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特開2022-90629同期変調反射デバイスを用いた周波数変調連続波(FMCW)レーダターゲットエミュレーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090629
(43)【公開日】2022-06-17
(54)【発明の名称】同期変調反射デバイスを用いた周波数変調連続波(FMCW)レーダターゲットエミュレーション
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/40 20060101AFI20220610BHJP
   G01S 13/931 20200101ALN20220610BHJP
【FI】
G01S7/40 156
G01S7/40 186
G01S13/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021195922
(22)【出願日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】17/113,465
(32)【優先日】2020-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】514046574
【氏名又は名称】キーサイト テクノロジーズ, インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100218604
【弁理士】
【氏名又は名称】池本 理絵
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】ディター・ダブリュー・フォーク
(72)【発明者】
【氏名】トッド・スティーブン・マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】ジェファーソン・ビー.バーチ
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エス.リー
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB24
5J070AC02
5J070AC06
5J070AC11
5J070AK29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ターゲットのエミュレーションされたレーダ102反射信号を生成する
【解決手段】装置100は、被試験デバイス(DUT)によって放射されたレーダ102信号フレームを検出するように構成されるレーダ検出器と、エミュレーションされているターゲットのエミュレーションされたレーダ102反射信号を生成するように構成されるエミュレーション送信機112と、エミュレーションされているターゲットの少なくとも1つの特性に従ってエミュレーション送信機112を制御する制御信号を生成するように構成されるプロセッサとを備える。プロセッサは、DUTのレーダ102信号フレームの複数の可能なレーダ102パラメータの中の現在のレーダ102パラメータを求め、DUTのレーダ102信号フレームの求められた現在のレーダ102パラメータに従ってエミュレーション送信機112を制御する制御信号を適合させるように更に構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験デバイス(DUT)によって放射されたレーダ(102)信号フレームを検出するように構成されるレーダ検出器(112a)と、
エミュレーションされているターゲットのエミュレーションされたレーダ(102)反射信号を生成するように構成されるエミュレーション送信機(112)と、
前記エミュレーションされているターゲットの少なくとも1つの特性に従って前記エミュレーション送信機(112)を制御する制御信号を生成するように構成されるプロセッサと
を備え、
前記プロセッサは、前記DUTの前記レーダ(102)信号フレームの複数の可能なレーダ(102)パラメータの中の現在のレーダ(102)パラメータを求め、前記DUTの前記レーダ(102)信号フレームの前記求められた現在のレーダ(102)パラメータに従って前記エミュレーション送信機(112)を制御する前記制御信号を適合させるように更に構成される、ターゲットのエミュレーションされたレーダ(102)反射信号を生成する装置(100)。
【請求項2】
前記複数の可能なレーダ(102)パラメータは瞬時周波数及び瞬時電力のうちの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記現在のレーダ(102)パラメータはチャープであり、前記制御信号は前記チャープに従って閾値周波数を調整するように適合される、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記エミュレーション送信機(112)は複数の小型レーダ(102)ターゲットシミュレータ(m-RTS(112))を含む、請求項1に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記ターゲットは前記複数のm-RTS(112)にそれぞれ対応する複数のターゲットを含む、請求項4に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記m-RTS(112)のそれぞれは、前記レーダ(102)信号フレームを受信する入力を有する周波数ミキサ(303)と、該周波数ミキサ(303)の出力に結合された入力を有する可変利得増幅器とを備え、前記周波数ミキサ(303)及び前記可変利得増幅器は前記プロセッサによって生成される前記制御信号に動作可能に応答する、請求項4に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記周波数ミキサ(303)は同相直交(IQ)ミキサ(303)である、請求項6に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記m-RTS(112)のそれぞれは、アンテナ(102)及びサーキュレータ(402)を更に備え、前記サーキュレータ(402)は、前記アンテナ(102)に結合された第1のポートと、前記周波数ミキサ(303)の前記入力に結合された第2のポートと、前記可変利得増幅器の出力に結合された第3のポートとを備える、請求項6に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記m-RTS(112)のそれぞれは、前記周波数ミキサ(303)の入力に結合された受信アンテナ(301)と、前記可変利得増幅器の出力に結合された送信アンテナ(302)とを更に備える、請求項6に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記レーダ検出器(112a)は、
レーダ(102)信号フレームをベースバンドにダウンコンバートするように構成されるミキサ(303)と、
前記ミキサ(303)の出力に結合されたフィルタと、
前記フィルタの出力に結合された入力と、前記プロセッサに結合された出力とを有するアナログ/デジタル変換器と
を備える、請求項1に記載の装置(100)。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
現代の自動車は、ますます多くがいわゆる先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)を搭載している。このうち、既に十分確立されているものは、緊急ブレーキアシスト(EBA:Emergency Brake Assist)システム及びレーンアシスト(LA:Lane Assist)システムであり、その目標は完全自律車両である。全てのこれらのシステムは、車両の電子(又はエンジン)制御ユニット(ECU:electronic (or engine) control unit)が周囲環境を示す十分な情報を収集することを可能にするセンサを必要とする。一般に使用されている及び/又は提案されているADASセンサの例として、超音波センサ、ビデオカメラ、レーダセンサ及びライダ(又はLiDAR)センサがある。このうち、レーダは、霧及びおそらく他の劣悪な環境条件において明らかな利点を有すると一般に認められている。
【0002】
ADAS装備車両を開発するときの1つの主な課題は、実際の交通で起こり得る無数の異なるシナリオにおいて適切な動作を検証することである。この検証を現実の世界で行うことは、実現性のある適切な案ではない。第1に、必要とされるカバレッジを達成すること(すなわち、全ての関連シナリオを実際に試験すること)が、過度に多くの時間(数百万時間)を必要とするので困難である。第2に、最も過酷な現実の試験のうちのいくつかは、それらの性質からして危険であるので非倫理的である。これらの試験の障壁に加わるものは、全てのセンサを一斉に検証しなければならないことである。なぜならば、ECUが全てのセンサから収集しているデータに基づいて正しい決定を行うことを検証することは重要であるからである。
【0003】
その結果、自動車メーカ及びセンサモジュールベンダ自体も、仮想プラットホーム上で運転状況を電子的にエミュレーションすることを切望している。レーダの場合に、仮想プラットホームの試験システムは、レーダの全てのフェーズの間に同じターゲットを一貫してエミュレーションするために、被試験デバイス(DUT:device under test)のレーダと同期されることが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の概念の一態様によれば、ターゲットのエミュレーションされたレーダ反射信号を生成する装置が提供される。前記装置は、被試験デバイス(DUT)によって放射されたレーダ信号フレームを検出するように構成されるレーダ検出器と、エミュレーションされているターゲットのエミュレーションされたレーダ反射信号を生成するように構成されるエミュレーション送信機と、前記エミュレーションされているターゲットの少なくとも1つの特性に従って前記エミュレーション送信機を制御する制御信号を生成するように構成されるプロセッサとを備える。前記プロセッサは、前記DUTの前記レーダ信号フレームの複数の可能なレーダパラメータの中の現在のレーダパラメータを求め、前記DUTの前記レーダ信号フレームの前記求められた現在のレーダパラメータに従って前記エミュレーション送信機を制御する前記制御信号を適合させるように更に構成される。
【0005】
本発明の概念の別の態様によれば、コントローラ及びターゲットエミュレータを含む車両レーダを試験するシステムが提供される。前記コントローラは、命令を記憶するメモリと、前記命令を実行するプロセッサとを備える。前記コントローラは、前記車両レーダの周囲環境にターゲットを含む運転シナリオを生成するように構成される3次元(3D)シナリオシミュレーションを実行するように構成される。前記ターゲットエミュレータは、前記3Dシナリオシミュレーションによって生成される前記運転シナリオに対応するエミュレーションされたレーダ反射信号を前記車両レーダに送信するように構成される。前記ターゲットエミュレータは、前記車両レーダによって放射されたレーダ信号フレームを検出するように構成されるレーダ検出器と、エミュレーションされているターゲットの前記エミュレーションされたレーダ反射信号を生成するように構成されるエミュレーション送信機とを含む。前記プロセッサは、前記エミュレーションされているターゲットの少なくとも1つの特性に従って前記エミュレーション送信機を制御する制御信号を生成し、前記車両レーダの前記レーダ信号フレームの複数の可能なレーダパラメータの中の現在のレーダパラメータを求め、前記車両レーダの前記レーダ信号フレームの前記求められた現在のレーダパラメータに従って前記エミュレーション送信機を制御する前記制御信号を適合させるように更に構成される。
【0006】
本発明の概念の更に別の態様によれば、ターゲットのエミュレーションされたレーダ反射信号を生成するプロセッサ実施される方法を、車両レーダを試験するシステムの信号プロセッサに実行させる命令を記憶するコンピュータ可読媒体が提供される。前記プロセッサ実施される方法は、前記車両レーダによって放射されたレーダ信号フレームに対応する信号を受信することと、エミュレーション送信機を駆動して、エミュレーションされているターゲットのエミュレーションされたレーダ反射信号を生成することと、前記エミュレーションされているターゲットの少なくとも1つの特性に従って前記エミュレーション送信機を制御することとを含む。前記プロセッサ実施される方法は、前記車両レーダの前記レーダ信号フレームの複数の可能なレーダパラメータの中の現在のレーダパラメータを求めることと、前記車両レーダの前記レーダ信号フレームの前記求められた現在のレーダパラメータに従って前記エミュレーション送信機を制御する前記制御信号を適合させることとを更に含む。前記複数の可能なレーダパラメータは、瞬時周波数及び瞬時電力のうちの少なくとも一方を含む。
【0007】
本発明の概念の上記態様及び特徴並びに他の態様及び特徴は、添付図面に関する以下の詳細な説明から容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】コンチネンタル(Continental)自動車レーダからのチャープの抽出された周波数を示す図である。
図2】商用自動車レーダのレーダフレームの振幅時間プロファイル及び周波数時間プロファイルを示す図である。
図3】本発明の概念の一実施形態による、ターゲットのエミュレーションされたレーダ反射信号を生成する装置を示す回路ブロック図である。
図4A】本発明の概念の一実施形態による図3の装置のエミュレーション送信機の一例を示す回路ブロック図である。
図4B】本発明の概念の別の実施形態による図3の装置のエミュレーション送信機の一例を示す回路ブロック図である。
図5A】本発明の概念の一実施形態による図3の装置のレーダ検出器の一例を示す回路ブロック図である。
図5B】本発明の概念の一実施形態による図3の装置のレーダ検出器の別の例を示す回路ブロック図である。
図6A】本発明の概念の実施形態による、エミュレーション送信機のアンテナがレーダ検出器によるレーダの検出において使用される回路ブロック図である。
図6B】本発明の概念の実施形態による、エミュレーション送信機のアンテナがレーダ検出器によるレーダの検出において使用される回路ブロック図である。
図7】Bosch FRCPCCF自動車レーダの場合における周波数を経時的に示す図である。
図8】本発明の概念の一実施形態による自律運転エミュレーション(ADE:autonomous driving emulation)プラットホーム1000のアーキテクチャを示す高レベルブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
2020年5月6日に出願された「Multi-Target Radar Emulator System」という発明の名称の同一出願人による米国特許出願第16/867,804号には、FMCW(周波数変調連続波:frequency-modulated continuous-wave)レーダ等のレーダにおいてターゲットエミュレーションを達成する技法が記載されている。この米国特許出願の全開示内容は、引用することによって本明細書の一部をなすものとする。FMCWレーダは、現在の自動車レーダ市場のほぼ100%を構成している。いくつかの現代のレーダは「高速チャープFMCW」を使用する。いくつかの場合には、高速FMCWチャープは、時間間隔が均一ではなく、代わりに、それらの開始時間は、自身のレーダを有する場合がある他の接近車両からの分離のような特徴を改善するためにディザリングされる。これらのレーダは、戻り信号のチャープごとの位相変化(スリップ)を測定することによって相対速度を抽出する。
【0010】
図1は、コンチネンタル自動車レーダからのチャープの抽出された周波数を示し、図2は、商用自動車レーダのレーダフレームの振幅時間プロファイル(左側)及び周波数時間プロファイル(右側)を示している。チャープ開始時間が一致しておらず、代わりに、僅かに(36μ秒±最大2μ秒)ディザリングされることを見て取ることができる。チャープスロープは、或るバースト(遠距離レーダLRR)については同じであるが、次のバーストについては(例えば、中距離レーダMRR等の場合には)異なる。一定の周波数オフセットを使用してターゲットをエミュレーションする場合には、レーダによって測定される相対速度は、ランダム化された開始時間によって示される位相変化によって乱雑化される。周波数オフセットを生成するために使用される信号の位相は、一貫した相対速度を提供するために、各チャープの開始においてチャープごとに所望の速度に対応する値に設定されるべきである。このチャープごとの位相シフトは、ゼロ速度の場合には一定である一方、非ゼロの速度の場合には、速度と整合したチャープごとの位相シフトがもたらされる。これは、一定の周波数オフセットがターゲットをエミュレーションするために使用される場合に、現代の自動車レーダが、レーダに不正確な結果を感知させるFMCW信号の変動をどのように有するのかの単なる1つの例にすぎない。各レーダフレームは、レーダが異なる方法で動作する複数のセクションを有することができる。これは、異なるFMCWチャープスロープ、異なるアンテナ(例えば、遠距離対中距離)等において反映させることができる。本明細書に記載される実施形態は、被試験デバイス(DUT)のレーダを追跡し、エミュレーション制御信号をレーダの現在の出力に適合させる。このように、試験システムは、被試験デバイス(DUT)のレーダの全てのフェーズの間、同じターゲットを一貫してエミュレーションするためにレーダと同期される。
【0011】
図3は、本発明の概念によるターゲットのエミュレーションされたレーダ反射信号を生成する装置100の一実施形態を示している。エミュレーションされたレーダ反射信号は、被試験デバイス(DUT)のレーダ102(その関連した検出回路/ソフトウェアを含む)の試験において使用されるものとすることができる。レーダ102は、車両レーダとすることができ、本開示の利益を有する当業者によって理解されるように、1つの有望な車両レーダは、現在の自動車アプリケーション及び新たに出現する自動車アプリケーションにおける様々なキャパシティにおいて使用される自動車レーダである。本発明の概念の実施形態は、車両のタイプによって限定されるものではない。
【0012】
図3を参照すると、装置100は、レーダアンテナ108及び変調回路110を備える。レーダアンテナ108及び変調回路110は、エミュレーションされているターゲットのエミュレーションされたレーダ反射信号を生成するように構成されるエミュレーション送信機112をともに構成する。本発明の概念のいくつかの実施形態において、単一のターゲットをエミュレーションする単一のエミュレーション送信機112が設けられる一方、他の実施形態において、複数のターゲットをエミュレーションする複数のエミュレーション送信機112が設けられる。なお、いくつかの実施形態において、各エミュレーション送信機112は、小型レーダターゲットシミュレータ(M-RTS:miniature radar target simulator)として説明される。用語「小型」は、「レーダピクセル」をそれぞれ表すM-RTS112のアレイ130が設けられる場合に特に適用可能である。レーダターゲットシミュレータは、従来、固定ロケーションに配置されるか又は機械的に移動させることができる少数のアンテナとともに動作する。対照的に、それぞれが相対的に小さなアンテナ108を有する相対的に多数のM-RTS112を設けることができる。この構成によって、機械的な移動を必要とすることなくDUTのレーダ102の前方において、仮想的に任意のロケーションにおける任意の速度を有する物体の配置及び移動が可能になる。加えて、複数の「レーダピクセル」を組み合わせて物体の空間的拡張をエミュレーションすることができるので、物体は点物体に限定されない。ただし、本明細書に記載される実施形態は、エミュレーション送信機(複数の場合もある)122の寸法によって、すなわち、アンテナ108及び/又は変調回路110の寸法によって限定されるものでないことに留意されたい。
【0013】
図3の装置100は、アンテナ120及び変換回路124を更に備える。アンテナ102及び変換回路124は、DUTのレーダ102によって放射されたレーダ信号フレームを検出するように構成されたレーダ検出器126の一つの例をともに構成する。アンテナ120は、DUTのレーダ102からレーダ信号を受信する。変換回路124は、アンテナ120の対応する出力を処理して、レーダ信号又はレーダ信号の特性(電力等)を示すデジタル化された信号を生成する。このデジタル化された信号は、次に説明するコンピュータ150に供給される。DUTのレーダの1つ以上の特性は、アナログ領域において変換回路124によって求めることができ、及び/又は、デジタル領域においてコンピュータ150によって求めることができることに留意されたい。
【0014】
図3を更に参照すると、装置100は、レーダ検出器126及びエミュレーション送信機(複数の場合もある)112に動作可能に結合されたコンピュータ150を備える。コンピュータ150は、装置100のコントローラとして少なくとも部分的に機能し、プロセッサを備える。このプロセッサは、例えば、マイクロプロセッサ及び/又はフィールドプログラマブルゲートアレイとすることができる。本明細書において後に例として説明するように、プロセッサは、レーダ検出器126から受信されるレーダ信号を示すデジタル化された信号に部分的に応答して、エミュレーション送信機(複数の場合もある)112を制御する。コントローラは、プロセッサによって実行される命令を記憶するメモリも備えることもできるし、このようなメモリにアクセスすることもできる。これらのプロセッサ及びメモリは、分散させて互いにネットワーク接続することもできるし、コンピュータ150と統合することもできる。同様に、レーダ検出器126の全て又は一部をコンピュータ150の1つ以上の構成要素と統合することができ、エミュレーション送信機(複数の場合もある)112の全て又は一部をコンピュータ150の1つ以上の構成要素と統合することができる。
【0015】
1つの動作例では、レーダ102からの信号は、ホーンアンテナ120を用いて捕捉され、変換回路124のRFミキサを使用してベースバンドにミックスダウンされ、この信号は、その後、ローパスフィルタリングされ、デジタル化される。デジタル信号は、当該技術において知られているアルゴリズムを用いて処理され、瞬時周波数が求められる。レーダフレームが事前に特徴付けられている場合には、M-RTS112の制御は、計算された瞬時周波数に基づいて実行され、所望のターゲット及びターゲット速度を得ることができる。M-RTS112の制御回路は、図3に示すように直接デジタル制御システムDDSとすることができる。DDSはコンピュータ150と統合することができることが理解されるであろう。
【0016】
図4Aは、本発明の概念の一実施形態による図3の装置100のエミュレーション送信機112aの一例を示す回路ブロック図である。
【0017】
図4Aを参照すると、エミュレーション送信機112aのアンテナ108aは、再照射アンテナ401によって実施され、エミュレーション送信機112aの変調回路110aは、サーキュレータ402、ミキサ403及び可変利得増幅器(VGA:variable gain amplifier)404を備える。
【0018】
再照射アンテナ401は、DUT(図4に図示せず)のレーダから受信される信号の波長用に選択されたホーンアンテナとすることができる。再照射アンテナ401は、可変利得を有することができ、送信電磁波の見掛けの到来角(AoA:angle of arrival)の自由度を調整するレンズ等のビーム成形素子に結合することができる。再照射アンテナ401にホーンアンテナ又は同様のアンテナを使用することは必須ではなく、パッチアンテナ又はパッチアンテナアレイ(以下で説明)等の他のタイプのアンテナも考えられる。
【0019】
サーキュレータ402は、アンテナ401からポート1に受信される信号がポート2においてミキサ403に印加されるとともに、VGA404からポート3に受信される信号がポート1においてアンテナ401に印加されるように動作する。このように、エミュレーションされた反射信号は、再照射アンテナ401によってDUTのレーダに送信される。
【0020】
図4Aの図示した例のミキサ403は、同相(I:in-phase)直交(Q:quadrature)ミキサ(IQミキサ)であり、このIQミキサは、RF信号の標準的な90度位相整合を有する単側波帯IQミキサとすることができ、その結果、上側波帯(USB:upper sideband)又は下側波帯(LSB:lower sideband)のいずれかの出力が得られる一方、それぞれLSB又はUSBは除去される。
【0021】
ミキサ403の出力は、利得制御入力405を含むVGA404に与えられる。VGA404の利得制御入力405は、図3の装置100のコンピュータ150に動作可能に接続されている。VGA404は、コンピュータ150の制御下で、アンテナ401によって放射される再照射信号の適切なエミュレーションを可能にする。
【0022】
エミュレーション送信機112aの更なる動作の詳細については、図4と、上述した米国特許出願第16/867,804号に掲載された対応する論述とに着目されたい。
【0023】
図4Bは、本発明の概念の一実施形態による図3の装置100のエミュレーション送信機112bの別の例を示す回路図である。
【0024】
図4Bの実施形態は、変調回路110bがミキサ303(図4Aのミキサ403と同様)及びVGA304(図4AのVGA404と同様)を備える点で図4Aの実施形態と同様である。また、VGA304の利得制御305は、図4Aと同じ又は類似の方法で図3のコンピュータ150によって制御される。他方、図4Bの実施形態は、図4Aのサーキュレータ402が省かれ、アンテナ108bが分離した受信(Rx)アンテナ301及び送信(Tx)アンテナ302を用いて構成される点で図4Aの実施形態と異なる。図示するように、受信アンテナ301はミキサ303にフィードし、VGA304の出力は、エミュレーションされた反射信号が送信アンテナ401によってDUTのレーダに送信されるように、送信アンテナ302に印加される。他の点では、図4Bの形態は、図4Aの構成と同様に動作する。
【0025】
図5Aは、本発明の概念の一実施形態による図3の装置100のレーダ検出器126aの一例を示す回路図である。図3のレーダ検出器126と同様に、図4Aのレーダ検出器126aは、アンテナ120a及び変換回路124aを備える。
【0026】
図5Aを参照すると、レーダ検出器112aのアンテナ120aは、ホーンアンテナ等の受信(Rx)アンテナ501とすることができる。受信(Rx)アンテナ501は、DUTのレーダ102によって放射された各レーダフレームを受信する。
【0027】
変換回路124aは、アンテナ501の出力、又はアンテナ501の出力の特性を、図3の装置100のコンピュータ150による処理に適したフォーマットに変換するように構成される。図5Aの例では、変換回路124aは、ミキサ502、ローパスフィルタ503及びアナログ/デジタル変換器(ADC:analog-to-digital converter)504を備える。ミキサ502には局部発振器LOの信号が供給され、アンテナ501の出力が中間周波数IFに周波数ダウンコンバートされる。一つの例として、中間周波数IFは、ほぼ1GHz~2GHzのベースバンド周波数とすることができる。同様に一つの例として、局部発振器LOの周波数は、約75GHzとすることができる。この実施形態は、これらの数値的に定められた例に限定されるものではないことが理解されるであろう。
【0028】
中間周波数IFのダウンコンバートされた信号は、ローパスフィルタ503に通され、高周波数成分が除去され、その後、ADC504によってデジタル化される。ADC504のデジタル化された出力は、図3のコンピュータ150に供給される。
【0029】
図5Aの例では、DUTのレーダ102の1つ以上の特性をコンピュータ150によってデジタル領域において求めることができる。図5Bは、レーダ102の1つ以上の特性(この場合は電力)がアナログ領域において求められる変換回路124bの一例を示す回路図である。
【0030】
図5Bを参照すると、変換回路124bは、アンテナ120(図3)の出力を受信する入力と、容量素子C1及び抵抗素子R1の接地された並列回路に結合された出力とを有するダイオードD1を備える。これらの構成要素は、R1の両端の電圧が、ダイオードD1の入力に受信されるRF信号の電力に対応するRFダイオード検出器を形成する。
【0031】
RFダイオード検出器の出力電圧(すなわち、DUTのレーダの電力を示すR1の両端の電圧)は、ADC604によってデジタル化され、ADC504のデジタル化された出力は、図3のコンピュータ150に供給される。
【0032】
ここで、本発明の概念は、図5A及び図5Bに関して上述したレーダ検出器の例によって限定されるものではないことに留意されたい。それどころか、本発明の概念は、DUTのレーダのパラメータ(又はフレーム特性)を監視するための、当業者によって考えることができる他の回路を包含する。さらに、上述した実施形態において、図3に示すように、DUTのレーダを検出することを目的として別個のアンテナ120が設けられる。しかしながら、本発明の概念はこのように限定されるものではない。例えば、図6A及び図6Bは、エミュレーション送信機112のアンテナがDUTのレーダを捕捉するのに使用される実施形態を示している。
【0033】
すなわち、図6Aの例では、変換回路CONV(例えば、図5Aの変換回路124a)に印加されるRF信号は、エミュレーション送信機(又はM-RTS)の受信Rxアンテナ401の出力から得られる。図6Bの例では、変換回路CONV(例えば、図5Aの変換回路124a)に印加されるRF信号は、エミュレーション送信機(又はM-RTS)の受信Rxアンテナ401の出力から得られる。
【0034】
上述した構成のいずれが採用されるかを問わず、本発明の概念の実施形態は、特に、レーダがモード(周波数スロープ、FMCW対「高速FMCW」、対アップダウンチャープ等)を変更している場合に、ターゲットのパラメータ(速度、レンジ等)をエミュレーションするように一般的なターゲットエミュレーション用のM-RTSを制御することを含む。レーダは、レーダフレームの特徴(フレームタイミング、FMCW周波数スロープ、チャープ開始周波数及び停止周波数等)を特徴付けるために、無線で監視される。M-RTS制御信号は、その後、レーダRFフレームの異なる部分の間に一貫したターゲットをエミュレーションするように変更される。
【0035】
次に、閾値及びパラメータを次第に変化するレーダフレームに適合させることができる一つの例として、Bosch FRCPCCF自動車レーダの場合の周波数を経時的に示す図7に注目する。この図の上部は、229MHzの偏差及び409.6μsの持続時間を有する10個のランプ(ramp)からなる1つの系列を示す一方、この図の下部は、複数の系列の経過を示している。FMCWチャープ周波数が時間とともに変化することを見て取ることができる。このレーダも、コンチネンタル自動車レーダと同様に、チャープの開始をランダム化し、また、フレーム時間にわたってチャープの開始周波数及び停止周波数を変化させる。本発明の概念の実施形態によれば、高速チャープFMCW波形の周波数パラメータ(瞬時周波数及び/又は瞬時電力等)を経時的に監視することができ、それに応じて閾値周波数を調整することができる。これに代えて又はこれに加えて、レーダ信号フレームの検出される瞬時電力及び検出される瞬時周波数のうちの少なくとも一方の検出に応答して、各M-RTSを再設定してレーダ信号フレームと同期するように制御信号を適合させることができる。経時的なフレーム特性の検出及びMRDの適合によって、一貫したターゲットをレーダに提供するようにパラメータが制御される。
【0036】
本発明の概念は、コントローラとターゲットエミュレータとを備える車両レーダを試験するシステムを含む。コントローラは、命令を記憶するメモリと、命令を実行するプロセッサとを備える。コントローラは、車両レーダの周囲環境にターゲットを含む運転シナリオを生成するように構成された3次元(3D)シナリオシミュレーションを実行するように構成される。ターゲットエミュレータは、3Dシナリオシミュレーションによって生成された運転シナリオに対応するエミュレーションされたレーダ反射信号を車両レーダに送信するように構成される。ターゲットエミュレータは、車両レーダによって放射されたレーダ信号フレームを検出するように構成されるレーダ検出器と、エミュレーションされているターゲットのエミュレーションされたレーダ反射信号を生成するように構成されるエミュレーション送信機とを備える。プロセッサは、エミュレーションされているターゲットの少なくとも1つの特性に従ってエミュレーション送信機を制御する制御信号を生成し、車両レーダのレーダ信号フレームの複数の可能なレーダパラメータの中の現在のレーダパラメータを求め、車両レーダのレーダ信号フレームの求められた現在のレーダパラメータに従ってエミュレーション送信機を制御する制御信号を適合させるように更に構成される。車両レーダを試験するそのようなシステムの一つの例は、図8に関して次に説明される。
【0037】
図8は、本発明の概念の一実施形態による自律運転エミュレーション(ADE)プラットホーム1000のアーキテクチャを示す高レベルブロック図である。
【0038】
図8を参照すると、ADEプラットホーム1000は、3Dシナリオシミュレータ1100、シナリオエミュレータ1200、センサ1300、電子制御ユニット(ECU)1400、及びハードウェアインループ(HiL:Hardware-In-Loop)テストベンチ1500を含む。
【0039】
本明細書における実施形態は、主として、レーダに焦点を当てているが、図8の例のセンサ1300は、レーダセンサ1300bに加えてカメラセンサ1300a及びライダセンサ1300cを任意選択で含む。各センサ1300は、ADAS機能を装備した車両の周囲環境を検知するように構成される。
【0040】
ECU1400は、車両のADAS機能を担当する車両の専用モジュールである。周囲環境を評価するために、ECU1400は、センサ1300からのセンサデータと、車両慣性測定ユニット(IMU:inertial measurement unit)からのデータと、全地球測位システム(GPS:global positioning system)データとを融合する。ECU1400は、単一の処理ユニットに集中化することもできるし、複数の処理ユニット間に分散させることもできる。
【0041】
センサ1300によって駆動されるECU1400は、図8のADEプラットホーム1000の被試験デバイス(DUT)を構成する。
【0042】
図8の例は、HiLテストベンチ1500にリンクされたシナリオシミュレーションを中心に構築されている。テストシーケンサ(図示せず)は、並列に動作するシナリオシミュレータ1100及びHiLテストベンチ1500の双方を制御することができる。
【0043】
3Dシナリオシミュレータ1100は、ユーザによって選択及び/又は作成される様々な車両運転シナリオを作成するソフトウェア実施されるシミュレーションデバイスである。一般に、3Dシナリオシミュレータ1100は、データベース(DB)1101を含むか又はDB1101にアクセスする。DB1101は、運転シナリオと、運転シナリオに登場する様々な材料及び物体の検知特性(例えば、レーダ散乱又はライダ反射率特性)と、運転シナリオで遭遇する車両及び他の物体(道路を含む)の動態(dynamics)と、任意の所与のシナリオにおける車両及び物体の物理的応答に関する他の情報とを含む。3Dシナリオシミュレータ1100の一つの例は、IPG Automotive GMBHによって商品名Carmaker(商標)の下で提供される。とりわけ、3Dシナリオシミュレータ100は、ADAS及び自律車両の試験に対処する。仮想道路環境、車両動態、交通、センサ、実際の運転手又は仮想的な運転手、ヘッドライト、気象条件及びシナリオスクリプティング(scenario scripting)を構築するツール及びモデルを提供することができる。
【0044】
3Dシナリオシミュレータ1100の内部では、いくつかの運転シナリオをシミュレーションすることができ、センサターゲットエミュレータ1200に供給することができる。シナリオにおける全ての物体について、光反射率及びレーダ反射率に関する材料特性も提供することができる。これらの情報に基づいて、センサターゲットエミュレータ1200は、物体がカメラセンサ1300a、レーダセンサ1300b及びライダセンサ1300cによって感知される方法に関する情報を抽出する。抽出された情報に基づいて、センサターゲットエミュレータ1200のハードウェアは、3Dシナリオシミュレータ1100から供給される運転シナリオをエミュレーションする検知信号をセンサ1300に放射するように駆動される。
【0045】
例えば、センサターゲットエミュレータ1200は、パラメータ抽出器1200aと、カメラターゲットエミュレータドライバ1201aと、3Dシナリオシミュレータ1100の運転シナリオをエミュレーションするビデオ画像を生成するモニタ1202aとを備えることができる。動作中、パラメータ抽出器1200aは、3Dシナリオシミュレータ1100の運転シナリオに対応する画像ピクセルデータ(x、y、R、B及びG)を抽出することができる。この抽出されたデータは、日陰効果及び直射日光効果を含むことができる。この画像ピクセルデータ(x、y、R、B及びG)は、カメラターゲットエミュレータドライバ1201aに供給することができ、カメラターゲットエミュレータドライバ1201aは、次に、モニタ1202aを駆動して、画像ピクセルデータ(x、y、R、B及びG)に対応する画像(ピクチャ)を表示する。モニタ1202aは、カメラセンサ300aの前方に配置することができる。このように、モニタ1202aに表示される運転シナリオのエミュレーションされた画像は、画像センサ1300aによって視認され、それに応じてECU1400によって処理される。
【0046】
センサターゲットエミュレータ1200は、パラメータ抽出器1200bと、レーダターゲットエミュレータドライバ1201bと、3Dシナリオシミュレータ1100の運転シナリオのレーダ反射をエミュレーションするレーダ信号(「チャープ」)を生成するレーダエミッタ1202bとを更に備えることができる。動作中、パラメータ抽出器1200bは、3Dシナリオシミュレータ100から運転シナリオのレーダ関連データを抽出することができる。これは、運転シナリオの複数の物体のロケーション(x,y)及び距離(信号遅延)が表されるレイトレーシングを含むことができる。加えて、物体速度(ドップラ)及び物体サイズ/距離(減衰)等の物体のレーダシグネチャを抽出することができる。当然のことながら、レーダ断面は、物体サイズと反射率とを組み合わせたものである。反射率は、個々のピクセルに使用されている減衰にマッピングすることができ、空間次元は、物体を表すのに使用されるピクセルの量にマッピングすることができる。このデータは、レーダターゲットエミュレータドライバ1201bに供給することができ、レーダターゲットエミュレータドライバ1201bは、次に、レーダエミッタ1202bを駆動して、運転シナリオに対応する「反射された」レーダ信号を放射する。レーダエミッタ1202bは、図3図7の実施形態に関して前述した装置100を備えることができ、レーダセンサ300bの前方に配置することができる。このように、レーダエミッタa202bによって放射される運転シナリオのエミュレーションされたレーダ反射は、レーダセンサa300bによって検知され、それに応じてECUa400によって処理される。
【0047】
センサターゲットエミュレータ1200は、パラメータ抽出器1200cと、ライダターゲットエミュレータドライバ1201cと、3Dシナリオシミュレータ1100の運転シナリオの光反射をエミュレーションするライダビームを生成するライダビームエミッタ1202bとを更に備えることができる。動作中、パラメータ抽出器1200cは、3Dシナリオシミュレータ1100から運転シナリオのライダ関連データを抽出することができる。一般に、このデータは、反射光の遅延によって表されるような運転シナリオ内のロケーション(x,y)における物体の集まりからなる。このデータは、ライダターゲットエミュレータドライバ1201bに供給することができ、ライダターゲットエミュレータドライバは、次に、ライダビーム源1202cを駆動して、運転シナリオに対応する所与の遅延を有する「反射」光信号を放射する。ライダビームエミッタ202cは、ライダセンサ1300cの前方に配置することができる。このように、ライダビームエミッタ1202cによって放射される運転シナリオのエミュレーションされた光反射は、ライダセンサ1300cによって検知され、それに応じてECU1400によって処理される。
【0048】
本発明の概念は、車両レーダを試験するシステムの信号プロセッサ(例えば、前述した150)に、ターゲットのエミュレーションされたレーダ反射信号を生成するプロセッサ実施される方法を実行させる命令を記憶する有形の非一時的コンピュータ可読媒体も含む。有形の非一時的コンピュータ可読媒体は、米国特許法第101条の規定による特許可能な主題を構成する任意の媒体であると定義され、米国特許法第101条の規定による特許可能な主題を構成しないあらゆる媒体を除外する。そのような媒体の例は、コンピュータ又はデータ処理システムによって可読なフォーマットで情報を記憶するコンピュータメモリデバイス等の非一時的媒体を含む。非一時的媒体のより具体的な例には、コンピュータディスク及び不揮発性メモリが含まれる。プロセッサ実施される方法は、車両レーダによって放射されたレーダ信号フレームに対応する信号を受信することと、エミュレーション送信機112を駆動して、エミュレーションされているターゲットのエミュレーションされたレーダ反射信号を生成することと、エミュレーションされているターゲットの少なくとも1つの特性に従ってエミュレーション送信機112を制御することとを含む。プロセッサ実施される方法は、車両レーダのレーダ信号フレームの複数の可能なレーダパラメータの中の現在のレーダパラメータを求めることと、車両レーダのレーダ信号フレームの求められた現在のレーダパラメータに従ってエミュレーション送信機を制御する制御信号を適合させることとを更に含む。複数の可能なレーダパラメータは、瞬時周波数及び瞬時電力のうちの少なくとも一方を含む。
【0049】
本発明は、図面及び上述の記載で詳細に説明及び記載されているが、かかる説明及び記載は、説明的なもの又は例示的なものであり、限定的なものではないとみなされる。本発明は、開示される実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、請求項に係る発明を実施する際に、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の検討により、開示される実施形態に対する他の変形形態を理解し、それを行うことができる。代表的な実施形態が本明細書で開示されたが、本教示による多くの変形形態が可能であり、また、添付の特許請求の範囲の範囲内に留まることを当業者は認識する。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲を除いて制限されない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
【外国語明細書】