(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090583
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】風力発電装置の風車用ブレード
(51)【国際特許分類】
F03D 3/06 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
F03D3/06 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020214281
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】520509225
【氏名又は名称】菊地 英弥
(72)【発明者】
【氏名】菊地 英弥
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA16
3H178AA40
3H178AA43
3H178BB31
3H178CC01
3H178CC03
3H178CC16
(57)【要約】
【課題】 風力発電装置の出力向上のため、風の流れの中に配置された風車用ブレードに、できるだけ多くの風を作用させ、風力エネルギを効率良く利用出来るようにすること。
【解決手段】 本発明の風力発電装置の風車用ブレードは、ブレード部の断面形状は翼型と呼ばれる形状を備え、ブレード部の先端部および後端部は、回転軸に対して所定の位相角度の範囲内で、回転軸と同軸の円筒面または円錐面に連続した直線状または螺旋状に配置され、前記翼型の後端部側(尖点側)が、内径側(回転軸側)に位置して回転し、回転軸部の前方(風上)側から後方(風下)側に向かって、風車用ブレードのブレード部を構成するN枚のブレードは、それぞれのブレードが、回転軸部を介して隣接するブレードと風方向の投影面に対しては、オーバーラップするような構成に空隙無く形成され、風が有効にブレードに作用するようにした、ことを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置の風車用ブレードであって、前記風車用ブレードはブレード部と回転軸部および連結固定部で構成され、前記ブレード部の断面形状は翼型と呼ばれる形状を備え、ブレード部の先端部および後端部は、回転軸に対して所定の位相角度の範囲内で、回転軸と同軸の円筒面または円錐面に連続した直線状または螺旋状に配置され、前記翼型の後端部側(尖点側)が内径側(回転軸側)に位置し、翼型の先端部側が外径側に位置して回転し、前記回転軸部の前方(風上)側から後方(風下)側に向かって、風車用ブレードのブレード部を構成するN枚のブレードは、それぞれのブレードが、回転軸部を介して隣接するブレードと風方向に直角な投影面に対して、オーバーラップするような構成に形成され、風車用ブレードのブレード部と回転軸部は、風の流れ方向に直角な面への投影には空隙が無く、風車用ブレードを通過する風が有効にブレードに作用するようにした、ことを特徴とする風車用ブレード。
【請求項2】
請求項1に記載の風力発電装置の風車用ブレードであって、前記風車用ブレードの回転軸部は、流れ込む空気の流れ方向に対して傾斜角度が、0度(水平)から90度(垂直)までの範囲のいずれかの角度に設定される、ことを特徴とする風車用ブレード。
【請求項3】
請求項1に記載の風力発電装置の風車用ブレードであって、前記風車用ブレードを構成するN枚のブレードと回転軸部は連結固定部と、金属補強部材等を含む樹脂モールド等の一体構造に成形され、前記回転軸部は、風力発電装置の発電機の回転軸に同軸に取付けられる、ことを特徴とする風車用ブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置の風車用ブレードの形状、配置、構成、構造、連結固定方法、等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温室効果ガス削減の観点から、発電需要量に対する化石燃料の構成割合を下げ、再生可能エネルギの構成割合を上げることが求められており、風力発電装置は、そのための方策の一つである。
【0003】
風力発電装置の風車用ブレードとして、特許文献1(水平軸型風力発電装置)または特許文献2(垂直軸型風力発電装置)に記載された形のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-218886号公報
【特許文献2】特開2019-210912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
風力発電装置の出力は、風を受ける風車用ブレードの受風面積に比例するので、出力向上のためには、風の流れの中に配置された風車用ブレードに、できるだけ多くの風を作用させることが求められる。しかしながら、特許文献1および2では、ブレードに作用せずに通り過ぎる風が有り、改良の余地がある。
【0006】
本発明は上述の点に着目したもので、その目的は、限られた寸法、質量のなかで、受風面積をできるだけ大きくし、質量は軽く、さらに、強度的に優れた風力発電装置の風車用ブレードを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の風力発電装置の風車用ブレードは、ブレード部と回転軸部およびそれらの連結固定部とで構成され、前記ブレード部の断面形状は翼型と呼ばれる形状を備え、ブレード部の先端部および後端部は、回転軸に対して所定の位相角度の範囲内で、回転軸と同軸の円筒面または円錐面に連続した直線状または螺旋状に配置され、前記翼型の後端部側(尖点側)が、内径側(回転軸側)に位置し、翼型の先端部側が外径側に位置して回転し、前記回転軸部の前方(風上)側から後方(風下)側に向かって、風車用ブレードのブレード部を構成するN枚のブレードは、それぞれのブレードが、回転軸部を介して隣接するブレードと風方向に直角な投影面に対しては、オーバーラップするような構成に形成され、風車用ブレードのブレード部と回転軸部は、風の流れ方向に直角な面への投影には空隙が無く、風車用ブレードを通過する風が有効にブレードに作用するようにした、ことを特徴とする。
【0008】
このような形状の風車用ブレードを風の流れの中に配置することにより、風の流れの多くをブレードが受け止めるので、風車用ブレードに全く作用せずに、素通りして行く風の流れの発生を少なくすることができる。
【0009】
また、風車用ブレードの回転軸部は、流れ込む空気の流れ方向に対して傾斜角度が、0度(水平)から90度(垂直)までの範囲のいずれかの角度に設定される、ことを特徴とする。
【0010】
傾斜角度が0度の場合、風車用ブレードの受風面積は、ブレード部の先端部径D1を円の外径とし、ブレード部の後端部径D2を円の内径とする、中空円の面積にほぼ等しいので、受風面積は大きくなるが、最大の受風面積を保持するためには、風向きの変化を検知して、風車用ブレードを風向きに対向する位置に配置する必要がある。
【0011】
傾斜角度が90度の場合、風車用ブレードの受風面積は、回転するブレード部の先端部径D1とブレード部の後端部径D2との差D1-D2を長辺とし、ブレード部の幅Lを短辺とする、長方形の面積に比例したものとなり、一般的には、傾斜角度0度の場合の受風面積より小さいが、風向きの変化を検知する必要がなくなる。
【0012】
傾斜角度が0度から90度の間の場合、風車用ブレードの受風面積は、一般的には、中空円の面積と長方形の面積の半分との間となり、風向きの変化の検知を必要とするレベルも、一般的には、傾斜角度0度から90度の間となり、傾斜角度が90度に近づくにつれて、風向きを検知する必要レベルは低くなる。
【0013】
さらに、風車用ブレードを構成するN枚のブレードと回転軸部は、金属補強部材等を含む樹脂モールド等で連結固定部と一体構造に成形され、回転軸部は、風力発電装置の発電機の回転軸に同軸に取付けられる、ことを特徴とする。
【0014】
このように、風車用ブレードを一体成形することにより、質量は軽く、かつ、強度的に優れた風力発電装置の風車用ブレードを提供できる。
【0015】
翼型の基礎となるジューコフスキー変換式は、
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
上式(甲)、(乙)、(丙)、(丁)の定数a、b、m、nを適切な数値に設定することにより、例えば、円周方向長さの比較的に短い翼型形状のブレードや、半径方向長さの比較的に短い翼型形状のブレードなど、本発明の趣旨に適った基本的な翼型形状を選定でき、さらに実用的な翼型形状を求めることができる。
【0016】
座標変換式は、
【数5】
【数6】
【数7】
Nは任意の正の整数であり、上式(戊)、(己)、(庚)により、風車用ブレードとして、N枚のブレードを配置できることになる。また、それぞれのブレードが回転軸部を介して隣接するブレードと風方向に直角な投影面に対しては、オーバーラップするような構成に形成され、ブレードの風の流れ方向に直角な面への投影には空隙が無いので、風車用ブレードに多くの風の流れを作用させることができる。
【0017】
なお、上記(甲)から(庚)までの式は、翼型の基礎的な形状を示すもので、本発明のブレードの断面形状は、この形状に限定されるものではなく、翼型の形状よりも、その配置、構成、構造の方に、特長を有するものである。
【本発明の効果】
【0018】
本発明によれば、限られた寸法、質量のなかで、受風面積をできるだけ大きくし、安価で、質量は軽く、さらに、強度的に優れた風力発電装置の風車用ブレードを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る風車用ブレードを備えた風力発電装置の略図である。
【
図2】風車用ブレードの回転軸部が、空気の流れ方向に対して垂直の場合の風力発電装置(垂直軸型風力発電装置)の略図である。
【
図3】風車用ブレードの回転軸部が、空気の流れ方向に対して平行の場合の風力発電装置(水平軸型風力発電装置)の略図である。
【
図4】風車用ブレードの回転軸部が、空気の流れ方向に対して、傾斜角度が0度(水平)から90度(垂直)までのいずれかの角度に設定された場合の風力発電装置(傾斜軸型風力発電装置)の略図である。
【
図5】第1の実施形態の風力発電装置の風車用ブレードの正面図と矢視図である。
【
図6】第2の実施形態の風力発電装置の風車用ブレードの正面図と側面図である。
【
図7】第2の実施形態の風力発電装置の風車用ブレード(ブレード1枚の略図)についての斜視図である。(水平軸型風力発電装置として見ると、回転軸は風上から見て右回転(時計回り)する。垂直軸型風力発電装置として見ると、ブレード部は図の右側から左側方向に直線状または左回りの螺旋状に回転軸部に配置される。)
【
図8】第2の実施形態の風力発電装置の風車用ブレード(ブレード1枚の略図)についての斜視図である。(水平軸型風力発電装置として見ると、回転軸は風上から見て左回転(反時計回り)する。垂直軸型風力発電装置として見ると、ブレード部は図の左側から右側方向に直線状または右回りの螺旋状に回転軸部に配置される。)
【
図9】第3の実施形態の風力発電装置の風車用ブレードの正面図と側面図である。
【
図10】第3の実施形態の風力発電装置の風車用ブレード(ブレード1枚の略図)についての斜視図である。(水平軸型風力発電装置として見ると、回転軸は風上から見て右回転(時計回り)する。垂直軸型風力発電装置として見ると、ブレード部は図の右側から左側方向に直線状または左回りの螺旋状に回転軸部に配置される。)
【
図11】第3の実施形態の風力発電装置の風車用ブレード(ブレード1枚の略図)についての斜視図である。(水平軸型風力発電装置として見ると、回転軸は風上から見て左回転(反時計回り)する。垂直軸型風力発電装置として見ると、ブレード部は図の左側から右側方向に直線状または右回りの螺旋状に回転軸部に配置される。)
【
図12】前記ブレード部の断面形状(翼型)の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る風車用ブレード2を備えた風力発電装置1の略図である。
図1において、風車用ブレード2はN枚のブレードのブレード部2Aと回転軸部2Bで構成され、風車用ブレード2の回転軸部2Bは、発電機3の回転軸4に、取付固定具5を用いて、同軸に取付け固定されている。風がブレード部2Aに作用すると回転軸部2Bを回転軸にして回転し、その回転が発電機3の回転軸4を介して発電機に伝達され、発電機には電磁誘導の原理により電力が発生する。
【0021】
図2は風車用ブレード2の回転軸部2Bが、空気の流れ方向に対して垂直の場合の風力発電装置1の略図である。
図2においては、N枚のブレード2Aの受風面積は、回転するブレード部2Aの先端部径D1とブレード部2Aの後端部径D2との差D1-D2を長辺とし、ブレード部2Aの幅(風車用ブレード2の幅)Lを短辺とする、長方形の面積に比例したものとなるが、その大きさは風向きの変化の影響を受けないので、風向きを検知する必要がなくなる。
【0022】
図3は風車用ブレード2の回転軸部2Bが、空気の流れ方向に対して平行の場合の風力発電装置1の略図である。
図3において、N枚のブレード2Aが風の流れを真正面で受けると受風面積は、ブレード部2Aの先端部径D1を円の外径とし、ブレード部2Aの後端部径D2を円の内径とする、中空円の面積にほぼ等しいので、受風面積は最大となり、風力発電装置1の出力向上のためには、風向きの変化を検知して、風車用ブレード2を風向きに対向する位置に配置する必要がある。
【0023】
図4は風車用ブレード2の回転軸部2Bが、空気の流れ方向に対して、傾斜している場合の風力発電装置1の略図である。
図4のような傾斜軸型風力発電装置は、垂直軸型風力発電装置(
図2)と水平軸型風力発電装置(
図3)との間の特性を持ち、受風面積は、一般的には、水平軸型(中空円の面積)と垂直軸型(長方形の面積)の間となり、風向きの変化の検知を必要とするレベルも、一般的には、水平軸型(傾斜角度0度)と垂直軸型(傾斜角度90度)の間となり、傾斜角度が90度に近づくにつれて、風向きを検知する必要レベルは低くなる。
【0024】
以上、
図2、
図3、
図4において、風車用ブレード2の回転軸部2Bが、流れ込む空気の流れ方向に対して傾斜する角度が、0度から90度までの範囲の実施例を示したが、風力発電装置1を設置する場所の立地や気象などの諸条件に応じて、任意に傾斜角度を選定できることになる。
【0025】
図5は本発明の第1の実施形態に係る風力発電装置1の風車用ブレード2の正面図と矢視図である。
図5においては、N=7、すなわち、7枚のブレードで構成された風車用ブレード2を実施例として示しているが、もちろん、ブレードの枚数を限定するものでなく、ブレードの枚数はいくつでも良い。
【0026】
第1の実施形態は、特に垂直軸型風力発電装置に適用される風車用ブレードであり、ブレード部の先端部および後端部を、回転軸と同軸の円筒面に対して螺旋状だけではなく、直線状にも配置可能で、
図5は直線状に配置された場合を示している。翼型の後端部側(尖点側)が、内径側(回転軸側)に位置し、翼型の先端部側が外径側に位置して回転し、前記回転軸部の前方(風上)側から後方(風下)側に向かって、風車用ブレードのブレード部を構成するN枚のブレードは、それぞれのブレードが、回転軸部を介して隣接するブレードと風方向に直角な投影面に対しては、オーバーラップするような構成に形成される。そのため、ブレードの風の流れ方向に直角な面への投影には空隙が無く、風車用ブレードを通過する風を有効にブレードに作用させることが出来る。
【0027】
ブレード部と回転軸部の間には任意の隙間が有り、風車用ブレードに作用する風は、ブレードの先端部から後端部へと流れ、前記隙間部を通って風車用ブレードの外へ流れ出る。また、本実施形態では、ブレード部と回転軸部は、円環形状の固定部材と長柱形状の固定部材を用いて、ブレードの両側面部と回転軸外径部とを連結固定しているが、連結固定方法を限定するものではない。
【0028】
すなわち、
図5の連結固定部は、円環形状と7個の長柱形状を示しているが、円環形状をN角形(多角形)の輪の形に代えても良く、長柱の数を十字形の4個あるいはY字形の3個と減らしても良い。連結固定部には、軽量、耐久性、風に対する低い抵抗等が求められるが、本実施形態では、輪の部分でそれぞれのブレードの側面を連結固定し、長柱部で輪と回転軸部を連結固定しており、長柱部間の空間は、ブレードに作用した後の風が、風車用ブレードの外へ流出するための通路の役割も持っている。また、矢視
図X-Xから分かるように、風の流れ方向に直角な面に対する、風車用ブレードのブレード部と回転軸部の投影に、空隙は無い。
【0029】
第1の実施形態では、ブレードに風が作用することにより、ブレードの凹面側から凸面側に向かって、揚力が発生する。そして、この揚力の方向と回転軸の回転方向が同じなので、揚力は回転力の向上に寄与することになる。
【0030】
さらに、本実施形態では、ブレード部2Aの幅Lを変えることで、風力発電装置の発電量を変えることが出来るので、必要に応じて、Lを変えて発電量を調節することが可能となる。
【0031】
図6は本発明の第2の実施形態に係る風力発電装置1の風車用ブレード2の正面図と側面図である。
図6においては、N=3、すなわち、3枚のブレードで構成された風車用ブレード2を実施例として示しているが、もちろん、ブレードの枚数を限定するものでなく、ブレードの枚数はいくつでも良い。
図6のブレードは、2Aa、2Ab、2Acの3枚で、1枚のブレード当たり120(=360/3)度以上の位相角度に及ぶ範囲に配置されるので、それぞれのブレードは、回転軸部を介して隣接するブレードと風方向に直角な投影面に対して、空隙なくオーバーラップするような構成に形成されている。
【0032】
このように、それぞれのブレードが回転軸部を介して隣接するブレードとオーバーラップするので、ブレード部2Aと回転軸部2Bとの直線状または螺旋状の連結固定部Arを比較的長くでき、また、ブレード部2Aの後端部と回転軸部2Bとの連結固定部Arは、補強構造を持って滑らかな曲面で接続されるので、応力集中は発生せず、強度的に優れた風車用ブレードを得ることができる。
【0033】
ブレード部2Aの断面形状は翼型と呼ばれる形状で、ブレード部2Aの先端部2Aam、2Abm、2Acmおよび後端部2Aan、2Abn、2Acnは、回転軸部2Bに対して所定の位相角度の範囲内で、同軸の円筒面または円錐面に正面図の前方側から後方側へ(側面図の左側から右側へ)連続した直線状または螺旋状に配置され、風車用ブレード2は前記翼型の後端部側(尖点側)が、内径側(回転軸側)に位置し、翼型の先端部側が外径側に位置して回転する。第2の実施形態では、ブレード部2Aの後端部径D2と回転軸部2Bの外径dはほぼ等しく、D2≒dとなる。
【0034】
図6では、ブレード部2Aの先端部が円筒面に連続した直線状または螺旋状に配置されているが、円錐面に連続した直線状または螺旋状とし、右回り(時計回り)に前方側から後方側へ(側面図の左側から右側へ)外径を連続して大きくなるように配置しても、あるいは、外径を連続して小さくなるように配置しても良い。
【0035】
なお、ブレード部2Aと回転軸部2Bは、金属補強部材等を含む樹脂モールド等で連結固定部と一体構造に成形されるので、安価で、質量は軽く、さらに、強度的に優れた風車用ブレード2を製作できる。
【0036】
ところで、垂直軸型風力発電装置の場合は、風向きの変化を検知する必要がなく、風車用ブレード2を発電機3の回転軸4に、どちらの向きに固定しても本来持っている発電能力を発揮できる。ただし、回転軸部2Bの回転方向は、風車用ブレード2を固定する向きに依存し、固定する向きを逆にすれば、回転方向は反対になる。すなわち、風車用ブレード2の取付方向が発電機3の回転軸4の回転方向に影響することになる。
【0037】
図7は、第2の実施形態の風力発電装置1の風車用ブレード(ブレード1枚の略図)の斜視図で、風車用ブレード2の回転軸部2Bに対して、空気の流れ方向が平行の場合(Wind1)と垂直の場合(Wind2)を例示している。風の流れ方向に対する回転軸部2Bの傾斜角度は、0度(水平)から90度(垂直)の範囲で設定可能である。
【0038】
なお、
図7はWind1の風のときは、水平軸型風力発電装置として機能し、Wind2の風のときは、垂直軸型風力発電装置として機能する。ブレードの断面形状は翼型と呼ばれる形状をしている。ブレードの先端部および後端部は、所定の位相角度の範囲内で、回転軸と同軸の円筒面あるいは円錐面に連続した直線状または螺旋状に配置される。N枚のブレード2Aは、それぞれのブレードが、回転軸部を介して隣接するブレードと風方向に直角な投影面に対して、オーバーラップするような構成に形成される。
【0039】
図8は、第2の実施形態の風力発電装置1の風車用ブレード(ブレード1枚の略図)の斜視図で、風車用ブレード2の回転軸部2Bに対して、空気の流れ方向が平行の場合(Wind1)と垂直の場合(Wind2)を例示している。風の流れ方向に対する回転軸部2Bの傾斜角度は、0度(水平)から90度(垂直)の範囲で設定可能である。
【0040】
なお、
図8はWind1の風のときは、水平軸型風力発電装置として機能し、Wind2の風のときは、垂直軸型風力発電装置として機能する。ブレードの断面形状は翼型と呼ばれる形状をしている。ブレードの先端部および後端部は、所定の位相角度の範囲内で、回転軸と同軸の円筒面あるいは円錐面に連続した直線状または螺旋状に配置される。N枚のブレード2Aは、それぞれのブレードが、回転軸部を介して隣接するブレードと風方向に直角な投影面に対して、オーバーラップするような構成に形成され、ブレードの風の流れ方向に直角な面への投影には空隙が無いので、ブレードに作用する風のエネルギを有効に利用出来る。
【0041】
図7および
図8において、流体の流れの中にある翼型の特性として、ブレードの凹面側2Aqから凸面側2Apに向かって、揚力FLが発生する。そして、ブレードの凹面側2Aqが受ける風の方向とこの揚力FLの方向が同じであるので、回転軸の回転力の向上に対して、相乗効果を生むことになる。
【0042】
図9は本発明の第3の実施形態に係る風力発電装置1の風車用ブレード2の正面図と側面図である。
図9においては、N=3、すなわち、3枚のブレードで構成された風車用ブレード2を実施例として示しているが、もちろん、ブレードの枚数を限定するものでなく、ブレードの枚数はいくつでも良い。
図9のブレードは、2Aa、2Ab、2Acの3枚で、1枚のブレード当たり120(=360/3)度以上の位相角度に及ぶ範囲に配置されるので、それぞれのブレードが、回転軸部を介して隣接するブレードと風方向に直角な投影面に対して、オーバーラップするような構成に形成されている。
【0043】
ブレード部2Aの断面形状は翼型と呼ばれる形状で、ブレード部2Aの先端部2Aam、2Abm、2Acmおよび後端部2Aan、2Abn、2Acnは、回転軸部2Bに対して所定の位相角度の範囲内で、同軸の円筒面または円錐面に正面図の前方側から後方側へ(側面図の左側から右側へ)連続した直線状または螺旋状に配置され、風車用ブレード2は前記翼型の後端部側(尖点側)が、内径側(回転軸側)に位置し、翼型の先端部側が外径側に位置して回転する。
【0044】
第3の実施形態においては、ブレード部2Aの後端部と回転軸部2Bは、補強構造を持って滑らかな曲面で接続されるが、連結固定部(接続部)は全面的ではなく部分的である。ブレード部2Aの後端部と回転軸部2Bとが接続しない部分では、ブレード部2Aの後端部と回転軸部2Bとの間に隙間ができるので、流れの乱れは小さくなり、ブレード部2Aに発生する揚力はより強くなる。また、連結固定部(接続部)は限定されず、ブレードの中央部や両端部以外の部分でも良い。さらに、ブレード部2Aの後端部と回転軸部2Bの連結固定部(接続部)を補強するために、例えば、金属部材等を含む樹脂モールド等で一体構造に成形することでさらに高い強度を得ても良い。なお、第3の実施形態では、ブレード部2Aの後端部径D2は回転軸部2Bの外径dより大きく、D2>dとなる。
【0045】
図10は、第3の実施形態の風力発電装置1の風車用ブレード(ブレード1枚の略図)の斜視図で、風車用ブレード2の回転軸部2Bに対して、空気の流れ方向が平行の場合(Wind1)と垂直の場合(Wind2)を例示している。風の流れ方向に対する回転軸部2Bの傾斜角度は、0度(水平)から90度(垂直)の範囲で設定可能である。
【0046】
なお、
図10はWind1の風のときは、水平軸型風力発電装置として機能し、Wind2の風のときは、垂直軸型風力発電装置として機能する。ブレードの断面形状は翼型と呼ばれる形状をしている。ブレードの先端部および後端部は、所定の位相角度の範囲内で、回転軸と同軸の円筒面あるいは円錐面に連続した直線状または螺旋状に配置される。N枚のブレード2Aは、それぞれのブレードが、回転軸部を介して隣接するブレードと風方向に直角な投影面に対して、オーバーラップするような構成に形成され、ブレードの風の流れ方向に直角な面への投影には空隙が無いので、ブレードに作用する風のエネルギを有効に利用出来る。
【0047】
図11は、第3の実施形態の風力発電装置1の風車用ブレード(ブレード1枚の略図)の斜視図で、風車用ブレード2の回転軸部2Bに対して、空気の流れ方向が平行の場合(Wind1)と垂直の場合(Wind2)を例示している。風の流れ方向に対する回転軸部2Bの傾斜角度は、0度(水平)から90度(垂直)の範囲で設定可能である。
【0048】
なお、
図11はWind1の風のときは、水平軸型風力発電装置として機能し、Wind2の風のときは、垂直軸型風力発電装置として機能する。ブレードの断面形状は翼型と呼ばれる形状をしている。ブレードの先端部および後端部は、所定の位相角度の範囲内で、回転軸と同軸の円筒面あるいは円錐面に連続した直線状または螺旋状に配置される。N枚のブレード2Aは、それぞれのブレードが、回転軸部を介して隣接するブレードと風方向に直角な投影面に対して、オーバーラップするような構成に形成され、ブレードの風の流れ方向に直角な面への投影には空隙が無いので、ブレードに作用する風のエネルギを有効に利用出来る。
【0049】
図10および
図11においても、
図7および
図8と同様に、流体の流れの中にある翼型の特性として、ブレードの凹面側2Aqから凸面側2Apに向かって、揚力FLが発生し、ブレードの凹面側2Aqが受ける風の方向とこの揚力FLの方向が同じであるので、回転軸の回転力の向上に対して、相乗効果を生むことになる。
【0050】
図12は、以上に記述してきた、前記ブレード部の断面形状(翼型)の一例で、ブレード部2Aと回転軸部2Bとは、金属部材等を含む補強構造を持った樹脂等で連結固定されるが、それらの接続は、全面的でも部分的でもどちらでもよく、連結固定部(接続部)の形状や方法等は限定されない。風は先端部側から後端部側方向にブレードに沿って流れ、風の流れにより凹面側から凸面側方向への揚力を発生する。
【0051】
図12に示すような翼型を、風車用ブレードの断面形状に適用すると、翼型上面(凸面)側の圧力より、翼型下面(凹面)側の圧力が高くなり、揚力が発生するが、その力の方向は風車の回転方向と同じなので、風車の回転力を増加できる。さらに、ブレード部2Aと回転軸部2Bを連結固定する際、ブレード部の側面部と回転軸部の外径部を連結固定すれば、翼型の形状への影響を解消出来、翼型形状を損なうことはなくなる。また、ブレード部2Aを回転軸部2Bから離し、ブレードの枚数を多くすることで、風の流れを滑らかにし、風のエネルギを有効に利用できる。
【0052】
垂直軸および水平軸風力発電装置は共に、風車用ブレードに対する風の抗力は、その受風面積に比例し、風力発電装置の出力は抗力に比例すること、さらには、風の流れによる揚力の方向は、風車用ブレードの回転方向と同じになることから、いずれの実施例においても、その出力には抗力と揚力の両方が係わっており、風のエネルギを有効に利用出来ている。
【0053】
第1の実施形態は、垂直軸型風力発電装置の風車用ブレードに係り、第2と第3の実施形態は、垂直軸型および水平軸型風力発電装置に係る。ブレードの先端部および後端部は、垂直軸型風力発電装置の場合、回転軸と同軸の円筒面に対して直線状に配置され、水平軸型風力発電装置の場合は、回転軸と同軸の円筒面に対して螺旋状に配置されるのが、通常の形態となる。
【0054】
第2の実施形態は、ブレード部2Aと回転軸部2Bの接続が全面的であるのに対し、第3の実施形態は、ブレード部2Aと回転軸部2Bの接続が部分的になる。前者は、連結固定部Arの面積を大きく取れ、後者は翼型ブレードの後端部と回転軸部2Bの間に隙間を持つ。それぞれに特長が有って、要求仕様に応じて適宜選択できる。
【0055】
以上、実施例に基づいて本発明を実施するための形態を説明したが、ここで開示した実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0056】
なお、実施例の図に、バッテリー、風向計、風速計、回転計、制御装置等を例示していないが、風力発電装置には必要に応じて、これらのシステムが組み込まれる。
【符号の説明】
【0057】
1・・・風力発電装置
2・・・風車用ブレード
2A・・・風車用ブレード2のブレード部(N枚のブレ-ド)
2Aa・・・1枚目のブレード
2Aam・・・1枚目のブレードの先端部
2Aan・・・1枚目のブレードの後端部
2Ab・・・2枚目のブレード
2Abm・・・2枚目のブレードの先端部
2Abn・・・2枚目のブレードの後端部
2Ac・・・3枚目のブレード
2Acm・・・3枚目のブレードの先端部
2Acn・・・3枚目のブレードの後端部
2Ap・・・ブレードの凸面側
2Aq・・・ブレードの凹面側
2Ar・・・ブレード部2Aと回転軸部2Bとの連結固定部(接続部)
2B・・・風車用ブレード2の回転軸部
3・・・発電機
4・・・発電機の回転軸
5・・・取付固定具
D1・・・風車用ブレード2の先端部径(ブレード部2Aの先端部径)
D2・・・風車用ブレード2の後端部径(ブレード部2Aの後端部径)
d・・・回転軸部2Bの外径
L・・・風車用ブレード2の幅(ブレード部2Aの幅)
FL・・・揚力
REV・・・回転方向
Wind・・・風車用ブレード2への風の流れ
Wind1・・・回転軸部2Bに対し、流れ方向が平行な風
Wind2・・・回転軸部2Bに対し、流れ方向が垂直な風