IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オハラの特許一覧

<>
  • 特開-コンニャク米及び製造方法 図1
  • 特開-コンニャク米及び製造方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091024
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】コンニャク米及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20220613BHJP
   A23L 19/00 20160101ALI20220613BHJP
   A23L 29/244 20160101ALI20220613BHJP
【FI】
A23L7/10 Z
A23L19/00 102Z
A23L29/244
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203691
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】301000044
【氏名又は名称】株式会社オハラ
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】須田 一喜
(72)【発明者】
【氏名】原田 浩治
【テーマコード(参考)】
4B016
4B023
4B041
【Fターム(参考)】
4B016LC08
4B016LE02
4B016LG07
4B016LK09
4B016LP03
4B016LP05
4B016LP08
4B023LC05
4B023LC09
4B023LE11
4B023LK08
4B023LK12
4B023LP10
4B041LC03
4B041LC10
4B041LD01
4B041LE01
4B041LH02
4B041LH08
4B041LP01
4B041LP07
(57)【要約】
【課題】 炊飯後一定期間経過しても、米に食感が近いコンニャク米を提供することを目的とする。
【解決手段】 コンニャク米の製造方法は、コンニャク粉1重量部と、天然デンプン20重量部~40重量部と、水15重量部~25重量部と、アルカリ凝固剤とを混錬する工程と、混錬された混錬物を加圧成形する工程と、加圧成形された混錬物を加熱する工程と、加熱した混錬物を冷却する工程と、冷却した混錬物を乾燥させる工程とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンニャク粉1重量部と、
デンプン20重量部~40重量部と
を有し、
前記デンプンの70%以上が、天然デンプンである
コンニャク米。
【請求項2】
前記天然デンプンは、糊化及び老化した天然デンプンであり、
炊飯前の乾燥状態にある
請求項1に記載のコンニャク米。
【請求項3】
コンニャク粉1重量部と、天然デンプン20重量部~40重量部と、水15重量部~25重量部と、アルカリ凝固剤とを混錬する工程と、
混錬された混錬物を加圧成形する工程と、
加圧成形された混錬物を加熱する工程と、
加熱した混錬物を冷却する工程と、
冷却した混錬物を乾燥させる工程と
を有するコンニャク米の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンニャク米及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、生米および炊き水の中に、生米100重量部に対して、0.5~2.0重量部の炊飯配合剤を添加して、生米を炊き上げる方法であって、炊飯配合剤は、平均粒径が15μm~150μmのコンニャク微粉末、平均粒径が15μm~150μmの二酸化ケイ素微粉末、および加工デンプン粉末を主成分とし、炊き水の量を増やして炊き上げて保水量を多くした米飯に、良好な保水性を与えると共に、炊き水の量を増やすことなく炊き上げた米飯と同程度の歯ごたえ、粘り気等の食感、食味を与えることができる炊飯方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-187288号公報
【特許文献2】特開2009-195178号公報
【特許文献3】特許第4555400号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、米に食感が近いコンニャク米を提供することを目的とする。例えば、弁当やお握りのように、一定期間保管された後でも米に近い食感を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るコンニャク米は、コンニャク粉1重量部と、デンプン20重量部~40重量部とを有し、前記デンプンの70%以上が、天然デンプンである。
【0006】
好適には、前記天然デンプンは、糊化及び老化した天然デンプンであり、炊飯前の乾燥状態にある。
【0007】
また、本発明に係るコンニャク米の製造方法は、コンニャク粉1重量部と、天然デンプン20重量部~40重量部と、アルカリ凝固剤と、水15重量部~25重量部(または、18重量部~20重量部)とを混錬する工程と、混錬された混錬物を加圧成形する工程と、加圧成形された混錬物を加熱する工程と、加熱した混錬物を冷却する工程と、冷却した混錬物を乾燥させる工程とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、米に食感が近いコンニャク米を提供できる。特に、炊飯後、一定期間経過後であっても、米に近い食感を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】炊飯直後、及び、20℃で48時間保管した後の混合米のコシを示す。
図2】炊飯直後、及び、3℃で72時間保管した後の混合米のコシを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(コンニャク米の基本配合)
コンニャク精粉1重量部に対して、デンプンが20~40重量部含まれる。デンプン全体のうち、70%以上が天然デンプンである。天然デンプンはデンプン全体の90%以上であってもよい。天然デンプンの全部又は一部は、後述の製造工程において、糊化及び老化している。
【0011】
(天然デンプン)
コンニャク精粉1重量部に対して、天然デンプン22重量部~28.0重量部が含まれる。
天然デンプンは、例えば、タピオカ澱粉又は馬鈴薯澱粉等である。より具体的には、天然デンプンの40%以上がタピオカ澱粉である。
【0012】
(加工デンプン)
コンニャク精粉1重量部に対して、加工デンプンを2重量部~6重量部程度添加してもよい。
加工デンプンは、例えば、リン酸架橋デンプンである。
【0013】
[製造方法]
次に、コンニャク米の製造方法を説明する。
(混錬工程)
コンニャク粉1重量部と、天然デンプン20重量部~40重量部を混錬する。例えば、コンニャク粉500gに対して、水8.0kg~9.0kg、天然デンプン11.0kg~14.0kgを混ぜ合わせ、さらに、シェルライムなどの貝殻焼成カルシウム15gを水1.0kgに溶かしたものを投入して混錬する。
(成形工程)
混錬された混錬物を加圧成形する。例えば、混錬物を紐状に押し出し成形し、押し出された紐状の混錬物を米粒サイズにカットする。
(加熱工程)
加圧成形された混錬物を加熱する。例えば、米粒サイズにカットされた混錬物を、蒸し器により85℃~102℃で30分~60分加熱する。
(冷却工程)
加熱した混錬物を冷却し、冷却した状態を一定期間保持する。例えば、蒸し器で加熱された混錬物を冷蔵庫内に5℃前後で8時間~12時間保管する。
(乾燥工程)
冷却した混錬物を乾燥させる。混錬物の含水率が抑えられているので、乾燥工程に要するエネルギーが比較的少なくできる。
【0014】
[実施例1]
コンニャク粉(特等粉)0.5kgに対して、タピオカ澱粉(MKK-100)8.0kg、馬鈴薯澱粉(スタビローズ)5.0kg、及び、リン酸架橋デンプン(パインスターチ)1.0kgを、水8.5kgに投入して混錬し、これに対して、貝殻焼成カルシウム(シェルライム)15gが含まれた水1.0kgを投入し、成形、加熱、冷却及び乾燥によって、実施例1のコンニャク米を製造した。
【0015】
[実施例2]
コンニャク粉(特等粉)0.5kgに対して、タピオカ澱粉(MKK-100)7.0kg及びスタビローズ7.0kgを、水8.5kgに投入して混錬し、これに対して、シェルライム22gが含まれた水1.0kgを投入し、成形、加熱、冷却及び乾燥によって、実施例2のコンニャク米を製造した。
実施例2のコンニャク米は、実施例1のコンニャク米に比べて成形性が悪いため、やや多めのシェルライムを添加した。
【0016】
[実施例3]
コンニャク粉(特等粉)0.5kgに対して、タピオカ澱粉(MKK-100)4.5kg、スタビローズ4.5kg、及びコーンスターチ4.0kgを、水8.5kgに投入して混錬し、これに対して、シェルライム22gが含まれた水1.0kgを投入し、成形、加熱、冷却及び乾燥によって、実施例3のコンニャク米を製造した。
【0017】
[食感の評価]
実施例1のコンニャク米、市販品A、及び市販品Bの食感を評価した。炊飯後の重量比が同等となるように、これらのコンニャク米それぞれと、米とを混合して炊き上げ、混合米のコシをテンシプレッサーで測定した。
図1は、炊飯直後、及び、20℃で48時間保管した後の混合米のコシを示す。
図1に示すように、炊飯直後も、20℃で48時間保管した後も、実施例1の混合米は、コシヒカリに近いコシを有する。一方、比較例である市販品A及び市販品Bの混合米は、20℃で48時間保管すると、コシヒカリと比較してコシが無い。そのため、混合米として食した場合には、食感の違いが不自然な印象を与えるものと考えられる。つまり、弁当やお握りにすることを考えた場合、実施例1のコンニャク米が、より米に近い食感となる。
図2は、炊飯直後、及び、3℃で72時間保管した後の混合米のコシを示す。
図2に示すように、3℃で72時間保管した場合も、実施例1の混合米が、コシヒカリに最も近いコシを有する。
【0018】
以上説明したように、本実施形態のコンニャク米は、炊飯後一定期間経過後であっても、米に近い食感を有する。また、糊化及び老化した天然デンプンの一部は、レジスタントスターチとして機能することが期待できる。
図1
図2