(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090768
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】紫外線治療器
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
A61N5/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203269
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】柴田 弘
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA03
4C082PE10
4C082PG20
4C082RA01
(57)【要約】
【課題】LEDを光源とした紫外線治療器において、操作者がより安定的に患部に紫外線を照射できるようにする。
【解決手段】紫外線治療器1は、紫外線を含む光を放射する光放射窓23を有する光照射部21と、光照射部21に連結され、操作者が把持する把持部22と、を備える。光照射部21は、光放射窓23を有する筐体24と、筐体24内において光放射窓23に対向して設けられたLED基板25bと、筐体24内においてLED基板25bの光放射窓23とは反対側の面に取り付けられたヒートシンク27と、を備える。把持部22は、筐体24の側面におけるヒートシンク27の配置位置、または、ヒートシンク27の配置位置よりも光放射窓23とは反対側の位置から延伸しており、その延伸方向が、光放射窓23、LED基板25bおよびヒートシンク27の配列方向と交差する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線を含む光を放射する光放射窓を有する光照射部と、
前記光照射部に連結され、操作者が把持する把持部と、を備え、
前記光照射部は、
前記光放射窓を有する筐体と、
前記筐体内において前記光放射窓に対向して設けられ、前記光放射窓に向けて前記紫外線を含む光を出射するLED光源が実装されたLED基板と、
前記筐体内において前記LED基板の前記光放射窓とは反対側の面に取り付けられ、前記LED基板の熱を放熱するヒートシンクと、を備え、
前記把持部は、前記筐体の側面における前記ヒートシンクの配置位置、または、前記ヒートシンクの配置位置よりも前記光放射窓とは反対側の位置から延伸しており、その延伸方向が、前記光放射窓、前記LED基板および前記ヒートシンクの配列方向と交差することを特徴とする紫外線治療器。
【請求項2】
前記把持部は、前記筐体の前記側面から、前記光放射窓、前記LED基板および前記ヒートシンクの配列方向に対して直交する方向に延伸していることを特徴とする請求項1に記載の紫外線治療器。
【請求項3】
前記把持部は、前記筐体の前記側面から、前記光放射窓、前記LED基板および前記ヒートシンクの配列方向に対して傾斜する方向であり、かつ、前記光放射窓から離れる方向に延伸していることを特徴とする請求項1に記載の紫外線治療器。
【請求項4】
前記把持部は、前記筐体の前記側面から、前記光放射窓から離れる方向に湾曲して延伸していることを特徴とする請求項1に記載の紫外線治療器。
【請求項5】
前記光照射部および前記把持部の外部に設けられ、接続線を介して前記LED光源に電力を供給する駆動ユニットを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の紫外線治療器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とした紫外線治療器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光線治療として、UVA(波長320nm~400nm)、UVB(波長280~320nm)といった波長域の紫外線を用いる紫外線治療が存在する。紫外線治療とは、紫外線照射により免疫抑制を図り、治療効果を得るものである。
紫外線によって皮膚疾患を治療する紫外線治療器として、例えば特許文献1には、紫外線源としてランプ光源を備えたものが開示されている。
【0003】
一方、近時ではLEDの開発が著しく、一般照明のみならず、多くの工業機械機器、産業用機械においても、ランプからLEDへ光源の切り替えが進んでいる。また、LEDは、可視光域にとどまらず紫外領域においても高出力化が進み、医療分野においても光源のLED化が期待されている。
LEDを光源として用いた場合、概して、ランプの電源装置よりも簡単な回路構成を実現でき、装置の小型化、軽量化が可能である。そのため、紫外線治療器においても、ランプ光源に替えてLEDを光源として用いることが検討されており、近年、紫外線の光源として紫外線発光素子(UVLED)を用いた紫外線治療器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医師等の施術者(操作者)は、紫外線治療器を把持し、患者の患部に紫外線の放射窓を押し当て、当該放射窓を介して患部に紫外線を照射する。そのため、紫外線治療器には、操作者が当該紫外線治療器を持ち運び、患者の患部に押し当てるための把持部が設けられる。
この把持部の位置や形状などは、持ちやすさや照射しやすさなどのユーザビリティを考慮して決定される必要がある。しかしながら、LEDを光源とした紫外線治療器において、この点について明記されているものはない。
【0006】
そこで、本発明は、LEDを光源とした紫外線治療器において、操作者がより安定的に患部に紫外線を照射できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る紫外線治療器の一態様は、紫外線を含む光を放射する光放射窓を有する光照射部と、前記光照射部に連結され、操作者が把持する把持部と、を備え、前記光照射部は、前記光放射窓を有する筐体と、前記筐体内において前記光放射窓に対向して設けられ、前記光放射窓に向けて前記紫外線を含む光を出射するLED光源が実装されたLED基板と、前記筐体内において前記LED基板の前記光放射窓とは反対側の面に取り付けられ、前記LED基板の熱を放熱するヒートシンクと、を備え、前記把持部は、前記筐体の側面における前記ヒートシンクの配置位置、または、前記ヒートシンクの配置位置よりも前記光放射窓とは反対側の位置から延伸しており、その延伸方向が、前記光放射窓、前記LED基板および前記ヒートシンクの配列方向と交差する。
【0008】
このように、LEDを光源とした紫外線治療器において、重量の面で大きな要素となるヒートシンクの配置位置を考慮して把持部を設ける。把持部の延伸方向を光照射部の構成部材(光放射窓、LED基板およびヒートシンク)の配列方向と交差させる、すなわち、把持部と光照射部の構成部材とが一直線に並ばない構造とすることで、操作者は、例えば光放射窓を正面に向けた状態でも安定的に光照射部を保持することができる。したがって、患者とは異なる人物による紫外線照射(治療)を安定的に行うことができる。
さらに、把持部がヒートシンク近傍に位置する場合、治療具の重心に近い位置を保持することができるので、操作者は、安定して治療具を持つことができ、光照射部を患部に対して安定的にあてがうことが可能となる。また、把持部がヒートシンクよりも後方(光放射窓とは反対側)に位置する場合にも、照射時に治療具の重量を患部に預けることが容易となり、操作者は、光照射部を患部に対して安定的にあてがうことが可能となる。
【0009】
また、上記の紫外線治療器において、前記把持部は、前記筐体の前記側面から、前記光放射窓、前記LED基板および前記ヒートシンクの配列方向に対して直交する方向に延伸していてもよい。
例えば、把持部(把持棒)をヒートシンクの配置位置から光照射部の構成部材の配列方向に対して直交する方向に延伸させた場合、光照射部を上にした状態において治療具の重心に近い位置を保持することができるので、操作者は治療具を安定して操作することができる。また、把持部(把持棒)をヒートシンクの配置位置よりも後方から光照射部の構成部材の配列方向に対して直交する方向に延伸させた場合、光照射部を上にした状態において治療具の重心よりも後方を保持することになるため、患部に対して治療具を上方から当接させるときに治療具の重量を患部に預けやすく、光照射部を患部に対して安定してあてがうことができる。
【0010】
さらに、上記の紫外線治療器において、前記把持部は、前記筐体の前記側面から、前記光放射窓、前記LED基板および前記ヒートシンクの配列方向に対して傾斜する方向であり、かつ、前記光放射窓から離れる方向に延伸していてもよい。
この場合、光照射部を差し込むようにしたほうが照射しやすい場所に患部がある場合、治療が行いやすい。さらに、光放射窓から遠い位置で把持部を把持することができるので、患者との距離を保ちつつ、患者の患部に対して紫外線照射を行うことができる。
【0011】
また、上記の紫外線治療器において、前記把持部は、前記筐体の前記側面から、前記光放射窓から離れる方向に湾曲して延伸していてもよい。
例えば、把持部を筐体の側面からヒートシンクの後方まで湾曲させた場合、重量のある光照射部を下げるようにして治療具を安定して持つことができ、治療具の持ち運びがしやすい。また、患部への光照射部の押し当てやすさも向上させることができる。
【0012】
さらに、上記の紫外線治療器は、前記光照射部および前記把持部の外部に設けられ、接続線を介して前記LED光源に電力を供給する駆動ユニットを備えていてもよい。
この場合、治療具(光照射部、把持部)の中でヒートシンクが最も重い構成部材となる。このように最も重いヒートシンクの配置位置を考慮して把持部の位置を決定することで、操作者がより安定的に患部に紫外線を照射することができる紫外線治療器とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、LEDを光源とした紫外線治療器において、操作者がより安定的に患部に紫外線を照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態における紫外線治療器の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
各図面において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0016】
図1は、本実施形態における紫外線治療器1の構成例を示すブロック図である。
紫外線治療器1は、紫外線を含む光を放射するLED光源を有する治療具2と、治療具2に電力を供給するとともに上記LED光源を制御する本体部4と、を備える。治療具2は、片手で持ち運ぶことが可能な構成(ハンドヘルドタイプの構成)であって、操作者により、接続線6が伸びる範囲で、本体部4に対して自由に変位可能である。ここで、上記操作者は、患者とは異なる人物(例えば、医師、看護師など)である。
なお、以下の説明においては、紫外線および紫外線を含む光を、単に「光」と呼ぶこともある。
【0017】
治療具2は、LED光源を収容する光照射部21と、操作者が片手で握るための把持部(把手)22と、光照射部21に設けられて光を放射する光放射窓23と、を備える。
本体部4は、入力部41と、表示部42と、電源ユニット43と、制御ユニット44と、LED駆動ユニット45と、を備える。治療具2と本体部4とは接続線6により接続されており、当該接続線6は、太線で示す電源線6aと、細線で示す信号線6bとを備える。
【0018】
入力部41は、操作者により入力された情報を受け取り、その情報を制御ユニット44に出力する。操作者により入力される情報には、患部に照射する紫外線の照射量に関する情報が含まれる。
表示部42は、紫外線の照射強度や照射時間、紫外線照射中の経過時間などを表示することができる。また、表示部42は、紫外線治療器1において何らかの異常が発生した場合には、異常が発生していることを示す情報(エラーメッセージなど)を表示することもできる。
【0019】
電源ユニット43は、外部電源8から供給された電力を、後段の各ユニットに適切な電圧に変換し、供給する。
制御ユニット44は、入力部41から入力された情報をもとに、LED駆動ユニット45を制御し、治療具2が有するLED光源の照射量(照度または照射時間)を制御する。
LED駆動ユニット45は、制御ユニット44からの制御信号に従い、LED光源に給電を行う。
【0020】
以下、操作者が本実施形態の紫外線治療器1を用いて患部に紫外線を照射する手順について説明する。
まず、操作者は、入力部41を操作して、患部に照射する紫外線の照射量(照射時間および照射強度)に関する情報を入力する。次に操作者は、治療具2の把持部22を持ち、光放射窓23を患部に当接もしくは近接させる。
そして、操作者は、例えば把持部22に設けられたスイッチ(不図示)を押す。すると、治療具2が有するLED光源が点灯し、患部への紫外線照射が開始される。
その後、紫外線照射が入力された照射量に達する(設定された照射時間に達する)と、自動的にLED光源が消灯する。
【0021】
以下、治療具2の構成について、
図2を参照しながら詳細に説明する。
図2に示すように、治療具2の光照射部21は、光放射窓23を有する筐体24を備える。筐体24には開口が設けられており、当該開口に光放射窓23が取り付けられている。筐体24の形状は、例えば直方体形状とすることができる。また、光放射窓23の形状は、例えば50mm×50mmの矩形状とすることができる。
筐体24は、光源部25、導光部26、ヒートシンク27およびファン28を収容する。
【0022】
光源部25は、紫外線を含む光を放射する複数のLED25aと、当該複数のLED25aが実装されたLED基板25bと、を備える。LED25aは、例えば20個以上とすることができる。
LED25aは、例えば308nm以上370nm以下の範囲の波長に発光ピークを有する紫外線を出射するUV-LEDである。このLED25aから出射される紫外線は、皮膚疾患を治療するための治療光である。
【0023】
例えば中波紫外線(波長308nm~313nm)は、乾癬、類乾癬、掌蹠膿疱症、悪性リンパ腫、菌状息肉腫、慢性苔癬状粃糠疹、尋常性白斑、アトピー性皮膚炎などに有効な光であることが知られている。また、例えば長波紫外線(波長340nm~400nm)は、皮膚T細胞性リンパ腫、菌状息肉腫、強皮症、異汗性湿疹などに有効な光であることが知られている。
LED25aは、治療対象とする皮膚疾患に応じた波長を有する紫外線を出射する。
【0024】
LED基板25bは、LED25aが実装された面を光放射窓23に対向させて配置されている。LED基板25bは、実装部品(LED25a)の熱をヒートシンク27に効率良く伝導させるために、基板ベースまたはコアに金属を用いている。ここで、基板ベースやコアに用いられる金属としては、熱伝導性の高いアルミや銅などを用いることができる。
【0025】
導光部26は、LED25aから放射された光を光放射窓23に導く導光路であり、LED25aから光放射窓23までの区間の筐体24により構成される。導光部26を構成する筐体24の内周面は、反射体により構成されていてもよい。この場合、導光部26は、LED25aから放射された光および当該反射体の内周面で反射された光を光放射窓23に導く。
この導光部26は、LED25aから被照射部(患部)までの距離を一定または略一定にするためのものである。紫外線照射時に、常に光放射窓23を患部に当接させるようにすれば、LED25aから被照射部までの距離を常に一定にすることができ、被照射領域(治療領域)に照射される紫外線の照度と均一度とを、常に予め設定された値とすることができる。
【0026】
このように、導光部26は筒状のフレーム(筐体24)からなり、導光部26を構成する筐体24の端部には光放射窓23が設けられているだけである。そのため、この部分の重量は小さい。
なお、この導光部26におけるLED25aと光放射窓23との間には、LED25aの放射光のうち、所望の波長範囲の光のみを透過する波長選択フィルタが配置されていてもよい。
【0027】
ところで、本実施形態の紫外線治療器1の光源としても用いられているUV-LEDは、開発途上であり、可視光LEDに比べて発光効率が低い。そのため、UV-LEDに供給した電力のうちの大部分は熱となる。このUV-LEDからの発熱を適切に放熱しないと、放射光の波長にばらつきが生じたり、LED素子が熱的に破損したりするなどの事象が生じる。そのため、UV-LEDを使用する場合は、積極的に放熱を行うために放熱部が必要となる。
【0028】
本実施形態では、光照射部21は、LED25aからの熱を放熱するための放熱部として、ヒートシンク27およびファン28を備える。
ヒートシンク27は、ベース部27aと、フィン部27bと、を備える。ベース部27aは、LED基板25bにおけるLED25aが実装されている面とは反対側の面に取り付けられている。フィン部27bは、ベース部27aに取り付けられた多数のフィンにより構成されている。ヒートシンク27(ベース部27a、フィン部27b)は、熱伝導性の高いアルミや銅などにより構成される。
【0029】
光源部25は、上記のように多数のLED(UV-LED)25aを備えるため、発熱量が大きい。そのため、放熱効率を上げるために、ヒートシンク27のフィンの表面積を広くする必要がある。つまり、ヒートシンク27はやや大型になる。なお、フィン形状は任意である。
このように、ヒートシンク27は、アルミや銅などの熱伝導性の良い金属からなり、比較的大型であるため、重量が大きい。ヒートシンク27の重量は、治療具2の重量の大部分を占める。
ファン28は、ヒートシンク27のフィン部27bに冷却風を送り、ヒートシンク27の放熱性能を向上させる。ファン28は、ヒートシンク27よりは軽量である。なお、ファン28の配置位置は、
図2に示す位置に限定されない。
【0030】
以上のように、本実施形態における紫外線治療器1の治療具2は、紫外線を含む光を放射する光照射部21と、光照射部21に連結され、操作者が把持する把持部22と、を備える。光照射部21は、光放射窓23を有する筐体24と、光源部25(LED25a、LED基板25b)と、導光部26と、ヒートシンク27と、を備え、光放射窓23、LED基板25b、ヒートシンク27が、
図2に示すように、この順番で直線状に配列された構成を有する。
そして、把持部22は、筐体24の側面におけるヒートシンク27の配置位置またはその近傍から延伸して設けられている。具体的には、把持部22は、光放射窓23、LED基板25bおよびヒートシンク27の配列方向(
図2の左右方向)に対して直交する方向に延伸している。把持部22は、
図2に示すように、直線状の棒状部材(把持棒)とすることができる。
なお、把持部22には、操作者が当該把持部22を握っている手の指で操作できる位置に、LED25aの点灯を指示するためのスイッチが設けられていてもよい。
【0031】
このように、本実施形態における紫外線治療器1の治療具2は、筐体24の側面から延伸し、その延伸方向が、光放射窓23、LED基板25bおよびヒートシンク27の配列方向と交差する把持部22を備える。把持部22が、光放射窓23、LED基板25bおよびヒートシンク27と一直線に並ばない構造とすることで、患者とは異なる人物(例えば、医師や看護師)が治療具2を操作する場合の操作性を向上させることができる。
【0032】
また、本実施形態では、把持部22を、筐体24の側面におけるヒートシンク27の配置位置から延伸して設ける。
本実施形態における紫外線治療器1は、電源ユニット43やLED駆動ユニット45といった電源系が治療具2とは別体の本体部4に搭載されており、LED駆動ユニット45は、接続線6(電源線6a)を介してLED光源25aに電力を供給する。このように、治療具2の外部に電源系が設けられているため、治療具2において一番重い構成要素はヒートシンク27である。
したがって、把持部22を、筐体24の側面におけるヒートシンク27の配置位置から延伸して設けることで、操作者は、治療具2の重心に近い位置を適切に保持することができる。つまり、操作者が光照射部21を上にして把持部22を持つと、ヒートシンク27の重量が把持部22にかかり、操作者は、安定して治療具2を持つことができる。そのため、操作者は、光照射部21を患部に対して安定的にあてがうことができる。
【0033】
(他の実施形態)
上記実施形態においては、把持部22が、筐体24の側面におけるヒートシンク27の配置位置から延伸している場合について説明した。しかしながら、把持部22は、ヒートシンク27の配置位置よりも後方(光放射窓23とは反対側)の位置から延伸していてもよい。
具体的には、
図3に示す治療具2Aのように、筐体24の側面におけるファン28の配置位置から延伸するように把持部22Aが設けられていてもよい。つまり、治療具2において、光放射窓23が形成された面を前面とした場合、ヒートシンク27のフィン部27bよりも後方に把持部22Aが位置していてもよい。
【0034】
この場合、操作者は、光照射部21を上にした状態において治療具2の重心よりも後方を保持することになる。そのため、操作者が光放射窓23を下方に向けて治療具2Aを患部に当接させるとき、治療具2Aの重量を患部に預けやすくすることができる。つまり、ヒートシンク27の重みを利用して、光照射部21の押し付けやすさを向上させることができる。したがって、治療具2Aを患部に対してより安定的にあてがうことができる。また、紫外線照射時には、
図2に示す治療具2よりも操作者が把持部22Aに加える力を少なくすることができる。
【0035】
また、
図4に示す治療具2Bのように、筐体24の側面から斜めに延伸するように把持部22Bが設けられていてもよい。ここで、把持部22Bは、筐体24の側面から、光放射窓23、LED基板25bおよびヒートシンク27の配列方向に対して傾斜する方向であり、かつ、光放射窓23から離れる方向(ファン28側)に延伸している。
この場合、
図2の治療具2と
図3の治療具2Aの両方の利点が得られる。
【0036】
また、把持部22Bが、筐体24の側面から、光放射窓23から離れる方向に斜めに設けられているため、光照射部21を差し込むようにしたほうが照射しやすい場所に患部がある場合、治療が行いやすい。さらに、光放射窓23から遠い位置で把持部22Bを把持することができるので、患者との距離を保ちつつ紫外線照射を行うことができる。把持部22Bを持つ操作者の手が、患者の身体の他の部分に触れる可能性を低くすることができるので、患者のストレスを軽減することができる。
なお、
図4では、把持部22Bがヒートシンク27の配置位置から延伸する場合について示しているが、把持部22Bは、上述した
図3の把持部22Aと同様に、ヒートシンク27よりも後方の位置から延伸していてもよい。
【0037】
さらに、
図5に示す治療具2Cのように、筐体24の側面から湾曲して延伸するように把持部22Cが設けられていてもよい。ここで、把持部22Cは、筐体24の側面から、光放射窓23から離れる方向(ファン28側)に延伸している。
この場合、操作者が光照射部21を下にして把持部22Cを持つと、ヒートシンク27の重量が把持部22Cにかかり、重量のある光照射部21を下げるようにして安定して治療具2Cを持つことができる。そのため、治療具2Cの持ち運びがしやすい。
また、把持部22Cは、筐体24の側面からファン28の後方まで湾曲されており、光放射窓23、LED基板25bおよびヒートシンク27と一直線に並ぶ位置に、これらの構成部材の配列方向に直交する方向に延伸する部分を有する。操作者は、この部分を把持して光照射部21を患部に押し当てることができるので、当該光照射部21の押し付けやすさをより向上させることができる。
【0038】
なお、この治療具2Cにおいて、ファン28が後方(
図5の右方向)から排気をする構成である場合、把持部22Cを持つ手にファン28からの風が当たってしまう。そのため、把持部22Cを持つ手にファン28からの風が当たらないように、ファン28の排気口の位置を考慮することが好ましい。
また、
図5では、把持部22Cがヒートシンク27の配置位置から延伸する場合について示しているが、把持部22Cは、上述した
図3の把持部22Aと同様に、ヒートシンク27よりも後方の位置から延伸していてもよい。また、把持部22Cの湾曲形状は、
図5に示す形状に限定されない。
【0039】
本発明の紫外線治療器においては、上記の実施の形態に限定されず、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、筐体21の形状は、円柱形状など任意の形状であってよい。また、把持部22には、操作者が把持部22を安定的に把持するための段差や突起などが設けられていてもよい。
また、本実施形態においては、操作者が患者とは異なる場合について説明したが、患者が治療具を持って操作してもよい。
【0040】
1…紫外線治療器、2…治療具、4…本体部、21…光照射部、22…把持部、23…光放射窓、24…筐体、25a…LED、25b…LED基板、26…導光部、27…ヒートシンク、27a…ベース部、27b…フィン部、28…ファン