(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091167
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】換気装置および換気方法
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20220614BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20220614BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20220614BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20220614BHJP
F24F 11/65 20180101ALI20220614BHJP
F24F 110/70 20180101ALN20220614BHJP
F24F 110/65 20180101ALN20220614BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/00 A
F24F11/64
F24F11/70
F24F11/65
F24F110:70
F24F110:65
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203806
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】柄沢 庄一
(72)【発明者】
【氏名】小川 哲史
(72)【発明者】
【氏名】徐 健
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BD07
3L056BE07
3L056BF06
3L260AB15
3L260BA09
3L260BA31
3L260BA38
3L260CA17
3L260CB54
3L260CB62
3L260EA07
3L260EA19
3L260FA02
3L260FA13
3L260FC03
3L260FC04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】換気装置の近傍または換気装置が設置された空間のみならず、換気装置が設置された空間から離れている空間であって検出対象の物質が存すると想定される空間の空気質をその換気装置で検出し、その検出情報に基づいて運転制御する。
【解決手段】第1送風機の運転により気流を発生させて、吸込口から屋内の空気を吸い込み該空気を排出する換気装置であって、屋内の空気質を検出情報として検出する検出部と、検出部が検出した検出情報に基づいて第1送風機の運転制御を行う運転制御部と、を備え、運転制御部が、所定量の空気を吸い込んだ後の検出情報に基づいて運転制御を行う換気装置である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1送風機の運転により気流を発生させて、吸込口から屋内の空気を吸い込み該空気を排出する換気装置であって、
前記屋内の空気質を検出情報として検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記検出情報に基づいて前記第1送風機の運転制御を行う運転制御部と、
を備え、
前記運転制御部は、所定量の空気を吸い込んだ後の前記検出情報に基づいて前記運転制御を行う、
換気装置。
【請求項2】
連続的に空気を吸い込む換気運転を行う換気モードと、間欠的に空気を吸い込む探索運転を行う探索モードとを備え、
前記運転制御部は、前記探索モードにおいて1回当たり所定量の空気を吸い込む探索運転を所定の周期で行い、前記検出部が探索運転により検出した空気質に応じて、その後の前記探索モードの探索運転または前記換気モードの換気運転の制御方法を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
前記運転制御部は、前記探索モードにおいて、探索運転により検出した空気質に応じてその後の探索運転の周期を決定することを特徴とする請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
前記運転制御部は、前記探索モードにおいて、探索運転により検出した空気質に応じてその後の探索運転の周期を複数の探索運転の周期のいずれかに決定することを特徴とする請求項2または3に記載の換気装置。
【請求項5】
前記運転制御部は、前記探索モードにおける探索運転により検出した空気質が所定の閾値以上になった場合前記換気モードに移行し、所定の期間前記換気モードを継続した後前記検出部が換気運転により検出した空気質に応じて、前記換気モードの換気運転の制御方法を決定することを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の換気装置。
【請求項6】
前記探索モードの探索運転における空気質の変化を取得する変化取得部をさらに備え、
前記運転制御部は、前記変化取得部が取得した変化に応じて、前記換気モードの換気運転の制御方法を決定することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の換気装置。
【請求項7】
前記換気モードにおいて、第1換気運転と前記第1換気運転より風量の大きい第2換気運転を有し、
前記運転制御部は、所定の時間前記第1換気運転を継続した後に前記検出部が検出した空気質が所定の閾値以下にならない場合、前記第2換気運転を行うことを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の換気装置。
【請求項8】
前記検出部を流路上に含み、前記第1送風機よりも風量が小さい第2送風機をさらに備え、
前記運転制御部は、前記換気モードにおいて前記第1送風機を運転し、前記探索モードにおいて前記第2送風機を運転することを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載の換気装置。
【請求項9】
前記運転制御部は、前記探索モードにおいて探索運転を行った後に前記第2送風機を運転することを特徴とする請求項8に記載の換気装置。
【請求項10】
送風機の運転により気流を発生させて、吸込口から屋内の空気を吸い込み該空気を排出する換気方法であって、
前記屋内の空気質を検出情報として検出し、
所定量の空気を吸い込んだ後の前記検出情報に基づいて前記送風機の運転制御を行う、
換気方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気装置および換気方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、屋内と屋外の間で空気の換気を行う換気装置において、屋内の空気に含まれる物質を検出しその濃度に応じて適宜運転制御を行う技術が知られている。たとえば、特許文献1は、換気扇本体に内蔵された回路基板に室内のCO2濃度を検出するCO2センサと室内のガス濃度を検出するガスセンサとが設けられた換気扇を開示する。この換気扇は、たとえば、CO2濃度検出値が開始設定濃度を上回った場合換気動作を開始し、停止設定濃度を検知するまで換気動作を継続し、これを下回った場合には換気動作を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献のような従来技術では、検出対象の物質の濃度が所定濃度を上回ったことを検出した後に制御が開始されるので、換気装置内部または近傍での濃度が悪化するまで換気制御を開始することができない。すなわち、この換気装置では、換気装置が設置されている空間の空気質を検出することを目的としており、その検出値に基づき換気のための運転制御を行う。たとえば、キッチンにある換気装置(たとえば、レンジフード)は、主に料理時の油煙や燃焼ガスなどを屋外へ排出するように運転制御するので、このような場合には換気装置が設置されている空間すなわち換気装置近傍であるキッチンの空気質を検出しそれに基づいて運転制御する。
【0005】
しかし、換気装置が設置されている空間から離れている空間たとえば人が集まりやすいリビングではCO2濃度が上昇しているにも拘わらず、キッチンにある換気装置は、その空気質の悪化を検出することはできず、それに基づいて換気のための運転制御を行うことはできない。そうすると、検出対象物質の発生源が換気装置の設置場所から離れている場合、従来技術の換気装置では検出できず換気制御ができないため、その発生源近傍では相当量の物質がすでに滞留していることが想定される。屋内の特定の場所に設置された換気装置は、その換気装置が設置された空間のみならず、その空間に連通しているがある程度離れた空間における空気質も検出対象とすることが望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、その換気装置の近傍または換気装置が設置された空間のみならず、換気装置が設置された空間から離れている空間であって検出対象の物質が存すると想定される空間の空気質をその換気装置で検出し、その検出情報に基づいて運転制御する換気装置および換気方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1送風機の運転により気流を発生させて、吸込口から屋内の空気を吸い込み該空気を排出する換気装置であって、屋内の空気質を検出情報として検出する検出部と、検出部が検出した検出情報に基づいて第1送風機の運転制御を行う運転制御部と、を備え、運転制御部は、所定量の空気を吸い込んだ後の検出情報に基づいて運転制御を行う換気装置が提供される。
これによれば、所定量の空気を吸い込んだ後の検出情報に基づいて運転制御を行うことで、換気装置の近傍だけでなく換気装置が設置された空間から離れている空間であって検出対象の物質が存すると想定される空間の空気質をその換気装置で検出し、その検出情報に基づいて運転制御する換気装置を提供することができる。
【0008】
さらに、連続的に空気を吸い込む換気運転を行う換気モードと、間欠的に空気を吸い込む探索運転を行う探索モードとを備え、運転制御部は、探索モードにおいて1回当たり所定量の空気を吸い込む探索運転を所定の周期で行い、検出部が探索運転により検出した空気質に応じて、その後の探索モードの探索運転または換気モードの換気運転の制御方法を決定することを特徴としてもよい。
これによれば、所定量の空気を吸い込む探索運転を所定の周期で繰り返すことで、換気装置が設置された空間から離れており検出対象の物質が存すると想定される空間の空気を換気装置まで引き寄せてきて、換気装置で空気質を検出することができる。換気装置は、この検出情報により探索運転または換気運転の制御方法を決定することができる。
【0009】
さらに、運転制御部は、探索モードにおいて、探索運転により検出した空気質に応じてその後の探索運転の周期を決定することを特徴としてもよい。
これによれば、探索モードの探索運転により検出した空気質に応じてその後の探索運転の周期を決定することで、空気質が悪くなりそうなときは運転周期を短くすることにより迅速に悪化を検知して換気につなげることが可能になる。
【0010】
さらに、運転制御部は、探索モードにおいて、探索運転により検出した空気質に応じてその後の探索運転の周期を複数の探索運転の周期のいずれかに決定することを特徴としてもよい。
これによれば、探索モードの探索運転により検出した空気質に応じて複数の探索運転の周期の中からいずれか1つに決定することで、空気質が悪くないときは周期を長くするなど運転にともなう騒音を抑えることができる。
【0011】
さらに、運転制御部は、探索モードにおける探索運転により検出した空気質が所定の閾値以上になった場合換気モードに移行し、所定の期間前記換気モードを継続した後検出部が換気運転により検出した空気質に応じて、換気モードの換気運転の制御方法を決定することを特徴としてもよい。
これによれば、探索運転により検出した空気質が所定の閾値以上になった場合に、換気モードに移行した後すぐに換気運転の制御方法を決定し、離れた空間の空気を引き寄せてくる前に制御方法が変更されることを防止するため、所定期間継続した後に検出した空気質に応じて換気モードの換気運転の制御方法を決定することで、離れた空間の空気質を適切に測ることができる。
【0012】
さらに、探索モードの探索運転における空気質の変化を取得する変化取得部をさらに備え、運転制御部は、変化取得部が取得した変化に応じて、換気モードの換気運転の制御方法を決定することを特徴としてもよい。
これによれば、探索運転における空気質の変化に応じて換気モードの換気運転の制御方法を決定することで、空気質の状況に即して換気運転を制御することができる。
【0013】
さらに、換気モードにおいて、第1換気運転と第1換気運転より風量の大きい第2換気運転を有し、運転制御部は、所定の時間第1換気運転を継続した後に検出部が検出した空気質が所定の閾値以下にならない場合、第2換気運転を行うことを特徴としてもよい。
これによれば、所定の時間継続しても空気質が改善しない場合より大きな風量で換気することで、空気質が良くない状態が続くことを防ぐことができる。
【0014】
さらに、検出部を流路上に含み、第1送風機よりも風量が小さい第2送風機をさらに備え、運転制御部は、換気モードにおいて第1送風機を運転し、探索モードにおいて第2送風機を運転することを特徴としてもよい。
これによれば、第2送風機は、料理がなされる換気モードのときには運転されないことで、検出部に油煙等の付着を少なくしその汚れや故障リスクを低減することができる。
【0015】
さらに、運転制御部は、探索モードにおいて探索運転を行った後に第2送風機を運転することを特徴としてもよい。
これによれば、風量の大きな第1送風機で換気装置が設置された空間から離れた空間の空気を引き寄せてきた後に第2送風機を運転することで、効率的に離れた空間の空気質を検出することができる。
【0016】
上記課題を解決するために、送風機の運転により気流を発生させて、吸込口から屋内の空気を吸い込み該空気を排出する換気方法であって、屋内の空気質を検出情報として検出し、所定量の空気を吸い込んだ後の検出情報に基づいて送風機の運転制御を行う換気方法が提供される。
これによれば、所定量の空気を吸い込んだ後の検出情報に基づいて送風機の運転制御を行うことで、検出対象の物質が存すると想定される空間の空気質を検出し、その検出情報に基づいて運転制御する換気方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、換気装置の近傍または換気装置が設置された空間のみならず、換気装置が設置された空間から離れている空間であって検出対象の物質が存すると想定される空間の空気質をその換気装置で検出し、その検出情報に基づいて運転制御する換気装置および換気方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施例および第2実施例に係るレンジフードが設置された住宅の内部の様子を示す図。
【
図2】本発明の第1実施例に係るレンジフードの、(A)本体部の前蓋を取り除いた場合の斜視図、(B)本体部カバーを取り除いた場合の斜視図。
【
図3】本発明の第1実施例に係るレンジフードの、(A)正面図、(B)H-H断面における断面図。
【
図4】本発明の第1実施例および第2実施例に係るレンジフードの操作スイッチを示す図。
【
図5】本発明の第1実施例に係るレンジフードの機能ブロック図。
【
図6】本発明の第1実施例に係るレンジフードにおいてCO2サーチモードを設定する制御を示すフローチャート。
【
図7】本発明の第1実施例に係るレンジフードのCO2サーチモードにおける制御を示すフローチャート。
【
図8】本発明の第1実施例に係るレンジフードのCO2サーチモードにおけるモード移行の判定処理を示すフローチャート。
【
図9】本発明の第1実施例に係るレンジフードの換気モードにおけるモード移行の判定処理を示すフローチャート。
【
図10】本発明の第1実施例に係るレンジフードの制御において参照されるデータテーブルを示す図。(A)運転状態、センサ閾値、運転時間の関係を示すテーブル、(B)換気運転待機モードにおける待機状態別差分値を示すテーブル、(C)換気モードにおける換気運転の移行条件を示すテーブル。
【
図11】本発明の第1実施例に係るレンジフードの制御によるCO2濃度の変化を示すグラフ(その1)。
【
図12】本発明の第1実施例に係るレンジフードの制御によるCO2濃度の変化を示すグラフ(その2)。
【
図13】本発明の第1実施例に係るレンジフードの制御によるCO2濃度の変化を示すグラフ(その3)。
【
図14】本発明の第2実施例に係るレンジフードのCO2センサ付近の断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、図面を参照しながら、本発明に係る各実施例を説明する。
<第1実施例>
図1~
図13を参照し、本実施例のレンジフード100について説明する。
図1に示すように、レンジフード100は、住宅HSのキッチンの調理器上方に設置された換気装置である。レンジフード100は、その大きな吸引力により、キッチンでの調理により発生する油煙等を吸い込むと共に、キッチンから離れた例えばリビングルームの空気に含まれる様々な物質を空気と共にレンジフード100まで引き寄せてきて吸い込み、屋外へ排出する機能を有する。リビングルームでは居住者や外来者が大勢集まることが多く、これにより、人が吐く息に含まれるCO2が増加したり、会話により多くのエアロゾルが発生したりし、リビングルーム内の空気質が悪化することがある。レンジフード100は、このように、キッチンから離れた空間であるリビングルーム内に発生すると想定される物質を検出し、その検出情報に基づいて運転し、リビングルーム内の空気質の改善に寄与する。
【0020】
なお、本明細書における空気質とは、空気を構成する物質(たとえば、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素など)、空気に含まれる物質(たとえば、水分、油分、塵埃、におい物質などが微粒子状或いはガス状となったもの)、空気の運動エネルギーを示す指標(温度)などを言い、人間が感じ得るまたは影響を受け得る空気の質を示す概念である。したがって、本実施例では、換気装置として住宅に設置されるレンジフード100を、物質としてはCO2を例示するが、これに限定されず、たとえば、事務所の給湯器や工場の廃棄物の近傍に設置された換気装置が、空気の通路として連通しているが設置された場所から離れた空間(たとえば応接室、休憩室、喫煙室など)の空気質を検出し、その検出情報に基づいて運転制御を行うことも当然に含まれる。
【0021】
図2~
図5に示すように、レンジフード100は、フード部91と、フード部91の上に連結された本体部92と、本体部92の内部に収められたファンケーシング93と、ファンケーシング93の中に含められ、気流を発生させるファン94(第1送風機)と、ファン94の運転を制御するRH制御部20(運転制御部)、ファン94により発生した気流を吸い込む吸込開口部95および吸気孔11aと、吸い込んだ気流を排出する吐出口96と、吸気孔11aから吸い込んだ空気の空気質を検出する検出部10と、フード部91の下部に設けられ、油煙等を捕獲する内面パネル97と、内面パネル97の下方に所定の隙間を空けて取り付けられた整流板98とを備える。
【0022】
フード部91は、本実施例は薄平型であるが、これに限定されず、たとえば深型所謂ブーツ型であってもよい。本体部92の内部に配置されたファンケーシング93は、下方と上方に向けて開口した吸込口を両側に有する。本体部92の内壁とファンケーシング93の外壁には空気が流通するための空間が設けられている。ファン94は、回転軸を鉛直方向に向けて配置された静圧の高いシロッコファンであり、ファンケーシング93の下方および上方の吸込口に適合している。
【0023】
ファン94を回転させるモータと、モータのシャフトとシロッコファンの羽を連結する連結部は、ファン94の内部において上方に存するので、そのモータと連結部は、下方の吸込口より上方の吸込口の近くに配置される。そのため、上方の吸込口から吸い込まれる空気の量は、下方の吸込口から吸い込まれる空気の量より少なくなる。吸込開口部95は、ファンケーシング93に設けられた、ファン94が発生させる気流の多くが通る下方の吸込口に適合する。吸込開口部95からファン94を経て吐出口96に流れる気流の流路を主たる流路とすれば、吸気孔11aから、接続ダクト11b、排気孔11c、ファン94を経て吐出口96に流れる気流の流路は副流路となる。副流路は、ファンケーシング93の上方の吸込口からファンケーシング93の外壁と本体部92の内壁の間の空間が負圧になることで、吸気孔11aから空気が吸引されて形成される。副流路における風量は、主流路の風量より小さい。
【0024】
検出部10は、ファンケーシング93の外壁と本体部92の内壁の間の空間に配置されている。すなわち、検出部10は、副流路内に配置され、副流路内の空気の空気質を検出する。また、主流路には油煙を含んだ気流が通るため空気質を検出する場所としては不適なので、検出部10は、主流路と副流路の合流点となるファン94よりも上流側の副流路内であるファンケーシング93の外壁と本体部92の内壁の間の空間に配置されている。本実施例では、吸気孔11aは、吸込開口部95が存する面(フード部91の下面)と異なる面であるフード部91の天面に形成されており、副流路に吸気孔11aを経由して取り込まれる空気は、比較的油煙等の汚染物質を含んでいない空気である。検出部10は、CO2センサ11、ガスセンサ12、臭いセンサ13を含んでおり、それぞれの物質を検出する。
【0025】
RH制御部20は、本体部92の内部に設けられ(図示せず)、検出部10が検出した検出情報に基づいてファン94の運転制御を行う。RH制御部20は、ファン94の運転を制御するためのプログラムを記憶し、そのプログラムに従って命令を実行するマイクロコントローラである。RH制御部20の制御方法については後述する。
【0026】
レンジフード100は、さらに、
図4に示すような、運転入/切ボタン、風量設定ボタン、照明入/切ボタン、常時換気入/切ボタン、CO2換気入/切ボタンを備える操作スイッチ30をフード部91の前面に備える。運転入/切ボタンは、調理時に換気運転をオン/オフするためのボタン、常時換気入/切ボタンは、換気運転を行わない場合に小さい風量で継続的に換気する常時換気をオン/オフするためのボタン、CO2換気入/切ボタンは、換気運転や常時換気しない場合にCO2センサ11が検出した検出情報に基づいて換気を行う探索運転をオン/オフするためのボタンである。
【0027】
レンジフード100は、さらに、表示部40、通信部50、エラー検知部14を備える。表示部40は、たとえば運転の状況(換気運転/常時換気運転/探索運転など)を表示したり、CO2センサ11が検出したCO2濃度を表示する。通信部50は、他の機器(たとえば他のセンサ、報知器、スマートフォンなど)と通信を行う。エラー検知部14は、たとえば換気運転/常時換気運転/探索運転中に整流板98が開放されたことを検知すると、RH制御部20に通知する。RH制御部20は、その通知を受信するとファン94の運転を停止する。
【0028】
図6~
図13を参照し、RH制御部20の制御方法を説明する。なお、図におけるSはステップを意味する。
図6は、操作スイッチ30のCO2換気入/切ボタンによるモード設定の制御を示す。なお、以降では、検出部10の例をCO2センサ11として説明する。RH制御部20は、CO2換気入/切ボタンが押されると、S100において、既に運転入/切ボタンがオンになっていて連続的に調理時の空気を吸い込む換気運転を行っているか否かを確認する。換気運転中の場合は何も実行せず、換気運転中である換気モードが優先される。換気運転中でなかった場合、RH制御部20は、S102において、既に常時換気入/切ボタンがオンになっていて連続的に小さい風量で空気を吸い込む常時換気運転を行っているか否かを確認する。常時換気運転中の場合、RH制御部20は、S106において、常時サーチモードに設定する。常時サーチモードでは、RH制御部20は、常時換気運転を継続すると共に、CO2濃度を検出し、その濃度に応じて換気運転の風量を制御する。常時換気運転中ではなかった場合、RH制御部20は、S104において、CO2サーチモードに設定する。このように、CO2サーチモードへは、レンジフード100の運転が停止されているときにのみ移行する。
【0029】
レンジフード100は、風量設定ボタンで設定された所定の風量(強/中/弱など)で連続的に空気を吸い込む換気運転を行う換気モードと、換気モードよりも小さい風量で空気を連続的に吸い込む常時換気運転を行う常時換気モードと、換気モードよりも小さい風量で空気を間欠的に吸い込み、CO2センサ11でCO2濃度の検出を行う探索運転を行うCO2サーチモードと、換気モードよりも小さい風量で空気を連続的に吸い込み、CO2センサ11でCO2濃度の検出を行う探索運転を行う常時サーチモードと、を備える。なお、本明細書では、サーチモードを探索モードとも言う。なお、常時換気モード、CO2サーチモード、常時サーチモードにおける換気モードよりも小さい風量は同じ風量としても良いしモード毎に風量が異なっていてもよい。また、CO2サーチモードの風量は間欠的に空気を吸い込むものであれば換気モードよりも小さい風量に限られず換気モードと同等の風量で空気を吸い込むものであってもよい。
【0030】
図7は、CO2サーチモードにおける制御を示す。CO2サーチモードにおいて、RH制御部20は、S200において、換気運転における風量指示を示す風量設定ボタンや常時換気指示を示す常時換気入/切ボタンが押されるとそれを割り込み処理し、CO2サーチモードより優先して制御する。割り込み処理を行わない場合は以降の処理が行われる。RH制御部20は、S202において、CO2サーチモードに移行後初回のサーチ(探索)であるか否かを確認する。
【0031】
初回のサーチである場合、RH制御部20は、S204において、初回のCO2の探索、すなわち、換気モードの最も小さい風量(弱)より小さい所定の風量で所定の時間ファン94を運転し、キッチンから離れた空間であるリビングルーム内に発生すると想定されるCO2の濃度をCO2センサ11で検出することを試みる。ここでの所定の風量と所定の時間は、ファン94の運転による音が気づかない程度の風量であったり、所定の時間は1分程度あったり、適宜定められるが、所定風量で所定時間運転すると、レンジフード100は所定量の空気を吸い込むことになる。
【0032】
この所定量は、キッチン空間の体積に適合させてもよい。そうすると、初回1回の探索運転によりキッチン空間相当の体積の空気を排気し、これにより離れた空間であるリビングルームにあった空気を引き寄せてくることができる。また、この所定量は、初回のCO2の探索運転だけなく、その後に行われる探索運転においても所定の周期で適用されることが好ましい。RH制御部20は、S206において、CO2センサ11で検出したCO2濃度の検出情報に基づいて移行すべきモードを設定する。モードの移行判定については後述する。なお、S202において初回サーチでなかった場合は、S204とS206をスキップする。
【0033】
2回目以降のサーチを行う場合、RH制御部20は、S208において、直前の状態からモードが変更されたことを想定して、現在のモードに移行した後所定の時間(たとえば、1分)現在の運転状態を継続する(滞在モードチェック処理)。これは、モードが移行した後すぐに運転の制御方法を決定してしまい、離れた空間の空気を引き寄せてくる前に制御方法が変更されることを防止するためである。
【0034】
RH制御部20は、S210において、探索モードにおいてCO2センサ11が検出したCO2濃度をチェックする。RH制御部20は、S212において、探索モードの探索運転における空気質の変化、本実施例ではCO2濃度の変化を取得する変化取得部を内部に備え、この変化取得部が取得したCO2濃度の変化(センサ傾斜値)をチェックする。CO2濃度の変化とは、前回と今回のサーチにおける差分であり、その差分の大きさによりファン94の運転制御を決定してもよい。たとえば、RH制御部20は、その変化の大きさに応じて、換気モードの換気運転の制御方法を決定してもよい。たとえば、
図10(B)が示すように、RH制御部20は、換気運転において、差分が160ppm以下ならば風量を弱に待機させ、差分が160~220ppmならば風量を中に待機させ、差分が220ppm以上ならば強に待機させるように制御する(待機モード制御)。このように制御することで、CO2濃度の増加状況に即して換気運転を制御することができる。なお、CO2濃度の変化は、差分に限定されず変化率であってもよい。
【0035】
RH制御部20は、S214において、現在の運転モードがどの程度継続しているのか(モード滞在時間)をチェックする。たとえば、換気モードにおいて所定時間弱風量で換気運転を継続したが、その継続後に検出したCO2濃度が所定の閾値以下にならない場合中風量や強風量で換気運転を行う。これによれば、所定の時間継続してもCO2濃度が改善しない場合より大きな風量で換気することで、CO2濃度が高い状態が続くことを防ぐことができる。RH制御部20は、S216においてモード移行の判定処理を行い、S218においてその判定に基づいてモード移行の処理を行う。モード移行の判定処理の例は、
図8と
図9で説明される。
【0036】
図8は、3分に一度の周期で探索運転を行っている場合のモード移行の判定処理を示す。RH制御部20は、S300において、現在のサーチモード(3分に一度の周期で探索運転を行うサーチモード)に移行した後1分経過するまで滞在する。RH制御部20は、S302において、検出したCO2濃度が1000ppm以上か否かを確認する。1000ppm以上であった場合、RH制御部20は、S304において、CO2濃度の前回と今回の差分が所定以上か否かを確認し、S212のセンサ傾斜値チェック処理においてセットされた待機モードを確認する。
【0037】
RH制御部20は、S306において、
図10に示す閾値テーブルと待機モードに応じてどの風量の換気モードに移行するのかのフラグを設定する。たとえば、S302で1010ppmのセンサ値が取得され、S304の待機モードの確認において、今回センサ値の1010ppm、前回センサ値の800ppm、差分210ppmの中風量の待機モードがセットされた場合、S306では中風量への移行フラグをセットする。今回センサ値の1010ppmは、本図(A)の閾値テーブルにおける弱風量への移行に該当するが、待機モードが中風量にセットされているため弱風量への移行でなく中風量への移行フラグをセットする制御を行う。また、今回のCO2濃度が1200ppmであった場合には中風量の換気モードへ、1500ppmであった場合には強風量の換気モードへ移行するフラグを設定する。すなわち、センサ取得値が1000ppm~1199ppmの弱風量へ移行するセンサ閾値の場合に、閾値テーブルと待機モードに応じて移行フラグがセットされ、1200ppm以上の場合はセットされた待機モードにかかわらず中風量または強風量へ移行する制御が行われる。
【0038】
S302において1000ppm未満であった場合、RH制御部20は、S308において、検出したCO2濃度が800~999ppmか否かを確認する。800~999ppmであった場合、RH制御部20は、S310において、現在のサーチモードを維持する。800ppm未満であった場合、RH制御部20は、S312において、より探索運転の周期が長い10分に一度の周期の探索運転を行うサーチモードに移行するフラグを設定する。
【0039】
このように、RH制御部20は、探索モードにおいて、探索運転により検出したCO2濃度に応じて、その後の探索運転の周期を決定すること、または、3分間隔や10分間隔の複数の探索運転の周期のいずれかに決定することが好ましい。これによれば、CO2濃度が高くなりそうなときは運転周期を短くすることにより迅速に悪化を検知して換気につなげることが可能になる。また、CO2濃度が低くなった場合には運転周期を長くすることにより、運転に伴う騒音や使用電力を低減することができる。
【0040】
上述したように、レンジフード100は、屋内のCO2濃度を検出情報として検出し、その検出情報に基づいてファン94の運転制御を行う換気装置であるところ、1回または複数回に亘って所定量の空気を吸い込んだ後の検出情報に基づいて運転制御を行う換気装置である。このように、所定量の空気を吸い込んだ後の検出情報に基づいて運転制御を行うことで、レンジフード100の近傍だけでなくレンジフード100が設置された空間から離れている空間であって検出対象の物質が存すると想定される空間の空気質(CO2濃度)をレンジフード100で検出し、その検出情報に基づいて運転制御するレンジフード100を提供することができる。
【0041】
図9は、弱風量で換気運転中の換気モードにおけるモード移行の判定処理を示す。RH制御部20は、S400において、現在の弱風量の換気モードに移行した後1分経過するまで滞在する。RH制御部20は、S402において、現在の換気モードに移行後15分経過したか否かを確認する。15分経過していない場合、RH制御部20は、S406において、現在の換気モードにおける換気運転中に検出したCO2濃度が800ppm未満か否かを確認する。800ppm未満であった場合、RH制御部20は、S408において、サーチモードに移行する。
【0042】
800ppm以上であった場合、RH制御部20は、S410において、CO2濃度が1000~1200ppmであったか否かを確認する。1000~1200ppmであった場合、RH制御部20は、S412において、
図10(C)の差分テーブルを参照して移行のフラグを設定する。たとえば、前回と今回のCO2濃度の差分が20ppmであった場合、強風量の換気運転に移行するフラグを設定する。なお、換気モード中のCO2濃度の取得は15s毎に行われる。前回と今回の差分は15s毎の差分である。
【0043】
1000~1200ppmでなかった場合、RH制御部20は、S414において、CO2濃度が1200ppm以上であったか否かを確認する。1200ppm以上であった場合、RH制御部20は、S416において、たとえば1210ppmであったならば中風量、1500ppmであったならば強風量の換気モードに移行する。いずれにも該当しない場合すなわちCO2濃度が800~999ppmであった場合、特に何もせず、現在の弱風量の換気モードを維持する。また、現在の弱風量の換気モードが15分経過しても継続している場合(S402)、RH制御部20は、S404において、中風量の換気運転の換気モードに移行するフラグを設定する。弱風量の換気運転中について説明したが、中風量の換気運転の場合でのほぼ同じである。なお、RH制御部20は、強風量の換気運転の場合は、傾斜値の確認は行わず、また、800ppm以下になるまで強風量の換気運転を継続するように制御する。
【0044】
このように、RH制御部20は、探索モードにおける探索運転により検出したCO2濃度が所定の閾値以上になった場合換気モードに移行し、所定の期間換気モードを継続した後CO2センサ11が換気運転により検出したCO2濃度に応じて、換気モードの換気運転の制御方法を決定することが好ましい。また、探索運転により検出したCO2濃度が所定の閾値以上になった場合に、換気モードに移行した後すぐに換気運転の制御方法を決定し、離れた空間の空気を引き寄せてくる前に制御方法が変更されることを防止するため、所定期間継続した後に検出したCO2濃度に応じて換気モードの換気運転の制御方法を決定することで、離れた空間の空気質を適切に測ることができる。
【0045】
図11は、レンジフード100の制御によるCO2濃度の変化の例を示すグラフである。黒色線はCO2濃度、灰色線は風量を示す。時間720まではCO2濃度は700ppm以下なので長い周期(10分に一度)で探索運転(運転時間は1分)を行っていたが、時間1080を過ぎるころから800ppmを越えたため、短い周期(3分に一度)で探索運転するモードになったことを示している。その後も短い周期の探索運転を継続していたが、徐々に増加し時間2520に1013ppmのCO2濃度を検出したので、弱風量の換気運転にモードを移行したことを示す。その後も弱風量の換気運転を継続しCO2濃度は若干減少したが、時間3500辺り(弱風量移行後15分に相当)になっても800ppmを超えているので、中風量の換気運転に移行した。さらにその後中風量の換気運転を継続しCO2濃度は若干減少したが、時間4000辺り(中風量移行後15分に相当)になっても800ppmを超えているので、強風量の換気運転に移行した。
【0046】
その後しばらく強風量の換気運転を継続し、時間4900辺りで800ppm未満となったので、サーチモードに移行した。このサーチモードでは、短い周期(3分に一度)で探索運転を行った。このサーチモードで短い周期の探索運転を継続していたが、時間7200辺りで再び1000ppm以上のCO2濃度を検出したので、弱風量の換気運転にモードを移行した。その後も弱風量の換気運転を継続しCO2濃度は若干減少したが、時間8000辺り(弱風量移行後15分に相当)になっても800ppmを超えているので、中風量の換気運転に移行した。その後しばらく中風量の換気運転を継続し、時間8600辺りで800ppm未満となったので、サーチモードに移行した。
【0047】
このサーチモードでは、短い周期(3分に一度)で探索運転を行った。このサーチモードで短い周期の探索運転を2回行ったところの時間9100辺りで再び1000ppm以上のCO2濃度を検出したので、弱風量の換気運転にモードを移行した。その後も弱風量の換気運転を継続しCO2濃度は若干減少したが、時間9900辺り(弱風量移行後15分に相当)になっても800ppmを超えているので、中風量の換気運転に移行した。その後しばらく中風量の換気運転を継続し、時間10400辺りで800ppm未満となったので、サーチモードに移行したことを示す。
【0048】
上述した例では、RH制御部20は、探索モードにおいて1回当たり所定量(極弱風量で1分間の吸込み量)の空気を吸い込む探索運転を所定の周期で行い、探索運転により検出したCO2濃度に応じて、その後の探索モードの探索運転または換気モードの換気運転の制御方法を決定している。このように、所定量の空気を吸い込む探索運転を所定の周期で繰り返すことで、レンジフード100が設置された空間(キッチン)から離れており検出対象の物質(CO2)が存すると想定される空間(リビングルーム)の空気をレンジフード100まで引き寄せてきて、レンジフード100でCO2濃度を検出することができる。レンジフード100は、この検出情報により探索運転または換気運転の制御方法を決定することができる。レンジフード100が常に常時運転レベルの運転をすることは屋内の環境を早く検知するのには望ましいが、そうしてしまうとCO2濃度が高くない状態でも屋内の換気をしてしまい、屋内の温度に影響を与えることになる。その影響を減らすために常時ファン94を運転することはせずに、一定時間おきに必要な時間だけファン94を動かすように制御する。
【0049】
図12は、CO2濃度が低いリビングルームに4人が入ってきた場合のレンジフード100の制御の様子を示すグラフである。CO2濃度が600ppm程度の部屋に4人が入った後、レンジフード100はCO2サーチモードに設定され、初回の探索運転を行った。その後10分に一度の周期で探索運転を行うCO2サーチモードになり、リビングルームの空気を引き寄せてCO2濃度を検出し、僅かにCO2濃度が上昇した。10分に一度の周期で探索運転を継続するがCO2濃度は上昇を続け、800ppm以上になったので、レンジフード100は3分に一度の周期で探索運転を行うCO2サーチモードになった。
【0050】
その後もCO2濃度は上昇を続け、1000ppm以上になったので、レンジフード100は、弱風量の換気運転に移行した。その後CO2濃度の増加率は若干減少するものの増加し続け、1200ppm以上になったので、中風量の換気運転を行った。その後CO2濃度は減少するものの、中風量で15分運転を続けたが800ppm以下になることは無かったので、強風量の換気運転を行った。そうするとCO2濃度は急激に減少し、しばらくすると800ppmを下回ったため、3分に一度のCO2サーチモードに移行した。
【0051】
図13は、CO2濃度が高い状態でCO2サーチモードにした場合のレンジフード100の制御の様子を示すグラフである。1500ppmを超えるCO2濃度がある状態の時にレンジフード100はCO2サーチモードに設定され、初回の探索運転を行った。レンジフード100は、初回の探索運転で1500ppmを超える高いCO2濃度を検出したので、強風量の換気運転の換気モードに移行した。その後CO2濃度は急激に減少し、やがて800ppmを下回ったので、10分に一度の周期の探索運転を行うCO2サーチモードに移行した。
【0052】
上述したことは、ファン94の運転により気流を発生させて、吸込口から屋内の空気を吸い込み該空気を排出する換気方法である。この換気方法は、屋内のCO2濃度を検出情報として検出し、所定量の空気を吸い込んだ後の検出情報に基づいてファン94の運転制御を行う。これによれば、所定量の空気を吸い込んだ後の検出情報に基づいてファン94の運転制御を行うことで、検出対象の物質(CO2)が存すると想定される空間の空気質を検出し、その検出情報に基づいて運転制御することができる。
【0053】
<第2実施例>
図14を参照し、本実施例のレンジフード100Sについて説明する。なお、重複記載を避けるため、同じ構成要素には同じ符号を付して説明を省略し、上記実施例と異なる部分を中心に説明する。レンジフード100Sは、
図1に示すように、住宅HSのキッチンの調理器上方に設置され、屋内の空気を換気するための装置である。レンジフード100Sは、大きな吸引力を有するファン94によりキッチンでの調理により発生する油煙等を吸い込み、屋外へ排出すると共に、小型ファン94Sによりキッチンから離れた例えばリビングルームの空気に含まれる様々な物質を空気と共にレンジフード100Sまで引き寄せてきて吸い込み、リビングルーム内に発生すると想定される物質を検出し、その検出情報に基づいて運転し、リビングルーム内の空気質の改善に寄与する。
【0054】
レンジフード100Sは、フード部91と、フード部91の上に連結された本体部92と、本体部92の内部に収められたファンケーシング93と、ファンケーシング93の中に含められ、大きな風量の気流を発生させるファン94(第1送風機)と、ファン94により発生した気流を吸い込む吸込開口部95と、吸い込んだ気流を排出する吐出口96と、小さな風量の気流を発生させる小型ファン94S(第2送風機)と、小型ファン94Sにより発生した気流を吸い込む吸気孔11aと、吸気孔11aから吸い込んだ空気の空気質を検出する検出部10と、ファン94および小型ファン94Sの運転を制御するRH制御部20、フード部91の下部に設けられ、油煙等を捕獲する内面パネル97と、内面パネル97の下方に所定の隙間を空けて取り付けられた整流板98と、表示部40と、通信部50と、エラー検知部14と、を備える。
【0055】
吸込開口部95からファン94を経て吐出口96に流れる気流の流路を主たる流路とすれば、小型ファン94Sが、吸気孔11aから吸気して、接続ダクト11b、接続ダクト排出孔11d、検出部10を通って、本体部92の側面に設けられた排気孔11Scに排気する気流の流路は副流路(
図14の一点鎖線)となる。副流路は、RH制御部20が制御する小型ファン94Sが回転することで、吸気孔11aから空気が吸引されて形成される。副流路における風量は、主流路の風量より小さい。検出部10は、その副流路内に設けられ、その空気の空気質を検出する。レンジフード100Sは、上記実施例と同様に、少なくとも、換気モードと、換気モードよりも小さい風量で空気を間欠的に吸い込み、検出部10で空気質の検出を行う探索運転を行う探索モードと、を備える。
【0056】
RH制御部20は、本体部92の内部に設けられ(図示せず)、検出部10が検出した検出情報に基づいてファン94Sの運転制御を行う。RH制御部20は、ファン94が運転していない時にファン94Sを運転することが好ましい。これにより、レンジフード100Sは、非調理時にも空気質を検出することができる。また、調理時の空気は吸い込まないので検出部10の汚れや故障を軽減できる。また、RH制御部20は、換気モードにおいてファン94を運転し、探索モードにおいてファン94Sを運転してもよい。このように、ファン94Sは、料理がなされる換気モードのときには運転されないことで、検出部10に油煙等の付着を少なくしその汚れや故障リスクを低減することができる。また、RH制御部20は、探索モードにおいて上記実施例のようにファン94による探索運転を行った後にファン94Sを運転してもよい。このように、風量の大きなファン94でレンジフード100Sが設置された空間から離れた空間の空気を引き寄せてきた後にファン94Sを運転することで、効率的に離れた空間の空気質を検出することができる。
【0057】
なお、本発明は、例示した実施例に限定するものではなく、特許請求の範囲の各項に記載された内容から逸脱しない範囲の構成による実施が可能である。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【符号の説明】
【0058】
100 レンジフード(換気装置)
10 検出部
11 CO2センサ
11a 吸気孔
11b 接続ダクト
11c 排気孔
12 ガスセンサ
13 臭いセンサ
14 エラー検知部
20 RH制御部(運転制御部)
21 差分値取得部
30 操作スイッチ
40 表示パネル
50 通信部
91 フード部
92 本体部
93 ファンケーシング
94 ファン(第1送風機)
94S 小型ファン(第2送風機)
95 吸込開口部
96 吐出口
97 内面パネル
98 整流板
99 幕板