(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091033
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】置炉専用置き畳、及び、置炉専用置き畳セット
(51)【国際特許分類】
E04F 15/02 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
E04F15/02 102M
E04F15/02 102F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203707
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】522138881
【氏名又は名称】株式会社もとやま畳店
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(72)【発明者】
【氏名】本山 浩史
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA57
2E220AD03
2E220AD08
2E220AD10
(57)【要約】
【課題】茶室でなくとも茶室と同様の点前をすることができる。
【解決手段】建物の床面に取り外し可能に設置されるものであって、角隅部に置き炉200を収容する収容部2Mが形成されており、収容部2Mは、置き炉200を収容することによって、置き炉200の上面200aが畳表2aと略同一面上となるように形成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の床面に取り外し可能に設置されるものであって、
角隅部に置き炉を収容する収容部が形成されており、
前記収容部は、前記置き炉を収容することによって、前記置き炉の上面が畳表と略同一面上となるように形成されている、置炉専用置き畳。
【請求項2】
前記置き炉の高さ寸法を略同一の厚みを有しており、
平面視において、前記置き炉の形状に対応して切り欠かれることよって、前記収容部が形成されている、請求項1に記載の置炉専用置き畳。
【請求項3】
建物の床面に取り外し可能に設置される置炉専用置き畳セットであって、
角隅部に置き炉を収容する収容部が形成された炉畳と、
点前をする畳である点前畳とを有し、
前記収容部は、前記置き炉を収容することによって、前記置き炉の上面が畳表と略同一面上となるように形成されている、置炉専用置き畳セット。
【請求項4】
客が座る畳である客畳をさらに有する、請求項3に記載の置炉専用置き畳セット。
【請求項5】
半畳から構成されている、請求項3又は4に記載の置炉専用置き畳セット。
【請求項6】
前記点前畳の幅寸法よりも前記炉畳の幅寸法が小さい、請求項3乃至5の何れか一項に記載の置炉専用置き畳セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置炉専用置き畳、及び、置炉専用置き畳セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すように、建物のフローリングなどの床面に取り外し可能に設置される置き畳が考えられている。この置き畳を用いることによって、フローリングなどの部屋を和室風にすることができる。
【0003】
このため、置き畳を設置した状態において茶道の点前が行なわれている。具体的には、置き畳の上に置き炉を設置し、当該置き炉で湯を沸かしつつ、点前が行なわれている。
【0004】
しかしながら、茶室では、点前畳の前にある炉畳に炉が埋め込まれており、炉の季節(11月~4月)では炉畳に埋め込まれた炉を用いて点前が行なわれている。そうすると、上記のように置き畳の上に置き炉を設置した状態で点前を行っても、炉の季節の点前とは勝手が異なってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで本発明は、上記の問題点を解決すべくなされたものであり、茶室でなくとも茶室と同様の点前をすることができることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る置炉専用置き畳は、建物の床面に取り外し可能に設置されるものであって、角隅部に置き炉を収容する収容部が形成されており、前記収容部は、前記置き炉を収容することによって、前記置き炉の上面が畳表と略同一面上となるように形成されていることを特徴とする。
【0008】
このような置炉専用置き畳であれば、角隅部に置き炉を収容する収容部が形成されており、当該収容部に置き炉を収容することによって、置き炉の上面と畳表とが略同一面上となるので、茶室と同様に置き炉が埋め込まれた状態となる。その結果、茶室でなくとも茶室と同様の点前をすることができる。
【0009】
置炉専用置き畳の具体的な実施の態様としては、前記置き炉の高さ寸法を略同一の厚みを有しており、平面視において、前記置き炉の形状に対応して切り欠かれることよって、前記収容部が形成されていることが考えられる。
【0010】
また、本発明に係る置炉専用置き畳セットは、建物の床面に取り外し可能に設置される置炉専用置き畳セットであって、角隅部に置き炉を収容する収容部が形成された炉畳と、点前をする畳である点前畳とを有し、前記収容部は、前記置き炉を収容することによって、前記置き炉の上面が畳表と略同一面上となるように形成されていることを特徴とする。
【0011】
置炉専用置き畳セットの具体的な実施の態様としては、客が座る畳である客畳をさらに有することが考えられる。
【0012】
置炉専用置き畳セット又は置炉専用置き畳の運搬を容易にするためには、半畳から構成されていることが望ましい。
【0013】
置炉専用置き畳は、京畳のサイズを基本とすることが考えられる。この場合、江戸間6畳のフローリングに対して例えば京畳6畳を敷くことができない。このため、前記点前畳の幅寸法よりも前記炉畳の幅寸法が小さいことが望ましい。この構成であれば、点前畳と客畳を京間サイズにすることができ、茶室における点前と同様に点前を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上に述べた本発明によれば、茶室でなくとも茶室と同様の点前をすることができる
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る置炉専用置き畳セットを設置した状態を示す斜視図である。
【
図2】同実施形態の置炉専用置き畳セットの平面図である。
【
図3】同実施形態の炉畳と置き炉との関係を示す斜視図である。
【
図4】同実施形態の置炉専用置き畳セットの収納状態を示す斜視図である。
【
図5】変形実施形態の置炉専用置き畳セットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態に係る置炉専用置き畳セットについて、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の置炉専用置き畳セット100は、建物の床面に取り外し可能に設置されるものであり、例えばマンションのフローリングに設置されるものである。そして、置炉専用置き畳セット100は、茶室に行くことなく、自宅等で茶道の点前を行うためのものである。
【0018】
具体的に置炉専用置き畳セット100は、
図1及び
図2に示すように、江戸間6畳の和室及び江戸間6畳のフローリングスペースに対応した京間6畳の茶室を形成するものであり、置き炉200が設けられる置き畳である炉畳2と、点前をする置き畳である点前畳3と、客が座る置き畳である客畳4とを有している。その他、置炉専用置き畳セット100は、貴人畳5及び踏込畳6を有している。本実施形態の各畳2~6は、半畳のものであり、これにより、運搬や取り扱いを容易にしている。
【0019】
そして、炉畳2は、角隅部に置き炉を収容する収容部2Mが形成されている。この収容部2Mは、置き炉200を収容することによって、
図3に示すように、置き炉200の上面200aが畳表2aと略同一面上となるように形成されている。本実施形態の炉畳2は、置き炉200の高さ寸法を略同一の厚みを有しており、平面視において、置き炉200の形状(具体的には矩形状)に対応してL字状に切り欠かれることよって、収容部2Mが形成されている。なお、その他の畳3~6も、炉畳2と同様に、置き炉200の高さ寸法を略同一の厚みを有している。
【0020】
また、本実施形態の置炉専用置き畳セット100は、点前畳3の幅寸法よりも炉畳2の幅寸法が小さくなるように構成されている。具体的には、点前畳3の幅寸法は955mmであり、炉畳2の幅寸法は697mmである。なお、炉畳2の幅寸法は697mmに限られない。ここで炉畳2の幅寸歩は、江戸間に対応させて考えると730mmとなるが、床面への取り付け・取り外しを夜にするために、若干幅寸歩を小さくしている。その他、
図2において炉畳2の上下に位置する客畳4を構成する半畳及び貴人畳5の半畳も同様に、炉畳2の幅寸法に対応して697mmとしてある。なお、各畳(特に客畳4や貴人畳5)の縁の向きは、
図2のものとは異なっていても良い。この置炉専用置き畳セット100は、使用後においては、
図4に示すように、積み重ねて収納することができる。
【0021】
このように構成した本実施形態の置炉専用置き畳セット100によれば、角隅部に置き炉200を収容する収容部2Mが形成されており、当該収容部2Mに置き炉200を収容することによって、置き炉200の上面と畳表とが略同一面上となるので、車室用置き畳セットにおいても茶室と同様に置き炉200が埋め込まれた状態となる。その結果、茶室でなくとも茶室と同様の点前をすることができる。
【0022】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記実施形態では京間6畳の茶室を形成するための置炉専用置き畳セットであったが、京間4畳半の茶室を形成するものであっても良いし、京間3畳の茶室を形成するものであっても良い。
【0023】
また、点前のみを行うためのものであれば、炉畳及び点前畳のみを有する置炉専用置き畳セットとしても良い。
【0024】
さらに、前記実施形態では、各畳が半畳から構成されるものであったが、1畳から構成されるものであっても良い。
【0025】
その上、前記実施形態では、炉畳2を用いたものであったが、
図5に示すように、炉畳2の替わりに、点前畳3と客畳4との間に中板7を配置する構成とし、当該中板7に置き炉200を収容する収容部を形成した構成としても良い。
【0026】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて様々な実施形態の変形や組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0027】
100・・・置炉専用置き畳セット
200・・・置き炉
200a・・・置き炉の上面
2・・・炉畳
2M・・・収容部
2a・・・畳表
3・・・点前畳
4・・・客畳