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特開2022-91009スクリーン枠の付着物除去方法、及び付着物除去装置
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  • 特開-スクリーン枠の付着物除去方法、及び付着物除去装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091009
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】スクリーン枠の付着物除去方法、及び付着物除去装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 35/00 20060101AFI20220613BHJP
   B08B 5/00 20060101ALI20220613BHJP
   B08B 7/00 20060101ALI20220613BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20220613BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
B41F35/00 C
B41F35/00 D
B08B5/00 A
B08B7/00
G02B26/08 E
G02B26/10 104Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203668
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】391014365
【氏名又は名称】株式会社ソノコム
(74)【代理人】
【識別番号】100092107
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 達也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 清啓
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 孝
【テーマコード(参考)】
2C250
2H045
2H141
3B116
【Fターム(参考)】
2C250FA05
2C250FB23
2H045CA63
2H045DA02
2H045DA04
2H141MA12
2H141MB24
2H141ME25
3B116AA46
3B116AB37
3B116AB47
3B116BB32
3B116BB72
3B116BC01
(57)【要約】
【課題】レーザ光でスクリーン枠に付着した付着物を除去する際に、除去された付着物が処理を行ったスクリーン枠の表面に再付着する量を削減することを目的とする。
【解決手段】ガルバノスキャナー2を用いて、レーザ光でスクリーン枠5に付着した付着物を除去する方法において、スクリーン枠5が存在しない方向、もしくはすでにレーザ光15で付着物の除去処理を行った箇所に向かってレーザ光15で付着物除去処理を行うスクリーン枠の付着物除去方法。
【選択図】図1


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガルバノスキャナーを用いてレーザ光でスクリーン枠に付着した付着物を除去する方法において、スクリーン枠が存在しない方向、もしくはすでにレーザ光で付着物の除去処理を行った箇所に向かってレーザ光で付着物除去処理を行うことを特徴とするスクリーン枠の付着物除去方法。
【請求項2】
レーザ光で除去された付着物を吸引する装置から離れる方向に向かってレーザ光で付着物除去処理を行うことを特徴とする請求項1記載のスクリーン枠の付着物除去方法。
【請求項3】
レーザ光によるスクリーン枠の付着物除去装置において、レーザ発振器とガルバノスキャナーとFθレンズとを組み合わせたレーザ装置と集塵ノズルとアシストガス噴射ノズルを躯体に固定して設け、スクリーン枠はテーブルステージに固定し、このテーブルステージを二軸駆動ロボットを用いてスクリーン枠をX方向、Y方向に移動できることを特徴とするスクリーン枠の付着物除去装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を用いてスクリーン印刷のスクリーン版に使用するスクリーン枠の付着物を除去する方法及び付着物除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフセット印刷やグラビア印刷といった各種印刷方法の一つにスクリーン印刷法がある。通常、スクリーン印刷法には、アルミニウムやアルミニウム合金といった金属製の矩形形状の枠体、いわゆるスクリーン枠に、ポリエステルやナイロンといった化繊素材やステンレスやタングステンといった金属素材で編組されたいわゆるスクリーンメッシュを適宜のテンションを付与した状態で接着剤を介して貼り付け、スクリーン枠に貼り付けた部分以外のスクリーンメッシュに適宜の厚みで感光性樹脂をバケット等で塗布し、フォトマスクを介して感光性樹脂に紫外線を露光してパターン開口部を形成した、いわゆるスクリーン版や、レーザ加工法やエッチング法や電鋳法でパターン開口部を形成したステンレスやニッケルといったメタルマスクをスクリーンメッシュを介して適宜のテンションでスクリーン枠に貼り付けた、いわゆるメタルマスク版が使用されている。これらスクリーン版やメタルマスク版は印刷に使用された後、スクリーン枠に関しては貼り付けてあるスクリーンメッシュや接着剤等を取り除いて再利用されることがほとんどである。
前述したように、スクリーン枠にはスクリーンメッシュを適宜のテンションを付与した状態で接着剤等で貼り付けられている。また、スクリーンメッシュの剥がれ防止として、スクリーン枠に接着剤で貼り付けられたスクリーンメッシュを覆うように保護テープが貼られている場合もある。スクリーンメッシュはスクリーン印刷時にスクリーン枠から剥がれないように、ゴム系、エポキシ系、シアノアクリレート系、ウレタン系といった各種接着剤を、例えば単層あるいは積層して、あるいは複数種の接着剤を積層して強固に接着されているため、スクリーン枠を再利用する場合にはこれら強固に接着されている保護テープやスクリーンメッシュや接着剤といった付着物をきれいに取り除く必要がある。
そこで、従来技術として、空気と水を混合してスクリーン枠に吹き付けて付着物を取り除くウォータジェット方式や、研磨材をスクリーン枠に吹き付けることで付着物を除去するサンドブラスト方式が使用されている付着物除去装置が存在している。
しかしながら、前述のウォータジェット方式やサンドブラスト方式は、スクリーン枠に貼り付いている付着物を除去することは可能であるものの、ウォータジェット方式は空気と水を混合させて高圧で噴射する必要があるため、大量の水と、消費電力の大きい高出力のコンプレッサが必要となり、ランニングコストがかかるという問題があった。また、高圧で噴射するため非常に大きな音が発生し、騒音が問題となっていた。
一方、サンドブラスト方式に関しては、ウォータジェット方式と比較して電力使用量や騒音問題は抑えられるものの、吹き付ける研磨材が消耗品となってランニングコストがかかるという問題があった。
そこで本発明者は、低いランニングコストで、低騒音で環境にも優しい、スクリーン枠の付着物除去方法およびスクリーン枠の付着物除去装置として、付着物を有するスクリーン枠にレーザ光を照射することで前記付着物を除去する付着物除去方法と付着物除去装置(例えば、特許文献1参照)を発明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2019-126137号(特許請求の範囲の欄、発明の詳細な説明の欄、及び図1図2を参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のレーザ光でスクリーン枠に付着した付着物を除去するスクリーン枠の付着物除去装置は、例えば、図1に示すようなレーザ発振器とガルバノスキャナーとFθレンズの組み合わせで構成されており、スクリーン枠の天端に付着している付着物を除去する場合は、ガルバノスキャナーでレーザ光を照射できる範囲内においてスクリーン枠の天端の付着物にレーザ光を照射し、付着物を除去・蒸散する。スクリーン枠の外形寸法、幅寸法、高さ寸法は多種多様で、ガルバノスキャナーでレーザ光を照射できる範囲よりも大きいことがほとんどである。そこで、レーザ発振器自体を固定した状態でガルバノスキャナーを用いてレーザ光を照射する場合は、スクリーン枠をテーブルステージに固定した状態で、テーブルステージを二軸駆動ロボット等を用いてスクリーン枠をX方向、Y方向に移動し、スクリーン枠の天端に付着している付着物にレーザ光を照射して付着物を除去・蒸散するという方法を、スクリーン枠の大きさに合わせて行うことで、スクリーン枠全体の付着物の除去を行う。この際、テーブルステージの移動方法としては、スクリーン枠の大きさに合わせてテーブルステージを常に動かしながらレーザ光を照射する方法と、テーブルステージを停止した状態でガルバノスキャナーのレーザ光照射範囲分の処理を行ったあと、テーブルステージをガルバノスキャナーのレーザ光照射範囲分だけ動かして停止したのちに再びレーザ光を照射して処理を行うという処理動作をスクリーン枠の大きさに合わせて繰り返し行うことでスクリーン枠全体の処理を行うという、大きく分けて二つの方法が考えられる。しかしながら後者の方法処理でスクリーン枠の天端に付着している付着物にレーザ光を照射して付着物の除去を行った場合、除去された付着物、いわゆる除去物が処理を行ったスクリーン枠の表面に再付着するという問題が発生した。再付着した除去物はアルコールや酢酸エチル等の溶剤を含ませたウエスやナイロンタワシ等で擦りながら拭き上げることで比較的簡単に取り除くことができるものの、再付着した除去物の量を少なくすれば前記作業にかける時間を少なくすることができる。
そこで本発明は、レーザ光を用いてスクリーン印刷のスクリーン版に使用するスクリーン枠の付着物を除去する方法において、除去物の再付着を抑制する方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成できる本発明の第1発明は、請求項1に記載された通りのスクリーン枠の付着物除去方法であり、次のようなものである。
ガルバノスキャナーを用いてレーザ光でスクリーン枠に付着した付着物を除去する方法において、スクリーン枠が存在しない方向、もしくはすでにレーザ光で付着物の除去処理を行った箇所に向かってレーザ光で付着物除去処理を行うという構成である。
【0006】
上記の目的を達成できる本発明の第2発明は、請求項2に記載された通りのスクリーン枠の付着物除去方法であり、次のようなものである。
請求項1に記載の発明に加えて、レーザ光で除去された除去物を吸引する装置から離れる方向に向かってレーザ光で付着物除去処理を行うという構成である。
【0007】
上記の目的を達成できる本発明の第3発明は、請求項3に記載された通りのスクリーン枠の付着物除去装置であり、次のようなものである。
レーザ光によるスクリーン枠の付着物除去装置において、レーザ発振器とガルバノスキャナーとFθレンズとを組み合わせたレーザ装置と集塵ノズルとアシストガス噴射ノズルを躯体に固定して設け、スクリーン枠はテーブルステージに固定し、このテーブルステージを二軸駆動ロボットを用いてスクリーン枠をX方向、Y方向に移動できる構成である。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るスクリーン枠の付着物除去方法及び装置は、上記説明のような構成を有するので、以下に記載する効果を奏する。
(1)スクリーン枠が存在しない方向、もしくはすでにレーザ光で付着物の除去処理を行った箇所に向かって、つまり、レーザ光で付着物の除去処理を行った箇所から最も離れた位置からレーザ光で付着物除去処理を行うため、付着物にレーザ光を照射した際に発生する除去物がレーザ光で付着物の除去処理を行った箇所へ再付着する量を抑制することができる。
(2)付着物除去装置に除去物吸引装置が搭載されている場合は、レーザ光で除去された除去物を吸引する装置から離れる方向に向かってレーザ光で付着物除去処理を行う。
つまり、除去物吸引装置に近い側から遠い側へ向かってレーザ光で付着物除去処理を行うため、付着物にレーザ光を照射した際に発生する除去物がすぐさま除去物吸引装置に吸引されるため、レーザ光で付着物の除去処理を行った部分への除去物の再付着する量を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のスクリーン枠の付着物除去装置を示す概略斜視図である。
図2】スクリーン枠に対するレーザ照射範囲を示す概略図である。
図3】スクリーン枠のコーナー部分の付着物を除去する場合の概略図である。
図4】スクリーン枠のコーナー部分の次に付着物を除去する場合の概略図である。
図5】スクリーン枠上に除去物吸引装置の集塵ノズルとアシストガス供給装置のアシストガス噴射ノズルが配置された状態で付着物を除去する場合の概略図である。
図6】スクリーン枠をエアーシリンダーでテーブルステージに固定する状態を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
テーブルステージを停止した状態でガルバノスキャナーのレーザ光照射範囲分の処理を行ったあと、テーブルステージをガルバノスキャナーのレーザ光照射範囲分だけ動かして停止し、再びレーザ光を照射して処理を行うという処理動作をスクリーン枠の大きさに合わせて繰り返し行うことでスクリーン枠全体の処理を行うというスクリーン枠の付着物除去方法において、スクリーン枠が存在しない方向、もしくはすでにレーザ光で付着物の除去処理を行った箇所に向かって、つまり、レーザ光で付着物の除去処理を行った箇所から最も離れた位置からレーザ光で付着物除去処理を行うスクリーン枠の付着物除去方法である。
【実施例0011】
以下、図面に基づいて、本発明の一実施例のスクリーン枠の付着物除去方法、及び付着物除去装置を説明する。
レーザ光15によるスクリーン枠の付着物除去装置の概略図を図1に記す。
レーザ照射装置6は少なくともレーザ発振器1、ガルバノスキャナー2、Fθレンズ3から構成されており、必要に応じてレーザ発振器1とガルバノスキャナー2の間にビームエキスパンダ4等を取り付けてもよい。レーザ照射装置6は図示しない装置躯体に固定されている。
また、レーザ照射装置6の一方の側には除去物吸引装置の集塵ノズル7が、他方の側にはアシストガス供給装置のアシストガス噴射ノズル8が図示しない躯体装置に固定されており、集塵ノズル7はフレキシブルホース9を介して図示しない脱臭集塵機に取り付けられ、アシストガス噴射ノズル8はエアー配管10を介して、図示しないエアーコンプレッサに取付けられている。
レーザ照射装置6の一方の側に設置している集塵ノズル7はレーザ照射処理時に発生する除去された付着物、つまり、除去物を吸引する役割を果たしている。
また、レーザ照射装置6の他方の側に設置しているアシストガス噴射ノズル8はレーザ照射処理時に発生する発火を抑制したり、Fθレンズ3に除去物が付着するのを抑制したり、除去物を集塵ノズル7の方に導いて、除去物を吸引し易くするような役割を果たしている。
アシストガスは窒素や酸素、またはエアー等、種類は問わないが、本実施例ではエアーを使用して噴射している。
レーザ発振器1には、COレーザ(炭酸ガスレーザとも言う)、ファイバーレーザ、Nd:YAGレーザ、エキシマレーザ等、各種レーザ発振器を使用することができるが、中でも比較的低コストで高効率、かつ高出力を得ることができるCOレーザやファイバーレーザを使用するのが好ましい。
本実施例では、定格出力250W、波長10.6μm、パルス発振の水冷式COレーザ発振器を使用し、ガルバノスキャナー2との間にビームエキスパンダ4を取り付けている。ガルバノスキャナー2は1軸(X方向)、2軸(X方向およびY方向)、3軸(X方向およびY方向およびZ方向)といった駆動タイプが存在するが、本実施例ではX方向およびY方向に駆動する2軸タイプのガルバノスキャナーを使用している。Fθレンズ3はガルバノスキャナー2と組み合わせて使用し、レーザ光15を動作範囲内に照射する。
動作範囲に関してはガルバノスキャナー2とFθレンズ3の組み合わせにより様々な動作範囲にすることが可能であるが、動作範囲が小さいとレーザ光15の振り速度(スキャン速度とも言う)が速くなるのでレーザ光15の照射処理時間は短くなるものの一度に照射できる範囲が小さくなり、動作範囲が大きいと一度に照射できる範囲は大きくなるもののレーザ光15の振り速度が遅くなってレーザの照射処理時間が長くなる。よって、レーザ光15を照射する範囲に合わせて適度な大きさのガルバノスキャナー2とFθレンズ3の組み合わせを選択するのが望ましい。
本実施例では動作範囲が140mm×140mmの2軸駆動タイプのガルバノスキャナー2と、焦点距離が200mmのFθレンズ3を使用し、レーザ光15の最大照射範囲を70mm×46mmとした。
【0012】
次に、レーザ光15による付着物除去方法について述べる。
本実施例では図1図6に示すような15mm厚のアルミニウム製のテーブルステージ11に、スクリーン枠5を固定するために、3本の金属製の位置決めピン12と、先端に6角形の治具を取り付けたエアーシリンダー13が取り付けてある。なお、エアーシリンダー13は、図示しないエアー配管を介して図示しないエアーコンプレッサーに取り付けられている。テーブルステージ11は不要な部分を切り抜いて軽量化を図ってもよい。
また、テーブルステージ11は略中心部を、図示しないX方向およびY方向に駆動する、いわゆる二軸駆動ロボットに固定してあり、X方向およびY方向に自在に動かすことが可能となっている。エアーシリンダー13に取り付けてある6角形の治具は樹脂製で、本実施例ではMCナイロンを使用しており、それらの上にはレーザ光15によるダメージを受けないようにアルミニウム製のカバーが取り付けてある。MCナイロン製の治具のカバーに関しては、MCナイロン製の治具と同形状且つ、0.5mmほど小さい1mm厚のアルミニウム製カバーとして、アルミニウム製カバーがスクリーン枠5に接触しないようにしている。スクリーン枠5を固定する際は、3本の位置決めピンにスクリーン枠5を突き当てた後、前記エアーシリンダー13をエアーを供給して駆動させ、その圧力を利用して、6角形の治具と前述した3本の金属製の位置決めピン12とでスクリーン枠5を挟んで固定する。位置決めピン12の個数や配置するピッチに関しては、固定するスクリーン枠5の大きさによって適宜設定すればよい。なお、本実施例ではレーザ光15の焦点位置をテーブルステージ11から30mm上方に設定してあるので、スクリーン枠5の高さが30mmに満たない場合は、テーブルステージ11とスクリーン枠5の間にスペーサー14を入れることでスクリーン枠5の高さを30mmに設定している。例えば、スクリーン枠5の外径が450×450mm、スクリーン枠5の幅が30mm、スクリーン枠5の高さが20mmのアルミニウム製の中空パイプで構成されたスクリーン枠5に対してレーザ光15を照射する場合は、テーブルステージ11とスクリーン枠5の間にアルミニウム製の10mm厚のスペーサー14を入れて高さを30mmに設定すればよい。
このとき、たとえば位置決めピン12の高さを30mmに設定しておけば、位置決めピン12の高さとスクリーン枠5の高さとが略面一になるようにスペーサー14を設定すればよいので、高さ調整が簡便になる。スペーサー14の材質や形状に関しては特に問わないが、スクリーン枠5の形状に合わせつつ、スペーサー14の幅をスクリーン枠5の幅よりも少し小さい形状とすれば、レーザ光15の照射時にスペーサー14にレーザ光15が当たらないので、スペーサー14の長寿命化が期待できるため望ましい。
【0013】
テーブルステージ11にスクリーン枠5を固定したのち、スクリーン枠5の形状に倣ってレーザ光15を照射する。レーザ光15はスクリーン枠5を停止した状態で照射する。
つまり、スクリーン枠5が停止した状態でガルバノスキャナー2のレーザ光15照射範囲分の処理を行った後、テーブルステージ11をガルバノスキャナー2のレーザ光15照射範囲分だけ動かして停止したのちに再びレーザ光15を照射して処理を行うという処理動作を、スクリーン枠5の大きさに合わせて繰り返し行うことでスクリーン枠5全体の処理を行う。図2に、スクリーン枠5の外径が450×450mm、スクリーン枠5の幅が30mm、スクリーン枠5の高さが20mmのアルミニウム製の中空パイプで構成されたスクリーン枠5に対してレーザ光15で照射処理する場合のレーザ光15の照射方法を示す。図2に示すようにX方向に関しては、レーザ光15はスクリーン枠5の長さ方向に対して57mm、スクリーン枠5の幅方向に対して36mmの範囲を照射するという処理動作を3mm幅分重複させつつ1辺に付き8箇所、Y方向に関しては、レーザ光15はスクリーン枠5の長さ方向に対して65mm、スクリーン枠5の幅方向に対して36mmの範囲を照射するという処理動作を3mm幅分重複させつつ1辺に付き6箇所となっている。
つまり、X方向は16箇所、Y方向は12箇所となるので、合計28箇所となる。スクリーン枠5の長さ方向に対して57mm、スクリーン枠5の幅方向に対して36mmの範囲にレーザ光15を照射する際、レーザ光15はスクリーン枠5の幅方向に、つまり36mm幅に渡ってレーザ光15を照射したのち、レーザ光15のビームスポットを所定ピッチでスクリーン枠5の長さ方向に移動し、再びスクリーン枠5の幅方向にレーザ光15を照射するという動作を、スクリーン枠5の長さ方向である57mmに渡って繰り返し行っている。
本実施例ではレーザ光15の処理速度を最大3000mm/秒、レーザ光15の長さ方向に移動するピッチを0.2mmとし、36mm×57mmの範囲を2回処理している。
よって、レーザ光15の照射回数は2回×28箇所の計56回となっている。処理回数に関してはスクリーン枠5に付着している付着物の厚みに応じてレーザ光15の照射の回数を増減させるのが望ましく、付着物の厚みが薄ければ1回でもよいし、付着物の厚みが厚ければ3回でもよいし、4回でもよいし、それ以上の回数でもよい。当然、レーザ光15の照射回数が少なければ処理時間は短くなるし、照射回数が増えれば処理時間は長くなる。
【0014】
本発明ではレーザ光15をスクリーン枠5の長手方向に移動させてスクリーン枠5の天端に付着している付着物を除去する際のレーザ光15の照射位置およびレーザ光15の照射方向に特徴がある。
つまり、レーザ光15をスクリーン枠5の長手方向に移動させてスクリーン枠5の天端に付着している付着物を除去する際に、スクリーン枠5が存在しない方向に向かって、もしくはすでにレーザ光15で付着物の除去処理を行った箇所に向かって、つまり、レーザ光15でスクリーン枠5の付着物の除去処理を行った箇所から最も離れた位置からレーザ光15を照射して付着物除去処理を行う。例えば、図2に記すスクリーン枠5において、左上のスクリーン枠5のコーナー部分にレーザ光15を照射する場合、図3示すようにレーザ光15を最も離れた位置からスクリーン枠5のコーナー部分に向かって、つまり、スクリーン枠5が存在しない方向に向かってレーザ光15を照射して付着物除去処理を行う。
次に、スクリーン枠5を移動してレーザ光15を照射する場合は、図4に示すように、レーザ光15でスクリーン枠5の付着物の除去処理を行った箇所から最も離れた位置から、すでにレーザ光15で付着物の除去処理を行った箇所に向かって、レーザ光15を照射して付着物除去処理を行う。このようにレーザ光15で付着物の除去処理を行った箇所から最も離れた位置からレーザ光15を照射していくので、スクリーン枠5の付着物にレーザ光15を照射した際に発生する除去物がレーザ光15で付着物の除去処理を行った箇所へ再付着する量を抑制することができる。
なお、前述したように、本実施例ではレーザ照射装置6の一方の側には集塵ノズル7が、他方の側にはアシストガス噴射ノズル8が固定されている。レーザ光15照射の際にはアシストガス噴射ノズル8からエアーを噴射させつつ、集塵ノズル7にて除去物を吸引しているが、レーザ照射装置6および集塵ノズル7およびアシストガス噴射ノズル8は図示しない装置躯体に固定されているため、スクリーン枠5の処理方向によっては図5に示すようにスクリーン枠5の長手方向に沿って集塵ノズル7とアシストガス噴射装置8が配置する場合がある。
このような配置状態になった場合は、スクリーン枠5が存在しない方向、もしくはすでにレーザ光15で付着物の除去処理を行った箇所に向かってレーザ光15を照射していくのに加えて集塵ノズル7に最も近い位置から離れる方向に向かってレーザ光15を照射していくのが望ましい。
これにより、最初にレーザ光15を照射した際に発生した除却物が効率的に集塵ノズル7から吸引されるので、スクリーン枠5の付着物にレーザ光15を照射した際に発生する除去物がレーザ光15で付着物の除去処理を行った箇所へ再付着する量を抑制することができる。
【0015】
以上により、本発明を実施することで、レーザ光15を照射して除去された除去物が、処理を行ったスクリーン枠5の表面に再付着する量を削減することが可能である。
これにより、スクリーン枠5の表面に再付着した除去物をアルコールや酢酸エチル等の溶剤を含ませたウエスやナイロンタワシ等で擦りながら拭き上げて取り除くという、レーザ光15によるスクリーン枠5の付着物除去後の工程である仕上げ作業にかける時間を少なくすることができるため、スクリーン枠5の再生作業の効率を向上することが可能となる。
【0016】
なお、本実施例においては、スクリーン枠5としてアルミニウムやアルミニウム合金の中空パイプで構成されたアルミパイプ枠を使用したが、アルミ鋳物枠や、アルミダイガスト枠といったスクリーン枠に対しても同様の効果を得ることができる。
また、アルミニウムやアルミニウム合金以外の金属材料を使用したスクリーン枠5に対しても同様の効果を得ることができるのは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本方法はスクリーン枠の天端の付着物除去だけでなく、スクリーン枠の側面の付着物除去にも利用することができるのはもちろんのこと、様々な付着物除去に利用することができる。
【符号の説明】
【0018】
1・・・・レーザ発振器
2・・・・ガルバノスキャナー
3・・・・Fθレンズ
4・・・・ビームエキスパンダ
5・・・・スクリーン枠
6・・・・レーザ照射装置
7・・・・集塵ノズル
8・・・・アシストガス噴射ノズル
9・・・・フレキシブルホース
10・・・・エアー配管
11・・・・テーブルステージ
12・・・・位置決めピン
13・・・・エアーシリンダー
14・・・・スペーサー
15・・・・レーザ光
図1
図2
図3
図4
図5
図6