(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090827
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】インクジェットプリンタのヘッドギャップ調整ユニット
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
B41J2/01 307
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203373
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】久保田 睦
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EC07
2C056EC35
2C056HA11
(57)【要約】
【課題】画質の低下と用紙搬送性の低下との抑制を実現する。
【解決手段】搬送ベルト21上の搬送中の用紙Pに、搬送ベルト21の上方のインクジェットヘッド23~26から吐出されたインクにより画像を印刷するインクジェットプリンタ1において、用紙Pの搬送方向Aと直交する用紙の幅方向Bにおける位置に応じて、インクジェットヘッド23~26と搬送ベルト21との上下間隔を個別に調整する第1調整部28と、搬送方向Aにおける位置に応じて、インクジェットヘッド1と搬送ベルト21との上下間隔を個別に調整する第2調整部29と、第1調整部28及び第2調整部29のうち少なくとも一方により、インクジェットヘッド1の直下を通過中の搬送ベルト21上の用紙Pとインクジェットヘッド23~26とのヘッドギャップを、幅方向B又は搬送方向Aにおける用紙Pの端部において中央部よりも所定量大きくなるように制御する制御部4とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ベルト上の搬送中の用紙に、前記搬送ベルトの上方のインクジェットヘッドから吐出されたインクにより画像を印刷するインクジェットプリンタにおいて、
前記用紙の搬送方向と直交する前記用紙の幅方向における位置に応じて、前記インクジェットヘッドと前記搬送ベルトとの上下間隔を個別に調整する第1調整部と、
前記搬送方向における位置に応じて、前記インクジェットヘッドと前記搬送ベルトとの上下間隔を個別に調整する第2調整部と、
前記第1調整部及び前記第2調整部のうち少なくとも一方により、前記インクジェットヘッドの直下を通過中の前記搬送ベルト上の前記用紙と前記インクジェットヘッドとのヘッドギャップを、前記幅方向又は前記搬送方向における前記用紙の端部において中央部よりも所定量大きくなるように制御する制御部と、
を備えるインクジェットプリンタのヘッドギャップ調整ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタのヘッドギャップ調整ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドから吐出されたインク液滴を、搬送ベルト上の搬送中の用紙に着弾させて、用紙上に画像を形成する。インクジェットヘッドと用紙との間隔であるヘッドギャップが大きいと、ヘッドギャップに生じる用紙の搬送気流によってインク液滴が流されやすくなる。インク液滴が流されると、インク液滴の着弾位置にずれが生じ、用紙上の画像に濃度ムラや風紋ムラ等が生じて画質を低下させる原因となる。
【0003】
また、ヘッドギャップが大きいと、飛翔中のインク液滴の主滴に従属するサテライトによる画質低下も顕著になる。また、微小なサテライトは、ヘッドギャップを漂うインクミストとなり、インクミストが用紙に付着すると、用紙上の画像が汚れて画質を低下させる原因となる。
【0004】
用紙上の画像の画質低下を避ける方法として、ヘッドギャップを小さくすることが考えられる。ヘッドギャップは、例えば、特許文献1,2に記載された技術を利用して、小さくすることができる。特許文献1の技術では、搬送ベルトを裏側からインクジェットヘッド側に押し上げて、ヘッドギャップを小さくする。特許文献2の技術では、インクジェットヘッドのキャリッジユニットを側に降下させて、ヘッドギャップを小さくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8-156353号公報
【特許文献2】特開2017-128130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ヘッドギャップを小さくすると、インクジェットヘッドあるいは周辺部品に用紙が接触する可能性が増える。インクジェットヘッドあるいは周辺部品に用紙が接触すると、用紙の搬送に支障が生じて用紙搬送性が低下したり、インクジェットヘッドあるいは周辺部品の汚れが用紙に付着して画質が低下する。
【0007】
特に、用紙の端部には、湿気等によるカール、あるいは、耳折れが発生し易い。また、用紙を負圧により搬送ベルトに吸着して搬送する場合は、用紙の端部が吸着力不足により搬送ベルトから剥がれやすい。このため、ヘッドギャップを小さくすると、特に用紙の端部がインクジェットヘッドに接触し易くなる。
【0008】
特許文献1,2の技術は、単に、ヘッドギャップを調整可能とするだけのもので、用紙上に形成される画像の画質が低下することの抑制と、用紙の端部がインクジェットヘッドに接触して用紙搬送性が低下することの抑制との両立を実現するものではない。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決し、画質の低下の抑制と用紙搬送性の低下の抑制との両立を実現できるインクジェットプリンタのヘッドギャップ調整ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様によるインクジェットプリンタのヘッドギャップ調整ユニットは、
搬送ベルト上の搬送中の用紙に、前記搬送ベルトの上方のインクジェットヘッドから吐出されたインクにより画像を印刷するインクジェットプリンタにおいて、
前記用紙の搬送方向と直交する前記用紙の幅方向における位置に応じて、前記インクジェットヘッドと前記搬送ベルトとの上下間隔を個別に調整する第1調整部と、
前記搬送方向における位置に応じて、前記インクジェットヘッドと前記搬送ベルトとの上下間隔を個別に調整する第2調整部と、
前記第1調整部及び前記第2調整部のうち少なくとも一方により、前記インクジェットヘッドの直下を通過中の前記搬送ベルト上の前記用紙と前記インクジェットヘッドとのヘッドギャップを、前記幅方向又は前記搬送方向における前記用紙の端部において中央部よりも所定量大きくなるように制御する制御部と、
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画質の低下の抑制と用紙搬送性の低下の抑制との両立を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るヘッドギャップ調整ユニットを備えるインクジェットプリンタの概略構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、
図1のインクジェットプリンタにおける制御系の構成を示すブロック図である。
【
図4A】
図4Aは、
図1の搬送ベルトのベルト高さ調整部を上方から見た説明図である。
【
図4B】
図4Bは、
図1の搬送ベルトのベルト高さ調整部を左右方向から見た説明図である。
【
図5A】
図5Aは、
図4Bのベルト高さ調整部を偏心ローラを用いて構成した場合を示す説明図である。
【
図5B】
図5Bは、
図4Bのベルト高さ調整部を多角形ローラを用いて構成した場合を示す説明図である。
【
図5C】
図5Cは、
図4Bのベルト高さ調整部をラックピニオン機構を用いて構成した場合を示す説明図である。
【
図6A】
図6Aは、
図1のインクジェットヘッド部のヘッド高さ調整部を偏心ローラを用いて構成した場合の左右方向から見た説明図である。
【
図6B】
図6Bは、
図1のインクジェットヘッド部のヘッド高さ調整部をギヤとボールねじを用いて構成した場合の左右方向から見た説明図である。
【
図7】
図7は、端部にカール又は耳折れが発生した
図1の用紙の平面図である。
【
図8】
図8は、幅方向における端部にカール又は耳折れが発生した用紙を搬送する際に
図2の制御部が行う制御により調整された幅方向の中央部及び端部のヘッドギャップを示す説明図である。
【
図9A】
図9Aは、
図1のヘッド高さ調整部が各ラインヘッドの各列のヘッドブロックを印刷時の位置に移動させた状態を示す説明図である。
【
図9B】
図9Bは、
図1のヘッド高さ調整部が各ラインヘッドの各列のヘッドブロックを待機期間中の位置に移動させた状態を示す説明図である。
【
図9C】
図9Cは、用紙の先端が直下を通過した列のヘッドブロックを
図1のヘッド高さ調整部が待機期間中の位置から印刷時の位置に移動させた状態を示す説明図である。
【
図9D】
図9Dは、さらに用紙が進行した時点において、用紙の先端が直下を通過した列のヘッドブロックを
図1のヘッド高さ調整部が待機期間中の位置から印刷時の位置に移動させた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0014】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
図1は本発明の一実施形態に係るヘッドギャップ調整ユニットを備えるインクジェットプリンタの概略構成を示す説明図、
図2は
図1に示すインクジェットプリンタの制御系の構成を示すブロック図である。
【0016】
以下の説明において、ユーザが位置する
図1の紙面表方向を前方、紙面裏方向を後方とする。また、ユーザから視て、上下左右を上下左右方向とする。また、
図1において太線で示す経路が、印刷媒体である用紙Pが搬送される搬送経路Rである。以下の説明における上流、下流は、搬送経路Rにおける用紙Pの搬送方向Aの上流、下流を意味する。
【0017】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、給紙部2と、印刷部3とを備えている。また、
図2に示すように、インクジェットプリンタ1は、給紙部2及び印刷部3の動作を制御する制御部4をさらに備えている。
【0018】
給紙部2は、印刷部3に用紙Pを給紙する。給紙部2は、
図1に示すように、給紙台11と、給紙ローラ12と、中間搬送ローラ15と、レジストローラ17とを備えている。また、
図2に示すように、給紙部2は、給紙モータ14と、中間搬送モータ16と、レジストモータ18とをさらに備えている。
【0019】
図1に示す給紙台11は、印刷に用いられる用紙Pが積載されるものであり、その上側に給紙ローラ12が配置されている。給紙ローラ12は、
図2の給紙モータ14により回転されて、給紙台11の用紙Pを搬送経路Rに1枚ずつ送り出す。
【0020】
図1に示す中間搬送ローラ15は、搬送経路R上に一対配置されている。両中間搬送ローラ15は、給紙ローラ12により搬送経路Rに送り出された用紙Pをニップして、搬送経路Rの下流側に送り出す。これにより、用紙Pは搬送経路Rにおいて搬送方向Aに搬送される。中間搬送ローラ15の一方は、
図2の中間搬送モータ16により回転される。
【0021】
なお、本実施形態では説明を容易にするために、
図1に示すように、給紙部2が、給紙台11、給紙ローラ12及び中間搬送ローラ15を1組有している場合について説明する。しかし、本発明は、給紙部2が、給紙台11、給紙ローラ12及び中間搬送ローラ15を複数組有している場合にも適用可能である。
【0022】
レジストローラ17は、中間搬送ローラ15よりも下流側の搬送経路R上に一対配置されている。レジストローラ17は、中間搬送ローラ15により搬送されてきた用紙Pの先端を一旦止めて斜行を補正した後、用紙Pの先端をニップして印刷部3へ送り出す。
図2のレジストモータ18は、
図1のレジストローラ17を駆動させる。
【0023】
印刷部3は、レジストローラ17よりも下流側の搬送経路R上において、給紙部2により給紙された用紙Pを搬送しつつ、用紙Pに印刷を行う。印刷部3は、本実施形態では、搬送ベルト21と、インクジェットヘッド部22とを備える。
【0024】
搬送ベルト21は、一対のガイドローラ間に架け渡された無端ベルトを用いて構成することができる。搬送ベルト21は、レジストローラ17により搬送されてきた用紙Pをベルト上に吸着保持して搬送する。搬送ベルト21のベルトが掛け渡されたローラが図示しないモータにより駆動されることにより、ベルトが回転し、ベルト上の用紙Pが搬送方向Aに搬送される。
【0025】
インクジェットヘッド部22は、搬送ベルト21の上方に配置されている。
図3に示すように、インクジェットヘッド部22は、搬送ベルト21上の用紙Pの搬送方向Aに間隔をおいて配置された色別の4つのラインヘッド23~26を有している。各ラインヘッド23~26は、ヘッドホルダ27に保持されている。各ラインヘッド23~26は、用紙Pの搬送方向Aの上流側からK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の順に配置されている。
【0026】
各色のラインヘッド23~26は、複数のヘッドブロック23a~26aを有している。本実施形態では、各色のラインヘッド23~26が6つのヘッドブロック23a~26aをそれぞれ有している。各色の6つのヘッドブロック23a~26aは、用紙Pの搬送方向Aに2列、搬送方向Aと直交する用紙Pの幅方向B(前後方向)に3行で配列されており、搬送方向A及び幅方向Bに間隔をおいて千鳥状に配置されている。各色のヘッドブロック23a~26aの搬送ベルト21に対向するノズル面(図示せず)には、幅方向Bに等間隔において複数のノズル(図示せず)が配置されている。
【0027】
インクジェットヘッド部22は、用紙Pに印刷する画像に対応するパターンで、各ヘッドブロック23a~26aのノズルからインクをそれぞれ吐出させることで、搬送ベルト21により搬送される用紙P上に画像を印刷する。
【0028】
図1に示すように、搬送ベルト21は、第1調整部としてのベルト高さ調整部28を有している。インクジェットヘッド部22は、第2調整部としてのヘッド高さ調整部29を有している。
【0029】
図4Aに示すように、搬送ベルト21のベルト高さ調整部28は、用紙Pの幅方向Bに間隔をおいて配置された複数の高さ調整機構28aを有している。
図4Bに示すように、各高さ調整機構28aは、搬送ベルト21のインクジェットヘッド部22に対向する部分の裏側に配置されている。各高さ調整機構28aは、搬送ベルト21の張力により、ベルトの裏側から搬送ベルト21に常に接触する。
図4Aに示すように、各高さ調整機構28aは、搬送ベルト21の両ガイドローラ間において、用紙Pの搬送方向Aにおけるほぼ全長に亘る部分に接触する。
【0030】
図5Aに示すように、各高さ調整機構28aは、例えば、偏心ローラ30を用いて構成することができる。偏心ローラ30は、円形の断面の中心から偏心した箇所を貫通する回転軸30aの周りに回転する。
【0031】
偏心ローラ30の回転軸30aは、
図2のベルト高さ調整モータ31によって回転される。ベルト高さ調整モータ31は、各偏心ローラ30の回転軸30aにそれぞれ対応して設けられている。各偏心ローラ30は、対応するベルト高さ調整モータ31により個別に回転させることができる。
【0032】
図5Aの偏心ローラ30を回転させることで、ベルトの裏側から偏心ローラ30が接触する位置の搬送ベルト21とインクジェットヘッド部22との上下間隔を、調整することができる。
【0033】
図5Bに示すように、各高さ調整機構28aは、偏心ローラ30の代わりに多角形ローラ32を用いて構成することもできる。
図5Bでは、多角形ローラ32の断面を正三角形とした場合を示している。
【0034】
多角形ローラ32は、正三角形の断面の重心からずれた箇所を貫通する回転軸32aの周りに回転する。多角形ローラ32の各頂点と回転軸32aとの距離はそれぞれ異なっている。各多角形ローラ32は、
図2の対応するベルト高さ調整モータ31により個別に回転させることができる。
【0035】
図5Bの多角形ローラ32を回転させることで、ベルトの裏側から多角形ローラ32が接触する位置の搬送ベルト21とインクジェットヘッド部22との上下間隔を、調整することができる。
【0036】
図5Cに示すように、各高さ調整機構28aは、偏心ローラ30の代わりにラックピニオン機構33を用いて構成することもできる。
図5Cでは、ラックピニオン機構33が、ピニオンギア33a、ラック33b及び調整部材33cを有している場合を示している。
【0037】
ラック33bは、ピニオンギア33aの回転により昇降する。調整部材33cは、ラック33bの上端に取り付けられている。調整部材33cは、
図5Cの紙面の表裏方向、即ち、用紙Pの搬送方向Aに一定の寸法を有している。調整部材33cは、搬送ベルト21の両ガイドローラ間のほぼ全長に亘る部分に接触する。
図5Cでは、搬送ベルト21に接触する調整部材33cの先端が断面円弧状である場合を示している。
【0038】
各ラックピニオン機構33のピニオンギア33aは、
図2の対応するベルト高さ調整モータ31により個別に回転させることができる。
【0039】
図5Cのピニオンギア33aを回転させることで、ベルトの裏側から調整部材33cが接触する位置の搬送ベルト21とインクジェットヘッド部22との上下間隔を、調整することができる。
【0040】
以上の通り、
図1のベルト高さ調整部28は、各高さ調整機構28aが用紙Pの幅方向Bにおける搬送ベルト21の位置に応じて、搬送ベルト21とインクジェットヘッド部22との上下間隔を個別に調整することができる。
【0041】
図1に示すインクジェットヘッド部22のヘッド高さ調整部29は、
図3に示す各色のラインヘッド23~26の各列のヘッドブロック23a~26a毎にそれぞれ設けられている。
図6Aに示すように、各ヘッド高さ調整部29は、ヘッド取付板34と、ヘッド取付板34の昇降機構35とを有している。
【0042】
ヘッド取付板34には、各ラインヘッド23~26の同じ列のヘッドブロック23a~26aが取り付けられている。用紙Pの幅方向Bにおけるヘッド取付板34の両端部は、
図3のヘッドホルダ27によって保持される。
図6Aでは、昇降機構35を、緩衝ばね36及び押さえローラ37を用いて構成した場合を示している。
【0043】
緩衝ばね36は、ヘッド取付板34の端部及びヘッドホルダ27の間に配置されている。ヘッド取付板34は、緩衝ばね36の弾発力により、ヘッドホルダ27から上方に離間する向きに付勢されている。
【0044】
押さえローラ37は、重心から偏心した回転軸37aの周りに回転する。押さえローラ37は、例えば、
図5Aの偏心ローラ30又は
図5Bの多角形ローラ32のような構成とすることができる。押さえローラ37は、緩衝ばね36の弾発力により、ヘッド取付板34に常に接触する。
図6Aでは、押さえローラ37を、円柱状の偏心ローラで構成した場合を示している。
【0045】
図6Aの押さえローラ37の回転軸37aは、
図2のヘッド高さ調整モータ38によって回転される。ヘッド高さ調整モータ38は、各列のヘッド高さ調整部29にそれぞれ対応して設けられている。各列の押さえローラ37は、対応するヘッド高さ調整モータ38により個別に回転させることができる。
【0046】
図5Aの押さえローラ37を回転させることで、押さえローラ37が接触するヘッド取付板34に取り付けられたヘッドブロック23a~26aと搬送ベルト21との上下間隔を、調整することができる。
【0047】
図6Bに示すように、昇降機構35は、緩衝ばね36及び押さえローラ37の代わりにボールねじ機構39を用いて構成することもできる。
【0048】
ボールねじ機構39は、ヘッドホルダ27に取り付けられて上下方向に延在するボールねじ軸39a、ボールねじ軸39aに螺合させたボールねじナット39b、ボールねじナット39bの周面に形成したギア39cに噛合させた入力ギア39dを有している。ボールねじナット39bは、用紙Pの幅方向Bにおけるヘッド取付板34の両端部を支持している。
【0049】
入力ギア39dは、
図2のヘッド高さ調整モータ38によって回転される。ヘッド高さ調整モータ38は、各列のボールねじ機構39の入力ギア39dにそれぞれ対応して設けられている。各列の入力ギア39dは、対応するヘッド高さ調整モータ38により個別に回転させることができる。
【0050】
入力ギア39dがボールねじナット39bを回転させると、ボールねじ軸39aに沿ってボールねじナット39bが昇降し、これに支持されたヘッド取付板34が昇降する。ヘッド取付板34の昇降により、ヘッド取付板34に取り付けられたヘッドブロック23a~26aと搬送ベルト21との上下間隔を、調整することができる。
【0051】
以上の通り、
図1のヘッド高さ調整部29は、各昇降機構35が用紙Pの搬送方向Aにおける各列のヘッドブロック23a~26aの位置に応じて、搬送ベルト21と各列のヘッドブロック23a~26aとの上下間隔を個別に調整することができる。
【0052】
制御部4は、インクジェットプリンタ1の各部の動作を制御する。制御部4は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成される。
【0053】
具体的には、制御部4は、給紙部2により用紙Pを印刷部3へ給紙し、印刷部3において搬送ベルト21により用紙Pを搬送しつつ、インクジェットヘッド部22によりインクを吐出して用紙Pに印刷を行うよう制御を行う。
【0054】
ところで、印刷部3による用紙Pへの印刷画像の画質は、搬送ベルト21上の用紙Pとヘッドブロック23a~26aとのヘッドギャップを小さくする方が、インクの着弾位置ズレが少なくなる等の理由で高くなる。
【0055】
しかし、例えば
図7に示すように、用紙Pの周縁部Peが湿気等によりカールしたり、耳折れしている場合、カール又は耳折れの向きがヘッドブロック23a~26a側の上向きであると、用紙Pの周縁部Peがヘッドブロック23a~26aに接触しやすくなる。用紙Pがヘッドブロック23a~26aに接触すると、用紙Pの搬送に支障が生じたり、ヘッドブロック23a~26aの汚れが用紙Pに付着し画質の低下が生じたりする。
【0056】
用紙Pを負圧により吸着するタイプの搬送ベルト21でも、用紙Pの周縁部Peにカール又は耳折れがあると、搬送ベルト21に用紙Pが十分に密着できず、吸着力不足で搬送ベルト21から用紙Pが剥がれてヘッドブロック23a~26aに接触する可能性がある。
【0057】
そこで、本実施形態では、制御部4がベルト高さ調整部28及びヘッド高さ調整部29のうち少なくとも一方を動作させて、搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔を調整する制御を行う。この制御は、
図1の搬送ベルト21による搬送中の用紙Pがラインヘッド23~26の下方を通過する際に行うことができる。なお、制御部4は、搬送ベルト21とラインヘッド23~26との間隔を調整するタイミングを、例えば、搬送経路R上の所定の位置でセンサ(図示せず)が用紙Pの通過を検出したタイミングに基づいて決定することができる。
【0058】
以下、制御部4が行う搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔調整制御の内容を、ベルト高さ調整部28を動作させて行うものとヘッド高さ調整部29を動作させて行うものとに分けて説明する。
【0059】
なお、インクジェットプリンタ1の給紙部2により印刷部3に給紙される用紙Pの周縁部Peに発生するカール又は耳折れの位置及び形状を含むパターンは、用紙Pのサイズ毎に予め既知であるものとする。用紙Pの周縁部Peのうち、搬送方向Aにおける用紙Pの端部に発生するカール又は耳折れのパターンは、例えば、用紙Pの搬送方向Aにおける寸法毎に既知とすることができる。用紙Pの周縁部Peのうち、用紙Pの幅方向Bにおける端部に発生するカール又は耳折れのパターンは、例えば、用紙Pの幅方向Bにおける寸法毎に既知とすることができる。
【0060】
まず、制御部4がベルト高さ調整部28を動作させて行う搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔調整制御について説明する。この間隔制御では、制御部4は、搬送ベルト21の位置を上下方向に調整して、搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔を調整する。
【0061】
制御部4は、制御部4に入力された印刷ジョブの画像データ及び印刷設定データから、印刷に用いる用紙Pの寸法と、印刷画像の周囲に発生する用紙Pの余白の寸法とを、用紙Pの幅方向Bについて特定する。そして、制御部4は、特定した寸法から、用紙Pの幅方向Bの中央部と両端部とのそれぞれにおける搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔を設定する。
【0062】
但し、用紙Pの幅方向Bにおける印刷画像の周囲に余白が存在しない場合は、制御部4は、ベルト高さ調整部28による間隔調整をキャンセルして行わないようにしてもよい。また、用紙Pの画像が印刷される範囲に対応する搬送ベルト21の領域が、搬送ベルト21のベルト高さ調整部28によって上下位置が調整される範囲に重なる場合も、制御部4は、ベルト高さ調整部28による間隔調整をキャンセルして行わないようにしてもよい。
【0063】
これらの間隔調整のキャンセルは、用紙Pの画像が印刷される範囲のヘッドギャップが、搬送ベルト21の上下位置の調整により幅方向Bの中央部と端部とでばらつくのを避け、ヘッドギャップのばらつきによる印刷画像の品質低下を招くのを防ぐ上で有効である。
【0064】
ところで、用紙Pの幅方向Bの中央部及び両端部における搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔は、用紙Pの幅方向Bにおける端部に発生するカール又は耳折れのパターンに基づいて設定することができる。用紙Pの幅方向Bにおける端部に発生するカール又は耳折れのパターンは、用紙Pの幅方向Bにおける寸法毎に既知である。
【0065】
よって、用紙Pの幅方向Bにおける寸法を特定すれば、用紙Pの幅方向Bにおける端部に発生するカール又は耳折れのパターンを特定し、これに基づいて、用紙Pの幅方向Bの中央部及び両端部における搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔を特定できる。
【0066】
そこで、例えば、制御部4の不図示のメモリに、用紙Pの幅方向Bにおける寸法と、用紙Pの幅方向Bの中央部及び両端部における搬送ベルト21及び各ラインヘッド23~26間の間隔とを対応付けたテーブルを記憶させておく。そうすれば、制御部4は、メモリのテーブルを参照して、特定した寸法から、用紙Pの幅方向Bの中央部と両端部とのそれぞれにおける搬送ベルト21と各ラインヘッド23~26との間隔を設定することができる。
【0067】
なお、用紙Pの幅方向Bにおける両端に上向きのカール又は耳折れが発生する場合は、搬送ベルト21と各ラインヘッド23~26との間隔を、中央部に対して両端部を所定量大きくする。例えば、中央部の間隔をデフォルトの1.5mmとした場合、両端部の間隔は、所定量としての0.5mmを増やして2.0mmとすることができる。この数値はあくまで一例であり、幅方向Bの中央部及び両端部における搬送ベルト21と各ラインヘッド23~26との間隔は、考慮すべき事情に応じて任意の値とすることができる。
【0068】
制御部4は、用紙Pの幅方向Bの中央部及び両端部における搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔が設定した大きさとなるように、各ベルト高さ調整部28の高さ調整機構28aに対応するベルト高さ調整モータ31を動作させる。
【0069】
これにより、
図8に示すように、搬送ベルト21上の用紙Pの幅方向Bにおける端部に上向きのカール又は耳折れが発生していても、用紙Pと各ラインヘッド23~26との間に、用紙Pが各ラインヘッド23~26に接触しない大きさのヘッドギャップを確保することができる。なお、
図8では、高さ調整機構28aに
図5Aの偏心ローラ30を用いた場合を示している。
【0070】
制御部4がベルト高さ調整部28を動作させて行う搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔調整制御は、上述した、用紙Pの幅方向Bにおける搬送ベルト21の中央部の高さを変えず両端部の高さを上げる内容でなくてもよい。例えば、幅方向Bにおける中央部の高さを上げて両端部の高さを下げる、中央部の高さを上げて両端部の高さを変えない、中央部の高さを上げて両端部の高さを中央部よりも小幅に少し上げる、中央部の高さを変えず両端部の高さを下げる等、中央部と両端部との相対的な高さを調整できればよい。
【0071】
また、搬送ベルト21の上下位置調整により、用紙Pの幅方向Bにおけるヘッドギャップのばらつきによる印刷画像の画質低下が気になる場合は、各ラインヘッド23~26のノズルからのインク液滴の吐出速度、吐出タイミング等を調整してもよい。
【0072】
次に、制御部4がヘッド高さ調整部29を動作させて行う搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔調整制御について説明する。この間隔制御では、制御部4は、ラインヘッド23~26の各列のヘッドブロック23a~26aの位置を上下方向に調整して、搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔を調整する。
【0073】
制御部4は、制御部4に入力された印刷ジョブの画像データ及び印刷設定データから、印刷に用いる用紙Pの寸法と、印刷画像の周囲に発生する用紙Pの余白の寸法とを、用紙Pの搬送方向Aについて特定する。そして、制御部4は、特定した寸法から、搬送ベルト21上の用紙Pのカール又は耳折れが生じた部分が各ラインヘッド23~26の各列のヘッドブロック23a~26aの直下を通過する待機期間中の、搬送ベルト21及び各列のヘッドブロック23a~26a間の間隔を設定する。
【0074】
但し、用紙Pの搬送方向Aにおける印刷画像の周囲に余白が存在しない場合は、制御部4は、ヘッド高さ調整部29による間隔調整をキャンセルして行わないようにしてもよい。また、用紙Pの画像が印刷される範囲に対応する搬送ベルト21の領域が、ヘッド高さ調整部29によって上下位置が調整される範囲に重なる場合も、制御部4は、ヘッド高さ調整部29による間隔調整をキャンセルして行わないようにしてもよい。
【0075】
これらの間隔調整のキャンセルは、用紙Pの画像が印刷される範囲のヘッドギャップが、ヘッドブロック23a~26aの上下位置の調整により搬送方向Aの中央部と端部とでばらつくのを避け、ヘッドギャップのばらつきによる印刷画像の品質低下を招くのを防ぐ上で有効である。
【0076】
ところで、待機期間中の搬送ベルト21及び各列のヘッドブロック23a~26a間の間隔は、用紙Pの搬送方向Aにおける端部に発生するカール又は耳折れのパターンに基づいて設定することができる。用紙Pの搬送方向Aにおける端部に発生するカール又は耳折れのパターンは、用紙Pの搬送方向Aにおける寸法毎に既知である。
【0077】
よって、用紙Pの搬送方向Aにおける寸法を特定すれば、用紙Pの搬送方向Aにおける端部に発生するカール又は耳折れのパターンを特定し、これに基づいて、待機期間中の搬送ベルト21及び各列のヘッドブロック23a~26a間の間隔を特定できる。
【0078】
そこで、例えば、制御部4の不図示のメモリに、用紙Pの搬送方向Aにおける寸法と、待機期間中の搬送ベルト21及び各列のヘッドブロック23a~26a間の間隔とを対応付けたテーブルを記憶させておく。そうすれば、制御部4は、メモリのテーブルを参照して、特定した寸法から、待機期間中の搬送ベルト21及び各列のヘッドブロック23a~26a間の間隔を設定することができる。
【0079】
なお、用紙Pの搬送方向Aにおける先端に上向きのカール又は耳折れが発生する場合は、用紙Pの先端部分が直下を通過するまでの待機期間中に、搬送ベルト21と各列のヘッドブロック23a~26aとの間隔を、
図9Aに示す印刷時の間隔に対して所定量大きくする。
図9A上では、2列のヘッドブロック25aのうち一方の列と、2列のヘッドブロック26aの両方の列との図示を、省略している。これらの列のヘッドブロック25a,26aの図示は、以後参照する
図9B~
図9Dにおいても省略している。
【0080】
例えば、印刷時の間隔を1.5mmとした場合、待機期間中の間隔は、所定量としての0.5mm増やして2.0mmとすることができる。この数値はあくまで一例であり、印刷時及び待機期間中における搬送ベルト21と各ラインヘッド23~26との間隔は、考慮すべき事情に応じて任意の値とすることができる。
【0081】
制御部4は、用紙Pの搬送方向Aにおける先端に上向きのカール又は耳折れが発生する場合は、搬送ベルト21と各列のヘッドブロック23a~26aとの間隔が、搬送ベルト21上の用紙Pが直下を通過する待機期間中に、設定した大きさとなるように、各ヘッド高さ調整部29のヘッド取付板34の昇降機構35に対応するヘッド高さ調整モータ38を動作させる。
【0082】
なお、制御部4は、各列のヘッドブロック23a~26aの待機期間を、例えば、用紙Pの搬送方向Aにおける寸法及び既知の用紙Pの搬送速度と、各列のヘッドブロック23a~26aの配置とから、それぞれ特定することができる。
【0083】
これにより、搬送ベルト21上の用紙Pの搬送方向Aにおける先端に上向きのカール又は耳折れが発生していても、待機期間中の各列のヘッドブロック23a~26aと用紙Pとの間に、必要な大きさのヘッドギャップを確保することができる。このヘッドギャップでは、
図9Bに示すように、用紙Pが各ラインヘッド23~26のヘッドブロック23a~26aに接触しないようにすることができる。
【0084】
上向きのカール又は耳折れが発生する用紙Pの先端が直下を通過したら、制御部4は、待機期間が終了した列のヘッドブロック23a~26aと搬送ベルト21との間隔を、ヘッド高さ調整部29により印刷時の間隔に順次変更させる。印刷時の間隔に変更された後の各列のヘッドブロック23a~26aは、例えば、
図9C及び
図9Dに示すように、待機期間中よりも搬送ベルト21に近い位置に配置される。
【0085】
これにより、印刷時には、各列のヘッドブロック23a~26aと用紙Pとのヘッドギャップを、インクの着弾位置ずれが生じて印刷品質が低下するのを抑制できる近さに縮めることができる。
【0086】
なお、用紙Pの耳折れは、用紙Pの四隅に発生するのが一般的である。四隅のどこかに耳折れが発生する用紙Pは、用紙Pの搬送方向A及び幅方向Bの各寸法から制御部4が特定することができる。そして、用紙Pの四隅のどこかに耳折れが発生する場合は、制御部4は、ベルト高さ調整部28及びヘッド高さ調整部29の両方を動作させて、搬送ベルト21及びラインヘッド23~26間の間隔調整制御を行うことができる。
【0087】
上述した例では、用紙Pの四隅に耳折れが発生する場合は、ヘッドギャップが、ベルト高さ調整部28により、幅方向Bの中央部よりも両端部において0.5mm増え、また、ヘッド高さ調整部29により、待機期間中においてさらに0.5mm増える。このため、耳折れにより用紙Pの四隅が上向きのカールの場合よりもさらにラインヘッド23~26寄りに近づいても、搬送ベルト21上の用紙Pとラインヘッド23~26との間に、十分な大きさのヘッドギャップを確保することができる。
【0088】
以上に説明した本実施形態のインクジェットプリンタ1によれば、ラインヘッド23~26の直下を通過中の搬送ベルト21上の用紙Pとラインヘッド23~26との間隔を、ベルト高さ調整部28及びヘッド高さ調整部29のうち少なくとも一方により調整する。このため、ラインヘッド23~26の直下を用紙Pが通過する際のヘッドギャップを、用紙Pのカール又は耳折れ部分がラインヘッド23~26に接触して搬送に支障が生じたり印刷画像が汚れて画質が低下するのを抑制しつつ、ヘッドギャップの増大による印刷品質の低下を抑制できるように、コントロールすることができる。
【0089】
なお、本発明は上記の実施形態のままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0090】
[付記]
以上に説明した実施形態によって、以下に示す態様の発明が開示される。
【0091】
即ち、一つの態様の発明として、
搬送ベルト上の搬送中の用紙に、前記搬送ベルトの上方のインクジェットヘッドから吐出されたインクにより画像を印刷するインクジェットプリンタにおいて、
前記用紙の搬送方向と直交する前記用紙の幅方向における位置に応じて、前記インクジェットヘッドと前記搬送ベルトとの上下間隔を個別に調整する第1調整部と、
前記搬送方向における位置に応じて、前記インクジェットヘッドと前記搬送ベルトとの上下間隔を個別に調整する第2調整部と、
前記第1調整部及び前記第2調整部のうち少なくとも一方により、前記インクジェットヘッドの直下を通過中の前記搬送ベルト上の前記用紙と前記インクジェットヘッドとのヘッドギャップを、前記幅方向又は前記搬送方向における前記用紙の端部において中央部よりも所定量大きくなるように制御する制御部と、
を備えるインクジェットプリンタのヘッドギャップ調整ユニットが開示される。
【0092】
そして、上記態様による発明によれば、画質の低下の抑制と用紙搬送性の低下の抑制との両立を実現することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 インクジェットプリンタ
2 給紙部
3 印刷部
4 制御部
11 給紙台
12 給紙ローラ
14 給紙モータ
15 中間搬送ローラ
16 中間搬送モータ
17 レジストローラ
18 レジストモータ
21 搬送ベルト
22 インクジェットヘッド部
23~26 ラインヘッド(インクジェットヘッド)
23a~26a ヘッドブロック
27 ヘッドホルダ
28 ベルト高さ調整部(第1調整部)
28a 高さ調整機構
29 ヘッド高さ調整部(第2調整部)
30 偏心ローラ
30a 回転軸
31 ベルト高さ調整モータ
32 多角形ローラ
32a 回転軸
33 ラックピニオン機構
33a ピニオンギア
33b ラック
33c 調整部材
34 ヘッド取付板
35 昇降機構
36 緩衝ばね
37 押さえローラ
37a 回転軸
38 ヘッド高さ調整モータ
39 ボールねじ機構
39a ボールねじ軸
39b ボールねじナット
39c ギア
39d 入力ギア
A 搬送方向
B 幅方向
P 用紙
R 搬送経路