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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091032
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】収容什器用構造及び収容什器
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/40 20060101AFI20220613BHJP
   B65F 1/16 20060101ALI20220613BHJP
   E05F 11/12 20060101ALI20220613BHJP
   E05F 13/04 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
E05D15/40
B65F1/16
E05F11/12
E05F13/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203706
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】松宮 一樹
(72)【発明者】
【氏名】久保田 誠
(72)【発明者】
【氏名】岡本 洋子
【テーマコード(参考)】
3E023
【Fターム(参考)】
3E023MA09
3E023MB01
3E023MC02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】収容什器の上方スペースを各種用途に活用し易くかつ扉の開閉動作が妨げられ難くする。
【解決手段】内部に物を収容するための収容空間を形成される収容什器において、収容空間の周囲の少なくとも一部を覆う収容什器用構造30であって、設置状態において収容空間と収容空間に対して水平方向外側の空間とを仕切り、外側の空間から収容空間内に物を入れるための開口33が形成されたパネル32と、開口33を閉じる閉位置と、閉位置からパネル32の延在方向である上下方向及び/又は左右方向に沿って移動して開口33の少なくとも一部を開いた開位置との間で移動可能に支持される扉と、扉の位置切り替えに関する操作を受ける操作部50と、操作部50に対する操作に応じて、扉を閉位置と開位置との間で移動させる開閉機構60とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に物を収容するための収容空間を形成される収容什器において、前記収容空間の周囲の少なくとも一部を覆う収容什器用構造であって、
設置状態において前記収容空間と前記収容空間に対して水平方向外側の空間とを仕切り、前記外側の空間から前記収容空間内に物を入れるための開口が形成されたパネルと、
前記開口を閉じる閉位置と、前記閉位置から前記パネルの延在方向である上下方向及び/又は左右方向に沿って移動して前記開口の少なくとも一部を開いた開位置との間で移動可能に支持される扉と、
前記扉の位置切り替えに関する操作を受ける操作部と、
前記操作部に対する操作に応じて、前記扉を前記閉位置と前記開位置との間で移動させる開閉機構と、
を備える収容什器用構造。
【請求項2】
請求項1に記載の収容什器用構造であって、
前記開閉機構は、前記操作部に対する操作力を、前記扉を移動させる力として前記扉に伝達する開閉伝達機構である、収容什器用構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の収容什器用構造であって、
前記操作部は、前記扉よりも下側に位置に設けられ、人の足で踏むことにより操作力を付与される足踏み式ペダルである、収容什器用構造。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の収容什器用構造であって、
前記開閉機構は、前記操作部と前記扉との間における力の伝達経路に介在し、前記操作部に対する操作力を前記扉に伝達する中継リンク部材を含む、収容什器用構造。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の収容什器用構造であって、
前記開閉機構は、前記操作部に対する操作力が伝達される操作部側力点部と、前記扉を開閉する力を作用させるための操作部側作用点部と、前記パネルに揺動可能に支持された操作部側支点部とを含む操作部側リンク部材を含み、
前記操作部側作用点部が前記扉の移動方向延長から外れた位置に設けられ、前記操作部側力点部が前記操作部側作用点部よりも前記扉の幅方向中央寄りの位置に設けられている、収容什器用構造。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の収容什器用構造であって、
前記開閉機構は、前記扉の移動軌跡から離れた位置でパネルに揺動可能に支持された扉側支点部と、前記扉に連結された扉側作用点部と、前記扉の移動軌跡から離れた位置で前記操作部側からの力が伝達される扉側力点部とを含む扉側リンク部材を含む、収容什器用構造。
【請求項7】
請求項6に記載の収容什器用構造であって、
前記扉側支点部と前記扉側作用点部との間の距離が、前記扉側支点部と前記扉側力点部との距離よりも大きい、収容什器用構造。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の収容什器用構造であって、
前記扉側支点部は、前記扉の移動方向において前記開口よりも前記閉位置側で揺動可能に支持され、
前記扉側作用点部は、前記扉のうち前記閉位置寄りの位置に連結されている、収容什器用構造。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか1つに記載の収容什器用構造であって、
前記扉側作用点部は、前記扉の幅方向両端寄りも中央寄りの位置に連結されている、収容什器用構造。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の収容什器用構造であって、
前記開閉機構は、前記扉を前記閉位置側に付勢するばねを含む、収容什器用構造。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の収容什器用構造であって、
前記扉が閉位置に移動する際に、前記開口内に位置する物に対する前記扉の衝突衝撃を和らげる緩衝機構をさらに備える収容什器用構造。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の収容什器用構造であって、
前記パネルは、前記収容空間側に配置され上方が開口する内側収容ボックスとの距離が50mm以下である、収容什器用構造。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1つに記載の収容什器用構造と、
前記収容什器用構造と共に前記収容空間の周囲を囲う周壁部と、
前記収容空間の上方空間を覆う天井パネルと、
を備える収容什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、物を収容する収容什器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、上部に開口を有する容器本体と、開口部を開閉するための蓋と、ペダルとを備えるペダル開閉式ごみ容器を開示している。このごみ容器では、ペダルが踏まれると、蓋が上方に開かれる。
【0003】
特許文献2には、側面に開口部が設けられた容器本体と、開口部に設けられた開閉蓋と、足踏み式ペダルとを備えるごみ容器を開示している。このごみ容器では、足踏み式ペダルが踏まれると、開閉蓋が回動して容器本体の内方に向って開かれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-112801号公報
【特許文献2】特開平7-17601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術によると、容器本体の上部に開口及び蓋が設けられるため、容器の上方スペースを物置、作業スペース等に活用し難いという問題がある。
【0006】
また、特許文献2に開示の技術によると、開閉蓋が回動して開く構成であるため、ごみ容器内にごみが溜っていくと、ごみが開閉蓋の開閉動作を妨げる可能性がある。
【0007】
そこで、本開示は、収容什器の上方スペースを各種用途に活用し易く、かつ、扉の開閉動作が妨げられ難くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、収容什器用構造は、内部に物を収容するための収容空間を形成される収容什器において、前記収容空間の周囲の少なくとも一部を覆う収容什器用構造であって、設置状態において前記収容空間と前記収容空間に対して水平方向外側の空間とを仕切り、前記外側の空間から前記収容空間内に物を入れるための開口が形成されたパネルと、前記開口を閉じる閉位置と、前記閉位置から前記パネルの延在方向である上下方向及び/又は左右方向に沿って移動して前記開口の少なくとも一部を開いた開位置との間で移動可能に支持される扉と、前記扉の位置切り替えに関する操作を受ける操作部と、前記操作部に対する操作に応じて、前記扉を前記閉位置と前記開位置との間で移動させる開閉機構と、を備える。
【0009】
また収容什器は、上記収容什器用構造と、前記収容什器用構造と共に前記収容空間の周囲を囲う周壁部と、前記収容空間の上方空間を覆う天井パネルと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
この収容什器用構造又は収容什器によると、収容什器の上方スペースを各種用途に活用し易く、かつ、扉の開閉動作が妨げられ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る収容什器の全体構成を示す斜視図である。
図2】収容什器の一部分解側面図である。
図3】収容什器用構造を収容空間側から見た背面図である。
図4】収容什器用構造を収容空間側から見た背面図である。
図5】第1変形例に係る緩衝機構を示す背面図である。
図6】第2変形例に係る緩衝機構を示す説明図である。
図7】第3変形例に係る緩衝機構を示す説明図である。
図8】第4変形例に係る緩衝機構を示す説明図である。
図9】第5変形例に係る緩衝機構を示す説明図である。
図10】第5変形例に係る緩衝機構を示す説明図である。
図11】第6変形例に係る緩衝機構を示す背面図である。
図12】第7変形例に係る緩衝機構を示す背面図である。
図13】変形例に係る開閉機構を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る収容什器用構造及び収容什器について説明する。
【0013】
<収容什器の全体構成について>
図1は収容什器20の全体構成を示す斜視図であり、図2は収容什器20の一部分解側面図である。収容什器20には、内部に物を収容するための収容空間Sが形成されている。物は、ゴミであってもよいし、食品であってもよいし、日用品であってもよいし、玩具であってもよい。
【0014】
収容什器20は、収容什器用構造30と、周壁部22と、天井パネル26とを備える。
【0015】
収容什器用構造30は、収容空間Sの周囲の少なくとも一部を覆う。周壁部22は、収容什器用構造30と共に収容空間Sの周囲を囲う。収容什器用構造30と周壁部22とによって、収容空間Sの周囲4方が囲まれる。ここでは、周壁部22は、一対の側壁パネル23と、奥側パネル24とを有する。奥側パネル24の両側縁部から奥側パネル24の一方主面側に延びるようにして一対の側壁パネル23が設けられている。一対の側壁パネル23に対して奥側パネル24とは反対側の開口を閉じるように、収容什器用構造30が設けられる。一対の側壁パネル23の内面に、収容什器用構造30をガイドするガイドレール23gが設けられていてもよい。ガイドレール23gは、奥側パネル24から収容什器用構造30に向けて延びる水平姿勢とされ、収容什器用構造30を奥側パネル24に対して接近する方向及び遠ざかる方向に移動可能に支持する。
【0016】
天井パネル26は、周壁部22と収容什器用構造30とで囲まれる収容空間Sにおける上方空間を覆い、周壁部22の上方開口を閉じている。天井パネル26は、周壁部22と一体形成されるか、周壁部22の上縁部に溶接、ネジ止等によって固定される。天井パネル26は、収容空間Sの上方開口を開閉可能に、周壁部22に取付けられてもよい。
【0017】
周壁部22の下側には、底パネル27が設けられていてもよい。底パネル27は省略されてもよい。
【0018】
収容什器用構造30は、周壁部22の側方開口を開閉可能な状態で、周壁部22及び天井パネル26を含む本体部に取付けられる。本実施形態では、収容什器用構造30は、周壁部22の側方開口(奥側パネル24とは反対側の開口)に設置され、ガイドレール23gによって当該側方開口を閉じる状態と、側方開口から引出された状態との間でスライド移動可能に支持される。収容什器用構造30は、周壁部22、天井パネル26又は底パネル27に対してヒンジを介して開閉可能に支持されていてもよい。収容什器用構造30が開かれ、収容空間Sが周壁部22の側方開口を通じて外側空間に開放されることによって、収容空間S内の物の取出しが容易になされ得る。
【0019】
もっとも、収容什器用構造30が周壁部22の側方開口を開閉可能であることは必須ではない。収容什器用構造30は、周壁部22に一体化されていてもよい。例えば、収容什器用構造30と周壁部22とは、金属板等で一体形成されてもよい。収容什器用構造30は、周壁部22にネジ止、溶接等で固定されていてもよい。
【0020】
収容什器用構造30は、パネル32と、扉40と、操作部50と、開閉機構60とを備える。
【0021】
パネル32は、収容空間Sと当該収容空間Sに対して水平方向外側の空間とを仕切るように設置される。パネル32は、例えば、重力方向に沿った垂直姿勢で設置されてもよい。パネル32の全体又は一部が重力方向に対して斜め姿勢であってもよい。パネル32には、外側の空間から収容空間S内に物を入れるための開口33が形成される。
【0022】
扉40は、開口33を閉じることができる部材、例えば、板状部材である。扉40は、閉位置と、閉位置からパネル32の延在方向である上下方向及び/又は左右方向に沿って移動して開位置との間で移動可能に支持される。閉位置とは、開口33を閉じた状態である(図1から図3参照)。扉40が開口33を閉じた状態で、開口33が完全に隙間なく閉じている必要はなく、開口33を通じた収容空間Sへの物の出し入れ抑制できる程度、又は、外部から開口33を通じた収容空間Sの観察を抑制できる程度に、開口33が閉じられていればよい。開位置とは開口33の少なくとも一部を開いた状態である(図4参照)。この状態では、扉40が閉位置に位置する場合よりも、開口33が大きく開いていればよい。上下方向及び/又は左右方向に沿って移動とは、上下方向に沿って移動すること、左右方向に沿って移動すること、及び、上下及び左右方向の両方向に沿って移動することのいずれかの場合である。上下及び左右方向両方向に沿って移動する場合は、上下方向に対して斜めかつ左右方向に対しても斜めに移動する場合である。本実施形態では、扉40は、パネル32のうち収容空間S側の面において、上側の閉位置(図1から図3参照)と下側の開位置(図4参照)との間で移動可能に支持される。
【0023】
操作部50は、扉40の位置切替に関する操作を受ける部分である。本実施形態では、操作部50は、パネル32の下方に、当該パネル32の外向き面から突出するように設けられる。本収容什器20の利用者は、パネル32の外側から操作部50を操作することができる。
【0024】
開閉機構60は、操作部50に対する操作に応じて、扉40を閉位置と開位置との間で移動させる開閉機構である。つまり、開閉機構60は、操作部50に対する操作力を、扉40を移動させる力として扉40に伝達する開閉伝達機構である。
【0025】
本収容什器20の利用者は、操作部50を操作することによって、扉40を閉位置から開位置に移動させることができる。これにより、開口33が開いた状態となり、利用者は、開かれた開口33を通じて物を収容空間S内に入れることができる。
【0026】
<収容什器用構造について>
収容什器用構造30の各部構成についてより具体的に説明する。図3及び図4は収容什器用構造30を収容空間S側から見た背面図である。図3では扉40が閉位置に位置しており、図4では扉40が開位置に位置している。図3及び図4では内部底パネル34及び内部周壁部35は二点鎖線で示される。
【0027】
パネル32は、例えば、周壁部22の側方開口を塞ぐ方形板状に形成される。パネル32は、部分的に又は全体的に曲っていてもよい。開口33は、収容対象となる物の大きさ等に応じた形状、大きさに設定される。例えば、開口33は、方形状であってもよいし、円形状であってもよい。ここでは、開口33は、角を丸めた長方形状であり、上下方向寸法よりも幅方向寸法が大きい形状に形成される。パネル32における開口33の位置は任意である。開口33は、パネル32のうち上下方向中央よりも上寄りの位置に設けられていてもよい。これにより、収容空間Sのうち開口33の下縁部よりも下方の空間内に物を収容し易い。
【0028】
本実施形態では、パネル32のうち収容空間S側の面の下部に、水平方向に沿って延出する内部底パネル34が設けられる。内部底パネル34は、方形板状に形成されている。内部底パネル34の周縁のうちパネル32に繋がる部分以外の部分には内部周壁部35が設けられる。より具体的には、内部周壁部35は、内部底パネル34のうちパネル32側の辺を除く3辺から上方に延出している。このため、内部底パネル34の上方空間の周囲は、パネル32と内部周壁部35とによって囲まれる。つまり、収容空間S内に、パネル32、内部周壁部35及び内部底パネル34によって囲まれる内部空間Saが形成される。開口33を通じて収容空間S内に入れられた物は、主として内部空間Sa内に入れられる。内部周壁部35の上縁は、開口33の下縁よりも下側に位置していてもよいが、これは必須ではない。内部周壁部35の外側両側面に、上記ガイドレール23gによってガイドされるガイド体35gが設けられていてもよい。ガイド体35gがガイドレール23gによって水平方向に沿ってガイドされることによって、収容什器用構造30が周壁部22に対して進退可能にガイドされる。
【0029】
内部周壁部35の両側部は、後述する一対の扉ガイド部材46及び開閉機構60に対して幅方向外側に位置している。このため、パネル32と内部周壁部35によって囲まれる内部空間Sa内において、扉40が開閉でき、かつ、開閉機構60も操作力を伝達する動作を実行することができる。
【0030】
扉40は、開口33を閉じることができる板形状、例えば、上記開口33よりも大きい方形板状に形成される。本実施形態では、扉40は、方形状の主板部の周囲4辺部分を、当該主板部に対してL字状に折り返した構成とされている。扉40のうち下側の折返し辺部分41の幅方向中間部には、当該下側の辺に沿って長い長孔41hが形成されている。この長孔41hを利用して後述する扉側リンク部材62が扉40に連結される。
【0031】
扉40は、パネル32のうち収容空間S側の面において、一対の扉ガイド部材46によって上下方向に移動可能に支持されている。扉ガイド部材46は、扉40の側縁部を上下方向に沿って移動可能に支持する部分である。例えば、扉ガイド部材46は、それ自体で又はパネル32との間で、扉40の側縁部を配置可能なガイド溝を形成する。ガイド溝は、開口33の幅方向中央に向けて開口している。扉ガイド部材46が、開口33の幅方向両外側において上下方向に沿って延在するように、パネル32のうち収容空間S側に面にネジ止、溶接等によって固定される。扉ガイド部材46は、開口33の下縁よりも下方に延出している。扉40の両側部が扉ガイド部材46によって形成されるガイド溝内に配置されることによって、扉40が上下方向に沿って移動可能に支持される。扉ガイド部材46によるガイド状態で、扉40が上側に位置する状態が閉位置であり、扉40が下側に位置する状態が開位置である。扉40を移動可能に支持する構成は、上記例に限られない。例えば、1つ又は2つのリニアガイドによって、扉40が移動可能に支持されていてもよい。
【0032】
操作部50は、利用者による操作力を受けることができる構成であれば特に限定されない。例えば、操作部50は、人の足による踏込み操作力を受ける足踏み式ペダルであってもよいし、人の手、腕、肘、膝等による操作を受ける操作レバーであってもよい。操作部50が足踏み式ペダルであれば、利用者は、手を使わずに、足によって大きな操作力を及しやすい。本実施形態では、操作部50は、扉40よりも下側の位置に設けられ、利用者の足で踏むことによって操作力を付与される、上下変位可能な足踏み式ペダルである例が説明される。かかる足踏み式ペダルは、上下方向に変位可能に支持されており、踏まれることによって下方に移動して扉40を開く力を及すことができる構成であってもよい。これにより、利用者が体重を印加することによって、大きな操作力を加えることができる。足踏み式ペダルは、床に近い位置、例えば、床面から20cm以内の位置にあってもよい。
【0033】
ここでは、上記内部底パネル34の下部に一対のペダル支持片36が垂設される。一対のペダル支持片36は、内部底パネル34のうちパネル32寄りの部分にネジ止、溶接等によって固定される。ペダル支持片36は、パネル32の幅方向に垂直な方向に沿う姿勢とされている。パネル32の幅方向において、一対のペダル支持片36間に間隔が設けられる。一対のペダル支持片36の内向き面に、上下方向に沿うガイド溝36gが形成される。
【0034】
操作部50は、上下方向に沿う垂直片部51と、水平方向に沿う水平片部52とがL字状に連なる構成とされている。垂直片部51の両側縁が上記ガイド溝36g内に配置されることで、操作部50が上下方向に沿って移動可能に支持される。この際、水平片部52は、垂直片部51からパネル32側突出し、パネル32の前面からも突出する。このため、利用者は、パネル32の前方に突出する垂直片部51を踏んで操作部50に操作力を加えることができる。なお、操作部50は、支軸部周りに揺動可能に支持されてもよい。
【0035】
開閉機構60は、操作部50に加えられた操作力を、扉40を移動させるための力として伝達する力の伝達機構である。
【0036】
開閉機構60は、少なくとも1つのリンク部材を含む。本実施形態では、開閉機構60は、扉側リンク部材62と、第1中継リンク部材64と、操作部側リンク部材66と、第2中継リンク部材68とを備える。操作部50に対する操作力が、第2中継リンク部材68、操作部側リンク部材66、第1中継リンク部材64及び扉側リンク部材62を介して扉40に伝達される。
【0037】
より具体的には、扉側リンク部材62は、長尺形状、ここでは、細長い板形状に形成される。扉側リンク部材62は、扉側支点部62aと、扉側作用点部62bと、扉側力点部62cとを備える。本実施形態では、扉側リンク部材62の一端部に扉側作用点部62bが設けられ、扉側リンク部材62の他端部に扉側力点部62cが設けられ、それらの間に扉側支点部62aが設けられる。扉側支点部62aは、扉40の移動軌跡から離れた位置でピン又はネジ等によってパネル32に揺動可能に支持される。例えば、扉40の移動軌跡から一側方に離れた一方の扉ガイド部材46上の位置で、扉側支点部62aが揺動可能に支持されている。扉側作用点部62bは、扉40に向って延びて、扉40に連結される。扉側力点部62cは、扉側作用点部62bとは逆側に延びており、扉40の移動軌跡から離れた位置で、操作部50側からの力を伝達される。ここでは、扉側力点部62cには、第1中継リンク部材64が連結され、当該第1中継リンク部材64を介して操作力が伝達される。扉側力点部62cに操作力が伝達されることによって、扉側リンク部材62が扉側支点部62aを中心として揺動する。この揺動に伴って扉側作用点部62bが上下変位することで、扉40が閉位置と開位置との間で上下移動する。
【0038】
本扉側リンク部材62において、扉側支点部62aと扉側作用点部62bとの間の距離が、扉側支点部62aと扉側力点部62cとの距離よりも大きくてもよい。これにより、扉側力点部62cの小さな移動量で、扉40を大きく移動させて、開口33を大きく開くことができる。
【0039】
また、扉側支点部62aは、扉40の移動方向において開口33よりも閉位置側で揺動可能に支持され、扉側作用点部62bは扉40のうち閉位置寄りの位置(ここでは下側の折返し辺部分41)に連結されていてもよい。この場合、扉40が開位置に位置する状態で、扉ガイド部材46は、パネル32のうち閉位置寄りの扉側支点部62aから、開位置における扉40のうち開口33から遠い部分に向けて延在することができる。このため、扉側リンク部材62を直線形状等の単純形状に形成しても、開かれた開口33内に露出し難い。なお、扉側リンク部材は、曲った形状であってもよい。
【0040】
また、扉側作用点部62bは、扉40の幅方向両端よりも中央寄りの位置に連結されていてもよい。ここでは、扉40の折返し辺部分41のうち幅方向中央に、幅方向に沿った長孔41hが形成されており、扉側作用点部62bはネジ又はピンを介して当該長孔41hに沿った方向に移動可能に扉40に連結されている。扉側リンク部材62と扉40との連結状態が保たれた状態で、扉側リンク部材62の揺動に応じて、扉側作用点部62bが長孔41hに沿った方向に移動することができる。
【0041】
扉側作用点部62bが扉40の幅方向両端よりも中央寄りの位置に連結されることによって、扉40を移動させる力が扉40の幅方向においてバランスよく作用し、扉40が開閉し易い。例えば、扉40を幅方向に3等分又は5等分した場合において、扉側作用点部62bは扉40の中央分割領域に連結されるとよい。
【0042】
扉側リンク部材において、扉側支点部が、扉側作用点部と扉側力点部との間にあることは必須ではない。例えば、扉側支点部と扉作用点部との間に、扉側力点部が設けられてもよい。
【0043】
操作部側リンク部材66は、長尺形状、ここでは、細長い板形状に形成される。操作部側リンク部材66は、操作部側支点部66aと、操作部側作用点部66bと、操作部側力点部66cとを備える。本実施形態では、操作部側リンク部材66の一端部に操作部側作用点部66bが設けられ、操作部側リンク部材66の他端部に操作部側力点部66cが設けられ、それらの間に操作部側支点部66aが設けられる。なお、操作部側リンク部材66は、円板状に形成されてもよい。この場合、円板状の部材において、上記と同様の位置関係で、操作部側支点部、操作部側作用点部と操作部側力点部とが形成されてもよい。
【0044】
操作部側力点部66cは、操作部50に対する操作力が伝達される部分である。本実施形態では、第2中継リンク部材68を介して、操作部50に対する操作力が操作部側力点部66cに伝達される。より具体的には、第2中継リンク部材68は、長尺棒状部材である。第2中継リンク部材68の一端部(上端部)が曲げられて上記操作部側力点部66cに連結されている。第2中継リンク部材68の長手方向中間部が内部底パネル34を貫通している。第2中継リンク部材68の他端部(下端部)が曲げられて操作部50の垂直片部51の幅方向中間部に連結されている。そして、操作部50を踏んで押下げ操作すると、その操作力が第2中継リンク部材68を介して操作部側力点部66cに伝達され、当該操作部側力点部66cが下方に移動する。
【0045】
操作部側作用点部66bは、扉40を開閉する力を作用させるための部分である。本実施形態では、扉40を開閉する力は、第1中継リンク部材64に作用し、第1中継リンク部材64から扉側リンク部材62における扉側力点部62cに作用する。第1中継リンク部材64は、長尺形状、ここでは、細長い板形状に形成される。第1中継リンク部材64の一端部(下端部)は、操作部側作用点部66bにネジ、ピン等を介して揺動可能に連結される。第1中継リンク部材64の他端部(上端部)は、一端部よりも太幅に形成されている。第1中継リンク部材64の他端部は、前記一端部から上方に延び、扉側リンク部材62の扉側力点部62c及び扉側支点部62aに達する。第1中継リンク部材64の他端部に、開口64hが形成されている。第1中継リンク部材64の他端部は、パネル32と扉側リンク部材62との間に設けられており、扉側支点部62aを支持するためのピン又はネジは開口64h内に配置される。当該ピン又はネジが開口64h内を移動し得る範囲で、第1中継リンク部材64は変位することができる。第1中継リンク部材64の他端部は、扉側力点部62cにネジ又はピンを介して揺動可能に連結される。そして、操作部側リンク部材66の揺動によって操作部側作用点部66bが上下に変位すると、その上下変位が第1中継リンク部材64を介して、扉側リンク部材62における扉側力点部62cに伝達され、これにより、扉側力点部62cが上下変位する。
【0046】
操作部側支点部66aは、パネル32のうち収容空間S側の面に、ピン又はネジ等を介して揺動可能に支持されている。本実施形態では、操作部側支点部66aは、操作部側力点部66cと操作部側支点部66aとの中央に位置している。操作部側支点部66aは、操作部側力点部66c又は操作部側支点部66aに対して近い位置に設けられてもよい。
【0047】
操作部側支点部66aに対して、操作部側作用点部66bは、扉40の移動方向延長から外れた位置、即ち、パネル32の内面のうち一側部寄りの位置に設けられる。操作部側力点部66cは、操作部側作用点部66bよりも扉40の幅方向中央寄りの位置(例えば、操作部50の幅方向を3分割又は5分割した場合の中央領域)に設けられる。よって、パネル32の幅方向中央に設けられた操作部50に操作力を加えると、その操作力は操作部側リンク部材66を介してパネル32の幅方向の一側寄りの領域に伝達される。このため、操作部50を扉40の幅方向中央寄りに配設しつつ、扉40の移動の邪魔にならない位置で、第1中継リンク部材64等を介して扉40を移動させる力を伝達させることができる。
【0048】
上記第1中継リンク部材64及び第2中継リンク部材68は、操作部50と扉40との間における力の伝達経路に介在し、操作部50に対する操作力を扉40に伝達する中継リンク部材の例である。かかる中継リンク部材が存在することによって、操作部50と扉40との距離を離すことができる。中継リンク部材は、操作部50と扉40とを結ぶ直線に対して並行状に配設される部材であってもよい。
【0049】
操作部50に操作力が加えられない状態で、扉40に対して閉位置に位置させる力が作用していることが好ましい。例えば、開閉機構60は扉40を閉位置に付勢するばねを含んでもよい。より具体的には、操作部側リンク部材66の操作部側力点部66cと内部底パネル34との間に、伸したばね(コイルばね)69を設けてもよい。この場合、ばね69によって操作部側力点部66cが下側に付勢される。すると、第1中継リンク部材64が下方へ付勢されると共に、扉側リンク部材62の扉側力点部62cが下方へ付勢される。これにより、扉側リンク部材62が揺動して、扉側作用点部62bが上方へ移動して、扉40を上側の閉位置に向けて付勢した状態とすることができる。この状態で、操作部50を踏んで下向きに移動させると、その操作力が第2中継リンク部材68を介して操作部側力点部66cを下向きに移動させる力として作用する。すると、ばね69の付勢力に抗して、操作部側リンク部材66の操作部側作用点部66bが上向きに移動する。第1中継リンク部材64及び扉側リンク部材62が上記とは逆に移動して、扉40が下側の開位置に向けて移動する。
【0050】
扉40を閉位置に付勢するばねの設置箇所は上記例に限られない。扉40を直接閉位置に向けて付勢するように、扉40とパネル32との間にばねを設けてもよい。他の扉側リンク部材62、第1中継リンク部材64又は第2中継リンク部材68等とパネル32との間にばねを設けてもよいし、各リンク部材62、64、66、68の間にばねを設けてもよい。また、扉40を閉位置に向けて付勢する力が、ばねによって作用することは必須ではない。例えば、第2中継リンク部材68の自重によって扉40が閉位置に向けて付勢されてもよい。例えば、第2中継リンク部材68が、扉40の自重、操作部50の自重に抗して、扉40を開くことができる程度の重さを有していてもよい。
【0051】
以上のように構成された収容什器20又は収容什器用構造30によると、収容空間Sとその水平方向外側の空間とを仕切るパネル32に開口33が形成されると共に、当該開口33を開閉する扉が設けられる。このため、収容什器20の上方スペースを各種用途に活用し易い。例えば、収容什器20の天井パネル26の上面を、各種物を載置する載置面として利用したり、作業用のスペースとして活用したりすることができる。また、扉40は、操作部50に対する操作に応じて、パネル32の延在方向に沿って閉位置と開位置との間で移動する。このため、扉40の開閉動作が妨げられ難い。例えば、扉40が収容什器20内に開く構成であると、収容什器20内に収容された物によって、その開き動作が妨げられる可能性がある。これに対して、扉40がパネル32の延在方向に沿って移動すると、移動途中の扉40が収容什器20内の物に接触し難く、円滑に移動することができる。また、収容什器20内の物がゴミ等である場合において、当該ゴミ等が扉40を汚し難い。
【0052】
また、開閉機構60は、操作部50に対する操作力を、扉40を移動させる力として扉40に伝達する開閉伝達機構であるため、他の動力源がなくても、操作力によって扉40を移動させて開閉することができる。
【0053】
また、操作部50は、足踏み式ペダルであるため、当該操作部50を足で踏むことによって、手による操作無しで扉を簡単に開閉することができる。
【0054】
また、開閉機構60は、操作部50と扉40との間における力の伝達経路に介在する中継リンク部材68として、第1中継リンク部材64及び第2中継リンク部材68を含む。第1中継リンク部材64及び第2中継リンク部材68の少なくとも一方によって、操作部50と扉40とが離れていても、操作部50を扉40に伝達することができる。例えば、上記のように、床面近くに配置された足踏み式ペダルである操作部50に対する操作力を、当該操作部50よりも上方の扉40に伝達することができる。
【0055】
また、開閉機構60は、操作部側リンク部材66を含み、操作部側リンク部材66における操作部側作用点部66bが扉40の移動方向延長から離れた位置に設けられ、操作部側力点部66cは操作部側作用点部66bよりも扉40の幅方向中央寄りの位置に設けられる。このため、操作部50を扉40の幅方向中央寄りに配設しつつ、扉40の移動に邪魔になり難い位置で、操作部側リンク部材66によって扉40を開閉する力を作用させることができる。
【0056】
また、開閉機構60は、扉40の移動軌跡から離れた位置で操作部50からの力が伝達される扉側力点部62cを含む扉側リンク部材62を含む。このため扉40の移動軌跡から離れた位置で、扉側リンク部材62を支持し、かつ、操作部50からの力を扉側リンク部材62に伝達することができる。これにより、例えば、扉側力点部62cに連結される第2中継リンク部材68と、扉40とが緩衝し難くなる。
【0057】
また、扉側リンク部材62において、扉側支点部62aと扉側作用点部62bとの距離が、扉側力点部62cと扉側力点部62cとの距離よりも大きく設定されている。これにより、操作部50に対する小さい操作量で、扉40を大きく移動させることができる。
【0058】
また、扉側支点部62aは、扉40の移動方向において開口33よりも閉位置側で揺動可能に支持され、扉側作用点部62bは、扉40のうち閉位置寄りの位置に連結されている。このため、扉側リンク部材62を直線形状等の単純形状に形成しても、扉40が開いた状態で、扉側リンク部材62が開口33内に露出し難く、当該開口33を物の入口として有効に活用できる。
【0059】
また、扉側作用点部62bは、扉40の幅方向両端寄りも中央寄りの位置に連結されているため、扉40に対して左右バランスよく力を作用させて、当該扉40を円滑に移動させることができる。
【0060】
また、ばね69によって扉40を閉位置に保つことができる。この状態で、ばね69の付勢力に抗して操作部50を操作することによって扉40を開くことができる。さらに、操作部50を操作する力を解除すると、ばね69の付勢力によって扉40が閉じられる。このため、扉40を常時閉位置に保ちつつ、操作部50に操作力を加えている状態において、扉40を開くことができる。
【0061】
本実施形態において、収容空間S内に内側収容ボックス70が配置されてもよい(図2の二点鎖線参照)。内側収容ボックス70は、上方が開口する箱状に形成される。内側収容ボックス70の高さは、開口33の下縁の高さよりも下側に位置する。開口33を通じて収容空間S内に入れられる物は、内側収容ボックス70内に入る。内側収容ボックス70は、内側収容ボックス70から取外し可能に収容什器20内に配置されるとよい。
【0062】
この場合において、パネル32と内側収容ボックス70との距離Dは、50mm以下に設定されるとよい。この場合、開口33を通じて物が収容空間S内の内側収容ボックス70内に入れられた際に、物がパネル32と内側収容ボックス70との間に落ち難い。
【0063】
<変形例>
各種変形例について説明する。
【0064】
上記収容什器用構造30において、扉40が閉位置に移動する際に、開口33内に位置する物に対する扉40の衝撃を和らげる緩衝機構が設けられてもよい。
【0065】
図5に示す第1変形例では、緩衝機構として、収容什器用構造30にダンパ機構110が設けられる。ダンパ機構110は、扉40が開位置から閉位置に移動する途中で、扉40の速度を低下させる。ダンパ機構110としては、例えば、扉ガイド部材46によって形成されるガイド溝のうち開位置側の領域Eに、摩擦部材110aを設けた構成が採用されてもよい。摩擦部材110aは、扉40に対する摩擦力を、扉ガイド部材46に対する扉40の摩擦力よりも高めることができる材料、例えば、ゴム、樹脂等によって形成されてもよい。ダンパ機構としては、その他、オイルダンパ等が用いられてもよい。
【0066】
図6に示す第2変形例では、扉40に対応する扉120が、閉位置にて開口33の一部(例えば、上下方向中央から下方の領域)を覆っている。開口33のうち扉120によって閉じられない残りの領域(例えば、上方領域)に補助扉122が設けられている。補助扉122は、緩衝機構として、パネル32の開口33の上縁部にヒンジ123を介して開閉可能に支持されている。補助扉122は、ヒンジ123周りに収容什器20内に開くことができる。本例では、扉120が閉位置に移動する際に、開口33内に物が位置すると、扉120によって物が補助扉122側に押される。そして、押された物は、補助扉122を開いて上方に移動することができる。このため、開口33内に位置する物に対する120による衝撃を和らげることができる。
【0067】
図7に示す第3変形例では、図6と同様に、開口33の一部が扉120によって覆われている。開口33のうち扉120によって閉じられない残りの領域(例えば、上方領域)に補助扉126が設けられている。補助扉126は、緩衝機構として、ガイドレール等を介して開口33前記残りの領域を閉じる位置と当該残りの領域を開く位置との間で移動可能に支持されている。補助扉126は、前記残りの領域を閉じる閉位置から上方の開位置に移動することができる。本例では、扉120が閉位置に移動する際に、開口33内に物が位置すると、扉120によって物が補助扉126側に押される。そして、押された物は、補助扉126を上方に開きつつ同じく上方に移動することができる。このため、開口33内に位置する物に対する扉40による衝撃を和らげることができる。
【0068】
図8に示す第4変形例では、扉40に対応する扉130の上側の部分が収容什器20内の内側に向けて上方に向うように曲げられて傾斜している。この曲げ傾斜部分131が、緩衝機構を構成する。この変形例によると、扉130が閉位置に移動する際に、開口33内に物が位置しても、当該物は、曲げ傾斜部分131の外向き面に接触して外側に押退けられる。このため、当該物が、扉130の上縁部と開口33の上縁部との間に挟込まれ難い。このため、開口33内に位置する物に対する扉130による衝撃を和らげることができる。
【0069】
本例において、収容空間S内からの臭気対策として、扉130が閉位置に位置する状態で、天井パネル26から曲げ傾斜部分131に向って延びる補助カバー134が設けられてもよい。補助カバー134は、曲げ傾斜部分131に対して外向き面から重なるように設けられてもよい。
【0070】
図9及び図10に示す第5変形例では、緩衝機構として、扉40に対応する扉140が扉ガイド部材46に対して収容空間S側に向けて弾性的に変位可能な構成が採用される。例えば、扉ガイド部材46を移動する可動体148に対してコイルばね149等を介して扉140が支持されている。コイルばね149は扉140の厚み方向において伸縮可能に可動体148と扉140の側部との間に介在配置される。通常状態では、扉140は、コイルばね149によって可動体148に近い位置に支持されている。扉140を収容空間S側に移動させる力が作用すると、コイルばね149の付勢力に抗して扉140が扉ガイド部材46に対して収容空間S側に移動することができる。扉140を収容空間S側に移動させる力が解除されると、コイルばね149の付勢力によって、扉140は扉ガイド部材46側に移動する。
【0071】
本例によると、扉140が閉位置に移動する際に、開口33内に物が位置しても、扉140が当該物に接触して、収容空間S側に逃げるように移動ことができる。このため、当該物が、扉140の上縁部と開口33の上縁部との間に挟込まれ難い。このため、開口33内に位置する物に対する扉140による衝撃を和らげることができる。
【0072】
図11に示す第6変形例では、扉40に対応する扉150のうち上縁部の幅方向中間部に緩衝機構として凹み152が形成されている。このため、扉150が閉位置に位置する状態で、扉150の上縁部の幅方向中央部分と開口33の上縁部との間に、凹み152による隙間が設けられる。本例によると、扉150が閉位置に移動する際に、開口33内に物が位置しても、当該物は、扉150の上縁部の幅方向中央部分と開口33の上縁部との間に逃げることができる。このため、開口33内に位置する物に対する扉150による衝撃を和らげることができる。
【0073】
図12に示す第7変形例では、扉40に対応する扉160のうち上縁部に緩衝機構として柔軟部材162が設けられる。柔軟部材162は、扉160の本体部分を構成する材料(例えば、金属等)よりも柔軟な部材であり、例えば、薄い樹脂部分、ゴム等で形成される。本例によると、扉160が閉位置に移動する際に、開口33内に物が位置しても、当該物は、扉160の上縁部の柔軟部材162に接触する。柔軟部材162によって、開口33内に位置する物に対する扉160による衝撃を和らげることができる。
【0074】
このような緩衝機構によって、開口33に位置する物に扉40等が衝突してもその衝撃が和らげられる。
【0075】
その他、扉40を軽量化することによって、物に対する衝撃を和らげることができる。
【0076】
操作部50の操作力を扉40に伝達する開閉機構60の構成は、上記例に限られず、種々の変形が可能である。
【0077】
例えば、図13に示すように、扉40の両外側に、扉側リンク部材62に対応する扉側リンク部材62が設けられてもよい。
【0078】
扉側リンク部材262は、直線状に長い部材でなくてもよい。本例のように、扉側リンク部材262は、二箇所の中間部で互いに逆方向に向うように曲るZ字状の部材であってもよい。この扉側リンク部材262の一端部の扉側支点部262aは、扉40の外側でパネル32に揺動可能に支持されており、他端部の扉側作用点部262bは、扉40の上側部分にピン又はネジ等を介して揺動可能かつその長手方向に移動可能に連結されている。また、扉側リンク部材262の延在方向中間部の扉側力点部262cは、操作部50に連結された中継リンク部材268に連結されている。さらに、扉側リンク部材262の延在方向中間部は、コイルばね等のばね266によってパネル32の上方部分に付勢されている。
【0079】
この例によると、操作部50に対する操作力が中継リンク部材268を介して扉側リンク部材262に伝達される。すると、ばね266の付勢力に抗して扉側力点部262cが引下げられ、扉側リンク部材262が扉側支点部262aを中心として揺動する(図13において二点鎖線で示す扉側リンク部材262参照)。これにより、扉側作用点部262bが下方に移動し、扉40が閉位置から開位置に向けて移動する。この状態で、扉側リンク部材262が開口33内に露出しないように上記のように曲った形状とされている。換言すれば、扉40が開いた状態で、扉側リンク部材262は、開口33の縁部に沿うように曲る形状に形成されている。このため、開口33が扉側リンク部材262によって妨げられず大きく開いた状態に保たれる。
【0080】
操作部50に対する操作力が解除されると、ばね266の付勢力によって扉側リンク部材262が元の姿勢となるように揺動し、扉40が閉位置に向けて移動する。
【0081】
また、上記実施形態及び変形例では、扉40が上下方向にスライド移動して開口33を開閉する例が示された。しかしながら、扉は、左右方向又は斜め方向にスライド移動して開口33を開閉してもよい。また、扉は、複数(例えば、2つ)に分割されていてもよい。この場合、分割された扉が互いに離れる方向に移動して開口を開き、接近する方向に移動して開口33を閉じてもよい。
【0082】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0083】
本明細書及び図面は下記各態様を開示する。
【0084】
第1の態様は、内部に物を収容するための収容空間を形成される収容什器において、前記収容空間の周囲の少なくとも一部を覆う収容什器用構造であって、設置状態において前記収容空間と前記収容空間に対して水平方向外側の空間とを仕切り、前記外側の空間から前記収容空間内に物を入れるための開口が形成されたパネルと、前記開口を閉じる閉位置と、前記閉位置から前記パネルの延在方向である上下方向及び/又は左右方向に沿って移動して前記開口の少なくとも一部を開いた開位置との間で移動可能に支持される扉と、前記扉の位置切り替えに関する操作を受ける操作部と、前記操作部に対する操作に応じて、前記扉を前記閉位置と前記開位置との間で移動させる開閉機構と、を備える収容什器用構造である。
【0085】
この収容什器用側面パネルによると、収容空間とその水平方向外側の空間とを仕切るパネルに、開口及び扉が設けられるため、収容什器の上方スペースを各種用途に活用し易い。また、扉は、操作部に対する操作に応じて、パネルの延在方向に沿って閉位置と開位置との間で移動するため、扉の開閉動作が妨げられ難い。
【0086】
第2の態様は、第1の態様に係る収容什器用構造であって、前記開閉機構は、前記操作部に対する操作力を、前記扉を移動させる力として前記扉に伝達する開閉伝達機構とされているものである。これにより、操作力によって扉を移動させて開閉することができる。
【0087】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る収容什器用構造であって、前記操作部は、前記扉よりも下側に位置に設けられ、人の足で踏むことにより操作力を付与される足踏み式ペダルとされているものである。これにより、操作部を足で踏むことによって、扉を開閉することができる。
【0088】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係る収容什器用構造であって、前記開閉機構は、前記操作部と前記扉との間における力の伝達経路に介在し、前記操作部に対する操作力を前記扉に伝達する中継リンク部材を含むものである。これにより、操作部と扉とが離れていても、操作力を扉に伝達できる。
【0089】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る収容什器用構造であって、前記開閉機構は、前記操作部に対する操作力が伝達される操作部側力点部と、前記扉を開閉する力を作用させるための操作部側作用点部と、前記パネルに揺動可能に支持された操作部側支点部とを含む操作部側リンク部材を含み、前記操作部側作用点部が前記扉の移動方向延長から外れた位置に設けられ、前記操作部側力点部が前記操作部側作用点部よりも前記扉の幅方向中央寄りの位置に設けられているものである。これにより、操作部を扉の幅方向中央寄りに配設しつつ、扉の移動の邪魔にならない位置で、操作部リンク部材によって扉を開閉する力を作用させることができる。
【0090】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る収容什器用構造であって、前記開閉機構は、前記扉の移動軌跡から離れた位置でパネルに揺動可能に支持された扉側支点部と、前記扉に連結された扉側作用点部と、前記扉の移動軌跡から離れた位置で前記操作部側からの力が伝達される扉側力点部とを含む扉側リンク部材を含むものである。これにより、前記扉の移動軌跡から離れた位置で、扉側リンク部材を支持し、かつ、操作部からの力を扉側リンク部材に伝達することができる。
【0091】
第7の態様は、第6の態様に係る収容什器用構造であって、前記扉側支点部と前記扉側作用点部との間の距離が、前記扉側支点部と前記扉側力点部との距離よりも大きいものである。これにより、操作部に対する小さい操作量で、扉を大きく移動させることができる。
【0092】
第8の態様は、第6又は第7の態様に係る収容什器用構造であって、前記扉側支点部は、前記扉の移動方向において前記開口よりも前記閉位置側で揺動可能に支持され、前記扉側作用点部は、前記扉のうち前記閉位置寄りの位置に連結されているものである。これにより、扉側リンク部材を、直線形状等の単純形状に形成しても、扉が開いた状態で、扉側リンク部材が開口内に露出し難い。
【0093】
第9の態様は、第6から第8のいずれか1つの態様に係る収容什器用構造であって、前記扉側作用点部は、前記扉の幅方向両端寄りも中央寄りの位置に連結されているものである。これにより、扉を左右バランスよく移動させることができる。
【0094】
第10の態様は、第1から第9のいずれか1つの態様に係る収容什器用構造であって、前記開閉機構は、前記扉を前記閉位置側に付勢するばねを含むものである。これにより、ばねの付勢力に抗して操作部を操作することによって扉を開くことができる。操作部を操作する力を解除すると、ばねの付勢力によって扉が閉じられる。
【0095】
第11の態様は、第1から第10のいずれか1つの態様に係る収容什器用構造であって、前記扉が閉位置に移動する際に、前記開口内に位置する物に対する前記扉の衝突衝撃を和らげる緩衝機構をさらに備える。これにより、開口内に位置する物への扉が衝突しても、その衝撃が和らげられる。
【0096】
第12の態様は、第1から第11のいずれか1つの態様に係る収容什器用構造であって、前記パネルは、前記収容空間側に配置され上方が開口する内側収容ボックスとの距離が50mm以下とされているものである。これにより、開口を通じて物が収容空間内の内側収容ボックス内に入れられた際に、物がパネルと内側収容ボックスとの間に落ち難い。
【0097】
第13の態様は、第1から第12のいずれか1つの態様に係る収容什器用構造と、前記収容什器用構造と共に前記収容空間の周囲を囲う周壁部と、前記収容空間の上方空間を覆う天井パネルと、を備える収容什器である。
【0098】
この収容什器によると、収容空間とその水平方向外側の空間とを仕切るパネルに、開口及び扉が設けられるため、収容什器の上方スペースを各種用途に活用し易い。また、扉は、操作部に対する操作に応じて、パネルの延在方向に沿って閉位置と開位置との間で移動するため、扉の開閉動作が妨げられ難い。
【0099】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0100】
20 収容什器
22 周壁部
26 天井パネル
30 収容什器用構造
32 パネル
33 開口
40 扉
46 扉ガイド部材
50 操作部
60 開閉機構
62、262 扉側リンク部材
62a、262a 扉側支点部
62b、262b 扉側作用点部
62c、262c 扉側力点部
64 第1中継リンク部材
66 操作部側リンク部材
66a 操作部側支点部
66b 操作部側作用点部
66c 操作部側力点部
68 第2中継リンク部材
69、266 ばね
110 ダンパ機構
110a 摩擦部材
122、126 補助扉
131 曲げ傾斜部分
140 扉
148 可動体
149 コイルばね
152 凹み
162 柔軟部材
268 中継リンク部材
S 収容空間
図1
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図13