(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090792
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】弾性波デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
H03H 3/08 20060101AFI20220613BHJP
H03H 9/25 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
H03H3/08
H03H9/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203313
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】清水 洋平
(72)【発明者】
【氏名】土門 啓
【テーマコード(参考)】
5J097
【Fターム(参考)】
5J097AA26
5J097AA32
5J097DD14
5J097GG03
5J097GG04
5J097HA04
5J097KK10
(57)【要約】
【課題】配線の断線を抑制しつつ、圧電層に設けられた開口内に構造体を良好に形成可能な弾性波デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】弾性波デバイスの製造方法は、支持基板10上に設けられた圧電層13をエッチングして、圧電層13の側面が支持基板10に対して傾斜した開口17を圧電層13に形成する工程と、圧電層13をエッチングして、圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角が開口17よりも大きい開口18を圧電層13に形成する工程と、開口17における支持基板10上から圧電層13上に渡って設けられ、圧電層13に弾性波を励振させる弾性波素子15に電気的に接続される配線30を形成する工程と、開口18における支持基板10上に柱状体70を形成する工程とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板上に設けられた圧電層をエッチングして、前記圧電層の側面が前記支持基板に対して傾斜した第1開口を前記圧電層に形成する工程と、
前記圧電層をエッチングして、前記圧電層の側面と前記支持基板との間の前記圧電層側のなす角が前記第1開口よりも大きい第2開口を前記圧電層に形成する工程と、
前記第1開口における前記支持基板上から前記圧電層上に渡って設けられ、前記圧電層に弾性波を励振させる弾性波素子に電気的に接続される配線を形成する工程と、
前記第2開口における前記支持基板上に構造体を形成する工程と、を備える弾性波デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記第2開口を形成した後に、前記支持基板上にネガ型のレジスト膜を塗布する工程と、
前記レジスト膜に対して露光及び現像を行い、前記レジスト膜に前記第2開口に位置するレジスト開口部を形成する工程と、を備え、
前記構造体を形成する工程は、前記レジスト膜をマスクに用いて前記構造体を形成する、請求項1に記載の弾性波デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記レジスト膜を塗布する前に前記支持基板上にシード層を成膜する工程を備え、
前記構造体を形成する工程は、前記シード層を用いた電解めっき法によって前記構造体を形成する、請求項2に記載の弾性波デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記第2開口を形成する工程は、前記支持基板の断面を見たとき前記圧電層で両側から挟まれた前記第2開口を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の弾性波デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記第2開口を形成する工程は、前記圧電層で周囲が囲まれた前記第2開口を形成する、請求項1から4のいずれか一項に記載の弾性波デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記第1開口を形成する工程は、前記圧電層の側面と前記支持基板との間の前記圧電層側のなす角が20°以上60°以下である前記第1開口を形成し、
前記第2開口を形成する工程は、前記圧電層の側面と前記支持基板との間の前記圧電層側のなす角が70°以上100°以下である前記第2開口を形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の弾性波デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記支持基板上に前記弾性波素子を囲む枠体を形成する工程と、
前記弾性波素子との間に空隙が形成されるように前記枠体上にリッドを形成する工程と、を備え、
前記構造体を形成する工程は、前記空隙内で前記支持基板と前記リッドとの間に位置する柱状体を形成する工程である、請求項1から6のいずれか一項に記載の弾性波デバイスの製造方法。
【請求項8】
前記圧電層は、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムからなる単結晶圧電材料である、請求項1から7のいずれか一項に記載の弾性波デバイスの製造方法。
【請求項9】
前記構造体を形成する工程は、前記圧電層との間に空隙を介し離れた柱状体構造を形成する工程である、請求項1から8のいずれか一項に記載の弾性波デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性波デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン等の通信機器に用いられる弾性波素子として弾性表面波共振器等が知られている。弾性表面波共振器を形成する圧電層を支持基板に接合することが知られている(例えば、特許文献1)。基板の第1面上に弾性波素子を設け、第1面とは反対の第2面上に端子を設け、弾性波素子と端子を基板に設けられたビア配線を介して電気的に接続させることが知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-034363号公報
【特許文献2】特開2016-201780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
弾性波素子に電気的に接続される配線が圧電層に設けられた開口における支持基板上から圧電層上に渡って設けられる場合、配線の断線を抑制するために、開口における圧電層の側面は傾斜していることが好ましい。圧電層に複数の開口を形成する場合、製造コストを低く抑えるために複数の開口を同時に形成することが通常行われる。したがって、配線が形成されない開口においても圧電層の側面が傾斜する。しかしながら、このような開口内に構造体を形成する場合に、構造体を良好に形成できないことがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、配線の断線を抑制しつつ、圧電層に設けられた開口内に構造体を良好に形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、支持基板上に設けられた圧電層をエッチングして、前記圧電層の側面が前記支持基板に対して傾斜した第1開口を前記圧電層に形成する工程と、前記圧電層をエッチングして、前記圧電層の側面と前記支持基板との間の前記圧電層側のなす角が前記第1開口よりも大きい第2開口を前記圧電層に形成する工程と、前記第1開口における前記支持基板上から前記圧電層上に渡って設けられ、前記圧電層に弾性波を励振させる弾性波素子に電気的に接続される配線を形成する工程と、前記第2開口における前記支持基板上に構造体を形成する工程と、を備える弾性波デバイスの製造方法である。
【0007】
上記構成において、前記第2開口を形成した後に、前記支持基板上にネガ型のレジスト膜を塗布する工程と、前記レジスト膜に対して露光及び現像を行い、前記レジスト膜に前記第2開口に位置するレジスト開口部を形成する工程と、を備え、前記構造体を形成する工程は、前記レジスト膜をマスクに用いて前記構造体を形成する構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記レジスト膜を塗布する前に前記支持基板上にシード層を成膜する工程を備え、前記構造体を形成する工程は、前記シード層を用いた電解めっき法によって前記構造体を形成する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記第2開口を形成する工程は、前記支持基板の断面を見たとき前記圧電層で両側から挟まれた前記第2開口を形成する構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記第2開口を形成する工程は、前記圧電層で周囲が囲まれた前記第2開口を形成する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記第1開口を形成する工程は、前記圧電層の側面と前記支持基板との間の前記圧電層側のなす角が20°以上60°以下である前記第1開口を形成し、前記第2開口を形成する工程は、前記圧電層の側面と前記支持基板との間の前記圧電層側のなす角が70°以上100°以下である前記第2開口を形成する構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記支持基板上に前記弾性波素子を囲む枠体を形成する工程と、前記弾性波素子との間に空隙が形成されるように前記枠体上にリッドを形成する工程と、を備え、前記構造体を形成する工程は、前記空隙内で前記支持基板と前記リッドとの間に位置する柱状体を形成する工程である構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記圧電層は、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムからなる単結晶圧電材料である構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記構造体を形成する工程は、前記圧電層との間に空隙を介し離れた柱状体構造を形成する工程である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配線の断線を抑制しつつ、圧電層に設けられた開口内に構造体を良好に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1(a)は、実施例1に係る弾性波デバイスの平面図、
図1(b)は、
図1(a)のA-A間の断面図である。
【
図2】
図2は、実施例1における弾性波素子の平面図である。
【
図3】
図3は、
図1(a)のB-B間及びC-C間の断面図である。
【
図4】
図4(a)から
図4(d)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図5】
図5(a)から
図5(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図6】
図6(a)から
図6(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その3)である。
【
図7】
図7(a)から
図7(d)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その4)である。
【
図8】
図8(a)から
図8(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その5)である。
【
図9】
図9(a)から
図9(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その6)である。
【
図10】
図10(a)から
図10(c)は、比較例に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その1)である。
【
図11】
図11(a)から
図11(c)は、比較例に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図(その2)である。
【
図12】
図12(a)及び
図12(b)は、比較例に係る弾性波デバイスにおいて生じる課題を示す断面図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスにおける効果を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施例について説明する。
【実施例0018】
図1(a)は、実施例1に係る弾性波デバイスの平面図、
図1(b)は、
図1(a)のA-A間の断面図である。
図1(a)では、リッド50を透視して弾性波素子15等を図示している。
図1(a)及び
図1(b)のように、実施例1の弾性波デバイス100は、支持基板10の上面11に圧電層13が接合されている。支持基板10は、例えばサファイア基板、アルミナ基板、スピネル基板、石英基板、水晶基板、又はシリコン基板である。サファイア基板は単結晶のAl
2O
3を主成分とする基板である。アルミナ基板は多結晶のAl
2O
3を主成分とする基板である。スピネル基板は単結晶又は多結晶のMgAl
2O
4を主成分とする基板である。石英基板はアモルファスのSiO
2を主成分とする基板である。水晶基板は単結晶のSiO
2を主成分とする基板である。
【0019】
圧電層13は、例えば単結晶タンタル酸リチウム層又は単結晶ニオブ酸リチウム層である。支持基板10の線膨張係数は圧電層13の線膨張係数よりも小さい。これにより周波数温度依存性を小さくできる。圧電層13と支持基板10との間に温度補償層及び/又は境界層が設けられていてもよい。このように、圧電層13は支持基板10に直接又は間接的に接合されている。温度補償層は、圧電層13の弾性定数の温度係数の符号と反対の符号の弾性定数の温度係数を有し、例えば無添加又は弗素等の添加元素を含む酸化シリコン層である。これにより周波数温度係数を小さくできる。境界層は、例えば多結晶又は非晶質であり、例えば酸化アルミニウム層、シリコン層、窒化アルミニウム層、窒化シリコン層、又は炭化シリコン層である。境界層を伝搬するバルク波の音速は温度補償層を伝搬するバルク波の音速と異なる。
【0020】
圧電層13の上面14に1又は複数の弾性波素子15が設けられている。
図2は、実施例1における弾性波素子の平面図である。
図2に示すように、弾性波素子15は、例えば弾性表面波共振器であり、圧電層13上にIDT(Interdigital Transducer)20と反射器24とを有する。IDT20は、対向する一対の櫛型電極21を有する。櫛型電極21は、複数の電極指22と複数の電極指22が接続するバスバー23とを有する。一対の櫛型電極21は、少なくとも一部において電極指22がほぼ互い違いになるように対向して設けられている。反射器24はIDT20の両側に設けられている。IDT20は圧電層13に弾性表面波を励振する。反射器24は弾性表面波を反射する。IDT20及び反射器24は例えばアルミニウム膜又は銅膜等の金属膜により形成される。
【0021】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、圧電層13の一部は除去されて開口が形成されている。圧電層13に形成された開口では例えば支持基板10が露出している。なお、圧電層13と支持基板10との間に温度補償層及び/又は境界層が設けられている場合、圧電層13に形成された開口では温度補償層又は境界層が露出していてもよいが、支持基板10が露出している場合が好ましい。これは、後述する枠体40及び柱状体70が温度補償層又は境界層上に設けられると、リッド50に圧力が加わって枠体40及び柱状体70が押された場合に温度補償層又は境界層にクラック等が入り、弾性波素子15を封止すること及び/又はリッド50を支えることに悪影響を及ぼすことがあるためである。支持基板10にビア配線16a~16fが設けられている。ビア配線16a~16dが設けられた近傍の圧電層13は除去されて開口17が形成されている。すなわち、ビア配線16a~16dは開口17における支持基板10に設けられている。圧電層13の内側領域の一部が除去されて開口18が形成されている。支持基板10の外周領域における圧電層13が除去されて開口19が形成されている。ビア配線16e及び16fは開口19における支持基板10に設けられている。このように、ビア配線16a~16fを圧電層13の開口17又は19における支持基板10に設ける理由は、圧電層13と支持基板10の両方を貫通するビア配線を形成する場合では圧電層13にクラック等が発生する恐れがあるためである。
【0022】
ビア配線16aは支持基板10の下面12に設けられた入力端子Tinに接続され、ビア配線16bは支持基板10の下面12に設けられた出力端子Toutに接続されている。ビア配線16c及び16dは支持基板10の下面12に設けられたグランド端子Tgに接続されている。ビア配線16a~16dと弾性波素子15とは配線30によって電気的に接続されている。ビア配線16a~16dと弾性波素子15とを電気的に接続させる配線30は、圧電層13の開口17における支持基板10の上面11から圧電層13の上面14に渡って設けられている。また、弾性波素子15間も配線30によって電気的に接続されている。したがって、弾性波素子15は、入力端子Tinと出力端子Toutとの間に直列に接続された直列共振器S1~S4と並列に接続された並列共振器P1~P3とを含む。このように、圧電層13上にはラダー型フィルタが形成されている。ビア配線16e及び16fは支持基板10の下面12に設けられたグランド端子Tgに接続されている。入力端子Tin、出力端子Tout、及びグランド端子Tgは、弾性波素子15を外部と電気的に接続するためのフットパッドである。配線30は、例えば銅層、アルミニウム層、白金層、ニッケル層、又は金層等の金属層である。
【0023】
圧電層13の開口19における支持基板10上に枠体40が設けられている。枠体40は、平面視において、圧電層13を囲むように支持基板10上に設けられている。枠体40が圧電層13の開口19における支持基板10上に設けられているのは、枠体40上に設けられるリッド50に圧力が加わって枠体40が押された場合に圧電層13にクラック等が生じることを抑制するためである。したがって、枠体40は、圧電層13から離れて設けられることが好ましい。枠体40は、例えば銅層、アルミニウム層、白金層、ニッケル層、又は金層等の金属層である。枠体40はビア配線16e及び16fを介してグランド端子Tgに電気的に接続されている。
【0024】
枠体40上に、弾性波素子15との間に空隙60が形成されるようにリッド50が設けられている。リッド50は枠体40に金錫、銀錫、錫、又は錫銀銅等のはんだによって接合されている。リッド50及び枠体40によって弾性波素子15は空隙60内に封止されている。リッド50は、例えばコバールを含んで形成されている。枠体40及びリッド50が金属で形成されている場合、ビア配線16e及び16fにグランド電位が供給されることにより、枠体40及びリッド50はシールド効果を発揮するようになる。また、枠体40及びリッド50が金属で形成されている場合、弾性波素子15を空隙60内に気密性良く封止することができる。
【0025】
圧電層13の開口18における支持基板10上に柱状体70が設けられている。柱状体70は支持基板10とリッド50との間に位置して設けられている。柱状体70は空隙60内に位置して圧電層13から離れて設けられている。柱状体70は、例えば銅層、アルミニウム層、白金層、ニッケル層、又は金層等の金属層である。
【0026】
支持基板10とリッド50との間に位置して柱状体70が設けられていることで、リッド50に空隙60とは反対側から空隙60側に向かって圧力が加わった場合に、リッド50を柱状体70で支えることができ、リッド50に生じる撓みを低減できる。よって、リッド50が弾性波素子15及び配線30に接触することを抑制できる。リッド50に生じる撓みを低減する点から、柱状体70はリッド50の枠体40よりも内側の領域における重心に対して対称な位置に設けられている場合や、重心に位置して設けられている場合が好ましい。また、リッド50に圧力が加わって柱状体70が押された場合に圧電層13にクラック等が発生することを抑制するために、柱状体70は、圧電層13から離れて、圧電層13の開口18における支持基板10上に設けられることが好ましい。柱状体70は、支持基板10とリッド50の両方に接している場合が好ましいが、支持基板10に接し且つリッド50には接していない場合でもよい。
【0027】
支持基板10の厚さは例えば50μm~300μmである。支持基板10の平面視における大きさは例えば数mm×数mmであり、一例として1.2mm×1.0mmである。圧電層13の厚さは例えば0.5μm~30μmであり、例えば弾性表面波の波長以下であってもよい。枠体40の高さは例えば10μm~30μmであり、幅は例えば20μm~30μmである。リッド50の厚さは例えば30μm~100μmである。柱状体70の高さは例えば枠体40の高さと略同じであり10μm~30μmである。柱状体70の平面視における長さ及び幅は例えば20μm~30μmである。
【0028】
図3は、
図1(a)のB-B間及びC-C間の断面図である。
図3において、左側の図がB-B間の断面図、右側の図がC-C間の断面図である。
図3に示すように、開口17における圧電層13の側面は傾斜面となっている。開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1は例えば10°以上60°以下である。配線30は開口17における支持基板10上から傾斜面である圧電層13の側面を介して圧電層13上に渡って設けられている。これにより、配線30に断線が生じることが抑制される。
【0029】
開口18における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2は、開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1よりも大きい。開口18における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2は例えば70°以上100°以下である。このように、開口18における圧電層13の側面は支持基板10に対して略垂直となっている。
【0030】
[製造方法]
図4(a)から
図9(c)は、実施例1に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。
図4(a)から
図6(c)は、
図1(a)のA-A間に相当する箇所の断面図であり、
図7(a)から
図9(c)は、
図1(a)のB-B間及びC-C間に相当する箇所の断面図である。
図4(a)及び
図7(a)に示すように、支持基板10にレーザ光照射又はエッチングによってビアホールを形成する。ビアホール内にシード層を形成した後、シード層に電流を供給し、電解めっき法を用いてビアホール内にビア配線16a~16f(
図4(a)及び
図7(a)ではビア配線16a、16e、及び16fのみを図示)を形成する。CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて不要なめっき層及びシード層を除去する。これにより、支持基板10の上面11とビア配線16a~16fの表面とはほぼ平坦となる。その後、支持基板10の上面11に圧電基板を接合した後、圧電基板を研磨又は研削等によって薄くすることで圧電層13を形成する。支持基板10と圧電基板の接合は、例えば支持基板10の上面11と圧電基板の表面を活性化させて常温接合による直接接合法が用いられる。その後、圧電層13上に弾性波素子15を形成する。弾性波素子15の形成方法は一般的に知られた方法、例えば蒸着法及びリフトオフ法を用いる。
【0031】
図4(b)及び
図7(b)に示すように、支持基板10上にレジスト膜80を塗布した後、レジスト膜80に対してプリベーク、露光、及び現像を行ってレジスト開口部82を形成する。レジスト開口部82は、
図1(a)に示した圧電層13の開口18に対応する位置に形成される。レジスト膜80に対するプリベーク温度を推奨温度(レジスト材料によって異なるが一例として130℃)で行うことで、レジスト開口部82におけるレジスト膜80の側面と圧電層13との間のレジスト膜80側のなす角φ2は70°以上100°以下になる。
【0032】
図4(c)及び
図7(c)に示すように、レジスト膜80をマスクとして圧電層13をエッチングし、圧電層13に開口18を形成する。エッチングはドライエッチング又はウエットエッチングを用いる。開口18における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2は70°以上100°以下となる。その後、レジスト膜80を除去する。
【0033】
図4(d)及び
図7(d)に示すように、支持基板10上にレジスト膜81を塗布した後、レジスト膜81に対してプリベーク、露光、及び現像を行ってレジスト開口部83を形成する。レジスト開口部83は、
図1(a)に示した圧電層13の開口17及び19に対応する位置に形成される。レジスト膜81に対するプリベーク温度を推奨温度よりも低い温度(一例として推奨温度が130℃である場合では80℃)で行うことで、レジスト開口部83におけるレジスト膜81の側面と圧電層13との間のレジスト膜81側のなす角φ1は10°以上60°以下になる。これは、プリベーク温度を低くしてレジストの架橋反応をあえて不十分にすることで、レジスト膜81の厚さ方向の反応がブロードになるためである。
【0034】
図5(a)及び
図8(a)に示すように、レジスト膜81をマスクとして圧電層13をエッチングし、圧電層13に開口17及び19を形成する。エッチングはドライエッチング又はウエットエッチングを用いる。開口17及び19における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1は10°以上60°以下となる。その後、レジスト膜81を除去する。
【0035】
なお、上記では圧電層13に開口18を形成した後、圧電層13に開口17及び19を形成する場合を例に示したが、圧電層13に開口17及び19を形成した後、圧電層13に開口18を形成してもよい。
【0036】
図5(b)及び
図8(b)に示すように、支持基板10上に弾性波素子15に電気的に接続される配線30を形成する。配線30の形成方法は一般的に知られた方法、例えばポジ型のフォトレジストを用いた蒸着法及びリフトオフ法を用いる。圧電層13の開口17において、配線30は支持基板10上から圧電層13上に渡って形成される。開口17における圧電層13の側面が大きく傾斜していることから、配線30の断線が抑制される。
【0037】
図5(c)及び
図8(c)に示すように、支持基板10上に保護レジスト膜84を塗布した後、枠体40及び柱状体70を形成する領域における保護レジスト膜84を除去する。その後、支持基板10上にシード層85を成膜する。シード層85を成膜した後、支持基板10上にネガ型のめっき用のレジスト膜86を塗布する。
【0038】
図6(a)及び
図9(a)に示すように、レジスト膜86に対して露光及び現像を行ってレジスト開口部87を形成する。レジスト開口部87は枠体40及び柱状体70が形成される領域に形成される。
【0039】
図6(b)及び
図9(b)に示すように、シード層85に電流を供給し、レジスト膜86をマスクとした電解めっき法によってレジスト開口部87内に枠体40及び柱状体70を形成する。
【0040】
図6(c)及び
図9(c)に示すように、レジスト膜86、不要なシード層85、及び保護レジスト膜84を除去する。支持基板10の下面12を例えばCMP法を用いて研磨してビア配線16a~16fを支持基板10の下面12に露出させた後、支持基板10の下面12に入力端子Tin、出力端子Tout、及びグランド端子Tg(
図6(c)及び
図9(c)では入力端子Tinとグランド端子Tgのみを図示)を形成する。その後、
図1(b)のように、リッド50を枠体40に接合して、実施例1の弾性波デバイス100が形成される。
【0041】
[比較例]
比較例に係る弾性波デバイスの平面図は
図1(a)と同じであり、
図1(a)のA-A間に相当する箇所の断面図は
図1(b)と同じであるため図示及び説明を省略する。
図10(a)から
図11(c)は、比較例に係る弾性波デバイスの製造方法を示す断面図である。
図10(a)から
図11(c)は、
図1(a)のB-B間及びC-C間に相当する箇所の断面図である。
図10(a)に示すように、支持基板10にビアホールを形成し、ビアホール内にシード層を形成した後、シード層に電流を供給する電解めっき法を用いてビアホール内にビア配線16a~16f(
図10(a)ではビア配線16aのみを図示)を形成する。不要なめっき層及びシード層をCMP法によって除去した後、支持基板10の上面11に圧電基板を接合し、圧電基板を研磨又は研削等によって薄くすることで圧電層13を形成する。その後、圧電層13上に弾性波素子15を形成する。
【0042】
支持基板10上にレジスト膜90を塗布した後、レジスト膜90に対してプリベーク、露光、及び現像を行ってレジスト開口部91を形成する。製造工数の削減のために、レジスト開口部91は
図1(a)における圧電層13の開口17~19に対応する位置の全てに形成される。ここで、開口17における支持基板10上から圧電層13上に渡って設けられる配線30に断線が生じることを抑制するために、開口17における圧電層13の側面は大きく傾斜していることが好ましい。このため、レジスト膜90に対するプリベーク温度を推奨温度よりも低い温度で行って、レジスト開口部91におけるレジスト膜90の側面と圧電層13との間のレジスト膜90側のなす角を10°以上60°以下とする。
【0043】
図10(b)に示すように、レジスト膜90をマスクとして圧電層13をエッチングし、圧電層13に開口17~19(
図10(b)では開口17及び18のみを図示)を形成する。レジスト開口部91は圧電層13の開口17~19に対応する位置の全てに形成され且つ全てにおいてレジスト膜90の側面と圧電層13との間のレジスト膜90側のなす角は10°以上60°以下であることから、開口17~19の全てにおける圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角は10°以上60°以下となる。その後、レジスト膜90を除去する。
【0044】
図10(c)に示すように、支持基板10上に弾性波素子15に電気的に接続される配線30を形成する。圧電層13の開口17において、配線30は支持基板10上から圧電層13上に渡って形成される。圧電層13の側面が大きく傾斜していることから、配線30の断線が抑制される。配線30を形成した後、支持基板10上に保護レジスト膜84を塗布し、枠体40及び柱状体70が形成される領域における保護レジスト膜84を除去する。その後、支持基板10上にシード層85を成膜する。シード層85を成膜した後、支持基板10上にネガ型のめっき用のレジスト膜86を塗布する。
【0045】
図11(a)に示すように、レジスト膜86に対して露光及び現像を行ってレジスト開口部87を形成する。レジスト開口部87は枠体40及び柱状体70が形成される領域に形成される。比較例の弾性波デバイスでは、圧電層13の開口18に対応する位置のレジスト開口部87内にレジスト膜86が取り切れずに残ってしまうことがある。この理由については後述する。
【0046】
図11(b)に示すように、シード層85に電流を供給し、レジスト膜86をマスクとした電解めっき法によってレジスト開口部87内に枠体40及び柱状体70(
図11(b)では柱状体70のみ図示)を形成する。圧電層13の開口18に対応する位置のレジスト開口部87内にレジスト膜86が残っているため、柱状体70はレジスト膜86を覆って形成される。このため、柱状体70の上面には凹凸が形成される。
【0047】
図11(c)に示すように、レジスト膜86を除去する。このとき、レジスト剥離溶液が柱状体70で覆われたレジスト膜86には届かず、柱状体70で覆われたレジスト膜86は除去されずに残存する。その後、不要なシード層85及び保護レジスト膜84を除去する。支持基板10の下面12を例えばCMP法を用いて研磨してビア配線16a~16fを支持基板10の下面12に露出させた後、支持基板10の下面12に入力端子Tin、出力端子Tout、及びグランド端子Tg(
図11(c)では入力端子Tinのみを図示)を形成する。その後、
図1(b)のように、リッド50を枠体40に接合して、比較例の弾性波デバイスが形成される。
【0048】
図12(a)及び
図12(b)は、比較例に係る弾性波デバイスにおいて生じる課題を示す断面図である。
図12(a)はレジスト膜86の露光時の断面図であり、
図12(b)は現像後の断面図である。
図12(a)に示すように、めっき用のレジスト膜86はネガ型であることから、露光においてレジスト開口部87を形成する領域に光93が照射されず且つレジスト開口部87を形成する領域以外の領域には光93が照射されるようなフォトマスク92を用いる。開口18における圧電層13の側面が開口17における圧電層13の側面と略同じ大きさだけ支持基板10に対して傾斜していると、光93が開口18における圧電層13の側面で反射し、レジスト膜86のうち本来ならばフォトマスク92で遮られて光93が照射されない領域にも光93が照射されてしまうことがある。特に圧電層13の側面にシード層85が形成されている場合では光93は圧電層13の側面で反射され易い。また、圧電層13が厚いほど圧電層13の側面で光93は反射され易くなる。例えば、光93は、圧電層13の厚さが1μm以上の場合に反射され易くなり、5μm以上の場合により反射され易くなり、10μm以上の場合に更に反射され易くなる。
【0049】
圧電層13の側面で光93が反射されることで、
図12(b)に示すように、現像後において開口18に対応する位置のレジスト開口部87内にレジスト膜86が残存してしまうことがある。なお、レジスト開口部87を形成する領域から圧電層13の側面を大きく離せば(例えば20μm以上)、圧電層13の側面で反射した光93の影響が抑えられて、レジスト開口部87内にレジスト膜86が残存することを抑制できる。しかしながら、この場合、圧電層13上の弾性波素子15及び配線30の形成可能領域が小さくなってしまう。
【0050】
開口18に対応する位置のレジスト開口部87内にレジスト膜86が残存していると、
図11(c)に示すように、柱状体70はレジスト膜86を覆って形成される。このため、柱状体70が支持基板10から剥がれ易くなること及び/又はリッド50を支える機能が低下してしまうことが生じる。
【0051】
なお、開口17において支持基板10上に形成される配線30は、例えばポジ型のレジストを用いたリフトオフ法によって形成されることから、開口17における圧電層13の側面が傾斜していても良好に形成される。また、開口17において、圧電層13は開口17を挟んだ両側に設けられていないことから露光時の光93の影響が抑えられるため、配線30は良好に形成される。
【0052】
図13(a)及び
図13(b)は、実施例1に係る弾性波デバイスにおける効果を示す断面図である。
図13(a)はレジスト膜86の露光時の断面図であり、
図13(b)は現像後の断面図である。
図13(a)に示すように、開口18における圧電層13の側面が開口17における圧電層13の側面よりも支持基板10に対する傾斜が小さいため、レジスト膜86のうちフォトマスク92によって光93の照射が遮られる領域に、光93が開口18における圧電層13の側面で反射して照射されることが抑制される。よって、
図13(b)に示すように、現像後においてレジスト開口部87内にレジスト膜86が残存することが抑制される。よって、
図9(c)に示すように、柱状体70内にレジスト膜86が形成されることが抑制されるため、柱状体70が支持基板10から剥がれ難くなり且つリッド50を良好に支えることができる。
【0053】
実施例1によれば、
図8(a)のように、圧電層13をエッチングして、圧電層13の側面が支持基板10に対して傾斜した開口17を圧電層13に形成する。
図7(c)のように、圧電層13をエッチングして、圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角が開口17よりも大きい開口18を圧電層13に形成する。その後、
図8(b)のように、開口17における支持基板10上から圧電層13上に渡って設けられ、弾性波素子15に電気的に接続される配線30を形成する。
図9(c)のように、開口18における支持基板10上に柱状体70を形成する。開口17における圧電層13の側面が傾斜していることで配線30の断線が抑制される。開口18における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2が開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1よりも大きいことで、
図13(a)及び
図13(b)で説明したように、開口18に柱状体70を良好に形成できる。
【0054】
図8(c)のように、圧電層13に開口18を形成した後に、支持基板10上にネガ型のレジスト膜86を塗布する。
図9(a)のように、レジスト膜86に対して露光及び現像を行い、レジスト膜86に開口18に位置するレジスト開口部87を形成する。
図9(b)のように、レジスト膜86をマスクに用いて開口18に柱状体70を形成する。開口18における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2が開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1よりも大きいことで、レジスト開口部87内にレジスト膜86が残存することが抑制される。よって、開口18に柱状体70を良好に形成できる。
【0055】
図8(c)のように、レジスト膜86を塗布する前に支持基板10上にシード層85を成膜する。
図9(b)のように、シード層85を用いた電解めっき法によって開口18に柱状体70を形成する。開口18における圧電層13の側面にシード層85が形成されている場合、露光における光が圧電層13の側面で反射され易くなるが、開口18における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2が開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1よりも大きいことで、レジスト開口部87内にレジスト膜86が残存することが抑制される。よって、開口18に柱状体70を良好に形成できる。
【0056】
開口18を挟んだ両側に圧電層13が設けられている場合、開口18における圧電層13の側面が開口17における圧電層13の側面と支持基板10に対して略同じだけ傾いていると、
図12(a)及び
図12(b)で説明したようにレジスト開口部87内にレジスト膜86が残存し易い。また、開口18の周囲に圧電層13が設けられている場合、開口18における圧電層13の側面が開口17における圧電層13の側面と支持基板10に対して略同じだけ傾いているとレジスト開口部87内にレジスト膜86が更に残存し易い。したがって、このような場合に、開口18における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2を開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1よりも大きくすることが好ましい。開口18の周囲に圧電層13が設けられているとは、開口18の周囲の3方向に圧電層13が設けられている場合でもよいし、開口18の周囲の4方向(全周囲)に圧電層13が設けられている場合でもよい。
【0057】
図8(a)において、圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13のなす角θ1が20°以上60°以下である開口17を形成し、
図7(c)において、圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2が70°以上100°以下である開口18を形成することが好ましい。これにより、配線30の断線を効果的に抑制しつつ、柱状体70を良好に形成できる。配線30の断線を抑制する点から、開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1は、20°以上50°以下が好ましく、20°以上40°以下がより好ましく、20°以上30°以下が更に好ましい。圧電層13上における弾性波素子15等の形成可能領域が小さくなることを抑制する点から、開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1は、30°以上60°以下が好ましく、40°以上60°以下がより好ましく、50°以上60°以下が更に好ましい。柱状体70を良好に形成する点から、開口18における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2は、75°以上95°以下が好ましく、80°以上90°以下がより好ましく、85°以上90°以下が更に好ましい。
【0058】
図6(c)のように、支持基板10上に弾性波素子15を囲む枠体40を形成し、
図1(b)のように、弾性波素子15との間に空隙60が形成されるように枠体40上にリッド50を形成することが好ましい。これにより、弾性波素子15を枠体40及びリッド50によって空隙60内に封止することができる。また、柱状体70が空隙60内で支持基板10とリッド50との間に形成されることで、リッド50に圧力が加わった場合でも、リッド50に生じる撓みを抑制でき、リッド50が弾性波素子15及び配線30に接触することを抑制できる。
【0059】
圧電層13は、タンタル酸リチウム又はニオブ酸リチウムからなる単結晶圧電材料である。このような場合に、圧電層13の側面で露光時の光93が反射され易い。したがって、このような場合に、開口18における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2が開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1よりも大きくすることが好ましい。
【0060】
図9(c)のように、開口18における支持基板10上に、圧電層13との間に空隙を介し離れた柱状体70を形成する。このような場合に、柱状体70を良好に形成するために、開口18における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2が開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1よりも大きくすることが好ましい。
【0061】
実施例1の弾性波デバイス100は、
図1(a)、
図1(b)、及び
図3のように、支持基板10と、支持基板10上に設けられ、支持基板10に対して側面が傾斜した開口17と開口17よりも側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角が大きい開口18とを有する圧電層13と、を備える。圧電層13上には弾性波素子15が設けられ、開口17における支持基板10上から圧電層13上に渡って、弾性波素子15に電気的に接続される配線30が設けられている。また、支持基板10上には弾性波素子15を囲んで枠体40が設けられ、枠体40上に弾性波素子15との間に空隙60が形成されるようにリッド50が設けられている。開口18における支持基板10上に、空隙60内で支持基板10とリッド50との間に位置する柱状体70が設けられている。開口17における圧電層13の側面が傾斜していることで配線30の断線が抑制される。開口18における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ2が開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1よりも大きいことで、開口18に柱状体70が良好に形成される。枠体40及びリッド50が設けられていることで、弾性波素子15を空隙60内に封止できる。空隙60内で支持基板10とリッド50との間に位置して柱状体70が設けられていることで、リッド50の撓みを抑制できる。
【0062】
実施例1では、配線が形成される開口17よりも圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側の角度が大きい開口18に形成される構造体として柱状体70の場合を例に示したが、この場合に限られない。
実施例2によれば、枠体40が設けられた開口19における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ3は、開口17における圧電層13の側面と支持基板10との間の圧電層13側のなす角θ1よりも大きい。これにより、圧電層13上における弾性波素子15等の形成可能領域が小さくなることを抑制できる。
実施例1及び実施例2では、弾性波素子15は弾性表面波を励振する場合を例に示したが、ラブ波又は弾性境界波を励振する場合でもよい。弾性波素子15は圧電薄膜共振器の場合でもよい。また、圧電層13上にフィルタが形成されている場合を例に示したが、デュプレクサ等のマルチプレクサが形成されている場合でもよい。
以上、本願発明の実施形態について詳述したが、本願発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本願発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。