ける。
【0038】
(ステップS202)
演算処理部8は、ステップS201で設定された撮像条件で、
図2の3D TOFのパルスシーケンスを実行するようにシーケンサ4に指示する。これにより、被検体1に対して、3D TOFパルスシーケンスによる撮像が行われる。取得されたNMR信号を演算処理部8が処理することにより、3D TOF画像が再構成される。生成された画像データは磁気ディスク18に記憶される。ここでは、一例として脳の画像を撮像する。
【0039】
(ステップS203)
演算処理部8は、磁気ディスク18に記憶されている画像の中から、処理対象とする3D TOFの画像の選択を、操作者から操作部25を介して受け付ける(
図5(a))。演算処理部8は、選択された3D TOFの画像についてボリュームレンダリング画像の作成処理を開始する。なお、このステップS203を行わず、ステップS202で画像の撮像を完了したならば、撮像した画像を演算処理部8が処理対象として選択する構成にしてもよい。
【0040】
(ステップS204)
演算処理部8は、ステップS202で取得された3D TOF画像に対して、公知の手法により自動的にクリッピング処理を実行する(
図5(b))。本実施形態では、例えば、特許文献1の手法で、皮下脂肪領域、頭蓋骨領域などの除去を行い、血管を含む脳実質領域と、頭蓋底部分の血管とが含まれる画像を得る。
【0041】
(ステップS205)
演算処理部8は、ステップS204で取得されたクリッピング処理適用後の3D TOF画像に対して、オパシティの算出を行う。このステップS205の処理を
図4のフローを用いて詳しく説明する。
【0042】
(ステップS41)
演算処理部8は、クリッピング処理適用後の3D TOF画像の正規化を行う。例えば、信号値(画素値)が0~255の範囲に収まるように正規化を行う。
【0043】
(ステップS42)
演算処理部8は、判別分析法によって、背景領域を除去する閾値61(
図6参照)を正規化した3D TOF画像の画素値の分離度を最大化するように算出し、閾値61以下の画素値を0に置き換えることによって3D TOF画像の背景領域を除去する。
【0044】
(ステップS43)
演算処理部8は、背景領域除去後の3D TOF画像の画素値と画素数のヒストグラム(画素値の分布)を生成する。ヒストグラムの一例を
図6に示す。背景領域除去後の3D TOF画像は、ほぼ脳実質領域と血管領域の画像により構成されている。血管領域の画素は、信号値は大きいが、画素数は少なく、脳実質領域の画素は、信号値は血管領域よりも小さいが、画素数が血管領域よりも大幅に多いという特徴がある。そのため、背景領域除去後の3D TOF画像の画素値のヒストグラムは、
図6のように、脳実質の画素は、ピークを有する分布となり、血管領域の画素は、その脳実質の画素の分布よりも、画素値が大きい領域に分布する。
【0045】
(ステップS44)
演算処理部8は、脳実質の画素値範囲に対してオパシティ0(透明)、血管の画素に対してオパシティ1(不透明)を設定するために、ヒストグラムの特徴量として画素値(信号値)の平均値(Mean)と分散(σ)を算出し、画素値の最小値0からMean(平均値)+3σ(=画素値C1)の画素値までの範囲が脳実質の画素値範囲であるとして、オパシティ0(透明)を設定し、Mean+3σより大きい画素値の範囲は、血管の画素値範囲であるとして、オパシティを0よりも大きい値に設定する。ここでは、
図6のようにMean(平均値)+3σ(=画素値C1)以下の画素値の範囲がオパシティ0で、Mean+3σ(=画素値C1)からMean+5σ(=画素値C2)の範囲で、オパシティが0から1に、線形または非線形に変化し、Mean+5σ(=画素値C2)以上がオパシティ1(不透明)であるオパシティ曲線Aを設定する。
図6では、一例としてMean+3σ(=画素値C1)からMean+5σ(=画素値C2)の範囲で、オパシティの値が線形(画素値に比例)に大きくなるオパシティ曲線Aを示している。
【0046】
(ステップS206)
演算処理部8は、ステップS204で取得したクリッピングを適用した3D TOF画像を用いて、ボリュームレンダリング画像の作成を行う。ここで、ボリュームレンダリング画像の作成時にステップS205で設定したオパシティ曲線の値を用いる。すなわち、ステップS204で取得したクリッピング後の3D TOF画像の各画素について、その画素値が0からMean+3σまでの間であれば、オパシティ0を、Mean(平均値)+5σ以上であれば、オパシティ1を設定して、その間の画素には線形または非線形のオパシティ曲線Aの透明度を設定して、ボリュームレンダリングを行う。これにより、
図5(c)に示すように、脳実質の画素を透明として血管の画像のボリュームレンダリング画像を得ることができる。
【0047】
(ステップS207)
演算処理部8は、ステップS206で算出したクリッピングとオパシティを設定したボリュームレンダリング画像をディスプレイ20に表示し、画像の保存を行う。
【0048】
以上説明したように、実施形態1では、演算処理部8が、3D TOFの画像から、自動的にクリッピング処理と自動オパシティ設定を行い、MRIのボリュームレンダリング画像の作成を自動化することができる。これによって、操作者の作業量が減り、効率性が向上する。
【0049】
なお、上述の実施形態では、ステップ205において
図6のようにオパシティの設定は、Mean(平均値)+3σおよびMean(平均値)+5σの間で線形にオパシティ0から1に線形に変化するオパシティ曲線Aを設定したが、
図6の曲線Bのようにシグモイド曲線状にしてもよい。
【0050】
また、オパシティ曲線は、特徴量の画素値より予め定めた値だけ大きい画素値(例えば、Mean(平均値)+3σ)を境界として、オパシティ値が、階段状に0から1に変化するオパシティ曲線を設定することも可能である。
【0051】
本実施形態では、クリッピング処理後の3D画像の画素値の平均値(Mean)を特徴量とし、この特徴量に基づいて、オパシティを変化させる境界の画素値C1、C2を設定したが、特徴量はかならずしも平均値でなくてもよい。例えば、
図6のヒストグラムのピーク値を特徴量とし、ピーク値から所定の値だけ離れた画素値を画素値C1、C2としてもよい。
【0052】
<<実施形態2>>
実施形態2のMRI装置の、クリッピング処理とオパシティ設定の処理を、
図7のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0053】
実施形態2は、3D TOFの画像に対して、自動的にクリッピング処理と自動オパシティ設定を行い、MRIのボリュームレンダリング画像の作成を自動化するという点では実施形態1と同様である。さらに実施形態2では、実施形態1の
図3のフローのステップS205とステップS206との間にステップS301を行うことにより、オパシティを0から1に変化させる境界とする画素値C1、C2が、より最適な画素値になるように探索する。
【0054】
すなわち、演算処理部8は、境界とする画素値C1、C2をずらしながら複数のオパシティ曲線を設定し、複数のオパシティ曲線を用いて3次元画像の画素値の分布について演算を行い、演算結果に基づいて一つのオパシティ曲線を選択する。
【0055】
以下、具体的に
図7のフローを用いて説明する。なお、
図7において、実施形態1と同じステップには同じステップ符号を付け、説明を省略する。
【0056】
(ステップS201~S205)
実施形態1と同じであるので説明を省略する。ステップS205において、3D TOF画像の画素値のヒストグラムに基づいて、画素値の平均値Mean+3σ(=画素値C1)と平均値Mean+5σ(=画素値C2)の間でオパシティ0から1に線形に変化するオパシティ曲線Aを設定する。
【0057】
(ステップS301)
演算処理部8は、オパシティを0から1に変化させる画素値C1、C2をさらに探索的に決定する。例えば、ステップS205で決定した画素値C1、C2の値を初期値として、オパシティを0から1に変化させる画素値C1、C2の値(C1=Mean+3σ、C2=Mean+5σ)を変化(シフト)させながら、オパシティが0から1に例えば線形に変化するオパシティ曲線Aを設定する。例えばC1の探索には、C1の値を変化させながらステップS206を行って
図5(c)に示すようなボリュームレンダリング画像を得て、ボリュームレンダリング画像に残存する領域の体積を算出し、その変化量を特徴量として探索を行う。具体的には、画素値C1を初期値として、画素値を変更しながら、その都度ステップS206を行って得たボリュームレンダリング画像に残存する体積の変化量を求め、変化量が予め定めた閾値より小さい場合に、その時の画素値をオパシティ曲線AのC1の値として決定する。これにより、ボリュームレンダリング画像に脳実質の画像が残存せず、血管のみが残存する、より適切な画素値C1を決定することができる。
【0058】
同様に、画素値C2も同様に変化させながら、ステップS206を行ってボリュームレンダリング画像を得て、ボリュームレンダリング画像に残存する領域の体積を算出し、その変化量が予め定めた閾値より小さい場合に、その時の画素値をオパシティ曲線AのC2の値として決定する。
【0059】
これにより、ボリュームレンダリング画像に血管のみを残存させることができる適切な画素値C1、C2を設定することができる。
【0060】
なお、ステップS301において、ボリュームレンダリング画像に残存する領域の体積の代わりに、ボリュームレンダリング画像の所定の断面の面積や、ボリュームレンダリング画像を所定の平面に投影した2次元画像の面積を用いて、その変化量を特徴量として、画素値C1、C2を探索することも可能である。
【0061】
また、探索方法は、これらの方法に限られるものではなく、設定したオパシティ曲線Aとヒストグラムを積算し、積算後のヒストグラム曲線の面積が、予め定めておいた、主要血管のみの面積範囲に該当する画素値C1、C2を探索するなどでもよい。
【0062】
(ステップ S206~S207)
ステップS301で算出した画素値を用いて、ボリュームレンダリングの作成を行う。手法は実施形態1と同じである。
【0063】
以上説明したように、本発明の実施形態2では、演算処理部8が、3D TOFの画像から、自動的にクリッピング処理とオパシティ設定のための画素値の探索を行い、より最適なオパシティを設定し、MRIのボリュームレンダリング画像の作成を自動化する。これによって、より最適なオパシティを設定したボリュームレンダリング画像を得ることができる。
【0064】
なお、実施形態2において、線形のオパシティ曲線Aの代わりに、実施形態1で述べてシグモイド曲線等の曲線Bを用いてもよい。
【0065】
<<実施形態3>>
実施形態3のMRI装置の3D TOF画像の処理を、
図8のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0066】
実施形態3は、実施形態1と同様に、3D TOFの画像に対して、自動的にクリッピング処理と自動オパシティ設定を行い、MRIのボリュームレンダリング画像の作成を自動化するが、実施形態1の
図3のフローのステップS206とステップS207との間にステップS401を行うことにより、ボリュームレンダリング後にも残存する評価に不要な領域を削除する。
【0067】
すなわち、演算処理部8は、ボリュームレンダリング画像について予め定めた画像処理を行うことにより不要領域を抽出し、抽出した不要領域を削除する処理を行う。例えば、予め定めた画像処理としては、不連続領域を抽出する処理を行う。
【0068】
具体的に
図8のフローを用いて説明する。なお、
図8において、実施形態1と同じステップには同じステップ符号を付け、説明を省略する。
【0069】
(ステップS201~S206)
実施形態1と同じであるので説明を省略するが、3D TOF画像に対して、クリッピングと、オパシティ設定を自動で行った後、ボリュームレンダリング画像を生成する。
【0070】
(ステップS401)
演算処理部8は、ボリュームレンダリング画像に残っている皮下脂肪領域などの診断に不要な領域の削除処理を行う。例えば、残った全領域をラベリングし、連続していない領域を抽出し、抽出した領域を血管以外の領域とみなして、削除する。
【0071】
また、ボリュームレンダリング画像の領域ごとの特徴量を算出して、その特徴量に基づいて、血管以外の領域を判別し、削除する方法を用いてもよい。
【0072】
また、予め多数のボリュームレンダリング画像を用いて機械学習等により、血管と不要領域とを判別するように学習させておいた学習モデルを用いて、画像認識に基づいて血管以外の領域を削除する方法を用いてもよい。
【0073】
(ステップS207)
不要領域を削除後のボリュームレンダリング画像を、実施形態1と同様に表示および保存等する。
【0074】
以上説明したように、本発明の実施形態3では、演算処理部8が、3D TOFの画像から、自動的にクリッピング処理とオパシティ設定を行い、さらに残存する診断に不要な領域を自動的に削除することによって、より診断に適したボリュームレンダリング画像を操作者の煩雑な作業なく作成することができる。
【0075】
<<実施形態4>>
実施形態4のMRI装置の3D TOF画像の処理を、
図9のフローチャートに基づいて詳細に説明する。
【0076】
実施形態4は、実施形態1と同様に、3D TOFの画像に対して、自動的にクリッピング処理と自動オパシティ設定を行い、MRIのボリュームレンダリング画像の作成を自動化するが、実施形態1の
図3のフローのステップS206とステップS207との間にステップS501を行うことにより、ボリュームレンダリング画像から、血管の像から、予め定めた特定の血管の像を抽出する処理をさらに行う。特定の血管の像とは、所定の主要血管や、被検者の左側または右側の血管である。
【0077】
具体的に
図9のフローを用いて説明する。なお、
図9において、実施形態1と同じステップには同じステップ符号を付け、説明を省略する。
【0078】
(ステップS201~S206)
実施形態1と同じであるので、説明を省略するが、3D TOF画像に対して、クリッピングと、オパシティ設定を自動で行った後、ボリュームレンダリング画像を生成する。
【0079】
(ステップS501)
演算処理部8は、ステップ206で生成したボリュームレンダリング画像から、所定の主要血管を抽出した画像や、被検体1の撮像部位(ここでは脳)の左側血管および/または右側の血管を抽出し、ボリュームレンダリング像を作成する。具体的には、主要血管、または左右の血管の初期点をボリュームレンダリング画像から抽出し、血管の連続性を利用して、初期点から血管像をたどることにより、その血管を抽出する。
【0080】
例えば、左右別の場合は、MRI画像に付帯するDICOM情報の画像位置や、患者位置から大体の体(脳)の左右の中心位置を求め、左側領域と右側領域をボリュームレンダリング画像に設定し、左側領域と右側領域においてそれぞれ血管上で最も信号値の高い画素を求め、それらをそれぞれ初期点とし、その初期点から画像上で連続する画素を領域拡張法等により辿っていくことにより、左側領域で連続する血管および右側領域で連続する血管を別々に抽出する。
【0081】
また、主要血管別に抽出する場合には、まず、最も画素値の大きな画素に初期点を設定して、初期点から血管の連続性を利用して、領域拡張法等により、血管を抽出した後、残った画像の中で最も画素値の大きな画素に初期点を設定して、2番目の血管を抽出する、という処理を繰り返すことにより、複数の血管を順に抽出する。抽出した複数の血管をラベリング後、その位置情報と連続性を用いて、最も大きな連続する領域を中大脳動脈などの主要な血管、次に大きな連続する領域を椎骨動脈などの血管とみなし、それぞれ抽出する。これらの血管の抽出は、学習済みの学習モデルを用いた深層学習によるラベル付け等などにより行ってもよい。
【0082】
(ステップS207)
所望の血管を抽出した1以上のボリュームレンダリング画像を、実施形態1と同様に表示および保存等する。
【0083】
以上説明したように、本発明の実施形態4では、演算処理部8が、3D TOFの画像から、自動的にクリッピング処理とオパシティ設定を行い、さらに左右別、主要血管別のボリュームレンダリング画像の作成を自動化することによって、より診断に適したボリュームレンダリング画像を操作者の煩雑な作業なく作成することができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態を述べたが、本発明はこれらに限定されるものではないことは言うまでも無い。
【符号の説明】
【0085】
1:被検体、2:静磁場発生部、3:傾斜磁場発生部、4:シーケンサ、5:送信部、6:受信部、7:信号処理部、8:演算処理部(画像処理装置、CPU)、9:傾斜磁場コイル、10:傾斜磁場電源、11:高周波発信器、12:変調器、13:高周波増幅器、14a:高周波コイル(送信コイル)、14b:高周波コイル(受信コイル)、15:信号増幅器、16:直交位相検波器、17:A/D変換器、18:磁気ディスク、19:光ディスク、20:ディスプレイ、21:ROM、22:RAM、23:トラックボール又はマウス、24:キーボード