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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090675
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】開閉体装置及び開閉体装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20220613BHJP
   E06B 9/84 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
E06B9/68 A
E06B9/84 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203104
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】阿部 裕輔
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042CA01
2E042CB05
2E042CB06
2E042CC03
(57)【要約】
【課題】開閉体の動作中に障害物を感知した感知情報などの重要な履歴情報が、重要性の低い新たな履歴情報によって早期に上書きされるのを防止し、重要な履歴情報を有効に活用する。
【解決手段】開閉体装置は、開口部の開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、開口部に存在する障害物を感知する障害物感知手段とを備える。制御手段は、障害物感知手段による障害物の感知情報を記録するための記録手段と、開閉手段が停止している間に、障害物感知手段が障害物を感知しても、障害物の感知情報を記録手段に記録せず、開閉機が開閉手段を動作させている間に、障害物感知手段が障害物を感知したとき、感知情報を記録手段に記録する処理手段とを有する。重要性の低い開閉手段が停止中の障害物の感知情報により、重要な履歴情報が早期に上書きされるのが防止される。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、
商用電源に基づく電力を前記制御手段へ供給する電源供給装置と、
前記開口部に存在する障害物を感知する障害物感知手段とを備え、
前記制御手段は、前記障害物感知手段による障害物の感知情報を履歴情報として記録するための記録手段と、前記開閉手段が停止している間に、前記障害物感知手段が障害物を感知しても、障害物の感知情報を前記記録手段に記録せず、前記開閉機が前記開閉手段を動作させている間に、前記障害物感知手段が障害物を感知したとき、障害物の感知情報を前記記録手段に記録する処理手段とを有することを特徴とする開閉体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の開閉体装置において、前記開閉手段の巻き上げ過ぎ及び繰り出し過ぎを検出して作動し、作動信号を前記制御手段へ出力する安全装置を備え、
前記処理手段は、前記安全装置の作動情報を履歴情報として前記記録手段に記録することを特徴とする開閉体装置。
【請求項3】
請求項1、又は2に記載の開閉体装置において、前記制御手段は、前記電源供給装置から供給された交流電力の各相の電位を検出する相電位検出手段を有し、
前記処理手段は、前記相電位検出手段の検出結果に基づき、前記電源供給装置から供給された交流電力の相順の異常を検出したとき、前記開閉手段の動作を停止させると共に、相順異常の検出情報を履歴情報として前記記録手段に記録し、その後、前記相電位検出手段の検出結果に基づき、前記電源供給装置から供給された交流電力の相順が正常に回復したことを確認したとき、前記開閉手段の動作の停止を解除することを特徴とする開閉体装置。
【請求項4】
請求項1、2、又は3に記載の開閉体装置において、操作者が前記記録手段に記録された履歴情報の表示の指示を入力するための入力装置と、前記記録手段に記録された履歴情報を表示するための表示装置とを備え、
前記処理手段は、前記入力装置に入力された指示に応じて、前記記録手段に記録された履歴情報を前記表示装置に表示させることを特徴とする開閉体装置。
【請求項5】
開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、
前記開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、
前記開閉機を駆動して、前記開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、
商用電源に基づく電力を前記制御手段へ供給する電源供給装置と、
前記開口部に存在する障害物を感知する障害物感知手段とを備えた開閉体装置の制御方法であって、
前記制御手段に、前記障害物感知手段による障害物の感知情報を履歴情報として記録するための記録手段を設け、
前記開閉手段が停止している間に、前記障害物感知手段が障害物を感知しても、障害物の感知情報を前記記録手段に記録せず、前記開閉機が前記開閉手段を動作させている間に、前記障害物感知手段が障害物を感知したとき、障害物の感知情報を前記記録手段に記録することを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の開閉体装置の制御方法において、前記開閉手段の巻き上げ過ぎ及び繰り出し過ぎを検出して作動し、作動信号を前記制御手段へ出力する安全装置を設け、
前記安全装置の作動情報を履歴情報として前記記録手段に記録することを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【請求項7】
請求項5、又は6に記載の開閉体装置の制御方法において、前記制御手段に、前記電源供給装置から供給された交流電力の各相の電位を検出する相電位検出手段を設け、
前記相電位検出手段の検出結果に基づき、前記電源供給装置から供給された交流電力の相順の異常を検出したとき、前記開閉手段の動作を停止させると共に、相順異常の検出情報を履歴情報として前記記録手段に記録し、その後、前記相電位検出手段の検出結果に基づき、前記電源供給装置から供給された交流電力の相順が正常に回復したことを確認したとき、前記開閉手段の動作の停止を解除することを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【請求項8】
請求項5、6、又は7に記載の開閉体装置の制御方法において、操作者が前記記録手段に記録された履歴情報の表示の指示を入力するための入力装置と、前記記録手段に記録された履歴情報を表示するための表示装置とを設け、
前記入力装置に入力された指示に応じて、前記記録手段に記録された履歴情報を前記表示装置に表示することを特徴とする開閉体装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の開口部などをシャッターなどの開閉体を用いて仕切るように構成された開閉体装置及び開閉体装置の制御方法に係り、特に、開閉体の動作の障害となる障害物の感知情報などを、過去の履歴情報として記録して活用するのに好適な開閉体装置及び開閉体装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シャッターカーテンなどのような開閉体装置は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物を含む構造物躯体の出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部に設置され、その開閉体を移動させることによってその開口部を開放、閉鎖するものである。この開閉体装置は、多数の短冊状のスラット材からなるスラットカーテン、多数のパイプ材をリンク材などで連結させてなるパイプグリルカーテン、一枚状あるいは多数連結されたパネル材からなるパネルカーテン、ネット材からなるネットカーテン、合成樹脂あるいは布繊維製のシート材からなるシートカーテン、あるいはこれらの複合部材などからなる複合カーテンなどの開閉体を、開口部の上部から繰り出し下降させて開口部全体を閉鎖するように構成されている。このような開閉体装置は、開閉体の開閉動作を電動で行なう場合が多い。電動の開閉体装置としては、電動シャッター装置、電動ドア装置、電動オーニング装置などがある。
【0003】
一般に、電動の開閉体装置は、建物などの構造物の開閉用空間部を昇降開閉するための開閉体を、構造物の天井裏またはシャッターケースに配置された開閉機(モータ等)によって昇降駆動するようになっている。そして、このような電動の開閉体装置では、通常、安全を確保するため、開口部に存在して開閉体の動作の障害となる障害物を感知する障害物感知装置が設けられており、障害物感知装置から障害物の感知信号が発生すると、下降中の開閉体の動作を停止させる構造となっている。
【0004】
このような電動の開閉体装置の中には、故障発生時の修理や保守作業等において不具合の原因を究明する必要性などから、障害物感知装置による障害物の感知情報を履歴情報として記録し、必要に応じて表示装置に表示できるようにしたものがある。例えば、特許文献1には、履歴表示モードを有する開閉装置が開示されている。
【0005】
また、その他の履歴情報として、開閉機の制御装置へ供給された交流電力の相順の異常(逆相異常)を検出し、その検出情報を履歴情報として記録するものがある。例えば、特許文献2には、相順検知部を備えた建物用シャッターの履歴情報検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-7764号公報
【特許文献2】特開平11-16014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
障害物感知装置としては、座板スイッチなどの接触式のものと、光学センサなどを備えた非接触式のものとがある。光学センサなどを備えた非接触式の障害物感知装置を用いる場合、障害物感知装置は、開閉体が開放されている開口部を人や車などが通過する度に、それらの通過物を感知して感知信号を発生する。そのため、障害物感知装置の感知情報を履歴情報として記録するメモリは、直ぐに容量が満杯になってしまい、それ以降は古い履歴情報が新たな歴情報によって早期に上書きされてしまっていた。そのため、重要な履歴情報が有効に活用されないおそれがあった。
【0008】
また、従来、開閉機の制御装置へ供給された交流電力の相順の異常(逆相異常)の検出情報を履歴情報として記録するものでは、配線の誤接続を想定して、相順の異常を検出したとき、開閉体装置を異常停止させていた。そのため、配線の確認後に、電源を再投入する必要があった。しかしながら、配線に誤接続が無くても、渡り配線による他機器への電源供給や、電源環境により発生するノイズなどによって、相順の異常が発生することがあり、従来は、その場合でも異常停止を行うので、電源の再投入が必要であり、操作が面倒であった。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、開閉体の動作中に障害物を感知した感知情報などの重要な履歴情報が、重要性の低い新たな履歴情報によって早期に上書きされるのを防止し、重要な履歴情報を有効に活用できる開閉体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の開閉体装置の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉機を駆動して、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、商用電源に基づく電力を制御手段へ供給する電源供給装置と、開口部に存在する障害物を感知する障害物感知手段とを備え、制御手段が、障害物感知手段による障害物の感知情報を履歴情報として記録するための記録手段と、開閉手段が停止している間に、障害物感知手段が障害物を感知しても、障害物の感知情報を記録手段に記録せず、開閉機が開閉手段を動作させている間に、障害物感知手段が障害物を感知したとき、障害物の感知情報を記録手段に記録する処理手段とを有することにある。
処理手段は、開閉機が開閉手段を動作させている間に、障害物感知手段が障害物を感知したとき、障害物の感知情報を記録手段に記録し、開閉手段が停止中は、障害物の感知情報を記録手段に記録しない。開閉手段が動作中の障害物の感知情報は重要性が高いのに対し、開閉手段が停止中の障害物の感知情報は重要性が低く、これを記録しないことによって、重要な履歴情報が、重要性の低い新たな履歴情報によって早期に上書きされるのが防止される。従って、重要な履歴情報を有効に活用することが可能となる。
【0011】
開閉手段は、住宅、ビル、工場、倉庫、車庫などの建物などの構造物における、出入口や窓部、あるいは内部の通路や空間などの開口部を電動で開閉移動するシャッターカーテンなどの開閉部材で構成される。開閉手段が、シャッターカーテンの場合には、建物などの開口部の周縁部の一つである上部に収納され、まぐさなどを通過してシャッターカーテンが下降し、開口部を電動で開閉動作する。これ以外にも、開閉手段が開口部の下部に収納されて、上昇方式にて電動で開閉移動したり、開閉手段が側部に収納されて、スライド方式にて電動で移動したりすることもある。また、開閉手段には、閉鎖によって開口部を全閉できるものも全閉できないものも含む。
【0012】
本発明の開閉体装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置において、開閉手段の巻き上げ過ぎ及び繰り出し過ぎを検出して作動し、作動信号を制御手段へ出力する安全装置を備え、処理手段が、安全装置の作動情報を履歴情報として記録手段に記録することにある。
開閉手段の巻き上げ過ぎ及び繰り出し過ぎを検出する安全装置の作動情報が、履歴情報として記録され、不具合の原因の究明などに活用される。
【0013】
本発明の開閉体装置の第3の特徴は、前記第1、又は第2の特徴に記載の開閉体装置において、制御手段が、電源供給装置から供給された交流電力の各相の電位を検出する相電位検出手段を有し、処理手段が、相電位検出手段の検出結果に基づき、電源供給装置から供給された交流電力の相順の異常を検出したとき、開閉手段の動作を停止させると共に、相順異常の検出情報を履歴情報として記録手段に記録し、その後、相電位検出手段の検出結果に基づき、電源供給装置から供給された交流電力の相順が正常に回復したことを確認したとき、開閉手段の動作の停止を解除することにある。
処理手段が、相電位検出手段の検出結果に基づき、電源供給装置から供給された交流電力の相順が正常に回復したことを確認したとき、開閉手段の動作の停止を解除するので、配線の誤接続以外の理由で相順の異常(逆相異常)が発生しても、異常停止を行った後に電源を再投入する必要が無く、操作性が向上する。
【0014】
本発明の開閉体装置の第4の特徴は、前記第1、第2、又は第3の特徴に記載の開閉体装置において、操作者が記録手段に記録された履歴情報の表示の指示を入力するための入力装置と、記録手段に記録された履歴情報を表示するための表示装置とを備え、処理手段が、入力装置に入力された指示に応じて、記録手段に記録された履歴情報を表示装置に表示させることにある。
操作者は、表示装置に表示された、障害物の感知情報や相順異常の検出情報などの履歴情報から、不具合の原因を容易に究明することが可能となる。
【0015】
本発明の開閉体装置の制御方法の第1の特徴は、開口部の周縁部に設けられた開閉手段と、開閉手段を電動で動作させるための開閉機と、開閉機を駆動して、開閉手段の動作を電動で制御する制御手段と、商用電源に基づく電力を制御手段へ供給する電源供給装置と、開口部に存在する障害物を感知する障害物感知手段とを備えた開閉体装置の制御方法であって、制御手段に、障害物感知手段による障害物の感知情報を履歴情報として記録するための記録手段を設け、開閉手段が停止している間に、障害物感知手段が障害物を感知しても、障害物の感知情報を記録手段に記録せず、開閉機が開閉手段を動作させている間に、障害物感知手段が障害物を感知したとき、障害物の感知情報を記録手段に記録することにある。
これは、前記第1の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0016】
本発明の開閉体装置の制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、開閉手段の巻き上げ過ぎ及び繰り出し過ぎを検出して作動し、作動信号を制御手段へ出力する安全装置を設け、安全装置の作動情報を履歴情報として記録手段に記録することにある。
これは、前記第2の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0017】
本発明の開閉体装置の制御方法の第3の特徴は、前記第1、又は第2の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、制御手段に、電源供給装置から供給された交流電力の各相の電位を検出する相電位検出手段を設け、相電位検出手段の検出結果に基づき、電源供給装置から供給された交流電力の相順の異常を検出したとき、開閉手段の動作を停止させると共に、相順異常の検出情報を履歴情報として記録手段に記録し、その後、相電位検出手段の検出結果に基づき、電源供給装置から供給された交流電力の相順が正常に回復したことを確認したとき、開閉手段の動作の停止を解除することにある。
これは、前記第3の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【0018】
本発明の開閉体装置の制御方法の第4の特徴は、前記第1、第2、又は第3の特徴に記載の開閉体装置の制御方法において、操作者が記録手段に記録された履歴情報の表示の指示を入力するための入力装置と、記録手段に記録された履歴情報を表示するための表示装置とを設け、入力装置に入力された指示に応じて、記録手段に記録された履歴情報を表示装置に表示することにある。
これは、前記第4の特徴に記載の開閉体装置に相当する、開閉体装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、開閉体の動作中に障害物を感知した感知情報などの重要な履歴情報が、重要性の低い新たな履歴情報によって早期に上書きされるのを防止し、重要な履歴情報を有効に活用できる開閉体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施の形態による開閉体装置であるシャッター装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。
図3】本発明の一実施の形態によるシャッター装置の制御装置の回路構成を示す図である。
図4】履歴情報の記録動作の一例を示すフローチャートである。
図5】相順確認動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に従って、本発明に係る開閉体装置の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では、開閉手段として、上下に開閉動作されるシャッターカーテンを備えたシャッター装置を例に説明する。図1は、本発明の一実施の形態による開閉体装置であるシャッター装置の概略構成を示す図である。図1において、開閉体装置10は、出入口の開口部を上下に開閉するシャッター装置である。
【0022】
開閉体装置10は、建物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース11、シャッターカーテン12、ガイドレール13,14、巻取シャフト15、チェーン16、モータ17、位置検出装置172、制御装置18、操作スイッチ19、電源供給装置20、障害物感知装置30、安全装置40、入力装置50、及び表示装置60などを含んで構成される。
【0023】
この開閉体装置10は、通常時には、操作スイッチ19の操作に応じて、開閉機であるモータ17を駆動して開閉制御するようになっている。さらに、この開閉体装置10では、シャッターカーテン12が巻取シャフト15に巻き取られている開放状態を機械的な保持機構(図示せず)によって保持しており、この開放状態で外部から火災の発生などを示す非常信号BSなどが制御装置18に入力された場合には、その保持機構による開放状態の保持が解除されて、シャッターカーテン12は、その自重で自然降下して開口部を自動閉鎖する機能も備えている。
【0024】
ガイドレール13,14は、シャッターカーテン12の両端部に接するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材又はこれと同等の部材で構成されている。シャッターカーテン12は、このガイドレール13,14の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。
【0025】
巻取シャフト15は、シャッターケース11の両端側に回動可能に設けられ、シャッターカーテン12を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン16は、モータ17の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト15の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ17の回転駆動力は、チェーン16を介して巻取シャフト15側に伝達され、モータ17が回転すると、チェーン16を介して巻取シャフト15が回転し、シャッターカーテン12の開閉動作が制御されるようになっている。
【0026】
モータ17には、その回転位置、すなわちシャッターカーテン12の開閉位置と開閉状態を検出するための位置検出装置172(図2参照)が設けられている。この位置検出装置172は、パルス発生型のロータリーエンコーダ等で構成される。モータ17の回転に応じたパルス信号が制御装置18に出力されるので、モータ17の回転位置やシャッターカーテン12の閉鎖側先端部の開口部における位置などは、このパルスの発生状況に基づいて制御装置18が演算にて求めることになる。
【0027】
制御装置18は、マイクロコンピューター構成になっており、商用電源の電源ラインACから電源供給装置20を介して電力が供給されている。制御装置18は、操作スイッチ19上の各操作ボタンの操作状態に対応した制御信号や、障害物感知装置30からの感知信号、安全装置40からの作動信号、及びモータ17に設けられた位置検出装置172からの信号などに基づいて、モータ17の回転を制御したり、非常信号BSに基づいて保持機構を解除したりする。
【0028】
操作スイッチ19は、開閉停の各動作に対応した制御スイッチとして、上昇(開)ボタン19A、停止(停)ボタン19B、下降(閉)ボタン19Cをそれぞれ有し、これら各ボタンの操作状態に応じた制御信号を制御装置18に出力する。なお、図1では示していないが、制御装置18は、無線型リモコン装置によっても操作可能としてもよい。
【0029】
非常信号BSは、火災発生などの非常時に外部の制御室などから供給される電圧24[V]の信号であり、制御装置18内の図示しない危害防止用連動中継器に入力される。なお、外部からの非常信号BSの入力と併せて、又は代わりに、シャッターケース11の内側であって、まぐさ部の開口部近傍、すなわちシャッターカーテン12が昇降する部分に温度感知器などを設けてもよい。この温度感知器としては、常時接点がオン状態にあり、接点が所定温度(摂氏100~300度の範囲の任意温度)に達した時点で接点を開きオフ状態となるB接点の自動復帰型の高温度用バイメタル式サーモスタットなどで構成され、接点が開いた場合には火災などが発生したことを示す信号を非常信号BSに相当する信号として出力するようにしてもよい。
【0030】
障害物感知装置30は、本実施の形態では、ガイドレール13,14の内の一方に設けられた検出光照射器と、他方に設けられた受光センサとを含む、透過光検出型の感知装置である。シャッターカーテン12の移動経路の開口部内に障害物が侵入すると、検出光照射器から照射された検出光が障害物に遮断されて受光センサで検出されず、これにより障害物感知装置30は、障害物を感知して、感知信号を制御装置18へ出力する。
なお、障害物からの反射光を検出する反射光検出型の障害物感知装置を用いてもよい。また、障害物感知装置は、ガイドレール13,14に限らず、別途設けた設置台やシャッターケース11内などに設置してもよい。
さらに、障害物感知装置として、開口部に光電管やLED等の投受光センサを設け、画像認識等により障害物を非接触で感知する構成としてもよい。
【0031】
安全装置40は、通常、シャッターケース11内に設けられ、シャッターカーテン12の巻き上げ過ぎや、シャッターカーテン12の繰り出し過ぎによるたるみ等を検出して作動し、作動信号を制御装置18へ出力する、接触式の機械的な検出装置である。制御装置18は、安全装置40から作動信号を入力すると、シャッターカーテン12の動作を停止させる。そのため、安全装置40は、シャッターカーテン12の落下防止の役割も果たしている。
【0032】
図2は、図1に示したシャッター装置内の各装置の動作を説明する図である。制御装置18は、電源供給装置20から供給された電力により、操作スイッチ19、障害物感知装置30、安全装置40、及び位置検出装置172からの各信号、並びに非常信号BSに基づいて、モータ17を制御する。
なお、図2では、制御装置18以外への商用電源の接続関係については、その図示を省略してある。
【0033】
図3は、本発明の一実施の形態によるシャッター装置の制御装置の回路構成を示す図である。本実施の形態の制御装置18は、モータ駆動回路18a、CPU18b、相電位検出器18c、及びメモリ18dなどを含んで構成されている。モータ駆動回路18aは、IPM(Intelligent Power Module:高機能電力用半導体素子)ドライバ等からなり、CPU18bの制御により、電源供給装置20から制御装置18へ供給された交流電力をモータ17へ出力して、モータ17を駆動する。
【0034】
相電位検出器18cは、例えば、フォトカプラーなどから構成され、電源供給装置20から制御装置18へ供給された交流電力の各相(R相、S相、T相)の電位を検出し、各検出信号をCPU18bへ出力する。
CPU18bは、障害物感知装置30による障害物の感知情報、及び安全装置40の作動情報を、例えば、図4を用いて後述する記録動作に従い、履歴情報としてメモリ18dに記録する。
また、CPU18bは、相電位検出器18cの各検出信号に基づき、電源供給装置20から制御装置18へ供給された交流電力の相順の異常(逆相異常)を検出して、相順異常の検出情報を、例えば、図5を用いて後述する相順確認動作に従い、履歴情報としてメモリ18dに記録する。
【0035】
図4は、履歴情報の記録動作の一例を示すフローチャートである。CPU18bは、まず、シャッターカーテン12が動作中であるか否かを判断する(ステップ401)。シャッターカーテン12が動作中でない場合、ステップ404へ進む。
【0036】
シャッターカーテン12が動作中である場合、CPU18bは、障害物感知装置30からの感知信号の有無により、障害物感知装置30が障害物を感知したか否かを判断する(ステップ402)。そして、障害物感知装置30が障害物を感知した場合、CPU18bは、障害物の感知情報を、その発生日時と共に、履歴情報としてメモリ18dに記録する(ステップ403)。そして、ステップ404へ進む。
【0037】
ステップ401でシャッターカーテン12が動作中でない場合、ステップ402で障害物感知装置30が障害物を感知しなかった場合、及び、ステップ403で障害物の感知情報を履歴情報として記録した後、CPU18bは、安全装置40からの作動信号の有無により、安全装置40が作動したか否かを判断する(ステップ404)。安全装置40が作動しなかった場合、フローの最初へ戻る。
【0038】
安全装置40が作動した場合、CPU18bは、安全装置40の作動情報を、その発生日時と共に、履歴情報としてメモリ18dに記録する(ステップ405)。そして、フローの最初へ戻る。
【0039】
図4に示した例によれば、シャッターカーテン12が動作中の障害物の感知情報に比べて重要性の低い、シャッターカーテン12が停止中の障害物の感知情報は、メモリ18dに記録されないので、重要な履歴情報が、重要性の低い新たな履歴情報によって早期に上書きされるのが防止される。従って、重要な履歴情報を有効に活用することが可能となる。
【0040】
また、シャッターカーテン12の巻き上げ過ぎ、及びシャッターカーテン12の繰り出し過ぎによるたるみを検出する安全装置40の作動情報が、履歴情報として記録され、不具合の原因の究明などに活用される。
【0041】
次に、図5は、相順確認動作の一例を示すフローチャートである。CPU18bは、まず、相電位検出器18cの各検出信号に基づき、電源供給装置20から制御装置18へ供給された交流電力のR相、S相、T相の各相が、R相、S相、T相の順で順番にオン状態になったか否かを判断する(ステップ501~503)。R相、S相、T相の各相が、R相、S相、T相の順で順番にオン状態になった場合、後述するステップ512~513の動作を行った後、フローの最初に戻る。
【0042】
ステップ501においてR相がオン状態にならなかった場合、CPU18bは、相電位検出器18cの各検出信号に基づき、S相、T相、R相の各相が、S相、T相、R相の順で順番にオン状態になったか否かを判断する(ステップ504~506)。S相、T相、R相の各相が、S相、T相、R相の順で順番にオン状態になった場合、後述するステップ512~513の動作を行った後、フローの最初に戻る。
【0043】
ステップ502においてS相がオン状態にならなかった場合、CPU18bは、相電位検出器18cの各検出信号に基づき、T相、R相、S相の各相が、T相、R相、S相の順で順番にオン状態になったか否かを判断する(ステップ507~509)。T相、R相、S相の各相が、T相、R相、S相の順で順番にオン状態になった場合、後述するステップ512~513の動作を行った後、フローの最初に戻る。
【0044】
CPU18bは、以下の(1)~(6)のいずれかの場合、電源供給装置20から供給された交流電力の相順の異常(逆相異常)が発生したものとして、シャッターカーテン12の動作を停止させる(ステップ510)。そして、CPU18bは、相順異常の検出情報を、その発生日時と共に、履歴情報としてメモリ18dに記録する(ステップ511)。そして、フローの最初に戻る。
【0045】
(1)ステップ502においてS相がオン状態になった後、ステップ503においてT相がオン状態にならなかった場合。
(2)ステップ504においてS相がオン状態になった後、ステップ505においてT相がオン状態にならなかった場合。
(3)ステップ505においてT相がオン状態になった後、ステップ506においてR相がオン状態にならなかった場合。
(4)ステップ507においてT相がオン状態にならなかった場合。
(5)ステップ507においてT相がオン状態になった後、ステップ508においてR相がオン状態にならなかった場合。
(6)ステップ508においてR相がオン状態になった後、ステップ509においてS相がオン状態にならなかった場合。
【0046】
ステップ511で相順異常の検出情報を履歴情報としてメモリ18dに記録してフローの最初に戻った後、ステップ501~503において、R相、S相、T相の各相が、R相、S相、T相の順で順番にオン状態になった場合、ステップ504~506において、S相、T相、R相の各相が、S相、T相、R相の順で順番にオン状態になった場合、及びステップ507~509において、T相、R相、S相の各相が、T相、R相、S相の順で順番にオン状態になった場合には、電源供給装置20から供給された交流電力の相順が正常に回復したことが確認できる。そこで、これらの場合に、CPU18bは、ステップ510による、相順異常が原因の動作停止中であるか否かを判断し(ステップ512)、動作停止中であれば動作停止を解除する(ステップS513)。
【0047】
図5に示した例によれば、CPU18bが、相電位検出器18cの検出結果に基づき、電源供給装置20から供給された交流電力の相順が正常に回復したことを確認したとき、相順異常が原因の動作停止を解除する(ステップ513)ので、配線の誤接続以外の理由で相順の異常(逆相異常)が発生しても、異常停止を行った後に電源を再投入する必要が無く、操作性が向上する。
【0048】
図3において、入力装置50は、例えばキーボードやタッチパネル等からなり、操作者の操作により、メモリ18dに記録された履歴情報の表示の指示を入力する。表示装置60は、例えば液晶ディスプレイ装置等などからなり、メモリ18dに記録された履歴情報を表示する。CPU18bは、入力装置50に入力された指示に応じて、メモリ18dに記録された履歴情報を表示装置60に表示させる。
操作者は、表示装置60に表示された、障害物の感知情報や相順異常の検出情報などの履歴情報から、不具合の原因を容易に究明することが可能となる。
【0049】
本発明の開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、移動間仕切装置、引き戸装置、開き戸装置、折れ戸装置、門扉装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
10…開閉体装置
11…シャッターケース
12…シャッターカーテン
13,14…ガイドレール
15…巻取シャフト
16…チェーン
17…モータ
172…位置検出装置
18…制御装置
18a…モータ駆動回路
18b…CPU
18c…相電位検出器
18d…メモリ
19…操作スイッチ
19A…上昇(開)ボタン
19B…停止(停)ボタン
19C…下降(閉)ボタン
20…電源供給装置
30…障害物感知装置
40…安全装置
50…入力装置
60…表示装置
図1
図2
図3
図4
図5