(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090924
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】情報処理システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 20/00 20180101AFI20220613BHJP
G16H 10/40 20180101ALI20220613BHJP
【FI】
G16H20/00
G16H10/40
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203515
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】592031097
【氏名又は名称】PHC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山口 勝彦
(72)【発明者】
【氏名】苅田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】岩野 賢二
(72)【発明者】
【氏名】秦 真也
(72)【発明者】
【氏名】工藤 利和
(72)【発明者】
【氏名】伊東 信一
(72)【発明者】
【氏名】上野 孝一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真哉
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
5L099AA21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】適切な検査スケジュール管理を実行する情報処理システムを提供する。
【解決手段】管理サーバ、医療端末及び受付端末が、通信ネットワークを介して互いにデータの送受信が可能となるように接続されている情報処理システムにおいて、管理サーバ10は、医療端末より受診者の受診者カルテ156の要求があると、受診者カルテ156を送信する。また、医療端末より受診者カルテ156への入力がが行われると、入力内容を含む受診者カルテ156を記憶部111に保存する。また、受付端末からの予約要求に対応して、次回検査に対応する機器の空きを確認し、検査情報153より、次回検査に対応する機器を読み出し、読み出された機器の情報に基づき、予約の日時の候補を設定し、受付端末30に送信する。そして、受付端末からの情報に基づき、受診者の予定を確認して、次回検査の日時を決定し、機器管理情報154に、確定した予約の予約日時として保存する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の制御部を備える情報処理システムであって、前記制御部は、
受診者の診療履歴を取得する処理と、
前記診療履歴に基づいて、次回実施する検査を次回検査として設定する検査設定処理と、
前記次回検査を実施すべき期間を設定する期間設定処理と、
前記期間の範囲から、前記次回検査を実施する検査日時を設定する予約処理と、を実行する情報処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記検査設定処理において、
前記診療履歴に保存された診断結果に基づいて、前記次回検査を設定する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記次回検査の実施時に使用する機器の使用可能日時を取得する処理と、
前記検査に参加するコメディカルの参加可能日時を取得する処理と、をさらに実行し、
前記予約処理において、
前記期間、前記使用可能日時、及び前記参加可能日時の重複日時から、前記検査日時を設定する、請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記期間設定処理において、
前記次回検査の検査周期を取得し、前記検査周期に基づいて前記期間を設定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記診療履歴から、前記次回検査の条件指示を取得する処理をさらに実行し、
前記期間設定処理において、前記条件指示に基づいて前記期間を設定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記検査設定処理において、
前記診療履歴に基づき、実施すべき検査の候補を取得し、前記表示部に重要度別に表示態様を変えて表示させる処理と、
前記候補のうち、選択された検査を前記次回検査として設定する処理と、をさらに実行する、請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
受診者の診療履歴を取得する処理と、
前記診療履歴に基づいて、次回実施する検査を次回検査として設定する検査設定処理と、
前記次回検査を実施すべき期間を設定する期間設定処理と、
前記期間から、前記次回検査を実施する検査日時を設定する予約処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
1以上の制御部を備える情報処理システムにおいて実行する方法であり、
受診者の診療履歴を取得する処理と、
前記診療履歴に基づいて、次回実施する検査を次回検査として設定する検査設定処理と、
前記次回検査を実施すべき期間を設定する期間設定処理と、
前記期間から、前記次回検査を実施する検査日時を設定する予約処理と、を実行する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関などにおいて検査のスケジュールを設定する際に、関係施設や検査機器の空き状況を調べ、検査を実施可能な日時を提示することができるシステムが従来技術として知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来技術においては、予約枠や日時等の確認を行うにとどまり、受診者、医師、コメディカル及び医療機関などの各状況に応じた適切な形態での検査スケジュールを設定することはできない。
【0005】
本発明はこのような課題を鑑みてなされたものであり、適切な検査スケジュール管理を実行することができるシステムを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は一態様として、1以上の制御部を備える情報処理システムであって、前記制御部は、受診者の診療履歴を取得する処理と、前記診療履歴に基づいて、次回実施する検査を次回検査として設定する検査設定処理と、前記次回検査を実施すべき期間を設定する期間設定処理と、前記期間から、前記次回検査を実施する検査日時を設定する予約処理と、を実行する情報処理システムを提供する。
【0007】
また、本発明は一態様として、受診者の診療履歴を取得する処理と、前記診療履歴に基づいて、次回実施する検査を次回検査として設定する検査設定処理と、前記次回検査を実施すべき期間を設定する期間設定処理と、前記期間から、前記次回検査を実施する検査日時を設定する予約処理と、をコンピュータに実行させるプログラムを提供する。
【0008】
また、本発明は一態様として、1以上の制御部を備える情報処理システムにおいて実行する方法であり、受診者の診療履歴を取得する処理と、前記診療履歴に基づいて、次回実施する検査を次回検査として設定する検査設定処理と、前記次回検査を実施すべき期間を設定する期間設定処理と、前記期間から、前記次回検査を実施する検査日時を設定する予約処理と、を実行する方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
上記の態様によれば、適切な検査スケジュール管理を実行することができるシステムの提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る診療管理システムを含む情報処理システムの全体構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る管理サーバの機能構成を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る診療報酬情報を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る検査情報を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る(a)機器管理情報を示す図と、(b)機器管理情報の細項目を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る受診者カルテの機能構成を示す図である。
【
図8】第1の実施形態に係る処理を示すシークエンス図である。
【
図9】第1の実施形態に係るスケジュール設定画面を示す図である。
【
図10】第1の実施形態に係る検査アイコンICの凡例を図(a)、図(b)に示す。
【
図11】第1の実施形態に係るスケジュール設定画面を示す図である。
【
図12】第2の実施形態に係る処理を示すシークエンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、本発明をその一実施形態である第1実施形態に即して図面を参照しつつ説明する。
【0012】
〔構成〕
図1に本発明の一実施形態に係る情報処理システム1の構成を示す。情報処理システム1は、管理サーバ10、医療端末20、及び受付端末30を含む。管理サーバ10、医療端末20、および受付端末30は、通信ネットワーク5を介して互いにデータの送受信が可能となるように接続されている。
【0013】
通信ネットワーク5は、無線方式または有線方式の通信手段であり、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆通信網、専用線等である。なお、本実施形態による情報処理システム1は上記複数の情報管理装置によって構成されているが、本発明はこれらの装置の数を限定するものではない。そのため、情報処理システム1は、以下のような機能を備えるものであれば、1以上の装置によって構成することができる。
【0014】
医療端末20は、病院や診療所等の医療機関に備えられている情報処理装置であり、主に医療機関の従事者によって操作され、受診予約の受付、診療の対価の請求等の処理を行う。
【0015】
図2は、管理サーバ10、医療端末20、及び受付端末30の実現に用いるハードウェア(以下、「情報処理装置100」と称する。)の一例である。同図に示すように、情報処理装置100は、プロセッサ101、主記憶装置102、補助記憶装置103、入力装置104、出力装置105、および通信装置106を備える。これらは図示しないバス等の通信手段を介して互いに通信可能に接続されている。
【0016】
尚、情報処理装置100は、その全ての構成が必ずしもハードウェアで実現されている必要はなく、構成の全部又は一部が、例えば、クラウドシステム(cloud system)のクラウドサーバ(cloud server)のような仮想的な資源によって実現されていてもよい。
【0017】
プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等を用いて構成される。プロセッサ101が、主記憶装置102に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、管理サーバ10や医療端末20、及び受付端末30の機能が実現される。プロセッサ101は制御部の一例である。
【0018】
主記憶装置102は、プログラムやデータを記憶する装置であり、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性半導体メモリ(NVRAM(Non Volatile RAM))等である。
【0019】
補助記憶装置103は、例えば、SSD(Solid State Drive)、SDメモリカード等の各種不揮発性メモリ(NVRAM:Non-volatile memory)、ハードディスクドライブ、光学式記憶装置(CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等)、クラウドサーバの記憶領域等である。補助記憶装置103に格納されているプログラムやデータは主記憶装置102に随時読み込まれる。
【0020】
入力装置104は、情報の入力を受け付けるインタフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、音声入力装置(マイクロフォン等)、音声認識装置等である。情報処理装置100が通信装置106を介して他の装置との間で情報の入力を受け付ける構成としてもよい。
【0021】
出力装置105は、各種の情報を出力するインタフェースであり、例えば、画面表示装置(液晶モニタ、LCD(Liquid Crystal Display)、グラフィックカード等)、印字装置等)、音声出力装置(スピーカ等)、音声合成装置等である。情報処理装置100が通信装置106を介して他の装置との間で情報の出力を行う構成としてもよい。出力装置105は本発明における表示部に相当する。
【0022】
通信装置106は、通信ネットワーク5を介した他の装置との間の通信を実現する有線方式又は無線方式の通信インタフェースであり、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線通信モジュール、USB(Universal Serial Interface)モジュール、シリアル通信モジュール等である。
【0023】
図3に管理サーバ10が備える主な機能(ソフトウェア構成)を示している。同図に示すように、管理サーバ10は、記憶部111、検査管理部112及びスケジュール管理部113の各機能を備える。これらの機能は、管理サーバ10のプロセッサ101が管理サーバ10の主記憶装置102に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。また管理サーバ10は、上記の機能に加えて、オペレーティングシステム、ファイルシステム、デバイスドライバ、DBMS(DataBase Management System)等の機能を備える。
【0024】
上記の機能のうち、記憶部111には、診療報酬情報151、勤務情報152、検査情報153、機器管理情報154、及び受診者カルテ156が保存される。記憶部111は、これらのデータを、例えば、データベースのテーブルや、ファイルシステムによって管理されるファイル等として記憶する。
【0025】
診療報酬情報151には、
図4に示すように診療内容と、診療内容に対応する診療点数とが記録される。なお、診療内容には、診察などの医療行為だけでなく、注射などの簡単な処置や検査なども含まれる。診療点数は、基本的に保険診療点数が記載される。診療点数の記載内容は、点数を記載する形式としてもよいし、点数の代わりに料金を記載する形式としてもよい。また、保険外診療に対する報酬も記載され得る。
【0026】
勤務情報152には、医師及びコメディカルを含む、医療機関における従業者の勤務スケジュールが保存される。
【0027】
検査情報153には、
図5に示すように病名及び病名コードと、これらに対応する検査及び検査コードとが、互いに関連付けされた状態で保存される。例えば、病名の項目が心不全の場合、対応する検査として、心電図、胸部X線、血中BNP/N末端プロBNP(NT-proBNP)値の測定、コンピュータ断層撮影(computed tomography; CT)、磁気共鳴像撮影(magnetic resonance imaging; MRI)が挙げられる。病名の項目が心不全の場合、検査情報153には、これらの検査が病名に対応して保存される。また、検査情報153には、これらの検査が必須検査か任意検査であるかの種別、さらに検査に対応する検査コードも保存される。
【0028】
機器管理情報154には、
図6(a)に示すように、機器の使用スケジュールが保存される。具体的には、X線装置、MRIなどの医療機関で管理される各種検査装置、機器、器具等の使用日時、使用時間帯が保存される。また、機器の情報として、院内の検査機器等に該当するか、院外の検査機器等に該当するのかの区別も保存される。
【0029】
さらに機器管理情報154には、機器個別のスケジュールの詳細も保存される。
図6(b)には、機器個別のスケジュールの具体例として、心電図モニタの1日分のスケジュールを示している。
図6(b)の情報は、例えば、
図6(a)に示す情報の1日毎の細項目として設定される。図示のように、機器管理情報154には、検査の実施予定年月日と検査の1時間ごとの時間帯枠、被検査者、担当医師、検査に従事するコメディカル(図中、従事者と表示)、及び検査機器が保存される。スケジュールの内容には、確定した予約と仮予約の種別も保存される。
【0030】
受診者カルテ156の一例を
図7に示す。受診者カルテ156は、受診者ID、氏名、氏名フリガナ、性別、生年月日、住所(郵便番号)、症状・所見、検査履歴、及び指示の各項目を有する。「症状・所見」には、医師などによる診断結果、診察内容、病名、傷病名コードなどが記録される。「検査履歴」には、受診者が過去に実施した医療検査の検査日時及び検査の内容などが記録される。検査とは、受診者の状態を評価するための検査であり、臨床検査等だけでなく簡易な検査も含まれる。「指示」には、医師など診療を行うものが、医療機関の受付部門(以下、単に受付と称する場合がある)に対して行う指示または要望等が記載される。
図7の例においては、医師の指示として、次回の検査、検査の実施期限、及び検査を診察日と同日に行う旨が保存されている。受診者カルテ156は、診療履歴の一例である。
【0031】
〔処理〕
情報処理システム1によって実行される処理の一例について、
図8のシークエンス図を用いて以下に説明する。以下の例においては、医師のいる医療機関において受診者が受診し、次回の検査予約を行うケースを想定している。記憶部111に保存されたプログラムが起動され、各端末及び管理サーバ10のプロセッサ101によって、情報処理システム1の処理が以下のように実行される。
【0032】
ステップS1において、医療端末20は受診者の受診者カルテ156の要求を管理サーバ10に送信して、管理サーバ10から当該受診者カルテ156をの受信し出力装置105に受診者カルテ156の内容を表示させる。診療時には、医師などによって医療端末20を介して受診者カルテ156への書き込みが行われる(S3)。受診者カルテ156には、受診者の病状、症状などの他、薬剤の処方の指示、また次回の検査に関する指示が入力される。
【0033】
受診者カルテ156への書き込みの際には、情報処理システム1は、病名、検査結果または症状に関連する検査の候補を出力装置105に表示させることが可能である。例えば、
図5に示すように、病名が心不全であった場合、検査情報153から心不全に対応する検査が読み出され、出力装置105上に表示される。また、検査周期が設定されている場合には、検査周期も出力装置105上に表示される。例えば、病名が慢性心不全の場合、28日周期などの検査周期が表示される。
【0034】
図9(a)及び
図10に示すように、医療端末20には、検査情報153から取得した情報に基づき、必須の検査、任意の検査、早期に実施すべき検査、未実施の検査がアイコンICとして、それぞれ違う態様で表示される。これらの検査の区別は、検査情報153に記載された検査周期、及び任意検査/必須検査の種別に基づく。
図9(a)では、色、形状、模様、線種などによって、アイコンICの表示が区別されている。例えば、検査の種類、検査時期、必須検査/任意検査の種別(
図10(a)、(b))、また、院内検査/院外検査の種別(
図11)などによって、各検査のアイコンICは、相互に表示態様を変えて表示される。このような表示を行うことにより、検査ごとに検査の期限、重要度または優先度を示し、医師や受付に確認させることができる。医師は、これらのアイコンICから適切なものを選んで、次回実施すべき検査として受診者カルテ156の「指示」項目に記載、入力する。受診者カルテ156への入力は、
図11に示すように、医師によるアイコンICの選択に応じて、検査管理部112が実行してもよい。記載がなされた受診者カルテ156は、管理サーバ10へ送信されて記憶部111に保存される(S5)。
【0035】
次に受付端末30において、検査の予約要求が管理サーバ10に送信される(S7)。受診者が医療機関の受付において、具体的な検査日時を設定する場面に対応する処理である。
【0036】
予約要求に対応して、管理サーバ10は次回検査を設定する(S9)。具体的には、管理サーバ10は、検査管理部112を介して、受診者カルテ156及び検査情報153を読み出す。検査管理部112は、受診者カルテ156より受診者の症状・所見を読み込む。さらに、検査管理部112は、検査情報153から、受診者の症状・所見に対応する検査、さらに検査を実施すべき期間を読み出す。例えば、
図7に示すように、医師の指示として、カルテに記載された次回検査が心電図検査であった場合、また、定期的に心電図検査を行うことがカルテに記載されている場合には、検査管理部112は次回の検査項目として心電図検査を設定する。また、検査が慢性疾患用の検査だった場合など、検査周期が指定されている場合がある。この場合にも、検査情報153から検査周期が取得される。例えば検査周期が28日であった場合は、検査を実施すべき期間は、受診した日から28日後までとなる。
【0037】
これに加えて、医師によって次回検査などに関する追加の指示が出されている場合もある。このような場合のため、検査管理部112は受診者カルテ156の「指示」項目より、具体的な指示内容を取得する。
【0038】
検査管理部112は、次回検査に対応する機器の空きを確認する(S11)。検査管理部112は、検査情報153より、次回検査に対応する機器を読み出す。さらに、機器管理情報154から、次回検査の機器の使用状況を読み出す。例えば、
図7に示すように、次回検査が心電図検査であった場合、検査管理部112は、心電図モニタのスケジュールを読み出す。
【0039】
次に検査管理部112は、検査に従事するコメディカルのスケジュールを勤務情報152より読み出す(S13)。例えば次回検査が胸部X線検査であった場合、検査管理部112は、X線技師のスケジュールを読み出す。
【0040】
次に情報処理システム1は、受付端末30にスケジュール設定画面を表示させ、スケジュールの設定を行う。スケジュールの設定は、主にスケジュール管理部113によって行われる。その際、スケジュール管理部113は、記憶部111より、モードの確認を行う(S15)。モードは、スケジュールを設定するときの優先順位を定めたものであり、例えば、診療報酬は増加してしまうが、なるべく検査を早期に行う条件など、様々な条件付けが設定される。なお、
図9では、診療報酬をなるべく下げる条件(報酬優先モード)、来院日をなるべく少なくする条件(検査優先モード)が、端末画面上に選択可能に表示される様子が示されている。
【0041】
スケジュール管理部113は、予約日時の候補を設定する(S16)。予約日時の候補としては、検査を実施可能な日時が設定される。具体的には、検査機器が空き、さらに検査機器を操作するコメディカルが医療機関で勤務している日時である。検査周期が指定されている場合は、この周期の範囲内で、予約日時の候補が設定される。また、特に医師による指示により、次回検査の期間、日時等が設定されている場合には、指示の範囲内で予約日時の候補が設定される。例えば、医師により検査日と診察日を同日にすることが指示されていた場合、スケジュール管理部113は、勤務情報152より医師の勤務予定を参照し、上記の予約日時の候補から、医師の診察が可能な日に絞り込みを行い、最終的な予約日時の候補とする。
【0042】
設定された予約日時の候補は、受付端末30に送信される(S17)。
【0043】
受付端末30は、次回検査を実施する機器の空き情報及びコメディカルの空き情報に基づき、スケジュール設定画面(
図11)を出力装置105上に表示させる(S19)。
図11では、ある患者の検査アイコンICと、心電図検査のスケジュール設定画面を示している。なお、この設定画面は、アイコンICを選択することによって表示されるだけでなく、ステップS16までの処理で次回検査が設定された場合には、スケジュール管理部113によって自動的に表示される。
【0044】
図11の画面では、ステップS17までに設定された予約日時の候補が表示される。検査機器が空いており、かつ、機器操作など、検査を実行するコメディカルが参加可能な日がカレンダーの形式で表示されている。また、各日に示される数字は、検査を実行可能な時間帯枠の数を示す。設定画面では、設定されたモードに適合する期間として、次回検査を実施するのに最適な期間が、他期間と区別して表示される。例えば、
図11に示す設定画面では、検査を早期に行うという条件付けがモードとして設定されている。
図11に示す設定画面では、特にモードに適合した期間を網掛で示し、検査を実施するのに最適な期間であることを受付に対して明示している。
【0045】
また、スケジュール設定画面においては、検査機器の空きがない日だけでなく、医師の指示した条件に合致しない日もゼロとして表示される。例えば、医師の診察日と検査日とを合致させる条件付けが指示されている場合には、医師が勤務しない日をゼロ表示する。
【0046】
受付は、検査候補のアイコンICも確認することができる。この場合の表示内容は、
図9(b)に示すものとなる。予約設定時にも受付によって検査アイコンICが確認されることによって、期日内に検査が適切に行われていること、または検査漏れがないことの確認が可能となり、医師による確認(S3)と併せたダブルチェックがなされる。なお、受付端末30には受診者の症状・所見は表示されない。受診者のプライバシーに配慮するためである。
【0047】
複数の検査が予定される場合であって、なるべく来院日を少なくするモード設定がなされている場合には、複数の検査を実行可能な日が、上記と同様に優先的に表示される。診療報酬をなるべく低く抑えるモードの設定がなされている場合には、検査、診療を実施するに際して報酬が最も低くなる期間が優先的に表示される。
【0048】
受付は、受付端末30を介して予約日時候補を確認し、さらに受診者の予定を確認して、次回検査の日時を決定する(S21)。日時の決定は、受付が所望の日付を設定画面から選択することによって実行される。検査管理部112が、選択した日時に対応する画面を
図6(a)、(b)のような態様で表示させ、具体的な時間枠の決定、入力を促す。決定された次回検査の予約日時は、機器管理情報154に、確定した予約の予約日時として保存される(S23)。また、検査に携わるコメディカルの予定として、勤務情報152に検査の実施日時が反映される。このように、検査の予約は、第1実施形態と同様に、コメディカルの空き状況、機器の空き状況、医師の指示を含む受診者カルテ156の記載、検査情報153、検査周期、モード条件を考慮したうえで、これらの条件を重複して満たす日時から選択されることによって実行される。
【0049】
<第2実施形態>
上記の実施形態においては医師が指示を行い、指示に基づいて受付が予約の詳細な日時を確定させるという処理フローであったが、この順序を逆とすることも可能である。以下に第2実施形態として説明する。
【0050】
第2実施形態を
図12のシークエンス図を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の処理行うステップについては、第1実施形態と同様の符号を付し、説明を省略する。第2実施形態では、受診者が診療を受ける前に受付が仮の予約を設定する。
【0051】
図12において、ステップS7からS21までは第1実施形態と同様の処理が行われる。すなわち、受付端末30を介して、次回の検査予約の日時が設定される。具体的には、情報処理システム1は、検査管理部112を介して、受診者カルテ156及び検査情報153を読み出す。検査管理部112は、受診者カルテ156より受診者の症状・所見を読み込む。さらに、検査管理部112は、検査情報153から、受診者の症状・所見に対応する検査、さらに検査を実施すべき期間を読み出す。例えば、
図7に示すように、医師の指示として、カルテに記載された次回検査が心電図検査であった場合、また、定期的に心電図検査を行っている場合には、検査管理部112は次回の検査項目として心電図検査を設定する。また、検査が慢性疾患用の検査だった場合など、検査周期が指定されている場合がある。この場合にも、検査情報153から検査周期が取得される。例えば検査周期が28日であった場合は、検査を実施すべき期間は、受診した日から28日後までとなる。
【0052】
これに加えて、医師によって次回検査などに関する追加の指示が出されている場合もある。このような場合のため、検査管理部112は受診者カルテ156の「指示」項目より、具体的な指示内容を取得する。
【0053】
設定した予約内容は、仮予約という形式で保存される(S23A)。検査の予約は、第1実施形態と同様に、コメディカルの空き状況、機器の空き状況、医師の指示を含む受診者カルテ156の記載、検査情報153、検査周期、モード条件を考慮したうえで、これらの条件を重複して満たす日時から選択されることによって実行される。処理の手順は、第1実施形態におけるステップS23とほぼ同様であるが、確定された予約ではなく仮の予約として機器管理情報154に保存される点で異なる。
【0054】
例えば、慢性心不全の受診者などにおいては、同様の検査を定期的に実施している場合がある。このような場合は、受診者が医療機関を訪問して受付手続きをするタイミングで次回の検査日時を設定することにより、迅速な手続きを行うことが可能となる。
【0055】
次に医療端末20を介して、医師など、診療を行う者や検査を確定させる権限を有する者によって予約情報が確認される(S31)。具体的な処理としては、スケジュール管理部113が、仮予約の内容を医療端末20に表示させ、医師などが確認を行う。その後、仮予約の承認がなされることにより、機器管理情報154に、確定した予約の予約日時が保存される(S33)。
【0056】
その際医師などは、第1実施形態と同様、スケジュール設定画面(
図11)を出力装置105上に表示させ、アイコンICなどの表示を見ることにより、検査が適正に行われているか確認することが可能である。
【0057】
<効果>
上記の実施形態においては、情報処理システム1によって、受診者の診療履歴を取得する処理(S1)と、診療履歴に基づいて実施すべき検査の候補を取得し、候補のうちから次回実施する次回検査を設定する検査設定処理(S9)が実行される。また、次回検査を実施すべき期間を設定する期間設定処理(S16)と、この期間から次回検査を実施する検査日時を設定する予約処理(S21)とが実行される。
【0058】
このような処理とすることによって、予約処理をスムーズに実行することが可能となる。医師の負担を減らすとともに、受診者の負担も減らすことができる。
【0059】
また、検査設定処理(S9)においては、診療履歴である受診者カルテに保存された診断結果に基づいて、次回検査が設定される。
【0060】
また、情報処理システム1では、次回検査の実施時に使用する機器の使用可能日時を取得する処理(S11)と、検査に参加するコメディカルの参加可能日時を取得する処理(S13)と、がさらに実行される。予約処理においては、期間、使用可能日時、及びコメディカルの参加可能日時の重複日時から、前記検査日時が設定される。ここで、検査期間は、次回検査の検査周期に基づいて設定され得る。また、医師等による条件指示に基づいて、検査期間が設定される場合もある。
【0061】
上記のように様々な条件を考慮して、検査すべき期間を適切に設定することができるので、予約を適切に実行し、検査を正確に実行することができる。
【0062】
情報処理システム1は、表示部である出力装置105をさらに備える。検査設定処理においては、診療履歴に基づき、実施すべき検査の候補が取得され、出力装置105に重要度別に、アイコンICとして表示態様を変えて表示させる処理(
図10、
図11など)が実行される。また、アイコンICとして表示された候補のうち、選択された検査を前記次回検査として設定する処理が実行される(S3、S21)。
【0063】
アイコンICによって、検査の重要度が表示されるので、医師やコメディカルにとって識別しやすく、適切な検査の選択処理が可能となる。そのため、検査漏れ等の事故が防止される。
【0064】
<変形例>
表示態様は、スケジュール設定画面などにおいて検査アイコンIC等を用いて、検査の種別などを色や形状によって区別して表示する態様としていたが、本発明はそのような視認による態様に限定されない。例えば、音声によって検査の種別表示を変える態様を用いてもよい。
【0065】
上記実施形態においては、1つの管理サーバ10に対して複数の端末が接続し、上記のような機能を発揮する態様としていた。本発明は、サーバの数や端末の数を限定するものではなく、例えば、1つの装置のみによって、上記のような機能を実現してもよい。また、端末の数やサーバの数をさらに増やしてもよい。また、各機能は、必ずしも管理サーバ10などによって実現される必要はなく、複数の装置で分担して、機能を実現する態様とすることができる。すなわち、本発明は制御部または装置の数、装置間での機能の分担を限定するものではない。
【0066】
上記実施形態においては、医療機関において医師がカルテの記入や指示を行う態様を想定していたが、本発明はそのような態様に限定されない。例えば、整骨院などの医業類似行為を行う機関や、動物病院において情報処理システム1が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 情報処理システム
100 情報処理装置
10 管理サーバ
20 医療端末
30受付端末
【手続補正書】
【提出日】2022-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の制御部を備える情報処理システムであって、前記制御部は、
受診者の診療履歴を取得する処理と、
前記診療履歴に保存された医師の指示に基づいて、次回実施する検査を次回検査として設定する検査設定処理と、
前記次回検査を実施すべき期間を設定する期間設定処理と、
前記期間の範囲から、前記次回検査を実施する検査日時を設定する予約処理と、を実行する情報処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記次回検査の実施時に使用する機器の使用可能日時を取得する処理と、
前記検査に参加するコメディカルの参加可能日時を取得する処理と、をさらに実行し、
前記予約処理において、
前記期間、前記使用可能日時、及び前記参加可能日時の重複日時から、前記検査日時を設定する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記期間設定処理において、
前記次回検査の検査周期を取得し、前記検査周期に基づいて前記期間を設定する、請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記診療履歴から、前記次回検査の条件指示を取得する処理をさらに実行し、
前記期間設定処理において、前記条件指示に基づいて前記期間を設定する、請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
表示部をさらに備え、
前記制御部は、前記検査設定処理において、
前記診療履歴に基づき、実施すべき検査の候補を取得し、前記表示部に重要度別に表示態様を変えて表示させる処理と、
前記候補のうち、選択された検査を前記次回検査として設定する処理と、をさらに実行する、請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
受診者の診療履歴を取得する処理と、
前記診療履歴に保存された医師の指示に基づいて、次回実施する検査を次回検査として設定する検査設定処理と、
前記次回検査を実施すべき期間を設定する期間設定処理と、
前記期間から、前記次回検査を実施する検査日時を設定する予約処理と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項7】
1以上の制御部を備える情報処理システムにおいて実行する方法であり、
受診者の診療履歴を取得する処理と、
前記診療履歴に保存された医師の指示に基づいて、次回実施する検査を次回検査として設定する検査設定処理と、
前記次回検査を実施すべき期間を設定する期間設定処理と、
前記期間から、前記次回検査を実施する検査日時を設定する予約処理と、を実行する方法。