(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091168
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】ボール発射装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/40 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
A63B69/40 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203807
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】596017602
【氏名又は名称】共和技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】田中 完ニ
(72)【発明者】
【氏名】田中 慎一郎
(57)【要約】
【課題】発射筒の余分な長さを削減しつつ発射筒に投入したボールの空気圧の付与のためのセットを確実にして、発射されるボールに必要な回転を付与するボール発射装置を提供する。
【解決手段】本発明のボール発射装置は、ボールを発射する際に前記ボールを移動させる発射筒と、前記発射筒内部にボールを供給する供給口と、前記発射筒内部に備わると共に前記供給口から供給される前記ボールを受けるボールホルダーと、前記ボールホルダーの角度を回動させる角度駆動部と、前記ボールホルダー内部にある前記ボールに空気圧を付与する空気圧付与部と、前記空気圧付与部による空気圧の付与を受けて前記発射筒内部を移動するボールと接触して摩擦を付与する摩擦体と、を備え、前記摩擦体による摩擦によって回転が付与されて、前記ボールが前記発射筒から発射される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボールを発射する際に前記ボールを移動させる発射筒と、
前記発射筒内部にボールを供給する供給口と、
前記発射筒内部に備わると共に前記供給口から供給される前記ボールを受けるボールホルダーと、
前記ボールホルダーの角度を回動させる角度駆動部と、
前記ボールホルダー内部にある前記ボールに空気圧を付与する空気圧付与部と、
前記空気圧付与部による空気圧の付与を受けて前記発射筒内部を移動するボールと接触して摩擦を付与する摩擦体と、を備え、
前記摩擦体による摩擦によって回転が付与されて、前記ボールが前記発射筒から発射される、ボール発射装置。
【請求項2】
前記ボールホルダーは、供給された前記ボールを固定する固定部を備え、
前記空気圧付与部による空気圧付与の際には、前記ボールは前記ボールホルダーの中で固定されている、請求項1記載のボール発射装置。
【請求項3】
前記固定部は、前記ボールホルダー内部において、供給されたボールを固定するテーパー部を含む、請求項3記載のボール発射装置。
【請求項4】
前記ボールホルダーは、前記供給口の軸および前記空気圧付与部による空気圧付与の軸とが交差する位置であって前記空気圧付与部の直前に備わる、請求項1から3のいずれか記載のボール発射装置。
【請求項5】
前記ボールホルダーは、対向する方向に対となる開口部を有し、
前記供給口から前記ボールが供給される際には、前記開口部は、前記供給口に連通する上側に向いており、
前記空気圧付与部から空気圧が付与される際には、対となる前記開口部のそれぞれは、前記発射筒の射出口および前記空気圧付与部を向いている、請求項1から4のいずれか記載のボール発射装置。
【請求項6】
前記角度駆動部は、前記ボールへの空気圧が付与される前に、前記ボールホルダーを回動させて、対となる前記開口部のそれぞれを、前記射出口および前記空気圧付与部に向ける、請求項5記載のボール発射装置。
【請求項7】
前記空気圧付与部は、前記開口部の一方から、前記ボールに空気圧を付与し、
空気圧を付与された前記ボールは、前記開口部の他方から、前記発射筒を移動して前記射出口から発射される、請求項6記載のボール発射装置。
【請求項8】
前記供給口に前記ボールが供給されたことを検出する検出部を更に備え、
前記角度制御部は、前記検出部が前記ボールの供給を検出すると、前記ボールホルダーを回動させる、請求項6記載のボール発射装置。
【請求項9】
前記ボールホルダーにおいて空気圧が付与された前記ボールは、前記発射筒内部を移動して、前記摩擦体と接触可能である、請求項1から7のいずれか記載のボール発射装置。
【請求項10】
前記摩擦体と接触する前記ボールは、回転が付与された状態で、前記射出口から発射される、請求項9記載のボール発射装置。
【請求項11】
前記摩擦体は、前記発射筒内部に対しての突出量を変化可能であり、
前記摩擦体は、前記発射筒内部における取り付け位置を変化可能である、請求項1から10のいずれか記載のボール発射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球やテニスなど、ボールを使った球技の練習などにおいて使用されるボール発射装置であって、空気圧を用いたボール発射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野球でのバッティング練習や、テニスでのストローク練習などにおいて、野球ボールやテニスボールを自動で発射するボール発射装置が用いられる。野球の練習に使用されるボール発射装置は、ピッチングマシンやバッティングマシーンと呼ばれる。このようにピッチングマシンやバッティングマシーンと呼ばれるボール発射装置が、野球のバッティング練習やテニスのストローク練習などで、練習者にとって利用されている。
【0003】
このようなボール発射装置の例として、先端にボールを載せたアームを回転させてボールを発射する装置(例えば、特許文献1参照)や、近接させた一対のロータの間にボールを通して、一対あるいは3つのロータの回転によりボールを発射する装置(例えば、特許文献2参照)が使用されている。
【0004】
特許文献1に開示されるようなアームを回転させてボールを発射する態様のものを、本明細書では「アーム式発射装置」という。また、特許文献2に開示される一対のロータの回転によりボールを発射する態様のものを、本明細書では、「ロータ式発射装置」という。
【0005】
ここで、ボール発射装置から発射される直球のボールは、ボールの発射方向(進行方向)に対して略垂直方向の回転軸をもって進行する。すなわち、進行方向に直交する回転軸によりバックスピンしながら進行する。発射されるボールに回転が無いと、発射されるボールは落下したりおかしな軌道を描いて進行したりしてしまうからである。
【0006】
すなわち、ボール発射装置は、ボールの発射に際して必要となる十分な回転をボールに付与することが求められる。この回転の付与が無いままに発射されると、基本となる直球が発射できないばかりか、定まらない軌道でのボールが到達することになり、野球のバッティング練習などに不向きとなるからである。
【0007】
これは、野球に限らずテニスなどの球技においても同様である。発射されるボールに十分な回転が付与されていないと、発射されるボールの飛翔や軌道が不安定となってしまい、練習などに不適な状態となってしまう。特に、直球をはじめとしたボールであって、発射のたびに適切で一定の軌道を描くボールが発射されるためには、十分かつ一定に保たれるのに十分な回転数が付与されることが必要である。
【0008】
特許文献1に代表されるアーム式発射装置は、アームの先端の受け皿にボールを載せて、アームの振り下ろしによってボールを発射する。このアームの受け皿での振り下ろしの際の摩擦のみで、ボールに回転が付与される。このため回転数が不十分となりやすい。勿論、回転数の制御ができない。また、ボールや受け皿が雨などで濡れている場合にも、ボールに付与される回転数が不十分となる問題がある。
【0009】
特許文献2に代表されるロータ式発射装置では、対向する2つのロータに送り出される際に、ボールに回転が付与される。しかし、2つのロータで送り出されることで、回転が相殺されてしまい、十分な回転数が付与されないこともあり得る。回転数を変化させるためには都度の調節などを必要とする。また、雨などによりボールやロータが濡れると、ロータでの送り出しでボールが滑ってしまい、どうしても回転数が十分に付与されないこともある。
【0010】
さらには、アーム式やロータ式のボール発射装置では、ボールが投じられる段階でのアームやロータとの接触のみで、ボールに回転が付与される。このため付与される回転数はどうしても不十分になり、発射されるボールが低速であったり高速であったりすると、ボールの速度と回転数とのアンバランスにより、発射されるボールの軌道が安定しない問題も生じる。
【0011】
また、アーム式やロータ式のボール発射装置では、装置の大型化や使用できる場所を選ぶなどの別の問題もある。また、球速などのバリエーションを広げることも難しい問題もある。
【0012】
このため、アーム式やロータ式ではなく、空気圧によりボールを発射する空気圧ボール発射装置の技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0013】
空気圧によるボールの発射により、発射速度の多様化や装置の小型化、使用できる場所の幅広さの確保などを実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平9-38266号公報
【特許文献2】特開2000-107339号公報
【特許文献3】特表2007-528764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献3は、縫目のあるボール26を、ボール投球装置10から投球される前に回転させる構造12及び方法に関する。本構造は野球のようなスポーツにおいて投球されるボールを模擬することができる。本構造は、少なくとも1組の対向するボール支持体28A、28Bを備えており、このボール支持体は、ボールが本構造から発射される前に、まず装填されたボールを予め決定された配置に設置し、次に予め決定された量の回転をボールに与えるボール投球装置を開示する。
【0016】
特許文献3は、筒内部の凸部などによる接触ではなくボールそのものを支持部材で回転させてから発射することを開示している。
【0017】
しかしながら、特許文献3は、回転しているボールをどのような機構や仕組みで発射するのかについて開示が無い。また、4方向からの支持部材でボールを把持して回転させているので、この状態からボール発射をするまでに処理時間を要する問題や、ボールを発射する際には回転が大きく減少してしまっている問題もある。
【0018】
また、ボールが支持部材に供給されてから発射筒によりボールが発射される一連の構造が不明瞭であるので、ボールのセットから回転付与を経て発射するまでの所要時間が大きくなりすぎる問題もある。また、4つの支持部材によりボールを把持することが前提であるが、バッティング練習などで使用されるボールのそれぞれでは、製造のばらつきや使用頻度によって、その直径や外形にわずかな相違がある。このため、4つの棒状の支持部材により、直径や外形に相違のあるボールのそれぞれを確実に把持させるのは難しい問題がある。
【0019】
把持させるのが難しいのを解消しようとして、支持部材を一つずつセットして把持しようとすると、ボールの支持部材へのセットに時間を要する問題がある。加えて、発射筒の中心に合わせた位置にボールをセットできず、ボールの発射軌道が不安定になる問題も有している。
【0020】
特に、特許文献3の開示内容によれば、ボールは発射筒の先端から投入されて後端にある支持部材にセットされる。このような構造では、発射筒が水平ないしは前方に傾いている状態ではボールがセットされない。これを回避するために、ボールをセットするたびに、発射筒を前方上向きにすると、ボール発射の際には発射筒の平面に対する角度を変化させるという動作を追加する必要がある。手作業であれば、ボール発射装置を使用した練習において、補助作業者を必要とする問題がある。自動にすると、機構の複雑化や故障要因の増加などに繋がり、使い勝手が悪い問題が生じる。勿論、発射間隔も長くなり、練習に不向きである。特にバッティングセンターなどでは、顧客不満足となってしまう問題も生じる。
【0021】
特許文献3のように、ロータ式やアーム式の問題を解決するために、空気圧を付与してボールを発射する発射装置の場合には、整理すると次のような問題が残っている。
【0022】
(1)回転を強制的に生じさせる場合には、装置の大型化や複雑化を招く。
(2)発射筒にボールを投入して設置するために、投入されたボールを空気圧の付与可能な位置まで移動させて固定させる機構が必要となる。結果として、発射筒の長さが長くなってしまい、使い勝手が悪くなり設置条件も悪くなる。
(3)ボールに空気圧を付与するためにボールを固定するための機構や処理が複雑となる。このため、発射筒にボールをセットするのに要する時間が大きくなる。発射スパンが長くなってしまう。
【0023】
本発明は、発射筒の余分な長さを削減しつつ発射筒に投入したボールの空気圧の付与のためのセットを確実にして、発射されるボールに必要な回転を付与するボール発射装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記課題に鑑み、本発明のボール発射装置は、ボールを発射する際に前記ボールを移動させる発射筒と、
前記発射筒内部にボールを供給する供給口と、
前記発射筒内部に備わると共に前記供給口から供給される前記ボールを受けるボールホルダーと、
前記ボールホルダーの角度を回動させる角度駆動部と、
前記ボールホルダー内部にある前記ボールに空気圧を付与する空気圧付与部と、
前記空気圧付与部による空気圧の付与を受けて前記発射筒内部を移動するボールと接触して摩擦を付与する摩擦体と、を備え、
前記摩擦体による摩擦によって回転が付与されて、前記ボールが前記発射筒から発射される。
【発明の効果】
【0025】
本発明のボール発射装置は、発射筒に投入されたボールがボールホルダーに入る。ボールホルダーは、ボールに空気圧が付与される位置に備わっており、入ったボールをボールホルダーの中で固定される。この固定によって、ボールは発射筒に投入された位置で空気圧の付与を受けることができる。
【0026】
従来技術のように、投入後にボールを発射位置まで移動させて固定するなどの機構を不要とできる。この機構を不要とできることで、発射筒を短くできる。
【0027】
また、ボールホルダーは、ボールが投入される時には投入口に対して開口部を向けており、ボールが入ると開口部を発射筒に沿った方向に変化させる。これにより、ボールの投入、固定、空気圧付与可能状態へと、短時間で変化させて行ける。これにより、ボール投入後からボールを発射するまでの時間間隔を短くできる。
【0028】
また、発射されるボールに対して、発射筒の中で摩擦体と接触させることで回転を付与することができる。この結果、発射されるボールの軌道安定性を高めることができる。また、場合によっては、ボールの変化方向などを制御することもできる(球種を制御できる)。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】従来技術における空気圧を用いたボール発射装置の側面図である。
【
図2】本発明の実施の形態1におけるボール発射装置の側面図である。
【
図3】本発明の実施の形態1におけるボール発射装置のボール設置部の内部を上から見た状態の模式図である。
【
図4】本発明の実施の形態1におけるボールホルダー周辺を上から見た平面図である。
【
図5】本発明の実施の形態1におけるボールホルダー周辺を上から見た平面図である。
【
図6】本発明の実施の形態1におけるボールホルダーからボールが発射される状態を示す平面図である。
【
図7】本発明の実施の形態1におけるボール発射装置を上から見た平面図である。
【
図8】本発明の実施の形態1におけるボールが供給される状態のボール発射装置の側面図である。
【
図9】本発明の実施の形態1におけるボールホルダー50が回動して発射状態となったボール発射装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の第1の発明に係るボール発射装置は、ボールを発射する際に前記ボールを移動させる発射筒と、
前記発射筒内部にボールを供給する供給口と、
前記発射筒内部に備わると共に前記供給口から供給される前記ボールを受けるボールホルダーと、
前記ボールホルダーの角度を回動させる角度駆動部と、
前記ボールホルダー内部にある前記ボールに空気圧を付与する空気圧付与部と、
前記空気圧付与部による空気圧の付与を受けて前記発射筒内部を移動するボールと接触して摩擦を付与する摩擦体と、を備え、
前記摩擦体による摩擦によって回転が付与されて、前記ボールが前記発射筒から発射される。
【0031】
この構成により、発射筒に投入された位置でボールが固定されると共に、その固定位置で空気圧の付与を受けて発射される。結果として、固定に要する余分な駆動機構などを必要とせず、全体の短小化を実現できる。
【0032】
本発明の第2の発明に係るボール発射装置では、第1の発明に加えて、前記ボールホルダーは、供給された前記ボールを固定する固定部を備え、
前記空気圧付与部による空気圧付与の際には、前記ボールは前記ボールホルダーの中で固定されている。
【0033】
この構成により、ボールに空気圧が付与される際には、ボールが固定されているので、空気圧の付与による発射圧力を十分に活用できる。
【0034】
本発明の第3の発明に係るボール発射装置では、第2の発明に加えて、前記固定部は、前記ボールホルダー内部において、供給されたボールを固定するテーパー部を含む。
【0035】
この構成により、固定部は、投入されたボールを、確実に固定できる。
【0036】
本発明の第4の発明に係るボール発射装置では、第1から第3のいずれかの発明に加えて、前記ボールホルダーは、前記供給口の軸および前記空気圧付与部による空気圧付与の軸とが交差する位置であって前記空気圧付与部の直前に備わる。
【0037】
この構成により、発射筒の長さを短小化できる。
【0038】
本発明の第5の発明に係るボール発射装置では、第1から第4のいずれかの発明に加えて、前記ボールホルダーは、対向する方向に対となる開口部を有し、
前記供給口から前記ボールが供給される際には、前記開口部は、前記供給口に連通する上側に向いており、
前記空気圧付与部から空気圧が付与される際には、対となる前記開口部のそれぞれは、前記発射筒の射出口および前記空気圧付与部を向いている。
【0039】
この構成により、固定部が回動することで、ボールの受け取り、ボールの固定、固定した状態での空気圧の付与という一連の動作を実現することができる。
【0040】
本発明の第6の発明に係るボール発射装置では、前記角度駆動部は、前記ボールへの空気圧が付与される前に、前記ボールホルダーを回動させて、対となる前記開口部のそれぞれを、前記射出口および前記空気圧付与部に向ける。
【0041】
この構成により、空気圧の付与により、ボールは発射筒に沿って発射されるようになる。
【0042】
本発明の第7の発明に係るボール発射装置では、第6の発明に加えて、前記空気圧付与部は、前記開口部の一方から、前記ボールに空気圧を付与し、
空気圧を付与された前記ボールは、前記開口部の他方から、前記発射筒を移動して前記射出口から発射される。
【0043】
この構成により、固定されているボールには十分な空気圧が無駄なく付与され、この付与によって、発射筒に沿ってボールが発射される。
【0044】
本発明の第8の発明に係るボール発射装置では、第6の発明に加えて、前記ボールホルダーは、内部に前記ボールが供給されたことを検出する検出部を更に備え、
前記角度制御部は、前記検出部が前記ボールの供給を検出すると、前記ボールホルダーを回動させる。
【0045】
この構成により、ボールの投入から発射までの時間間隔の短縮化と効率化を図ることができる。
【0046】
本発明の第9の発明に係るボール発射装置では、第1から第8のいずれかの発明に加えて、前記ボールホルダーにおいて空気圧が付与された前記ボールは、前記発射筒内部を移動して、前記摩擦体と接触可能である。
【0047】
この構成により、ボールに回転が付与される。回転が付与されることで、安定した軌道での発射が実現される。
【0048】
本発明の第10の発明に係るボール発射装置では、第9の発明に加えて、前記摩擦体と接触する前記ボールは、回転が付与された状態で、前記射出口から発射される。
【0049】
この構成により、軌道の安定した発射が実現できる。
【0050】
本発明の第11の発明に係るボール発射装置では、第1から第10のいずれか記載の前記摩擦体は、前記発射筒内部に対しての突出量を変化可能であり、
前記摩擦体は、前記発射筒内部における取り付け位置を変化可能である。
【0051】
この構成により、回転方向を様々にすることができ、球種を変化させることができる。
【0052】
以下、図面を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0053】
(発明者による解析)
発明者は、従来技術における空気圧によるボール発射装置の問題点について、次のように解析した。
【0054】
図1は、従来技術における空気圧を用いたボール発射装置の側面図である。ボール発射装置200は、発射筒201、圧縮空気タンク202、摩擦付与部材203、ボール供給部205、ボール設置部206をはじめとして、筐体や支持体などを備えている。ボール発射装置200の発射筒201には、発射筒201に設けられたボール供給部205からボール100が供給される。ボール供給部205は、発射筒201の途中に設けられると共に発射筒201の内部に連通している。この連通によって、ボール供給部205は、ボール100を発射筒201内部に供給する。すなわち、ボール100は、発射筒201に投入される。
【0055】
発射筒201に投入されたボール100は、発射筒201の前方に移動される。前方には、空気圧付与部207が備わるからである。空気圧付与部207において、ボール100は、圧縮空気タンク202からの空気圧を、空気圧付与部207において受ける。
【0056】
ここで、空気圧付与部207は、発射筒201の前方にあり、ボール供給部205よりも後ろにある。このため、ボール供給部205に投入されたボール100は、前方に移動させられる。
図1の矢印Aが、この移動方向である。この移動により、ボール100は、空気圧付与部207にセットされる。空気圧付与部207にセットされることで、ボール100には空気圧が付与されるようになる。
【0057】
このように、ボール供給部205から発射筒201内部に投入されたボール100は、発射筒201の前方に移動させられて、空気圧付与部207にセットされることで発射可能となる。圧縮空気タンク202からの空気圧が最大に付与される位置である空気圧付与部207でのセットが必要だからである。
【0058】
このような構造のために、発射筒201は、長くならざるを得ない。また、発射筒201内部に投入されたボール100を、前方の空気圧付与部207に移動させるための機構を必要とする問題もある。
【0059】
空気圧が付与される発射筒201の前方に直接ボール100を供給することで、上記の問題点を解決することも考えられる。しかしながら、空気圧の付与位置にボールを供給するだけでは、ボールが固定されない。加えて、空気圧の付与を受ける場合に、発射筒の内部とボールの隙間から空気が漏れて発射圧力が不十分となる。このため、これだけで上記問題を解決できない。
【0060】
発明者はこのような解析結果に基づいて、本発明に至った。
【0061】
(全体概要)
【0062】
図2は、本発明の実施の形態1におけるボール発射装置の側面図である。
図3は、本発明の実施の形態1におけるボール発射装置のボール設置部の内部を上から見た状態の模式図である。
【0063】
ボール発射装置1は、発射筒2、供給口3、ボールホルダー50、角度駆動部7、制御部9、空気圧付与部41、摩擦体8と、を備える。また、供給口3からボール100が設置される領域として、ボール設置部5が備わる。また、全体を支持する台座11、ボール100に空気圧を付与する圧縮空気空気タンク4を備える。
【0064】
このボール設置部5内部のボールホルダー50で固定されたボール100に、空気圧付与部41により空気圧が付与される。また、ボールホルダー50は、供給口3に連通する位置にある。すなわち、供給口3から落下して供給されるボール100は、その下にあるボールホルダー50に受け取られる。この位置状態で、空気圧付与部41からの空気圧の付与を受ける。すなわち、ボール発射装置1は、ボール100が供給される供給口3に対応する位置で、ボール100に空気圧を付与できる。
【0065】
すなわち、ボール100を供給する位置で、ボール100を発射できる。
図1で解析したようなボール100が投入された後で、発射筒の前方に引き戻す必要が無い。これにより、発射筒2の長さを短くすることができる。加えて、ボール100の引き戻しのための複雑な機構なども不要とできる。
【0066】
また、空気圧付与部41により空気圧の付与を受けたボール100は、発射筒2を移動して射出口21から発射される。この発射の際に、ボール100は、発射筒2内部に設けられた摩擦体8と接触する。この接触により摩擦力の付与を受ける。この摩擦力によって、ボール100には回転が付与される。この回転によって、射出口21から発射されるボール100の軌道が安定する。また、回転方向によっては、発射されるボール100の球種を切り替えることもできる。
【0067】
ボール100は、ボール設置部5に設けられた供給口3からボール設置部5に供給される。供給口3は、ボール設置部5に対応する位置において、発射筒2内部に繋がる孔を備える。この孔からボール100が投入されることで供給される。供給口3は、発射筒2に対して上部に備わる。このため、供給口3は、ボール100を自由落下によって、ボールホルダー50に投入することができる。
【0068】
ボールホルダー50は、供給口3の下となる位置関係に備わる。このため、供給口3から落下によって投入されたボール100は、そのままボールホルダー50の内部に入る。ボールホルダー50は、ボール100の外形に対応した形状と大きさを有している。この形態によって、ボールホルダー50は、ボール100を受け取ることができる。
【0069】
また、ボールホルダー50の内部には、テーパー部が備わることも好適である。このテーパー部にはまり込むことで、供給されたボール100が固定されやすくなる。また、ボール100の直径とテーパー部との角度との調整により、テーパー部に挟まれて固定されるボール100の位置は、ボール100の中心軸と、発射筒2の中心軸とがそろうようになっている。このようにボールホルター50は、ボール100を、最適な位置で確実に固定できる。
【0070】
この結果、供給口3から落下投入されるボール100は、そのままボールホルダー50に設置される。この設置により、ボール100は、発射筒2内部で空気圧の付与を受けるための状態が整う。
【0071】
角度駆動部7は、ボールホルダー50を回動させる。回動によって、ボールホルダー50の開口部が、発射筒2に平行に沿った位置関係となる。この結果、ボールホルダー50に設置されたボール100の背面は、空気圧付与部41による空気圧の付与が可能となり、空気圧の付与を受けたボール100は発射筒2の射出口21に移動可能な状態となる。
【0072】
ボール100が供給される時には、ボールホルダー50は供給口3に連通して開口しており、ボール100が空気圧の付与を受けて発射される時には、ボールホルダー50は、発射筒2に平行な方向で開口している。このように開口方向が供給口3方向(発射筒2に対して略垂直方向)を向いている状態と、開口方向が射出口21と空気圧付与部41(発射筒2に対して略平行方向)を向いている状態とが、角度駆動部7によって変化させられる。
【0073】
この変化に伴って、ボールホルダー50へのボール100の設置とボールホルダー50からのボール100の発射とが行われる。このとき、投入(供給)されたボール100は、ボールホルダー50において固定された状態となる。この状態により、空気圧付与部41による空気圧の付与で発射される。
【0074】
すなわち、供給口3から供給されたボール100は、供給口3に対応する位置にあるボールホルダー50に設置される。この設置状態から、ボールホルダー50の角度が回動して、空気圧付与部41による空気圧の付与によって、ボールホルダー50の位置からボール100が発射される。すなわち、ボールホルダー50においては、発射筒2に対して略垂直方向にボール100が供給され、略平行方向に発射される。ボールホルダー50を基点とするだけで、ボール100の供給と発射とが行われる。
【0075】
ボールホルダー50のすぐ後ろに空気圧付与部41が備わるので、空気圧付与部41による空気圧の付与は、ボール100がボールホルダー50に設置されている状態で可能である。すなわち、ボール100の供給と発射は、発射筒2に備わるボールホルダー50の位置のみで実現可能である。
【0076】
ボールホルダー50が角度駆動部7によって回動されて、ボールホルダー50の開口方向が発射筒2に略平行となる。開口部は、空気圧付与部41と射出口21とに向く。この回動後となったところで、空気圧付与部41は、ボール100に空気圧を付与する。この付与によって、ボール100は、発射される。なお、ここで、角度駆動部7による回動で、開口部55が発射筒2に沿った方向となったことを検出する検出要素が備わっていることも好適である。
【0077】
ボール100は、発射において、発射筒2内部を移動する。この移動中に、摩擦体8に接触する。この接触により摩擦力を受けて、ボール100には回転が付与される。
【0078】
ボール100は、射出口21から、回転状態で発射される。この回転状態での発射により、ボール100は安定した軌道で発射される。例えば、逆回転が掛かることで、いわゆる直球として発射される。また、摩擦体4の発射筒2内部の位置関係によって、ボール100に横方向や斜め方向などに回転が付与されることもできる。このような回転方向の場合には、変化球としてのボール100が発射される。
【0079】
このように、ボール発射装置1は、発射筒2を短くできかつ構造をシンプルにできる。発射筒2が短いことで、運動場などの屋外での使用が容易になるメリットもある。また、摩擦体8による回転付与により、ボール100の軌道を安定させた発射も可能となる。
【0080】
次に、各部の詳細やバリエーションについて説明する。
【0081】
(発射筒)
発射筒2は、ボール100を発射する本体部である。発射筒2は、内部断面は円形であり、発射されるボール100の形状や大きさに合わせられていればよい。なお、外形は、円筒形でも角筒形状でもよい。上述した通り、発射筒2の一部は、ボール設置部5になっている。このボール設置部5にボールホルダー50が備わる。
【0082】
発射筒2は、実際にボール100が射出される射出口21を先端に設けている。この射出口21からボール200は、発射される。従来技術のように、供給口3に投入されたボール100を、空気圧付与のために発射筒2の前方に移動させる必要が無いので、発射筒2を短くすることができる。
【0083】
また、発射筒2内部の内径と形状は、ボール100の直径と形状に合わせられることも好適である。ボール100に付与される空気圧の空気を、発射筒2内部でボール100に十分に付与できる(ボール100の周辺で漏れにくい)。よって、発射筒2から効率よく発射できる。また、発射筒2内部には、射出口21側に摩擦体8が取り付けられる。この摩擦体8の取り付けに対応する形状や内径を有していることも好適である。また、摩擦体8の取り付け部材を、発射筒2が備えていることも好適である。
【0084】
ボール設置部5に供給口3が備わる。供給口3の上に、ボール100を誘導する誘導管路31などが設けられてもよい。この誘導管路31により、ボール100が供給口3から発射筒2内部に供給される。
図2では、誘導管路31は、略垂直の形態を持っているが、斜めであったりスパイラル構造などであったりしてもよい。
【0085】
供給口3は、誘導管路31から繋がっており、発射筒2内部に連通する孔である。この孔により、落下してきたボール100が、発射筒2内部に投入される。この投入によって、供給口3からボール100がボールホルダー50に供給されて設置される。
【0086】
(ボールホルダー)
ボールホルダー50は、供給口3および空気圧付与部41による空気圧付与の位置に対応する位置に備わる。この位置に備わることで、供給口3から入ってきたボール100は、そのままボールホルダー50にセットされる。加えて、ボールホルダー50に設置されたボール100がそこから発射されるようになる。
【0087】
ボールホルダー50は、ボール100の形状と大きさに合わせた形状を有している。特にボール100を受けることのできる内部形状を有している。すなわち、球形に対応する内部形状を有している。このような内部形状を有することで、投入されたボール100をそのまま受け取ることができる。また受け取ったボール100を、発射可能な状態として保持することが(設置状態とすることが)できる。上述したように、ボールホルダー50内部に、両側からボール100をはさむテーパー部が備わることで、ボールホルダー50内部で、適切な位置でボール100が固定されることでもよい。他の手段や機構によって、ボールホルダー50内部で、ボール100が固定されることでもよい。
【0088】
このような形状を有することで、ボールホルダー50は、ボール100を発射可能とするためにセットすることができる。
【0089】
また、
図2に示されるように、ボールホルダー50は、供給口3と空気圧付与部41による空気圧付与の位置とが交差する位置に備わる。また、発射筒2内部において、ボールホルダー50は空気圧付与部41の直前に位置する。このような位置関係により、供給口3から投入されたボール100は、その位置で発射される。従来技術のように、ボール100が、前方に移動させられる必要が無い。結果として、構造をシンプルにできると共に発射筒2の長さを短くできる。
【0090】
(固定部)
【0091】
ボールホルダー50は、その内部空間に供給されたボール100を固定する固定部材を備えることでもよい。上述したように、ボールホルダー50内部のテーパー部によって固定されてもよいが、部材としての固定部材によって固定されることでもよい。例えば、ボール100を両側から挟持する把持部材のようなものが使用されてもよい。このような固定部材が用いられることで、ボールホルダー50の内部で、ボール100が確実に固定されるようになる。
【0092】
また、把持部材のような固定部材が使用される場合には、空気圧付与部41による空気圧付与の瞬間に、その把持圧力が弱まるように制御されることも好適である。これにより、空気圧の付与によるボール100の発射がスムーズに行われる。
【0093】
空気圧付与部41による空気圧の付与の際に、固定されていることで、ボール100が揺動するなどがなく、付与された空気圧による発射圧力の最大化が図られるからである。また、発射方向のベクトルが適切となり、発射筒2を通じたボール100の移動が確実に行われる。
【0094】
ボール100が内部空間に供給されたことを検出する検出部56を更に備えている。例えば、赤外線センサーやレーザーセンサーを検出部56として備えている。赤外線センサーやレーザーセンサーによって、ボールホルダー50の内部空間にボール100が供給されたことが検出される。この供給検出がされた場合には、ボールホルダー50の内部でボール100が固定されることも示している。ボールホルダー50に供給されると、ボール100が固定されることにもつながるからである。
【0095】
制御部9は、このボール供給を検出すると、角度駆動部7にボールホルダー50の角度を回動させる。この回動により、ボールホルダー50の開口部55は、発射筒2の方向に沿うようになる。
【0096】
あるいは、上述したように、ボールホルダー50内部において固定部材によりボール100を固定する場合には、制御部9は、ボール供給を検出すると、まず固定部材によるボール100の固定を行わせる。その後で、角度駆動部7にボールホルダー50の角度を回動させる。
【0097】
なお、制御部9は、供給口3によるボールの供給、ボールホルダー50の動作、角度駆動部7、空気圧付与部41などの動作を制御する。また、必要に応じて、使用者によるボール発射装置1の操作を受けて、これらの操作に基づく動作を制御する。すなわち、制御部9は、ボール発射装置1全体の動作を制御する(その全体制御の中で、必要となる個々の要素を制御する)。
【0098】
固定部51については、上述を例として説明したが、その他の機構や仕組みによって、ボール100がボールホルダー50の中で固定されればよい。
【0099】
(開口部)
図4は、本発明の実施の形態1におけるボールホルダー周辺を上から見た平面図である。
図5は、本発明の実施の形態1におけるボールホルダー周辺を上から見た平面図である。
図4、
図5では、ボールホルダー50が備える開口部の方向変化を示している。すなわち、角度駆動部7によるボールホルダー50の回動状態を示している。
【0100】
図4は、開口部55が供給口3に対向している状態を示しており、
図5は、開口部55が発射筒2に沿った方向に対向している状態を示している。すなわち、
図4から
図5にかけて、角度駆動部7は、ボールホルダー50を回動させている。供給口3に対向する上向きから、射出口21に対向する前後方向の向きに回動させるので、角度駆動部7は、
図4から
図5にかけて、ボールホルダー50を略90度回動させている。
【0101】
ボールホルダー50は、対向する方向に対となる開口部55を有する。
図4、
図5は、ボールホルダー50に備わるこの開口部55を示している。供給口3からボール100が供給される場合には、開口部55は、供給口3に連通する上側を向いている。
図4は、この状態である。
【0102】
ボール100がボールホルダー50の内部空間に供給されると、角度駆動部7は、ボールホルダー50を回動させる。この回動によって、ボールホルダー50の開口部55は、射出口21および空気圧付与部41に対向するようになる。
図5は、この状態である。この状態であれば、ボールホルダー50に設置されているボール100は、後方から空気圧の付与を直接受けることができ、受けた空気圧によって射出口21に向けて発射されることができる。すなわち、空気圧付与部41からの空気圧が付与される際には、対となる開口部55のそれぞれは、射出口21および空気圧付与部41のそれぞれを向くようになる。
【0103】
角度回動部7が、ボール100への空気圧が付与される前に、ボールホルダー50を回動させる。この回動によって、対となる開口部55のそれぞれを、射出口21と空気圧付与部41に対向させる。
図5は、この状態である。このとき、固定部51が、ボール100をボールホルダー50の内部空間において固定している。
【0104】
この状態で、空気圧付与部41は、対向している開口部55に連通するボール100の背面に空気圧を付与する。ボールホルダー50の開口部55は空気圧付与部41と射出口21に対向している。このため、空気圧付与部41は、ボール100に直接的に空気圧を付与できる。
【0105】
この空気圧を受けたボール100は、ボールホルダー50の内部空間から、射出口21に対向する開口部55から飛び出す。この飛び出しから発射筒2内部を移動して、ボール100は、射出口21から発射される。
【0106】
図6は、この発射状態を示している。
図6は、本発明の実施の形態1におけるボールホルダーからボールが発射される状態を示す平面図である。
図5の次の状態を示している。このようにして、ボール100は、ボールホルダー50への投入後に、発射される。ボール100が前方に引き戻されたり、特別な機構で発射筒2内部において固定されたりの必要がない。勿論、ボールホルダー50内部にセットされた状態から空気圧の付与を受けるので、発射筒2の発射方向のみに移動ベクトルが働く。結果として、空気圧に比例した初速で、ボール100は発射される。
【0107】
また、発射において、発射筒2の途中で摩擦体8と接触する。この接触で、ボール100は回転をもって発射される。軌道の安定した発射飛行を行える。
【0108】
(検出部)
上述したように、検出部56を更に備える。検出部56は、ボールホルダー50の内部空間にボール100が供給されたことを検出する。例えば、赤外線センサーやレーザーセンサーなどにより、検出部56は、ボール100の供給を検出する。
【0109】
検出部56は、検出結果を角度駆動部7に出力する。角度駆動部7は、ボール100の供給を検出した結果を受けて、ボールホルダー50を回動させる。すなわち、ボールホルダー50の内部空間にボール100が供給された検出に基づいて、ボールホルダー50が回動される。この回動により、供給口3に連通していた開口部55は、発射筒2の発射方向に沿った方向に連通するようになる。すなわち、射出口21と空気圧付与部41とに連通する。
【0110】
あるいは、検出部56は検出結果を制御部9に出力する。制御部9は、この検出結果を受けて、角度駆動部7を動作させて、ボールホルダー50を回動させる。このボールホルダー50の回動によって、開口部55は、発射筒2の発射方向に沿った方向に連通するようになる。
【0111】
回動に基づく連通状態の変化によって、空気圧の付与によりボール100は発射される。制御部9が、空気圧付与部41を制御して、空気圧付与部41による空気圧付与を行わせる。制御部9は、ボールホルダー50の回動が行われて、開口部55が発射筒2の発射方向に連通したことを検出する検出機構からの通知を受け取ることでもよい。この通知を受けることで、発射可能状態を把握したところで、制御部9は、空気圧付与部41に指示を出すことができる。このタイミングでの指示により、空気圧付与部41は、開口部55からボール100が発射筒2内部に射出されることを、確実に行える。
【0112】
(空気圧付与部)
空気圧付与部41は、圧縮空気タンク4に繋がっている。空気圧付与部41は、この圧縮空気タンク4とつながっていることで、圧縮空気タンク4からの圧縮空気をボール100に付与できる。また、
図6のように、空気圧付与部41が空気圧を付与するときは、ボールホルダー50の開口部55が、発射筒2に沿って開いている。
【0113】
これにより、空気圧付与部41は、ボール100の背面に空気圧を付与してボール100を、射出口21まで移動させて外部に発射させることができる。
【0114】
制御部9が、空気圧付与部41を制御する。検出部56によるボール100の検出とこれに続くボールホルダー50の回動を制御部9は把握している。角度駆動部7などの全体動作を制御しているからである。この把握により、制御部9は、動作状況を見て、空気圧付与部41を動作させることができる。上述のような検出機構からの通知も含めて、制御部9は、ボール100の供給、ボールホルダー50の回動を把握できるからである。
【0115】
すなわち、ボールホルダー50にボール100がセットされて、ボールホルダー50が回動して発射可能状態であることを、制御部9は、把握できる。この把握に基づいて、制御部9は、空気圧付与部41を動作させる。この動作によって、空気圧付与部41は、圧縮空気タンク4からの圧縮空気を出力させる。こうして、空気圧付与部41は、ボール100に空気圧を付与できる。
【0116】
なお、空気圧付与部41は、発射するボール100のスピードを変化させるために、付与する空気圧の大きさや量を変化させることができる。制御部9は、使用者の操作に基づいて、空気圧付与部41が付与する空気圧の大きさや量を変化させる。空気圧の大きさが大きければ、発射の初速が早くなり、発射されるボール100の速度を上げることができる。
【0117】
(圧縮空気タンク)
上述したように、空気圧付与部41は、圧縮空気タンク4からの圧縮空気を用いて、ボール100に設定された球速に対応する空気圧を付与する。圧縮空気タンク4は、空気圧付与部41に繋がっている。空気圧付与部41は、発射筒2においてボールホルダー50にセットされたボール100へ空気圧を付与する。
【0118】
このため、圧縮空気タンク4も、発射筒2に繋がって備わっていればよい。圧縮空気タンク4が、発射筒2の後端に繋がっている。これにより、空気圧付与部41は、圧縮空気タンク4からの圧縮空気を発射させて、空気圧としてボール100に付与することができる。
【0119】
(摩擦体)
摩擦体8は、発射筒2内部に備わっている。摩擦体8は、発射筒2内部に対して突出するような形態で備わっており、発射筒2内部を移動するボール100に接触可能である。接触によって、ボール100には摩擦力が付与される。この摩擦力の付与を移動中に受けたボール100は、回転力を受ける。この回転力によって、回転しながら、ボール100は射出口21から発射される。回転をもって発射されることで、安定軌道でボール100は飛行する。また、回転方向によって、直球、カーブ、シュート、スライダーなどの変化球を発射することもできる。
【0120】
接触可能であることで、例えば、摩擦体8の取り付け方や摩擦体8の内部への突出量によっては、ボール100に接触しない状態を作ることも可能である。例えば、ボール100を無回転に近い状態で発射したい場合には、ボール100に摩擦体8が接触しないように設定できる。
【0121】
摩擦体8が、発射筒2に取り付け部材によって取り付けられたりする。この取り付け部材の調整によって、摩擦体8の発射筒2内部に対する突出量を変化させることができる。
【0122】
この突出量の変化によって、摩擦体8は、ボール100に接触するようになったり非接触になったりを変えることができる。あるいは、突出量の変化によって接触度合いの強弱を変えたりすることができる。突出量が大きければ、摩擦力が大きく、ボール100に付与する回転量を大きくできる。逆に、突出量が小さければ、摩擦力が小さく、ボール100に付与する回転量を小さくできる。
【0123】
このように摩擦体8の突出量を変化させることによって、発射されるボール100へ付与できる回転量を変化させることができる。勿論、ボール100へ回転を付与しないこともできる。
【0124】
また、摩擦体8は、発射筒2内部における取り付け位置を変化可能である。
図2では、摩擦体8が発射筒2の上方に備わっている。上方に備わっているので、摩擦体8は、上方から下方に向かって突出しており、発射筒2内部を移動するボール100の上面に接触するようになる。
【0125】
摩擦体8は、発射筒2の横、下、斜め側面などの位置に取り付けられてもよい。このような様々な位置に取り付けられることで、ボール100に異なる回転方向を与えることができる。横回転、下回転、斜め回転などを与えることができる。これらによって、様々な球種でのボール100が発射される。
【0126】
以上のように、実施の形態1におけるボール発射装置1は、発射筒2を短くできると共に回転をもってボール100を発射させることができる。全体としてコンパクトでありながら、空気圧付与時のボール100のセットが適切であるので、空気圧による発射力を十分に反映して発射できる。また発射筒2が短く機構がシンプルであることで、グランドなどの屋外使用での容易性が高まる。
【0127】
(動作説明)
上述した動作を、更に、
図7~
図9を用いて説明する。この説明は上述と同等であり、より分かりやすくする観点からの説明である。
図7は、本発明の実施の形態1におけるボール発射装置を上から見た平面図である。ボールホルダー50にボールが供給されて固定されている状態を示している。
【0128】
ボール発射装置1は、発射筒2、ボール設置部5、ボールホルダー50、供給口3、空気圧付与部41、摩擦体8を備える。また、角度駆動部7、制御部9も備えているが、これらは、電子部品やソフトウェアなども含む要素なので、図中では、イメージとして符号を示している。符号の位置が、これら角度駆動部7や制御部9であると限定的に示すものではない。
【0129】
また、発射筒2の先端は、ボール100が実際に射出される射出口21である。発射筒2は、摩擦体8を備える部分の外径が大きくなっている。この外径が大きくなっていることは、必要に応じてであればよい。
【0130】
各要素の働きや特徴は、既述した通りである。
【0131】
図8は、本発明の実施の形態1におけるボールが供給される状態のボール発射装置の側面図である。ボール発射装置1を側面から見た状態であり、内部要素が分かるようにして示している。
【0132】
ボール100が供給口3に向けて落下投入される。この落下投入により、ボール100は、供給口3からボールホルダー50に供給される。ボールホルダー50は、供給されたボール100を固定する。このとき、ボールホルダー50内部に形状として備わるテーパー部によってボール100が固定される。また、テーパー部による固定で、ボール100の中心軸と、発射筒2の中心軸とがそろう。これは、ボールホルダー50の形態により調整されているからである。
【0133】
ボールホルダー50は、供給口3からボール100が供給される際には、開口部55は、供給口3側に向いている。この向きにより、ボール100は、供給口3からボールホルダー50の内部に供給される。この供給によって、ボール発射装置1は、ボール100を収容した状態となる。すなわち、発射可能な状態である。
【0134】
図9は、本発明の実施の形態1におけるボールホルダー50が回動して発射状態となったボール発射装置の側面図である。角度駆動部7は、ボールホルダー50にボール100がセットされた状態で、ボールホルダー50を回動させる。この回動により、ボールホルダー50の開口部55は、発射筒2に沿った方向になる。すなわち、開口部55は、発射筒2を通じて射出口21に連通した状態となる。また、後方も同じなので、空気圧付与部41によるボール100への空気圧の付与も可能状態とする。
【0135】
この状態で、空気圧付与部41が、ボール100の背面に空気圧を付与する。圧縮空気タンク4からの空気圧によって、ボール100への空気圧付与が実現される。空気圧付与部41は、ボール100を発射するのに十分な空気圧を付与する。
【0136】
ボールホルダー50は、内部形状によってボール100を固定している。すなわち、ボール100を強く押さえつけるなどの固定を行っていない。このため、空気圧付与部41による空気圧の付与までは、ボール100はボールホルダー50により位置固定されているが、空気圧付与部41による空気圧の付与を受ければ、発射されることができる。
【0137】
空気圧付与部41による空気圧の付与を受けたボール100は、ボールホルダー50を飛び出して、発射筒2内部を移動する。発射筒2内部には、
図9に示されるように摩擦体8が備わる。ボール100は、発射筒2内部の移動の過程で、この摩擦体8と接触する。この摩擦体8との接触による摩擦力により、ボール100は、回転力を受ける。
【0138】
最終的に、ボール100は、回転状態で射出口21から発射される。この回転状態での発射により、安定した軌道でボール100は発射される。野球やテニスなどの軌道の安定した球技の練習などに、最適に使用できる。
【0139】
なお、実施の形態1で説明したボール発射装置1は、野球、テニスなど、種々の球技の練習やレクリエーションに用いられる。用いられる球技の種類に応じたボールが用いられれば良い。
【0140】
以上、実施の形態1~2で説明されたボール発射装置は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含む。
【符号の説明】
【0141】
1 ボール発射装置
2 発射筒
21 射出口
3 供給口
4 圧縮空気タンク
41 空気圧付与部
5 ボール設置部
50 ボールホルダー
51 固定部
52 把持部材
55 開口部
56 検出部
7 角度駆動部
8 摩擦体
9 制御部
100 ボール