(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090523
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】ロボットハンド、ロボットアーム及び制御システム
(51)【国際特許分類】
B25J 15/06 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
B25J15/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020202966
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596041227
【氏名又は名称】石坂産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 菜月
(72)【発明者】
【氏名】中村 聡
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS04
3C707BS10
3C707DS08
3C707FS01
3C707FT12
3C707KS03
3C707KS04
3C707KT02
3C707KT05
3C707KT06
3C707LV07
3C707NS02
(57)【要約】
【課題】保持したワークの落下を防止すると共に、ワークの回収効率を向上させることができるロボットハンド、ロボットアーム及び制御システムを提供する。
【解決手段】ロボットハンド60は、搬送部2によって搬送されるワークWをピックアップする。このロボットハンド60は、ロボットアーム50の先端に設けられる回転体61と、回転体61に取り付けられる、ワークWを保持する複数の保持部65と、を備え、保持部65は、回転体61の回転軸61aに対して傾斜した姿勢で、放射状に取り付けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送部によって搬送されるワークをピックアップするロボットハンドであって、
ロボットアームの先端に設けられる回転体と、
前記回転体に取り付けられる、前記ワークを保持する複数の保持部と、を備え、
前記保持部は、前記回転体の回転軸に対して傾斜した姿勢で、放射状に取り付けられている
ことを特徴とする、ロボットハンド。
【請求項2】
前記保持部は、前記回転体の回転軸に対して、15~45°傾斜した姿勢で取り付けられている
ことを特徴とする、請求項1に記載のロボットハンド。
【請求項3】
前記保持部は、前記ワークを吸引又は吸着することで保持する
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のロボットハンド。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項のロボットハンドをエンドエフェクタとした
ことを特徴とする、ロボットアーム。
【請求項5】
請求項4に記載のロボットアームの制御システムであって、
前記保持部の使用状態を判断する使用状態判断部と、
前記使用状態判断部の判断情報に基づいて、使用する前記保持部を決定する使用決定部と、を備える
ことを特徴とする、制御システム。
【請求項6】
前記ワークの全長を算出する全長算出部を備え、
前記使用決定部は、前記全長算出部の算出した算出情報に基づいて、使用する前記保持部を決定する
ことを特徴とする、請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記保持部が保持している前記ワークを撮影したカメラ画像に基づいて、前記ワークの保持姿勢を算出する保持姿勢算出部を備え、
前記使用決定部は、前記保持姿勢算出部の算出情報に基づいて、使用する前記保持部を決定する
ことを特徴とする、請求項5又は6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記ワークを撮影したカメラ画像に基づいて、前記ワークの重量に関連する情報を算出する重量関連情報算出部と、
前記重量関連情報算出部の算出情報に基づいて、前記ロボットアームのアーム部の駆動速度と、前記回転体の駆動速度と、を調整する駆動速度調整部と、を備える
ことを特徴とする、請求項5~7の何れか一項に記載の制御システム。
【請求項9】
前記ワークを撮影したカメラ画像に基づいて、前記ワークの材質を判定する材質判定部と、
前記材質判定部が判定した特定の材質の前記ワークを、前記保持部が保持する保持対象と決定する保持対象決定部と、を備える
ことを特徴とする、請求項5~8の何れか一項に記載の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送部によって搬送されるワークをピックアップするロボットハンド、ロボットアーム及びその制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、搬送部によって搬送されるワークをピックアップするロボットハンドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、ロボットハンドは、第1の吸着パッド部及び第2の吸着パッド部を揺動させる揺動機構を備えることが開示されている。これにより、第1の吸着パッド部がワークをピッキングした状態で、第2の吸着パッド部が次のワークをピッキングし、サイクルタイムを短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のロボットハンドは、吸着パッドが揺動機構の揺動軸に対して垂直な姿勢で取り付けられており、揺動に伴う強い遠心力がワークに作用することになる。そのため、ワークが落下してしまい回収効率が低下してしまう、という問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、保持したワークの落下を防止すると共に、ワークの回収効率を向上させることができるロボットハンド、ロボットアーム及び制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のロボットハンドは、搬送部によって搬送されるワークをピックアップするロボットハンドであって、ロボットアームの先端に設けられる回転体と、前記回転体に取り付けられる、前記ワークを保持する複数の保持部と、を備え、前記保持部は、前記回転体の回転軸に対して傾斜した姿勢で、放射状に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
ここで、本発明のロボットハンドでは、前記保持部は、前記回転体の回転軸に対して、15~45°傾斜した姿勢で取り付けられてもよい。
【0009】
また、本発明のロボットハンドでは、前記保持部は、前記ワークを吸引又は吸着することで保持してもよい。
【0010】
また、本発明のロボットアームでは、ロボットハンドをエンドエフェクタとしてもよい。
【0011】
また、本発明の制御システムでは、前記保持部の使用状態を判断する使用状態判断部と、前記使用状態判断部の判断情報に基づいて、使用する前記保持部を決定する使用決定部と、を備えてもよい。
【0012】
また、本発明の制御システムでは、前記ワークの全長を算出する全長算出部を備え、前記使用決定部は、前記全長算出部の算出した算出情報に基づいて、使用する前記保持部を決定してもよい。
【0013】
また、本発明の制御システムでは、前記保持部が保持している前記ワークを撮影したカメラ画像に基づいて、前記ワークの保持姿勢を算出する保持姿勢算出部を備え、前記使用決定部は、前記保持姿勢算出部の算出情報に基づいて、使用する前記保持部を決定してもよい。
【0014】
また、本発明の制御システムでは、前記ワークを撮影したカメラ画像に基づいて、前記ワークの重量に関連する情報を算出する重量関連情報算出部と、前記重量関連情報算出部の算出情報に基づいて、前記ロボットアームのアーム部の駆動速度と、前記回転体の駆動速度と、を調整する駆動速度調整部と、を備えてもよい。
【0015】
さらに、本発明の制御システムでは、前記ワークを撮影したカメラ画像に基づいて、前記ワークの材質を判定する材質判定部と、前記材質判定部が判定した特定の材質の前記ワークを、前記保持部が保持する保持対象と決定する保持対象決定部と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0016】
このように構成された本発明のロボットハンドは、ロボットアームの先端に設けられる回転体と、回転体に取り付けられる、ワークを保持する複数の保持部と、を備え、保持部は、回転体の回転軸に対して傾斜した姿勢で、放射状に取り付けられている。そのため、ロボットアームをほとんど動かさずに、回転体を回転することで、あるワークを保持した姿勢から、次のワークを保持する姿勢に移動することができる。また、保持部が回転体の回転軸に対して傾斜した姿勢で取り付けられているので、回転に伴って保持部で保持したワークに作用する遠心力を抑制することができる。その結果、保持したワークの落下を防止すると共に、ワークの回収効率を向上させることができる。
【0017】
また、本発明のロボットハンドでは、保持部は、回転体の回転軸に対して、15~45°傾斜した姿勢で取り付けられているので、保持部で保持したワーク間の干渉を避けると共に、保持したワークに作用する遠心力を抑制することができる。
【0018】
また、本発明のロボットハンドでは、保持部は、ワークを吸引又は吸着することで保持するので、ワークを保持する保持動作を短くすることができ、ワークの回収効率を向上させることができる。
【0019】
また、本発明のロボットアームではロボットハンドをエンドエフェクタとしたので、ロボットアームの荷重の影響を少なくし、ロボットハンドを素早く動かすことができる。
【0020】
また、本発明の制御システムでは、保持部の使用状態を判断する使用状態判断部と、使用状態判断部の判断情報に基づいて、使用する保持部を決定する使用決定部と、を備える。そのため、ある保持部が、全長の長いワークを保持している場合、隣の保持部を使用しないようにすることができる。その結果、保持したワーク同士が干渉してしまうことを防止することができる。
【0021】
また、本発明の制御システムでは、保持部が保持しているワークを撮影したカメラ画像に基づいて、ワークの保持姿勢を算出する保持姿勢算出部を備え、使用決定部は、保持姿勢算出部の算出情報に基づいて、使用する保持部を決定する。そのため、ある保持部が保持したワークが、例えば、右隣の保持部の方に飛び出した姿勢である場合、左隣の保持部を使用するように決定することができる。その結果、保持部が保持したワーク同士が干渉してしまうことを防止することができる。
【0022】
また、本発明の制御システムでは、ワークを撮影したカメラ画像に基づいて、ワークの重量に関連する情報を算出する重量関連情報算出部と、重量関連情報算出部の算出情報に基づいて、ロボットアームのアーム部の駆動速度と、回転体の駆動速度と、を調整する駆動速度調整部と、を備える。そのため、回転体が回転してワークに遠心力が作用したり、アーム部が移動してワークに慣性力が作用したりしても、保持部が保持したワークが落下しないような駆動速度にすることができる。その結果、ワークの回収率を向上させることができる。
【0023】
さらに、本発明の制御システムでは、ワークを撮影したカメラ画像に基づいて、ワークの材質を判定する材質判定部と、材質判定部が判定した特定の材質のワークを、保持部が保持する保持対象と決定する保持対象決定部と、を備える。そのため、1つのロボットハンドの複数の保持部によって保持された同じ材質のワークを、一度に回収ボックスに投下することができる。その結果、ワークを回収するまでのサイクルタイムを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】実施例1のロボットアームの制御システムの構成を説明する図である。
【
図2】実施例1のロボットアームと搬送部を示す側面図である。
【
図3】実施例1のロボットハンドを示す側面図である。
【
図4】実施例1のロボットハンドを示す平面図である。
【
図5】実施例1の保持部が傾斜角度15°で取り付けられているロボットハンドを示す側面図である。
【
図6】実施例1の保持部が傾斜角度30°で取り付けられているロボットハンドを示す側面図である。
【
図7】実施例1の保持部が傾斜角度45°で取り付けられているロボットハンドを示す側面図である。
【
図8】保持部を2個有するロボットハンドを示す側面図である。
【
図9】保持部を2個有するロボットハンドを示す平面図である。
【
図10】保持部を4個有するロボットハンドを示す側面図である。
【
図11】保持部を4個有するロボットハンドを示す平面図である。
【
図12】実施例1のロボットアームの動作を説明する図であり、
図12(a)は、ロボットアームがホームポジションにいる状態を示す図であり、
図12(b)は、ロボットハンドが1つ目のワークを保持した状態を示す図である。
【
図13】実施例1のロボットアームの動作を説明する図であり、
図13(a)は、ロボットハンドが2つ目のワークを保持した状態を示す図であり、
図13(b)は、保持したワークを回収する状態を示す図である。
【
図14】実施例1のロボットアームの制御システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図15】実施例1の使用決定部について説明するための図である。
【
図16】実施例1の制御システムによる処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】実施例1の制御システムによる処理の流れを示すフローチャートである。
【
図18】従来のロボットアームを示す側面図である。
【
図19】実施例1のロボットアームを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明によるロボットハンド、ロボットアーム及びその制御システムを実現する実施形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例0026】
実施例1では、本発明によるロボットアームの制御システムは、重なった状態の複数のワーク(ワーク群)から特定のワークをピックアップする場合に適用する。実施例1では、ワークを建造物の解体工事等で発生した廃棄物としての木材とする例を説明する。
【0027】
[制御システムの構成]
図1は、実施例1のロボットアームの制御システムの構成を説明する図である。以下、実施例1のロボットアームの制御システムの構成を説明する。
【0028】
図1に示すように、制御システム1は、搬送部2と、撮影部10と、制御部20と、選別部40と、で構成される。
【0029】
(搬送部)
搬送部2は、例えば、ベルトコンベア等の搬送帯とすることができる。搬送部2には、重なった状態の複数のワークWのワーク群Gが載せられる。搬送部2は、循環するように構成される。
【0030】
(撮影部)
撮影部10は、搬送部2上に設けられた撮影ボックス13と、カメラとしての3Dスキャナ11と、カメラとしてのエリアカメラ12と、カメラとしてのエリアカメラ15と、で構成される。
【0031】
撮影ボックス13は、筒状に形成され、搬送部2の所定の位置に、搬送部2の上部を覆うように設置されている。撮影ボックス13の内側には、LED照明13aと、LED照明13aの光を拡散する反射板13bとが取り付けられている。
【0032】
3Dスキャナ11は、例えば、LIM TECHNOLOGIES社製のGocator2730とすることができる。3Dスキャナ11は、光切断法により、カメラ画像としての距離画像とレーザ輝度画像を取得する。3Dスキャナ11は、撮影ボックス13の上部に設置されている。
【0033】
エリアカメラ12は、例えば、CIS社製のVCC-5CXP3Rとすることができる。エリアカメラ12は、カメラ画像としてのカラー画像を取得する。エリアカメラ12は、撮影ボックス13の上部に、3Dスキャナ11と隣接して設置されている。
【0034】
エリアカメラ15は、例えば、CIS社製のVCC-5CXP3Rとすることができる。エリアカメラ15は、カメラ画像としてのカラー画像を取得する。エリアカメラ15は、後述するロボットアーム50の先端に設置されている。
【0035】
このように構成された撮影部10では、搬送部2に載せられて搬送されるワーク群Gは、撮影ボックス13を通過する際に、LED照明13aで照射された状態で、3Dスキャナ11とエリアカメラ12とによって撮影される。
【0036】
また、ロボットアーム50が保持しているワークWは、エリアカメラ15によって撮影される。
【0037】
(制御部)
制御部20は、PC(パーソナルコンピュータ)とすることができる。なお、制御部20の機能構成については後述する。
【0038】
(選別部)
選別部40は、制御盤41を介して制御部20からの情報を受け取るコントローラ42と、コントローラ42によって駆動が制御されるロボットアーム50と、ロボットアーム50の先端に設けられているロボットハンド60と、を備えている。
【0039】
制御盤41は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)とすることができる。コントローラ42は、制御盤41からの情報に基づいて、ロボットアーム50とロボットハンド60とを制御する。
【0040】
[ロボットアームの構成]
図2は、実施例1のロボットアーム50と搬送部2を示す側面図である。以下、実施例1のロボットアーム50の構成を説明する。
【0041】
図1及び
図2に示すように、ロボットアーム50は、複数のアーム部51が複数の関節部52で、屈曲(旋回)又は回転可能に連結される垂直多関節の6軸ロボットアームとすることができる。ロボットアーム50の先端には、ロボットハンド60が取り付けられている。
【0042】
ロボットアーム50は、搬送部2に沿って配置される。ロボットアーム50は、搬送部2の搬送方向で、撮影ボックス13の下流に配置される。
【0043】
[ロボットハンドの構成]
図3は、実施例1のロボットハンド60を示す側面図である。
図4は、実施例1のロボットハンド60を示す平面図である。以下、実施例1のロボットハンド60の構成を説明する。
【0044】
図3に示すように、ロボットハンド60は、ロボットアーム50の先端に取り付けられる。ロボットハンド60は、ロボットアーム50のエンドエフェクタとして構成されている。
【0045】
ロボットハンド60は、ロボットアーム50の先端に取り付けられる回転体61と、回転体61に取り付けられる保持部65と、各保持部65を回転体61に連結して支持する連結支持部62と、を備えている。
【0046】
回転体61は、回転軸61aを回転中心として、ロボットアーム50に対して回転可能に取り付けられている。回転軸61aは、ロボットアーム50の先端の中心軸とすることができる。
【0047】
保持部65は、連結支持部62を介して、回転体61に複数(
図3及び
図4の例では、3個)取り付けられている。各保持部65は、略円柱状に形成されている。
【0048】
各保持部65は、各保持部65の軸方向が、回転体61の回転軸61aに対して、外側に傾斜した姿勢で取り付けられる。
図4に示すように、回転体61の回転軸61aの方向から見て、各保持部65は、等間隔に放射状に3個配置されている。
【0049】
図3に示すように、各保持部65は、軸方向の基端側にバキューム装置65aと、軸方向の先端側にパッド部65bと、を備えている。
【0050】
バキューム装置65aは、吸引装置とすることもできるし、吸着装置とすることもでききる。パッド部65bは、樹脂等の弾性体によって、多段蛇腹状に形成することができる。パッド部65bは、先端に吸引又は吸着用の開口部が形成されている。
【0051】
パッド部65bの先端がワークWに接触した状態で、バキューム装置65aが稼働することで、パッド部65bにワークWが吸引又は吸着されるようになっている。すなわち、各保持部65は、パッド部65bの先端でワークWを吸引又は吸着することで、ワークWを保持可能となっている。
【0052】
連結支持部62は、各保持部65を、回転体61の回転軸61aに対して傾斜した姿勢で、回転体61に連結する。連結支持部62は、ボルト等の締結手段によって、回転体61に固定されている。回転体61が回転することで、連結支持部62を介して、各保持部65が回転するようになっている。
【0053】
[保持部の傾斜角度]
図5は、実施例1の保持部65が傾斜角度15°で取り付けられているロボットハンド60を示す側面図である。
図6は、実施例1の保持部65が傾斜角度30°で取り付けられているロボットハンド60を示す側面図である。
図7は、実施例1の保持部65が傾斜角度45°で取り付けられているロボットハンド60を示す側面図である。以下、実施例1の保持部65の傾斜角度について説明する。
【0054】
(傾斜角度が15°)
図5に示すように、回転体61の回転軸61aに対する保持部65の傾斜角度α1が15°の場合であって、隣り合う保持部65が、それぞれ、全長L1が50mmのワークWを保持した場合、保持されたワークW間の間隔D1は、78.8mmとなる。
【0055】
すなわち、傾斜角度α1が15°の場合、ワークWの全長が50mm以内であれば、保持されたワークW間の間隔D1を70mm以上確保することができる。
【0056】
(傾斜角度が30°)
図6に示すように、回転体61の回転軸61aに対する保持部65の傾斜角度α2が30°の場合であって、隣り合う保持部65が、それぞれ、全長L2が200mmのワークWを保持した場合、保持されたワークW間の間隔D2は、73.7mmとなる。
【0057】
すなわち、傾斜角度α2が30°の場合、ワークWの全長が200mm以内であれば、保持されたワークW間の間隔D2を70mm以上確保することができる。
【0058】
(傾斜角度が45°)
図7に示すように、回転体61の回転軸61aに対する保持部65の傾斜角度α3が45°の場合であって、隣り合う保持部65が、それぞれ、全長L3が400mmのワークWを保持した場合、保持されたワークW間の間隔D3は、66.59mmとなる。
【0059】
すなわち、傾斜角度α3が45°の場合、ワークWの全長が400mm以内であれば、保持されたワークW間の間隔D3を65mm以上確保することができる。
【0060】
なお、回転体61の回転軸61aに対する保持部65の傾斜角度αが、45°より大きい場合、回転体61の回転により、保持したワークWに強い遠心力が作用して、ワークWが落下する恐れがある。
【0061】
また、回転体61の回転軸61aに対する保持部65の傾斜角度αが、15°より小さい場合、保持したワーク間の間隔Dを十分に確保することができない。
【0062】
[保持部の個数]
図8は、保持部65を2個有するロボットハンド60を示す側面図である。
図9は、保持部65を2個有するロボットハンド60を示す平面図である。
図10は、保持部65を4個有するロボットハンド60を示す側面図である。
図11は、保持部65を4個有するロボットハンド60を示す平面図である。以下、実施例1のロボットハンド60の保持部65の個数について説明する。
【0063】
ロボットハンド60に取り付けられた保持部65の数は、対象とするワークWの大きさや、要求される作業時間(タクトタイム)によって決定することができる。
【0064】
(保持部が3個)
図3及び
図4に示すように、対象とするワークWの大きさが小さく、タクトタイムを短くしたい場合は、保持部65を3個とすることが適している。
図4に示すように、回転体61の回転軸61aの方向から見て、各保持部65は、等間隔に放射状に3個配置される。すなわち、3つの保持部65は、回転体61の回転軸61aの方向から見て、120°間隔で放射状に配置されている。
【0065】
(保持部が2個)
図8及び
図9に示すように、対象とするワークWのサイズが大きく、タクトタイムには比較的余裕がある場合は、保持部65を2個とすることが適している。
図9に示すように、回転体61の回転軸61aの方向から見て、各保持部65は、等間隔に放射状に2個配置される。すなわち、2つの保持部65は、回転体61の回転軸61aの方向から見て、180°間隔で放射状に配置されている。
【0066】
(保持部が4個)
図10及び
図11に示すように、ロボットハンド60は、保持部65を4個備えていてもよい。
図11に示すように、回転体61の回転軸61aの方向から見て、各保持部65は、等間隔に放射状に4個配置される。すなわち、4つの保持部65は、回転体61の回転軸61aの方向から見て、90°間隔で放射状に配置されている。
【0067】
[ロボットアームの動作]
図12は、実施例1のロボットアーム50の動作を説明する図であり、
図12(a)は、ロボットアーム50がホームポジションにいる状態を示す図であり、
図12(b)は、ロボットハンド60が1つ目のワークWを保持した状態を示す図である。
図13は、実施例1のロボットアーム50の動作を説明する図であり、
図13(a)は、ロボットハンド60が2つ目のワークWを保持した状態を示す図であり、
図13(b)は、保持したワークWを回収する状態を示す図である。以下、2つワークWを保持するロボットアーム50の動作例を説明する。
【0068】
(実施例1のロボットアームの動作)
【0069】
ロボットアーム50の保持部65は、回転体61の回転軸61aに対して、外側に傾斜した姿勢で、等間隔に放射状に3個配置されているとする。
【0070】
図12(a)に示すように、ロボットアーム50は、ホームポジションから、搬送部2によって搬送されている1つ目のワークWに接近する。
【0071】
次いで、
図12(b)に示すように、1つの保持部65が、搬送部2によって搬送されている1つ目のワークWを保持する。
【0072】
次いで、1つの保持部65が1つ目のワークWを保持した状態で、回転体61が120°回転し、
図13(a)に示すように、他の保持部65が、搬送部2によって搬送されている2つ目のワークWを保持する。この際、ロボットハンド60以外の部分は、ほとんど作動させない。すなわち、1つ目のワークWを1つの保持部65が保持した状態から、2つ目のワークWを他の保持部65が保持するまでの間、ロボットアーム50のアーム部51は、ほとんど作動しない。
【0073】
次いで、
図13(b)に示すように、ロボットアーム50は、保持部65が保持した2つのワークWを回収ボックス80へ投下する。
【0074】
[制御システムの機能構成]
図14は、実施例1のロボットアーム50の制御システム1の機能構成を示すブロック図である。
図15は、実施例1の使用決定部について説明するための図である。以下、実施例1の制御システム1の機能構成を説明する。
【0075】
図14に示すように、制御システム1は、3Dスキャナ11とエリアカメラ12,15からのカメラ画像と、搬送部2による搬送に伴う移動量の情報とが制御部20に入力され、制御部20で処理された処理情報がコントローラ42に入力され、ロボットアーム50とロボットハンド60の駆動を制御する。
【0076】
3Dスキャナ11は、光切断法により、搬送部2で搬送中のワーク群Gのカメラ画像としてのレーザ輝度画像と距離画像カメラ画像を取得する。カメラ画像は、制御部20に送信される。
【0077】
エリアカメラ12は、搬送部2で搬送中のワーク群Gのカメラ画像としてのカラー画像を取得する。カメラ画像は、制御部20に送信される。
【0078】
エリアカメラ15は、保持部65と、保持部65が保持しているワークWのカメラ画像としてのカラー画像を取得する。カメラ画像は、制御部20に送信される。
【0079】
搬送部2は、図示しないエンコーダに接続され、搬送部2による搬送に伴う移動量が制御部20に送信される。
【0080】
制御部20は、カメラ画像取得部21と、最上層ワーク識別部22と、材質判定部23と、保持対象決定部24と、対象ワーク情報算出部25と、使用状態判断部26と,保持姿勢算出部27と、使用決定部28と、駆動速度調整部29と、を備えている。
【0081】
カメラ画像取得部21は、3Dスキャナ11が撮影したカメラ画像と、エリアカメラ12が撮影したカメラ画像と、エリアカメラ15が撮影したカメラ画像とを取得する。
【0082】
最上層ワーク識別部22は、ワークWを撮影したカメラ画像に基づいて、搬送部2上を重なった状態で搬送されているワーク群Gから、最上層のワークWを識別する。なお、ワーク群Gから、最上層のワークWを識別する具体的な方法は、例えば、特開2020-179355号公報に記載の方法を使用することができる。
【0083】
材質判定部23は、ワークWを撮影したカメラ画像に基づいて、事前に取得した画像データに基づいてディープラーニングにより生成した学習データを参照して、最上層のワークWの種別(材質)を判定する。識別する材質としては、木材や、プラスチックや、コンクリートや、ガラス等にすることができる。
【0084】
保持対象決定部24は、材質判定部23が判定した材質から、特定の材質のワークWを保持部65が保持する保持対象と決定する。
【0085】
対象ワーク情報算出部25は、重量関連情報算出部25aと、全長算出部25bと、重心位置算出部25cと、傾き算出部25dと、を備えている。
【0086】
重量関連情報算出部25aは、ワークWを撮影したカメラ画像に基づいて、ワークWの重量に関連する重量関連情報を算出する。重量関連情報は、ワークWの面積とすることができる。また、重量関連情報は、ワークWの体積とすることもできる。また、重量関連情報は、ワークWの体積と、材質判定部23が判定した材質の密度とから算出した重量とすることもできる。
【0087】
また、重量関連情報算出部25aは、算出した重量関連情報が、所定の閾値T以上か否かを判定する。閾値Tは、アーム部51及び回転体61の駆動速度の減速を必要とする値とすることができる。
【0088】
また、重量関連情報算出部25aは、算出した重量関連情報が、設定範囲内か否かを判定する。設定範囲は、例えば、保持部65が保持可能な最大値とすることができる。
【0089】
全長算出部25bは、ワークWを撮影したカメラ画像に基づいて、ワークWの長手方向の全長を算出する。また、全長算出部25bは、算出したワークWの長手方向の全長が、所定の閾値E以上か否かを判定する。閾値Eは、保持部65がワークWの重心位置を保持した場合、保持されたワークWが隣の保持部65が保持するワークWに影響を及ぼす長さとすることができる。
【0090】
重心位置算出部25cは、カメラ画像に基づいて、ワークWの重心位置を算出する。傾き算出部25dは、カメラ画像に基づいて、ワークWの表面(上面)の傾きを算出する。
【0091】
使用状態判断部26は、保持部65の使用状態を判断する。具体的には、使用状態判断部26は、使用できる全ての保持部65が、ワークWを保持しているか否かを判断する。
【0092】
保持姿勢算出部27は、保持部65が保持しているワークWをエリアカメラ15が撮影したカメラ画像に基づいて、ワークWの保持姿勢を算出する。具体的には、保持姿勢算出部27は、保持部65が保持しているワークWをエリアカメラ15が撮影したカメラ画像に基づいて、保持部65の中心位置から、ワークWが何れの方向にどの程度飛び出して保持されているかを算出する。
【0093】
使用決定部28は、使用状態判断部26の判断情報に基づいて、使用する保持部65を決定する。具体的には、使用決定部28は、使用状態判断部26の判断情報に基づいて、ワークWを保持していない保持部65を使用するように決定する。
【0094】
使用決定部28は、全長算出部25bの算出した算出情報に基づいて、使用する保持部65を決定することもできる。具体的には、
図15に示すように、使用決定部28は、全長算出部25bが算出した全長Lが所定の閾値Eより大きい場合、ワークWを保持している保持部65の2つ隣の保持部65を使用するように決定する。言い換えると、使用決定部28は、全長算出部25bが算出した全長Lが所定の閾値Eより大きい場合、ワークWを保持している保持部65に隣接している保持部65を使用しないように決定する。
【0095】
さらに、使用決定部28は、保持姿勢算出部27の算出情報に基づいて、使用する保持部65を決定することもできる。具体的には、使用決定部28は、保持姿勢算出部27の算出情報に基づいて、ワークWを保持している保持部65が右隣の保持部65の方に飛び出した姿勢である場合、左隣の保持部65を使用するように決定する。
【0096】
使用決定部28は、保持姿勢算出部27の算出情報に基づいて、ワークWを保持している保持部65が左隣の保持部65の方に飛び出した姿勢である場合、右隣の保持部65を使用するように決定する。
【0097】
使用決定部28は、保持姿勢算出部27の算出情報に基づいて、ワークWを保持している保持部65が右隣と左隣の両方の保持部65の方に飛び出した姿勢である場合、両隣の保持部65を使用しないように決定する。
【0098】
駆動速度調整部29は、重量関連情報算出部25aの算出情報に基づいて、ロボットアーム50のアーム部51の駆動速度と、回転体61の駆動速度と、を調整する。具体的には、駆動速度調整部29は、重量関連情報算出部25aの算出した面積、体積、又は重量が所定の閾値より小さい場合、アーム部51及び回転体61の駆動速度をやや遅くするように調整する。駆動速度調整部29は、重量関連情報算出部25aの算出した面積、体積、又は重量が所定の閾値より大きい場合、アーム部51及び回転体61の駆動速度を上記駆動速度より遅くするように調整する。
【0099】
制御部20による処理情報は、制御盤41を介してコントローラ42に送信される。コントローラ42は、処理情報に基づいて、ロボットアーム50の動作と、ロボットハンド60の動作を制御する。
【0100】
具体的には、コントローラ42は、搬送部2を搬送されている重なった状態のワーク群Gから特定の材質としての木材をピックアップするように、ロボットアーム50とロボットハンド60の動作を制御する。コントローラ42は、複数の保持部65が、ワークWを連続的に保持するように、ロボットアーム50とロボットハンド60の動作を制御する。また、コントローラ42は、駆動速度調整部29の調整情報に基づいて、回転体61の駆動速度と、アーム部51の駆動速度を調整する。
【0101】
また、コントローラ42は、保持部65が、ワークWの重心位置を保持するように、ロボットアーム50とロボットハンド60の動作を制御する。また、コントローラ42は、保持部65の傾きを、ワークWの表面の傾きに合わせるように、ロボットアーム50とロボットハンド60の動作を制御する。また、コントローラ42は、保持部65で保持したワークWが、搬送部2を搬送されている別のワークWに干渉しないように、ロボットアーム50とロボットハンド60の動作を制御する。
【0102】
[制御システムの処理の流れ]
図16及び
図17は、実施例1の制御システム1による処理の流れを示すフローチャートである。以下、実施例1の制御システム1による処理の流れについて説明する。
【0103】
図16に示すように、カメラ画像取得部21は、3Dスキャナ11が撮影したカメラ画像と、エリアカメラ12が撮影したカメラ画像と、エリアカメラ15が撮影したカメラ画像とを取得する(ステップS101)。
【0104】
次いで、最上層ワーク識別部22は、ワークWを撮影したカメラ画像に基づいて、搬送部2上を重なった状態で搬送されているワーク群Gから、最上層のワークWを識別する(ステップS102)。
【0105】
次いで、材質判定部23は、ワークWを撮影したカメラ画像に基づいて、事前に取得した画像データに基づいてディープラーニングにより生成した学習データを参照して、最上層のワークWが木材であるか否かを判定する(ステップS103)。最上層のワークWが木材であると判定した場合(ステップS103でYES)、ステップS104に進む。一方、最上層のワークWが木材でないと判定した場合(ステップS103でNO)、ステップS101に戻る。
【0106】
ステップS104に進むと、対象ワーク情報算出部25は、対象とするワークWの重量関連情報と、長手方向の全長と、重心位置と、表面(上面)の傾きと、を算出する(ステップS104)。具体的には、重量関連情報算出部25aは、カメラ画像に基づいて、対象とするワークWの重量に関連する重量関連情報を算出する。全長算出部25bは、カメラ画像に基づいて、対象とするワークWの長手方向の全長を算出する。重心位置算出部25cは、カメラ画像に基づいて、対象とするワークWの重心位置を算出する。傾き算出部25dは、カメラ画像に基づいて、対象とするワークWの表面(上面)の傾きを算出する。
【0107】
次いで、重量関連情報算出部25aは、対象とするワークWの面積が、設定範囲内であるか否かを判断する(ステップS105)。対象とするワークWの面積が、設定範囲内であると判断した場合(ステップS105でYES)、ステップS106に進む。一方、対象とするワークWの面積が、設定範囲内でないと判断した場合(ステップS105でNO)、ステップS101に戻る。
【0108】
ステップS106に進むと、駆動速度調整部29は、ロボットアーム50のアーム部51の駆動速度を通常の駆動速度A0とし、回転体61の駆動速度を通常の駆動速度B0とする指示をコントローラ42に与えることで、アーム部51を駆動速度A0で移動し、回転体61を駆動速度B0で回転する(ステップS106)。
【0109】
次いで、制御部20は、対象とするワークWを保持部65で保持する指示をコントローラ42に与えることで、保持部65が対象とするワークWを保持する(ステップS107)。
【0110】
次いで、重量関連情報算出部25aは、対象とするワークWの面積が、所定の閾値T以上か否かを判定する(ステップS108)。
【0111】
対象とするワークWの面積が、所定の閾値T以上でないと判定した場合(ステップS108でNO)、駆動速度調整部29は、ロボットアーム50のアーム部51の駆動速度を通常の駆動速度A0より遅い駆動速度A1とし、回転体61の駆動速度を通常の駆動速度B0より遅い駆動速度B1とし(ステップS110)、ステップS111に進む。
【0112】
一方、対象とするワークWの面積が、所定の閾値T以上であると判定した場合(ステップS108でYES)、駆動速度調整部29は、ロボットアーム50のアーム部51の駆動速度を駆動速度A1より遅い駆動速度A2とし、回転体61の駆動速度を駆動速度B1より遅い駆動速度B2とし(ステップS109)、ステップS111に進む。
【0113】
ステップS111に進むと、使用状態判断部26は、使用できる全ての保持部65が、ワークWを保持しているか否かを判断する(ステップS111)。使用できる全ての保持部65が、ワークWを保持していると判断した場合(ステップS111でYES)、ステップS113に進む。一方、使用できる全ての保持部65が、ワークWを保持していないと判断した場合(ステップS111でNO)、ステップS112に進む。
【0114】
ステップS112に進むと、制御部20は、カメラ画像取得部21が取得したカメラ画像に基づいて、他に対象とするワークWがあるか否かを判断する(ステップS112)。他に対象とするワークWがあると判断した場合(ステップS112でYES)、処理Aに進む。一方、他に対象とするワークWがないと判断した場合(ステップS112でNO)、ステップS113に進む。
【0115】
ステップS113に進むと、駆動速度調整部29は、ロボットアーム50のアーム部51の駆動速度を調整した駆動速度とする指示をコントローラ42に与えることで、アーム部51を調整した駆動速度で移動する(ステップS113)。
【0116】
次いで、制御部20は、保持部65によって保持しているワークWを回収ボックス80に投下し(ステップS114)、制御部20は、ロボットアーム50をホームポジションに配置し(ステップS115)、処理を終了する。
【0117】
図17に示すように、処理Aに進むと、対象ワーク情報算出部25は、他の対象とするワークWの重量関連情報と、長手方向の全長と、重心位置と、表面(上面)の傾きとを算出する(ステップS116)。具体的には、重量関連情報算出部25aは、カメラ画像に基づいて、他の対象とするワークWの重量に関連する重量関連情報を算出する。全長算出部25bは、カメラ画像に基づいて、他の対象とするワークWの長手方向の全長を算出する。重心位置算出部25cは、カメラ画像に基づいて、他の対象とするワークWの重心位置を算出する。傾き算出部25dは、カメラ画像に基づいて、他の対象とするワークWの表面(上面)の傾きを算出する。
【0118】
次いで、重量関連情報算出部25aは、他の対象とするワークWの面積が、設定範囲内であるか否かを判断する(ステップS117)。対象とするワークWの面積が、設定範囲内であると判断した場合(ステップS117でYES)、ステップS118に進む。一方、対象とするワークWの面積が、設定範囲内でないと判断した場合(ステップS117でNO)、ステップS126に進む。
【0119】
ステップS118に進むと、全長算出部25bは、他に対象とするワークWの長手方向の全長が、所定の閾値E以上か否かを判定する。
【0120】
他に対象とするワークWの長手方向の全長が、所定の閾値E以上であると判定した場合(ステップS118でYES)、使用決定部28は、ワークWを保持している保持部65の2つ隣の保持部65を使用するように決定し(ステップS119)、ステップS120に進む。
【0121】
他に対象とするワークWの長手方向の全長Lが、所定の閾値E未満であると判定した場合(ステップS118でNO)、ステップS120に進む。
【0122】
ステップS120に進むと、重量関連情報算出部25aは、他に対象とするワークWの面積が、所定の閾値T以上か否かを判定する(ステップS120)。
【0123】
他に対象とするワークWの面積が、所定の閾値T未満であると判定した場合(ステップS120でNO)、駆動速度調整部29は、ロボットアーム50のアーム部51の駆動速度を通常の駆動速度A0より遅い駆動速度A1とし、回転体61の駆動速度を通常の駆動速度B0より遅い駆動速度B1とし(ステップS122)、ステップS123に進む。
【0124】
他に対象とするワークWの面積が、所定の閾値T以上であると判定した場合(ステップS120でYES)、駆動速度調整部29は、ロボットアーム50のアーム部51の駆動速度を駆動速度A1より遅い駆動速度A2とし、回転体61の駆動速度を駆動速度B1より遅い駆動速度B2とし(ステップS121)、ステップS123に進む。
【0125】
ステップS123に進むと、駆動速度調整部29は、回転体61の駆動速度を調整した駆動速度とする指示をコントローラ42に与えることで、回転体61を調整した駆動速度で回転する(ステップS123)。
【0126】
次いで、制御部20は、他の対象とするワークWを保持部65で保持する指示をコントローラ42に与えることで、保持部65が他に対象とするワークWを保持する(ステップS124)。
【0127】
次いで、使用状態判断部26は、使用できる全ての保持部65が、ワークWを保持しているか否かを判断する(ステップS125)。使用できる全ての保持部65が、ワークWを保持していると判断した場合(ステップS125でYES)、処理Bに進み、ステップS113に戻る。一方、使用できる全ての保持部65が、ワークWを保持していないと判断した場合(ステップS125でNO)、ステップS126に進む。
【0128】
ステップS126に進むと、制御部20は、カメラ画像取得部21が取得したカメラ画像に基づいて、他に対象とするワークWがあるか否かを判断する(ステップS126)。他に対象とするワークWがあると判断した場合(ステップS126でYES)、ステップS116に進む。一方、他に対象とするワークWがないと判断した場合(ステップS126でNO)、処理Bに進み、ステップS113に戻る。
【0129】
[本発明の作用]
次に、実施例1のロボットアーム50、ロボットハンド60及び制御システム1の作用を説明する。実施例1のロボットハンド60は、搬送部2によって搬送されるワークWをピックアップする。このロボットハンド60は、ロボットアーム50の先端に設けられる回転体61と、回転体61に取り付けられる、ワークWを保持する複数の保持部65と、を備え、保持部65は、回転体61の回転軸61aに対して傾斜した姿勢で、放射状に取り付けられている(
図3)。
【0130】
これにより、ロボットアーム50をほとんど動かさずに、回転体61を回転することで、あるワークWを保持した姿勢から、次のワークWを保持する姿勢に移動することができる。そのため、あるワークWを保持してから、次のワークWを保持するまでの時間を短くすることができる。
【0131】
また、保持部65が回転体61の回転軸61aに対して傾斜した姿勢で取り付けられているので、回転に伴って保持部65で保持したワークWに作用する遠心力を抑制することができる。そのため、ワークWの落下を防止することができる。その結果、保持したワークWの落下を防止すると共に、ワークWの回収効率を向上させることができる。
【0132】
また、ロボットアーム50をほとんど動かさずに、回転体61を回転することで、あるワークWを保持した姿勢から、次のワークWを保持する姿勢に移動することができるので、ロボットアーム50の関節数を減らすこともできる。
【0133】
また、保持部65でワークWを保持した後に、回転体61を回転させることで、搬送部2によって搬送される他のワークWとの干渉を素早く避けることができる。
【0134】
また、1つのロボットハンド60の複数の保持部65によって保持された複数のワークWを、一度に回収ボックス80に投下することができる。そのため、ワークWを回収するまでのサイクルタイムを短縮することができる。
【0135】
また、ロボットアーム50の先端に取り付けられている回転体61は、ロボットアーム50の荷重の影響が少ないことから、素早く動かすことができる。そのため、あるワークWを保持してから、次のワークWを保持するまでの時間を短くすることができる。
【0136】
また、保持部65が回転体61の回転軸61aに対して傾斜した姿勢で取り付けられているので、各保持部65が保持したワークW間にスペースを設けることができる。そのため、各保持部65が保持したワークW間の干渉を防止することができる。
【0137】
ところで、搬送部2として舟形のコンベアを使用する場合であって、一方の斜面で搬送されているワークWを保持した次に、他方の斜面で搬送されているワークWを保持する際、複数の保持部が回転体の回転軸に対して平行方向に取り付けられている場合は、
図18に示すように、ロボットアーム50Aを角度θ1移動する必要がある。
【0138】
一方、実施例1のように、複数の保持部65が回転体61の回転軸61aに対して傾斜した方向に取り付けられている場合、
図19に示すように、ロボットアーム50を角度θ1より移動量の少ない角度θ2移動することで、一方の斜面で搬送されているワークWを保持した次に、他方の斜面で搬送されているワークWを保持する姿勢にすることができる。そのため、一方の斜面にあるワークWを保持してから、他方の斜面にある次のワークWを保持するまでの時間を短くすることができる。
【0139】
実施例1のロボットハンド60では、保持部65は、回転体61の回転軸61aに対して、15~45°傾斜した姿勢で取り付けられている(
図5~
図7)。
【0140】
ところで、保持部65が、回転体61の回転軸61aに対して、45°より大きく傾斜した姿勢である場合、保持したワークW間のスペースを広くすることができる。しかし、回転体61の回転により、保持したワークWに強い遠心力が作用して、ワークWが落下する恐れがある。
【0141】
保持部65が、回転体61の回転軸61aに対して、15°より小さく傾斜した姿勢である場合、保持したワークW間のスペースを十分に確保することができない。
【0142】
実施例1では、保持部65は、回転体61の回転軸61aに対して、15~45°傾斜した姿勢で取り付けられているので、保持部65で保持したワークW間の干渉を避けると共に、保持したワークWに作用する遠心力を抑制することができる。
【0143】
実施例1のロボットハンド60では、保持部65は、ワークWを吸引又は吸着することで保持する(
図3)。
【0144】
ところで、グリップ式や多指式のロボットハンドは、ワークWを保持するための開閉動作に時間を要することから、ワークWの回収効率が低下する。
【0145】
一方、実施例1では、ロボットハンド60は、ワークWを吸引又は吸着によって保持することができる。そのため、ワークWを保持する保持動作を短くすることができ、ワークWの回収効率を向上させることができる。
【0146】
また、ワークWを、吸引又は吸着によって保持することができるので、開閉動作に大きなスペースを必要とするグリップ式や多指式のロボットハンドと比較して、ワークスペースを小さくすることができる。そのため、ロボットハンド60をコンパクトな構成とすることができる。その結果、1つの保持部65から、他の保持部65に切り替えるための移動距離を短くすることができる。そのため、あるワークWを保持してから、次のワークWを保持するまでの時間を短くすることができる。
【0147】
実施例1の制御システム1は、保持部65の使用状態を判断する使用状態判断部26と、使用状態判断部26の判断情報に基づいて、使用する保持部65を決定する使用決定部28と、を備える(
図12)。
【0148】
これにより、使用していない保持部65を有効に活用して、一度に複数のワークWを回収ボックス80に投下することができる。そのため、ワークWを回収するまでのサイクルタイムを短縮することができる。ワークの結果、ワークWの回収率を向上させることができる。
【0149】
実施例1の制御システム1では、ワークWの全長を算出する全長算出部25bを備え、使用決定部28は、全長算出部25bの算出した算出情報に基づいて、使用する保持部65を決定する(
図15)。
【0150】
これにより、ある保持部65が、全長の長いワークWを保持している場合、隣の保持部65を使用しないようにすることができる。そのため、保持したワークW同士が干渉してしまうことを防止することができる。
【0151】
実施例1の制御システム1では、保持部65が保持しているワークWを撮影したカメラ画像に基づいて、ワークWの保持姿勢を算出する保持姿勢算出部27を備え、使用決定部28は、保持姿勢算出部27の算出情報に基づいて、使用する保持部65を決定する(
図14)。
【0152】
これにより、ある保持部65が保持したワークWが、右隣の保持部65の方に飛び出した姿勢である場合、左隣の保持部65を使用するように決定することができる。また、保持部65が保持したワークWが、左隣の保持部65の方に飛び出した姿勢である場合、右隣の保持部65を使用するように決定することができる。また、保持部65が保持したワークWが、右隣の保持部65と左隣の保持部65の両方に飛び出した姿勢である場合、右隣の保持部65と左隣の保持部65を使用しないように決定することができる。そのため、保持部65が保持したワークW同士が干渉してしまうことを防止することができる。
【0153】
実施例1の制御システム1では、ワークWを撮影したカメラ画像に基づいて、ワークWの重量に関連する情報を算出する重量関連情報算出部25aと、重量関連情報算出部25aの算出情報に基づいて、ロボットアーム50のアーム部51の駆動速度と、回転体61の駆動速度と、を調整する駆動速度調整部29と、を備える(
図14)。
【0154】
これにより、回転体61が回転してワークWに遠心力が作用したり、アーム部51が移動してワークWに慣性力が作用したりする場合でも、保持部65が保持したワークWが落下しないような駆動速度にすることができる。そのため、ワークWの回収率を向上させることができる。
【0155】
実施例1の制御システム1では、ワークWを撮影したカメラ画像に基づいて、ワークWの材質を判定する材質判定部23と、材質判定部23が判定した特定の材質のワークWを、保持部65が保持する保持対象と決定する保持対象決定部24と、を備える(
図14)。
【0156】
これにより、1つのロボットハンド60の複数の保持部65によって保持された同じ材質のワークWを、一度に回収ボックス80に投下することができる。そのため、ワークWを回収するまでのサイクルタイムを短縮することができる。
【0157】
以上、本発明のロボットハンド、ロボットアーム及び制御システムを実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や、追加等は許容される。
【0158】
実施例1では、保持部65を2個~4個設ける例を示した。しかし、保持部は、5個以上設けられてもよい。
【0159】
実施例1では、保持部65は、ワークWを吸引又は吸着することで保持する例を示した。しかし、保持部は、この態様に限定されず、例えば、ワークWを突き刺すことで保持することができるニードル式のものであってもよいし、磁力によって保持するものであってもよいし、多指タイプのものであってもよい。
【0160】
実施例1では、重量関連情報をワークWの面積とする例を示した。しかし、重量関連情報は、この態様に限定されず、ワークWの体積とすることもできるし、ワークWの重量とすることできるし、ワークWの重量に関係する情報とすることができる。
【0161】
実施例1では、駆動速度調整部29は、重量関連情報算出部25aの算出した面積、体積、又は重量が所定の閾値より大きい場合、アーム部51及び回転体61の駆動速度を遅くするように調整する例を示した。しかし、駆動速度調整部29は、保持部65が保持しているワークWの個数が多くなるほど、アーム部51及び回転体61の駆動速度を遅くするように調整してもよい。
【0162】
実施例1では、搬送部2をベルトコンベアとする例を示した。しかし、搬送部としては、ベルトコンベアに限定されず、例えばローラコンベアであってもよいし、ワークWを搬送可能なものであればよい。
【0163】
実施例1では、ロボットアーム50を垂直多関節の6軸ロボットとする例を示した。しかし、ロボットアームとしては、この態様に限定されず、例えば、6軸以外のロボットアームとしてもよいし、パラレルリンクロボットとしてもよい。
【0164】
実施例1では、本発明を重なった状態の複数のワーク(ワーク群)から木材をピックアップする場合に適用する例を示した。しかし、本発明は、例えば、コンベアで搬送される土砂に混入した異物を取り除く時など、不定形物がランダムに搬送され選別を行う場合にも適用することができる。
【0165】
実施例1では、本発明は、ワークとして木材をピックアップする場合に適用する例を示した。しかし、本発明は、この態様に限定されず、樹脂、スレート材、コンクリート、ガラス、鉄筋、ペットボトル、プラスチック、空き缶、金属等をワークとしてピックアップする場合に適用することもできる。