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  • 特開-表示用テープ及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090702
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】表示用テープ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 13/00 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
E01F13/00
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203153
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】504036291
【氏名又は名称】宇都宮工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 秀雄
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA11
2D101FA35
(57)【要約】
【課題】下水処理場の動力機械の可動部の範囲を示す周囲、段差の縁、あるいは、階段の縁等の被表示箇所に貼着される表示用テープあって、作業員、あるいは、その場所に立ち入る人に対して、視覚だけでなく、触覚でも注意を喚起できるようにする。
【解決手段】危険個所の存在等の内容を知らせるために、被表示箇所Aに貼着される表示用テープ1であって、その表示用テープ1の基材部2の表面には、珪砂等の砂やアンスラサイト等の鉱物、又は合成樹脂製の粒状物6が固着されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険個所の存在等の内容を知らせるために、被表示箇所に貼着される表示用テープであって、
前記表示用テープの基材部の表面には、粒状物が固着されていることを特徴とする表示用テープ。
【請求項2】
前記粒状物は、珪砂等の砂やアンスラサイト等の鉱物、又は合成樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載の表示用テープ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表示用テープを製造する方法であって、前記表示用テープの基材部の表面に接着剤を塗布し、その塗布された接着剤が固化する前に多数の粒状物を散布し、その塗布された接着剤が固化することにより前記粒状物が前記接着剤層に固着されることを特徴とする表示用テープの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示用テープ及びその製造方法に係り、特に、安全性を高めたものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、危険個所への立ち入り禁止を表示したり、あるいは、段差等の注意を要する箇所を表示したりする手段として表示用テープが用いられている。例えば、この表示用テープは、下水処理場の動力機械の可動部の範囲を示す周囲、段差の縁、あるいは、階段の縁等に貼着され、作業員やその場所に立ち入らなければならない人に対して、注意が喚起されるようになっている。
【0003】
この表示用テープは、傾斜した黄色と黒色とを交互に配色されていることから動物の虎を連想させるので、通常、「トラテープ」、あるいは単に「トラ」と呼ばれていて、JIS では、黄色と黒色の幅は同じとされ、それぞれの斜線の角度は45°と定められている。また、特許文献1には、黄色と、黒色以外の赤や青等の他の色とを組み合わせて、注意の内容も表示できるトラテープが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3081355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のトラテープと称される表示用テープは、危険個所や段差等の注意を要する箇所に貼着し、作業員やその場所に立ち入らなければならない人に対して、注意を喚起できるようになっているが、その注意喚起力は、人の視覚によって行われている。したがって、その場所に長時間、立ち入って作業する作業員にとっては、表示用テープがいつも視界の範囲内にあるために慣れにより注意喚起力が薄れるおそれがある。また、このような場所は、作業員以外に一般の人が立ち入る箇所でないので、面積が広くなかったり、その場所に行き来する階段が狭かったり、また、その階段が急だったり、さらには、水濡れしやすい場所であったりして、危険の度合いが高いという性質を有している。このため、さらなる注意喚起が得られる表示用テープの出現が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記要望を実現するためになされたものであって、その目的は、視覚による注意喚起だけでなく、触覚でも注意喚起が得られる表示用テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る表示用テープは、上記目的を達成するために、危険個所の存在等の内容を知らせるために、被表示箇所に貼着される表示用テープであって、その表示用テープの基材部の表面には、多数の粒状物が前記基材部の表面から突出した状態に固着されていることを特徴とする。
本発明の表示用テープにおいて、前記粒状物は、珪砂等の砂やアンスラサイト等の鉱物、又は合成樹脂製であってもよい。
本発明の表示用テープの製造方法は、前記表示用テープの製造方法であって、前記表示用テープの基材部の表面に接着剤を塗布し、その塗布された接着剤が固化する前に多数の粒状物を散布し、その塗布された接着剤が固化することにより前記粒状物が前記接着剤層に固着される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の表示用テープは、その表示用テープの基材部の表面に、珪砂等の砂やアンスラサイト等の鉱物、又は合成樹脂製等の粒状物が固着されているので、この表示用テープが下水処理場の動力機械の可動部の範囲を示す周囲、段差の縁、あるいは、階段の縁等の被表示箇所に貼着されたときは、作業員、あるいは、その場所に立ち入る人に対して、視覚だけでなく、触覚でも注意を喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る表示用テープの平面図ある。
図2図1のX-X線断面図である。
図3】表示用テープを巻回した状態の斜視図である。
図4】表示用テープの使用例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示される表示用テープ1は、階段や段差の縁などの被表示箇所Aに貼着している状態の一部分の長さの平面図である。
この表示用テープ1は、図2の断面図に示されるように、基材部2、粘着剤層3、剥離紙4、接着剤層5及び粒状物6で構成されている。この図2は、図面の煩雑化を避けるために断面を表すハッチングは省略されている。また、粒状物6の実際の大きさは、表示用テープ1の幅及び長さに対して極めて小さいので、理解を容易にするために、基材部2に対して粒状物6を誇張して示している。
【0011】
基材部2は、周知のトラテープの基材部と同様に、合成樹脂製からなり、所定幅及び厚さを有する長尺状に形成されている。なお、基材部2の材質は、合成樹脂でなく布製等の他の材質であってもよい。この基材部2の上面(図2において上側の面)には、周知のトラテープと同様に、黄色部2aと黒色部2bが同じ幅で、それぞれの斜線の角度が45°を保って印刷されている。なお、図1及び後述の図3において、黒色部2bは、粒状物6が黒色部2b上で認識できるように網掛けで示されている。
【0012】
粘着剤層3は、周知のトラテープの基材に塗布されている粘着剤と同様に、基材部2の下面(図2において下側の面)全体に塗布されている。この粘着剤層3に塗布される粘着剤は、基材部2が被表示箇所Aに貼られたときに容易に剥がれない強度のものが選択される。
【0013】
剥離紙4は、珪素樹脂を塗布した紙等の周知の剥離紙からなり、周知のトラテープに用いられていると同様に、粘着剤層を保護するように設けられている。この剥離紙4は、図2に示されるように、表示用テープ1が被表示箇所Aに貼られるときには、粘着剤層3から容易に剥がれる強さで粘着剤層3に付着している。
【0014】
接着剤層5は、基材部2の上面に塗布されていて、固化したときには透明又は半透明を呈する性質の周知の接着剤が選択される。したがって、接着剤層5により、基材部2の上面に印刷されている黄色部2a及び黒色部2bの表示が損なわれることはない。
【0015】
粒状物6は、砂やアンスラサイト等の鉱物の粒子や、硬質の合成樹脂製の粒子で、ある程度の硬度及び粒径を有するものから選ばれる。その選定基準は、表示用テープ1の上を作業員等の人が踏んだときに、何かザラザラしたものに乗ったという感覚を与えられるものであれば採用することができる。
【0016】
この粒状物6は、基材部2の上面に固着されている。その固着方法は、基材部2の上面に接着剤を塗布した直後、すなわち、塗布された接着剤が固化する前に、接着剤の塗布層上に粒状物6が散布される。そして、その接着剤層5が固化することにより基材部2の上面に散布された粒状物6の下端部が接着剤層5に固着され、表示用テープ1と一体化される。各粒状物6は接着剤層5の表面よりも突出している。
【0017】
粒状物6の散布量は、基材部2の上面に印刷されている黄色部2a及び黒色部2bの表示が損なわれない範囲で決められるが、粒状物が珪砂や透明性に優れた合成樹脂製の場合には、散布量を増やすことができる。
【0018】
また、この表示用テープ1は、図3に示されるように、巻回物として流通され、さらに、図4に示されるように、階段のような被表示箇所Aに合わせて所定長さに切断して使用されるので、カッターによる切断性を考慮して粒状物6の材質が適宜、選択される。なお、図1及び図2に示される符号cは、表示用テープ1の切断位置を示している。
【0019】
上記構成からなる表示用テープ1の使用方法は、図3に示されるように巻回物を呈している表示用テープ1を、図4に示される階段のような被表示箇所Aに合わせて切断し、その切断された表示用テープ1(粘着剤層3)から剥離紙4を剥がし、次いで、粘着剤層3を被表示箇所Aに貼り付けて使用される。又は、図2に示されるように、剥離紙4を表示用テープ1(粘着剤層3)から剥がすと同時に粘着剤層3を表示箇所Aに貼り付け、その後、表示用テープ1を図1及び図2のcで示す位置で切断するようにして使用される。
【0020】
上記構成からなる表示用テープ1は、表示用テープ1の表面に粒状物6が設けられているので、表示用テープ1の上を作業員等の人が踏んだとき、何かザラザラしたものに乗ったという感覚が与えられるから、表示用テープ1の視覚による注意喚起の他に、触感による注意喚起が得られ、より注意喚起に優れた表示用テープとすることができる。また、粒状物6が滑り止めの効果を有しているので、人がその表示用テープ1を無意識のうちに踏んだときには、今までと違った抵抗感を感じて、表示用テープ1の存在を認識することができるだけでなく、滑りを防止することができる。このため、安全性に優れた表示用テープとすることができる。
【0021】
以上、本発明に係る表示用テープについて図面を参照して説明したが、具体的な構成は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において設計変更等が可能である。
【0022】
特に、上述の例では、表示用テープ1が巻回物とされているが、長さが30cmや50cm等の所定長さの長尺物とすることもできる。さらには、平面形態が長尺状ではなく、一辺の長さが30cm等の正方形や、長辺の長さが50cm、短辺の長さが15cm等の矩形、その他の平面形状とすることもできる。したがって、本発明で表示用テープというときは、このような平面形状をも含んでいる。
【0023】
また、上述の例では、表示用テープ1に表示される模様はトラ模様ではなく、長手方向中央部に連続した黒色帯の表示とするような、種々の模様とすることもできるし、黄色と赤色等の種々の組み合わせとすることもできる。さらには、表示用テープ1の上面に印刷される色模様を、接着剤層5上に散布される粒状物6の色彩を異ならせて形成することもできる。
【符号の説明】
【0024】
1……表示用テープ
2……基材部
2a……黄色部
2b……黒色部
3……粘着剤層
4……剥離紙
5……接着剤層
6……粒状物
A……被表示箇所(階段)
c……切断箇所
図1
図2
図3
図4