IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 明安國際企業股▲分▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図1
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図2
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図3
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図4
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図5
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図6
  • 特開-ゴルフクラブヘッド 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090596
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
   A63B 53/04 20150101AFI20220610BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20220610BHJP
【FI】
A63B53/04 A
A63B102:32
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021082018
(22)【出願日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】109143027
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】501106263
【氏名又は名称】明安國際企業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹本 昭則
(72)【発明者】
【氏名】スー ミン フー
(72)【発明者】
【氏名】ホアン チュン ハオ
【テーマコード(参考)】
2C002
【Fターム(参考)】
2C002AA02
2C002CH06
2C002CH08
2C002KK06
2C002MM02
2C002MM04
2C002MM07
2C002PP04
(57)【要約】
【課題】製造過程でクラウン部において切削が必要なエリアと削らないエリアが区別されるゴルフクラブヘッドを提供する。
【解決手段】内部空間211を画成する本体部21と、内部空間211と連通している開口221を画成するように本体部21の周縁に形成されていると共に、内部空間211の内部へ傾斜する傾斜面222を有する傾斜部22と、を有するヘッド本体2と、蓋本体31と、蓋本体31の周縁から外側へ曲がって、外側から傾斜部22の先端に掛けられた階段状になるように形成されている階段部32と、階段部32から本体部21へ延伸しながら、内表面が傾斜面222に貼り合わせられている接合部33と、を有する上、開口221を覆うように傾斜面222に固定されている複合材料製のクラウン3と、を含み、接合部33は、蓋本体31の外表面より外側に位置していて、本体部21の外表面と同一の面に揃うように切削された削り面331を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画成する本体部と、前記内部空間と連通している開口を画成するように前記本体部の周縁に形成されていると共に、前記本体部から離れながら前記内部空間の内部へ傾斜する傾斜面を有する傾斜部と、を有するヘッド本体と、
蓋本体と、前記蓋本体の周縁から外側へ曲がって、外側から前記傾斜部の先端に掛けられた階段状になるように形成されている階段部と、前記階段部から前記本体部へ延伸しながら、内表面が前記傾斜面に貼り合わせられている接合部と、を有する上、前記開口を覆うように前記傾斜面に固定されている複合材料製のクラウンと、を含み、
前記接合部は、前記蓋本体の外表面より外側に位置していて、前記本体部の外表面と同一の面に揃うように切削された削り面を有することを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記クラウンの厚さは、0.4mm~0.8mmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記クラウンの前記削り面の幅は、3.0mm~20.0mmの範囲にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記クラウンの前記削り面は、前記蓋本体の外表面と連接する曲面になっていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記クラウンの前記削り面は、輪になるような環状面であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記クラウンを構成した複合材料は、炭素繊維強化プラスチックまたは熱可塑性炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クラウンをヘッド本体に接合することにより製造されたゴルフクラブヘッドが開示されているが、そのように製造されたゴルフクラブヘッドは、クラウンとヘッド本体との公差により、表面が凸凹になる欠点がある。
【0003】
他にクラウンをヘッド本体に接合してから、余剰の部分を削り取る方法がある。この方法を使用する際、図1に示されるように、ゴルフクラブヘッドには、ヘッド本体11にクラウン12を接合するための接合エリアが形成されている。また、炭素繊維複合材料をクラウンの構成材料として使用する際、通常、接合エリアが形成されている部分は、ヘッド本体11の外周縁で内側に折れるように階段状構造111に形成され、クラウン12を貼り付けるための平面112を有する。クラウン12の外表面がヘッド本体11と同一面になるように揃えるためには、一般的にクラウン12の接合エリアに対応する部分を厚くしておく必要がある。そうすると、クラウン12を平面112に貼り付けた際に、厚くなった部分がヘッド本体11より突出するので、その突出した部分を削り取って、ヘッド本体11と同一面にさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第10463927号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、クラウン12には、突出した部分と突出していない部分との間に明白な区切りがないので、クラウン12の突出した部分を削り取る際、クラウン12の他の部分も削ってしまいその表面に傷が付く場合が多く、炭素繊維の外見質感が損なわれて、ゴルフクラブヘッド全体の外観に影響がある。
【0006】
その際、ゴルフクラブヘッドの外観を確保するために、炭素繊維における削られてなった表面に塗装を施すことが一般である。しかし、塗装により、露出させられる炭素繊維の模様の面積が大幅に少なくなり、ゴルフクラブヘッドの外観にやはり影響が及ぶ。
【0007】
上記の問題点に鑑て、本発明は、削るエリアと削らないエリアが区別されたゴルフクラブヘッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を実現するために、本発明は、
内部空間を画成する本体部と、前記内部空間と連通している開口を画成するように前記本体部の周縁に形成されていると共に、前記本体部から離れながら前記内部空間の内部へ傾斜する傾斜面を有する傾斜部と、を有するヘッド本体と、
蓋本体と、前記蓋本体の周縁から外側へ曲がって、外側から前記傾斜部の先端に掛けられた階段状になるように形成されている階段部と、前記階段部から前記本体部へ延伸しながら、内表面が前記傾斜面に貼り合わせられている接合部と、を有する上、前記開口を覆うように前記傾斜面に固定されている複合材料製のクラウンと、を含み、
前記接合部は、前記蓋本体の外表面より外側に位置していて、前記本体部の外表面と同一の面に揃うように切削された削り面を有することを特徴とするゴルフクラブヘッドを提供する。
【発明の効果】
【0009】
上記のように、本発明のゴルフクラブヘッドによれば、クラウンに階段部が形成されることにより、高低差が生じて、削る必要がある接合部がクラウンの蓋本体より突出しているので、接合部を削る時に、削る必要がないクラウンの蓋本体を削ってしまうことを防止できて、複合材料の模様を最大限に露出でき、外観的に優れた視覚効果をもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来のゴルフクラブヘッドの部分断面図である。
図2】本発明のゴルフクラブヘッドの第1の実施形態の断面図である。
図3】上記第1の実施形態の部分拡大断面図である。
図4】上記第1の実施形態の上視図である。
図5】上記第1の実施形態の塗り層を示す上視図である。
図6】本発明のゴルフクラブヘッドの第2の実施形態の上視図である。
図7】上記第2の実施形態の塗り層を示す上視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明のゴルフクラブヘッドの実施形態について詳しく説明する。
【0012】
なお、本実施形態に提供した図面は、要旨を表示する方法で本発明の基本構想を説明するものであり、即ち図面は、実際に実施する時の構成要件の数、形状、寸法に基づいて描いたものではなく、本発明に関わる構成要件のみを表すものである。実際に実施する時の各構成要件の形態、数量、比率は適宜に変更でき、構成要件の構成形態もより複雑であり得る。
【0013】
図2は、本発明のゴルフクラブヘッドの第1の実施形態の断面図である。図3は、上記第1の実施形態の部分拡大断面図である。図4は、上記第1の実施形態の上視図である。図5は、上記第1の実施形態の塗り層を示す上視図である。図6は、本発明のゴルフクラブヘッドの第2の実施形態の上視図である。図7は、上記第2の実施形態の塗装層を示す上視図である。
【0014】
本発明のゴルフクラブヘッドは、図2に示されているように、ヘッド本体2と、ヘッド本体2に固定されているクラウン3とを含む。
【0015】
ヘッド本体2は、図2及び図3に示されているように、内部空間211を画成する本体部21と、内部空間211と連通する開口221を画成するように本体部21の周縁に形成されている傾斜部22とを有する。
【0016】
傾斜部22は、図2及び図3に示されているように、その外側に本体部21から離れながら内部空間211の内部へ傾斜する傾斜面222を有する。
【0017】
クラウン3は、開口221を覆うように傾斜面222に固定されている複合材料製のものである。該複合材料は、炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Polymer、略称CFRP)や熱可塑性炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced ThermoPlastic、略称CFRTP)である。
【0018】
クラウン3の厚さは、0.4mm~0.8mmの範囲にある。
【0019】
また、クラウン3は、蓋本体31と、蓋本体31の周縁から外側へ曲がって、外側から傾斜部22の先端に掛けられた階段状になるように形成されている階段部32と、階段部32から本体部21へ延伸しながら、内表面が傾斜面222に貼り合わせられている接合部33とを有する。
【0020】
接合部33は、蓋本体31の外表面より外側に位置していて、切削加工により、本体部21の外表面と同一の面に揃えられた削り面331を有する。
【0021】
削り面331は、平滑面や粗面などであり得る。
【0022】
外側へ曲がっている階段部32により、蓋本体31と接合部33との間に高低差が存在するので、接合部33を本体部21に接続した際には、本体部21の外表面と同一の面に揃えるために切削が必要となるエリア(即ち接合部33の外表面、図4の鎖線の右側)と切削を要しないエリア(即ち蓋本体31の外表面、図4の鎖線の左側)とが明白に区別されるようになる。
【0023】
そうすると、蓋本体31の外表面に傷を付けずに、接合部33の一部を、本体部21の外表面と同一の面に揃った削り面331を有するようになるよう削ることができる。
即ち、接合部33を傾斜部22に貼り合わせた後、接合部33において本体部21の外表面より突出している部分は、図3の鎖線に示される部分であり、該部分を削り取ると、接合部33は、本体部21の外表面と同一の面に揃えられた削り面331を有するようになる。
【0024】
切削を必要とするエリアと切削を要しないエリアとが明白に区別されるので、緩衝用のエリアの設置が不要になり、削り面331と蓋本体31の外表面の面積を必要に応じてより自由に設計できる。
【0025】
図4及び図5に示されるように、第1の実施形態においては、塗装により削り面331及び削り面331と連接している一部の本体部21の外表面を修飾することで(例えば図5における塗装層A)、見た目が劣る削り面331をカバーし、蓋本体31における傷付けられていない炭素繊維の模様(例えば、平織りまたは綾織り(twill weave)による3K織り模様)のみを露出させている。そして、削り面331は、前記蓋本体31の外表面と連接する曲面になっている。
【0026】
また、図6及び図7に示されるように、第2の実施形態として、削り面331を輪になるような環状面とすることもできる。即ち、削り面331の形は必要に応じて自由に選択できる。そして、削り面331の幅は、3.0mm~20.0mmの範囲にあり、必要に応じて任意に選択できる。
【0027】
第1の実施形態と同じく、図7に示されるように、第2の実施形態でも、塗り層Aで削り面331及び削り面331と連接している一部の本体部21の外表面を修飾することができる。
【0028】
上記の構成よれば、階段部32により、クラウン3とヘッド本体2を合わせた際には、蓋本体31と接合部33との間に高低差が存在するので、切削が必要となるエリアと切削を要しないエリアとが明白に区別されるようになる。従って、接合部を削る時に、削る必要がないクラウンの蓋本体が削られてしまうことを防止できて、複合材料の模様を最大限に露出でき、外観的に優れた視覚効果をもたせることができる。
【0029】
上記実施形態は例示的に本発明の原理及び効果を説明するものであり、本発明を制限するものではない。本技術を熟知する当業者であれば本発明の精神及び範囲から離れないという前提の下、上記の実施形態に対して若干の変更や修飾が可能で有る。従って、当業者が本発明の主旨から離れないという前提の下、行った全ての変更や修飾も本発明の保護範囲に含まれるものとされるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のゴルフクラブヘッドは、一般のゴルフクラブヘッドに適用でき、特に外観的に優れた視覚効果を有するゴルフクラブヘッドとして好適である。
【符号の説明】
【0031】
2 ヘッド本体
21 本体部
211 内部空間
22 傾斜部
221 開口
222 傾斜面
3 クラウン
31 蓋本体
32 階段部
33 接合部
331 削り面
A 塗装層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-05-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画成する本体部と、前記内部空間と連通している開口を画成するように前記本体部の周縁に形成されていると共に、前記本体部から離れながら前記内部空間の内部へ傾斜する傾斜面を有する傾斜部と、を有するヘッド本体と、
蓋本体と、前記蓋本体の周縁から外側へ曲がって、外側から前記傾斜部の先端に掛けられた高低差がある階段状になるように形成されている階段部と、前記階段部から前記本体部へ延伸しながら、内表面が前記傾斜面に貼り合わせられている接合部と、を有する上、前記開口を覆うように前記傾斜面に固定されている複合材料製のクラウンと、を含み、
前記接合部は、前記蓋本体の外表面より外側に位置していて、前記本体部の外表面と同一の面に揃うように切削された削り面を有することを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
前記クラウンの厚さは、0.4mm~0.8mmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
前記クラウンの前記削り面の幅は、3.0mm~20.0mmの範囲にあることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
前記クラウンの前記削り面は、前記蓋本体の外表面と連接する曲面になっていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
前記クラウンの前記削り面は、輪になるような環状面であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
前記クラウンを構成した複合材料は、炭素繊維強化プラスチックまたは熱可塑性炭素繊維強化プラスチックであることを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のゴルフクラブヘッド。