(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091170
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】車両用ランプ及び車両
(51)【国際特許分類】
F21S 43/20 20180101AFI20220614BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20220614BHJP
F21S 43/50 20180101ALI20220614BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20220614BHJP
F21S 43/15 20180101ALI20220614BHJP
B60Q 3/80 20170101ALI20220614BHJP
B60Q 3/20 20170101ALI20220614BHJP
B60Q 3/54 20170101ALI20220614BHJP
F21W 104/00 20180101ALN20220614BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220614BHJP
【FI】
F21S43/20
F21V7/00 570
F21S43/50
F21S43/14
F21S43/15
B60Q3/80
B60Q3/20
B60Q3/54
F21W104:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203812
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081433
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】村中 契太
(72)【発明者】
【氏名】望月 和久
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040CA05
3K040DB01
3K040GA01
3K040GA04
3K040GC01
3K040GC15
3K040GC18
3K040HA04
(57)【要約】
【課題】車両のデザイン上の要求を満たす一方で、点灯時におけるランプの装飾効果や照明効果の要求を満たすことが可能な車両用ランプ及び車両を提供する。
【解決手段】自動車に配設されるアクセサリーランプ1であって、光源(光源ユニット)3と、光源3で発光された光を透過して発光面から出射するレンズ4を備えており、レンズ4の発光面42には光源3の光を透過させる一方で外部光を反射するハーフミラー膜5が備えられる。ハーフミラー膜5は車両の少なくとも一部の部位、例えばバンパーや室内天井トリムと同じ外観色の有色膜として構成される。ランプ1の非点灯時にはハーフミラー膜5の色が車両の一部と同じ外観を呈し、点灯時にはランプ1の発光が確認される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配設されるランプであって、光源と、光源で発光された光を透過して発光面から出射するレンズを備え、前記レンズの発光面には前記光源の光を透過させる一方で外部光を反射するハーフミラー膜が備えられ、前記ハーフミラー膜は前記車両の少なくとも一部の部位と同じ外観色の有色膜として構成されていることを特徴とする車両用ランプ。
【請求項2】
前記光源が発光されたときに前記レンズ及び前記ハーフミラー膜を透過して出射される光は前記ハーフミラー膜とは異なる色光で出射される請求項1に記載の車両用ランプ。
【請求項3】
前記光源が発光されたときに前記レンズ及び前記ハーフミラー膜を透過して出射される光は前記ハーフミラー膜とは同じ色光で出射される請求項1に記載の車両用ランプ。
【請求項4】
前記ランプは前記車両の車体に配設され、前記ハーフミラー膜は当該車体の一部と同じ外観色で構成される請求項2又は3に記載の車両用ランプ。
【請求項5】
前記ランプは前記車両のバンパーに近接して装備され、前記ハーフミラーは当該バンパーの外観色で構成される請求項4に記載の車両用ランプ。
【請求項6】
前記ランプは前記車両の車室内に配設され、前記ハーフミラー膜は当該車室の内装の一部と同じ外観色で構成される請求項4に記載の車両用ランプ。
【請求項7】
前記ランプは光源に紫外光を発光する紫外光源を含む請求項6に記載の車両用ランプ。
【請求項8】
前記ランプは車室内に居る乗員を検知する第1検知手段と、前記車室内に太陽光が照射していることを検知する第2検知手段を備え、これら第1検知手段と第2検知手段での検知に基づいて前記紫外光源の発光を制御する請求項7に記載の車両用ランプ。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかの車両用ランプが配設されている車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車等の車両に配設されるランプに関し、特に照明用ランプあるいは標識用ランプ、さらには装飾用ランプとして利用することが可能な車両用ランプと、当該車両用ランプを配設した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ランプの一つとしてアクセサリーランプが提案されている。例えば、特許文献1には、装飾用ランプとして構成されたアクセサリーランプが提案されている。また、特許文献2には室内照明ランプが提案されているが、この室内照明ランプをアクセサリーランプで構成することは可能である。近年では、エッジイルミシャイン(登録商標:株式会社小糸製作所)と称するアクセサリーランプが提供されており、自動車の車体の任意の位置に配設して装飾用ランプとして、あるいは補助的な照明用ランプとして利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-41007号公報
【特許文献2】特開2012-254673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなランプは車体の外面や車体内部の天井面に露呈された状態で配設されるため、自動車を観察したときには、当該ランプの点灯、非点灯にかかわらずランプが視認されることになる。そのため、自動車を設計する際のデザイン上の要求からランプを配設することが好ましくない箇所にはランプを配設する設計を行なうことが難しい。その一方で、ランプを点灯したときの装飾効果や照明効果を得るために、当該箇所にランプを配設することが望まれることがある。このように、従来のランプでは、デザイン上の要求と装飾効果及び照明効果の要求の双方を満たすことは困難である。
【0005】
本発明の目的は、車両のデザイン上の要求を満たす一方で、点灯時におけるランプの装飾効果や照明効果の要求を満たすことが可能な車両用ランプ及び車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両に配設されるランプであって、光源と、光源で発光された光を透過して発光面から出射するレンズを備えており、レンズの発光面には光源の光を透過させる一方で外部光を反射するハーフミラー膜が備えられ、このハーフミラー膜は車両の少なくとも一部の部位と同じ外観色の有色膜として構成されている。
【0007】
本発明においては、光源が発光されたときにレンズ及びハーフミラー膜を透過して出射される光は、ハーフミラー膜とは異なる色光、又は同じ色光で出射される。また、ランプは車両の車体に配設され、ハーフミラー膜は当該車体の一部と同じ外観色で構成される。
【0008】
本発明は、例えば、ランプは車両のバンパーに近接して装備され、ハーフミラーは当該バンパーの外観色で構成される。あるいは、ランプは車両の車室内に配設され、ハーフミラー膜は当該車室の内装の一部と同じ外観色に構成される。後者においては、ランプは光源に紫外光を発光する紫外光源を含むことが好ましい。
【0009】
本発明の車両は、これらの車両用ランプが配設されている車両として構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ランプを車両に配設した場合においてもランプの非点灯時及び点灯時における意匠的な効果を高める一方で、ランプ本来の目的である照明、装飾を行なうことが可能な車両用ランプと車両が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1のランプと自動車の正面図。
【
図2】実施形態1のランプとバンパーの一部の拡大斜視図。
【
図6】実施形態1のランプの作用を説明する模式図。
【
図7】本発明の実施形態2のランプと自動車の概略斜視図。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿った拡大断面図。
【
図10】実施形態2のランプの作用を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は車両としての自動車CARの車体前部に、装飾用ランプ(アクセサリーランプ)として構成された本発明の車両用ランプ1の実施形態1の正面図である。自動車CARの車体のフロントパネルFPの左右にそれぞれヘッドランプHLとフォグランプFLが配設されている。また、フロントパネルFPには格子構造をしたフロントグリルFGが設けられており、このフロントグリルFGの中央にライセンスプレートLPが配設され、フロントグリルFGの下縁に沿って左右方向に延びるバンパーBPが設けられている。このバンパーBPは車体の一部にアルミニウム等の金属塗料の塗装又はメッキを施すことにより、銀メタリックの外観を呈している。そして、このバンパーBPの左右両端の近傍位置に、それぞれ本発明にかかる一対のアクセサリーランプ1が配設されている。
【0013】
一対のアクセサリーランプ(以下、単にランプと称する)1は同一構成であり、
図2はこれらランプ1とバンパーBPの一部の拡大斜視図である。ランプ1は所要の幅寸法を有して左右方向に所要の長さ寸法に延びる直線状の発光面を有するランプとして構成されている。そして、後述するように、非点灯時には恰もバンパーBPの両端の各一部を構成する外観を呈するように構成され、点灯されたときには発光面が発光して自動車を装飾するランプとしての外観を呈するように構成されている。
【0014】
図3は前記ランプ1の分解斜視図である。このランプ1は細長い開口を有する浅い樋状をしたランプボディ2と、このランプボディ2の樋状内部に配置された光源ユニット3と、ランプボディ1の前面を覆うように取り付けられたレンズ4とを備えている。そして、後述するように前記フロントグリルFGの所定部位に埋設状態に支持されている。
【0015】
前記ランプボディ2には前記光源ユニット3を固定するための一対のボス21が配設されている。光源ユニット3は細長い光源基板31を有しており、この光源基板31の一方の面に複数個の発光素子、ここでは青色光を発光するLED(発光ダイオード)32が長さ方向に配列した状態で搭載されている。この光源基板31は前記ボス21に螺合されるビス(小ネジ)33によりランプボディ2に固定される。複数のLED32は光源基板31に設けられた給電回路(図示せず)を介して車載電源(バッテリー)に接続され、当該給電回路により給電されたときに発光される。
【0016】
レンズ4は無色の透光性の樹脂、例えばアクリル又はガラス等で形成されており、前記ランプボディ2に対応する長さを有する細幅の樋状カバーとして形成されている。レンズ4の周壁面41は前記ランプボディ2の外縁部に嵌合される。また、レンズ4の外面42は幅方向の中央部が前方に突出した緩やかな曲面状に形成される。この外面42は光源ユニット3の光を出射する発光面として構成されている。
【0017】
図4は
図2のIV-IV線に沿った拡大断面図、
図5はレンズ4の一部の破断斜視図である。このレンズ4の内面43、すなわちランプボディ2に取り付けられたときに光源ユニット3に向けられる面には所要のレンズステップ44が形成されている。このレンズステップ44は、光源ユニット3のLED32が発光されたときに出射される光を屈折し、レンズ4を透過させて外面42から出射させる。このレンズステップ44は、ここでは多数個の球面ステップが上下左右に枡目状に配列された魚眼ステップとして構成されている。
【0018】
前記レンズ4の外面42にはハーフミラー膜5が形成されている。このハーフミラー膜5は、
図4に示すように、レンズ4の外面42から順に下地膜51と有色膜52と保護膜53が積層された多層膜として構成されている。下地膜51はレンズ4と有彩色膜52との接着性を確保するための膜である。また、保護膜53は有色膜52が外気に直接晒されて退色されることを防止するための膜である。これら下地膜51と保護膜53は無色ないしはそれに近い色彩であり、かつその光透過率は100%に近い値であり、それぞれ適宜な膜厚に形成されている。
【0019】
前記有色膜52は所要の色彩を有する膜である。ここでは、アルミニウムを蒸着した蒸着膜で構成されており、銀メタリック色の有色膜として形成されている。なお、本発明においては金色や銀色も有彩色に含まれるものとしている。この銀メタリック色は、
図1に示した自動車CARの車体を構成する部位の一部であるバンパーBPと同じ外観色である。また、この有色膜52は適宜な膜厚に設定されており、その光透過率は後述するようにランプ1の非点灯時の外観や、レンズの厚さとレンズステップの形状等により適宜に設定される。ここでは、有色膜52の光透過率は5%以上となるように形成されており、したがってハーフミラー膜5の全体としての光透過率は略5%以上となるが、この実施形態1では光透過率は50%程度となるように形成されている。
【0020】
このハーフミラー膜5は、光源ユニット3のLED32が発光されて出射される光については、その光透過率の割合で光を透過させる。一方、外部からランプ1に照射されてくる光については、光透過率の割合で透過させる一方で、有色膜52と同じ色光の光を反射する。そのため、外部光によりランプ1の発光面42を観察したときには銀メタリック色を呈することになる。
【0021】
このように構成されたランプ1は、
図1に示したように自動車CARのフロントグリルFGに配設され、
図4に示すように、フロントグリルFGの開口部内にブラケット22とネジ23により固定される。この状態では、ほぼ発光面としてのレンズ4の外面42のみ、すなわちハーフミラー膜5のみが露呈される。そして、ランプ1を観察したときには、このハーフミラー膜5によりレンズ4の内面側、すなわちランプ1の内部が視認され難くなり、光源ユニット3やレンズステップ44は外部から観察され難くなる。特に、外部の一部の光はハーフミラー膜5を透過した後、レンズステップ44において反射されてレンズ4の外面42から外部に再帰されるが、ハーフミラー膜5の光透過率を適切に設定することにより、この再帰光はハーフミラー膜5を往復して透過される際に減光され、外部からはレンズステップ44が殆ど観察されなくなる。これにより、ランプ1の非点灯時におけるランプ1の外観、すなわちレンズ4の外面42の外観は均一な銀メタリック面が視認される状態となる。
【0022】
図6は実施形態1の一対のランプ1の一方の外観状態を模式的に示す図であり、ランプ1は、銀メタリックの外観を有するバンパーBPの近傍位置に配設されている。そして、
図6(a)のように、ランプの非点灯時には各ランプはハーフミラー膜5の有色膜52の色彩である銀メタリック色の外観となる。これにより、ランプ1はバンパーBPと同じ外観色となり、バンパーBPの一部としての外観を呈するようになる。
図1に示したように一対のランプ1はバンパーBPの両端に配設されているので、自動車CARを前方から観察したときには、一対のランプ1によってバンパーBPの両端が車幅方向の内側に向けて延長された形態の外観となる。このような外観により、自動車CARにはランプは配設されていないと認識できるようになり、自動車のデザイン上の要求を満たすことが可能になるとともに、自動車の意匠を高めることが可能になる。
【0023】
一方、
図6(b)のように、ランプ1が点灯されたときには、光源ユニット3のLED32が発光され、レンズ4の外面42からハーフミラー膜5を透過して青色光が出射される。この青色光はレンズステップ44により屈折されてレンズ4を透過され、さらにハーフミラー膜5を透過されて自動車の前方に向けて出射される。このとき出射される青色光はハーフミラー膜5により光量が低下されるが、レンズステップ44は多数の球面ステップからなる魚眼ステップとして構成されており、各球面ステップにおいて青色光が集光されるので、ランプ1を観察したときには、青色の高輝度光が格子状に配列された配光パターンが観察される。
【0024】
このように、非点灯時にはバンパーBPの一部として銀メタリック色に観察されていた一対のランプ1が、点灯時には青色光で発光されてバンパーではなく独立した装飾用ランプとして観察されるようになる。これにより、自動車を観察する者に対して意外性を感じさせる効果、すなわち、自動車の車体の一部であると認識していた部位がランプとして発光することの驚き生じさせる効果を生じさせるとともに、ランプ本来の装飾効果を発揮させることになる。
【0025】
因みに、特許文献1の技術は、レンズの外面にハーフミラー膜を備えているが、このハーフミラー膜を車両の車体を構成する部位と同じ色に構成する構成は存在しない。そのため、自動車の車体の一部としてランプであることを認識させないようにする構成とはなっておらず、ランプの非点灯時においても車両にランプを配設されていることが確認されてしまいデザイン上の要求を満たすことはできない。また、特許文献1の技術はランプが発光したときに出射する光の色とハーフミラー膜の色との構成が明確ではないために、ランプ及び車両におけるデザイン上の要求を満たすことはできない。
【0026】
以上説明した実施形態1では、ハーフミラー膜5の外観色と異なる色光を出射する構成であるが、ランプ1の点灯時にハーフミラー膜5を透過して光が出射されることにより、ランプ1として認識させることが可能な明るさで発光するのであれば、ハーフミラー膜5の外観色と同じ色光を出射する構成としてもよい。また、実施形態1では、青色光を発光するLEDと無色のレンズの組合せで構成されるランプの例を説明したが、その他の色光を発光するLEDで構成されてもよい。あるいは、白色光を発光するLEDと、白色光を透過する際に有色光とする有彩色のレンズの組合せで構成されてもよい。また、ハーフミラー膜についても、銀メタリック色に限られるものではなく、他の色彩のハーフミラー膜として構成されてもよい。
【0027】
実施形態1では、本発明を装飾用のアクセサリーランプに適用しているが、ポジションランプ(スモールランプ)のような補助照明ランプとして、あるいはターンシグナルランプやバックアップランプ等の標識用ランプとして適用してもよい。すなわち、点灯時におけるランプの発光色と、非点灯時におけるハーフミラー膜による観察色を適宜に設定することにより、種々の機能用のランプとして構成することができる。例えば、光源を赤色、黄色等を発光するLEDで構成してもよく、あるいはランプのレンズを青色、赤色、黄色等の着色レンズとして構成してもよい。
【0028】
(実施形態2)
図7は本発明を自動車の室内照明用ランプとして構成された実施形態2の概略斜視図である。自動車の車室の内装の一つしての天井トリムCTの一部に室内照明用ランプ(以下、ランプと称する)1Aが配設されている。天井トリムCTは所定の色彩、ここでは白色のトリム材で構成されており、その一部にランプ1Aが埋設状態に配設されている。
【0029】
図8は
図7のVIII-VIII線に沿う拡大断面図である。実施形態1のランプ1と等価な部分には同一符号を付して示す。このランプ1Aは、矩形をした浅皿状のランプボディ2と、このランプボディ2の内部に配置された光源ユニット3と、ランプボディ2の開口を塞ぐように取り付けられたレンズ4とを備えている。また、このランプボディ2内には制御回路部6が配設されている。
【0030】
前記光源ユニット3は矩形の光源基板31を有しており、この光源基板の一方の面に複数個の発光素子32が搭載されている。ここでは発光素子32は白色光(電球色)を発光する白色LED32aと、UV光(紫外光)を発光する紫外LED32bで構成されている。これら白色LED32aと紫外LED32bは適宜に混在された状態で配列されている。これらのLED32(白色LED32a、紫外LED32b)は光源基板31に設けられた給電回路を介して制御回路部6に接続され、この制御回路部6の制御によって給電が制御され、発光される。
【0031】
前記レンズ4は、
図8に一部の拡大断面を示すように、ランプボディ2に取り付けられたときに光源ユニット3に向けられる内面43に所要のレンズステップ44が形成されている。このレンズステップ44は白色LED32aと紫外LED32bのそれぞれから出射される光を屈折して車室内のほぼ全域に向けて発散あるいは拡散させる構成とされている。ここでは、レンズステップ44は、レンズ4の内面43をシボ加工して粗面にするための微細凹凸ステップとして形成されており、LED32の光を拡散してレンズ4の外面42から出射させるように構成されている。
【0032】
前記レンズ4の外面42は光源ユニット3の光を出射する発光面として構成されており、平坦な平面ないし緩やかな曲面に形成されている。この外面には実施形態1と同様に下地膜51、有色膜52、保護膜53からなる多層構造のハーフミラー膜5が形成されている。このハーフミラー膜5の有色膜52は、天井トリムCTと同じ外観色の白色に形成されている。このハーフミラー膜5の白色の光透過率は5%以上、好ましくは5~80%とされている。ここでは50%とされている。また、このハーフミラー膜5の分光光透過率は可視光から紫外光を含む領域を透過することが可能とされている。
【0033】
図9は前記制御回路部6のブロック回路図である。白色LED32aを発光するための第1回路部61と、紫外LED32bを発光するための第2回路部62を備えており、自動車の車載バッテリーに接続されている。また、第1回路部61には室内点灯スイッチS1が接続されており、この室内点灯スイッチS1がオン操作されたときに第1回路部61により白色LED32aが給電されて発光し、白色光を出射するようになっている。
【0034】
一方、第2回路部62には、人感センサーS2と日照センサーS3が接続されており、これらのセンサーS2,S3での検知が行なわれたときに第2回路部62により紫外LED32bが給電されて発光し、紫外光を出射するようになっている。
【0035】
人感センサーS2は車室内に存在する乗員を検知するものであり、例えば、
図7に示したように、天井トリムCTの一部に配設され、車室内に居る乗員を検知する赤外線センサーで構成される。あるいは、同図に示すように乗員がシート(座席)STに着座したことを検出する感圧センサーで構成される。また、日照センサーS3は車室内に照射された太陽光を検出する照度センサーで構成される。この照度センサーS3は車室内の一部に配設される。例えば同図に示したように、車室内に装備されているダッシュボードDBの一部、あるいはセンターコンソールCCの一部に配設される。
【0036】
このように構成されたランプ1Aは、
図8に示したように、天井トリムCTの一部に設けられた凹部に埋設状態に配設され、配設された状態では、発光面としてのレンズ4の外面42、すなわちハーフミラー膜5のみが車室内に露呈される。そして、ハーフミラー膜5によりレンズ5の内面ないしランプ1Aの内部の視認性が低下され、光源ユニット3やレンズステップ44は外部から観察され難くなる。そのため、ランプ1Aの非点灯時の外観はハーフミラー膜5が視認される状態となる。
【0037】
このハーフミラー膜5は天井トリムCTと同じ外観色の白色であるため、
図10(a)に模式的に示すように、ランプ1Aは非点灯時には天井トリムCTと渾然一体の外観を呈することになり、乗員が車室内を観察しても、天井トリムCTにはランプ1が配設されていないと認識される。これにより、自動車の車室のデザイン上の要求を満たすことが可能になるとともに、自動車の意匠性を高めることが可能になる。
【0038】
室内点灯スイッチS1がオン操作されると、第1回路部61により白色LED32aが発光され、白色光が出射される。この白色光はレンズ4のレンズステップ44により拡散された状態でレンズ4を透過され、さらにハーフミラー膜5を透過されて車室内に出射される。ここでは白色LED32aは電球色で発光するので、
図10(b)に模式的に示すように、ランプ1Aは白色の天井トリムCTの一部において赤みがかった色で点灯され、視認されることになる。これにより、非点灯時には天井トリムCTにより存在が認識されていないランプ1Aが、点灯時には独立した室内照明用ランプとして機能するようになり、車室内の乗員に対して意外性を感じさせる効果、すなわち、ランプが存在していないと認識していた天井の一部がランプとして発光することの驚き生じさせる効果を生じさせるとともに、ランプ本来の照明効果を発揮させることになる。
【0039】
一方、人感センサーS2において無人状態、すなわち車室内に乗員が存在していないときを検知したとき、これに加えて日照センサーS3において太陽光が車室内にまで照射されていないことを検知したときには、第2回路部62により紫外LED32bが発光される。発光された紫外光はレンズステップ44により拡散された状態でレンズ4を透過され、さらにハーフミラー膜5を透過されて車室内に照射される。これにより、紫外光により車室内が殺菌される。紫外光の照射は乗員が存在しないときであるので乗員に対する紫外光の照射による安全性が確保される。
【0040】
なお、人感センサーS2が無人状態を検知しても日照センサーS3において太陽光の照射を検知したときには紫外LED32bが発光されないように構成されている。すなわち、車室内に太陽光が照射されているときには太陽光に含まれる紫外光による殺菌が行なわれるので、ランプ1Aによる紫外光の照射は不要になる。このように、車室内にランプが存在していないと認識されている自動車においても、車室内を自動的に殺菌するという効果が奏せられることになる。
【0041】
因みに、特許文献2の技術は、レンズの外面にハーフミラー膜は備えていない。そのため、天井にランプが存在することを認識させないようにする構成とはなっておらず、ランプの非点灯時においても乗員によりランプが配設されていることが確認されるので前記したようなデザイン上の要求を満たすことは困難である。
【0042】
この実施形態2のランプにおいて、紫外LED32bを乗員の手操作により発光させるように構成してもよい。例えば、図示は省略するが、第2回路部62に殺菌スイッチを接続し、この殺菌スイッチを操作して紫外LED32bを発光させるようにする。また、本発明においては、ランプ1Aに紫外LEDを備えていない構成、すなわち車室内を照明するためだけのランプとして構成されてもよい。
【0043】
本発明におけるハーフミラー膜の光透過率は実施形態1,2において記載した光透過率に限定されるものではなく、ランプの光源で発光する光量の違い、レンズの厚さやレンズの光透過率の違い、レンズのレンズステップの形状や寸法等の違い等々により適宜の光透過率に設定される。
【0044】
本発明におけるハーフミラー膜の色は、ランプが車両に配設されたときに、ランプに隣接する車両の一部、あるいはランプの近傍に存在する車両の一部と同じ色であり、外部からランプを観察したときに当該車両の一部として観察される色であればよい。
【符号の説明】
【0045】
1,1A ランプ(アクセサリーランプ、室内照明用ランプ)
2 ランプボディ
3 光源ユニット(光源)
4 レンズ
5 ハーフミラー膜
6 制御回路部
31 光源基板
32 LED
32a 白色LED
32b 紫外LED
42 レンズ外面(発光面)
44 レンズステップ
51 下地膜
52 有色膜
53 保護膜
61 第1回路部
62 第2回路部
CAR 自動車(車両)
BP バンパー(車両の一部)
CT 天井トリム(車両の一部)
S1 室内点灯スイッチ
S2 人感センサー(第1検知手段)
S3 日照センサー(第2検知手段)