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特開2022-90585装身型のハンドレストによる生体信号採取装置
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  • 特開-装身型のハンドレストによる生体信号採取装置 図1
  • 特開-装身型のハンドレストによる生体信号採取装置 図2
  • 特開-装身型のハンドレストによる生体信号採取装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090585
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】装身型のハンドレストによる生体信号採取装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/332 20210101AFI20220610BHJP
【FI】
A61B5/04 310H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020215799
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】593192612
【氏名又は名称】竹内 康人
(72)【発明者】
【氏名】幸田 学
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB03
4C127BB05
4C127CC02
(57)【要約】
【課題】腕または手から心電信号を採取せんとするウエアラブル構成の装置において、腕の筋肉の緊張に由来する筋電信号が雑音として混入する事を抑圧する。
【解決手段】絶縁物でできたベルト(1)を体躯を周回するように装着し、これに同じく絶縁物でできたハンドレスト(3a,3b)を懸架し、このハンドレストの上に生体電極を配置する。手または腕をこのハンドレストに載せてこの生体電極により心電信号を採取するならば腕を緊張させる事が避けられ、筋電信号の妨害の混入が抑圧された信号採取が行われる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体躯を周回するベルト様の装身具と、該装身具の腹壁に接する区間に係留されるハンドレストと、該ハンドレストに載せられた腕ないし手から生体信号を獲得する信号採取装置とにより構成され、作用効果として該腕ないし手がレスト状態すなわち力を出していない状態にて該生体信号採取の業務が行われる如く構成された事を特徴とする、生体信号採取装置。
【請求項2】
請求項1に述べられた装置において、該ハンドレストは少なくとも1つの生体電極を具備し、該生体電極を関電極の1つとして心電信号を採取する如く構成された事を特徴とする、該装置。
【請求項3】
請求項1に述べられた装置において、該ハンドレストは少なくとも1つの光センサを具備し、該光センサを含む光学的な観測システムにより光電脈波の観測ないしはパルスオキシメトリーが実行される如く構成された事を特徴とする、該装置。
【請求項4】
請求項3に述べられた装置において、該ハンドレストは少なくとも1つの、その内部に光センサを具備した穴を有し、該穴の中に指を挿入した状態で外光の影響を低減しつつ該光電脈波の観測ないしはパルスオキシメトリーが実行される如く構成された事を特徴とする、該装置。
【請求項5】
請求項1に述べられた装置において、該ハンドレストは少なくとも1つの超音波センサを具備し、該超音波センサを含む超音波観測システムによりトランシットタイム法またはドプラ法による超音波観測が実行される如く構成された事を特徴とする、該装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この発明は生体信号採取装置に関し、特に体躯を周回するベルトに装着された装身型のハンドレストによる、ノイズの混入を抑圧ないし低減した生体信号採取装置に関する。
【0002】
最近流行の腕時計スタイルの個人持ちウエアラブル電子装置のある種の物においては装着する人の心電信号を採取して多彩な目的に利用せんとする事が見られる。心電信号の採取には体表面のお互いにかなり離れた2ケ所の電位差を観測せねばならないので、これらの装置においては必要な時点で一方の腕に嵌めた該腕時計状の装置に他方の腕の指とかで触る事によりかかる電位差観測を行うように構成されている。かくして得られた心電図信号は右手左手間の電位差すなわちいわゆる第1誘導である。
【0003】
しかるにこの体制では空中で腕を相互に差し伸べるか、もしくは片方の腕は何かの上に載せてももう片方は空中で差し伸べるか、せざるを得ないため採取される心電信号には緊張する腕の筋肉の筋電信号が混入する事が避けられず、従ってその分だけ得られる信号のS/N比が悪い。
【0004】
本発明においては、ウエアラブル電子装置において、そういう問題を起こさない心電信号採取を目的とする。すなわち本発明においては基本的な構成や実施形態がウエアラブルでありつつも腕の筋肉を緊張させない状態で該信号採取を行う。以下その主旨は図を用いた実施例の説明により明らかにされるであろう。
【0005】
図1は本発明の好ましい実施例を斜上方から見た鳥瞰図であるが、これにおいて、絶縁物で出来たベルト(1)はバックル(2)の支援により体躯(例えば腹部)を周回するように装着されるが、その正面部分の区域(例えば臍の上の辺り)にこれも絶縁物で出来たハンドレスト(3a,3b)が懸架されている。このハンドレストには手ないし腕をのせる部分に導体片で出来た生体電極(5a,5b)が配置されている。また左右のハンドレストの中間部には小箱(4)が配置されているが、これについては後述する。尚、図1に向って右側が左手用(3a)の、左側が右手用(3b)のハンドレストである事を指摘しておく。
【0006】
左右の手を各々のハンドレストに載せた状態で生体電極(5a,5b)から採取される心電信号(第1誘導)は、腕の筋肉を緊張させる事なく採取されるので、腕のどちらかまたは両方を空中にかざした状態で採取した場合よりも前述の理由によりS/N比が好ましい状態で採取される事が出来る。
【0007】
図2図1に見る左右のハンドレスト(3a,3b)の間に置かれる小箱(4)を向って左側から見た所で、これにおいて、該小箱(4)には貫通孔5がありこれに左右どちらかの手の指を差し込み置く事が出来るように構成されている。該貫通孔(5)の中には必要に応じて差し入れた指を挟むようにセンサ(6a,6b)が配置され、必要に応じて指からまた別な生体信号を採取するように構成される。この追加され得るセンサ(6a,6b)は、例えば透過光を観測する光源と受光器である事が出来るが、また透過超音波を観測する送波器と受波噐である事も出来る。さらにセンサはどちらか1つの側のみに配置し、該センサは例えば反射光を観測する光源と受光器の合体した物である事が出来るが、また反射超音波を観測する送波器と受波噐が合体した物である事も出来る。合目的的に適切な光源と受光器を配置する設計においては得られる信号から光電脈波信号を得る事ができる。また別な合目的的に適切な光源と受光器を配置する設計においては得られる信号からパルスオキシメトリーに関する情報を得る事が出来る。また透過超音波または反射超音波を観測する構成においてはトランシットタイム法またはドプラ法による超音波観測を行う事ができる。
【0008】
さらにこの孔(5)には生体電極(7)を追加する事も出来る。これはハンドレスト上の生体電極(8)と併用しても良く、またそれ単独で利用しても良い。典型的な利用例は(8)を(すなわち図1で見るならば(5a,5b)を)関電極とする時に不関電極として作用させる利用方法である。
【0009】
この孔(5)においては、図示せぬものの、左右から指を入れられた時にそれらが電気的に接触してしまわないように中央部に絶縁物で出来た隔壁を配置する事も好ましい実施例であり得る。
【0010】
図3はまた本発明のやや異なる実施例を示すもので、これにおいて、ベルト(1)は腹部を周回して装着されるに際してバックルとしてやや平べったい容器(4)を用いる。すなわちこの容器(4)はその左右の端部にベルトを引っ掛ける手段を有する。而してこの容器に隣接してハンドレスト(3)が生体電極(5)を有しつつ係留される。容器(4)にはその横腹に孔(6)があり、この孔の中に図2で示したのと同じような物が設置されている。被検者はこのハンドレスト(3)に右腕を載せ、その指をこの孔(6)に挿入すると目的とする計測が行われる。尚この場合関電極は右手の分1つしかないが、もう片方の関電極および不関電極はこの容器(4)の図示せぬ裏面に配置される事が好ましい。またこのもう片方の関電極および不関電極はベルト(1)のどこかに配置しても良い。しかしながらもう片方の関電極および不関電極をどこに配置するかは実施上の自由度である。
【0011】
またもちろん容器(4)にはその左右両側に孔があっても良く、またハンドレストも同じく左右両側にあってもよい。
【0012】
また容器(4)は別な目的の計測装置を兼ねる事も出来、それも実施上の自由度の内である。別な目的とは、例えば、無線通信または無線通話用の通信機、テレメーター発信器、外測陣痛計、環境観測装置などである事が出来る。
【0013】
以上を要約すると、本発明は、体躯を周回するベルト様の装身具と、該装身具の腹壁に接する区間に係留されるハンドレストと、該ハンドレストに載せられた腕ないし手から生体信号を獲得する信号採取装置とにより構成され、作用効果として該腕ないし手がレスト状態すなわち力を出していない状態にて該生体信号採取の業務が行われる如く構成された事を特徴とする生体信号採取装置である事ができる。
【0014】
さらにまた、該ハンドレストは少なくとも1つの生体電極を具備し、該生体電極を関電極の1つとして心電信号を採取する如く構成された事を特徴とする該装置である事ができる。
【0015】
さらにまた、該ハンドレストは少なくとも1つの光センサを具備し、該光センサを含む光学的な観測システムにより光電脈波の観測ないしはパルスオキシメトリーが実行される如く構成された事を特徴とする該装置出ある事ができる。
【0016】
さらにまた、該ハンドレストは少なくとも1つの、その内部に光センサを具備した穴を有し、該穴の中に指を挿入した状態で外光の影響を低減しつつ該光電脈波の観測ないしはパルスオキシメトリ-が実行される如く構成された事を特徴とする該装置である事ができる。ここで「孔」という文言表現は「穴」と表記してもよい。
【0017】
さらにまた該ハンドレストは少なくとも1つの超音波センサを具備し、該超音波センサを含む超音波観測システムによりトランシットタイム法またはドプラ法による超音波観測が実行される如く構成された事を特徴とする該装置である事ができる。
【0018】
以上により明かにされたごとく、本発明はその実施の結果ウエアラブル構成の生体信号採取装置において、手または腕、手首、ないし指から生体信号を採取する場合において、腕の筋肉を緊張させる事なく該信号採取が行われ、結果として筋電信号の混入が抑圧されS/N比の良い信号が得られるので有益である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本発明の典型的な実施例を示す鳥瞰図であり、これにおいて、(1)ベルト (2)バックル (3A,3B)ハンドレスト (4)小箱 (5A,5B)生体電極
【0020】
図2図2図1の小箱(4)を左横方から見た所であり、これにおいて、(1)ベルト (3)ハンドレスト (4)小箱 (5)貫通孔 (6A,6B)センサ (7)(8)生体電極
【0021】
図3図3は本発明の他の実施例を示すものであり、これにおいて、(1)ベルト (3)ハンドレスト (4)容器 (5)生体電極 (6)孔
図1
図2
図3