IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社H・Sフジサワの特許一覧 ▶ 中日本ハイウェイ・パトロール東京株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-交通誘導用の案内板 図1
  • 特開-交通誘導用の案内板 図2
  • 特開-交通誘導用の案内板 図3
  • 特開-交通誘導用の案内板 図4
  • 特開-交通誘導用の案内板 図5
  • 特開-交通誘導用の案内板 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091177
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】交通誘導用の案内板
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/681 20160101AFI20220614BHJP
   E01F 15/10 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
E01F9/681
E01F15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203826
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】509157982
【氏名又は名称】株式会社H・Sフジサワ
(71)【出願人】
【識別番号】510206327
【氏名又は名称】中日本ハイウェイ・パトロール東京株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 茂行
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 猛
【テーマコード(参考)】
2D064
2D101
【Fターム(参考)】
2D064AA12
2D064AA21
2D064BA01
2D064BA03
2D064DB07
2D064DB15
2D101EA09
2D101FA33
2D101FB22
(57)【要約】
【課題】ガードレール等のガード部材に固定的に設置されていても突風を受けて倒れたり破損したりしにくく、緊急時、交通誘導用の指示内容を短時間で簡単にセットできる案内板を提供する。
【解決手段】板状外形のベース板12と、板状外形の一端部が、ベース板12の一端部に回動可能に軸着された連結板14とを備える。板状外形の一端部が、連結板14の、ベース板12が軸着された一端部と対向する一端部に回動可能に軸着された補助板16を備える。板状外形の内側領域に交通誘導用の指示内容が表示され、その板状外形の一端部が、補助板16の、連結板14に軸着された一端部と交差する一端部に回動可能に表示された表示板18を備える。表示板18と補助板16とを所定の角度開いた状態に支持する支持部材26を備える。交通誘導を行わない通常状態で、ベース板12は、ガードレールGの、道路と反対側の面である外側面に対向させて固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路脇に設置されたガード部材に取り付けて使用される交通誘導用の案内板において、
板状外形のベース板と、板状外形の一端部が、前記ベース板の一端部に回動可能に軸着された連結板と、板状外形の一端部が、前記連結板の、前記ベース板が軸着された一端部と対向する一端部に回動可能に軸着された補助板と、板状外形の内側領域に交通誘導用の指示内容が表示され、その板状外形の一端部が、前記補助板の、前記連結板に軸着された一端部と交差する一端部に回動可能に表示された表示板と、前記表示板と前記補助板とを所定の角度開いた状態に支持する支持部材とを備え、
交通誘導を行わない通常状態では、前記ベース板は、前記ガード部材の、道路と反対側の面である外側面に対向させて固定され、前記連結板は、前記ベース板の上端部に吊り下げられて前記ベース板に対向し、前記補助板は、前記連結板の下端部に吊り下げられて前記ベース板に対向し、前記表示板は、前記ベース板と前記補助板との間に挟まれるように前記補助板に対向し、前記支持部材は、前記補助板と前記表示板との間に収まった状態となり、
交通誘導を行う案内表示状態では、前記連結板は、前記ベース板の上端部に連続して前記ガード部材の上方に横向きに配置され、前記補助板は、前記連結板の一端部に吊り下げられて前記ガード部材の道路側面に対向し、前記表示板は、前記補助板の一側端部に連続し、前記支持部材によって前記補助板と所定の角度開いた状態に支持され、前記交通誘導用の指示内容が道路を走行する後続車から視認可能に配置されることを特徴とする交通誘導用の案内板。
【請求項2】
前記支持部材は、第一支持板、第二支持板及び回動制限板を備え、
前記第一支持板は、長さ方向の一端部が前記補助板の内側に回動可能に軸着され、他端部が前記第二支持板の長さ方向の一端部に回動可能に軸着され、前記第二支持板は、長さ方向の他端部が前記表示板の内側に回動可能に軸着され、前記回動制限板は、固定部と突出部とを有し、前記固定部が前記第一支持板の前記他端部の近傍に当接させて固定され、前記突出部が前記第一支持板の前記他端部を超えて突出しており、
交通誘導を行わない通常状態では、前記支持部材は、前記回動制限板、前記第一支持板、前記第二支持板の順に重なって前記補助板と前記表示板との間に収まった状態となり、
交通誘導を行う案内表示状態では、前記支持部材は、前記第二支持板に前記回動制限板の前記突出部が当接し、これによって前記第一支持板及び前記第二支持板が互いに軸着された端部を挟んで反対方向に延びた状態に保持され、前記表示部材は、当該支持部材によって前記補助板と所定の角度開いた状態に支持される請求項1記載の交通誘導用の案内板。
【請求項3】
前記ベース板及び前記補助板には、前記通常状態の時に前記ベース板及び前記補助板を相互に位置決めするための位置決め機構が設けられている請求項1又は2記載の交通誘導用の案内板。
【請求項4】
前記ガード部材は、波形断面のビームが複数の支柱の上端部に架設されたガードレールであり、
前記ベース板を前記ビームに取り付けるための帯状の取り付け金具が設けられ、前記ビームの周面を前記ベース板と前記取り付け金具とで囲み、前記取り付け金具の両端部を前記ベース板にネジ止めすることによって、前記ベース板が前記ガードレールに固定される請求項1乃至3のいずれか記載の交通誘導用の案内板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、道路脇に設置されたガードレールや壁高欄のようなガード部材に取り付けられ、道路で緊急の事故処理等を行う際、後続車に対して視線誘導により車線を指示するために使用される交通誘導用の案内板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されているように、外枠の内側に交通誘導用の矢印が表示された表示板を収納した看板枠を備え、この看板枠の下端部に、ガードレールの上端部にネジ固定するための取り付け機構を設けた通行案内用看板があった。この通行用案内看板は、道路を走行してくる後続車から表示板の矢印が良好に視認できるようにするため、表示板の取り付け角度を、外枠に対して斜め方向に変更できる構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-97828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高速道路で事故が発生して緊急の事故処理を行う場合、特許文献1の通行案内用看板は、ガードレールに設置するのに手間が掛かるので、交通誘導用の矢印を短時間でセットすることが難しい。
【0005】
例えば、片側2車線あるいは3車線の追越車線で事故が発生した場合、追越車線を走行してくる後続車を走行車線に誘導するため、複数の矢印板を中央分離帯側のガードレールにセットしなければならない。一般に中央分離帯側には広い路肩がないので、作業車両が現場に到着すると、走行車線側の路肩に停車させざるを得ない。そして、作業者は、矢印板の機材を作業車両から降ろし、これを持って走行車線及び追越車線を横断して中央分離帯側のガードレールまで運ばなければならないので、非常に危険である。したがって、作業者の安全確保のため、交通誘導用の矢印板等の案内板は、事故が発生しやすい場所にあらかじめ設置しておき、事故が発生した時に短時間で簡単にセットできるものであることが望ましい。
【0006】
特許文献1の通行案内用看板は、あらかじめガードレールに固定的に設置しておくことも可能であるが、表示板に台風の突風や走行車からの風圧を受けやすい構造なので、倒れたり破損したりする可能性がある。看板が道路側に倒れたり、破損したパーツが道路上に飛散したりすると、それによる交通事故を誘発してしまう恐れもある。
【0007】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、ガードレール等のガード部材に固定的に設置されていても突風を受けて倒れたり破損したりしにくく、緊急時、交通誘導用の矢印等の指示内容を短時間で簡単にセットできる案内板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、道路脇に設置されたガードレール等のガード部材に取り付けて使用される交通誘導用の案内板であって、板状外形のベース板と、板状外形の一端部が、前記ベース板の一端部に回動可能に軸着された連結板と、板状外形の一端部が、前記連結板の、前記ベース板が軸着された一端部と対向する一端部に回動可能に軸着された補助板と、板状外形の内側領域に交通誘導用の矢印等の指示内容が表示され、
その板状外形の一端部が、前記補助板の、前記連結板に軸着された一端部と交差する一端部に回動可能に表示された表示板と、前記表示板と前記補助板とを所定の角度開いた状態に支持する支持部材とを備えた交通誘導用の案内板である。
【0009】
交通誘導を行わない通常状態では、前記ベース板は、前記ガード部材の、道路と反対側の面である外側面に対向させて固定され、前記連結板は、前記ベース板の上端部に吊り下げられて前記ベース板に対向し、前記補助板は、前記連結板の下端部に吊り下げられて前記ベース板に対向し、前記表示板は、前記ベース板と前記補助板との間に挟まれるように前記補助板に対向し、前記支持部材は、前記補助板と前記表示板との間に収まった状態となり、交通誘導を行う案内表示状態では、前記連結板は、前記ベース板の上端部に連続して前記ガード部材の上方に横向きに配置され、前記補助板は、前記連結板の一端部に吊り下げられて前記ガード部材の道路側面に対向し、前記表示板は、前記補助板の一側端部に連続し、前記支持部材によって前記補助板と所定の角度開いた状態に支持され、前記交通誘導用の矢印等の指示内容が道路を走行する後続車から視認可能に配置される。
【0010】
前記支持部材は、第一支持板、第二支持板及び回動制限板を備え、前記第一支持板は、長さ方向の一端部が前記補助板の内側に回動可能に軸着され、他端部が前記第二支持板の長さ方向の一端部に回動可能に軸着され、前記第二支持板は、長さ方向の他端部が前記表示板の内側に回動可能に軸着され、前記回動制限板は、固定部と突出部とを有し、前記固定部が前記第一支持板の前記他端部の近傍に当接させて固定され、前記突出部が前記第一支持板の前記他端部を超えて突出しており、交通誘導を行わない通常状態では、前記支持部材は、前記回動制限板、前記第一支持板、前記第二支持板の順に重なって前記補助板と前記表示板との間に収まった状態となり、交通誘導を行う案内表示状態では、前記支持部材は、前記第二支持板に前記回動制限板の前記突出部が当接し、これによって前記第一支持板及び前記第二支持板が互いに軸着された端部を挟んで反対方向に延びた状態に保持され、前記表示部材は、当該支持部材によって前記補助板と所定の角度開いた状態に支持される構成にすることができる。
【0011】
前記ベース板及び前記補助板には、前記通常状態の時に前記ベース板及び前記補助板を相互に位置決めするための位置決め機構が設けられている構成にすることが好ましい。また、前記ガード部材は、波形断面のビームが複数の支柱の上端部に架設されたガードレールであり、前記ベース板を前記ビームに取り付けるための帯状の取り付け金具が設けられ、前記ビームの周面を前記ベース板と前記取り付け金具とで囲み、前記取り付け金具の両端部を前記ベース板にネジ止めすることによって、前記ベース板が前記ガードレールに固定される構成にすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
この発明の交通誘導用の案内板は、あらかじめガードレール等のガード部材に、固定的に取り付けて使用することができ、ガードレール等に取り付けられた後、交通誘導を行わない通常状態では、薄く折り畳まれてガードレール等の外側面に重なった構造になるので、台風の突風や走行車からの風圧を受けて倒れたり破損したりする可能が低い。また、緊急時、ガードレール等の外面側に折り畳まれた各板を広げ、補助板及び表示板を道路側に移動させ、さらに表示板の取り付け角度を斜めするという簡単な操作を行うことによって、短時間で案内表示状態にセットすることができ、速やかに後続車への視線誘導を促すことができる。さらに、作業者の安全も確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】この発明の交通誘導用の案内板の一実施形態の、交通誘導を行う案内表示状態を、ガードレールの内側面が見える道路側から見た時の斜視図(a)、ガードレールの外側面が見える方向から見た斜視図(b)である。
図2】この実施形態の交通誘導用の案内板の、交通誘導を行わない通常状態を、ガードレールの外側面が見える方向から見た正面図(a)、A-A断面の拡大図(b)である。
図3】ベース板をガードレールに取り付ける構造の一例を示す図であって、帯状の取り付け金具の外観を示す斜視図(a)、ベース板をガードレールに取り付けた状態における各部材の位置関係を示す縦断面図(b)である。
図4】この実施形態の交通誘導用の案内板をガードレールの外側面が見える方向から見た斜視図であって、通常状態から案内表示状態にセットするまでの途中の状態を順に示す図(a)、(b)である。
図5】この実施形態の交通誘導用の案内板をガードレールの内側面が見える道路側から見た図であって、通常状態から案内表示状態にセットするまでの途中の状態を示す正面図(a)、B-B断面の拡大図(b)である。
図6】この実施形態の交通誘導用の案内板をガードレールの上方から見た図であって、通常状態から案内表示状態にセットするまでの途中の状態を順に示す平面図(a)、(b)、(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明の交通誘導用の案内板の一実施形態について、図面に基づいて説明する。この実施形態の案内板10は、例えば高速道路の中央分離帯側に設置されたガード部材であるガードレールGに取り付けられ、追越車線で事故が発生して事故処理を行う時に、後続車を走行車線に誘導する指示内容を表示するために使用される。取り付け対象のガードレールGは、例えば、波形断面のビームGaが複数の支柱Gbの上端部に架設された構造のガードレールである。
【0015】
まず、案内板10の構成を、図1図2及び図6に基づいて説明する。案内板10は、ベース板12、連結板14、補助板16及び表示板18が順に接続された構造になっている。
【0016】
ベース板12は略長方形の板材であり、ベース板12の短辺の長さは、ガードレールGのビームGaの上下方向の長さよりも少し長い。連結板14は略長方形の板材であり、連結板14の長辺の長さはベース板12の長辺の長さとほぼ同じで、連結板14の短辺の長さはビームGaの厚みよりも少し長い。連結板14の長辺側の一端部は、ベース板12の長辺側の一端部にヒンジ20を介して回動可能に軸着されている。
【0017】
補助板16は略長方形の板材であり、補助板16の長辺の長さは連結板14の長辺の長さとほぼ同じで、補助板16の短辺の長さはベース板12の短辺の長さよりもすこし短い。補助板16の長辺側の一端部は、連結板16の長辺側の他端部にヒンジ22を介して回動可能に軸着されている。表示板18は、片方の面の内側領域に交通誘導用の矢印18aが表示された略長方形の板材であり、表示板18の長辺の長さは補助板16の長辺の長さとほぼ同じで、表示板18の短辺の長さも補助板16の短辺の長さとほぼ同じである。表示板18の短辺側の一端部は、補助板16の短辺側の一端部にヒンジ24を介して回動可能に軸着されている。
【0018】
さらに、補助板16及び表示板18には、補助板16と表示板18とを所定の角度開いた状態に支持するための支持部材26が取り付けられている。支持部材26は、図6に示すように、第一支持板28、第二支持板30及び回動制限板32で構成されている。第一支持板28は略長方形の小さい板材で、長さ方向の一端部が補助板16の内側にヒンジ34を介して回動可能に軸着され、長さ方向の他端部が第二支持板30の長さ方向の一端部にヒンジ36を介して回動可能に軸着されている。第二支持板30は略長方形の小さい板材で、長さ方向の他端部が表示板18の内側にヒンジ38を介して回動可能に軸着されている。回動制限板32は、固定部32aと突出部32bとを有し、固定部32aが第一支持板28の他端部(第二支持板30側の端部)の近傍に当接させて固定され、突出部32bが第一支持板28の他端部を超えて突出している。
【0019】
その他、ベース板12及び補助板16には、交通誘導を行わない通常状態の時に、ベース板12及び補助板16を相互に位置決めするための位置決め機構40が設けられている。位置決め機構40は、図2に示すように、例えば補助板16の端部に取り付けられた係合金具40aと、ベース板12の端部に取り付けられた、係合金具40aに着脱可能に係合するフック40bとで構成される。
【0020】
次に、案内板10がガードレールGに取り付けられ、交通誘導を行わない通常状態になっている時の構造を、図2図3に基づいて説明する。ベース板12は、ビームGaの、道路と反対側の面である外側面に対向させて固定される。好ましい固定構造として、例えば図3(a)、(b)に示すように、ビームGaと断面形状が類似している帯状の取り付け金具42を用意し、ビームGaの周面をベース板12と取り付け金具42とで囲み、取り付け金具42の両端部をベース板12にネジ等の締結具44で接続することによって、ベース板12をビームGaに固定する構造が考えられる。
【0021】
また、通常状態において、連結板14は、ベース板12の上端部にヒンジ20を介して吊り下げられてベース板12に対向し、補助板16は、連結板14の下端部にヒンジ22を介して吊り下げられてベース板12に対向する。表示板18は、ベース板12と補助板16との間に挟まれるように補助板16と対向し、支持部材26は、回動制限板32、第一支持板28、第二支持板30の順に重なって補助板16と表示板18との間に収まった状態となる。そして、ベース板12のフック40bを補助板16の係合金具40aに係合させ、補助板16が風を受けてもバタバタと動かないようにベース板12に固定される。
【0022】
次に、この実施形態の案内板10の使用方法について、説明する。追越車線で事故が発生した緊急時、現場に駆け付けた作業者は、追越車線を走行してくる後続車を走行車線に誘導するため、案内板10を通常状態から案内表示状態に切り替える。以下、作業者が行う操作を順に説明する。
【0023】
まず、補助板16の係合金具40aとベース板12のフック40bとの係合を解除し、図4(a)に示すように、補助板16及び表示板18を持ち上げて、ビームGaの上方から道路側に移動させる。これで、図5(a)、(b)に示すように、連結板14が、ベース板12の上端部に連続してビームGaの上方に横向きに配置され、補助板16が、連結板14の一端部に吊り下げられてビームGaの内側面に対向する。
【0024】
その後、表示板18の、ヒンジ24と反対側の端部を持って、表示板18を補助板16から離間させる操作を行う。この操作を行うと、図6(a)、(b)に示すように、支持部材26を構成する各部材(第一支持板28、第二支持板30及び回動制限板32)がヒンジ34,36,38を軸に各々回動し、徐々に開いていく。そして、表示板18と補助板16とが所定の角度に開いたところで回動制限板32の突出部32bが第二支持板30に当接し、これによって第一支持板28及び第二支持板30が互いにヒンジ36を挟んで反対方向に延びた状態に保持され、表示部材18が、補助板16に対して所定の角度開いた状態に支持される。所定の角度とは、後続車から表示板18の矢印18aが良好に視認できる角度であり、例えば30~70度程度に設定される。
【0025】
緊急時の処理等が終了した後は、上記の操作とは逆の操作により、表示板18をガードレールGの外側のベース板12に回動させて退避させ、フック40bを係合金具40aに係合して固定する。
【0026】
この実施形態の交通誘導用の案内板10は、あらかじめ、ガードレールGに取り付けて使用され、ガードレールGに取り付けられた後、交通誘導を行わない通常状態では、平たく折り畳まれてガードレールGの外側面に重なった構造になるので、台風の突風や走行車からの風圧を受けて倒れたり破損したりする可能が低い。また、緊急時、ガードレールGの外面側に折り畳まれた各板を広げ、補助板16及び表示板18ガードレールGの内面側に移動させ、さらに表示板18の取り付け角度を斜めするという簡単な操作を行うことによって、短時間で案内表示状態にセットすることができ、速やかに後続車への視線誘導を促すことができる。さらに、作業者の安全も確保することができる。また、表示板18の収納も同様に、ガードレールGの外側に回動させるだけで、安全に容易に行うことができる。
【0027】
なお、本発明の交通誘導用の案内板は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記案内板10の場合、ベース板12、連結板14、補助板16及び表示板18が全て略長方形で、ベース板12が最も大きく、補助板16と表示板18の大きさがほぼ同じに設定されているが、上述した簡単な操作で案内表示状態に切り替えることができるものであれば、各板の形状や大きさは、自由に変更することができる。表示板の指示内容や記号も、矢印以外に方向を示す記号や図形、その他運転者から見て指示内容が分かりやすい表示であれば、その内容は問わないものである。
【0028】
また、支持部材は、上記の支持部材26の構造に限定されず、他の公知技術を利用して異なる構造に変更することができる。例えば、支持部材26は、表示何18の取り付け角度を微調整することはできないが、角度調節機構付きの支持部材に変更してもよい。また、回動制限板32の素材を強磁性金属板とし、第二支持板30の、突出部32bと当接する位置に磁石を埋設した構造にしてもよい。これによって、表示板18を所定の角度で支持する時、磁石が突出部32bを吸着する力によって支持部材26が真っすぐに伸びた状態に保持されやすくなり、表示板18をより安定に支持することができる。
【0029】
位置決め機構は、通常状態の時にベース板及び補助板を相互に位置決めするものであればよく、上記の位置決め機構40の形態に限定されない。例えば、位置決め機構40は、図2に示すように、補助板16及びベース板12の各下端部に、相互に着脱可能な係合部材(係合金具40a、フック40b)を1組取り付けたものであるが、左右2組の係合部材を設ける等、係合部材の種類、組数、取り付け位置は自由に変更することができる。
【0030】
波形断面のビームを有したガードレールにベース板を取り付ける時は、図3に示すように、帯状の取り付け金具を使用することが好ましく、取り付け金具の形状は、ビームの形状に合わせて適宜変更することができる。例えば、取り付け対象のビームGaの形状が、2つの突条が道路側に膨出している形状の場合、取り付け金具は、ビームGaの2つの突条が内側に収まるように2つの谷部を設けた形状(図3の取り付け金具42の形状)にすることが好ましい。ビームGの形状が3つの突条が道路側に膨出している形状の場合は、取り付け金具は、ビームGaの3つの突条が内側に収まるように3つの谷部を設けた形状にするとよい。
【0031】
また、取り付け対象のガード部材は、波形断面のビームGaを複数の支柱Gbに架設したガードレールGの構造に限定されず、ベース板を道路と反対側の外側面に取り付けること可能で、案内板を上述した通常状態及び案内表示状態にできるものであれば、ガードレールとは異なる構造の、例えばコンクリート製の壁高欄等のガード部材であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
10 交通誘導用の案内板
12 ベース板
14 連結板
16 補助板
18 表示板
18a 矢印
20,22,24,34,36,38 ヒンジ
26 支持部材
28 第一支持板
30 第二支持板
32 回動制限板
32a 固定部
32b 突出部
40 位置決め機構
40a 係合金具
40b フック
42 取り付け金具
G ガードレール
Ga ビーム
Gb 支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6