(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009107
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】二重管構造及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
F02M 21/02 20060101AFI20220106BHJP
F16L 9/18 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
F02M21/02 X
F16L9/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021168289
(22)【出願日】2021-10-13
(62)【分割の表示】P 2019080784の分割
【原出願日】2019-04-22
(71)【出願人】
【識別番号】519147522
【氏名又は名称】中西商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(72)【発明者】
【氏名】福田 幸作
【テーマコード(参考)】
3H111
【Fターム(参考)】
3H111AA01
3H111BA03
3H111CA13
3H111CA16
3H111CB03
3H111CB14
3H111DA14
3H111DB11
3H111EA16
(57)【要約】
【課題】密封性を向上させることができ、容易に形成することができるようにする。
【解決手段】内管43と、内管43を包囲して形成された外管44と、内管43の長手方向における所定の箇所に溶接によって取り付けられ、外管44を支持するサポートとを有する。サポートは、筒状部、及び該筒状部の円周方向における所定の箇所に径方向外方に向けて突出させて形成された突起部を備える。外管44におけるサポートによって支持される部分は、所定の支持外管を、突起部の先端縁を挟持するように溶接によってサポートに取り付けることによって形成される。外管44を内管43に対して安定させて配設することができ、外管44の密封性を向上させることができ、二重管構造を容易に形成することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内管と、
(b)該内管を包囲して形成された外管と、
(c)内管の長手方向における所定の箇所に溶接によって取り付けられ、外管を支持するサポートとを有するとともに、
(d)該サポートは、筒状部、及び該筒状部の円周方向における所定の箇所に径方向外方に向けて突出させて形成された突起部を備え、
(e)前記外管における前記サポートによって支持される部分は、所定の支持外管を、前記突起部の先端縁を挟持するように溶接によってサポートに取り付けることにより形成されることを特徴とする二重管構造。
【請求項2】
前記突起部は内管の長手方向に延在させて形成される請求項1に記載の二重管構造。
【請求項3】
(a)前記突起部は、前記筒状部の円周方向における2箇所に形成され、
(b)前記支持外管は一対の半割支持外管から成る請求項1又は2に記載の二重管構造。
【請求項4】
前記半割支持外管の両縁に、前記突起部の先端縁を挟持するための溝が形成される請求項1~3のいずれか1項に記載の二重管構造。
【請求項5】
(a)内管の長手方向における所定の箇所に、筒状部、及び該筒状部の円周方向における所定の箇所に径方向外方に向けて突出させて形成された突起部を備えたサポートを溶接によって取り付け、
(b)所定の支持外管を、前記突起部の先端縁を挟持するように溶接によってサポートに取り付けることによって外管を形成することを特徴とする二重管構造の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重管構造及びその形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液化天然ガス(LNG)を燃料ガスとし、ガスエンジンを駆動して就航する船舶においては、IGCコード、IGFコード等に、ガスエンジンが収容されるエンジンルームをガスセーフマシナリースペース(Gas safe machinery space)とする規定があり、該規定に従って設計されたエンジンルームにおいては、燃料ガスが漏れたときを考慮して、燃料ガスが流れる配管である燃料ライン、燃料ガスに接する機器等が、別の構造体によって包囲されることによって二重管構造にされ、しかも、二重管構造の内部が常時換気されるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の二重管構造においては、二重管構造を構成する、例えば、内管、外管、フランジ等が溶接によって接合される際に、溶接時に発生する熱によって内管、外管、フランジ等に歪みが生じることがないようにする必要がある。
【0005】
図2は従来の二重管構造を構成するフランジの要部断面図である。
【0006】
図において、11はフランジ、13は内管、14は該内管13を包囲して配設された外管、u1は内管13、外管14及びフランジ11から成るフランジ構造部である。前記内管13内に燃料ガス流路Rt1が形成され、内管13と外管14との間に環状の換気用の空気流路Rt2が形成される。
【0007】
前記フランジ11は、図示されない他のフランジと連結される連結面Sa、及び該連結面Saと反対側の内管13及び外管14と接合される接合面Sbを備えた環状体から成り、内管13内の燃料ガス流路Rt1と連通させて形成された燃料ガス孔h1、該燃料ガス孔h1より径方向外方において前記空気流路Rt2と連通させて形成された空気孔h2、及び該空気孔h2より径方向外方に形成された連結孔h3を備える。前記フランジ11は、連結孔h3に通されたボルト等によって前記他のフランジと連結される。
【0008】
前記内管13は、本体部16、及び該本体部16とフランジ11とを連結する拡開部17を備え、前記外管14は、本体部18、及び該本体部18とフランジ11とを連結する拡開部19を備える。
【0009】
前記内管13及び外管14とフランジ11とを溶接によって接合するには、まず、内管13の拡開部17の先端をフランジ11の接合面Sb側から燃料ガス孔h1内に挿入し、拡開部17の先端と燃料ガス孔h1の内周面とを接合部p1において、また、拡開部17の外周面とフランジ11とを接合部p2において、溶接することによって接合する。続いて、外管14をフランジ11に突き当て、拡開部19の先端と接合面Sbとを接合部p3において、溶接することによって接合する。
【0010】
フランジ11は、偏平な環状体から成り、燃料ガス孔h1だけでなく、複数の空気孔h2及び複数の連結孔h3が形成されているので、強度が低いだけでなく、内管13及び外管14と連結面Saの近傍の各接合部p1~p3において接合されるので、溶接時に発生する熱によって歪みが生じると、二重管構造の密封性が低下してしまう。
【0011】
したがって、熟練した溶接工が短時間で溶接する必要があり、二重管構造を容易に形成することができない。
【0012】
本発明は、前記従来の二重管構造の問題点を解決して、密封性を向上させることができ、容易に形成することができる二重管構造及びその形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そのために、本発明の二重管構造は、内管と、該内管を包囲して形成された外管と、内管の長手方向における所定の箇所に溶接によって取り付けられ、外管を支持するサポートとを有する。
【0014】
そして、該サポートは、筒状部、及び該筒状部の円周方向における所定の箇所に径方向外方に向けて突出させて形成された突起部を備える。
【0015】
また、前記外管における前記サポートによって支持される部分は、所定の支持外管を、前記突起部の先端縁を挟持するように溶接によってサポートに取り付けることにより形成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、二重管構造は、内管と、該内管を包囲して形成された外管と、内管の長手方向における所定の箇所に溶接によって取り付けられ、外管を支持するサポートとを有する。
【0017】
そして、該サポートは、筒状部、及び該筒状部の円周方向における所定の箇所に径方向外方に向けて突出させて形成された突起部を備える。
【0018】
また、前記外管における前記サポートによって支持される部分は、所定の支持外管を、前記突起部の先端縁を挟持するように溶接によってサポートに取り付けることにより形成される。
【0019】
この場合、前記サポートは、筒状部、及び該筒状部の円周方向における所定の箇所に径方向外方に向けて突出させて形成された突起部を備え、前記外管における前記サポートによって支持される部分は、所定の支持外管を、前記突起部の先端縁を挟持するように溶接によってサポートに取り付けることによって形成されるので、外管を内管に対して安定させて配設することができる。
【0020】
また、外管の密封性を向上させることができ、二重管構造を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施の形態におけるフランジ構造部の要部断面図である。
【
図2】従来の二重管構造を構成するフランジの要部断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態における二重管構造を備えた船舶の要部概念図である。
【
図4】本発明の実施の形態における二重管構造の斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第1の図である。
【
図6】本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第2の図である。
【
図7】本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第3の図である。
【
図8】本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第4の図である。
【
図9】本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第5の図である。
【
図10】本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第6の図である。
【
図11】本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第7の図である。
【
図12】本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第8の図である。
【
図13】本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第9の図である。
【
図14】本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第10の図である。
【
図15】本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第11の図である。
【
図16】本発明の実施の形態におけるフランジの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、ガスエンジンが収容されるエンジンルームにおける二重管構造及びその形成方法について説明する。
【0023】
図3は本発明の実施の形態における二重管構造を備えた船舶の要部概念図である。
【0024】
図において、Aruは、船舶の所定の箇所にIGFコードの規定に従って形成された機関区域であり、該機関区域Aruは、第1の区域としてのガス安全機関区域Ar1、及び第2の区域としてのESD(緊急遮断装置)保護機関区域Ar2から成る。そして、前記ガス安全機関区域Ar1は、ガスエンジン22が配設されてエンジンルームとして使用される。ESD保護機関区域Ar2には、バンカユニット25、タンク26、熱交換器28、換気装置としてのブロア31等が配設される。
【0025】
また、機関区域Aru外に空気取込口33、空気排出口34及び開閉弁35が配設され、機関区域Aru内に、タンク26とガスエンジン22とを連結する燃料ラインL1、及び空気取込口33と空気排出口34とを連結する換気ラインL2、L3が配設され、前記ガス安全機関区域Ar1からESD保護機関区域Ar2にかけて、燃料ラインL1と換気ラインL3によって二重管構造Puが形成される。
【0026】
機関区域Aru外からバンカユニット25を介して船舶に供給された液化天然ガスは、タンク26に収容された後、ガスエンジン22を駆動するのに必要な量だけ熱交換器28に送られ、該熱交換器28において温水によって加熱されて気化させられ、所定の温度、例えば、40〔℃〕程度の燃料ガスにされる。
【0027】
燃料ガスは、燃料ガス用の配管である燃料ラインL1を流れてガスエンジン22に送られ、ガスエンジン22を駆動した後、図示されない排気ガスラインを介して船舶外に排出される。
【0028】
ところで、前記船舶においては、燃料ガスが燃料ラインL1外に漏れたときを考慮して、燃料ラインL1によって形成される第1の要素部材としての内管43を、別の構造体である第2の要素部材としての外管44によって包囲することにより前記二重管構造Puが形成され、機関区域Aru外から取り込まれた空気が、内管43と外管44との間に供給され、機関区域Aru外に排出されるようになっている。
【0029】
そのために、前記空気取込口33とガスエンジン22との間に、吸気用の換気ラインL2が配設され、ガスエンジン22と空気排出口34との間に、排気用の換気ラインL3が配設され、空気取込口33によって機関区域Aru外から取り込まれた空気は、換気ラインL2を流れてガスエンジン22に送られ、ガスエンジン22内で加熱された後、換気ラインL3によって形成される前記外管44と内管43との間を流れ、ガス安全機関区域Ar1からESD保護機関区域Ar2に送られた後、燃料ラインL1から分離させられ、換気ラインL3を流れ、ブロア31に送られ、空気排出口34から機関区域Aru外に放出される。
【0030】
したがって、前記換気ラインL2、L3内にブロア31によって負圧が形成されるので、仮に、燃料ガスが内管43から漏れても、燃料ガスは外管44外に出ることなく、ブロア31によって吸引されて機関区域Aru外に排出される。
【0031】
なお、図においては、便宜上、内管43と外管44とを隣接させて示している。
【0032】
次に、前記二重管構造Puについて説明する。
【0033】
図4は本発明の実施の形態における二重管構造の斜視図である。
【0034】
図において、Puは二重管構造であり、該二重管構造Puは、一端に第3の要素部材としてのフランジ51を備えたフランジ構造部Fa、所定の角度で曲折させられたエルボ構造部Fb、及び直線状に延在させられた直線構造部Fcから成る。
【0035】
また、43は内管、44は外管、55は、前記内管43の長手方向における所定の箇所に配設され、外管44を支持するサポート、Rt1は、前記内管43内に形成され、円形の断面形状を有する燃料ガス流路、Rt2は、内管43と外管44との間に形成され、環状の断面形状を有する空気流路である。前記フランジ51と内管43及び外管44とが溶接によって接合されることにより、二重管構造Puが形成される。
【0036】
前記外管44は、フランジ構造部Faにおいて内管43を包囲するフランジ構造部外管46、直線構造部Fcにおいて内管43を包囲する直線構造部外管47、エルボ構造部Fbにおいて内管43を包囲し、筒状の形状を有するエルボ66、エルボ構造部Fbにおいて前記サポート55を包囲し、筒状の形状を有する支持外管57、エルボ構造部Fbにおいて前記支持外管57と隣接させて配設され、内管43を包囲し、筒状の形状を有する合せ外管59等を有する。
【0037】
前記内管43、外管44及びサポート55は、いずれもステンレス鋼によって形成される。
【0038】
次に、二重管構造Puの形成方法について説明する。この場合、直線部分及び曲げ部分を備え、「L」字状の形状を有する二重管構造Puの形成方法について説明するが、任意の形状を有する二重管構造Puを形成することができる。
【0039】
図5は本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第1の図、
図6は本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第2の図、
図7は本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第3の図、
図8は本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第4の図、
図9は本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第5の図、
図10は本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第6の図、
図11は本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第7の図、
図12は本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第8の図、
図13は本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第9の図、
図14は本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第10の図、
図15は本発明の実施の形態における二重管構造の形成方法を説明するための第11の図である。
【0040】
まず、管部材を所定の長さに切断し、曲げ加工を施すことによって、
図5に示されるような直線部分qs及び所定の角度、本実施の形態においては、90〔°〕の角度に曲折させられた曲げ部分qbを備えた内管43が形成される。
【0041】
次に、
図6及び7に示されるように、内管43の長手方向における第1の箇所、本実施の形態においては、直線部分qsにおける曲げ部分qbと隣接する箇所に、サポート55が溶接によって取り付けられる。該サポート55は、内管43の外径よりわずかに大きい内径を有する筒状部61、及び該筒状部61の円周方向における複数の箇所、本実施の形態においては、2箇所に、それぞれ180〔°〕のピッチ角をおいて、径方向外方に向けて突出させて形成された突起部62を備え、該各突起部62が上下方向に向けて突出するように内管43に取り付けられる。なお、各サポート55は、内管43のエッジeg1、eg2において内管43に外嵌された後、直線部分qsを曲げ部分qb方向(矢印A方向)に摺動させて移動させられて前記第1の箇所に置かれる。
【0042】
続いて、
図8に示されるように、前記フランジ構造部外管46がエッジeg1において、前記直線構造部外管47がエッジeg2において、それぞれ内管43に外嵌され、直線部分qsを曲げ部分qb方向(矢印A方向)に摺動させて移動させられる。
【0043】
フランジ構造部外管46は、本体部48、及び該本体部48からエッジeg1側に向けて延在させられた拡開部49を備え、該拡開部49は本体部48に近いほど径が小さくされ、エッジeg1側の端部ε1に近づくほど径が大きくされる。また、直線構造部外管47は、前記本体部48と同じ径を有し、エッジeg2側の端部ε2の円周方向における所定の箇所、本実施の形態においては、2箇所に、それぞれ180〔°〕のピッチ角をおいて、溝m1が所定の長さにわたって形成される。
【0044】
次に、
図9に示されるように、内管43のエッジeg1に、フランジ51が溶接によって取り付けられ、内管43の直線部分qsにおける第2の箇所、本実施の形態においては、エッジeg2の近傍に、サポート55が溶接によって取り付けられる。この場合、該サポート55は、各突起部62が水平方向に向けて突出するように内管43に取り付けられる。
【0045】
続いて、前記フランジ構造部外管46がエッジeg1方向(矢印B方向)に、直線構造部外管47がエッジeg2方向(矢印B方向)に移動させられ、前記端部ε1がフランジ51に当接させられ、端部ε2がサポート55に当接させられ、溝m1にサポート55の突起部62が嵌入される。
【0046】
そして、
図10及び11に示されるように、フランジ51に、フランジ構造部外管46が溶接によって取り付けられてフランジ構造部Faが形成され、サポート55に、直線構造部外管47が溶接によって取り付けられて直線構造部Fcが形成される。
【0047】
これにより、フランジ構造部Faにおいて、フランジ構造部外管46はフランジ51によって片持ち梁式に支持され、直線構造部Fcにおいて、直線構造部外管47はサポート55によって片持ち梁式に支持され、フランジ構造部Fa及び直線構造部Fcにおいて、外管44と内管43との間に前記空気流路Rt2(
図4)が形成される。
【0048】
また、内管43の曲げ部分qbを包囲するように、半割エルボ64、65が溶接によって互いに接合され、
図11に示されるような前記エルボ66が形成される。なお、このとき、エルボ66は、内管43の曲げ部分qbに隣接させて配設された各サポート55には取り付けられず、内管43に対して移動自在にされる。
【0049】
続いて、一対の半割支持外管71、72が溶接によって互いに接合され、支持外管57が形成されるとともに、該支持外管57が各サポート55に、また、エルボ66の両端部ε4、ε5に、溶接によって取り付けられる。
【0050】
そのために、
図12に示されるように、各半割支持外管71、72は、半円形の形状を有し、両縁に、突起部62の板厚の半分程度の深さの溝m2が形成され、突起部62の径方向外方の端部に、各溝m2と対向させて先端縁vgが形成される。各半割支持外管71、72は、
図13に示されるように、溝m2内に突起部62の先端縁vgを挟持するように、サポート55及びエルボ66に取り付けられる。
【0051】
これにより、エルボ66及び支持外管57はサポート55によって支持され、エルボ66及び支持外管57と内管43との間に前記空気流路Rt2が形成される。
【0052】
続いて、
図15に示されるように、フランジ構造部外管46と支持外管57との間、及び直線構造部外管47と支持外管57との間に前記合せ外管59が挿入され、溶接によって取り付けられる。
【0053】
そのために、フランジ構造部外管46と支持外管57との間の距離Ls1、及び直線構造部外管47と支持外管57との間の距離Ls2が測定され、
図14に示されるように、距離Ls1に対応させて半割合せ外管81、82が、距離Ls2に対応させて半割合せ外管83、84が形成され、半割合せ外管81、82が互いに接合され、半割合せ外管83、84が互いに接合されて、各合せ外管59が形成される。
【0054】
この場合、半割合せ外管81、82の幅をWd1とし、半割合せ外管83、84の幅をWd2としたとき、距離Ls1及び幅Wd1は、
Ls1=Wd1
に、距離Ls2及び幅Wd2は、
Ls2=Wd2
にされる。
【0055】
したがって、二重管構造Puにおいて、フランジ構造部外管46及び支持外管57と合せ外管59との間、及び直線構造部外管47及び支持外管57と合せ外管59との間に隙間が形成されることがないので、燃料ガスが内管43から漏れても、外管44外に出ることはない。
【0056】
なお、半割支持外管71と半割支持外管72との接合部分と、半割合せ外管81、83と半割合せ外管82、84との接合部分とは、円周方向における異なる位置、本実施の形態においては、それぞれ90〔°〕ずらした位置に置かれる。したがって、溶接時に発生する熱によって支持外管57及び合せ外管59に歪みが生じるのを抑制することができる。
【0057】
このように、エルボ66と支持外管57とが、支持外管57と合せ外管59とが溶接によって取り付けられてエルボ構造部Fbが形成され、該エルボ構造部Fbにおいて、外管44と内管43との間に環状の空気流路Rt2が形成される。
【0058】
このようにして、フランジ構造部Fa、エルボ構造部Fb及び直線構造部Fcから成る二重管構造Puが形成される。
【0059】
次に、二重管構造Puにおける前記フランジ構造部Faの詳細について説明する。
【0060】
図1は本発明の実施の形態におけるフランジ構造部の要部断面図、
図16は本発明の実施の形態におけるフランジの底面図である。
【0061】
図において、43は内管、44は該内管43を包囲して配設された外管、51はフランジ、Faは、内管43、外管44及びフランジ51から成るフランジ構造部、46は、本体部48及び拡開部49から成るフランジ構造部外管である。内管43内に燃料ガス流路Rt1が形成され、内管43と外管44との間に空気流路Rt2が形成される。
【0062】
前記フランジ51は、環状体から成り、図示されない他のフランジと連結されるベース部91、該ベース部91と一体に形成され、外管44側に向けて突出させて形成された環状体から成り、外管44と接合される第1の突出部としての外管連結部92、及び該外管連結部92と一体に形成され、内管43側に向けて突出させて形成された環状体から成り、内管43と接合される第2の突出部としての内管連結部93を備える。
【0063】
前記ベース部91の外径をD1とし、厚さをW1とし、外管連結部92の外径をD2とし、厚さをW2とし、内管連結部93の厚さをW3としたとき、外径D1、D2は、
D1>D2
にされ、厚さW1、W2、W3は、
W1≒W2<W3
にされる。また、内管連結部93の外径は、外管連結部92の外径D2より小さく、かつ、内管43に近づくほど小さくされ、内管43と接合される部分において、内管43の外径と等しくされる。
【0064】
前記ベース部91における図示されない他のフランジと対向する側に、他のフランジと連結される連結面Saが形成され、該連結面Saの反対側に、フランジ51と他のフランジとを連結する際にボルト、ナット等の連結部材を当てるための連結部材当接面Scが形成される。また、前記外管連結部92における外管44と対向する側に外管対向面Sdが形成される。
【0065】
そして、燃料ガス孔h11が、前記ベース部91、外管連結部92及び内管連結部93を貫通させて、かつ、内管43内の燃料ガス流路Rt1と連通させて形成され、前記燃料ガス孔h11より径方向外方の円周方向における複数箇所に、空気孔h12が、前記ベース部91及び外管連結部92を貫通させて、かつ、空気流路Rt2と連通させて所定のピッチで形成され、前記空気孔h12より径方向外方の円周方向における複数箇所に、前記連結部材を通すための連結孔h13が、ベース部91を貫通させて所定のピッチで形成される。
【0066】
前記内管43及び外管44とフランジ51とを溶接によって接合するには、まず、内管43の先端を内管連結部93の先端に当接させ、内管43の先端と内管連結部93の先端とを第1の接合部p11において接合する。そして、外管44の先端を外管連結部92の外管対向面Sdにおける外周縁に当接させ、外管44の先端と外管連結部92の外管対向面Sdにおける外周縁とを、前記第1の接合部p11より径方向外方に設定された第2の接合部p12において接合する。
【0067】
この場合、フランジ51は、ベース部91、外管連結部92及び内管連結部93を備え、燃料ガス孔h11が、第1の接合部p11より径方向内方に、ベース部91、外管連結部92及び内管連結部93を貫通させて形成され、空気孔h12が、第1の接合部p11より径方向外方で、かつ、第2の接合部p12より径方向内方に、ベース部91及び外管連結部92を貫通して形成される。
【0068】
このように、本実施の形態においては、フランジ51が、連結面Saが形成されたベース部91、及び該ベース部91から内管43及び外管44側に向けて突出させて形成された外管連結部92及び内管連結部93を備え、内管43が、内管連結部93に設定された第1の接合部p11においてフランジ51と接合され、外管44が、外管連結部92の第1の接合部p11より径方向外方に設定された第2の接合部p12においてフランジ51と接合されるので、フランジ51の強度を高くすることができるだけでなく、内管43とフランジ51とが連結面Saから離れた箇所で接合され、外管44とフランジ51とが連結面Saから離れた箇所で接合される。
【0069】
したがって、溶接時に発生する熱によってフランジ51に歪みが生じることがないので、二重管構造Puの密封性を向上させることができる。
【0070】
そして、熟練した溶接工が短時間で溶接を行う必要がなく、二重管構造Puを容易に形成することができる。
【0071】
また、本実施の形態においては、サポート55(
図4)が、筒状部61、及び該筒状部61の円周方向における所定の箇所に径方向外方に向けて突出させて形成された突起部62を備え、一対の半割支持外管71、72が、前記突起部62の先端縁vgを挟持するように溶接によってサポート55に取り付けられ、支持外管57が形成されるので、外管44を内管43に対して安定させて配設することができる。
【0072】
しかも、内管43、外管44及びサポート55がいずれも同じ材料で形成されるので、溶接時に発生する熱によって内管43、外管44及びサポート55に歪みが生じることがなく、二重管構造Puの密封性を一層向上させることができる。
【0073】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0074】
43 内管
44 外管
55 サポート
57 支持外管
61 筒状部
62 突起部
Pu 二重管構造
vg 先端縁