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特開2022-90586観測開口面を充電用エネルギーの受け入れにも共用する装置
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  • 特開-観測開口面を充電用エネルギーの受け入れにも共用する装置 図1
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  • 特開-観測開口面を充電用エネルギーの受け入れにも共用する装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090586
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】観測開口面を充電用エネルギーの受け入れにも共用する装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 17/00 20060101AFI20220610BHJP
   H04R 9/00 20060101ALI20220610BHJP
   H02S 10/20 20140101ALI20220610BHJP
【FI】
H04R17/00 330J
H04R17/00 332B
H04R9/00 330
H02S10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020215800
(22)【出願日】2020-12-07
(71)【出願人】
【識別番号】593192612
【氏名又は名称】竹内 康人
(72)【発明者】
【氏名】幸田 学
【テーマコード(参考)】
5D019
5F151
【Fターム(参考)】
5D019BB02
5D019BB17
5D019DD02
5D019GG01
5F151BA05
5F151JA13
5F151JA28
5F151JA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】観測開口面を内蔵する2次電池の充電のためのエネルギーの受理のためにも利用する封じ切り電子装置を提供する。
【解決手段】封じ切り構造の匡体内に2次電池を内蔵し、かつ、観測用の開口面を有する電子データ採取装置であって、観測開口の正面板1の背後に単結晶または多結晶の太陽電池2の薄板を配置し、さらにその背後に圧電素子4を配置して一体化して重層構造を成す。太陽電池2の薄板と正面板1とは連携して圧電素子4に対してその超音波授受に関する音響整合層として機能する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
封じ切り構造の匡体内に2次電池を内蔵し、かつ観測用の開口面を有する電子データ採取装置において、該観測用開口面は該2次電池の充電用のエネルギーの受理のためにも用いられる如く構成せられた事を特徴とする、該電子データ採取装置。
【請求項2】
観測開口に可逆電気音響変換器を有する事を特徴とする、請求項1に該当する電子データ採取装置。
【請求項3】
観測開口の正面板の背後に単結晶または多結晶の太陽電池を配置し、さらに該太陽電池の背後に圧電セラミック振動子を配置して一体化して重層構造を成したる事を特徴とする、請求項1に該当する電子データ採取装置。
【請求項4】
請求項3に該当する該装置において、該太陽電池薄板と該正面板とが連携して該圧電セラミック振動子に対してその超音波授受に関する音響整合層として機能する如く構成された事を特徴とする、該電子データ採取装置。
【請求項5】
観測開口の正面板の背後に少なくとも2つの、電気的接続は独立した圧電セラミック振動子を並べ置き、正面板の外側から該振動子の各々に対してその正面板の背面に接する電極に向けて静電結合により送り込まれた高周波電気エネルギーを受理する如く構成せられたる事を特徴とする、該電子データ採取装置。
【請求項6】
該静電結合による高周波電気エネルギーの送り込みが共振伝送である事を特徴とする、請求項5に該当する該電子データ採取装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0010】
本発明は、封じ切り構造の匡体内に2次電池を内蔵し、かつ観測用の開口面を有する電子データ採取装置であって、該観測用開口面が該2次電池の充電用のエネルギーの受理のためにも用いられる如く構成せられた事を特徴とする、該電子データ採取装置に関する物である。
【0020】
かかる封じ切り構造の匡体内に2次電池を内蔵し、かつ観測用の開口面を有する電子データ採取装置を図1に例示する。ただしこれは単なる例示であり、本発明の主旨を拘束する物ではない。この例はたまたま超音波ドプラ方式の胎児心拍検出器であり、導体または絶縁物で出来た匡体(1)の中に図示せぬ電子回路および動作電源用の2次電池(4)を持ち、また観測対象に接するプラスチックで出来た開口面(2)はその背後に超音波送受のための圧電セラミック素子(3)を有する。ドプラ胎児心拍信号を聴取するためのイヤホンおよびコード(5)、匡体からの出口のブッシングなども含めて全体は封じ切りに、また好ましくは耐水性になっていて、払拭消毒ないし好ましくは丸洗い消毒が出来るようになっている。
【0030】
本発明はこの例のような封じ切りデバイスにおいてその内蔵2次電池を非接触的に充電する手段手法を実現せんとする物である。
【0040】
そこで、図2図1の構成を踏まえての本発明の好ましい実施例の1つを示す物で、これにおいて、透光性の材料(例えばアクリルとか)で出来た正面板(1)の背後には可逆変換器である圧電振動子(4)との間に単結晶または多結晶のシリコンで出来た太陽電池(2)の薄板が配置されていて、圧電振動子(4)と外界との間の超音波の授受はこの太陽電池薄板を介して行われる。外界からの光エネルギーはこの太陽電池により電力に変換され、その電気端子(3)を経由して充電制御回路(9)の制御の下に2次電池(7)の充電に使われる。一方この装置の本来の目的の動作のためには圧電振動子(4)の電気端子(5)は電子回路(8)に結合される。
【0050】
ここでさらに典型例を述べると、正面板の外側から圧電振動子までの太陽電池薄板を含む超音波的な伝送経路は、アクリルに関しては音速が大略2.7Km/Sec、密度が大略1.2g/cc、故に音響インピーダンスは3.24Mrayl、シリコンに関しては音速が9.6Km/Sec、密度が大略2.33g/cc、故に音響インピーダンスは大略22Mraylである事から、観測超音波周波数が3MHzの場合各々0.7mmおよび3.2mmが1波長、0.175mmおよび0.8mmが1/4波長となり、公知の知見に従いいわゆる1/4波長インピーダンス整合層を成す事が出来る。アクリルの0.175mm厚の1/4波長板は加工も組み立ても大変注意を要する数値なので、1/4波長板に代えて機能上等価な3/4波長板(すなわち0.525mmもしくは略して0.5mm)を用いる事も好ましい。すなわち正面板として0.5mmのアクリル、次なる太陽電池のシリコンとして0.8mm厚の物、次に変換器主役のPZT圧電セラミックとして0.7mm厚(すなわち厚み共振周波数3MHz)を重層して用いるならば好ましい実施例である事が出来る。ただし音響インピーダンスの数値の列という点では正面板の対峙する生体組織(水と等価と見なされる)が1.5Mrayl、アクリルが3.24Mrayl、シリコンが22Mrayl、終端のPZTが30Mraylという数値列は必ずしも理想的な数値列とは言い難いが、それでもなお少し劣るが2層音響整合層として十分に機能する実施例であり得る。
【0060】
図3はまた別な好ましい実施例を示す物で、これにおいて、シリコン薄板の太陽電池(1)は可聴音を授受する振動板としても使われる。すなわちその周辺部には匡体(7)との間に保持用の波状薄板ダンパー(6)が配置され、その裏面には円錐ないし角錐の形をしたシンタクティックフォーム(3)が配置され、さらにその頂点部にはボイスコイルとポールピースと永久磁石片からなる、これも可逆変換器である動電(ダイナミック)変換機構(5)が配置されている。太陽電池(1)の外界側には必要十分な程度の厚さと強度の保護膜を配置する事も好ましい。(2)は太陽電池の引き出し線、(4)はボイスコイルの引き出し線である。
【0070】
図4は本発明のさらに別な好ましい実施例であり、これにおいて、目的装置の正面板(1)の背後には2つの圧電セラミック振動子(2)(3)が並べておかれ、それらは各々高周波的にはトランスを介して絶縁された状態で送受信電子回路(4)に結合されている。一方正面板の外側には電池を充電する場合には充電器の正面板(11)が接触せられ、その背後には導体片(12)(13)が振動子(2)(3)と位置合わせされて接する。該導体片対には高周波電源(14)が接続されていて、振動子(2)(3)の外面側の電極に向けて静電結合により高周波電力を伝える。振動子(2)(3)は図に示唆される如く電気的には独立した状態で送受信電子回路(4)に結合されているので、その外部側の電極に静電結合で渡される高周波電力は図示のごとく別途トランスおよび整流器を含む充電制御回路の采配の下に2次電池(7)を充電するために用いられる事が出来る。
【0080】
ここで、送電側と受電側に各々の高周波トランスを同調状態にするための、必要ならば調整可能である所の同調コンデンサ(15)(8)を設けるならば、この段階の高周波結合を同調結合とする事が出来、もって送電効率の改善や位置合わせの不整への耐性の向上に資する事が出来る。
【0090】
以上の他に次のような実施例があり得る。
【0092】
図4の実施例の設計思想を踏襲しつつもこれを静電結合ではなく磁気結合とする手法があり得る。すなわち送電側と受電側を磁気回路が開いた高周波トランス同志の磁気結合で結合させる手法であり、この場合、受電側のトランスは振動子の背後に置かれる事になる。振動子の電極が磁束と交差してショートリングとなりそれを妨げる事を避けるために、振動子の電極は格子状に溝を設けるか、振動子を少なくとも2つ以上に分割して設けるかしなければならない。またCコアやEコアの結合だと位置の他に角度も整合させなければならないので、回転角度には依存しないポットコア同志による同軸トランス状の結合が好ましい。
【0094】
図3の設計思想を踏襲しつつもこれを太陽電池の背面に配置するのは動電変換器ではなく電磁変換器ないしはムービングマグネット変換器とする事も好ましい実施例であり得る。すなわち太陽電池の背後に小さな磁石を接着しておいて、匡体側にそれに磁界を及ぼすためのコイルを置けばその主旨に従った構成となる。
【0096】
同じく図3の設計思想を踏襲しつつもこれを太陽電池の背面に配置するのは動電変換器ではなく静電変換器ないし可変静電容量変換器とする事も好ましい実施例であり得る。すなわち受音板ともなる太陽電池の背面に近接して電荷を持たされた電極板を置けば両者の間の電界配分に呼応して該電極板に変位信号を得る事が出来る。また太陽電池の背面と該電極板との間の静電容量の変化を発振回路を組んでその発振周波数の変化として検知する事も出来る。
【0098】
同じく図3の設計思想を踏襲しつつもこれを太陽電池の背面に配置するのは動電変換器ではなく可変抵抗型の変換器とする事も好ましい実施例であり得る。すなわち太陽電池の背面に多少隙間を開けつつ匡体に固定された板を置き、それらの間に感圧性の、導電性粉末をフィラーが入ったシリコーンゴムとかを置けば、その導電率により受音板ないし受圧板としても作用する太陽電池への音や応力を観測する事ができる。また顆粒に成形されたグラファイト適宜量を収容した導体カップを匡体側に置き、受音板となる太陽電池の背面に圧迫子を設置して用いればカーボンマイクを構成する事ができる。
【0100】
以上の説明により明らかにされた如く、本発明の実施によれば封じ切り構造の匡体内に2次電池を内蔵し、かつ観測用の開口面を有する電子データ採取装置において、該封じ切り構造に妨げられる事なく該2次電池を充電する事ができるので、益する所第である。
【図面の簡単な説明】
【0150】
図1】本発明が踏まえる封じ切り構造の匡体内に2次電池を内蔵し、かつ観測用の開口面を有する電子データ採取装置の典型例を説明するためのスケッチであり、これにおいて、(1)匡体 (2)開口面 (3)圧電セラミック素子 (4)2次電池 (5)イヤホンおよびコード
図2】本発明の第1の好ましい実施例の内部構造を示す断面図である。これにおいて、(1)正面板 (2)太陽電池 (3)太陽電池の電気端子 (4)圧電素子 (5)圧電素子の電気端子 (6)欠番 (7)2次電池 (8)電子回路
図3】本発明の第2の実施例であり、これにおいて (1)太陽電池 (2)太陽電池の引き出し線 (3)シンタクティックフォーム (4)ボイスコイルの引き出し線 (5)動電変換機構 (6)波状薄板ダンパー (7)匡体
図4】本発明の第3の実施例であり、これにおいて、(1)目的装置の正面板 (2)(3)圧電セラミック振動子 (4)送受信電子回路 (5)欠番 (6)充電制御回路 (7)2次電池 (8)同調コンデンサ (11)充電器の正面板 (12)(13)導体片 (14)高周波電源 (15)同調コンデンサ
図1
図2
図3
図4