IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 太陽化学株式会社の特許一覧

特開2022-909581’-アセトキシチャビコールアセテート含有粉末
<>
  • 特開-1’-アセトキシチャビコールアセテート含有粉末 図1
  • 特開-1’-アセトキシチャビコールアセテート含有粉末 図2
  • 特開-1’-アセトキシチャビコールアセテート含有粉末 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090958
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】1’-アセトキシチャビコールアセテート含有粉末
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20220613BHJP
   A61K 36/9062 20060101ALI20220613BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20220613BHJP
   A61K 31/222 20060101ALI20220613BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20220613BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220613BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20220613BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20220613BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20220613BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K36/9062
A61P39/06
A61K31/222
A61K9/14
A61K47/36
A61K47/38
A61K9/20
A61K8/9794
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203582
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000204181
【氏名又は名称】太陽化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108280
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 洋平
(72)【発明者】
【氏名】山本 ちひろ
(72)【発明者】
【氏名】山際 均
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C083
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB08
4B018LE01
4B018MD48
4B018ME02
4B018MF01
4C076AA29
4C076AA36
4C076BB01
4C076BB31
4C076CC18
4C076CC21
4C076CC40
4C076EE31A
4C076EE38A
4C076FF63
4C083AA111
4C083BB47
4C083CC01
4C083EE11
4C083FF01
4C088AB81
4C088BA07
4C088BA08
4C088BA32
4C088CA03
4C088CA06
4C088MA35
4C088MA43
4C088MA52
4C088MA63
4C088NA03
4C088ZA89
4C088ZC21
4C088ZC37
4C206AA10
4C206DB04
4C206DB57
4C206KA01
4C206KA18
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA63
4C206MA72
4C206MA83
4C206NA03
4C206ZA89
4C206ZC21
4C206ZC37
(57)【要約】
【課題】 1'-アセトキシチャビコールアセテート(ACA)を安定的に維持できるACA含有粉末を提供すること。
【解決手段】 ナンキョウ抽出物および粉末化基材を含有し、ACA含有量が0.1質量%~50質量%であることを特徴とするACA含有粉末によって達成される。このとき、ACAと粉末化基材の質量比が、ACA/粉末化基材=0.001~1.5であることが好ましく、当該ACA粉末含有において、窒素吸着によって測定した全細孔容積が0.0005cm3/g~0.020cm3/gであることが好ましい。また、カサ密度が0.09 g/mL~0.42g/mLであることが好ましく、平均粒子径が50μm~1000μmであり、粉末化基材がデキストリン、結晶セルロースまたは多孔性デキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナンキョウ抽出物および粉末化基材を含有し、1'-アセトキシチャビコールアセテート(ACA)含有量が0.1質量%~50質量%であることを特徴とするACA含有粉末。
【請求項2】
前記ACAと粉末化基材の質量比が、ACA/粉末化基材=0.001~1.5である請求項1に記載のACA含有粉末。
【請求項3】
当該ACA粉末含有において、窒素吸着によって測定した全細孔容積が0.0005cm3/g~0.020cm3/gである請求項1または2に記載のACA含有粉末。
【請求項4】
カサ密度が0.09g/mL~0.42g/mLである請求項1~3のいずれか一つに記載のACA含有粉末。
【請求項5】
平均粒子径が50μm~1000μmである請求項1~4のいずれか一つに記載のACA含有粉末。
【請求項6】
前記粉末化基材が、デキストリン、結晶セルロースまたは多孔性デキストリンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~5のいずれか一つに記載のACA含有粉末。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一つに記載のACA含有粉末を含む飲食品。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一つに記載のACA含有粉末を含む医薬品。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一つに記載のACA含有粉末を含む化粧品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1'-アセトキシチャビコールアセテート(D,L-1'-Acetoxychavicol acetate:ACA)含有粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
ACAは強い抗酸化作用を有しており、飲食品、飲食品添加物、化粧品、医薬品、医薬部外品、農薬及び飼料などに使用できることが知られている(非特許文献1)。ACAを天然物から得る方法として、例えば熱帯アジア原産の植物であるガランガル(学名Alpinia galanga、ショウガ科)から抽出する方法が知られている(特許文献1)。ガランガルは、ナンキョウ(和名)やカー(タイ語)と呼ばれており、古くからトムヤンクンなどのスープの香辛料として使用されている。
なお、日本で生産されている生姜の有効成分は辛味成分としてのジンゲロールやショウガオールであり、ACAを含有するガランガルと全く異なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4194744号公報
【0004】
【非特許文献1】久保田紀久枝、浦上財団研究報告書(1996)、Vol.5、p132-138
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1には、ACAの分解に伴う化合物の名称と構造式を示した。ACAは加熱により7位の脱アセチル化が起こり、1'-ヒドロキシチャビシルアセテート(HCA)が生成される。HCAの1'位のOHはアリル転移し、一部は安定なp-アセトキシシンナミルアルコール(p-AC)となり、HCAとp-ACとの混合物となる。このため、存在時間が長くなると、p-ACの割合が増加する。また、p-ACがアセチル化させるとp-アセトキシチャビコールアセテート(p-ACA)に変化する。ACAに比べると、p-AC、HCA及びp-ACAは活性が低いため、ACAの残存率を向上させることがACAの効果を有効に利用できる。
上記のように、ACAには有用な効果が知られているものの、安定性に欠け、特に水溶液中では7位の脱アセチル化によりHCAやp-ACに変化し、更にアセチル化によるp-ACAに変化することが知られている(非特許文献1)。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ACAを安定的に維持できるACA含有粉末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係るACA含有粉末は、ナンキョウ抽出物および粉末化基材を含有し、1'-アセトキシチャビコールアセテート(ACA)含有量が0.1質量%~50質量%であることを特徴とする。
本発明において、ACAと粉末化基材の質量比が、ACA/粉末化基材=0.001~1.5であることが好ましく、0.001~1.25であることがより好ましい。
本発明において、窒素吸着によって測定した全細孔容積が0.0005cm3/g~0.020cm3/gであることが好ましく、0.0005 cm3/g~0.0070cm3/gであることがより好ましい。
本発明において、カサ密度が0.09g/mL~0.42g/mLであることが好ましい。
本発明において、平均粒子径が50μm~1000μmであることが好ましい。
【0007】
本発明において、粉末化基材は、デキストリン、多孔性デキストリンまたは結晶セルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種から適宜選択することができる。さらに、多孔性デキストリンまたは結晶セルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
また、本発明では、上記ACA含有粉末を含む飲食品、医薬品または化粧品が提供される。
また、ナンキョウ抽出物を調製する際に使用する抽出溶媒としては、亜酸化窒素、アセトン、エタノール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸エチル、酢酸メチル、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,2-トリクロロエテン、二酸化炭素、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、1-プロパノール、2-プロパノール、プロパン、プロピレングリコール、ヘキサン、水、メタノールが挙げられる。但し、ナンキョウ抽出物を飲食品・医薬品・化粧品に使用することを考慮し、エタノール含有溶液または超臨界二酸化炭素を用いることが好ましい。上記の通り、ACAは加水分解されることから、できるだけ水に触れない環境によって製造されることが好ましい。このため、エタノール含有溶液によって抽出されたもの、または超臨界溶液(例えば二酸化炭素)によって抽出されたものを用いることで、分解された割合が低いACAを提供できる。
ナンキョウ抽出物を粉末化する方法としては、スプレードライヤー、フリーズドライヤー、エアードライヤー、ドラムドライヤー等の公知の手段を適宜に用いることができる。また、粉末化基材とナンキョウ抽出物を混合し、減圧しながら含まれる溶媒をとばして乾燥することにより粉末化することも可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ACAを安定的に維持できるACA含有粉末を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ACAの分解に伴う化合物の名称と構造式を示す図である。
図2】実施例2の粉末を電子顕微鏡で調べたときの代表的な写真図である。
図3】比較例4の粉末を電子顕微鏡で調べたときの代表的な写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施できる。
<実施例1>
ナンキョウの乾燥粉砕物を10%エタノールと混合し、40℃で3時間攪拌することで抽出物を得た。抽出処理後の残渣をろ過後、減圧下で溶媒を留去し得られた濃縮物に、多孔性デキストリン(製品名:パインフロー)をACA含量が0.15%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと多孔性デキストリンの質量比(ACA/粉末化基材)は0.003であった。
上記ACA含有粉末について、ポリエチレン製チャック袋に入れ、高温高湿条件(40℃、相対湿度75%)に保たれたインキュベーターに5日間保管し、保管前後のACAの残存量、カサ密度及び流動性について測定・評価した。
5日間保管後のACA残存率は98.5%であった。
ACA含量は、高速液体クロマトグラフィーにより測定した。測定条件は、カラム:C18 ODSカラム、移動相:0.1%ギ酸水溶液/アセトニトリル=40/60、流速:1.0 ml/min、検出波長:UV 200 nmとした。ACA含量を分析し、(保存後のACA含量)/(保存前のACA含量)×100により残存率を算出した。カサ密度は10 mlメスシリンダーにサンプルを流し入れ、その状態ですりきった際にメスシリンダー中に残ったサンプル量の重さから算出した。粉末流動性は、底面に開閉可能なシャッターの付いたホッパー(開口部直径:6 mm)に各サンプル20gを投入し、床から20cm程度持ち上げた状態でシャッターを開放し、各サンプルの自然落下しやすさを目視で確認した。評価は4段階で行い、◎:きわめて良好(シャッター開放直後に95%以上落下)、○:良好(落下量75%以上95%未満)、△:不良(落下量50%以上75%未満)、×:不可(落下量50%未満)とした。
次いで、ACA含有粉末の窒素吸着による全細孔容積と平均粒子径を測定した。全細孔容積は、細孔分析装置BELSORP-mini II(マイクロトラック・ベル製)を用い、窒素吸脱着によるBET法により算出した。平均粒子径を、乾式粒度分布測定装置(レーザー回折式、LS13 320(BECKMAN COULTER製))で測定した。測定条件は、分散媒を空気、測定時間を60秒とした。粒度の算出条件は、分散媒屈折率の実数部を1.05、サンプル屈折率の実数部を0、虚数部を1とし、自動的に平均粒子径を算出した。
下記実施例及び比較例についても、上記と同様の条件でACAの残存率、カサ密度及び粉末流動性について測定・評価した。
【0011】
<実施例2>
ナンキョウの乾燥粉砕物を99%エタノールと混合し、実施例1と同様の方法で得られた濃縮物に多孔性デキストリン(製品名:パインフロー)をACA含量が20.0%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと多孔性デキストリンの質量比(ACA/粉末化基材)は0.300であった。
5日間保管後のACA残存率は99.1%であった。
【0012】
<実施例3>
ナンキョウの乾燥粉砕物を超臨界CO2抽出により抽出し、得られた抽出物に結晶セルロース(製品名:セオラスUF-F711)をACA含量が48.3%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと結晶セルロースの質量比(ACA/粉末化基材)は1.219であった。
5日間保管後のACA残存率は93.4%であった。
【0013】
<実施例4>
実施例3と同様の方法で得られた抽出物に、結晶セルロース(製品名:セオラスUF-F711)をACA含量が50.0%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと結晶セルロースの質量比(ACA/粉末化基材)は1.492であった。
5日間保管後のACA残存率は85.2%であった。
【0014】
<実施例5>
実施例3と同様の方法で得られた抽出物に、多孔性デキストリン(製品名:パインフロー)をACA含量が45.5%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと多孔性デキストリンの質量比(ACA/粉末化基材)は1.068であった。
5日間保管後のACA残存率は87.1%であった。
【0015】
<実施例6>
ナンキョウ乾燥粉砕物を50%エタノールと混合し、実施例1と同様の方法で得られた濃縮物に多孔性デキストリン(製品名:パインフロー)をACA含量が0.98%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと多孔性デキストリンの質量比(ACA/粉末化基材)は0.010であった。
5日間保管後のACA残存率は93.3%であった。
【0016】
<実施例7>
実施例3と同様の方法で得られた抽出物に、デキストリン(製品名:サンデック#185N)をACA含量が33.5%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAとデキストリンの質量比(ACA/粉末化基材)は0.633であった。
5日間保管後のACA残存率は84.9%であった。
【0017】
<実施例8>
ナンキョウ乾燥粉砕物を50%エタノールと混合し、実施例1と同様の方法で得られた抽出物に、結晶セルロース(製品名:セオラスUF-F711)をACA含量が4.5%となるように混合し、スプレードライにより均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと結晶セルロースの質量比(ACA/粉末化基材)は0.052であった。
5日間保管後のACA残存率は96.6%であった。
【0018】
<実施例9>
実施例3と同様の方法で得られた抽出物に、多孔性デキストリン(製品名:パインフロー)をACA含量が49.8%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと多孔性デキストリンの質量比(ACA/粉末化基材)は1.319であった。
5日間保管後のACA残存率は92.4%であった。
【0019】
<比較例1>
実施例6と同様の方法で得られた濃縮物に、活性白土(製品名:ガレオンアースV1)をACA含量が0.08%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと活性白土の質量比(ACA/粉末化基材)は0.001であった。
5日間保管後のACA残存率は33.2%であった。
【0020】
<比較例2>
実施例3と同様の方法で得られた抽出物に、多孔性デキストリン(製品名:パインフロー)をACA含量が53.3%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと多孔性デキストリンの質量比(ACA/粉末化基材)は1.499であった。
5日間保管後のACA残存率は81.4%であった。
【0021】
<比較例3>
実施例3と同様の方法で得られた抽出物に、結晶セルロース(製品名:セオラスUF-F711)をACA含量が51.9%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと結晶セルロースの質量比(ACA/粉末化基材)は1.394であった。
5日間保管後のACA残存率は90.1%であった。
【0022】
<比較例4>
実施例3と同様の方法で得られた抽出物に、活性白土(製品名:ガレオンアースV1)をACA含量が55.5%となるように添加し、均質化したACA含有粉末を調製した。この粉末のACAと活性白土の質量比(ACA/粉末化基材)は1.687であった。
5日間保管後のACA残存率は28.5%であった。
【0023】
上記実施例1~9、比較例1~4について、調製内容、保存試験結果、粉末物性及び総合評価を纏めた結果を表1に示した。総合評価の基準は次の内容に従った。評価A:「ACAの残存率が80%以上」かつ「粉末流動性が◎または○」であるもの、評価B:「ACAの残存率が80%以上」かつ「粉末流動性が△」であるもの、評価C:「ACAの残存率が80%以上」かつ「粉末流動性が×」であるもの、評価D:「ACAの残存率が80%未満」とした。
【0024】
【表1】
【0025】
表に示すように、実施例1~実施例9は、比較例1~比較例4に比べると、高温高湿条件(40℃、相対湿度75%)での5日間保管後のACA残存率が80%以上と高く、粉末流動性も良好であることが分かった。実施例1~実施例9の全細孔容積は、0.00057cm3/g~0.00523cm3/gであった。これに対し、比較例1,4の全細孔容積は、それぞれ0.3013cm3/g及び0.0218cm3/gと大きかった。比較例2,3の全細孔容積は、それぞれ0.00052cm3/g及び0.00058cm3/gと小さかった。比較例4では、全細孔容積が非常に大きいものの、非常に小さい細孔が多く存在していた。
図2には、実施例2の粉末を電子顕微鏡で調べたときの代表的な写真図を、図3には、比較例4の粉末を電子顕微鏡で調べたときの代表的な写真図をそれぞれ示した。実施例2では、矢印Aに示すように、ACAが多孔性デキストリンの多孔性の内側に入り込み、表面への露出を避けている様子が認められた。このため、ACAが酸化され難くなり、安定性が向上すると考えられた。
これに対し、比較例4では、活性白土の周囲表面に対して不均一にACAが付着し、ACAの露出面が多いことが分かった。つまり、比較例4では、全細孔容積は大きいものの、非常に小さい細孔が多く存在しており、ACAが細孔内に入り込めず外表面に露出するために、ACAが酸化されやすく安定性に乏しくなると考えられた。
【0026】
次に、ACA含有飲食品の処方例を示した。
<ACA含有粉末含有飲食品の処方例>
処方例1:清涼飲料
下記清涼飲料処方の通りに実施例1に記載のACA含有粉末を0.1gとなるように添加した。本品は飲料として好適に利用できた。
清涼飲料処方
1.ACA含有粉末 0.1g
2.果糖ブドウ糖液糖 10.5g
3.クエン酸 0.2g
4.クエン酸3ナトリウム 0.06g
5.香料 0.2
6.水 残部
合 計 100g
【0027】
処方例2:コーヒーゼリー
下記コーヒーゼリー処方の通りに実施例1に記載のACA含有粉末を0.1gとなるように添加した。本品は食品として好適に利用できた。
コーヒーゼリー処方
1.ACA含有粉末 0.1g
2.砂糖 15.0g
3.ゼラチン 1.0g
4.コーヒーエキス 5.0g
5.水 残部
合 計 100g
【0028】
処方例3:グミキャンディ
下記グミキャンディ処方の通りに実施例1に記載のACA含有粉末を0.1gとなるように添加した。本品は食品として好適に利用できた。
グミキャンディ処方
1.ACA含有粉末 0.1g
2.砂糖 30.0g
3.ゼラチン 7.0g
4.クエン酸 0.8g
5.水 20.0g
6.香料 0.2g
7.水飴 残部
合 計 100g
【0029】
処方例4:錠剤
下記錠剤処方の通りに実施例1に記載のACA含有粉末を20.0gとなるように添加した。本品は健康食品として好適に利用できた。
錠剤処方
1.ACA含有粉末 20.0g
2.乳糖 残部
3.コーンスターチ 10.0g
4.ヒドロキシプロピルセルロース 5.0g
合 計 100g
このように本実施形態によれば、ACAを安定的に維持できるACA含有粉末を提供できた。
図1
図2
図3