(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091188
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】予約車室数を固定しないゲート式駐車場での合理的な駐車場の予約方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220614BHJP
G06Q 10/02 20120101ALI20220614BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q10/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203841
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】599164916
【氏名又は名称】日本システムバンク株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 芳夫
(72)【発明者】
【氏名】久藤 武文
(72)【発明者】
【氏名】東 孝二
(72)【発明者】
【氏名】梅田 泰永
(72)【発明者】
【氏名】永棹 健治
(72)【発明者】
【氏名】坂東 上平
(72)【発明者】
【氏名】野坂 信嘉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA03
5L049CC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】合理的に駐車場の予約が可能な予約車室数を固定しないゲート式駐車場での合理的な駐車場の予約方法及び駐車場予約システムを提供する。
【解決手段】予約方法において、予約の管理は、予約管理事業体の予約サイトと、予約できる駐車場とそれを提供する駐車場経営者と登録利用者(以下利用者)および利用者からの予約の窓口になる予約アプリから構成されている。
【効果】予約方法は、予約車室数を設定せず、予約申込状況と一般車室への駐車場状況を見ながら、駐車場の満空表示を行うことによって、合理的に予約可能な駐車場を運営できる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場の予約駐車ができる登録利用者と、駐車場の一部について予約駐車ができるようにした駐車場およびその経営者と、該予約できる駐車場での予約駐車業務を行う予約サイトと、前記登録利用者が予約駐車を申し込むための予約アプリより構成され、予約サイトは、サーバーに予約業務を行うための予約業務プログラムと、予約できる駐車場の経営者から提供される駐車場の名称、位置情報、車室数、場内の車室配置、予約および駐車料金に関する料金体系、精算機の通信端末などの駐車場情報を基本情報として記憶管理するとともに、登録利用者が予約駐車を申し込む際にサーバーに記録した基本情報から、予約できる駐車場の位置情報や、予約・駐車料金など予約駐車に必要な情報を検索可能とし、登録利用者が容易に予約駐車の申し込みができるような予約アプリを提供し、該予約アプリによって予約駐車の申し込みがあった駐車場に関して、駐車希望日の最大予約駐車車室数とその発生時間帯を算出し、予約駐車の申し込みがあった時点での当該駐車場における予約なしで駐車している一般駐車車両数を確認し、該最大予約駐車車両数と該一般駐車車両数の和が、該駐車場の全車室数に以下である場合に、申し込みのあった予約駐車を確定することを特徴とする駐車場の予約法
【請求項2】
特許請求項1の駐車場の予約法において、予約駐車の申し込みがあった時点で当該駐車場における予約なしで駐車している一般駐車車両数を確認し、該最大予約駐車車室数と該一般駐車車両数の和が、該駐車場の全車室数に以上になった時点で、該駐車場の一般駐車車両用の満空表示を満とし、それ以上の予約駐車の申し込みに対しては、前記最大予約駐車車室数と該一般駐車車両数の和が該駐車場の全車室数に以下になるまでは駐車予約確定待ちとして、予約駐車申込者に通知することを特徴とする駐車場の予約法
【請求項3】
請求項1,2の駐車場の予約法において、駐車希望日の最大予約駐車車室数の算出に当たっては、実際に予約駐車した車両に関しては、申込時の駐車時間帯ではなく、実際に駐車した時間帯をもとに算出することを特徴とする駐車場の予約法
【請求項4】
請求項1,2,3の駐車場予約法において、予約駐車申込時点での希望駐車場の一般駐車車両数は、該駐車場に駐車している全駐車車両数から、入庫時に予約番号等予約駐車であることを示して入庫している予約駐車車両数を差し引いた数とすることを特徴とする駐車場の予約法
【請求項5】
請求項2、3の駐車場予約法において、最大予約駐車車室数と一般駐車車両数の和が、該駐車場の全車室数に以上になったことを確認し予約を受け入れることができるかどうかの判定方法として、予約サイトが当該予約駐車場の精算機に予約駐車の申し込みがある毎に最大予約駐車車室数とその発生時間帯を通知し、精算機が、管理している一般駐車車両数と通知を受けた該最大予約駐車車室数との和を算出して、予約を受けられるかどうかを判定し、その結果を予約サイトに通知することを特徴とする駐車場の予約法
【請求項6】
請求項2、3の駐車場予約法において、最大予約駐車車室数と一般駐車車両数の和が、該駐車場の全車室数に以上になったことを確認し予約を受け入れることができるかどうかの判定方法として、予約サイトが予約の申し込みを受けた際に、当該駐車場からその時点の一般駐車中の車両数の報告を求め、予約サイトが管理している当該駐車場の最大予約駐車車室数との和を計算することを特徴とする駐車場の予約法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場の予約方法に関する。
【背景技術】
【0002】
市中に多くの駐車場が設置されているが、業務、買い物、イベント等に便利な駐車場は、稼働率が高い。特に業務やイベントなどで時間が決まっている時に、目的地近くで空き駐車場がないと、焦って事故を起こしかねないし、時間に遅れてしまうことなどは、しばしば起こることである。したがって、駐車場をあらかじめ予約できるなら、利用者にとって大変便利である。
【0003】
このような駐車場の予約システムに関しては、駐車場の探索方法と予約の方法、現場での予約車の識別法、予約車室の確保法などが、既に多くの特許文献で開示されている。
【0004】
たとえば、特許文献1から10には、目的地近くの空き駐車場を探索し、予約するシステムが開示されている。これらは、予約サイトにパソコンやスマホなどからアクセスし、提案された駐車場を予約、予約コード等の発行を受けるといったいろいろな方法が示されている。
【0005】
特許文献11には、予約時に複数の予約可能な駐車場を決めて置き、駐車開始の一定時間前に、予約可能な空車室がある場合に予約を確定するという予約車室数を決めていない方法が、また特許文献12には、あらかじめ予約車室数を決めておき、予約数が増えるにしたがって予約料金を増やすような予約料金可変しシステムが示されている。
【0006】
しかし、これらの特許文献では、予約駐車場の予約を、一般枠の駐車用車室の駐車状況によって合理的に決定する方法は示されていない。また、予約による駐車まで時間までかなりの時間がある場合に、予約車室を空車のまま確保しておくことは、一般駐車をしたい駐車場の利用者に駐車の機会を奪うことになるが、この課題に対する合理的な解決案は、これまでの特許文献には示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-264934
【特許文献2】特開2009-93492
【特許文献3】特開2012-215923
【特許文献4】特開2005-31767
【特許文献5】特開H10-122886
【特許文献6】特開2004-280242
【特許文献7】特開2010-79551
【特許文献8】特開2009-237900
【特許文献9】特開2002-197208
【特許文献10】特開H05-28541
【特許文献11】特開2017-174184
【特許文献12】特開2018-197938
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、合理的に駐車場の予約が可能なシステムを提供するものである。
【0009】
すなわち、上記特許文献には、駐車場の車室の一定の部分を予約専用の車室として確保し、残りを予約しない一般の利用者の駐車用車室として使うようにしている。しかし、予約車室を固定しておくと、予約が少なくて予約用車室に空きがあるのに、予約をしていない一般の駐車車室が満車になって、駐車できないといった不具合が発生する。逆に、一般用の車室に空車室が多いのに、予約車室を固定しているため、予約の希望を受け付けられないといった不具合も発生する。
【0010】
このような不具合を改善する方法は、予約車室数を固定せず、予約希望が多い場合には予約車室数を多くするし、予約希望が少ないときは一般駐車用の車室を多くするようなフレッキシブルな運用が望まれる。本発明は、このような予約車室数を固定しない予約が可能な駐車場での合理的な予約車室の確保法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の駐車場の予約法においては、駐車場の予約希望者は、予約駐車の申し込みができる予約アプリを使って、希望する駐車場と駐車日時や時間を予約サイトに申請する。予約サイトは、予約希望を受けた駐車場の申し込みによる予約用の車室数の時間分布を算出し、その日の最大予約駐車車室数を管理する。
【0012】
最大予約駐車車室数は、新たな予約や予約して駐車した車両の出庫により時間経過とともに増減していくが、常にその日の最大予約駐車車室数を把握する。一方、予約をしないで駐車する一般駐車の車両数(以後一般駐車車両数とする)も常時把握しておく。そして、その日の最大予約駐車車室数と一般駐車車両数の和が、当該駐車場の全車室数に等しくなるまでは、申し込みのあった予約駐車を確定する(請求項1)。
【0013】
また、その日の最大予約駐車車室数と一般駐車車両数の和が、当該駐車場の全車室数に等しくなったら、一般駐車用の満空表示を満にしてそれ以上の一般駐車を制限する一方、それ以降の予約の申し込みに対しては予約を確定せずに予約確定待ちとし、一般駐車車両の出庫などでその日の最大予約駐車車室数と一般駐車車両数の和が当該駐車場の全車室数より少なくなったら、予約が確定したことを、予約アプリなどの通信手段で予約申込者に通知することにした(請求項2)。
【0014】
予約できる駐車場の最大予約駐車車室数は、予約駐車申し込み時の駐車時間帯をベースにして算出することができるが、すでに予約駐車していた車両が予定していた駐車時間帯より早く出庫したり、それを超えて駐車したりしている場合には、申し込みベースではなく、実際の予約駐車の駐車状況をもとに、最大予約駐車車室数を算出することもできるようにした(請求項3)。
【0015】
本発明では、予約できる駐車場で申込者の予約駐車を確定するために、一般駐車車両数を把握することが必要であるが、その方法として、当該駐車場に入庫する際と出庫する際に、予約駐車の場合は、予約時に予約サイトから発行された予約番号、あるいは予約駐車を認識できるQRコード(商標登録)を入り口の発券機と出口精算機に入力あるいは提示することにより、予約駐車中の車両数を把握できるので、全入庫車両数から該予約駐車中の車両数を差し引いた数を一般駐車車両数とすることにした(請求項4)。
【0016】
本発明では、予約駐車の申し込みがあった時、予約駐車確定の条件として、最大予約駐車車室数と一般駐車車両数の和が全車室数以下であることを条件とするが、該最大予約駐車車室数と一般駐車車両数の和の計算は、当該予約できる駐車場の精算機が、予約サイトから新たな予約駐車とその駐車時間帯の通知を受けた時、該精算機が常時把握している一般駐車車両数とそれまでの予約駐車車室数から計算し、その結果を予約サイトに送信することも可能とした(請求項5)。
【0017】
一方、予約駐車の申し込みがあった時、予約駐車確定の条件として、最大予約駐車車室数と一般駐車車両数の和が全車室数以下であることを条件とするが、この判断を予約サイトが、把握している最大予約駐車車室数と当該駐車場に問い合わせて入手する一般駐車車両数の和を計算し、予約駐車の確定や予約確定待ちを判断し、その結果を予約駐車の申込者に予約アプリを通して通知し、また該駐車場の精算機に送信することもできるようにした(請求項6)。
【発明の効果】
【0018】
上記のように、最大予約駐車車室数を管理することにより、予約駐車車室数を、予約をしないで駐車する一般駐車の数との兼ね合いでフレッキシブルに決定することができるので、早い時間に予約した予約利用者は、確実に駐車ができるし、予約数が少ない場合には予約なしの一般の駐車を多くできる効果がある。いずれも、駐車場の経営者や、利用者にとって大きなメリットとなる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】は、本発明の予約方法を実施する駐車場予約システムの構成を示す図である。
【
図2】は、本発明の駐車場予約方法の全体の流れを示す図である。
【
図3】は、本発明の駐車場予約サイトが管理する時刻午前6時における駐車場の予約状況と予約車室数と時刻との関係の一例を表したグラフである。
【
図4】は、本発明の駐車場予約サイトが管理する一駐車場の午前9時時点での予約状況と予約車室数と時刻との関係の例を表したグラフである。
【
図5】は、本発明の駐車場予約サイトが管理する一駐車場の時刻xでの予約車室数のグラフ表示と、一般車両の駐車数の推移を示す図である。
【
図6】は、本発明の駐車場予約サイトが管理する一駐車場の時点yでの予約車室数のグラフ表示と、一般車両の駐車数の推移を示す図である。
【
図7】は、本発明の駐車場予約サイトが管理する一駐車場の時点zでの予約車室数のグラフ表示と、一般車両の駐車数の推移を示す図である。
【
図8】は、予約申し込みのあったすべてについて、予約の確定が出きた場合の、予約車室数と一般駐車車両数の一日の推移の例を示し図である。
【
図9】は、一時予約が確定できなかったが、一般駐車車両の出庫で、予約のすべてが予約確定できた例を示す図である。
【
図10】は、予約申し込みのすべてを予約確定できなかった例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0020】
図1は、本発明の予約方法を実施する駐車場予約システムの構成を示す図である。予約の管理は予約管理事業体の予約サイト(以下予約サイト)と、予約できる駐車場とそれを提供する駐車場経営者と登録利用者(以下利用者)および 利用者からの予約の窓口になる予約アプリから構成されている。
【0021】
予約サイトは、予約できる駐車場を提供する駐車場の経営者から、提供駐車場の車室数やその配置図、位置情報、精算機の機種、駐車料金体系、通信設備ほかの駐車場の基本情報の提供を受け、予約駐車希望の利用者が該駐車場を検索でき、かつ予約の受付と予約の可否を決定し、予約駐車の申込者に通知できるような予約アプリを提供する。
【0022】
また予約サイトは、主としてすべての予約できる駐車場に関して予約駐車申し込みの際に該駐車場の最大予約駐車車室数とその発生時間帯を計算・記録し、かつ予約できる駐車場の精算機と通信し、該駐車場の予約によって駐車した予約駐車車両数と予約なしで駐車した一般駐車車両数を把握し、申込者の予約が確定できるかどうかの判断を行う。
【0023】
予約駐車を希望する利用者は、予約サイトに対して利用者登録を行う。登録情報には、住所氏名、連絡先、利用した時の駐車費用を電子的に支払うための情報を含む。そして利用者は 予約サイトから利用者IDの発行を受ける。
【0024】
図2は、本発明の駐車場予約方法の全体の流れを示す図である。 予約を希望する利用者が予約アプリにアクセスして、予約できる希望の駐車場を検索し、利用者IDによりログインの後、駐車希望日時と駐車希望時間帯(駐車開始時間と出庫時間)を申し込む。予約アプリは、該予約情報を予約サイトのサーバーに送信する。
【0025】
予約サイトは、受信した予約情報を、希望駐車場の予約車室フアイルに記録する。そして
受け付けた予約情報を、それ以前に受けた予約情報に加えて、希望予約駐車場に関する予約駐車車室数と時間帯を表すデータを作成し、当該駐車場の予約希望日の最大予約駐車車室数とその発生時間帯を算出する。
【0026】
続いて、当該の予約可能な駐車場の精算機と通信し、その時点での一般駐車車両数を返答させる。予約サイトは、報告を受けた一般駐車車両数を全車室数から差し引いて、予約駐車に回せる空車室数を算出する。そして、前記最大予約駐車車室数が該空車車室数より同じか少ない場合に、予約は成立すると決定し、利用者には予約成立できたことを、予約アプリを通じて連絡する。
【0027】
もし、上記の予約成立の条件が満たされない場合は、予約駐車車両が到着しても空車室がない事態になってしまうので、この予約は申し込み現時点では成立しないが、現在の一般駐車車両が出庫するか、あるいはすでに決定していた予約の取り消しなどで、最大予約駐車車室数が減った場合には、その時点で予約アプリ上あるいは通知メールなどの通信手段で、利用者に予約成立を通知することにした。
【0028】
申し込み時に予約が成立しない場合には、予約サイトは予約できる駐車場の精算機に一般駐車用の満空表示を満にするように指示をする。この処置により、以後一般駐車車両数が増えることを防止し、かつ駐車中の一般駐車車両の出庫があれば空車室が増えるので予約希望が成立する可能性を高くできる。
【0029】
また、予約サイトは、当該駐車場にさらなる予約希望があった時には、当該駐車場の予約は現状では一杯であることと、空車室ができれば予約が成立する可能性があることを、アプリ上で表示させるようにした。そして、それでも予約を希望する利用者に対しては、予約が成立する状態になった時、通知メールなどでその由通知できるようにした。
【0030】
以上のように本発明では、予約サイトは、予約申し込みの時に、予約駐車場の一般駐車車両数を問い合わせることが必要である。また予約が成立しなかった場合には、予約駐車場で一般駐車車両の出庫があった場合に、予約サイトに自動的に通信で知らせるようにしておくとよいことはもちろんである。
【0031】
以上の説明を分かりやすくするため、以下
図3から
図9に予約が成立するかどうかの判断を説明する。
【0032】
図3は、一例として予約できる駐車場の午前6時点までの予約申し込み(8件)と、予約駐車室数の時間ごとの数を示したものである。縦軸は一日の時間経過を示し、左の図は午前6時までの予約申し込み情報と予約希望時間帯を示した。右の図は、同じ午前6時時点で、予約申し込みによって変化する予約駐車車室数をグラフ化したものである。このようにして、午前6時時点での最大予約駐車車室数がわかる。
【0033】
予約の申し込みは、一日の時間経過によって時事刻々と変化していくが、
図4は、
図3の午前6時から9時までに新たな予約が入った場合の午前9時時点での予約申し込みの状況を示したものである。
図3の午前6時から3時間後の午前9時時点までに、
図4の左の図のように10件の予約が入っており、同右の図では16時頃に最大予約車室数が表れていることが分かる。
【0034】
次に
図5は、横軸が駐車場車室数を表し、左側からは、x時点での時間経過ごとの予約駐車車室数を、右側からは、x時点までの時間経過と一般駐車車両数を表した。
【0035】
この図からは、x時点での実際の一般駐車車両数(P点)に対して、そこから描いた垂線上にその日の最大予約駐車車室数(Q点)があることがわかる。すなわち、一般の駐車をこれ以上させなければ、x時点までに予約した予約駐車希望者の車室は確実に確保されるが、一般駐車車両数がP点より多くなると、予約希望者用の車室が足りなくなってしまうことがわかる。本発明ではその対策として、P点とQ点がこの図の垂線上で一致した時に、当該駐車場に満車の表示を出して、それ以後の一般車両の駐車を止めるようにした。
【0036】
次に、
図5において、もしx時点の直後に新たな予約が入ったとすると、予約駐車車両数のグラフは、点線で表示したようになり、Q点は右側に一つ移動してQ’点になる。この場合には、最大予約車室数は16時ごろには空車室数が不足してしまう。したがって、予約申し込み時点では、この予約希望者に対しては、予約が成立しないことがわかるであろう。
【0037】
しかしこの場合にも、先のP点とQ点が垂線上で一致したところで一般駐車用の満空表示を満にしておくので、少し時間がたったy時点で、一般の駐車車両が一台出庫したとすると、
図6で示すようにその時点でP点は一つ右へ移動しP’点になる。
【0038】
このようにして、y時点では、最大予約車両数の新たなQ’点と、一般車両の出庫によって一つ右へ移動した一般駐車車両数のP’点は、図の垂線上で一致することになり、先の予約が成立しなかった予約希望者の予約については、予約を確定しても車室が不足するといった不具合はなくなることがわかる。
【0039】
したがって、この時点で予約が成立したことを、予約申し込みをした利用者に分かるように予約アプリ上に表示するか、あるいは通知メールで知らせるようにした。なお、x点以降の予約希望が最大予約駐車車室数に影響を与えないような時間帯である場合は予約を確定してもQ点は変わらないので、予約を確定してもよい。さらに、予約のキャンセルがある場合、予約して駐車していた車両が予定より早く出庫した場合には、最大予約車両数Q’は減少するので、予約を確定できる。
【0040】
図7は、さらに時間が経過して、z時点にきた時の例を示した。一般駐車車両数は、P’のままで、最大予約車両数はQ’’まで増えているので、このままでは、最後の予約申込者の予約希望はz時点では成立しない。この場合も、一般駐車車両が出庫してP‘点を右に移動するか、それとも予約で駐車していた車両が予定を早めて出庫し、Q‘’点が左に動いた場合に、最後の予約申し込み者の予約が成立する。
【0041】
以上の説明では、予約車の車室数は、申し込みベースの駐車時間帯で算出するが、予約時に申し込んだとおりに駐車することはないとも考えられる。その場合は、申し込みベースで算出した予約車室数と時間との関係は、実際に駐車した予約駐車車両数で補正して作り直すことも可能である。むしろ、予約車については、実際に駐車しているときの予約駐車車両数で、補正するのが妥当であるといえる。
【0042】
図8は、一日の予約駐車車室数と一般駐車車両数の時間変化を示した。このケースは、一度も満車の表示をすることなく、終わった日の例である。
【0043】
図9は、一時予約確定ができなかったけれども、一般駐車車両の出庫で、すべての予約が成立した例である。
【0044】
図10は、最大予約車室数が空車室より多くなり、一部で予約が成立しなかった例である。
本発明では、予約サイトは予約駐車申込者の予約を確定するために予約できる駐車場毎に時々刻々の一般駐車車両数と最大予約駐車車両数を常に把握しておく必要がある。しかし、予約が可能な駐車場の数が非常に多くなると、予約サイトが予約できる駐車場ごとの一般駐車車両数を常時入手し管理するのに多大な情報処理が必要となるので、予約サイトが予約の申し込みがあった時点で該当する予約できる駐車場の精算機に最大の予約駐車車両数を送信し、該予約できる駐車場では、最大予約駐車車室数が実際に駐車するものとして、一般駐車車両数を管理し、精算機自身で満空の表示を制御しても良い。
すなわち、予約できる駐車場は、予約サイトからの最大駐車車両数の通知を受けて、一般車輛の駐車を許すか、満車表示をして入庫を制限するかを決定できるようにし、満車の表示をしている間は、予約サイトに新たな予約の確定はできないことを知らせるようにしてもよい。
以上の説明では、予約が成立する条件として、それ以降は予約しない一般駐車車両の駐車を阻止するように満空表示を満にすることにしているが、この場合には、予約が確定している車両が到着した時、満車の表示があるため入庫できないことになる。したがって、予約した利用者の入庫を可能にする対策が必要になる。その最も簡単な方法は、予約車両を入庫させる別の予約車専用の入り口を設けておくことである。
また、予約車専用の入り口を設けない場合には、入り口ゲートで予約なしの一般駐車かそれとも予約車の駐車であることを区別する必要がある。このため、予約車の入庫を確認するために、予約確定時に予約サイトから発行される予約番号、あるいは予約車であることを示すQRコード(商標登録)などを読み取る装置を設置しておき、読み取りがあった場合は予約車の入庫とし、一般駐車車両の入庫数とを区別できるようにできる。また出庫の場合も、予約駐車した車両の場合、精算機に予約番号やQRコード(商標登録)の入力で予約駐車であったことを認識させれば、精算機は、駐車中の車両のうち中の一般駐車車両数を知ることができる。
また本発明では、一般駐車車両数と、最大予約駐車車両数の和が全車室数に達した場合 それ以降は一般駐車の駐車を防止するために満空表示器にま満を表示することにしているが、予約車専用の入り口を設けない場合には、空車室ができるのを待って一般駐車の車両がゲート前で止まってしまうと、予約できた車両が入庫できないことになってしまう。この対策としては、従来の入り口ゲートより距離をおいて、第2の停止線を設け、一般車両用の満空表示が満の時は、そこでストップさせ、予約車両については、該停止線の前に割り込む形で入庫を可能にすることができる。
本発明では、予約できる駐車場の最大予約駐車車室数を、予約申し込みの情報から算出するが、実際には、申し込みベースで算出した最大予約駐車車室数とその発生時点は、実際の予約駐車車両の早期出庫や、予定時間を超える駐車で変動する場合が考えられる。したがって、予約で駐車した車両の現実の駐車状態をもって、最大予約駐車車室数を修正することが望ましい。