(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091085
(43)【公開日】2022-06-20
(54)【発明の名称】トライアングル弱音装置
(51)【国際特許分類】
G10D 13/14 20200101AFI20220613BHJP
G10D 13/06 20200101ALI20220613BHJP
【FI】
G10D13/14
G10D13/06 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020215810
(22)【出願日】2020-12-08
(71)【出願人】
【識別番号】511213443
【氏名又は名称】有限会社ハーモテック
(72)【発明者】
【氏名】森藤 慎司
(57)【要約】
【課題】音楽演奏で使用する、金属の棒を三角形に曲げた形状の楽器(以下トライアングル)の演奏に於いて、通常の打撃音と、トライアングルの一部を指で押さえた状態でたたく小さな音との組み合わせで演奏するが、両手を使わなければ演奏をすることが出来ない。
【解決手段】足で操作するペダルによって、ペダルとワイヤーでつながった本体部分が有する2本のアームを動作させ、トライアングルの一部をはさみこむことにより、指でトライアングルの一部を押さえて弱音する場合と同様の弱音効果を発生させ、片手のみでの演奏を可能にする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽演奏で使用する、金属の棒を、三角形に曲げた形状の楽器(以下トライアングル)の演奏に於いて、足で操作するペダルを用いて、トライアングルを任意に機械的に挟むことにより、打撃音を小さくすることができる、トライアングル弱音装置。
【請求項2】
ワイヤーケーブルのインナーケーブルと係合されたトライアングルを弱音するための一対のアームと、アーム先端のトライアングルと接触する部分に取り付けられた緩衝材と、アーム部分を待機状態に付勢するためのバネと、ワイヤーケーブルのアウターケーブルの片端を保持するための固定部と、トライアングルを支持するための支柱部分と、既存のスタンドに本体を取り付けるためのホルダ部分を有する本体部分と、足などにより押下するための平面部を持った、ワイヤーケーブルのインナーケーブルと係合された踏板と、踏板を支持する踏板ベースと、踏板を待機状態に付勢するためのバネと、ワイヤーケーブルのアウターケーブル片端を保持するための固定部を有するペダル装置部と、本体部分とペダル装置部とに接続されたワイヤーケーブルで構成され、ワイヤーケーブル片端が接続されたペダル装置部を操作することにより、ワイヤーケーブルの反対の端に接続された本体部分のアームを操作し、トライアングルの一部を挟むことにより、トライアングルの打撃音を小さくする事ができることを特徴とした請求項1記載のトライアングル弱音装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
足で操作するペダルによってトライアングルの弱音を行うことにより、片手のみでトライアングルの演奏を可能とした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、奏者がトライアングルを演奏する際は、ひも等によりスタンド等に吊り下げられたトライアングルを、一方の手で持った木材や金属製の棒で叩いて打撃音を出し、棒を持っていない方の手でトライアングルの一部を押さえて弱音することにより、様々なリズムの演奏を行うため、必ず両手を用いなければトライアングルの演奏は不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
演奏者は様々な楽器を持ち換えながら演奏するという環境に置かれる場合が多く、トライアングルの演奏で両手を塞がれる事で演奏の自由度を著しく下げている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は従来片方の手を用いて行っていたトライアングルの弱音操作を、弱音装置本体1とアウターケーブル22とインナーケーブル21により構成されたワイヤーケーブル2で操作部であるペダル装置3を接続し、足で操作部であるペダルを操作することにより、トライアングルの弱音操作を行うことが出来るようにした装置である。
【発明の効果】
【0005】
従来のトライアングルの演奏は打撃用の棒による打撃で行われるが、通常状態での打撃音と、指などによってトライアングルの一部を持つことによって、弱音した状態で打撃する音の二種類の音の組み合わせで行われる。このため、左右両方の手を占有しなければ演奏が出来なかった。本発明品を使用することにより、演奏者は片方の手のみをトライアングルの演奏に使用し、もう片方の手は他の楽器の演奏等に使用することができる。
また楽器の持ち替え動作時にも、片手のみの移動で済むため、素早い動作が必要な状況でも安定した動作を確保しやすいという利点が発生する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】本装置の構成を示す全体図と一部拡大図である
【
図4】本装置のペダル装置の詳細図(断面図)である
【
図6】本装置の弱音装置の一対のアームの構造説明図である
【
図8】本装置に使用するワイヤーケーブルの構造説明図である
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1、は本発明にかかわるトライアングル弱音装置の全体図である。弱音装置本体1とペダル装置3は図示の通り、柔軟なワイヤーケーブル2のみで接続されており、演奏者の状況に応じて自由に位置関係を変更できる。
【0008】
図2は本装置の構成部位、および動作概要を説明するための図である。
本装置は弱音装置本体1とペダル装置3と、その間を接続するワイヤーケーブル2の大きく3つの要素で構成されていることを示す。
また、本図の実線で示した形態は待機状態であり、破線で示す状態は足等によりペダルを踏み込んだ状態であり、ペダルの動きによって、ワイヤーが引っ張られ弱音用の対向する一対のアームを動作させ、トライアングルの一部を挟み、弱音する状態を示している。
【0009】
図3は弱音装置部の詳細構成図である。
トライアングル6は緩衝材B16を介して、本体フレーム8に取り付けられたトライアングル保持部15により、トライアングル6の三辺のうちの一辺の一部がアームA4とアームB5との間に位置するように吊り下げられている。
【0010】
図4はペダル装置部の断面および、待機状態、操作時の状態を現す断面図である。左図が待機状態。右図が操作時の状態を示す。
待機状態では踏板18は圧縮スプリング19により上方向に押し上げられ、踏板回転軸20を中心に図の時計回り上方向の力を受けている。ペダル装置フレーム17に
図8に示すワイヤーケーブルのアウターケーブル22の片端が固定されており、インナーケーブル21の一端は、踏板18の回転軸と反対の端部に固定されている。上向きに付勢されている状態の踏板18の上面を下方向に足などにより押し下げる事により踏板18が回転軸20を中心に反時計回り下向き方向に回転移動する。ペダル装置フレーム17にアウターケーブル22片端が固定されているワイヤーケーブル2の、
図8に示すインナーケーブルの片端が踏板18の端部に固定されているため、インナーケーブルのみが引き下げられる。
【0011】
図5は弱音装置本体部1の説明図である。
ペダル装置部3に固定されていない側のアウターケーブル22の端は弱音装置本体1の本体フレーム8にワイヤー固定部12によって固定されており、ペダル装置部3に固定されていない側のインナーケーブル21の端はアームA4に固定されており、アームA4に取り付けられた引っ張りばね7により、アームA4は回転軸9を中心に反時計回り方向に付勢されており、インナーケーブル21はアームA4により引きあげられ、引っ張りばね7による張力が掛かった状態で停止している。
また、アームB5はアームA4によって端部を支持され、アームB5は回転軸10を中心に回転可能な状態で、アーム4と対向する。
ペダル操作部3が
図4左図の状態の時、弱音装置本体1は
図5左の状態であり、ペダル操作部3が
図4右の状態の時、弱音装置本体1は
図5右の状態である。
ペダル装置部3の踏板18を下向きに押し下げることにより
図4左の状態から右の状態にペダル装置部3の状態が遷移する。この事により、インナーケーブル21が下方向に引きさげられ、
図5に示す弱音装置本体に露出しているインナーケーブル21の長さLが
図5左の状態から
図5右の状態に変化する。
これにより、アームA4がアームAの回転軸9を中心に時計回り方向に回転し、アームB5が回転軸10を中心に反時計回りに回転し、アームA4とアームB5の先端部の間隔が小さくなり、各々のアームの先端のトライアングルと接触する部分に取り付けられた、緩衝材A13を介して、トライアングル6の一部を挟みこむことで弱音効果を得る。
【0012】
図6はアームA4とアームB5の係合状態についての説明図である。
説明の都合上、
図6表示の上方向を上、下方向を下として説明する。
アームA4にはT型の穴が開いており、アームB5にはT型の突起部が存在する。アーム5のT型の突起部をアーム4のT型の穴に貫通させ、アームA4をアームA回転軸9に、アームB5をアームB回転軸10に合わせて組み合わせることで、アームA4とアームB5が係合して動く状態になる。
図6において、アームA4が時計回り方向に回転するときは、アームB5の端部をアームA4が下方向に押し下げ、アームB5がアームB回転軸10を中心に反時計回り方向に回転する。
アームA4が反時計回り方向に回転するときは、アームA4のT字穴を貫通しているアームB5のT字型の突起の下側エッジと、アームA4のT字穴のある面の上面が接触するため、アームA4の回転に追従して、アームB5は回転軸10を中心に、時計回り方向に回転する。
【実施例0013】
本発明の実施例を
図9に示す。
本装置は、弱音装置1とペダル装置3の間をワイヤーケーブル2のみで接続されているため、演奏者が他の複数の楽器との組み合わせで演奏を行う状況において、演奏者の演奏上の都合の良い位置に弱音装置1をセットし、足ふみ操作に都合の良い位置にペダル装置3を置くことができる。
本体は一般的に演奏者が使用するスタンド23に取り付けることが出来るスタンド固定用フレーム11および本体フレームの穴を有しているため、演奏者は市販の楽器取り付け金具との組み合わせで消音装置本体1を自らが使用する楽器にセットすることが可能である。
演奏者は、座って演奏する場合や立って演奏する場合があるが、弱音装置本体1とペダル装置3とはワイヤーケーブルのみで接続されているので、市販のスタンドとの組み合わせで高さを自由に変更し、演奏に都合の良い位置関係にセットすることができる。