(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090628
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】パワーデバイスにおける高調波制御のためのキャパシタネットワーク
(51)【国際特許分類】
H03H 7/38 20060101AFI20220610BHJP
H03F 1/02 20060101ALI20220610BHJP
H01G 4/33 20060101ALI20220610BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
H03H7/38 Z
H03F1/02 188
H01G4/33 102
H01G4/30 541
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021195898
(22)【出願日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】17/113,666
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】516132747
【氏名又は名称】メイコム テクノロジー ソリューションズ ホールディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】プリティ キリット パテル
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
5J500
【Fターム(参考)】
5E001AB06
5E082EE05
5E082FG03
5J500AA01
5J500AA21
5J500AA41
5J500AC33
5J500AC36
5J500AC75
5J500AH10
5J500AH12
5J500AH24
5J500AH31
5J500AH33
5J500AK29
5J500AM19
5J500AQ04
5J500AS14
5J500AT01
5J500LV08
(57)【要約】
【課題】高調波制御及びその他の目的のための新たなタイプ、構造及び構成のキャパシタネットワークを提示する。
【解決手段】集積デバイスが、キャパシタネットワーク及び1又は2以上のパワーデバイスを含む。キャパシタネットワークは、ボンドパッドと、金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタとを含む。キャパシタは、第1の金属層と、第2の金属層と、第1及び第2の金属層間の絶縁層と、1又は2以上の基板貫通ビアとを含む。第1の金属層はボンドパッドに結合され、第2の金属層は、ビアによって基板の底部側の接地面に結合される。キャパシタネットワーク内のボンドパッドの周囲には、適合された静電容量のために複数のキャパシタを配置することができる。集積デバイス内のマッチングネットワークが、キャパシタネットワークを組み込んで損失を抑え、より良い高調波処理を提供し、パワーデバイスのより良い位相整列を達成することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成されたキャパシタネットワークであって、
ボンドパッドと、
第1の金属層と、第2の金属層と、前記第1の金属層と前記第2の金属層との間の絶縁層とを含む金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタと、
基板貫通ビアと、
を備え、
前記第1の金属層は、前記ボンドパッドに電気的に結合され、
前記第2の金属層は、前記基板貫通ビアによって前記基板の底部側の接地面に電気的に結合される、
ことを特徴とするキャパシタネットワーク。
【請求項2】
前記キャパシタネットワークは複数の基板貫通ビアを含み、
前記MIMキャパシタの前記第2の金属層は、前記複数の基板貫通ビアによって前記接地面に電気的に結合される、
請求項1に記載のキャパシタネットワーク。
【請求項3】
前記キャパシタネットワークは、前記ボンドパッドに電気的に結合された複数のMIMキャパシタを含む、
請求項1に記載のキャパシタネットワーク。
【請求項4】
前記複数のMIMキャパシタの各々は、複数の基板貫通ビアによって前記接地面に電気的に結合される、
請求項3に記載のキャパシタネットワーク。
【請求項5】
前記複数のMIMキャパシタは、前記ボンドパッドの1つの側面に沿って配置される、
請求項3に記載のキャパシタネットワーク。
【請求項6】
前記複数のMIMキャパシタは、前記ボンドパッドの複数の異なる側面に沿って配置される、
請求項3に記載のキャパシタネットワーク。
【請求項7】
前記キャパシタネットワークは、
複数のボンドパッドと、
前記複数のボンドパッドに電気的に結合された複数のMIMキャパシタと、
を含む、請求項1に記載のキャパシタネットワーク。
【請求項8】
前記複数のMIMキャパシタの各々は、複数の基板貫通ビアによって前記接地面に電気的に結合される、
請求項7に記載のキャパシタネットワーク。
【請求項9】
集積デバイスであって、
第1の基板上に形成されたパワートランジスタと、
第2の基板上に形成されたキャパシタネットワークと、
を備え、前記キャパシタネットワークは、
ボンドパッドと、
第1の金属層と、第2の金属層と、前記第1の金属層と前記第2の金属層との間の絶縁層とを含む金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタと、
前記第2の金属層を前記第2の基板の底部側の接地面に電気的に結合する基板貫通ビアと、
前記パワートランジスタと前記キャパシタネットワークの前記ボンドパッドとの間に電気的に結合された少なくとも1つのボンドワイヤと、
を含む、
ことを特徴とする集積デバイス。
【請求項10】
前記キャパシタネットワークは複数の基板貫通ビアを含み、
前記MIMキャパシタの前記第2の金属層は、前記複数の基板貫通ビアによって前記接地面に電気的に結合される、
請求項9に記載の集積デバイス。
【請求項11】
前記キャパシタネットワークは、前記ボンドパッドに電気的に結合された複数のMIMキャパシタを含む、
請求項9に記載の集積デバイス。
【請求項12】
前記複数のMIMキャパシタの各々は、複数の基板貫通ビアによって前記接地面に電気的に結合される、
請求項11に記載の集積デバイス。
【請求項13】
前記複数のMIMキャパシタは、前記ボンドパッドの1つの側面に沿って配置される、
請求項11に記載の集積デバイス。
【請求項14】
前記複数のMIMキャパシタは、前記ボンドパッドの複数の異なる側面に沿って配置される、
請求項11に記載の集積デバイス。
【請求項15】
前記キャパシタネットワークは、
複数のボンドパッドと、
複数のMIMキャパシタと、
を含み、前記複数のMIMキャパシタの各MIMキャパシタは、前記複数のボンドパッドのうちの異なるボンドパッドにそれぞれ結合される、
請求項9に記載の集積デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つのボンドワイヤは複数のボンドワイヤを含み、
前記複数のボンドパッドの各ボンドパッドは、前記複数のボンドワイヤのうちの少なくとも1つのボンドワイヤによって前記パワートランジスタに電気的に結合される、
請求項15に記載の集積デバイス。
【請求項17】
前記複数のMIMキャパシタの各MIMキャパシタは同じ静電容量を有する、
請求項15に記載の集積デバイス。
【請求項18】
前記複数のMIMキャパシタの各々は、複数の基板貫通ビアによって前記接地面に電気的に結合される、
請求項15に記載の集積デバイス。
【請求項19】
前記第1の基板及び前記第2の基板は、共に前記集積デバイスの単一のデバイスパッケージ内に配置される、
請求項9に記載の集積デバイス。
【請求項20】
第3の基板上に形成された第2のキャパシタネットワークをさらに備え、前記第1の基板、前記第2の基板及び前記第3の基板は、共に前記集積デバイスの前記単一のデバイスパッケージ内に配置される、
請求項19に記載の集積デバイス。
【請求項21】
前記パワートランジスタと前記第2のキャパシタネットワークとの間に電気的に結合された少なくとも1つのボンドワイヤをさらに備える、
請求項20に記載の集積デバイス。
【請求項22】
前記第2のキャパシタネットワークは、少なくとも1つの金属酸化膜半導体(MOS)キャパシタを含む、
請求項20に記載の集積デバイス。
【請求項23】
前記第2の基板上の前記MIMキャパシタは、前記パワートランジスタの第二高調波処理を提供し、
前記第3の基板上に形成された前記第2のキャパシタネットワークは第2のMIMキャパシタを含み、
前記第3の基板上の前記第2のMIMキャパシタは、前記パワートランジスタの基本波処理を提供する、
請求項20に記載の集積デバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体材料から形成された高速電力増幅器には、無線周波数(RF)通信、レーダー、RFエネルギー、電力変換及びマイクロ波用途などの様々な有用な用途がある。WiMax、4G及び5Gなどの現在の及び提案する通信標準に基づくモバイル通信をサポートする際には、半導体トランジスタで構成された高速増幅器に高い性能要求が課されることがある。増幅器は、とりわけ出力電力、信号線形性、信号利得、帯域幅及び効率に関連する性能仕様を満たすことが必要になり得る。
【0002】
効率的、高速、広帯域、高出力な増幅器は、並列回路経路において動作する複数のトランジスタで構成することができ、限定するわけではないが窒化ガリウム(GaN)材料などの半導体材料から形成することができる。近年、GaN材料は、材料の電子的及び電気光学的特性が望ましいという理由でかなりの注目を集めている。GaN材料は、その広いバンドギャップに起因して、高速、高電圧及び高出力用途に有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
高調波制御及びその他の目的のためのキャパシタネットワークの構造及び構成を提示する。1つの例では、基板上に形成されたキャパシタネットワークが、ボンドパッドと、金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタと、基板貫通ビア(through-substate via)とを含む。MIMキャパシタは、第1の金属層と、第2の金属層と、第1の金属層と第2の金属層との間の絶縁層とを含む。第1の金属層は、ボンドパッドに電気的に結合され、第2の金属層は、基板貫通ビアによって基板の底部側の接地面(ground plane)に電気的に結合される。別の例では、キャパシタネットワークが複数の基板貫通ビアを含み、MIMキャパシタの第2の金属層が、基板貫通ビアによって接地面に電気的に結合される。
【0004】
他の例では、キャパシタネットワークが、ボンドパッドに電気的に結合された複数のMIMキャパシタを含み、MIMキャパシタの各々が、複数の基板貫通ビアによって接地面に電気的に結合される。1つの事例では、複数のMIMキャパシタをボンドパッドの1つの側面に沿って配置することができる。他の事例では、MIMキャパシタをボンドパッドの2又は3以上の側面に沿って配置することができる。さらに他の例では、キャパシタネットワークが、複数のボンドパッドと、ボンドパッドにそれぞれ電気的に結合された複数のMIMキャパシタとを含む。MIMキャパシタの各々は、複数の基板貫通ビアによって接地面に電気的に結合することができる。
【0005】
別の実施形態では、集積デバイスが、第1の基板上に形成されたパワートランジスタと、第2の基板上に形成されたキャパシタネットワークとを含む。第1の基板及び第2の基板は、共に集積デバイスの単一のデバイスパッケージ内に配置することができる。キャパシタネットワークは、ボンドパッドと、金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタと、基板貫通ビアとを含む。MIMキャパシタは、第1の金属層と、第2の金属層と、第1の金属層と第2の金属層との間の絶縁層とを含む。第1の金属層は、ボンドパッドに電気的に結合され、第2の金属層は、基板貫通ビアによって基板の底部側の接地面に電気的に結合される。
【0006】
他の例では、集積デバイスが、第3の基板上に形成された第2のキャパシタネットワークを含むこともできる。第1の基板、第2の基板及び第3の基板は、共に集積デバイスの単一のデバイスパッケージ内に配置することができる。集積デバイスは、パワートランジスタとキャパシタネットワークとの間に電気的に結合された少なくとも1つのボンドワイヤを含むことができる。集積デバイスは、パワートランジスタと第2のキャパシタネットワークとの間に電気的に結合された少なくとも1つの他のボンドワイヤを含むこともできる。実施形態の1つの態様では、キャパシタネットワークをMIMキャパシタネットワークとして具体化することができ、第2のキャパシタネットワークを金属酸化膜半導体(MOS)キャパシタネットワークとして具体化することができる。
【0007】
本開示の態様は、以下の図面を参照することによってより良く理解することができる。なお、図面の要素は必ずしも縮尺通りではなく、むしろ実施形態の原理を明確に示すことに重点を置いている。図面では、複数のビュー全体を通じて、必ずしも同一ではないが同様の又は対応する要素を同様の参照数字で示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書で説明する様々な実施形態による増幅器例を示す図である。
【
図2】本明細書で説明する様々な実施形態による増幅器のコンポーネントのパッケージレイアウト例を示す図である。
【
図3】本明細書で説明する様々な実施形態によるキャパシタネットワーク例を示す図である。
【
図4A】本明細書で説明する様々な実施形態による、
図3に示すキャパシタネットワークで使用されるキャパシタ構成例を示す図である。
【
図4B】本明細書で説明する様々な実施形態による、
図4Aで識別される断面
図A-Aを示す図である。
【
図5】本明細書で説明する様々な実施形態による別のキャパシタネットワーク例を示す図である。
【
図6】本明細書で説明する概念によるキャパシタネットワークを含む増幅器のパッケージレイアウト例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
例えば、モバイル通信及び無線インターネットアクセスをサポートする用途では、半導体トランジスタで構成された高速RF増幅器に高い性能要求が課されることがある。増幅器は、とりわけ出力電力、信号線形性、信号利得、帯域幅及び効率に関連する性能仕様を満たすことが必要になり得る。増幅器の様々な段では、複数のトランジスタを使用することができる。単一の増幅器内の個々のトランジスタは、各設計段階の要求が異なることがあるので、互いに比べて多くの特性が異なることができる。
【0010】
多くの異なる増幅器トポロジーが知られているが、通信のために信号を増幅する1つの手法はドハティ増幅器を使用することである。標準的なドハティ電力増幅器は、メイン又はキャリアトランジスタ及び補助又はピーキングトランジスタという2つのトランジスタを利用する。通常、メイントランジスタは、幅広い入力電力範囲にわたって線形的かつ効率的に動作して比較的大量の電力を消費するように設計される。補助トランジスタは、相対的に高い入力電力で動作して比較的少量の電力を消費するように設計される。
【0011】
本明細書で説明する実施形態の態様は、数ある利点の中でもとりわけ、電力増幅器内のパワートランジスタの入力における入力ネットワークを使用したより良い第二高調波処理(second-harmonic termination)のために使用することができる。これらの実施形態は、電力増幅器内のトランジスタ及び関連する集積デバイスのピークドレーン効率及びピーク出力電力を高めることができる。従って、電力増幅器における高調波制御及びその他の目的のための新たなタイプ、構造及び構成のキャパシタネットワークについて説明する。
【0012】
1つの例では、集積デバイスが、キャパシタネットワークと、1又は2以上のパワーデバイスとを含む。キャパシタネットワークは、ボンドパッドと、1又は2以上の金属-絶縁体-金属(MIM)キャパシタとを含む。キャパシタは、第1の金属層と、第2の金属層と、第1及び第2の金属層間の絶縁層と、1又は2以上の基板貫通ビアとを含む。第1の金属層はボンドパッドに結合され、第2の金属層は、ビアによって基板の底部側の接地面に結合される。キャパシタネットワーク内のボンドパッドの周囲には、比較的高い品質(「Q」)係数を有する適合した静電容量のために複数のキャパシタを配置することができる。集積デバイス内のマッチングネットワークが、キャパシタネットワークを組み込んで損失を抑え、より良い高調波処理を提供し、パワーデバイスのより良い位相整列を達成することができる。
【0013】
図面を参照すると、
図1に、本明細書で説明する様々な実施形態による増幅器例10を示す。増幅器10は、後述するようなドハティ増幅器を含む。増幅器10は、本明細書で説明するキャパシタネットワーク及び高調波制御概念の使用から恩恵を受けることができる1つのタイプの集積回路の代表例として提供される。他のタイプの増幅器及び他の集積回路がこれらの概念に依拠してこれらを組み込むこともでき、本概念は、いずれかの特定のタイプの増幅器、集積回路又は集積デバイスパッケージとの使用に限定されるものではない。
【0014】
増幅器10は、並列回路分岐上に配置されたメイン増幅器16及び補助又はピーキング増幅器20にそれぞれ結合された2つの出力に受信RF入力信号を分割する90度パワースプリッタ11を含む。また、パワースプリッタ11は、ピーキング増幅器20に供給される信号の位相をメイン増幅器13に供給される信号の位相に対して(例えば、約90度だけ)遅延させる。
【0015】
増幅器10は、メイン増幅器16及びピーキング増幅器20の手前にそれぞれ結合されたインピーダンス整合コンポーネント12及び14も含む。インピーダンス整合コンポーネントは、パワースプリッタ11の出力インピーダンスをメイン増幅器16及びピーキング増幅器20の入力インピーダンスに整合させて、信号反射及びその他の望ましくない効果を低減する。
【0016】
メイン増幅器16及びピーキング増幅器20の出力には、メイン増幅器16、ピーキング増幅器20及び結合ノード27間のインピーダンスを整合させるさらなるインピーダンス整合コンポーネント22及び24が結合される。インピーダンスインバータ26は、メイン増幅器16及びピーキング増幅器20からの信号が結合ノード27において実質的に同相になるように、メイン増幅器16から出力された信号の位相を回転させる。
図1に示すように、結合ノード27と増幅器10の出力との間には、増幅器10の出力インピーダンスを負荷(図示せず)のインピーダンスに整合させる出力インピーダンス整合コンポーネント28を結合することもできる。
【0017】
通常、ピーキング増幅器20は、メイン増幅器16が単独で対処できる低電力レベルではオフになるように設計される。高電力レベルでは、メイン増幅器16が飽和してメイン増幅器16の利得が圧縮されることにより、増幅器10の線形性が失われる恐れがある。メイン増幅器16の圧縮点は、その設計に応じて異なることができる。ピーキング増幅器20は、オンになると、メイン増幅器16に効果的に負荷インピーダンスを加える(メイン増幅器16の利得を低減する)だけでなく、増幅の線形性を高電力レベルに引き伸ばすのにも役立つ。
【0018】
増幅器10の設計には多くの異なる懸案事項がある。増幅器10は、数ある設計検討の中でも特に、低損失、位相整列、並びに高調波処理及び制御のために設計されるべきである。インピーダンス整合コンポーネント12及び14は、本実施形態による増幅器10のこれらの動作態様を改善するように適合することができる。インピーダンス整合コンポーネント12及び14は、新たなタイプ、構造及び構成のキャパシタ及びキャパシタネットワークを含むことができる。本明細書で説明するキャパシタ及びキャパシタネットワークの改善は、数ある利点の中でもとりわけ、パワートランジスタの入力における入力ネットワークを使用したより良い第二高調波処理のために使用することができる。これらの改善は、静電容量の大きな設計を使用したより良い第一高調波処理のために拡張することもできる。これらの実施形態は、電力増幅器内のトランジスタ及び関連する集積デバイスのピークドレーン効率及びピーク出力電力を高めることもできる。
【0019】
図2に、本明細書で説明する様々な実施形態による増幅器のコンポーネントのパッケージレイアウト例80を示す。レイアウト80は、デュアルフラットノーリード(dual-flat no-leads:DFN)パッケージのためのものである。このパッケージは、プリント基板(PCB)を使用して実装された回路などの大規模回路への物理的及び電気的接続のために設計されたものである。しかしながら、レイアウト80は、クアッドフラットノーリード(quad-flat no-leads:QFN)パッケージなどの他のパッケージ、又はリードの有無を問わずその他の好適なパッケージでの使用に拡張することもできる。本概念は、他のプラスチックオーバーモールドパッケージ又はエンクロージャ、セラミックエアキャビティパッケージ、及びプラスチックエアキャビティパッケージを使用して実装することもできるが、いずれかの特定のタイプのパッケージとの使用に限定されるものではない。
【0020】
パッケージレイアウト80は、本明細書で説明するキャパシタネットワークに依拠することができる集積デバイスの例として提供される。レイアウト80には、
図1に示す増幅器10の複数のコンポーネントが設けられる。しかしながら、
図2には増幅器10の全てのコンポーネント又は回路要素を示しているわけではない。増幅器10のコンポーネントの中には、パッケージレイアウト80の外部に実装できるものも、或いは単純化のために
図2のビューから省略しているものもある。
【0021】
パッケージレイアウト80は、カプセル化されていない状態で示す。パッケージレイアウト80は、とりわけ熱パッド50及び複数のリードフレームパッド60~63を含む。図示の例では、インピーダンス整合コンポーネント12及び14、メイン増幅器16、並びにピーキング増幅器20が熱パッド50に取り付けられて電気的に接続される。
【0022】
1つの例では、メイン増幅器16をマルチフィンガープレーナ型電界効果トランジスタ(multi-finger planar field-effect transistor:FET)として具体化することができ、ピーキング増幅器20もマルチフィンガープレーナ型FETとして具体化することができる。マルチフィンガープレーナ型FETのレイアウトは、櫛形の(interdigitated)ゲート、ドレイン及びソース端子又は電極から成る。以下でさらに詳細に説明するように、メイン増幅器16及びピーキング増幅器20は、同じタイプ又は異なるタイプの基板(例えば、半導体材料ウエハ)上に形成することができる。増幅器16及び20のサイズ及び電力処理能力は、互いに比べて及び使用用途によって異なることができる。
【0023】
1つの例では、増幅器16及び20をGaNオンシリコン(Si)パワートランジスタとして形成することができる。増幅器16及び20は、GaNオンシリコンカーバイド(GaN-on-SiC)トランジスタ又は他の好適なタイプの基板上に形成されたGaNトランジスタとして形成することもできる。他の例では、増幅器16及び20を、他のIII族窒化物又はIII~V族直接遷移能動半導体デバイス(group III-V direct bandgap active semiconductor devices)(例えば、GaAs、InP、InGaP、AlGaAsなどのデバイス)から形成することができる。しかしながら、本概念はIII~V族半導体デバイスに限定されるわけではない。GaN材料から形成されたパワートランジスタとの使用に有益なものとして本概念を説明しているが、他の半導体材料から形成されたデバイス、及び限定するわけではないがSi LDMOSを含む他のタイプの回路のためのプロセスも本概念に依拠することができる。
【0024】
メイン増幅器16は、ドレインコンタクト40、ゲートコンタクト41、及びソースコンタクトを含む。メイン増幅器16のソースコンタクトは、メイン増幅器16の半導体ダイの底部側に設けられており、
図2では見えない。同様に、ピーキング増幅器20は、ドレインコンタクト44、ゲートコンタクト45、及びソースコンタクトを含む。ピーキング増幅器20のソースコンタクトは、ピーキング増幅器20の半導体ダイの底部側に設けられており、
図2では見えない。メイン増幅器16及びピーキング増幅器20の底部側ソースコンタクトは、はんだ、導電性熱エポキシ又は別の好適な手段を使用して熱パッド50に電気的に接続することができる。通常、熱パッド50は、回路接地に電気的に結合される。
【0025】
インピーダンス整合コンポーネント12は、キャパシタネットワーク30及びキャパシタネットワーク32を含む。インピーダンス整合コンポーネント14は、キャパシタネットワーク34及びキャパシタネットワーク36を含む。キャパシタネットワーク30は、基板上に形成された1又は2以上の金属酸化膜半導体(MOS)キャパシタとして具体化することができる。MOSキャパシタは、基板の上部側の第1のコンタクトであるボンドパッド42と、基板の底部側の第2のコンタクトとの間に電気的に結合される。キャパシタネットワーク30の底部側コンタクトは、熱パッド50に電気的に接続される。従って、キャパシタネットワーク30は、シャント接続型入力キャパシタネットワークとすることができる。
【0026】
キャパシタネットワーク32も、キャパシタネットワーク30と同様に、基板上に形成されたMOSキャパシタとして具体化することができる。MOSキャパシタは、基板の上部側の第1のコンタクトであるボンドパッド43と、基板の底部側の第2のコンタクトとの間に電気的に結合される。キャパシタネットワーク32の底部側コンタクトは、熱パッド50に電気的に接続される。キャパシタネットワーク34及び36もキャパシタネットワーク30及び32に類似するが、キャパシタネットワーク30、32、34及び36は、全て互いに比べて異なることができる。例えば、キャパシタネットワーク30、32、34及び36は、互いに比べてサイズ、静電容量、内部抵抗、Q係数及びその他の係数が異なることができる。
【0027】
パッケージレイアウト80では、メイン増幅器16のドレインコンタクト40が複数のボンドワイヤによってリードフレームパッド60に電気的に結合される。メイン増幅器16のゲートコンタクト41は、複数のボンドワイヤによってキャパシタネットワーク30のボンドパッド42に電気的に結合される。メイン増幅器16のゲートコンタクト41は、他の複数のボンドワイヤによってキャパシタネットワーク32のボンドパッド43にも電気的に結合される。キャパシタネットワーク32のボンドパッド43は、複数のボンドワイヤによってリードフレームパッド61にも電気的に結合される。
図2にはこれらのボンドワイヤを代表例として示しているので、ボンドワイヤの数及びピッチは図示のものと比べて異なる場合もある。
【0028】
ピーキング増幅器20のドレインコンタクト44は、複数のボンドワイヤによってリードフレームパッド62に電気的に結合される。ピーキング増幅器20のゲートコンタクト45は、複数のボンドワイヤによってキャパシタネットワーク34のボンドパッド46に電気的に結合される。ピーキング増幅器20のゲートコンタクト45は、他の複数のボンドワイヤによってキャパシタネットワーク36のボンドパッド47にも電気的に結合される。キャパシタネットワーク36のボンドパッド47は、複数のボンドワイヤによってリードフレームパッド63にも電気的に結合される。
図2にはこれらのボンドワイヤを代表例として示しているので、ボンドワイヤの数及びピッチは図示のものと比べて異なる場合もある。
【0029】
従って、キャパシタネットワーク30及び32は、(例えば、ボンドワイヤからの)他の内因性寄生インダクタンス(intrinsic parasitic inductances)及び静電容量と共に、メイン増幅器16の入力において入力ネットワークを提供する。キャパシタネットワーク34及び36は、ピーキング増幅器20の入力において入力ネットワークを提供する。キャパシタネットワーク30及び34には、とりわけメイン増幅器16及びピーキング増幅器20の第二高調波処理及び制御のためにそれぞれ依拠することができる。一例として、増幅器10は、2.5GHz、3GHz又は4GHzなどの約2GHz~6GHzのキャリア周波数で動作するように設計することができるが、他の周波数及び周波数範囲で使用することもできる。第二高調波は、動作周波数に応じて4~9GHz又はそれよりも高い範囲とすることができる。増幅器16及び20の入力における改善された第二高調波処理は、数ある利点の中でもとりわけ、増幅器16及び20のピークドレーン効率を高めるとともに、増幅器16及び20のピーク出力電力を潜在的に高めることができる。
【0030】
しかしながら、MOSキャパシタネットワーク30及び34は、メイン増幅器16及びピーキング増幅器20の第二高調波処理のための制限をいくつか有する。例えば、現在の処理技術を使用してMOSキャパシタの内部抵抗及びQ係数を一定程度よりも改善することは困難である。キャパシタネットワーク30及び34は、位相整列調整及び関連する改善のための能力を制限することもある。これらの係数は、メイン増幅器16及びピーキング増幅器20の第二高調波制御を改善する能力を制限する。以下では、数ある目的の中でもとりわけキャパシタネットワーク30及び34の制限に対処するために、新たなタイプ、構造及び構成のキャパシタネットワークについて説明する。これらの新たなキャパシタネットワークには、増幅器10の改善された第二高調波制御及びその他の目的で依拠することができる。
図2には新たなキャパシタネットワークを示しておらず、新たなキャパシタネットワークの例については以下で
図6を参照しながら説明する。
【0031】
図3に、本明細書で説明する様々な実施形態によるMIMキャパシタのキャパシタネットワーク100を示す。一例として、キャパシタネットワーク100、並びにその変形例及び拡張例は、
図2のパッケージレイアウト80のキャパシタネットワーク30、32、34及び36のうちの1つ又は2つ以上、並びに
図1の増幅器10の代わりに使用することができるが、キャパシタネットワーク100は他の設計で使用することもできる。キャパシタネットワーク100は一例として示すものであり、キャパシタネットワーク100の複数の異なる変形例については以下でさらに詳細に説明する。
【0032】
図3に示すように、キャパシタネットワーク100は基板110上に形成される。キャパシタネットワーク100は、キャパシタ構成120、140及び160を含む。キャパシタ構成120、140及び160は、物理的要素(例えば、熱及び湿度)に対する動作及びロバスト性のために(例えば、20V又はそれを上回る)比較的高い電圧の半導体製造工程を使用して形成することができるが、いずれかの好適な半導体製造工程に依拠することができる。
【0033】
キャパシタ構成120はMIMキャパシタ121を含む。同様に、キャパシタ構成140はMIMキャパシタ141を含み、キャパシタ構成160はMIMキャパシタ161を含む。MIMキャパシタ121の上部導電板又は金属層は、第1の金属層を使用して基板110の上部側のボンドパッド150に電気的に結合される。MIMキャパシタ121の底部導電板又は金属層は、とりわけ基板貫通ビア122によって基板110の底部側のコンタクトに電気的に結合される。MIMキャパシタ121は、上部導電板と底部導電板との間に好適な誘電材料の層などの絶縁層も含む。キャパシタ構成140及び160はキャパシタ構成120に類似する。
【0034】
MIMキャパシタ121、141及び161の各々は、特定量の静電容量のために設計することができる。一例として、MIMキャパシタ121、141及び161は、MIMキャパシタ121、141及び161が互いに並列に結合された時にキャパシタネットワーク100の総静電容量が約1.2pF~3.6pFであるように、それぞれ約0.4pF~1.2pFの静電容量を有するように設計することができる。しかしながら、他の静電容量も本実施形態の範囲内であり、MIMキャパシタ121、141及び161は、約0.1pF~2.0pFの範囲の、いずれかの1/10ピコファラド(又はそれ未満)までの比較的正確な静電容量に設計することができる。しかしながら、MIMキャパシタ121、141及び161は、2.0pF、3.0pF、4.0pF又はそれを超えるさらに大きな静電容量で設計することもできる。MIMキャパシタ121、141及び161の各々の静電容量は、導電板のサイズに基づいて設計によって制御又は決定することができる。また、MIMキャパシタ121、141及び161のうちの1つ又は2つ以上をキャパシタネットワーク100から省くこともできる。他の変形例については以下で説明する。
【0035】
MIMキャパシタ121、141及び161を含むキャパシタネットワーク100は、MOSキャパシタネットワークに比べて多くの利点を提供する。例えば、MIMキャパシタ121、141及び161の寸法は、より良い全体的な静電容量精度のために個別に適合させることができる。MIMキャパシタ121、141及び161の各々の周囲の基板貫通ビアの構成は、全体的な内因性抵抗を低下させる。MIMキャパシタ121、141及び161の各々のQ係数は、キャパシタ内に蓄積されたエネルギーと、キャパシタ内の等価直列抵抗における熱損失によって消散するエネルギーとの比率に基づく。従って、キャパシタネットワーク100のQ係数は、MIMキャパシタ121、141及び161の改善された内因性抵抗によってMOSキャパシタネットワークに比べて改善される。また、ボンドパッド150は、ワイヤボンディングのための比較的広い領域を提供し、ボンドパッド150に沿ったワイヤボンドの間隔は、キャパシタネットワーク100を使用した位相整列を容易にすることができる。ボンドパッド150に沿ったMIMキャパシタ121、141及び161の間隔も、キャパシタネットワーク100を使用した位相整列を容易にすることができる。これらの及びその他の改善は、キャパシタネットワーク100をパワートランジスタ及び増幅器の入力における入力ネットワークの一部として第二高調波処理により良く適合させる。これらの改善は、キャパシタネットワーク100を第一高調波処理により良く適合させることもできる。キャパシタネットワーク100及びその変形例のさらなる詳細については以下で説明する。
【0036】
図4Aに、キャパシタ構成120をさらに詳細に示し、
図4Bに、
図4Aで識別される断面
図A-Aを示す。
図4A及び
図4Bは必ずしも縮尺通りではなく、実際上及び実施形態間では、いくつかの層及びコンポーネントの相対的寸法が異なることもある。また、これらの図は本概念を説明するための一例として示すものであるため、キャパシタ構成120は、単純化のために
図4A及び
図4Bのビューから省いている他の層及び特徴を含むこともできる。
【0037】
図4A及び
図4B間を参照すると、キャパシタ構成120は、基板110の上面130に形成されたMIMキャパシタ121を含む。MIMキャパシタ121は、第1の金属層170と、第2の金属層171と、第1の金属層170と第2の金属層171との間の絶縁層172とを含む。第1の金属層170及び第2の金属層171は、MIMキャパシタ121の導電板である。金属層170及び171は、使用される集積半導体加工技術に応じていずれかの好適な1又は複数の金属から形成することができる。一例として、金属層170及び171には、アルミニウム、銅、金、ニッケル、他の金属、又はこれらの組み合わせを使用することができる。必要であれば、アルミニウム、銅、金、ニッケル、又はその他の金属を堆積させる前に、例えばチタン又はクロムの接着層を堆積させることができる。金属層170及び171は、いずれかの好適な加工技術及びステップを使用して形成することもできる。絶縁層172は、酸化物、酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、又はその他の材料などのいずれかの好適な(単複の)誘電材料として具体化することができる。
【0038】
MIMキャパシタ121のサイズは、特定の静電容量を達成するために設計によって異なることができる。例えば、MIMキャパシタ121の長さ「L」及び幅「W」の一方又は両方は、
図4Aに示すものと比べて異なることができる。MIMキャパシタ121は、形状が図示の矩形と比べて異なることもできる。MIMキャパシタ121の静電容量を変化させる別の方法として、絶縁層172の厚みを異ならせることもできる。
【0039】
MIMキャパシタ121の第2の底部金属層171は、底部金属層171に延びる金属パッド125~127によって基板貫通ビア122~124に電気的に結合される。金属パッド125~127は、互いに物理的に分離しているが、単一の加工ステップ中に同じ金属材料から形成することができる。いくつかの事例では、第2の金属層171を金属パッド125~127と同じ金属材料及び加工ステップで形成することもできる。他の事例では、金属パッド125~127及び第2の金属層171を、互いに異なる金属を使用して異なる加工ステップで形成することができる。いずれにせよ、金属パッド125~127及び第2の金属層171は互いに電気的に結合される。
【0040】
MIMキャパシタ121の第1の上部金属層170は、金属トレース151によってボンドパッド150に電気的に結合される。上部金属層170及び金属トレース151は、同じ加工ステップ中に同じ金属材料から形成することができる。他の事例では、上部金属層170及び金属トレース151を、異なる金属を使用して異なる加工ステップで形成することができる。ボンドパッド150は、さらなる厚みのために2つの金属層から形成することができる。例えば、ボンドパッド150の層は、MIMキャパシタ121の金属層170及び171が形成される時に形成することができる。他の事例では、ボンドパッド150を1回の金属加工ステップによって形成することができる。金属パッド125~127、第1の金属層170、第2の金属層171及びボンドパッド150の形状、寸法及び相対的位置は、
図4A及び
図4Bに示すものと比べて異なることもできる。
【0041】
図4Bを参照すると、MIMキャパシタ121の第1の金属層170は、金属トレース151によってボンドパッド150に電気的に結合される。第2の金属層171は、基板110の底部側に形成された接地面111に基板貫通ビア123によって電気的に結合される。接地面111は、例えばパッケージレイアウト80内の熱パッド50(
図2を参照)に電気的に結合することができる。従って、MIMキャパシタ121には、一例として入力ネットワークにおけるシャント接続型キャパシタとして依拠することができるが、他の接続も本実施形態の範囲内である。
【0042】
図4Bには示していないが、基板貫通ビア122及び124は、基板110を通じてMIMキャパシタ121の第2の金属層171も接地面111に結合する。基板貫通ビアの数は、実施形態間で異なることができる。例えば、MIMキャパシタ121の周囲にビア122~124以外のさらなるビアを実装することもできる。或いは、ビア122~124のうちの1つ又は2つ以上を省くこともできる。例えば、ビア122及び124を省いて、キャパシタ構成120がビア123のみを含むようにすることもできる。別の事例では、ビア123を省いて、キャパシタ構成120がビア122及び124を含むようにすることもできる。他の変形例も本実施形態の範囲内である。本明細書で説明するMIMキャパシタの等価直列抵抗及びQ係数は、基板貫通ビアの数によって変化することができる。従って、いくつかの事例では、少なくとも2つ又は3つの基板貫通ビアを使用してMIMキャパシタのQ係数を高めることが好ましいと考えられる。
【0043】
再び
図3を参照すると、キャパシタ構成140及び160は、
図4A及び
図4Bに示すキャパシタ構成120に類似することができる。他の事例では、キャパシタ構成120、140及び160が互いに比べて異なることができる。例えば、MIMキャパシタ121、141及び161のうちの1つ又は2つ以上は、互いに比べてサイズが異なることができる。別の例では、キャパシタ構成120、140及び160が、異なる数の基板貫通ビアを含むことができる。さらに、キャパシタ構成120、140及び160のうちの1つ又は2つ以上をキャパシタネットワーク100から省くこともできる。例えば、キャパシタ構成120及び160を残してキャパシタ構成140を省くことができるが、他の組み合わせも本実施形態の範囲内である。また、図示のものと比べてボンドパッド150の寸法が異なることも、ボンドパッド150の周囲のキャパシタ構成120、140及び160の相対的位置が異なることもできる。いくつかの事例では、キャパシタ構成をボンドパッド150の複数の側面又はエッジの周囲に配置することができる。
【0044】
図5に、本明細書で説明する様々な実施形態による別のキャパシタネットワーク例200を示す。このキャパシタネットワークは、キャパシタ構成220、240及び260を含む。キャパシタ構成220、240及び260は、
図3に示すキャパシタ構成120、140及び160に類似するが、これらは共通のボンドパッドに電気的に結合されていない。代わりに、キャパシタ構成220、240及び260は、それぞれのボンドパッド251、252及び253を含む。ボンドパッド251、252及び253は、互いに電気的に絶縁される。キャパシタネットワーク200は、
図3に示すキャパシタネットワーク100に比べて高い設計柔軟性を提供することができる。ボンドパッド251、252及び253に取り付けることができるボンドワイヤの数は設計ルールによって制限されることあり、従って、場合によってはより大型の共有ボンドパッドが好ましいと考えられる。
【0045】
図6に、本明細書で説明する概念によるパッケージレイアウト例300を示す。パッケージレイアウト300は、数あるコンポーネントの中でもとりわけ、メイン増幅器20、キャパシタネットワーク36、及びキャパシタネットワーク100を含む。他のコンポーネントは単純化のために省略している。パッケージレイアウト300は、
図2に示すパッケージレイアウト80に類似するが、キャパシタネットワーク34の代わりにキャパシタネットワーク100(
図2を参照)を含む。ピーキング増幅器20のゲートコンタクト45は、複数のボンドワイヤによってキャパシタネットワーク100のボンドパッド150に電気的に結合される。ボンドパッド150は比較的長いので、異なる数及び位置のボンドワイヤを収容するように設計される。他の実施形態では、ボンドワイヤの数、ピッチ及び配置が
図6に示すものと比べて異なることができる。
【0046】
キャパシタネットワーク100は、ピーキング増幅器20の入力において入力ネットワークを提供する。1つの例では、ピーキング増幅器20の第二高調波処理及び制御のためにキャパシタネットワーク100に依拠することができる。増幅器20の入力における改善された第二高調波処理は、数ある利点の中でもとりわけ、増幅器20のピークドレーン効率を高めるとともに、ピーク出力電力を潜在的に高めることができる。キャパシタネットワーク34には、ピーキング増幅器20の第一高調波処理又は基本処理(fundamental termination)のために依拠することができる。しかしながら、他の例では、キャパシタネットワーク34及び100のそれぞれの静電容量、及びこれらをピーキング増幅器20に結合するボンドワイヤに応じて、第二高調波処理のためにキャパシタネットワーク34に依拠し、基本波処理のためにキャパシタネットワーク100に依拠することもできる。
【0047】
図6には示していないが、キャパシタネットワーク100の代わりに他のMIMキャパシタネットワークを使用することもできる。例えば、本明細書で説明する実施形態によれば、同じ又は異なる静電容量、及び同じ又は異なる数の基板貫通ビアを有する、1つ、2つ、3つ又は4つ以上の個々のMIMキャパシタを含むMIMキャパシタネットワークを使用することができる。本明細書で説明する実施形態によれば、1つ、2つ、3つ又は4つ以上の個々のボンドパッドを含むMIMキャパシタネットワークを使用することもできる。いくつかの事例では、本概念によるMIMキャパシタネットワークをキャパシタネットワーク36の代わりに使用することもできる。同様に、本概念によるMIMキャパシタネットワークをメイン増幅器16のキャパシタネットワーク30及び32の一方又は両方の代わりに使用することもできる。
【0048】
本実施形態は、高電子移動度トランジスタ(HEMT)、シュードモルフィック高電子移動度トランジスタ(pseudomorphic high-electron mobility transistors:pHEMT)及びメタモルフィック高電子移動度トランジスタ(metamorphic high-electron mobility transistors:mHEMT)を含むIII族窒化物(アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びこれらの合金(AlGaIn)べースの窒化物)、ガリウムヒ素(GaAs)、リン化インジウム(InP)、インジウムガリウムヒ化物(InGaP)、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)などのデバイスなどのIII~V族直接遷移能動半導体トランジスタデバイスと共に使用することができる。しかしながら、本概念はIII~V族半導体デバイスに限定されるものではない。GaN材料から形成されたパワートランジスタとの使用に有益なものとして本概念を説明したが、他の半導体材料から形成されたデバイス、及び限定するわけではないがSi LDMOSを含む他のタイプの回路のためのプロセスも本概念に依拠することができる。
【0049】
本明細書で説明した実施形態の中にはGaN-on-Siトランジスタに関して説明したものもあるが、本明細書で説明した実施形態は、GaN-on-SiCトランジスタ及びその他のタイプのトランジスタに適用することもできると理解されたい。いずれにせよ、本明細書で説明した技術及び最適化は、数ある可能なデバイス特性の改善の中でもとりわけ多くのコスト及びサイズの改善を提供する。本明細書で使用する「窒化ガリウム材料」又はGaN半導体材料という表現は、とりわけアルミニウムガリウム窒化物(AlxGa(1-x)N)、インジウムガリウム窒化物(InyGa(1-y)N)、アルミニウムインジウムガリウム窒化物(AlxInyGa(1-x-y)N)、リン化ガリウムヒ素窒化物(GaAsaPbN(1-a-b))、リン化アルミニウムインジウムガリウムヒ素窒化物(AlxInyGa(1-x-y)AsaPbN(1-a-b))などのガリウム窒化物及びそのいずれかの合金を意味する。通常、ヒ素及び/又はリンは、存在時には低濃度(例えば、5重量パーセント未満)で存在する。「窒化ガリウム」又はGaN半導体という用語は、ガリウム窒化物を直接意味し、その合金を含まない。
【0050】
上述した特徴、構造又は特性は、1又は2以上の実施形態においていずれかの好適な形で組み合わせることができ、様々な実施形態において説明した特徴は、可能な場合には入れ替えることができる。上記の説明では、本開示の実施形態を完全に理解できるように数多くの具体的な詳細を示した。しかしながら、当業者であれば、本開示の技術的解決策は、これらの具体的な詳細のうちの1つ又は2つ以上を伴わずに実施することもでき、或いは他の方法、コンポーネント及び材料などを採用することもできると理解するであろう。その他の事例では、本開示の態様を曖昧にしないように、周知の構造、材料又は動作については詳細に図示又は説明していない。
【0051】
いくつかのコンポーネントの相対関係を表すために、「~の上(on)」、「~の下(below)」、「上側(upper)」及び「(下側)lower」などの相対語を使用していることがあるが、これらの用語は、例えば図面に示す例の方向として便宜上使用するものにすぎない。デバイスを逆さまにした場合、上述した「上側」コンポーネントは「下側」コンポーネントになると理解されたい。ある構造が別の構造「上」に存在する場合、この構造は、別の構造上に一体的に形成され、又は別の構造上に「直接的に」配置され、或いは他の構造を通じて別の構造上に「間接的に」配置されることが可能である。
【0052】
本明細書では、1又は2以上の要素及びコンポーネントの存在を示すために「英文不定冠詞(a、an)」、「英文定冠詞(the)」及び「前記(said)」などの用語を使用する。「備える、含む、有する(comprise、include、have、contain)」という用語及びその異綴語は制約のないもの(open ended)として使用され、別途指定していない限り、列挙する要素、コンポーネントなどに加えてさらなる要素、コンポーネントなどを含むように意図される。「第1の(first)」、「第2の(second)」などの用語は、物体の数の限定ではなくラベルとして使用するものにすぎない。
【0053】
本明細書では詳細に実施形態を説明したが、これらの説明は一例である。本明細書で説明した実施形態の特徴は代表的なものであり、別の実施形態では、いくつかの特徴及び要素を追加又は省略することもできる。また、当業者であれば、以下の特許請求の範囲によって定められる本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書で説明した実施形態の態様に修正を行うことができ、その範囲は修正及び同等の構造を含むように最も広い解釈に従うべきである。
【外国語明細書】