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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090801
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】ヘアカラートリートメント
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20220613BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20220613BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20220613BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220613BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
A61K8/41
A61Q5/10
A61Q5/06
A61K8/34
A61K8/39
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203337
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】500365199
【氏名又は名称】株式会社ヌースフィット
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】亀ケ森 統
(72)【発明者】
【氏名】細谷 佳一
(72)【発明者】
【氏名】高見 拓
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB012
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC542
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC731
4C083AC732
4C083AD131
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD432
4C083AD512
4C083BB01
4C083CC33
4C083CC36
4C083DD31
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】有機色素としてBasic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含み、退色が抑制されたヘアカラートリートメントを提供する。
【解決手段】Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む有機色素と、乳化剤とを含むヘアカラートリートメントにおいて、特定の種類の有機溶媒を使用する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む有機色素と、
乳化剤と、
1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒と、
を含む、ヘアカラートリートメント。
【請求項2】
前記有機色素が、Basic Violet 1を含み、
前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む、
請求項1に記載のヘアカラートリートメント。
【請求項3】
前記有機色素が、Basic Violet 1を含み、
前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む、
請求項1に記載のヘアカラートリートメント。
【請求項4】
前記有機色素が、Basic Violet 2を含み、
前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含み、
前記有機溶媒が、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含む、
請求項1に記載のヘアカラートリートメント。
【請求項5】
前記有機色素が、Basic Violet 2を含み、
前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む、
請求項1に記載のヘアカラートリートメント。
【請求項6】
前記有機色素が、HC Blue 2を含み、
前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含み、
前記有機溶媒が、1,5-ペンタンジオールを含む、
請求項1に記載のヘアカラートリートメント。
【請求項7】
前記有機色素が、HC Blue 2を含み、
前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含む、
請求項1に記載のヘアカラートリートメント。
【請求項8】
前記有機色素が、HC Red 3を含み、
前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含み、
前記有機溶媒が、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含む、
請求項1に記載のヘアカラートリートメント。
【請求項9】
前記有機色素が、HC Red 3を含み、
前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含む、
請求項1に記載のヘアカラートリートメント。
【請求項10】
請求項1に記載のヘアカラートリートメントの製造方法であって、
油相を調製する工程、
Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む有機色素を含む水相を調製する工程、及び
乳化剤を用いて、前記油相及び前記水相を混合して乳化させる工程
を含み、
前記油相が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含み、及び/又は
前記水相が、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含む、
方法。
【請求項11】
Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む有機色素を含むヘアカラートリートメントの退色を抑制する方法であって、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒を前記ヘアカラートリートメントに添加する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアカラートリートメント、特に有機色素の退色が抑制されたヘアカラートリートメントに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアカラートリートメントは、毛髪のトリートメントとカラーリングを同時に行うことが可能である、ヘアケア製品である。Basic Violet 1(化粧品全成分表示名称:塩基性 紫 1)、Basic Violet 2(塩基性 紫 2)、HC Blue 2(HC 青 2)およびHC Red 3(HC 赤 3)と呼ばれる色素を有機色素として使用したヘアカラートリートメントは、時間経過に伴い退色する性質があることが確認されている。そのため、これらの有機色素を含むヘアカラートリートメントの退色を抑制することが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、有機色素としてBasic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含み、退色が抑制されたヘアカラートリートメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む有機色素と、乳化剤とを含むヘアカラートリートメントにおいて、特定の種類の有機溶媒を使用することにより解決できることが見出された。すなわち、本発明は下記〔1〕~〔11〕に関するものである。
【0005】
〔1〕Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む有機色素と、
乳化剤と、
1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒と、
を含む、ヘアカラートリートメント。
〔2〕前記有機色素が、Basic Violet 1を含み、
前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む、
前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔3〕前記有機色素が、Basic Violet 1を含み、
前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔4〕前記有機色素が、Basic Violet 2を含み、
前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含み、
前記有機溶媒が、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔5〕前記有機色素が、Basic Violet 2を含み、
前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔6〕前記有機色素が、HC Blue 2を含み、
前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含み、
前記有機溶媒が、1,5-ペンタンジオールを含む、
前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔7〕前記有機色素が、HC Blue 2を含み、
前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔8〕前記有機色素が、HC Red 3を含み、
前記乳化剤が、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含み、
前記有機溶媒が、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔9〕前記有機色素が、HC Red 3を含み、
前記乳化剤が、ポリクオタニウム-37を含み、
前記有機溶媒が、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含む、
前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメント。
〔10〕前記〔1〕に記載のヘアカラートリートメントの製造方法であって、
油相を調製する工程、
Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む有機色素を含む水相を調製する工程、及び
乳化剤を用いて、前記油相及び前記水相を混合して乳化させる工程
を含み、
前記油相が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含み、及び/又は
前記水相が、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含む、
方法。
〔11〕Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む有機色素を含むヘアカラートリートメントの退色を抑制する方法であって、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒を前記ヘアカラートリートメントに添加する工程を含む、方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、有機色素としてBasic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含み、退色が抑制されたヘアカラートリートメントを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明は、Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む有機色素と、乳化剤と、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒とを含む、ヘアカラートリートメントである。
【0008】
有機色素は、Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む。Basic Violet 1はLowacryl Violet 1の名称でも知られており、その化合物名はN-[4-[[4-(ジメチルアミノ)フェニル][4-(メチルアミノ)フェニル]メチレン]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン]-N-メチルメタンアミニウム・クロリドである。Basic Violet 2はLowacryl Violet 2の名称でも知られており、その化合物名は4-[(4-アミノ-3-メチルフェニル)(4-イミノ-3-メチル-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン)メチル]-2-メチルベンゼンアミン・塩酸塩である。HC Blue 2の化合物名は、N1,N4,N4-トリス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミンである。HC Red 3の化合物名はN-(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミンである。これらの色素は公知であり、市場において容易に入手することができる。
【0009】
ヘアカラートリートメントは、Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含んでいれば、他の有機色素を含んでもよい。他の有機色素としては、例えば、1-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-5-ニトロベンゼン(HC Yellow 4)、1-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Yellow 2)、2-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-5-ニトロフェノール(HC Yellow 11)、3-[(2-アミノエチル)アミノ]-1-メトキシ-4-ニトロベンゼン-塩酸塩(HC Yellow 9)、4-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-3-ニトロ-1-トリフルオルメチル-ベンゼン(HC Yellow 6)、1-クロル-2、4-ビス[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-5-ニトロベンゼン(HC Yellow 10)、1-クロル-4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロベンゼン(HC Yellow 12)、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-トリフルオルメチル-ベンゼン(HC Yellow 13)、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-ベンゾニトリル(HC Yellow 14)、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-ベンズアミド(HC Yellow 15)、1-アミノ-4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Red 7)、4-アミノ-2-ニトロ-ジフェニルアミン(HC Red 1)、1-アミノ-4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン-塩酸塩(HC Red 13)、2-ニトロ-4‘-ヒドロキシジフェニルアミン(HC Orange 1)、1-[(2-アミノエチル)アミノ]-4-(2-ヒドロキシエトキシ)-2-ニトロベンゼン(HC Orange 2)、4-(2、3-ジヒドロキシプロポキシ)-1-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Orange 3)、1-アミノ-5-クロル-4-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Red 10)、5-クロル-1、4-[ジ(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Red 11)、7-アミノ-3,4-ジヒドロ-6-ニトロ-2H-1,4-ベンゾキサジン(HC Red 14)、1-アミノ-3-メチル-4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-6-ニトロベンゼン(HC Violet 1)、4-[エチル-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン-塩酸塩(HC Blue 12)、4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-[(2-メトキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Blue 11)、1-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-4-[メチル-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Blue 10)、1-[(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-4-[エチル-(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン-塩酸塩(HC Blue 9)、1-(3-ヒドロキシプロピルアミノ)-4-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Violet 2)、1-メチルアミノ-4-[メチル-(2、3-ジヒドロキシプロピル)アミノ]-2-ニトロベンゼン(HC Blue 6)、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]-5-ジメチルアミノ-安息香酸(HC Blue 13)、2-[(2-アミノエチル)アミノ]-9、10-アンスラキノン(HC Orange 5)、1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-4-メチルアミノ-9、10-アンスラキノン(HC Blue 8)、1-[(3-アミノプロピル)アミノ]-9、10-アンスラキノン(HC Red 8)、4-[(4-アミノフェニル)アゾ]-1-[ジ(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-メチルベンゼン(HC Yellow 7)等が挙げられる。
【0010】
有機色素の配合量は、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、好ましくは0.01~2質量%、より好ましくは0.05~1質量%、更に好ましくは0.1~0.6質量%である。また、有機色素としてBasic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3以外を含む場合、有機色素中にBasic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3が50質量%以上、例えば75質量%以上含まれるのが好ましい。
【0011】
本発明における乳化剤としては、従来ヘアカラートリートメントに用いられている公知の乳化剤を特に制限なく使用することができるが、カチオン性界面活性剤であることが好ましく、四級アンモニウム塩又は三級アミン塩であることがより好ましい。カチオン性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸類、モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキルアンモニウム塩、モノ長鎖アルキルジ短鎖アルキルアミンオキサイド(ここで、長鎖アルキルはC10~C20、短鎖アルキルはC1~C6、好ましくはC1~C3である。)等が挙げられ、好ましくは、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、ポリクオタニウム-37、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C12~C15)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化O-〔2-ヒドロキシ3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕グアーガム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム(5E.O.)、塩化ラウリルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム液、塩化ジアルキル(C14~C18)ジメチルアンモニウム、塩化γ-グルコンアミドプロピルジメチルヒドロキシエチルアンモニウム、ラノリン脂肪酸第四級アンモニウム塩、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、塩化ステアルジメチルベンジルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(C12~C18)ジメチルアンモニウム、及びその塩が挙げられる。特に好ましい乳化剤は、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム又はポリクオタニウム-37である。乳化剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0012】
乳化剤の配合量としては、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、0.5~5質量%が好ましく、より好ましくは2~3.5質量%である。
【0013】
本発明は、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒を含む。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば、以下の式で表される、DMH-20(m+n=2)やDMH-40(m+n=4)が市販されており、DMH-20が好適に用いられる。

上記有機溶媒とともに、従来からヘアカラートリートメントに使用されている他の溶媒を併用してもよい。
【0014】
有機溶媒としては、有機色素及び乳化剤との組み合わせに応じて、退色抑制作用が大きなものを使用するのが好ましい。
【0015】
例えば、有機色素がBasic Violet 1を含み、前記乳化剤が塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む場合には、有機溶媒は、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。また、有機色素がBasic Violet 1を含み、乳化剤がポリクオタニウム-37を含む場合には、有機溶媒は、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。
【0016】
有機色素がBasic Violet 2を含み、乳化剤が塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む場合には、有機溶媒は、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。有機色素がBasic Violet 2を含み、乳化剤がポリクオタニウム-37を含む場合には、有機溶媒は、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。
【0017】
有機色素がHC Blue 2を含み、乳化剤が塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む場合には、有機溶媒は、1,5-ペンタンジオールを含むのが好ましい。有機色素がHC Blue 2を含み、乳化剤がポリクオタニウム-37を含む場合には、有機溶媒は、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。
【0018】
有機色素がHC Red 3を含み、乳化剤が塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含む場合には、有機溶媒は、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。有機色素がHC Red 3を含み、乳化剤がポリクオタニウム-37を含む場合には、有機溶媒は、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上を含むのが好ましい。
【0019】
有機溶媒の配合量は、ヘアカラートリートメントの退色抑制作用を示す範囲内で適宜選択できるが、ヘアカラートリートメントの染色性や色調に悪影響を及ぼさない範囲内であることが好ましい。例えば、有機溶媒の配合量は、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、6質量%以上、7質量%以上、8質量%以上、又は9質量%以上であってもよい。あるいは、有機溶媒の配合量は、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、例えば、15質量%以下、12質量%以下、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、又は2質量%以下であってもよい。
【0020】
本発明のヘアカラートリートメントには、さらに油状成分を含ませることができる。油状成分としては、例えばステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、硬化ナタネ油アルコール、ラノリン、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ヒマシ油、メチルポリシロキサン、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、グリチルレチン酸ステアリル、スクワラン、流動パラフィン、ワセリン、高級脂肪酸、トリグリセライド、エステル油等が挙げられ、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、硬化ナタネ油アルコール、ラノリン、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ヒマシ油、メチルポリシロキサン、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル又はグリチルレチン酸ステアリルが好適である。なお、油性成分の配合量としては、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、3~20質量%が好適であり、5~15質量%がさらに好適である。
【0021】
本発明のヘアカラートリートメントにおいては、上記成分の他にも、保湿剤、上記有機溶媒以外の追加のアルコール類等の、通常ヘアカラートリートメントに配合されるような原料を使用目的に合わせて適宜配合することができる。
【0022】
保湿剤としては、例えばグリセリン、ポリエチレングリコール、コンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸塩、ジグリセリン、ソルビトール、マルチトール、ピロリドンカルボン酸、ラクトース、オリゴ糖等が挙げられ、濃グリセリンが好適である。なお、保湿剤の配合量としては、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、1~10質量%が好適であり、3~7質量%がさらに好適である。
【0023】
追加のアルコール類としては、例えばエタノール、プロパノール、イソプロパノール等を配合してもよい。なお、追加のアルコール類の配合量としては、ヘアカラートリートメントの総質量に対して、0.5~15質量%が好適であり、1~5質量%がさらに好適である。
【0024】
さらに、本発明のヘアカラートリートメントにおいては、上記成分の他にも、コラーゲン加水分解物、ケラチン加水分解物、シルクプロテイン加水分解物、エラスチン加水分解物、大豆蛋白加水分解物等の蛋白質加水分解物及びこれらの四級化塩;フエナセチン、ヒドロキシエタンジホスホン酸及びその塩、EDTA及びその塩、パラベン類、スズ酸塩類等の金属イオン封鎖剤及び防腐剤;ポリ(ジメチルアリルアンモニウムハライド)型カチオン性高分子、ポリエチレングリコール、エピクロルヒドリン、プロピレンアミン及び牛脂脂肪酸より得られるタロイルアミンの縮合生成物型であるカチオン性高分子、ポリエチレングリコール、エピクロルヒドリン、プロピレンアミン、ヤシ油脂肪より得られるココイルアミンの縮合生成物型であるカチオン高分子、ビニルピロリドン、ジメチルアミノメタアクリレート共重合体型カチオン高分子、第4級窒素含有セルロースエーテル型カチオン高分子等のカチオン高分子類を配合することもできる。
【0025】
本発明のヘアカラートリートメントとしては、種々の使用態様の組成物とすることができる。例えば液体状、ジェル状、泡状、クリーム状等の種々の使用態様のものとすることができ、クリーム状であることが好ましい。
【0026】
本発明のヘアカラートリートメントの製造方法は、例えば、油相を調製する工程、Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む有機色素を含む水相を調製する工程、及び、乳化剤を用いて、前記油相及び水相を混合して乳化させる工程を含む。乳化剤は、あらかじめ油相又は水相に添加しておいてもよく、あるいは、油相と水相を混合する際に添加してもよい。この製造方法においては、油相が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(DMH-20)を含む、及び/又は、水相が、1,2-ペンタンジオール及び1,5-ペンタンジオールからなる群から選択される1種以上の有機溶媒を含む。
【0027】
本発明はまた、Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を含む有機色素を含むヘアカラートリートメントの退色を抑制する方法に関する。本発明の退色抑制方法は、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール及びポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる群から選択される1種以上を含む有機溶媒をヘアカラートリートメントに添加する工程を含む。
【0028】
以下、本発明について、具体的な実施例を示して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、配合量は特に断らない限り質量%で示す。
【実施例0029】
[試料の調製]
1.乳化剤として塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含むヘアカラートリートメント
表1に記載の組成のヘアカラートリートメントを以下の手順で調製した。油相(1)~(9)を80℃~85℃に加温溶解した。別容器において水相(10)~(13)を80℃~85℃に加温溶解した。有機色素(11)としては、Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を使用した。有機溶媒(14)としては、1,2-ペンタンジオール(1,2-PD)、1,5-ペンタンジオール(1,5-PD)又はポリオキシエチレンアルキルエーテル(DMH-20)を、それぞれ0、0.3、1、2、3、4、5、又は10質量%使用し、DMH-20は油相に添加し、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオールは水相に添加した。油相に水相を攪拌しながら投入し乳化させた。5分ほど攪拌を行い、攪拌しながら冷却を開始した。50℃以下になったら、添加剤(15)~(19)を任意に順次投入し、攪拌し、均一溶解した。35℃以下になったら、攪拌をやめて放置した。
【0030】
【表1】
【0031】
2.乳化剤としてポリクオタニウム-37を含むヘアカラートリートメント
表2に記載の組成のヘアカラートリートメントを以下の手順で調製した。油相(1)~(9)を80℃~85℃に加温溶解した。別容器において水相(10)~(12)を80℃~85℃に加温溶解した。有機色素(10)としては、Basic Violet 1、Basic Violet 2、HC Blue 2又はHC Red 3を使用した。有機溶媒(13)としては、1,2-ペンタンジオール(1,2-PD)、1,5-ペンタンジオール(1,5-PD)又はポリオキシエチレンアルキルエーテル(DMH-20)を、それぞれ0、0.3、1、2、3、4、5、又は10質量%使用し、DMH-20は油相に添加し、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオールは水相に添加した。油相に水相を攪拌しながら投入し乳化させた。5分ほど攪拌を行い、攪拌しながら冷却を開始した。35℃以下になったら、攪拌をやめて放置した。
【0032】
【表2】
【0033】
[評価方法]
(1)退色抑制効果
各試料について、日光に60時間さらし、退色の様子を目視観察し、以下の基準で判定した。結果が△であった濃度以上の濃度を、有機溶媒の有効濃度とした。結果を表3及び表4に示す。
〇:有機溶媒非添加条件と比較して、明らかに退色の抑制が見られる
△:有機溶媒非添加条件と比較して、やや退色の抑制が見られる
×:有機溶媒非添加条件と比較して、同程度の退色を示す
【0034】
(2)染色性
食品用ラップフィルム上で、調製直後の各試料2gをビューラックス製白髪毛束0.5gに刷毛を使用して塗布した。次いでラップを閉じた状態にし、40℃で15分放置した後、ぬるま湯で洗浄した。洗浄後、ドライヤーで乾かし、染色毛束を得た。各試料の染色性を、染色毛束の目視により、以下の基準で判定した。結果を表3及び表4に示す。
〇:有機溶媒非添加条件と比較して、同程度の色の濃さ
×:有機溶媒非添加条件と比較して、色が薄い
【0035】
(3)クリーム色調
調製直後の各試料の色調について、目視により、以下の基準で判定した。結果を表3及び表4に示す。
〇:有機溶媒非添加条件と比較して、変化が見られない
△:有機溶媒非添加条件と比較して、わずかに変化している
×:有機溶媒非添加条件と比較して、明らかに変化している
【0036】
1.乳化剤として塩化ステアリルトリメチルアンモニウムを含むヘアカラートリートメント
【表3】
【0037】
表3に示される結果から、Basic Violet 1又はBasic Violet 2を含むヘアカラートリートメントにおいて、1,2-ペンタンジオール(3質量%~)、1,5-ペンタンジオール(3質量%~)及びポリオキシエチレンアルキルエーテル(DMH-20)(3質量%~)が退色抑制に有効であることがわかった。また、HC Blue 2を含むヘアカラートリートメントにおいては、1,5-ペンタンジオール(4質量%~)が退色抑制に有効であること、HC Red 3を含むヘアカラートリートメントにおいては、 1,2-ペンタンジオール(4質量%~)及び1,5-ペンタンジオール(3質量%~)が退色抑制に有効であることがわかった。
【0038】
2.乳化剤としてポリクオタニウム-37を用いた場合
【表4】
【0039】
表4に示される結果から、Basic Violet 1を含むヘアカラートリートメントにおいて、1,5-ペンタンジオール(3質量%~)及びポリオキシエチレンアルキルエーテル(DMH-20)(1質量%~)が退色抑制に有効であること、Basic Violet 2を含むヘアカラートリートメントにおいて、1,5-ペンタンジオール(3質量%~)及びポリオキシエチレンアルキルエーテル(DMH-20)(3質量%~)が退色抑制に有効であることがわかった。また、HC Blue 2を含むヘアカラートリートメントにおいて、1,2-ペンタンジオール(2質量%~)及び1,5-ペンタンジオール(3質量%~)が退色抑制に有効であること、HC Red 3を 含むヘアカラートリートメントにおいて、1,2-ペンタンジオール(2質量%~)及び1,5-ペンタンジオール(3質量%~)が退色抑制に有効であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、特定の有機式を含むヘアカラートリートメントの退色抑制において、特に有用である。