(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090834
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】波型伝熱フィン
(51)【国際特許分類】
F28F 1/32 20060101AFI20220613BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20220613BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20220613BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
F28F1/32 M
F28D9/02
H01L23/36 Z
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203386
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】大内 琢也
(72)【発明者】
【氏名】平山 智将
(72)【発明者】
【氏名】平野 裕
【テーマコード(参考)】
3L103
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
3L103AA01
3L103CC01
3L103DD12
3L103DD54
5E322AA01
5E322AA05
5E322AB01
5E322FA01
5F136BA07
5F136CB07
5F136CB08
5F136DA27
5F136EA04
5F136FA01
5F136GA12
(57)【要約】
【課題】製造がより簡単な波型伝熱フィンを提供する。
【解決手段】第1方向に所定寸法を有し、波形の流通面によって第1方向に直交する第2方向に沿って所定周期のうねりが形成され、流通面を流体が流通する波型伝熱フィンであって、流通面に段部が設けられ、段部は、第1方向における流通面の一端から他端に亘って設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に所定寸法を有し、波形の流通面によって前記第1方向に直交する第2方向に沿って所定周期のうねりが形成され、前記流通面を流体が流通する波型伝熱フィンであって、
前記流通面に段部が設けられ、
前記段部は、前記第1方向における前記流通面の一端から他端に亘って設けられていることを特徴とする波型伝熱フィン。
【請求項2】
内部に冷媒流路が形成されたヒートシンク内において、前記冷媒流路に設けられることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の波型伝熱フィン。
【請求項3】
前記うねりは、向きが異なる直線部を交互に接続した形状に形成され、
前記段部は、前記第2方向において前記直線部に複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の波型伝熱フィン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波型伝熱フィンに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、熱交換器用伝熱管が開示されている。この熱交換器用伝熱管は、その
図1等に明示されているように、偏平管の内周面に波形フィン構造体を内装したものである。この波形フィン構造体は、断面形状略矩形のチャンネル形状の波形で、長手方向に所定の波長で波形のうねりが形成された湾曲曲面を有するものであり、チャンネル形状の波幅をH、長手方向におけるうねりの波長をL、長手方向におけるうねりの振幅をAとした場合に、H/Lを0.17~0.20とし、かつH-Aによって求められるギャップGとHとの比(G/H)を-0.21~0.19とするものである。
【0003】
また、下記特許文献2には、熱交換器及びコルゲートフィンが開示されている。この特許文献2におけるコルゲートフィンは、その
図3等に明示されているように、一方向に並ぶ複数本のチューブの相互間に波形状を成すように曲がって形成され、チューブ内を流れる第1流体とチューブの相互間に流れる第2流体との熱交換を促進するものである。
【0004】
より詳しくは、特許文献2のコルゲートフィンは、チューブに接合される複数の接合部と、波形状に沿って隣り合う接合部同士の間をつなぐように該接合部のそれぞれに連結する複数のフィン本体部とを備える。上記フィン本体部は、一部が切り起こされた形状を成す切り起こし部を有し、当該切り起こし部は、第2流体を案内する切り起こし本体部と、該切り起こし本体部から延設された板状を成し前記切り起こし部のうち一方向の少なくとも一方の端に設けられた切り起こし端部とを有し、当該切り起こし端部の表面の親水性を高めるように形成された凹凸形状を切り起こし端部の板厚方向の少なくとも一方に有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-078194号公報
【特許文献2】特開2019-211115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の波形フィン構造体(波型伝熱フィン)は、コルゲートフィンと言えるものであり、波幅H、うねり波長L、うねり振幅Aの関係を最適化することによって、排気ガス流路を通流する高温の排気ガスが均一な流速分布を以って通流し、かつ伝熱管の外側を通流する冷却媒体との熱交換を促進するものである。また、特許文献2のコルゲートフィンは、フィン本体部に切り起こし部を設けることにより、第1流体と第2流体との間における伝熱の促進を図るものである。
【0007】
ここで、特許文献1の波形フィン構造体に特許文献2の切り起こし部を設けることにより、特許文献1の波形フィン構造体における排気ガスと冷却媒体との間における伝熱の促進を図ることが可能であるが、波形フィン構造体において切り起こし部を形成する場合、波形フィン構造体の製造工程が複雑になり、この結果として製造コストが高くなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、製造がより簡単な波型伝熱フィンの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、波型伝熱フィンに係る第1の解決手段として、第1方向に所定寸法を有し、波形の流通面によって前記第1方向に直交する第2方向に沿って所定周期のうねりが形成され、前記流通面を流体が流通する波型伝熱フィンであって、前記流通面に段部が設けられ、前記段部は、前記第1方向における前記流通面の一端から他端に亘って設けられている、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、波型伝熱フィンに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、内部に冷媒流路が形成されたヒートシンク内において、前記冷媒流路に設けられる、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、波型伝熱フィンに係る第3の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記うねりは、向きが異なる直線部を交互に接続した形状に形成され、前記段部は、前記第2方向において前記直線部に複数設けられている、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、製造がより簡単な波型伝熱フィンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態におけるヒートシンクAの分解構造を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコルゲートフィン3A、3B(波型伝熱フィン)の形状を示す構成を示す正面図(a)及び側面図(b)である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るコルゲートフィン3A、3B(波型伝熱フィン)の形状を示す拡大正面図(a)及び拡大側面図(b)である。
【
図4】本発明の一実施形態の変形例に係る波型伝熱フィン3A、3Bの形状を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
最初に、
図1を参照して本実施形態におけるヒートシンクAの構造を説明する。なお、この
図1では、方向を明確化するために、互いに直行する3軸(X軸、Y軸及びZ軸)を付記している。これら3軸に沿った各方向うち、Z軸に平行な方向は、本発明の第1方向に相当し、またY軸に平行な方向は本発明の第2方向に相当する。
【0015】
このヒートシンクAは、電動車両に搭載されると共に複数の半導体スイッチングトランジスタを備えるPCU(Power Control Unit)の構成部品である。また、このヒートシンクAは、電力をスイッチングする関係で発熱する複数の半導体スイッチングトランジスタの熱を放熱させる機械部品である。
【0016】
なお、PCUは、周知のように電動車両に備えられた走行用モータを駆動する電力変換器(昇降圧コンバータやインバータ等)であり、リチウムイオン電池等の高圧電源から給電された直流電力を複数の半導体スイッチングトランジスタを用いて交流電力に変換して走行用モータに出力する。
【0017】
本実施形態におけるヒートシンクAは、このようなPCUにおける複数の半導体スイッチングトランジスタ(半導体チップ)が発生させる熱を外部に放熱させるためのものであり、
図1に示すようにアッパーカバー1、ロアーカバー2、2つのコルゲートフィン3A、3B(波型伝熱フィン)、ステー4、第1接続部材5A及び第2接続部材5Bを備えている。
【0018】
アッパーカバー1、ロアーカバー2、2つのコルゲートフィン3A、3B及びステー4のうち、アッパーカバー1及びロアーカバー2は、ヒートシンクAの筐体を構成する機械部品である。この筐体は、後述するように略長方形状の流体流通路Rを内包している。
【0019】
すなわち、アッパーカバー1は、略長方形状の平板状部材であり、上面が上記半導体チップが熱結合した状態で接合される平板なチップ接合面1aである。また、このアッパーカバー1は、下面つまりチップ接合面1aの裏面がロアーカバー2が接合される平板なカバー接合面1bである。
【0020】
また、アッパーカバー1には、図示するように合計で8個のネジ穴1c~1jが設けられている。これら8個のネジ穴1c~1jのうち、4個のネジ穴1c~1fは、アッパーカバー1の外周近傍部位に離散的に配置されている。これら4個のネジ穴1c~1fは、ヒートシンクAをPCU本体に固定するためのものであり、各々に固定用ネジ(図示略)が挿通される。
【0021】
残りの4個のネジ穴1g~1jのうち、2個のネジ穴1g、1hは、アッパーカバー1が有する一対の短辺のうち、一方の短辺の近傍部位に対として配置されている。これら2個のネジ穴1g、1hは、第1接続部材5Aを固定するためのものであり、各々に固定用ネジ(図示略)が挿通される。
【0022】
さらに、残りの2個のネジ穴1i、1jは、アッパーカバー1における他方の短辺の近傍部位に対として配置されている。これら2個のネジ穴1i、1jは、第2接続部材5Bを固定するためのものであり、各々に固定用ネジ(図示略)が挿通される。
【0023】
ロアーカバー2は、周縁部がZ軸方向に所定寸法だけ立ち上がった略長方形状の平板状部材であり、上記周縁部つまり立上り部の先端がアッパーカバー1のカバー接合面1bに当接した状態で接合される。このようなアッパーカバー1及びロアーカバー2によって構成されるヒートシンクAの筐体は、内部に略長方形状の空洞(冷媒流路R)が形成された中空状の筐体である。
【0024】
すなわち、ロアーカバー2は、上面が冷媒流路Rの底面を構成する流路形成面2aであり、下面が固定面2bである。なお、上述したアッパーカバー1のカバー接合面1bのうち、ロアーカバー2の立上り部によって囲われる領域は、ロアーカバー2の流路形成面2aと第1方向において対峙した状態で冷媒流路Rの天面を構成する流路形成面である。
【0025】
このようなアッパーカバー1及びロアーカバー2によって形成される冷媒流路Rは、短辺方向がX軸に平行な方向、長辺方向がX軸に平行な方向、また高さ方向がZ軸に平行な方向となる。また、このような流体流通路Rは、短辺寸法、長辺寸法及び高さ寸法によって決定される容積を備える。
【0026】
また、ロアーカバー2には、流体流入口2cと流体流出口2dとが設けられている。これら流体流入口2cは、略長方形状のロアーカバー2において一方の短辺近傍に設けられており、液体冷媒が上記冷媒流路Rに向かって流入する開口である。流体流出口2dは、略長方形状のロアーカバー2において他方の短辺近傍に設けられており、液体冷媒が上記冷媒流路Rから流出する開口である。
【0027】
すなわち、本実施形態におけるヒートシンクAでは、液体冷媒は、流体流入口2cから冷媒流路Rに進入し、冷媒流路Rを流体流入口2cから最も離間した位置に設けられた流体流出口2dに向かって流通し、また流体流入口2cから外部に流出する。このような液体冷媒は、冷媒流路Rを流通する間に複数の半導体チップの熱によって加熱される。
【0028】
2つのコルゲートフィン3A、3Bは、図示するように所定高さを有する長方形の部材であり、何れも同一形状に形成されている。これらコルゲートフィン3A、3Bは、互いに隣り合うように冷媒流路R内に収納されている。すなわち、2つのコルゲートフィン3A、3Bは、
図1における上面がアッパーカバー1の流路形成面にロウ付け等によって固定されている。
【0029】
ここで、コルゲートフィン3A、3Bにおいて、高さ方向(Z軸方向)は本発明の第1方向に相当し、長辺方向(Y軸方向)は本発明の第2方向に相当する。すなわち、2つのコルゲートフィン3A、3Bは、自身の長辺が同様に長方形状に形成された流体流通路Rの長辺方向(Y軸方向)と平行になるように、かつ、冷媒流路Rの短辺方向(X軸方向)に隣り合うような姿勢で流体流通路R内に収納されている。
【0030】
続いて、
図2を参照してコルゲートフィン3A、3Bの詳細形状を説明する。これら2つのコルゲートフィン3A、3Bは、板金(母材)をプレス加工することによって波形(波板状)に成形されたプレス成型品であり、平行に並ぶ複数の波部3aの連続体である。複数の波部3aは、ロアーカバー2の流路形成面2aからアッパーカバー1側に所定の寸法Dかつ所定の間隔Eで突出する部位である。すなわち、コルゲートフィン3A、3Bは、高さ方向であるZ軸方向(第1方向)に所定寸法Dを有している。
【0031】
また、複数の波部3aは、図示するように、高さ方向(Z軸方向、第1方向)に直交する長辺方向(Y軸方向、第2方向)に沿って所定周期Tでうねっている。すなわち、コルゲートフィン3A、3Bは、波形の波部3aによって高さ方向(Z軸方向、第1方向)に直交する長辺方向(Y軸方向、第2方向)に沿って所定周期Tのうねりが形成されている。
【0032】
上記うねりは、図示するように、向きが異なる直線部3bを交互に接続したような形状に形成されている。すなわち、このうねりは、長辺方向(Y軸方向、第2方向)に延在する波部3aを短辺方向(X軸方向)に屈曲させた形状、換言すると屈曲方向が長辺方向(Y軸方向、第2方向)に対して逆方向となる直線部3bを長辺方向(Y軸方向、第2方向)において交互に接続したような形状を有している。
【0033】
また、上記うねりは、全ての波部3aについて長辺方向(Y軸方向、第2方向)に同一位相となるように設けられている。すなわち、コルゲートフィン3A、3Bでは、互いに隣り合う波部3aの間隔は、長辺方向(Y軸方向、第2方向)の何れの箇所においても略一定に保たれている。
【0034】
また、複数の波部3aは、配列方向がコルゲートフィン3A、3Bの短辺方向(X軸方向)であり、延在方向がコルゲートフィン3A、3Bの長辺方向(Y軸方向)である。このような複数の波部3aは、コルゲートフィン3A、3Bが冷媒流路R内に収納された状態において、頂部3cがアッパーカバー1の流路形成面にロウ付け固定され、底部3dがロアーカバー2の流路形成面2aに当接している。
【0035】
また、このような複数の波部3aにおいて、一端はロアーカバー2の流体流入口2cに臨む冷媒流入端3eであり、他端はロアーカバー2の流体流出口2dに臨む冷媒流出端3fである。すなわち、複数の波部3aにおいて、一端(冷媒流入端3e)は流体流入口2cの近傍に位置し、他端(冷媒流出端3f)は流体流出口2dの近傍に位置している。
【0036】
このようなヒートシンクAでは、流体流入口2cから冷媒流路Rに流入した液体冷媒は、冷媒流入端3eから複数の波部3aに進入し、複数の波部3aの表面つまり第1流通面3gと裏面つまり第2流通面3hを流通して冷媒流出端3fを経由して流体流出口2dに至る。
【0037】
すなわち、上述した冷媒流路Rは、第1流通面3gとアッパーカバー1の流路形成面とによって囲まれた第1冷媒流路R1と第2流通面3hとロアーカバー2の流路形成面2aとによって囲まれた第2冷媒流路R2とからなる。
【0038】
ここで、
図3は、隣り合う2つの直線部3bの側面図(a)及び当該側面図におけるC-C線矢視図(b)である。この
図3に示すように、直線部3bの両側には段部3iが形成されている。この段部3iは、
図3に示すように、隅部3jと角部3kとを有し、当該隅部3jと角部3kとの距離に相当する所定の段差(深さ)を有する。また、1つの波部3aに着目すると、段部3iは、長辺方向(Y軸方向、第2方向)にオフセットした状態で両側に形成されている。
【0039】
さらに、1つの段部3iに着目すると、当該段部3iは、波部3aの高さ方向(Z軸方向、第1方向)の全領域、つまり高さ方向(Z軸方向、第1方向)における第1流通面3gの一端から他端に亘って設けられている。また、隅部3j及び角部3kは略90°の角度を有し、隅部3jと角部3kとを接続する面(接続面3m)は平面である。
【0040】
上述した直線部3bに着目すると、このような段部3iは、1つの直線部3bの両側に各々1つ設けられている。このような複数の段部3iは、第1流通面3gを冷媒流入端3eから冷媒流出端3fに向かって流れる液体冷媒に対して剥離現象を生じさせる剥離部である。複数の段部3iは、上記剥離現象に基づいて液体冷媒を撹拌することにより、第1冷媒流路R1において液体冷媒を層流として流通させるのではなく、乱流として流通させる。
【0041】
ところで、
図1に示したステー4は、上記筐体をPCU本体に固定するための板状部材であり、合計4ヶ所にネジ穴4a~4dが設けられている。このステー4は、上面がロアーカバー2の固定面2b(下面)に接合されている。また、このステー4は、自身の各ネジ穴4a~4dとアッパーカバー1における4個のネジ穴1c~1f共通に挿入された固定用ネジ(図示略)によってPCU本体に固定される。すなわち、アッパーカバー1及びステー4は、固定用ネジによって共締めされた状態でPCU本体に固定される。
【0042】
第1接続部材5Aは、中央部に開口5aが設けられると共に周縁部の2ヶ所に開口5aを挟むようにネジ穴5b、5cが各々設けられた略円板状部材である。この第1接続部材5Aは、ヒートシンクAに液体冷媒を供給する外部配管をロアーカバー2の流体流入口2cに接続するための接続具である。
【0043】
第2接続部材5Bは、中央部に開口5dが設けられると共に周縁部の2ヶ所に開口5dを挟むようにネジ穴5e、5fが各々設けられた略円板状部材である。この第2接続部材5Bは、液体冷媒をヒートシンクAから外部に排出する外部配管をロアーカバー2の流体流出口2dに接続するための接続具である。
【0044】
次に、このように構成されたヒートシンクAの作用効果、特に本実施形態に係るコルゲートフィン3A、3B(波型伝熱フィン)の作用効果について詳しく説明する。
【0045】
上述したように本実施形態におけるヒートシンクAでは、アッパーカバー1のチップ接合面1aに複数の半導体チップ(発熱備品)が熱結合した状態で接合されている。すなわち、ヒートシンクAのアッパーカバー1には、複数の半導体チップで発生した熱が伝熱される。そして、ヒートシンクAの冷媒流路Rに収納された2つのコルゲートフィン3A、3Bには、上記半導体チップの熱が伝熱される。
【0046】
そして、コルゲートフィン3A、3Bに伝熱した半導体チップの熱は、冷媒流路Rを流通する液体冷媒に伝熱して当該液体冷媒を加熱させる。液体冷媒は、ロアーカバー2の流体流入口2cから流体流出口2dに向かって流通しているので、つまり冷媒流路R内を流通しているので、コルゲートフィン3A、3Bに伝熱した半導体チップの熱は液体冷媒に順次伝熱し半導体チップの温度上昇を抑制する。
【0047】
ここで、コルゲートフィン3A、3Bには、複数の段部3iが設けられているので、複数の段部3iが設けられていない場合に比較して伝熱性能が向上している。すなわち、本実施形態に係るコルゲートフィン3A、3Bは、複数の段部3iが設けられていないものに比べて伝熱性能に優れている。
【0048】
このような2つのコルゲートフィン3A、3Bは、板金(母材)をプレス加工することによって複数の段部3iを備えるように成形されたものであり、複数の段部3iの形成が極めて容易である。すなわち、本実施形態によれば、製造がより簡単なコルゲートフィン3A、3B(波型伝熱フィン)を提供することが可能である。
【0049】
また、本実施形態によれば、コルゲートフィン3A、3B(波型伝熱フィン)の製造が簡単なので、コルゲートフィン3A、3Bの製造コストを低下させることが可能であり、よってヒートシンクAの製造コストをも低下させることが可能である。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、1つの直線部3bの両側に各々1つの段部3iを設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば
図3に示すように1つの直線部3bの両側に各々2つの段部3iを設けてもよい。さらには、1つの直線部3bの両側に各々3つ以上の段部3iを設けてもよい。すなわち、上記段部3iは、長辺方向(Y軸方向、第2方向)において1つの直線部3bに複数設けてもよい。
【0051】
(2)上記実施形態では、直線部3bの両側に段部3iを設けたが、本発明はこれに限定されない。例えば、直線部3bの片側に段部3iを設けてもよい。なお、各直線部3bの片側に段部3iを設ける場合には、X軸方向に隣り合う波部3aによって形成される一対の対向面の何れか一方に段部3iが存在するように設けることが好ましい。
【0052】
(3)上記実施形態では、2つのコルゲートフィン3A、3Bを冷媒流路R内に収納したが、本発明はこれに限定されない。例えば、2つのコルゲートフィン3A、3Bを一体化させたもの、つまり1つのコルゲートフィンを冷媒流路R内に収納してもよい。
【符号の説明】
【0053】
A ヒートシンク
R1 第1冷媒流路
R2 第2冷媒流路
1 アッパーカバー
1a チップ接合面
1b カバー接合面
1c~1f ネジ穴
2 ロアーカバー
2a 流路形成面
2b 固定面
2c 流体流入口
2d 流体流出口
3A、3B コルゲートフィン(波型伝熱フィン)
3a 波部
3b 直線部
3c 頂部
3d 底部
3e 冷媒流入端
3f 冷媒流出端
3g 第1流通面
3h 第2流通面
3i 段部
3j 隅部
3k 角部
3m 接続面
4 ステー
4a~4d ネジ穴
5A 第1接続部材
5B 第2接続部材
5a、5b 開口
5c~5f ネジ穴