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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090936
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20220613BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20220613BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220613BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20220613BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20220613BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20220613BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20220613BHJP
【FI】
H02J13/00 311A
H02J3/32
H02J7/00 P
H02J7/34 A
H02J13/00 301A
H02J15/00 D
B60L53/30
B60L53/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203546
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淺田 信行
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC05
5G064AC09
5G064CB08
5G064CB10
5G064DA11
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA05
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA04
5G503AA06
5G503BA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503EA05
5G503FA06
5G503GD04
5G503GD06
5H125AA02
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC24
5H125CD03
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE55
(57)【要約】
【課題】送電施設から建物への給電を行うことが困難となった場合でも、建物に電力を供給することができる電力供給システムを得る。
【解決手段】電力供給システム10は、自動運転制御部88で自動運転可能とされると共に、バッテリパック56を備えた車両16と、建物12に設けられた建物側コンセント22と、建物12への電力の供給が不足していると判定したときに第1信号W1を送信する給電状態取得部48と、バッテリパック56の充電状態に基づく第2信号W2を送信する充電状態取得部90と、第1信号W1及び第2信号W2に基づき建物12への電力の供給が不足しかつバッテリパック56が満充電状態であると判定したときに自動運転制御部88に第3信号W3を送信することで自動運転制御部88に車両16をバッテリパック56から建物側コンセント22に電力を供給可能な位置まで運転させる電力供給指示部110と、を有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転制御部で制御されることで自動運転可能とされ、通常時において所定の場所に駐車されると共に、蓄電部を備えた車両と、
建物に設けられると共に前記蓄電部からの電力を供給可能とされた被電力供給部と、
送電施設から前記建物への給電状態を取得可能とされ、当該建物への電力の供給が不足していると判定したときに第1信号を送信する給電状態取得部と、
前記蓄電部の充電状態を取得し、当該蓄電部の充電状態に基づく第2信号を送信する充電状態取得部と、
前記第1信号及び前記第2信号に基づき前記建物への電力の供給が不足しかつ前記蓄電部が満充電状態であると判定したときに前記自動運転制御部に第3信号を送信することで当該自動運転制御部に前記車両を前記蓄電部から前記被電力供給部に電力を供給可能な位置まで運転させる電力供給指示部と、
を有する電力供給システム。
【請求項2】
前記車両は、駆動されることで前記蓄電部を充電可能なパワーユニットをさらに備え、
前記パワーユニットによる前記蓄電部の充電を制御する充電制御部と、
前記送電施設から前記建物への給電環境を予測可能とされると共に、当該給電環境の悪化が予測されたときに前記充電制御部に第4信号を送信して当該充電制御部に前記蓄電部の充電を開始させる充電指示部と、
をさらに有する、
請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記場所に設置されると共に複数の蓄電部に給電可能とされた充電器と、
前記場所に設置されると共に前記第1信号に基づく第5信号を受信すると警報を発する警報装置と、
をさらに有する、
請求項1に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電力配送システムに関する発明が開示されている。この電力配送システムでは、需要家施設(建物)に設けられた蓄電池同士の間で配送車を介して電力の授受が行われる。このため、一方の需要家施設で余剰となった電力を、電力が不足している他方の需要家施設に供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-71843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の先行技術では、送電施設から各需要家施設への送電が困難となった場合には、各需要家施設において余剰な電力が生じることがなくなり、電力が不足している需要家施設に電力を供給することができない。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、送電施設から建物への給電を行うことが困難となった場合でも、建物に電力を供給することができる電力供給システムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る電力供給システムは、自動運転制御部で制御されることで自動運転可能とされ、通常時において所定の場所に駐車されると共に、蓄電部を備えた車両と、建物に設けられると共に前記蓄電部からの電力を供給可能とされた被電力供給部と、送電施設から前記建物への給電状態を取得可能とされ、当該建物への電力の供給が不足していると判定したときに第1信号を送信する給電状態取得部と、前記蓄電部の充電状態を取得し、当該蓄電部の充電状態に基づく第2信号を送信する充電状態取得部と、前記第1信号及び前記第2信号に基づき前記建物への電力の供給が不足しかつ前記蓄電部が満充電状態であると判定したときに前記自動運転制御部に第3信号を送信することで当該自動運転制御部に前記車両を前記蓄電部から前記被電力供給部に電力を供給可能な位置まで運転させる電力供給指示部と、を有している。
【0007】
第1の態様に係る電力供給システムでは、蓄電部を備えると共に、自動運転制御部で制御されることで自動運転可能とされた車両が、通常時において所定の場所に駐車されている。一方、建物には、車両の蓄電部からの電力を供給可能とされた被電力供給部が設けられており、被電力供給部を介して蓄電部から建物側に電力を供給することができる。
【0008】
また、本態様では、送電施設から建物への給電状態を取得可能とされた給電状態取得部を備えており、給電状態取得部は、建物への電力の供給が不足していると判定したときに第1信号を送信する。
【0009】
さらに、本態様では、車両の蓄電部の充電状態を取得する充電状態取得部を備えており、充電状態取得部は、当該蓄電部の充電状態に基づく第2信号を送信する。
【0010】
加えて、本態様では、電力供給指示部を備えており、電力供給指示部は、第1信号及び第2信号に基づき建物への電力の供給が不足しかつ車両の蓄電部が満充電状態であると判定したときに、自動運転制御部に第3信号を送信する。そして、自動運転制御部は、車両を通常時の所定の場所から、当該車両の蓄電部から被電力供給部に電力を供給可能な位置まで運転する。
【0011】
このため、本態様では、送電施設から建物への電力の供給が不足しているときに、車両を当該建物の近傍まで走行させて、当該車両の蓄電部から当該建物の被電力供給部に電力を供給することができる。
【0012】
第2の態様に係る電力供給システムは、第1の態様に係る電力供給システムにおいて、前記車両は、駆動されることで前記蓄電部を充電可能なパワーユニットをさらに備え、前記パワーユニットによる前記蓄電部の充電を制御する充電制御部と、前記送電施設から前記建物への給電環境を予測可能とされると共に、当該給電環境の悪化が予測されたときに前記充電制御部に第4信号を送信して当該充電制御部に前記蓄電部の充電を開始させる充電指示部と、をさらに有している。
【0013】
第2の態様に係る電力供給システムでは、車両のパワーユニットが駆動されることで、車両の蓄電部が充電される。
【0014】
また、本態様では、充電制御部と、充電指示部とを備えており、パワーユニットによる蓄電部の充電が、充電制御部によって制御されている。一方、充電指示部は、送電施設から建物への給電環境を予測し、当該給電環境の悪化が予測されたときに充電制御部に第4信号を送信して当該充電制御部に車両の蓄電部の充電を開始させる。このため、本態様では、送電施設から建物への給電環境が悪化する前に、車両の蓄電部を充電することができる。
【0015】
第3の態様に係る電力供給システムは、第1の態様に係る電力供給システムにおいて、前記場所に設置されると共に複数の蓄電部に給電可能とされた充電器と、前記場所に設置されると共に前記第1信号に基づく第5信号を受信すると警報を発する警報装置と、をさらに有している。
【0016】
第3の態様に係る電力供給システムでは、通常時において車両が駐車されている所定の場所に充電器が配置されており、当該充電器によって複数の車両の蓄電部に給電することができる。また、車両が駐車されている場所には、警報装置が設置されており、当該警報装置が、建物への電力の供給が不足していることを示す第1信号に基づく第5信号を給電状態取得部から受信すると、当該警報装置は、警報を発する。
【0017】
このため、本態様では、建物への電力の供給が不足しているときに、警報によって、充電器の管理者による充電器から車両の蓄電部への充電を促すことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、第1の態様に係る電力供給システムでは、送電施設から建物への給電を行うことが困難となった場合でも、建物に電力を供給することができるという優れた効果を有する。
【0019】
第2の態様に係る電力供給システムでは、送電施設から建物への電力の供給が不足する前に、予め建物に供給可能な電力を確保することができるという優れた効果を有する。
【0020】
第3の態様に係るガレージの電力供給システムでは、蓄電部が充電された状態の車両を建物に送ることができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る電力供給システムの構成を模式的に示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る電力供給システムにおいて電力供給制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る電力供給システムにおいて車両に搭載された車両制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】第1実施形態に係る電力供給システムにおいてサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】第1実施形態に係る電力供給システムの機能構成を示すブロック図である。
図6】第1実施形態に係る電力供給システムにおいて車両に搭載された車両制御装置による車両の自動運転時の制御フローを示すフローチャートである。
図7】第1実施形態に係る電力供給システムにおいて、車両から建物への給電時の状態を模式的に示す概略図である。
図8】第2実施形態に係る電力供給システムの構成を模式的に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図1図7を用いて、本発明の第1実施形態に係る電力供給システムについて説明する。図1に示されるように、本実施形態に係る「電力供給システム10」は、「建物12」に設けられたバッテリユニット14と、「車両16」と、サーバ18とを含んで構成されている。
【0023】
建物12は、一例として住宅とされており、建物12の外壁20には、被電力供給部としての「建物側コンセント22」が設けられている。そして、この建物側コンセント22からは、建物12内の所定の回路に電力を供給可能とされている。
【0024】
一方、バッテリユニット14は、図示しない複数のバッテリモジュールを含んで構成されており、通常時において、バッテリユニット14には、建物12に「送電施設24」や建物12に設けられた図示しない太陽光発電装置から電力が供給されるようになっている。そして、バッテリユニット14には、電力供給制御装置26及びバッテリ残量計28が電気的に接続されている。
【0025】
電力供給制御装置26は、図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)30、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)34、ストレージ36、通信I/F(Inter Face)38及び入出力I/F40を含んで構成されている。そして、CPU30、ROM32、RAM34、ストレージ36、通信I/F38及び入出力I/F40は、バス42を介して相互に通信可能に接続されている。なお、電力供給制御装置26は、後述する車両制御装置44及びサーバ18とネットワークNを介して相互に通信可能に接続されている。
【0026】
CPU30は、中央演算処理ユニットとされており、各種プログラムの実行によってバッテリユニット14を構成する各種機器の制御が可能とされている。具体的には、CPU30は、ROM32からプログラムを読み出し、RAM34を作業領域としてプログラムを実行可能とされている。そして、ROM32に記憶された実行プログラムが、CPU30で読み出されて実行されることで、電力供給制御装置26は、後述するように、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0027】
より詳しくは、ROM32には、各種プログラム及び各種データが記憶されている。一方、RAM34は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶することが可能となっている。
【0028】
ストレージ36は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)を含んで構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データが記憶されている。また、ストレージ36は、後述するように、バッテリユニット14の電力残量を一時的に記憶可能とされている。
【0029】
通信I/F38は、電力供給制御装置26とネットワークNとの接続に用いられるインターフェースとされており、車両制御装置44及びサーバ18等と通信することが可能とされている。このインターフェースには、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の通信規格が用いられる。また、通信I/F38は、無線装置を備えていてもよい。
【0030】
この通信I/F38は、ネットワークNを介して、後述するように、サーバ18へバッテリユニット14の電力残量や送電施設24から建物12への給電状態等の情報を送信可能とされている。
【0031】
入出力I/F40は、電力供給制御装置26がバッテリユニット14に接続されたバッテリ残量計28及び送電施設24と電気的に接続された検電器46と通信するためのインターフェースとされている。
【0032】
次に、図5を用いて、電力供給制御装置26の機能構成について説明する。電力供給制御装置26は、CPU30がROM32に記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって、「給電状態取得部48」及び通信部50の集合体として機能する。
【0033】
給電状態取得部48は、バッテリ残量計28から入力されるバッテリユニット14の電力残量を示す信号に基づき、バッテリユニット14の電力残量を取得可能とされている。また、給電状態取得部48は、送電施設24から建物12に給電されている状態において検電器46から送信される給電信号に基づいて、送電施設24から建物12への給電状態を取得可能とされている。なお、給電状態取得部48は、検電器46から給電信号すなわち所定の大きさの電圧が入力されている状態を給電状態として取得し、検電器46から当該信号が送信されていない状態を無給電状態として取得する。
【0034】
そして、給電状態取得部48は、バッテリユニット14の電力残量及び送電施設24から建物12への給電状態に基づき、建物12への電力の供給が不足していると判定したときに、通信部50を介して「第1信号W1」をサーバ18に送信するようになっている。
【0035】
図1に戻り、車両16は、通常時において所定の場所としての「駐車場52」に駐車されているシェアカーとされると共に、図示しないエンジンと図示しないモータとを含んで構成されたパワーユニット54(図3参照)を備えたハイブリッドカーとされている。また、車両16には、蓄電部としての「バッテリパック56」及び車両制御装置44が搭載されている。
【0036】
バッテリパック56は、その外殻を構成するバッテリケース58及びバッテリケース58の内側に配置された図示しない複数のバッテリモジュールを含んで構成されている。そして、このバッテリパック56は、車両16に設けられた車両側コンセント60に図示しない電力変換装置を介して接続されている。この電力変換装置は、直流電力を交流電力に変換可能な図示しないインバータを含んで構成されており、車両側コンセント60には、交流電力が供給されるようになっている。
【0037】
また、車両側コンセント60は、図7にも示されるように、ケーブル61を介して建物側コンセント22に接続可能とされており、車両側コンセント60から建物側コンセント22に電力を供給可能とされている。
【0038】
なお、本実施形態では、図示しない回路切替部によって、車両側コンセント60から建物12の所定の回路への電力の供給回路と、バッテリユニット14から当該回路への電力の供給回路とが切り替えられるようになっている。詳しくは、車両側コンセント60から建物側コンセント22へ電力が供給されている状態においては、車両16から建物12への給電が優先されるようになっている。一方、車両側コンセント60から建物側コンセント22に電力が供給されていない状態においては、バッテリユニット14から建物12への給電が優先されるようになっている。
【0039】
一方、車両制御装置44は、図3に示されるように、CPU62、ROM64、RAM66、ストレージ68、通信I/F70及び入出力I/F72を含んで構成されている。また、CPU62、ROM64、RAM66、ストレージ68、通信I/F70及び入出力I/F72は、バス74を介して相互に通信可能に接続されている。なお、CPU62、ROM64、RAM66、ストレージ68、通信I/F70及び入出力I/F72は、上述した電力供給制御装置26を構成しているものと基本的に同様の機能を備えている。そして、ROM64に記憶された実行プログラムが、CPU62で読み出されて実行されることで、車両制御装置44は、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0040】
詳しくは、CPU62は、ROM64から車両16の自動運転及びバッテリパック56の充電に係る各種プログラムを読み出し、RAM66を作業領域として当該プログラムを実行可能とされている。また、ストレージ68には、後述するように、建物12周辺の環境情報等を記憶可能とされている。
【0041】
また、通信I/F70は、車両制御装置44とネットワークNとの接続に用いられるインターフェースとされており、電力供給制御装置26及びサーバ18等と通信することが可能とされている。
【0042】
この通信I/F70は、ネットワークNを介して、サーバ18との各種情報の送受信が可能とされている。詳しくは、通信I/F70は、ネットワークNを介して、サーバ18から後述する環境情報を受信可能とされている。そして、環境情報は、ストレージ68に記憶されるようになっている。
【0043】
入出力I/F72は、車両制御装置44が車両16に搭載された各装置と通信するためのインターフェースとされている。そして、車両制御装置44は、入出力I/F72を介して後述する各装置に相互に通信可能に接続されている。
【0044】
車両制御装置44に接続される装置には、上述したパワーユニット54、GPS(Global Positioning System)装置76、外部センサ78、内部センサ80及び駆動アクチュエータ82が挙げられる。
【0045】
GPS装置76は、図示しないGPS衛星からの信号を受信する図示しないアンテナを備えており、車両16の現在位置を測定可能とされている。そして、GPS装置76で測定された車両16の位置情報は、ストレージ68で一時的に記憶されるようになっている。
【0046】
外部センサ78は車両16の周辺環境の検出に用いられるセンサ群とされている。この外部センサ78には、例えば、所定範囲を撮像するカメラ、所定範囲に探査波を送信するミリ波レーダ及び所定範囲をスキャンするライダ(Laser Imaging Detection and Ranging)等が含まれる。また、外部センサ78で取得されたデータは、ストレージ68に一時的に記憶されると共に、通信I/F70から発信されてサーバ18に送信されるようになっている。
【0047】
内部センサ80は、車両16の走行状態の検出に用いられるセンサ群とされており、例えば、車速センサ、加速度センサ及びヨーレートセンサが含まれる。そして、内部センサ80で取得されたデータは、ストレージ68に一時的に記憶されるようになっている。
【0048】
駆動アクチュエータ82は、図示しないスロットルアクチュエータ、ブレーキアクチュエータ及び操舵アクチュエータを含んで構成されており、駆動アクチュエータ82によって、アクセル装置、ブレーキ装置及び操舵装置を含む図示しない駆動装置を制御可能とされている。
【0049】
次に、図5を用いて車両制御装置44の機能構成について説明する。車両制御装置44は、CPU62がROM64に記憶された実行プログラムを読み出し、これを実行することによって、通信部84、自動運転情報取得部86、自動運転制御部88、「充電状態取得部90」及び「充電制御部92」の集合体として機能する。
【0050】
通信部84は、サーバ18と種々の信号を送受信可能とされており、後述する環境情報を含む情報等をサーバ18から取得可能とされている。
【0051】
自動運転情報取得部86は、自動運転情報すなわち車両16の自動運転に必要なデータを取得する。この自動運転情報取得部86で取得される情報には、GPS装置76で測定された車両16の位置情報、外部センサ78で得られた車両16の周辺環境に関するデータ、内部センサ80で得られた車両16の走行状態に関するデータ及びサーバ18から得られた環境情報等が含まれる。そして、自動運転情報取得部86で取得された上記データは、自動運転制御部88に送信される。
【0052】
自動運転制御部88は、後述するように、通信部84がサーバ18から所定の信号を受信すると、自動運転情報取得部86で取得された情報に基づき、駆動アクチュエータ82を制御して、車両16を建物12の近傍の所定の位置まで走行させる。
【0053】
充電状態取得部90は、バッテリパック56に電気的に接続された図示しないバッテリ残量計からバッテリパック56の電力量に比例するアナログ信号を受信することで、バッテリパック56の充電状態を取得し、バッテリパック56の充電状態に基づく「第2信号W2」をサーバ18に送信する。なお、第2信号W2は、バッテリ残量計から出力された信号がデジタル変換されたデジタル信号とされている。
【0054】
充電制御部92は、パワーユニット54によるバッテリパック56の充電を制御可能とされている。詳しくは、充電制御部92は、通信部84がサーバ18から所定の信号を受信すると、パワーユニット54を駆動させてバッテリパック56の充電を開始する。そして、充電制御部92は、充電状態取得部90からバッテリパック56の満充電を示す所定の信号を受信すると、パワーユニット54を停止させるように設定されている。
【0055】
一方、サーバ18は、図4に示されるように、CPU94、ROM96、RAM98、ストレージ100及び通信I/F102を含んで構成されている。そして、CPU94、ROM96、RAM98、ストレージ100及び通信I/F102は、バス104を介して相互に通信可能に接続されている。なお、CPU94、ROM96、RAM98、ストレージ100及び通信I/F102は、上述した電力供給制御装置26を構成しているものと基本的に同様の機能を備えている。そして、ROM96に記憶された実行プログラムが、CPU94で読み出されて実行されることで、サーバ18は、種々の機能を発揮することが可能となっている。
【0056】
具体的には、サーバ18は、図5に示されるように、環境情報取得部106、電力情報取得部108、「電力供給指示部110」、「充電指示部112」及び通信部114の集合体として機能する。
【0057】
環境情報取得部106は、サーバ18の外部から通信部114を介して、建物12周辺の地域の気温、風速、降雨量等の気象情報、震度、津波等の地震情報、渋滞、事故、道路工事等の交通情報及び地図情報等を取得する。
【0058】
電力情報取得部108は、電力供給制御装置26の給電状態取得部48から通信部114を介してバッテリユニット14の電力残量及び送電施設24から建物12への給電状態を取得する。
【0059】
電力供給指示部110は、電力供給制御装置26からの第1信号W1に基づき建物12への電力の供給が不足しているか否かを判定すると共に、車両制御装置44からの第2信号W2に基づきバッテリパック56が満充電状態であるか否かを判定する。そして、電力供給指示部110は、建物12への電力の供給が不足しかつバッテリパック56が満充電状態であると判定したときに、サーバ18に「第3信号W3」を送信する。そして、上述したように、自動運転制御部88は、第3信号W3を受信することで、車両16をバッテリパック56から建物側コンセント22に電力を供給可能な位置まで運転する。
【0060】
充電指示部112は、環境情報取得部106で得られた情報に基づき、送電施設24から建物12への給電環境を予測し、悪天候等による当該給電環境の悪化が予測された場合には、通信部114を介して車両制御装置44に「第4信号W4」を送信する。そして、上述したように、充電制御部92は、第4信号W4を受信することで、バッテリパック56の充電を開始する。
【0061】
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0062】
本実施形態では、図1に示されるように、バッテリパック56を備えると共に、自動運転制御部88で制御されることで自動運転可能とされた車両16が、通常時において駐車場52に駐車されている。一方、建物12には、車両16のバッテリパック56からの電力を供給可能とされた建物側コンセント22が設けられており、図7に示されるように、建物側コンセント22を介してバッテリパック56から建物12側に電力を供給することができる。
【0063】
また、本実施形態では、図5に示されるように、送電施設24から建物12への給電状態を取得可能とされた給電状態取得部48を備えており、給電状態取得部48は、建物12への電力の供給が不足していると判定したときに第1信号W1を送信する。
【0064】
さらに、本態様では、車両16のバッテリパック56の充電状態を取得する充電状態取得部90を備えており、充電状態取得部90は、バッテリパック56の充電状態に基づく第2信号W2を送信する。
【0065】
加えて、本実施形態では、電力供給指示部110を備えており、電力供給指示部110は、第1信号W1及び第2信号W2に基づき建物12への電力の供給が不足しかつ車両16のバッテリパック56が満充電状態であると判定したときに、自動運転制御部88に第3信号W3を送信する。そして、自動運転制御部88は、車両16を駐車場52から、車両16のバッテリパック56から建物側コンセント22に電力を供給可能な位置まで運転する。
【0066】
このため、本実施形態では、送電施設24から建物12への電力の供給が不足しているときに、車両16を建物12の近傍まで走行させて、車両16のバッテリパック56から建物12の建物側コンセント22に電力を供給することができる。したがって、本実施形態では、送電施設24から建物12への給電を行うことが困難となった場合でも、建物12に電力を供給することができる。
【0067】
また、本実施形態では、車両16のパワーユニット54が駆動されることで、車両16のバッテリパック56が充電される。
【0068】
また、本実施形態では、充電制御部92と、充電指示部112とを備えており、パワーユニット54によるバッテリパック56の充電が、充電制御部92によって制御されている。一方、充電指示部112は、送電施設24から建物12への給電環境を予測し、当該給電環境の悪化が予測されたときに充電制御部92に第4信号W4を送信して充電制御部92に車両16のバッテリパック56の充電を開始させる。
【0069】
以下、図6に示されるフローチャートを主に用いて、このときの電力供給システム10における車両16の制御フローについて説明することとする。この制御フローは、サーバ18が建物12への電力の供給不足を示す第1信号W1を受け付けることで開始される。
【0070】
この制御フローが開始されると、ステップS100では、サーバ18のCPU94が、車両制御装置44からの第2信号W2に基づきバッテリパック56が満充電状態であるか否かを判定する。そして、バッテリパック56が満充電状態である場合(ステップS100:YES)、ステップS101に進み、バッテリパック56が満充電状態でない場合(ステップS100:NO)、ステップS102に進む。
【0071】
ステップS101では、車両制御装置44のCPU62が、自動運転情報取得部86に自動運転情報を取得させ、ステップS103に進む。
【0072】
ステップS102では、車両制御装置44のCPU62が、バッテリパック56が満充電状態となるまでパワーユニット54を駆動させ、ステップS101に進む。
【0073】
ステップS103では、CPU62が、ステップS101で取得された自動運転情報に基づき、自動運転制御部88で駆動アクチュエータ82を介して駆動装置を制御することで、車両16を自動運転させ、ステップS104に進む。
【0074】
ステップS104では、CPU62が、ステップS101で取得された自動運転情報に基づき、車両16が目的地に到着したか否かを判定する。そして、CPU62によって車両16が目的地に到着したと判定された場合(ステップS104:YES)、この制御フローを終了する。一方、CPU62によって車両16が目的地に到着していないと判定された場合(ステップS104:NO)、ステップS101に戻る。
【0075】
このように、本実施形態では、送電施設24から建物12への給電環境が悪化する前に、車両16のバッテリパック56を充電し、車両16を建物12の近傍まで走行させることができる。したがって、本実施形態では、送電施設24から建物12への電力の供給が不足する前に、予め建物12に供給可能な電力を確保することができる。
【0076】
<第2実施形態>
以下、図8を用いて、本発明の第2実施形態に係る「電力供給システム120」について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一構成部分については同一番号を付してその説明を省略する。
【0077】
本実施形態に係る電力供給システム120は、基本的に上述した電力供給システム10と同様の構成とされているものの、「充電器122」と、「警報装置124」とを備えている点が電力供給システム10と異なっている。
【0078】
詳しくは、充電器122は、駐車場52に設置されており、複数の給電ケーブル126と、給電ケーブル126の先端部に設けられていると共に車両16の図示しない充電ポートに接続可能とされた給電プラグとを備えている。つまり、充電器122は、複数の車両16のバッテリパック56を同時に充電することが可能とされている。
【0079】
一方、警報装置124は、充電器122に取り付けられており、サーバ18が電力供給制御装置26から第1信号W1を受信したときに送信される「第5信号W5」を受信すると警報を発するようになっている。
【0080】
このような構成によれば、通常時において車両16が駐車されている駐車場52に充電器122が配置されており、充電器122によって複数の車両16のバッテリパック56に給電することができる。また、車両16が駐車されている駐車場52には、警報装置124が設置されており、警報装置124が、建物12への電力の供給が不足していることを示す第1信号W1に基づく第5信号W5を給電状態取得部48から受信すると、警報装置124は、警報を発する。
【0081】
このため、本実施形態では、建物12への電力の供給が不足しているときに、警報によって、充電器122の管理者による充電器122から車両16のバッテリパック56への充電を促すことができる。したがって、本実施形態では、バッテリパック56が充電された状態の車両16を建物12に送ることができる。
【0082】
<上記実施形態の補足説明>
(1) 上述した実施形態では、建物12が住宅とされていたが、建物12は、公民館等の共用施設であってもよいし、ホテル等の宿泊施設であってもよい。
【0083】
(2) また、上述した実施形態では、ケーブル61を車両16と建物12や充電器122との接続に用いていたが、これに限らない。例えば、車両16から建物12に非接触充電によって電力を供給するようにしてもよいし、充電器122から車両16に非接触充電によって電力を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 電力供給システム
12 建物
16 車両
22 建物側コンセント(被電力供給部)
24 送電施設
48 給電状態取得部
52 駐車場(所定の場所)
56 バッテリパック(蓄電部)
90 充電状態取得部
92 充電制御部
110 電力供給指示部
112 充電指示部
120 電力供給システム
122 充電器
124 警報装置
W1 第1信号
W2 第2信号
W3 第3信号
W4 第4信号
W5 第5信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8