(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022090981
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】シールド機のローラービット搬送装置
(51)【国際特許分類】
E21D 9/087 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
E21D9/087 A
E21D9/087 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203617
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000228811
【氏名又は名称】日本シビックコンサルタント株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516308364
【氏名又は名称】JIMテクノロジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大塚 孝義
(72)【発明者】
【氏名】近藤 紀夫
(72)【発明者】
【氏名】楢館 学
(72)【発明者】
【氏名】加島 豊
(72)【発明者】
【氏名】保苅 実
(72)【発明者】
【氏名】杉山 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 淳一
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝
(72)【発明者】
【氏名】小林 修
(72)【発明者】
【氏名】中山 卓人
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC01
2D054BA06
2D054BB07
(57)【要約】
【課題】 ローラービット(カッター)交換作業に当たって、カッター作業室スペースを有効に使ってシールド機のコンパクト化を図り、作業性及び安全性の向上を図ったシールド機のローラービット搬送装置を提供すること
【解決手段】 シールド機において、ローラービットを取り付け、交換するために、ローラービット搬送装置を、カッタースポークの内部にカッター室とカッター作業室とを設け、カッター作業室の内部にビット水平移動機構とビット上下移動機構とを設けて、ローラービットをビット上下移動機構により吊り下げてビット設置位置から離脱させ、ビット水平移動機構により、カッタースポークに沿って搬送(搬出、及び逆方向の搬入)するようにした。これにより、シールド機に対して場所を取らず、且つ、機長を短く構造を簡単にしてコストの低減を図ることができるという効果を奏する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラービットを取り付けられた複数のカッタースポークを有するカッターヘッドを備え、前記各カッタースポーク内に前記各ローラービットを取り付け、交換可能なシールド機において、
前記カッタースポークの前側の内部に設けられ、ローラービットを掘削操作可能に設置するカッター室と、当該カッター室の交換口を介して連通されて設けられ、前記ローラービットの取り付け、交換を行うカッター作業室とを有する筐体と、
前記カッター作業室の天井部分に当たる前記カッタースポークの側面に配置され、前記カッタースポークの長手方向に延びるレール部材と、当該レール部材に係合されて走行する走行台車とを有するビット水平移動機構と、
前記ビット水平移動機構に枢支され、当該ビット水平移動機構から、前記交換口付近まで延びて配置され、胴体部に長手方向に延びるガイドフレームと、
前記ビット水平移動機構から前記ガイドフレームの長手方向中間部分にかけて懸架して枢支された調整ジャッキと、
前記ビット水平移動機構に伸長、収縮可能に取り付けられた吊りワイヤーと、
前記吊りワイヤーの先端に取り付けられ、前記ローラービットを把持するビット把持具と、
前記ビット把持具の、前記ガイドフレームとの対接面に取り付けられ、前記ガイドフレームに沿って移動可能に係合されたスライダーと、
を備えたシールド機のローラービット搬送装置。
【請求項2】
複数のローラービットを取り付けられた複数のカッタースポークを有するカッターヘッドを備え、前記各カッタースポーク内に前記各ローラービットを取り付け、交換可能なシールド機において、
前記カッタースポークの前側の内部に設けられ、ローラービットを掘削操作可能に設置するカッター室と、当該カッター室の上側に交換口を介して連通されて設けられ、前記ローラービットの取り付け、交換を行うカッター作業室とを有する筐体と、
前記カッター作業室の後面部分に配置され、前記カッタースポークの長手方向に延びる第1軌道部材と、当該第1軌道部材に係合されて走行する第1スライダー部材とを有する装置水平搬送機構と、
前記カッター作業室の天井部分に当たる前記カッタースポークの側面に配置され、前記カッタースポークの長手方向に延びる第2軌道部材と、当該第2軌道部材に係合されて走行する第2スライダー部材とを有するビット水平搬送機構と、
前記第1スライダー部材に取り付けられてビット上下移動のための各種部材を取り付け支持する支持板と、
前記支持板に枢支され、ビット上下移動を駆動する駆動ジャッキと、
前記支持板に枢支され、胴体部に長手方向に延びるガイドフレームと、
前記支持板に一端が固定取り付けされ、また、前記駆動ジャッキに作動係合して、ローラービットを吊り上げ、吊り下げ動作させる作動ワイヤーと、
前記作動ワイヤーの他端に固定取り付けされ、前記ローラービットを把持するビット把持具と、
前記ビット把持具の、前記ガイドフレームとの対接面に取り付けられ、前記ガイドフレームに設けられた溝に摺動可能に係合されたスライダーと、
前記支持板の複数個所に設けられ、前記作動ワイヤーの前記固定端から前記ビット把持具との固定取り付け端まで伸長経路を形成し、且つ前記作動ワイヤーを前記駆動ジャッキのロッドに作動係合する滑車と、
を備えたシールド機のローラービット搬送装置。
【請求項3】
前記ローラービットを把持するビット把持具との間には、ローラービットを保持するリテーナーと、このリテーナーに結合及び結合径都合解除される吊り金具とが配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシールド機のローラービット搬送装置。
【請求項4】
前記ビット水平搬送機構の第2スライダー部材には吊り部材が設けられ、当該吊り部材には前記ビット把持具により吊り支持されたローラービットが付け替えられることを特徴とする請求項2に記載のシールド機のローラービット搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシールド機のカッターヘッドに設けたローラービットを交換するにために使用されるローラービット搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル掘進機、すなわち、シールド機の中には、機械前方の地盤をカッターヘッドの回転により掘削するカッタービットを交換可能としたものがある。このようなカッタービットの交換が可能なシールド機の従来例としては例えば、特許文献1に記載された技術がある。この技術は、カッターヘッドのカッタースポークにカッタービット(或いは、ローラービット)収納室及びカッター交換室を設け、カッター収納室に回転体を油圧ジャッキにより回動自在に装着し、この回転体にカッターを着脱自在に装着する一方、カッター交換室にガイドレールを固定してカッターを搭載可能な搬送台車を移動自在に支持し、ウインチにより移動可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】HYPERLINK "javascript:void(0)" 特開2004-211477
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のシールド機にあっては、ローラービットは、カッター作業室において単にカッター収納室からカッター作業室に有る搬送台車に乗せ換えると説明しているのみである。ローラービットの形状は円版状で、重量が200kg以上で直径も40cm以上の大きさであり、狭隘空間での交換・取り扱いが困難なものである。このローラービットを把持し、カッター収納室の水平の開口部からローラービットを搬送台車に乗せ換えるための詳しい技術手順を開示・示唆していない。この従来技術の搬送装置は、ビットを切羽と反対方向にビットを取り出し、取り付ける装置で、カッター作業室が着脱装置の後方(切羽と反対方向)に位置する。搬送台車は同カッター作業室の下側に配設されたレールの上に乗る。このため、カッタースポークの奥行寸法が大きくなり、シールド機の機長が大きくなり、シールド機の操縦性や曲線施工性が悪くなり、重量も大きくなるという不具合がある。
【0005】
本発明はこのような問題を解決するものであって、その目的は、ローラービット(カッター)交換作業に当たって、カッター作業室スペースを有効に使ってシールド機のコンパクト化を図り防ぎ、作業性及び安全性の向上を図ったシールド機のローラービット搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本件第1発明のシールド機のローラービット搬送装置は、複数のローラービットを取り付けられた複数のカッタースポークを有するカッターヘッドを備え、前記各カッタースポーク内に前記各ローラービットを取り付け、交換可能なシールド機において、前記カッタースポークの前側の内部に設けられ、ローラービットを掘削操作可能に設置するカッター室と、当該カッター室の上側に交換口を介して連通されて設けられ、前記ローラービットの取り付け、交換を行うカッター作業室とを有する筐体と、 前記カッター作業室の天井部分に当たる前記カッタースポークの側面に配置され、前記カッタースポークの長手方向に延びるレール部材と、当該レール部材に係合されて走行する走行台車とを有するビット水平移動機構と、前記ビット水平移動機構に枢支され、当該ビット水平移動機構から、前記交換口付近まで延びて配置され、胴体部に長手方向に延びる溝を有するガイドフレームと、前記ビット水平移動機構から前記ガイドフレームの長手方向中間部分にかけて懸架して枢支された調整ジャッキと、前記ビット水平移動機構に伸長、収縮可能に取り付けられた吊りワイヤーと、前記吊りワイヤーの先端に取り付けられ、前記ローラービットを把持するビット把持具と、前記ビット把持具の、前記ガイドフレームとの対接面に取り付けられ、前記ガイドフレームに設けられた溝に摺動可能に係合されたスライダーと、を備えたことを要旨とする。
【0007】
上述の目的を達成するために、本件第2発明のシールド機のローラービット搬送装置は、複数のローラービットを取り付けられた複数のカッタースポークを有するカッターヘッドを備え、前記各カッタースポーク内に前記各ローラービットを取り付け、交換可能なシールド機において、前記カッタースポークの内部に設けられ、ローラービットを掘削操作可能に設置するカッター室と、当該カッター室に交換口を介して連通されて設けられ、前記ローラービットの取り付け、交換を行うカッター作業室とを有する筐体と、前記カッター作業室の後面部分に配置され、前記カッタースポークの長手方向に延びる第1軌道部材と、当該第1軌道部材に係合されて走行する第1スライダー部材とを有する装置水平搬送機構と、前記カッター作業室の天井部分に当たる前記カッタースポークの側面に配置され、前記カッタースポークの長手方向に延びる第2軌道部材と、当該第2軌道部材に係合されて走行する第2スライダー部材とを有するビット水平搬送機構と、前記第1スライダー部材に取り付けられてビット上下移動のための各種部材を取り付け支持する支持板と、前記支持板に枢支され、ビット上下移動を駆動する駆動ジャッキと、前記支持板に枢支され、胴体部に長手方向に延びる溝を有するガイドフレームと、前記支持板に一端が固定取り付けされ、また、前記駆動ジャッキに作動係合して、ローラービットを吊り上げ、吊り下げ動作させる作動ワイヤーと、前記作動ワイヤーの他端に固定取り付けされ、前記ローラービットを把持するビット把持具と、前記ビット把持具の、前記ガイドフレームとの対接面に取り付けられ、前記ガイドフレームに設けられた溝に摺動可能に係合されたスライダーと、前記支持板の複数個所に設けられ、前記作動ワイヤーの前記固定端から前記ビット把持具との固定取り付け端まで伸長経路を形成し、且つ前記作動ワイヤーを前記駆動ジャッキのロッドに作動係合する、滑車と、を備えたことを要旨とする。
【0008】
本発明の変更態様として、前記ローラービットを把持するビット把持具との間には、ローラービットを保持するリテーナーと、このリテーナーに結合、結合解除吊り金具とが配設されていてもよい。
【0009】
さらに、本発明の別の変更態様として、前記ビット水平搬送機構の第2スライダー部材には吊り部材が設けられ、当該吊り部材には前記ビット把持具により吊り支持されたローラービットが付け替えられるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、シールド機において、ローラービットを取り付け、交換するために、ローラービット搬送装置を、カッタースポークの内部にカッター室とカッター作業室とを設け、カッター作業室の内部にビット水平移動機構とビット上下移動機構とを設けて、ローラービットをビット上下移動機構により吊り下げてビット設置位置から離脱させ、ビット水平移動機構により、カッタースポークに沿って搬送(搬出、及び逆方向の搬入)するようにしたため、安全に取り付け、取り外しが可能で、シールド機に対して場所を取らず、且つ、構造を簡単にしてコストの低減を図ることができるという本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のローラービット搬送装置が装着されるシールド機の一実施の形態を示す正面図である。
【
図2】上記実施の形態に係るシールド機のカッターヘッド部分を示す概略側面断面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係るローラービット搬送装置の要部の構成を示す側面断面図である。
【
図4】上記第1の実施の形態におけるガイドフレーム及びその周辺の部材を示す側面図である。
【
図5】(a)上記第1の実施の形態におけるビット把持具と、ガイドフレームと、スライダーとの構成上の関係についてモデル化して説明する斜視図である。(b)上記第1の実施の形態における同モデル化図についてガイドフレーム194の天頂側から見た平面図である。
【
図6】上記第1の実施の形態において回転体から外されたローラービットをガイドフレームに沿って上方へ移動させる状態を示す部分断面図である。
【
図7】上記第1の実施の形態においてローラービットをガイドフレームに沿って適当な高さまで上方へ移動させた後、水平移動機構により水平方向へ移動させる状態を示す平面断面図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態に係るローラービット搬送装置の要部の構成を示す側面断面図である。
【
図9】本発明の第3の実施の形態に係るローラービット搬送装置においてローラービットに対してローラービット搬送装置の位置を整合させる位置決め動作を示す側面断面図である。
【
図10】上記第3の実施の形態においてローラービットをローラービット搬送装置へ付け替えるためのビット把持動作を示す側面断面図である。
【
図11】上記第3の実施の形態においてローラービット搬送装置へ付け替えられたローラービットを上方へ持ち上げるビット吊り上げ動作を示す側面断面図である。
【
図12】上記第3の実施の形態においてローラービット搬送装置へ吊り下げられたローラービットをビット水平搬送機構によるビット吊り下げ位置へ移動させる動作を示す側面断面図である。
【
図13】上記第3の実施の形態において装置水平搬送機構に支持されたローラービットをビット水平搬送機構付け替える動作を示す側面断面図である。
【
図14】上記第3の実施の形態においてはローラービットを装置水平搬送機構からビット水平搬送機構付け替えた後、ローラービットを離脱させるビット把持具切り離し動作を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明のローラービット搬送装置が装着されるシールド機の一実施の形態を示す正面図である。
図2は同じく上記実施の形態に係るシールド機のカッターヘッド部分を示す概略側面断面図である。
【0013】
図1及び
図2において、トンネル掘進機として、地下水位以下の地中を掘進するシールド機を例示している。符号1はこのシールド機を表す。シールド機1は、8翼のスポーク型カッターヘッド100を備える。このカッターヘッド100は、
図1に示されるように、8本のカッタースポーク110がカッターヘッド100の中心から外周縁にかけてほぼ等角度間隔で放射状(半径方向)に延設され、且つ、カッターヘッド100の中心部分において接続され、各カッタースポーク110の最外周端間にカッターリング170が取り付けられて構成される。カッターヘッド100の中心部分後側には円筒体構造の通路室130が接続され、この通路室130の後端部に隔壁190が連結されている。通路室130は水平方向に延びる円筒構造をしており、隔壁190は通路室130の外周からフードカッター200の内周まで広がる円板形状を有する。カッターヘッド100は、旋回輪140がシールド機1の前部に旋回ベアリング・減速歯車150を介して支持され、旋回輪140にギアを介してカッター駆動装置160が作動連結される。このようにしてカッターヘッド100、すなわち、8本のカッタースポーク110はカッター駆動装置160により回転駆動されるようになっている。
【0014】
各カッタースポーク110やカッターリング170には切羽を切削する複数のカッタービットが装着される。この種のシールド機1の場合、通常、さまざまな地盤を想定して、カッタービットにはローラービット、先行ビット、ティース型ビットなどが併設される。なお、
図1、
図2では、カッターヘッド100の中心部を含み、ローラービットCの配置例が示されている。これらのカッタービットは固定型のビットなどを除いて交換可能に取り付けられる。各カッタースポーク110は、断面略四角形の角筒形に形成されて、前面板111、両側の側面板112、後面板113を有し、内部にカッター作業室114が設けられている。カッター作業室114は、カッターヘッド100の中心部分において、シールド機1の本体内部に連通され、本体内部から入退可能で、大気圧下でカッタービットの取付・交換作業が可能になっている。シールド機1の本体前面で旋回輪140の周囲には上述した隔壁190が設けられてシールド機1の本体内部を気機密に保っている。
【0015】
カッターヘッド100の中心部分においては、一部のカッタースポーク110の長手方向に沿って、複数のローラービットCが一列状態に配置され、センターカッター105を構成している。このセンターカッター105の後方にはセンターカッター室115が設けられている。シールド機1のカッターヘッド100の後方で、本体前面の外周にはカッターフード200が突設される。これら隔壁190、カッターフード200、及びカッターヘッド100との間に破砕された泥土や岩石が入る切羽室101が画成される。
【0016】
隔壁190には土圧計が設置され、この土圧計で切羽室101内に充満された泥土の圧力が検出される。隔壁190の下方にはスクリューコンベアなどからなる排土装置210が装着され、この排土装置210により、切羽室101内の泥土が排出され、切羽室101内の泥土圧が一定に保持される。このようにして切羽室101内の泥土圧が一定に保持され、シールド機1の掘進が制御される。なおシールド機1には、周知のとおり、カッターヘッド100の後方でシールド機1の外周部分に、当該シールド機1の掘進に使用する シールドジャッキが搭載されるが、ここではその図示を省略してある。
【0017】
本発明のローラービット搬送装置は、複数のカッタービットを取り付けられた複数(ここでは8本)のカッタースポーク110を有するカッターヘッド100を備え、各カッタースポーク110内に各カッタービットを大気圧下で取り付け、交換可能な作業空間(カッター作業室114)を有するシールド機1において、各カッタースポーク110内でカッタースポーク110に特にローラービットCを取り付けたり、搬送したりするためのものである。
【0018】
そして本発明のローラービット搬送装置では、カッタースポーク110の地盤の切羽に相対する前面板111とその両側の各側面板112との間でカッタースポーク110の前側の両隅角部の内部にカッタースポーク110の長さ方向に所定の間隔で、多数のローラービット取付部Aが装備され、これらのローラービット取付部Aに、多数のローラービットCが着脱可能にかつカッタースポーク110の内部と通路室130を経由してシールド機1の機内との間を移動自在に取り付けられる。このようにして各ローラービットCはカッタースポーク110の内部で交換可能に取り付けられ、カッタースポーク110の外部に刃先を切削位置に向けて突出されるようになっている。
【0019】
図3に本発明の第1の実施の形態に係るローラービット搬送装置の要部、すなわち、各カッタースポーク110の前側の各隅角部内部における各ローラービット搬送装置の構成を示している。そして、
図3はローラービット搬送装置の構成を示す断面図である。
図3において、符号180はローラービット搬送装置を示す。このローラービット搬送装置180は、カッタースポーク110の前側の隅角部の内部に設けられたローラービットの取付部Aに装備される。また、ローラービット搬送装置180は、ビット水平移動機構と、ビット上下移動機構より成る。
図3中、符号181はローラービット搬送装置180を収容している筐体である。筐体181は、外形部分がカッタースポーク110の断面形状に略合致する矩形ボックス構造に成形され、カッター作業室114は、カッタースポーク110の前面181a、後面181b、及び天井面181cを有している。この筐体181には上下方向下部位置にローラービットCを収容する断面形状が略円形のカッター室182が設けられている。
【0020】
このローラービット搬送装置180の説明(
図3)において、上記「上下方向」とは、カッタースポーク110(回転運動する)が水平方向に延びて設置(停止)されたときの当該カッタースポーク110およびこれに付設された部材についての上下の向きを表す。カッター室182の上部に当たる筐体181部分にはローラービットCを出し入れするための交換口183が略上向きに設けられており、筐体181の上部に形成されたカッター作業室114に連通している。
【0021】
筐体181の内部には、カッター室182の円形構造に整合する回転体184が設置され、この回転体184上にローラービットCが着脱自在に設置される。回転体184は、円盤形状をしており、その中心軸185が筐体181に回転可能に取り付けられ、この回転体184に対してローラービットCは、その中心軸C1が回転体184の中心軸185とは偏心した状態で回転体184上に設置される。よって、ローラービットCを回転体184上に設置したとき、回転体184の中心軸185とローラービットCの中心軸C1とは互いにずれた位置にある(
図3の、ローラービットCが下方位置にあるときを参照)。シールド機1の掘削操作によりローラービットCを掘削回転動作させるときは、回転体184をその中心軸185において
図3中矢印S1方向へ回転させてローラービットCの先端刃部を筐体181の前面開口186の外へ突出させ、その状態でローラービットCを切羽面に接触させ、カッターヘッド100の回転により回動させて切羽面を掘削する。
【0022】
本実施の形態のローラービット搬送装置180は、ローラービットCの回転体184への装着、解除を行う。このローラービット搬送装置180は、ローラービットCに固定されてローラービットCを回転体184に装着するリテーナー187と、リテーナー187の上部に設けられてローラービットCを把持するビット把持具188と、ビット把持具188に取り付けられてローラービットC、リテーナー187およびビット把持具188を吊り状態に支持する吊り金具189とを備えている。ローラービット搬送装置180はまた、筐体181の天井部分に取り付けられた軌道部材としてのレール190と、レール190に係合取付けされ、当該レール190に沿って往復移動する走行台車191とを備えている。
【0023】
レール190はカッタースポーク110の側面板112に取り付けられる。レール190の構造は、例えばH形である。本件実施の形態では、上方のカッタースポーク側面板112にレール190を設置している。走行台車191には案内滑車192が取り付けられている。本実施の形態では、走行台車191は車輪191aと駆動モーター(図示していない)により移動させる。駆動モーターは走行台車191に内蔵されている。駆動モーターを装着せず、人力で移動させる場合もある。図示していないが、走行台車191とレール190間を固定する固定装置を有すると好適である。駆動モーターは空圧駆動或いは油圧駆動が好適であるが、電動モーターでも実現可能である。走行台車191の車輪191aは少なくとも4基以上装備され、そのうち少なくとも2基は駆動モーターに連結されて駆動車輪191cとしての機能を有する。なお、別の実施の形態として、レール190と車輪191aの代わりにラック・アンド・ピニオン方式を採用することもできる。以上の、レール190、走行台車191、車輪191a、及び駆動モーター等によりビット水平移動機構が構成される。
【0024】
案内滑車192からは下方へ向けて吊りワイヤー193が延びており、吊りワイヤー193の先端(下端)には吊り金具189が結合されている。吊りワイヤー193は、走行台車191に設けられた案内滑車192を介して走行台車191内に配置されたワイヤー巻取りジャッキ205の先端の動滑車206を介してワイヤー固定金具207により走行台車191に固定される。ローラービットCを取り外すときは、このワイヤー巻取りジャッキ205を伸長させて吊りワイヤー193を巻き上げ、ローラービットCを回転体184に設けられたビットホルダーから離脱(上方へ移動)させることができるようになっている。なお、上記ワイヤー巻取りジャッキ205、動滑車206、及びワイヤー固定金具207は走行台車191の内部に設置されるもので、
図3には表されていない。
【0025】
ローラービット搬送装置180の部材であるローラービットC、リテーナー187およびビット把持具188の側方(
図3では右側)にはこれらの部材を上下移動させる移動機構が配置されている。この移動機構は走行台車191付近から筐体181に形成された交換口183近辺まで上下方向へ延びて設置されたガイドフレーム194と、走行台車191とガイドフレーム194に軸支された調整ジャッキ198とから成る。
【0026】
図4はガイドフレーム194及びその周辺の部材を説明する図である。ガイドフレーム194の周辺部材としては、ガイドフレーム194の下端に連結された接続ガイドフレーム195と、走行台車191に固定取り付けされ、ガイドフレーム194の上端を支持する支持ブラケット196と、ガイドフレーム194を支持ブラケット196に対して回動可能に結合するピン即ち回動支持部材197と、一端が走行台車191に軸支され、他端がガイドフレーム194の長手方向中間部分にピン結合された調整ジャッキ198と、ガイドフレーム194の下端部の一側に設けられ、接続ガイドフレーム195をガイドフレーム194に対して回動可能に連結する蝶番199と、ガイドフレーム194の下端部の反対側に設けられ、接続ガイドフレーム195が回動した後戻り回動したとき、接続ガイドフレーム195をガイドフレーム194に対して直列状態に接続保持する接続具203とが備えられている。なお、ビット把持具188の背面にはスライダー201が取り付けられている。他方、ガイドフレーム194には、その長手方向に延びる溝202が形成され、この溝202には上記スライダー201が係合している(
図5参照)。
【0027】
図5(a)は、上記ビット把持具188と、ガイドフレーム194と、スライダー201との構成上の関係についてモデル化して説明する斜視図である。
図5(b)は、同モデル化図についてガイドフレーム194の天頂側から見た平面図である。ビット把持具188は、一対のL字形の形状を有する。ビット把持具188は、水平部188aと垂直部188bとを有し、全体としては支持台としての構造を持つ。そして、ビット把持具188の水平部188aとその上面(台になっている)に取り付けられている吊り金具189とをローラービットCのリテーナー187に結合又は結合解除することにより、ビット把持具188の下面側にローラービットCの取り付け、取り外しが行われる。また、ビット把持具188の垂直部188bの背面側には断面がT字形のスライダー201が取り付けられている一方、このスライダー201がガイドフレーム194の対応面に形成された溝202に係合して摺動運動が可能であることによりリテーナー187、ビット把持具188、吊り金具189の組体はガイドフレーム194に摺動可能に取り付けられている。
【0028】
以上の、ビット把持具188、吊り金具189、ガイドフレーム194、調整ジャッキ198、吊りワイヤー193等によりビット上下移動機構が構成される。
【0029】
動作説明
かかる構成を有するローラービット搬送装置180の動作について説明する。現在、ローラービットCは、回転体184に取り付けられて回転動作により掘削作業が可能な状態にあるとする。この状態で、着脱するローラービットCが配置されたカッタースポーク110は水平の位置で静止される。その後別途駆動装置もしくは人力によって、回転体184を回転させて交換すべきローラービット(C2とする)を筐体181の前面開口186から退避させ、交換位置、即ち交換口183の所に保持する。交換口183は略上向きに向いており、この部位において人力によりローラービットC2のリテーナーのビット取付けボルトを抜き、直ちにビット把持具188とを別のボルトで締結する(ローラービットC2の取り外し)。このビット交換操作においては、ローラービット搬送装置180のビット水平移動機構とビット上下移動機構を制御して走行台車191を水平方向に位置調整する。その後走行台車191とガイドフレーム194に軸支された調整ジャッキ198を伸長及び収縮させて角度調整する。これによりビット把持具188をビット交換位置に到達させ、当該ローラービットC2のリテーナー187のボルト取付け位置に合わせる。そして、リテーナー187、ビット把持具188、及び吊り金具189をボルトで結合する。この場合、走行台車191とレール190間を固定する固定装置があるとリテーナー187(ビット取付け側)とビット把持具188(ローラービット搬送装置180側)を正規の位置関係に固定でき、ビット交換操作が確実に行える。
【0030】
図6は回転体184から外されたローラービットC2をガイドフレーム194に沿って上方へ移動させる状態を示す部分断面図である。
図7はローラービットC2をガイドフレーム194に沿って適当な高さまで上方へ移動させた後、水平移動機構により水平方向へ移動させる状態を示す平面断面図である。
【0031】
上記ビット交換操作において、ビット把持具188に結合される吊り金具189には、吊りワイヤー193が接続されている。
図7において、吊りワイヤー193は、水平移動機構に設けられた案内滑車192を介して走行台車191内に配置されたワイヤー巻取りジャッキ205の先端の動滑車206を介してワイヤー固定金具207により走行台車191に固定される。このワイヤー巻取りジャッキ205を伸長させて吊りワイヤー193を巻き上げ、ローラービットC2を回転体184のビットホルダーから離脱せしめる。その後、ガイドフレーム194に沿って適当な高さまで上方へ移動する。ここで、ワイヤー巻取りジャッキ205の伸長を止めてスライダー201とガイドフレーム194を固定金具(図示省略。既知の手段)で固定保持する。
【0032】
次の段階では、走行台車191を駆動させ、ローラービットC2を吊り下げた状態で、カッタースポーク110の断面直角方向(カッタースポークの軸方向、
図7において垂直方向)へ通路室130の前方まで水平方向へ移動させる。この水平方向への移動を行う走行台車191の車輪191a(少なくとも4基以上装備、そのうち少なくとも2基は駆動車輪)が、
図7では、駆動車輪191cと走行車輪(従動車輪)191dで示されている。その後、ホイストクレーン、搬送用台車など既知の手段によりローラービットC2はカッターヘッド100から通路室130を経てシールド機1の機内へ搬送される。
【0033】
次に、新たなローラービット(C3とする)をローラービット搬送装置180に吊り下げ保持して所定の位置に搬送する。ローラービットC3を徐々に吊り下げし、リテーナー187を回転体184(ビットホルダー)の溝孔に嵌め込み、リテーナー187からビット把持具188を外し、リテーナー187を回転体184にボルトで固定する順序で新しいローラービットC3の取付け作業を行う。
【0034】
第2の実施の形態
図8は本発明の第2の実施の形態に係るローラービット搬送装置の要部の構成を示す断面図である。
図8において、符号211は第2の実施の形態に係るローラービット搬送装置を示す。このローラービット搬送装置211もまた、カッタースポーク110の前側の隅角部の内部に設けられる。また、ローラービット搬送装置211は、ビット水平移動機構と、ビット上下移動機構より成る。筐体181の構成、その内部に設置された回転体184とローラービットCとの取付け関係、及び掘削作業のための動作は第1の実施の形態のものと同じであり、ローラービット搬送装置211がリテーナー187と、ビット把持具188と、ガイドフレーム194とを備え、ビット上下移動機構を構成している点も第1の実施の形態のものと同じであるから、同じ符号を付して説明を省略する。本実施の形態では、ビット上下移動機構には駆動ジャッキ216(後出)も含まれる。
【0035】
本実施の形態においては、ビット上下移動機構の装着状態、及びリテーナー187およびビット把持具188を吊り状態に支持する吊り金具189の取付け方が第1の実施の形態とは異なる。すなわち、筐体181のカッター作業室114内部のカッタースポーク110の後面181bにはビット上下移動機構を支持し、且つ水平方向へ移動させる装置水平搬送機構212が取り付けられている。装置水平搬送機構212は、上記後面181bに固定取り付けされてカッタースポーク110の長手方向に延びる第1軌道部材213と、この第1軌道部材213に係合取付けされて摺動可能な第1スライダー部材214とから成り、第1スライダー部材214には、当第1スライダー部材214からカッター作業室114の内方へ突出した支持板215が固定取り付けされている。支持板215の上端部分には上下移動機構の動力装置となる駆動ジャッキ216の支持側端部が軸支され、支持板215の突端部分にはガイドフレーム194が回動可能に軸支されている。
【0036】
支持板215の上端部分の、駆動ジャッキ216の軸支部分と第1スライダー部材214との間の部位には作動ワイヤー217を中継する第1中継滑車218が取り付けられている。ガイドフレーム194の上端部分には第1中継滑車218と協働して作動ワイヤー217を中継する第2中継滑車219が取り付けられている。
【0037】
駆動ジャッキ216の作動側にはロッド220が伸長及び収縮可能に設けられており、その先端には作動滑車221が取り付けられている。作動ワイヤー217は、ワイヤー固定側の端部が支持板215の突端部分のガイドフレーム194の軸支部分に隣接した部位に固定され、ロッド220の先端に向けて下方へ延びて作動滑車221に巻き付き、この作動滑車221で向きを変えて駆動ジャッキ216を囲むように上方へ延びる。作動ワイヤー217はさらに、上方へ延びた先で第1中継滑車218に到達し、第1中継滑車218に巻き付いて略水平方向へ向きを変えて延びて第2中継滑車219に到達し、この第2中継滑車219に巻き付いて略垂直方向へ向きを変えて延びて吊り金具189に到達し、吊り金具189の上端に結合されている。駆動ジャッキ216は作動ワイヤー217に対して引き上げ、引き下げ動作させる。このとき、作動滑車221はロッドの先端にあって動滑車として機能する。
【0038】
リテーナー187、ビット把持具188、及び吊り金具189は結合されてローラービットCを支持するから、駆動ジャッキ216のロッド220が伸長されて作動ワイヤー217を引き上げ動作させるとローラービットCはガイドフレーム194に沿って上昇され、逆の動作によりローラービットCは下降される。
【0039】
筐体181のカッター作業室181内部のカッタースポーク110の天井面181cにはローラービットCを水平方向へ移動させるビット水平搬送機構222が取り付けられている。ビット水平搬送機構222は、上記天井面181cに固定取り付けされてカッタースポーク110の長手方向に延びる第2軌道部材223と、この第2軌道部材223に係合取付けされて摺動可能な第2スライダー部材224とから成る。第2スライダー部材224にはローラービットCを吊り下げ支持する吊り部材225が取り付けられている。このビット水平搬送機構222は第1の実施の形態においてレール190、走行台車191、及び車輪191aにより構成されたビット水平移動機構と同じ機能及び役割を持つ。ただし、第1の実施の形態ではビット把持具188、吊り金具189、ガイドフレーム194、調整ジャッキ198、吊りワイヤー193等を含むビット上下移動機構もまた走行台車191に懸架されて全体が水平移動する構成を採用していたのに対し、第2の実施の形態では、ビット水平移動機構は、装置水平搬送機構212とビット水平搬送機構222の2分割構成となっている。装置水平搬送機構212とビット水平搬送機構222はコントロール装置により作動が制御され、それぞれ独立して作動したり、或いは互いに連係して作動したりするようになっている。
【0040】
動作説明
かかる構成を有するローラービット搬送装置211の動作について説明する。現在、ローラービットCは、回転体184に取り付けられて回転動作により掘削作業が可能な状態にあるとする。この状態で、着脱するローラービットCが配置されたカッタースポーク110は水平の位置で静止される。その後、回転体184を回転させて交換すべきローラービットC2を交換口183の所に保持する。このビット交換操作においては、第1スライダー部材214と第2スライダー部材224を水平方向に移動させて位置調整する。これによりビット把持具188をビット交換位置に移動させ、当該ローラービットC2のリテーナー187のボルト取付け位置に合わせる。そののち交換口183の部位において人力によりローラービットC2のビット取付けボルトを抜き、直ちにリテーナー187、ビット把持具188にボルト締結する(ローラービットC2の取り外し)。駆動ジャッキ216を動作させてロッド220を伸長させ、作動ワイヤー217を引き上げ動作させる(
図8に示される状態)。この場合、第1軌道部材213と第1スライダー部材214との間、および第2軌道部材223と第2スライダー部材224との間を固定する固定装置があるとリテーナー187(ビット取付け側)とビット把持具188(ローラービット搬送装置211側)を正しい位置関係に固定でき、ビット交換操作が確実に行える。
【0041】
ローラービットC2を回転体184のビットホルダーから離脱せしめた後、ガイドフレーム194に沿って適当な高さ(ガイドフレーム194の上端近く)まで上方へ移動させる。ここで、駆動ジャッキ216の伸長を止めて第2スライダー部材224の吊り部材225にローラービットC2を付け替える。これにより、ローラービットC2は、ガイドフレーム194や駆動ジャッキ216などから構成されるビット上下移動機構から切り離される。
【0042】
次の段階では、第2スライダー部材224を駆動させ、ローラービットC2を単独で吊り下げた状態で、カッタースポーク110の軸方向へ通路室130の前方まで第2軌道部材223に沿って水平方向へ移動させる。このとき、ビット上下移動機構は、第1起動部材213及び第1スライダー部材214からなる装置水平搬送機構212に装着されて静止したままであり、ローラービットC2の取り外し位置に留まる。なお、駆動ジャッキ216のロッドは伸長したままでもよいし、収縮した初期状態に戻っていてもよい。上記ローラービットC2の水平方向への移動を行う第2スライダー部材224の車輪は上述の第1の実施の形態の走行台車191と同様、少なくとも4基以上装備され、そのうち少なくとも2基は駆動車輪となっている。その後、ホイストクレーン、搬送用台車など既知の手段によりローラービットC2はカッターヘッド100から通路室130を経てシールド機1の機内へ搬送される。
【0043】
次に、新たなローラービットC3をローラービット搬送装置211に吊り下げ保持して所定の位置に搬送する。ローラービットC3を徐々に吊り下げし、リテーナー187を回転体184(ビットホルダー)の溝孔に嵌め込み、リテーナー187からビット把持具188を外し、リテーナー187を回転体184にボルトで固定する順序で新しいローラービットC3の取付け作業を行う。
【0044】
以上のように、本実施の形態では、ローラービットC2を交換するのに、ローラービットC2を単独でカッタースポーク110から運び出すことができ、ビット上下移動機構は搬送されることがないから、ローラービット搬送装置211の動作制御が楽になり、ローラービットC2の搬送に際して、エネルギー消費を軽減させることができる。
【0045】
第3の実施の形態
図9乃至
図14は本発明の第3の実施の形態に係るローラービット搬送装置を、その動作順序を追って説明する図である。この実施の形態に係るローラービット搬送装置251は、構造的には、上述した第2の実施の形態に係るローラービット搬送装置211と同様の構成に組み立てられている。ただし第2の実施の形態に係るローラービット搬送装置211では、
図8に示されるように、駆動ジャッキ216がガイドフレーム194に対して右側、すなわち、カッタースポーク110の後面181b側に配置され、当該後面181bに設置された装置水平搬送機構212に支持され、且つ搬送されるようになっているのに対して、第3の実施の形態に係るローラービット搬送装置251では、第2の実施の形態とは、左右逆の関係になっている。すなわち、第3の実施の形態に係るローラービット搬送装置251では、
図9乃至
図14に示されるように、駆動ジャッキ216はガイドフレーム194に対して左側、すなわち、カッタースポーク110の前面181a側に配置され、当該後面181aに設置された装置水平搬送機構252に支持され、且つ搬送されるようになっている。装置水平搬送機構252が第1軌道部材213と、この第1軌道部材213に係合取付けされて摺動可能な第1スライダー部材214とから成る点は第2の実施の形態と同じである。ただし、上記第1軌道部材213はカッタースポーク110の前181aに固定取り付けされている。
【0046】
筐体181のカッター作業室181内部のカッタースポーク110の天井面181cにはローラービットCを水平方向へ移動させるビット水平搬送機構222が取り付けられている点、および、ビット水平搬送機構222が第2軌道部材223と第2スライダー部材224とから成る点は第2の実施の形態と同じである。また、リテーナー187、ビット把持具188、及び吊り金具189等の構成及び機能についてもまた第2の実施の形態と同じである。
【0047】
以上の構成を有する第3の実施の形態に係るローラービット搬送装置について、その動作について順序を追って説明する。
【0048】
第1動作段階:位置決め
ローラービットC2を交換するときは、事前に回転体184を回転させて交換すべきローラービットC2を筐体181の前面開口186から退避させ、交換位置、即ち交換口183の所に保持させている。
図9はローラービットC2に対してローラービット搬送装置251の位置を整合させる位置決め動作を示す側面断面図である。この段階では、駆動ジャッキ216のロッド220を伸長させ、作動ワイヤー217を引き上げ動作させた状態で、第1スライダー部材214と第2スライダー部材224を水平方向に移動させて装置水平搬送機構252の位置を調整する。これによりビット把持具188をビット交換位置に移動させ、ローラービットC2のリテーナー187のボルト取付け位置に合わせる。
【0049】
第2動作段階:ビット把持
図10はローラービットC2をローラービット搬送装置251へ付け替えるためのビット把持動作を示す側面断面図である。この段階では、交換口183において人力によりローラービットC2のビット取付けボルトを抜き、直ちにビット把持具188にボルト締結する。
【0050】
第3動作段階:ビット吊り下げ
図11はローラービット搬送装置251へ付け替えられたローラービットC2を上方へ持ち上げるビット吊り上げ下げ動作を示す側面断面図である。この段階では、装置水平搬送機構212の駆動ジャッキ216を動作させてロッド220を伸長させ、作動ワイヤー217を引き上げ動作させる(
図8に示される状態)。これにより、ローラービットC2が持ち上げられて回転体184のビットホルダーから離脱され、ガイドフレーム194に沿って適当な高さまで上方へ移動する。
【0051】
第4動作段階:ビット吊り下げ位置移動
図12はローラービット搬送装置251へ吊り下げられたローラービットC2をビット水平搬送機構222によるビット吊り下げ位置へ移動させる動作を示す側面断面図である。この段階では、装置水平搬送機構212とビット水平搬送機構222において第1スライダー部材214と第2スライダー部材224をそれぞれ水平方向に移動させて、装置水平搬送機構212に支持されたローラービットC2とビット水平搬送機構222に設けられた吊り部材223とを位置調整する。
【0052】
第5動作段階:ビット吊り替え
図13は装置水平搬送機構212に支持されたローラービットC2をビット水平搬送機構222付け替える動作を示す側面断面図である。この段階では、ビット把持具188からローラービットC2を外し、第2スライダー部材224の吊り部材223にローラービットC2を付け替える。
【0053】
第6動作段階:ビット把持具切り離し
図14はローラービットC2を装置水平搬送機構212からビット水平搬送機構222付け替えた後、ローラービットC2を離脱させるビット把持具切り離し動作を示す側面断面図である。この段階では、装置水平搬送機構212の第1スライダー部材214を水平方向に移動させて、第2スライダー部材224に吊り下げられたローラービットC2からビット把持具188切り離す。他方、ローラービットC2は、第2スライダー部材224を水平方向に移動させてローラービットC2を単独で吊り下げた状態で、カッタースポーク110の軸方向へ通路室130の前方まで第2軌道部材223に沿って移動される。
【0054】
なお、上述した第1動作段階から、第6動作段階までの一連の動作は、第2の実施の形態においても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明においては、シールド機のカッタースポークの内部でローラービットを吊り下げて、ビット設置位置から離脱させ、カッタースポークに沿って吊り下げ搬送するようにしたため、場所を取らず、且つ、構造を簡単にしてコストの低減を図ることができる、という有用性がある。
【符号の説明】
【0056】
C、C2、C3 ローラービット
1 シールド機
100 カッターヘッド
101 切羽室
110 カッタースポーク
111 前面板
112 側面板
113 後面板
114 カッター作業室
130 通路室
140 旋回輪
160 カッター駆動装置
170 カッターリング
180、211、251 ローラービット搬送装置
181 筐体
181a (カッタースポークの)前面
181b (カッタースポークの)後面
181c (カッタースポークの)天井面
182 カッター室
183 交換口
184 回転体
187 リテーナー
188 ビット把持具
189 吊り金具
190 レール
191 走行台車
191a 車輪
192 案内滑車
193 吊りワイヤー
194 ガイドフレーム
197 回動支持部材
198 調整ジャッキ
201 スライダー
202 溝
203 接続具
212、252 装置水平搬送機構
213 第1軌道部材
214 第1スライダー部材
215 支持板
216 駆動ジャッキ
217 作動ワイヤー
218 第1中継滑車
219 第2中継滑車
220 ロッド
221 作動滑車
222 ビット水平搬送機構
223 第2軌道部材
224 第2スライダー部材
225 吊り部材