(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090462
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】シェード装置の一部組立機構
(51)【国際特許分類】
B60J 3/00 20060101AFI20220610BHJP
E06B 9/42 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
B60J3/00 H
E06B9/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202879
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】稲川 泰博
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇志
(57)【要約】
【課題】車両にシェード装置の一部組立機構を容易に組付けることができるようにすることを目的とする。
【解決手段】車両用ウインドウを遮蔽可能なシェード装置のうちの一部組立機構であって、シェードを巻取可能な巻取シャフト30と、一方の端部が前記巻取シャフトに固定されるバネ部材と、巻取シャフトの一端を回転可能に支持すると共に、バネ部材の他方の端部が固定される軸受部材と、巻取シャフトの回転を防止するロック状態を、巻取シャフトの記シェードの巻取方向への回転を許容するロック解除状態に状態変更可能なロック機構と、を備え、巻取シャフト30は、シャフト本体32と、シャフト本体32の他端側に取付けられ先端側に向けて先細りした軸部材34とを含み、軸部材34が、その外周面が軸受部40の開口の全周縁部に支持された状態で、前記軸受部材が前記係止部に取付けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ウインドウ周りの少なくとも一部を囲う周辺部材に配設され、前記車両用ウインドウを遮蔽可能なシェード装置のうち、前記周辺部材に設けられ前記車両用ウインドウの延在方向に開口した軸受部と前記周辺部材に設けられた係止部とに取付けられるシェード装置の一部組立機構であって、
前記車両用ウインドウを遮蔽可能なシェードと、
前記シェードの一端が固定され前記シェードを巻取可能な巻取シャフトと、
2つの端部を有し、その一方の端部が前記巻取シャフトに固定されるバネ部材と、
前記巻取シャフトの一端を回転可能に支持すると共に、前記バネ部材の他方の端部が固定される軸受部材と、
前記シェードの巻取方向に前記バネ部材の付勢力が付与された前記巻取シャフトの回転を防止するロック状態を、前記巻取シャフトの前記シェードの巻取方向への回転を許容するロック解除状態に状態変更可能なロック機構と、
を備え、
前記巻取シャフトは、前記シェードの一端が固定される筒状のシャフト本体と、前記シャフト本体の他端側に取付けられ先端側に向けて先細りした軸部材とを含み、
前記軸受部の開口に前記巻取シャフトの長手方向に沿って差込まれた前記軸部材が、その外周面が前記軸受部の開口の全周縁部に支持された状態で、前記巻取シャフトの一端を支持する前記軸受部材が前記係止部に取付けられる、シェード装置の一部組立機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、車両のウインドウを覆うシェード装置の一部組立機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、2つの端部を有する巻取シャフトと、一端が前記巻取シャフトに固定されるウィンドウシェードシートと、前記巻取シャフトの巻取方向に予備張力を印加するように配置され、2つの駆動端部を有し、そのうちの1つの端部が前記巻取シャフトに固定されるバネ駆動部と、前記巻取シャフトの一端に配置され、前記バネ駆動部の他の駆動端部が固定され、車両若しくはハウジングに装着するための結合手段を有する軸受装置と、予備組立時に、前記巻取シャフトを回転防止状態にするように配置される回転防止装置と、を備えて予備組立されるウィンドウシェード部品群を開示している。このウィンドウシェード部品群は、車両若しくはハウジングに取り付けられて自動車用ウィンドウシェード装置として設置される。
【0003】
ウィンドウシェード部品群はその長手方向の両端にそれぞれ軸受部を備えており、その外面側には矩形ピンが支持されている。ウィンドウシェード部品群を自動車に設置する際は、ウィンドウシェード部品群の一対の矩形ピンを自動車側にある対応する矩形凹部若しくは矩形開口部に差し込んで取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一対の軸受部の矩形ピンを自動車側にある矩形凹部若しくは矩形開口部に差し込む際、差し込む前に、矩形凹部若しくは矩形開口部の向きに対して一対の矩形ピンの向きをそれぞれ合わせる(例えば、巻取シャフトの長手方向から見て、長辺を上下に配置し短辺を左右に配置した矩形の向きを調整する)必要がある。また、自動車側の矩形凹部若しくは矩形開口部に対して、ウィンドウシェード部品群の両端にある軸受部(矩形ピン)を見ながら(または調整しながら)それぞれ同時に差し込まなければならず、双方の軸受部が離れているので差し込み難く、差し込み作業の時間が掛かる。
【0006】
そこで、本開示は、車両にシェード装置の一部組立機構を容易に組付けることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、シェード装置の一部組立機構は、車両用ウインドウ周りの少なくとも一部を囲う周辺部材に配設され、前記車両用ウインドウを遮蔽可能なシェード装置のうち、前記周辺部材に設けられ前記車両用ウインドウの延在方向に開口した軸受部と前記周辺部材に設けられた係止部とに取付けられるシェード装置の一部組立機構であって、前記車両用ウインドウを遮蔽可能なシェードと、前記シェードの一端が固定され前記シェードを巻取可能な巻取シャフトと、2つの端部を有し、その一方の端部が前記巻取シャフトに固定されるバネ部材と、前記巻取シャフトの一端を回転可能に支持すると共に、前記バネ部材の他方の端部が固定される軸受部材と、前記シェードの巻取方向に前記バネ部材の付勢力が付与された前記巻取シャフトの回転を防止するロック状態を、前記巻取シャフトの前記シェードの巻取方向への回転を許容するロック解除状態に状態変更可能なロック機構と、を備え、前記巻取シャフトは、前記シェードの一端が固定される筒状のシャフト本体と、前記シャフト本体の他端側に取付けられ先端側に向けて先細りした軸部材とを含み、前記軸受部の開口に前記巻取シャフトの長手方向に沿って差込まれた前記軸部材が、その外周面が前記軸受部の開口の全周縁部に支持された状態で、前記巻取シャフトの一端を支持する前記軸受部材が前記係止部に取付けられるものである。
【発明の効果】
【0008】
このシェード装置の一部組立機構によると、巻取シャフトが軸受部材に対して回転防止されたロック状態で、周辺部材の軸受部の開口に巻取シャフトの軸部材をその長手方向に沿って差し込むと、軸部材の外周面が軸受部の開口の全周縁部に支持される。その後、周辺部材の係止部に軸受部材を係止すると、シェード装置の一部組立機構が周辺部材に取り付けられてシェード装置として完成する。
【0009】
巻取シャフトの軸部材を軸受部の開口に差し込んで軸部材の先細りした外周面が軸受部の開口の全周縁部に支持された時点で、巻取シャフトの長さ方向における巻取シャフトの軸受部材の位置が決まるので、巻取シャフトの長手方向に関して軸受部材と周辺部材の係止部との取付位置を調整することなく、係止部が軸受部材に係止することができる。よって、作業者はシェード装置の一部組立機構の取付位置である両端を、周辺部材の軸受部及び係止部に対して同時に位置合わせしながら取付ける必要が無く、軸受部材と係止部とに対して順次取付作業を容易に行うことができる。
【0010】
また、巻取シャフトの軸部材を軸受部の開口に差し込んだ時、軸部材の外周面が軸受部の開口の全周縁部で支持されることで、シェード装置の一部組立機構は軸受部の開口を中心に回動することができる。よって、軸部材の外周面が軸受部の開口の全周縁部で支持された状態で、巻取シャフトの軸部材に対して反対側に配置された軸受部材は、係止部に対する取付作業に適した位置まで容易に移動させたり、当該取付に適した状態に回転させたりし易い。このため、係止部に対する軸受部材の取付作業を容易に行うことができる。
【0011】
また、軸部材の先細りした外周面と軸受部の開口の全周縁部との接触面積を小さくでき、軸部材(巻取シャフト)を円滑に回転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る巻取式シェード装置を示す斜視図である。
【
図2】巻取シャフトの他端側構成部分を示す斜視図である。
【
図3】巻取シャフトの他端側構成部分を示す分解斜視図である。
【
図5】巻取シャフトの一端側構成部分を示す斜視図である。
【
図6】巻取シャフトの一端側構成部分を示す分解斜視図である。
【
図7】巻取シャフトの一端側構成部分を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態に係るシェード装置の一部組立機構について説明する。
【0014】
<全体構成>
便宜上、シェード装置の一部組立機構を含む巻取式シェード装置20の全体構成について説明する。
図1は巻取式シェード装置20を示す斜視図である。
図1では車両用ウインドウ18が2点鎖線で示されている。巻取式シェード装置20は、車両のうち車両用のウインドウ18の周囲に配置される周辺部材10に組込まれ、車両用ウインドウ18を遮蔽するものである。周辺部材10は、車両用ウインドウの少なくとも一部を囲う周辺部材の一例である。
【0015】
ウインドウ18としては、自動車等の車両に設けられるサイドドアウインドウ、リアウインドウ等の種々のウインドウが想定される。
【0016】
ウインドウ18がサイドウインドウである場合、ウインドウ18は、金属等によって構成されたドアパネルによって開閉可能に支持される。この場合、ウインドウ周囲構成部分10は、金属等によって構成されたドアパネルを室内側から覆うトリムであってもよい。トリムは、樹脂等で形成される内装部材の一種である。ウインドウ18が閉められた状態で、トリムの上縁は、ウインドウ18の下部に沿う。ウインドウ周囲構成部分10は、閉められたウインドウ18の上側又は側方に存在する内装部分であってもよい。周辺部材10は、金属等によって構成されたドアパネルのうち室内側のパネル部分であってもよい。
【0017】
ウインドウ18がリアウインドウである場合、周辺部材10は、当該リアウインドウの下縁、上縁、横縁のいずれかに沿う内装部材であってもよい。
【0018】
本実施形態では、ウインドウ18がサイドウインドウであり、周辺部材10がトリム10であることを想定した説明がなされる。
【0019】
ウインドウ18は、トリム10に対して車室内とは反対側で開閉される。トリム10の上縁は、ウインドウ18側に湾曲している。トリム10の上縁と閉じられたウインドウ18(
図1において2点鎖線で示される状態)との間には、シェード22が通過するスリット12が形成される。なお、通常、ウインドウ18の両面にはウエザーストリップが設けられる。トリム10の上縁とウインドウ18との間に、剛性体である仕切部材が設けられてもよい。この場合、ウインドウ18に対して車室側のウエザーストリップは当該仕切部材に支持されてもよい。この場合、シェードが通過するスリット12は、トリム10の上縁と仕切部材との間に形成される。
【0020】
巻取式シェード装置は、トリム10の内側(車室内とは反対側)に組込まれる。シェード22は、トリム10によって隠れる位置に設けられる巻取シャフト30によって巻取られる。シェード22が巻取シャフト30からスリット12を経由して上方に引出される。引出されたシェード22は、ウインドウ18のうち室内側の面を覆う。これにより、外部からの光がシェード22によって遮られる。また、シェード22によって外部から車内を隠すことができる。
【0021】
本実施形態に係るシェード装置の一部組立機構21は、上記巻取式シェード装置20のうち、周辺部材10に設けられた軸受部40と係止部60とに取付けられる部分である。軸受部40及び係止部60については、後の取付構成との関係でより詳細に説明される。
【0022】
シェード装置の一部組立機構21は、シェード22と、巻取シャフト30と、バネ部材58と、軸受部材50と、回転ロック部材70とを備える。
【0023】
シェード22は、ウインドウ18を遮蔽するシートである。例えば、シェード22は、ウインドウ18と同じ形状及び大きさで広がる形状に形成されている。シェード22は、例えば、台形状に形成される。シェード22は、ウインドウ18の一部を遮蔽してもよい。シェード22は、布材、樹脂シート等を裁断、縫製等することにより形成されている。シェード22は、巻取シャフト30によって巻取可能な柔軟性を有している。
【0024】
シェード22の一端(基端)は巻取シャフト30に固定されている。シェード22の引出し方向先端側の他端には、引出部材26が取付けられている。引出部材26は、棒状部27と、ノブ部28とを含む。棒状部27は、シェード22の他端の直線状縁に沿って取付けられる。棒状部27によって、シェード22の他端が真っ直ぐな状態に保たれる。棒状部27の長手方向中間部に孔部27hが形成されている。シェード22が引出された状態で、閉じられたウインドウ18よりも上側に設けられたフック(図示省略)が孔部27hに引っ掛ることで、シェード22が引出された状態に保たれる。ノブ部28は、棒状部27の長手方向中間部に取付けられている。ノブ部28は、棒状部27からシェード22に対して直交する方向に突出している。このノブ部28が、スリット12の開口縁、例えば、トリム10の上縁に接触することで、トリム10内への引出部材26の移動が規制される。
【0025】
巻取シャフト30は、シェード22を巻取可能な長尺状に形成されている。巻取シャフト30は、中空筒状部材であってもよいし、中身が埋った棒状部材であってもよい。巻取シャフト30の外周面は、円柱周面をなしていることが好ましい。
【0026】
ウインドウ周囲構成部分10であるトリム10に、軸受部40及び係止部60が一体化されている。軸受部40及び係止部60は、トリム10のうちウインドウ18側を向く部分、即ち、車室側から隠れる部分に設けられる。
【0027】
巻取シャフト30の一端は軸受部材50によって回転可能に支持される。巻取シャフト30の他端が軸受部40に回転可能に支持される。軸受部材50は、係止部60によって回転止された状態で支持される。これにより、巻取シャフト30は、ウインドウ18の外周の一部(ここでは下部)に沿った状態で、トリム10に対してウインドウ18側の空間、即ち、車室側から隠れる空間内で回転可能に支持される。
【0028】
バネ部材58は、シェード22を巻取る方向へ巻取シャフト30を常時付勢する。
【0029】
シェード22は、バネ部材58の付勢力に抗して引出される。シェード22が引出された状態で、その引出し力が解除されると、バネ部材58の付勢力によって巻取シャフト30が巻取方向に回転し、これにより、シェード22が巻取シャフト30に巻取られる。
【0030】
各部構成についてより具体的に説明する。
【0031】
<巻取シャフトの他端側の構成について>
図2は巻取シャフト30の他端側構成部分を示す斜視図である。
図3は巻取シャフト30の他端側構成部分を示す分解斜視図である。
図4は
図2のIV-IV線断面図である。
図2から
図4において、トリム10については方形状に切出された部分が示されている。
【0032】
巻取シャフト30の他端は、トリム10に一体化された軸受部40によって回転可能に支持されている。
【0033】
軸受部40は、シェード22及び軸受部材50と組合わされた巻取シャフト30がトリム10に取付けられる際、当該トリム10と一体化された部分であればよい。例えば、軸受部40は、樹脂製のトリム10と共に、溶融した樹脂が金型に注入されることによって、金型一体成形された部分であってもよい。軸受部40は、トリム10に対してネジ止、嵌り込み構造等によって一体化された部分であってもよい。軸受部40は、トリム10のうち外部から隠れる面側に一体化されてもよい。ここでの外部とは、車両の完成状態において、利用者の目に曝される側という。このため、ドアを想定した場合において、車両の外側は外部であるし、車室側も外部である。本実施形態では、軸受部40は、樹脂製のトリム10のうちウインドウ18側の面に、当該トリム10に対して金型一体成形された構成であるとして説明する。
【0034】
軸受部40は、トリム10の内面から突出している。ここでは、軸受部40は、方形ブロック状に形成されている。軸受部40は、車両用ウインドウ18の延在方向に開口している。本実施形態では、軸受部40は、車両用ウインドウ18とウインドウ周囲構成部分(トリム)10との境界線に対して平行な一方向に開口している。軸受部40のうち係止部60側を向く面に、底面43を有する開口(有底円穴42)が形成される。この有底円穴42に後述する軸部材(第1軸部材34)が挿入されることで、巻取シャフト30の他端が回転可能に支持される。
【0035】
巻取シャフト30は、シャフト本体32と、第1軸部材34とを含む。シャフト本体32は、筒状、より具体的には円筒形状に形成されている。シャフト本体32の長さは、例えば、シェード22の最大幅と同じかこれよりも大きく(わずかに大きく)設定される。シェード22の一端は、シャフト本体32に固定される。
【0036】
第1軸部材34は、シャフト本体32の他端に取付けられ、軸受部40に回転可能に支持される部分である。巻取シャフト30と第1軸部材34とを別部材とすることで、巻取シャフト30についてはシェード22を巻取るのに適した構成とすることができ、第1軸部材34については軸受部40で回転可能に支持されるのに適した形状とすることができる。
【0037】
ここでは、第1軸部材34は、先端側に向けて徐々に細くなる先細り形状、ここでは、円錐形状部分35を含むように形成されている。なお、ここでの円錐形状とは、厳密に円錐形状である必要は無く、例えば、先端側が丸まっている場合を含む。円錐形状部分35のうちシャフト本体32側の部分(円錐の底側部分)の直径は、軸受部40の開口の直径よりも大きい。
【0038】
上記軸受部40における有底円穴42は、この第1軸部材34に対向し、当該第1軸部材34側に向けて開口する。軸受部40における有底円穴42の開口に、第1軸部材34が巻取シャフト30の長手方向に沿って差込まれた状態で、第1軸部材34の外周面が前記開口の全周縁部に支持される。つまり、有底円穴42の開口の全周縁部が、円錐形状部分35の周方向に沿って接触した状態で、第1軸部材34が有底円穴42に差込まれて支持される。これにより、有底円穴42内で第1軸部材34が偏心したりがたついたりし難くなる。
【0039】
なお、第1軸部材34が有底円穴42に挿入された状態で、第1軸部材34の円錐形状部分35の先端部が有底円穴42の底面43に接触してもよい(
図4参照)。また、軸受部材50には、有底円穴42ではなく、貫通円孔が形成されていてもよい。
【0040】
シャフト本体32に対して第1軸部材34は、回転止された状態で嵌め込まれていてもよいし、回転可能な状態で嵌め込まれていてもよい。ここでは、前者の構成が採用されている。即ち、シャフト本体32の内周面にシャフト本体32の軸方向に沿った少なくとも1つの凹溝32gが形成される。ここでは、凹溝32gは、シャフト本体32の内周面の周方向において複数形成される。
【0041】
第1軸部材34のうち円錐形状部分35の基端部にシャフト本体32の他端内に嵌め込まれる挿入部36が形成される。挿入部36の外周に上記凹溝32gに嵌りことが可能な細長い凸部36pが形成される。挿入部36がシャフト本体32の他端内に嵌め込まれると、凸部36pが凹溝32gに嵌ることで、シャフト本体32に対する第1軸部材34の回転止がなされる。
【0042】
なお、凸部36pが凹溝32gに嵌った状態を保ちつつ、第1軸部材34は、シャフト本体32に対して進出及び退避移動することができる。つまり、第1軸部材34は、シャフト本体32に対して回転止された状態で、進出及び退避移動することができる。シャフト本体32と第1軸部材34との間に軸付勢部材37が設けられる。軸付勢部材37は、第1軸部材34を軸受部40に対して付勢する役割を果す。ここでは、軸付勢部材37は、リング状ばね、より具体的には、周方向において凹凸に波打つウェーブワッシャである。上記挿入部36は、円錐形状部分35の基端部よりも細く形成されており、軸付勢部材37は、挿入部36に外嵌めされる。第1軸部材34の挿入部36が巻取シャフト30の他端内に挿入された状態で、軸付勢部材37が、円錐形状部分35と巻取シャフト30の他端との間に介在し、第1軸部材34を巻取シャフト30の他端から離れる方向に付勢する。これにより、第1軸部材34が軸受部40に向けて付勢される。
【0043】
軸付勢部材37の構成例は上記例に限られない。軸付勢部材は、皿ばね、コイルばね等であってもよい。軸付勢部材は、巻取シャフト30内に圧縮状態で挿入されて第1軸部材を外方に向けて付勢するコイルばねであってもよい。
【0044】
<巻取シャフトの一端側の構成について>
図5は巻取シャフト30の一端側構成部分を示す斜視図である。
図6及び
図7は巻取シャフト30の一端側構成部分を示す分解斜視図である。
図8は
図5のVIII-VIII線断面図である。
図6から
図8において、トリム10については方形状に切出された部分が示されている。
【0045】
巻取シャフト30の一端は、軸受部材50によって回転可能に支持されており、軸受部材50がトリム10に一体化された係止部60によって支持されている。よって、巻取シャフト30の一端は、軸受部材50を介して係止部60に回転可能に支持される。
【0046】
ここで、巻取シャフト30の一端の一例について説明しておく。上記したように、巻取シャフト30は、シャフト本体32を含み、そのシャフト本体32の一端に第2軸部材38が取付けられている。第2軸部材38が軸受部材50によって回転可能に支持される。
【0047】
第2軸部材38は、本体部39と、挿入部38aとを含む。挿入部38aは、上記挿入部36と同様構成部分であり、シャフト本体32の一端内に回転止された状態で挿入される。挿入部38aは、シャフト本体32に対して圧入されていてもよい。本体部39は、挿入部38aよりも太く形成された部分であり、挿入部38aがシャフト本体32内に挿入された状態で、シャフト本体32の一端側開口から外方に延出する。本体部39は円柱状に形成されている。本体部39の長手方向中間部に筒部が外嵌めされることによって、当該中間部39aは、その両側の端部39bよりも太く形成されている。第2軸部材38に後述する回転ロック部材70を嵌込可能な回転止凹部38gが形成されている。ここでは、シャフト本体32のうち挿入部38a側の端部39bの一側部に溝状の回転止凹部38gが形成される。回転止凹部38gの底面は、シャフト本体32の軸方向に対して直交する方向に延びるように形成される。後述する回転ロック部材70が回転止凹部38g内に嵌め込まれてその直線状底面に接触することができる。
【0048】
軸受部材50は、シャフト支持部52を含む。シャフト支持部52は、巻取シャフト30の一端を回転可能に支持する部分である。この軸受部材50と巻取シャフト30とに、シェード22を巻取る方向に巻取シャフト30を付勢するバネ部材58が取付けられる。
【0049】
シャフト支持部52は、ケース部53と、蓋部56と、2つのリング部57とを含む。
【0050】
ケース部53は、外向き壁部54aと、周壁部54bとを含む。周壁部54bの一部が平坦な形状に形成されている。より具体的には、外向き壁部54aは板状に形成されている。ここでは、外向き壁部54aは半円形状部分の直径部分に長方形状部分が連なる形状に形成されている。外向き壁部54aのうち半円形状部分の曲率中心に貫通孔54ahが形成される。外向き壁部54aの外周縁から外向き壁部54aの一方主面側に向けて突出するように周壁部54bが形成されている。周壁部54bは、外向き壁部54aの外周縁に沿って形成される。外向き壁部54aの外周縁のうち弧状を描く縁とは反対側の直線縁において、周壁部54bは、平坦な形状である平坦部分54bfに形成されている。
【0051】
周壁部54bに回転ロック部材70が挿入される孔54brが形成されている。ここでは、周壁部54bのうち平坦部分54bfに対して直交する一方側部分に、孔54brが形成されている。孔54brは細長い長方形状に形成されている。孔54brの両端部から外方に向けて一対の抜け止爪54bsが突設されている。一対の抜け止爪54bsの先端部は、内向きに突出しており、回転ロック部材70に抜止め状に引っ掛ることができる。抜け止爪54bsは省略されてもよい。
【0052】
ケース部53のうち外向き壁部54aとは反対側は開口している。ここでは、ケース部53は円形状に開口している。蓋部56は当該開口を閉じる形状に形成されている。より具体的には、蓋部56は、円板状部分の周縁部に環状に突出する突出縁が形成されると共に、中央に第2軸部材38を挿入可能な孔56hが形成された形状に形成されている。孔56hの周囲に弧状のスリットが形成されているが、これは必須ではない。ここでは、突出縁に後述するピン状部分72が挿入される通過孔が形成されているが、これは必須ではない。
【0053】
バネ部材58は、トリム10に対して一定姿勢に支持されるケース部53に対して、巻取シャフト30を巻取方向に付勢する。本実施形態では、バネ部材58は、ゼンマイばねである。バネ部材58は、2つの端部を有しており、その一方の端部が巻取シャフト30に固定され、他方の端部が軸受部材50に固定される。ここでは、バネ部材58がケース部53内に収容された状態で、バネ部材58の外周側の端部がケース部53に対して一定位置に固定される。この固定は、例えば、折返されたバネ部材の端部がケース部53の内壁に形成された溝に挿入されたり、ケース部53内に突設された突起に引っ掛けられたりすることで実現される。第2軸部材38がバネ部材58内に挿入された状態で、バネ部材58の内周側の端部が第2軸部材38に固定される。この固定は、例えば、折返されたバネ部材58の端部が第2軸部材38に形成された溝に嵌め込まれること等により実現される。
【0054】
ケース部53内にバネ部材58が収容された状態で、第2軸部材38がバネ部材58内に挿入される。この際、バネ部材58の両端部がケース部53及び第2軸部材38に固定される。この状態で、第2軸部材38における本体部39の先端部がケース部53における外向き壁部54aの貫通孔54ahに挿入される。また、第2軸部材38における本体部39の基端部が、ケース部53の開口に嵌め込んで装着される蓋部56の孔56hに挿入される。これにより、第2軸部材38がシャフト支持部52によって回転可能に支持されると共に、巻取シャフト30がバネ部材58によって巻取方向に付勢可能な状態とされる。なお、バネ部材58の両端面側にリング部57が設けられる。これにより、バネ部材58がケース部53及び蓋部56と干渉し難くなる。
【0055】
シャフト支持部52に対して巻取シャフト30が回転されることで、バネ部材58に巻取シャフト30を巻取るための力が蓄えられる。このため、軸受部材50をトリム10に取付ける際に、シャフト支持部52に対して巻取シャフト30が回転した状態を維持することが好ましい。
【0056】
この状態を維持するため、シェード装置の一部組立機構21は、ロック機構59を備える。ロック機構59は、ロック状態からロック解除状態へと状態変更可能に構成される。ロック状態は、シェード22の巻取方向にバネ部材58の付勢力が付与された巻取シャフト30の回転を防止する状態である。つまり、ロック状態では、バネ部材58に巻取方向の付勢力が蓄えられるようにシャフト支持部52に対して巻取シャフト30が回転した状態を維持する状態である。ロック解除状態は、ロック状態を解除した状態、即ち、シャフト支持部52に対して巻取シャフト30の巻取方向への回転を許容した状態である。
【0057】
本実施形態では、ロック機構59は、回転ロック部材70を有しており、回転ロック部材70がケース部53を貫通して第2軸部材38の回転止凹部38gに嵌め込まれることで、第2軸部材38の回転を規制する。
【0058】
より具体的には、回転ロック部材70は、細長いピン状部分72と、ピン状部分72より幅広な頭部74とを備える。頭部74はピン状部分72に向けて徐々に幅狭になる形状に形成される。頭部74のうちピン状部分72に近い部分の両側部に、幅方向中央に向けて凹む抜け止凹部75が形成される。
【0059】
そして、シャフト支持部52に対して巻取シャフト30が引出し方向に回転されると、バネ部材58が縮径するように付勢される。これにより、バネ部材58に、巻取シャフト30を巻取方向に付勢する力が蓄えられる。ケース部53における孔54brの延長上に回転止凹部38gが延在する状態で、回転ロック部材70のピン状部分72が当該孔54brに挿入されると共に、回転止凹部38gに嵌め込まれる。これにより、シャフト支持部52に対する第2軸部材38の回転が規制され、もって、巻取シャフト30の回転も規制される。この状態がロック状態である。この際、抜け止爪54bsが頭部74のうち抜け止凹部75に嵌り込む。これにより、回転ロック部材70が容易に抜け難くなる。抜け止爪54bsが抜け止凹部75に嵌り込んだ状態を解除し、回転ロック部材70を回転止凹部38g及び孔54brから引抜くと、上記ロック状態が解除される。
【0060】
上記軸受部材50を支持する係止部60は、ウインドウ周囲構成部分に一体化され、軸受部材50を回転止した状態で支持する。係止部60は、軸受部40と同様に、シェード22及び軸受部材50と組合わされた巻取シャフト30がトリム10に取付けられる際、当該トリム10と一体化された部分であればよい。例えば、係止部60は、樹脂製のトリム10と共に、溶融した樹脂が金型に注入されることによって、金型一体成形された部分であってもよい。係止部60は、トリム10に対してネジ止、嵌り込み構造等によって一体化された部分であってもよい。軸受部40と同様に、係止部60は、トリム10のうち外部から隠れる面側に一体化されてもよい。
【0061】
ここでは、係止部60は、樹脂製のトリム10のうちウインドウ18側の面に、当該トリム10に対して金型一体成形された構成であるとして説明する。
【0062】
本実施形態では、係止部60は、軸受部材保持部62と、移動規制部68とを備える。軸受部材保持部62及び移動規制部68は、トリム10の内面側から突出するように形成されている。
【0063】
軸受部材保持部62は、巻取シャフト30の他端を軸受部40によって支持した状態で、巻取シャフト30の一端の軸受部材50が配設される位置に設けられる。換言すれば、軸受部材保持部62は、軸受部40に対してトリム10の上縁に沿って巻取シャフト30のシャフト本体32の長さ分離れた位置に設けられる。
【0064】
軸受部材保持部62は、基端部63と、中間部64と、先端部65とを含む。基端部63は、トリム10に繋がっており、当該トリム10の内面側から突出している。中間部64は、基端部63の先端側に連なり、トリム10側で凹む弧状を描くように延びている。基端部63と中間部64とで、トリム10から突出するJ字状をなしている。そして、上記シャフト支持部52におけるケース部53の平坦部分54bfがトリム10の内面に接触した状態で、中間部64がシャフト支持部52における外周を部分的に囲む。より具体的には、中間部64がケース部53における弧状外周面部分を囲む。これにより、平坦部分54bfがトリム10の内面に押し当てられた状態となり、シャフト支持部52がトリム10に対して回転止された状態で支持される。
【0065】
先端部65は、中間部64に対して基端部63とは反対側に連なっている。先端部65は、トリム10に対して間隔をあけて対向している。先端部65は、上記基端部63に対してトリム10の上縁とは反対側に設けられている。シェード22は、トリム10の上縁側に引き出されるため、先端部65は、基端部63に対してシェード22が引出される側とは反対側で間隔をあけて対向する。本実施形態では、先端部65は、基端部63とは反対側に延出している。先端部65のうちの最先端部は、基端部63から遠ざかるのに従ってトリム10から遠ざかる方向に向う形状に形成されている。
【0066】
軸受部材保持部62は、先端部65をトリム10からより大きく離すように弾性変形可能に形成される。軸受部材50が先端部65とトリム10との間に挿入されることによって、先端部65をトリム10からより大きく離すように軸受部材保持部62が弾性変形する。軸受部材50が先端部65とトリム10との間を通過すると、軸受部材保持部62が元の形状に戻って、中間部64がシャフト支持部52における外周を部分的に囲むと共に、ケース部53の平坦部分54bfがトリム10の内面に接触した状態となる。これにより、軸受部材50がトリム10に対して回転止された状態で係止支持される。
【0067】
なお、軸受部材保持部の内周部に、シャフト支持部の凹凸形状部分と嵌り合う、回転止用の突起又は凹みが形成されてもよい。
【0068】
移動規制部68は、軸受部材保持部62によって軸受部材50が保持された状態で、巻取シャフト30の中心軸に対してシェード22が引出される側で、トリム10の内面から突出するように形成される。換言すれば、移動規制部68は、巻取シャフト30の中心軸に対して、トリム10の上縁側でトリム10の内面から突出する。そして、移動規制部68は、シェード22が引出される側(ここでは、トリム10の上縁側)から巻取シャフト30又は軸受部材50に接触し、シェード22の引出し方向への巻取シャフト30又は軸受部材50の移動を規制する。本実施形態では、第2軸部材38は、軸受部材50から突出しており、移動規制部68は、第2軸部材38の先端部に接触して、第2軸部材38の移動を規制する。移動規制部68は、ケース部53の外向き壁部54aの外面側に配置されるので、移動規制部68は、軸受部材50が軸受部40とは反対側に移動することを規制する役割をも果す。
【0069】
より具体的には、移動規制部68は、軸受部材保持部62よりも軸受部40から離れる側に位置する。移動規制部68は、巻取シャフト30の中心軸に対してシェード22に偏った位置で、トリム10の内面から突設される。移動規制部68のうち巻取シャフト30の中心軸延長上に対向する部分には、弧状の受凹部69が形成される。受凹部69は、第2軸部材38の先端部の外周の曲率半径と同じ又は大きい(僅かに大きい)曲率半径を有する形状に形成される。そして、軸受部材50から突出する第2軸部材38の先端部が上記受凹部69で受止められる位置に配置される。
【0070】
シェード22が引出される際、巻取シャフト30及び当該巻取シャフト30に組付けられた軸受部材50は、シェード22の引出し方向に引っ張られる。移動規制部68が受凹部69で第2軸部材38を受止めることによって、巻取シャフト30をシェード22の引出し方向側でしっかりと受止めることができる。
【0071】
また、軸受部材50が軸受部材保持部62に保持された状態で、移動規制部68が、第2軸部材38を介して、ケース部53を軸受部材保持部62の内面に押し当てるような力を作用させるようにすることで、軸受部材保持部62内における軸受部材50のがたつきを抑制できる。同様に、移動規制部68によって、第2軸部材38をケース部53の貫通孔54ahの周縁及び蓋部56の孔56hの周縁に押し当てるようにすることで、第2軸部材38のがたつきが抑制できる。
【0072】
なお、移動規制部68は省略されてもよい。この場合、軸受部材保持部に、軸受部とは反対側から軸受部材に接触することによって、軸受部材が軸受部から遠ざかる方向へ移動することを規制する規制部が設けられてもよい。
【0073】
上記シェード装置の一部組立機構21は次のようにとしてトリム10に取付けられる。
【0074】
すなわち、シェード22の一端が巻取シャフト30に固定され、巻取シャフト30の一端に軸受部材50が取付けられたものを準備する。そして、巻取シャフト30にシェード22が巻付けられた状態で、軸受部材50に対して巻取シャフト30を引出し方向に回転させて、バネ部材58にシェード22を巻取る力を蓄えた状態とする。この状態で、回転ロック部材70の細長いピン状部分72を、ケース部53の孔54br及び第2軸部材38の回転止凹部38gに挿入し、巻取シャフト30を回転止状態とする。これにより、シェード装置の一部組立機構21が製造される。
【0075】
そして、巻取シャフト30の他端を軸受部40で回転可能に支持する。この状態では、第1軸部材34の外周面が軸受部40の開口の全周縁部に支持された状態となる。この状態で、軸受部材50を、軸受部材保持部62の先端部65とトリム10との間に押込んで、トリム10と軸受部材保持部62との間に保持する。同時に、移動規制部68の先端部が、第2軸部材38の先端部をトリム10の先端側から接触可能な状態とする。
【0076】
この際、第1軸部材34の先細りした外周面が軸受部40の開口の全周縁部に支持されているので、軸受部40を基準として巻取シャフト30の長手方向における軸受部材50の位置が決まる。このため、巻取シャフト30の長手方向に関して軸受部材50と係止部60との取付位置の調整をすることなく、係止部60が軸受部材50に係止することができる。よって、作業者は、シェード装置の一部組立機構21の取付位置である両端を、ウインドウ周囲構成部分(トリム)10側の軸受部40及び係止部60に対して同時に位置合せしながら取付作業を行う必要がなく、軸受部材50と係止部60に対して順次取付作業を行うことができる。
【0077】
また、巻取シャフト30の第1軸部材34を軸受部40の開口に差込んだ状態で、上記のように、第1軸部材34の外周面が軸受部40の開口の全周縁部で支持されるため、シェード装置の一部組立機構21は軸受部40の開口部分を中心として、揺動したり、巻取シャフト30の中心軸周りに回転したりすることができる。このため、巻取シャフト30の他端の第1軸部材34が軸受部40に支持された状態で、巻取シャフト30の一端の軸受部材50を、係止部60に対する取付作業に適した位置まで容易に揺動移動させたり、当該取付に適した状態に回転させたりし易い。このため、係止部60に対する軸受部材50の取付作業を容易に行うことができる。
【0078】
この後、例えば、シェード22の引出部材26がトリム10の先端部に支持された状態で、回転ロック部材70がケース部53の孔54br及び第2軸部材38の回転止凹部38gから引抜かれる。
【0079】
この状態で、シェード22がトリム10の内側の巻取シャフト30に巻取られており、当該シェード22はウインドウ18のトリム10によって隠された空間内に収容される。この状態で、バネ部材58は巻取シャフト30を巻取方向に付勢している。このため、引出部材26は、トリム10の上端縁(スリット12の開口縁)に押し当てられており、引出部材26のがたつきが抑制されている。
【0080】
シェード22が巻取シャフト30から引出されると、シェード22はスリット12を通ってトリム10の外に出て、ウインドウ18の車室側の面に沿って展開する。この際、巻取シャフト30は巻取方向とは反対である引出し方向へ回転する。この引出し方向への回転力がバネ部材58に巻取力として蓄えられる。このため、シェード22が引出され状態でも、バネ部材58は、巻取シャフト30を巻取方向へ付勢している。そして、シェード22を引出す力が解除されると、バネ部材58の付勢力によって巻取シャフト30が巻取方向に回転し、シェード22が巻取シャフト30に巻取られる。上記引出部材26がスリット12の開口縁に接触するまで、巻取シャフト30が巻取方向に回転すると、その回転が停止する。この状態でも、バネ部材58の付勢力によって、引出部材26がスリット12の開口縁に押し当てられ、そのがたつきが抑制されている。
【0081】
このように構成されたシェード装置20の一部組立機構21によると、巻取シャフト30が軸受部材50に対して回転防止されたロック状態で、周辺部材の軸受部40の開口に巻取シャフト30の第1軸部材34をその長手方向に沿って差し込むと、第1軸部材34の外周面が軸受部40の開口の全周縁部に支持される。その後、周辺部材の係止部60に軸受部材50を係止すると、シェード装置の一部組立機構21が周辺部材に取り付けられてシェード装置20として完成する。
【0082】
上記取付作業の際、巻取シャフト30の他端の第1軸部材34が軸受部40によって支持されており、この支持状態では、軸受部材50は、軸受部40に対して等距離を保った状態で、軸受部40に対して揺動したり、巻取シャフト30の中心軸周りに回転することができる。このため、軸受部材50を係止部60に取付ける際には、軸受部40に対する軸受部材50の距離調整を行うことなく、軸受部材50の揺動移動及び回転を行って、軸受部材50を係止部60に取付ける作業を容易に行うことができ、また、第1軸部材34と軸受部40との接触面積と、第1軸部材34の先細りした外周面と軸受部40の開口の全周縁部との接触部分程度に小さくでき、第1軸部材34及び巻取シャフト30を円滑に回転させることができる。
【0083】
また、巻取シャフト30の他端は、ウインドウ周囲構成部分であるトリムに一体化された軸受部40に回転可能に支持される。このため、巻取シャフト30の他端に軸受構造を設けておく必要がなくなる。これにより、シェード装置の一部組立機構21が軽量化される。軽量化されたシェード装置の一部組立機構21の巻取シャフト30の他端を軸受部40によって回転可能に支持し、巻取シャフト30の一端の軸受部材50を係止部60によって支持すればよいことになる。これにより、車両にシェード装置の一部組立機構21を容易に組付けることができる。
【0084】
また、軸受部40及び係止部60がトリム10によって隠れる場所に設けられるため、巻取シャフト30、軸受部材50等をトリム10によって隠すことができる。
【0085】
また、ロック機構59によって、バネ部材58に巻取シャフト30を巻取方向に回転させる付勢力を蓄えたロック状態に保った状態で、シェード装置の一部組立機構21をトリムに容易に組付けることができる。この後、ロック解除状態に切替えられることで、バネ部材58の付勢力によって巻取シャフト30を巻取方向に回転させることができ、かつ、巻取シャフト30がシェード22を引出す方向に回転することができる。
【0086】
また、巻取シャフト30は、シャフト本体32と、第1軸部材34とを有する構成であるため、シャフト本体32をシェード22の巻取に適した形状(例えば、円管が連続的に続く形状)に形成しつつ、第1軸部材34を回転可能に支持するのに適した形状(例えば、円錐状)に形成することができる。これにより、巻取シャフト30の設計自由度を向上させることができる。
【0087】
また、第1軸部材34は、円錐形状部分35を含み、軸受部40は有底円穴42を有するため、円錐形状部分35の先端部を有底円穴42の底に接触させることができる。これにより、第1軸部材34と軸受部40との接触面積を小さくして、第1軸部材34が軸受部40に対して円滑に回転できるようにすることができる。
【0088】
また、軸付勢部材37によって、第1軸部材34が軸受部40に向けて付勢されるため、巻取シャフト30のがたつきが抑制される。
【0089】
また、軸受部材保持部62の先端部65がトリム10から離れており、先端部65をトリム10から離すように軸受部材保持部62を弾性変形させて、軸受部材50を軸受部材保持部62内に配設することで、軸受部材50が係止部60に容易に支持される。また、シェード22が引出される際に、巻取シャフト30を受ける力は、主として軸受部材保持部62のうち基端側の部分に作用する。この力が軸受部材保持部62の基端部63によってしっかりと受止められる。
【0090】
また、移動規制部68によって、シェード22の引出し方向への巻取シャフト30又は軸受部材50の移動が規制される。移動規制部68によっても、シェード22の引出し力がしっかりと受止められる。
【0091】
なお、巻取シャフト30の一端が軸受部材50から突出している必要は無い。
図9に示す軸受部材150のように、ケース部53に対応するケース部153において、貫通孔54ahに対応する部分に外向きに突出する収容部153Pが形成される。収容部153Pは、貫通孔54ahから突出する円筒部153aと、当該円筒部153aの端部を閉じる蓋部153bとを含む。この場合、第2軸部材38の端部は、当該円筒部153a内に挿入されるとよい。
【0092】
この場合、移動規制部68は、円筒部153aの外周面に接触可能に配置されるとよい。本例では、第2軸部材38の端部が収容部153Pによって覆われ、ケース部153の外向きの開口が塞がれるため、塵等がケース部153内に入りにくくなるという利点がある。
【0093】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0094】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0095】
10 周辺部材(トリム)
18 車両用ウインドウ
20 巻取式シェード装置
21 シェード装置の一部組立機構
22 シェード
30 巻取シャフト
32 シャフト本体
34 第1軸部材(軸部材)
35 円錐形状部分
40 軸受部
42 有底円穴(開口)
50、150 軸受部材
58 バネ部材
59 ロック機構
60 係止部
62 軸受部材保持部
70 回転ロック部材