(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091203
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】インストルメントパネルの支持装置
(51)【国際特許分類】
B60K 37/00 20060101AFI20220614BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B60K37/00 C
B60R11/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203866
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】390005430
【氏名又は名称】株式会社ホンダアクセス
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】米澤 拓臣
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 智也
【テーマコード(参考)】
3D020
3D344
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC02
3D020BD03
3D020BD05
3D344AA09
3D344AB01
3D344AC07
3D344AC13
3D344AC30
(57)【要約】
【課題】車載機器とインストルメントパネルとの接触による騒音を抑制する。
【解決手段】インストルメントパネルの支持装置は、ナビゲーションユニットと、ナビゲーションユニットの前壁16とインストルメントパネル20の後端部と連結する連結部CP1と、を備え、ナビゲーションユニットからインストルメントパネルの後端部を支持するように構成される。連結部CP1は、インストルメントパネルの後端部に設けられた爪部210と、ナビゲーションユニットの前壁16に設けられ、インストルメントパネルが前壁16に前後方向に押し込まれるインストルメントパネルとナビゲーションユニットとの連結時に、爪部210が係合される段部160と、を有する。連結部CP1では、インストルメントパネルの上壁21の弾性変形により爪部210が段部160の周囲に当接された状態で係合される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載機器からインストルメントパネルの端部を支持するインストルメントパネルの支持装置であって、
前記車載機器または前記車載機器に固定された固定部材からなる支持部と、
前記支持部と前記インストルメントパネルの端部とを連結する連結部と、を備え、
前記連結部は、
前記インストルメントパネルの端部に設けられた係合部と、
前記支持部に設けられ、前記インストルメントパネルおよび前記支持部のいずれか一方がいずれか他方に所定方向に押し込まれる前記インストルメントパネルと前記支持部との連結時に、前記係合部が係合される被係合部と、を有し、
前記連結部では、前記係合部が弾性変形により前記被係合部に当接された状態で係合されることを特徴とするインストルメントパネルの支持装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインストルメントパネルの支持装置において、
前記連結部は、車幅方向にわたって複数箇所に設けられることを特徴とするインストルメントパネルの支持装置。
【請求項3】
請求項2に記載のインストルメントパネルの支持装置において、
前記連結部は、第1連結部であり、
前記支持部と前記インストルメントパネルの端部とを連結する第2連結部をさらに備え、
前記第2連結部は、
前記インストルメントパネルの端部に設けられ、凹状または凸状に形成された複数の嵌合部と、
前記支持部に設けられ、前記インストルメントパネルと前記支持部との連結時に前記嵌合部に嵌合する被嵌合部と、を有し、
前記第2連結部は、車幅方向にわたって複数箇所に、前記第1連結部と車幅方向交互に設けられることを特徴とするインストルメントパネルの支持装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のインストルメントパネルの支持装置において、
前記係合部は、その先端部に、先端面がテーパ状に形成された係合凸部を有し、
前記被係合部は、前記インストルメントパネルと前記支持部との連結時に前記係合凸部が当接して乗り越える被係合凸部を有することを特徴とするインストルメントパネルの支持装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のインストルメントパネルの支持装置において、
前記インストルメントパネルは、上下方向に延在する側壁部をさらに有し、
前記側壁部は、前記所定方向に延在する突出部を有し、
前記支持部は、前記インストルメントパネルと前記支持部との連結時に前記突出部の側面が当接する当接部を有することを特徴とするインストルメントパネルの支持装置。
【請求項6】
請求項5に記載のインストルメントパネルの支持装置において、
前記側壁部は、前記突出部の車幅方向外側に、前記突出部と平行に延在するカバー部をさらに有し、
前記支持部は、前記当接部の車幅方向外側かつ前記カバー部の車幅方向内側に、前記カバー部から離間して配置される壁部を有することを特徴とするインストルメントパネルの支持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機器からインストルメントパネルを支持するインストルメントパネルの支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、従来、カバーパネルを介してインストルメントパネルの端部を車載機器から支持するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置では、インストルメントパネルの端部の内側に支持ブラケットを設けるとともに、支持ブラケットの先端部をカバーパネルの係合凹部に嵌合し、これによりインストルメントパネルの端部を、カバーパネルと支持ブラケットとを介して車載機器から支持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の装置では、カバーパネルの端部がインストルメントパネルの上面に近接して配置されるため、走行時の振動等によりカバーパネルとインストルメントパネルとが繰り返し接触し、騒音が発生するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、車載機器からインストルメントパネルの端部を支持するインストルメントパネルの支持装置であって、車載機器または車載機器に固定された固定部材からなる支持部と、支持部とインストルメントパネルの端部とを連結する連結部と、を備える。連結部は、インストルメントパネルの端部に設けられた係合部と、支持部に設けられ、インストルメントパネルおよび支持部のいずれか一方がいずれか他方に所定方向に押し込まれるインストルメントパネルと支持部との連結時に、係合部が係合される被係合部と、を有する。連結部では、係合部が弾性変形により被係合部に当接された状態で係合される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、インストルメントパネルと周囲の部品との接触による騒音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るインストルメントパネルの支持装置が適用されるナビゲーションユニットの車両への取付状態を示す斜視図。
【
図2】
図1のナビゲーションユニットの要部構成を示す断面図。
【
図3】
図1のインストルメントパネルの全体構成を示す正面図。
【
図4】
図1のナビゲーションユニットの背面にインストルメントパネルが取り付けられた状態を示す背面図。
【
図6A】本発明の実施形態に係るインストルメントパネルの支持装置を構成する第1連結部における係合動作を説明する図。
【
図7A】本発明の実施形態に係るインストルメントパネルの支持装置を構成する第2連結部における係合動作を説明する図。
【
図8A】
図4のVIII-VIII線に沿った断面図。
【
図9】本発明の実施形態に係るインストルメントパネルの支持装置が適用されるナビゲーションユニットにナビパネルが固定された状態を示す斜視図。
【
図11A】
図10のナビパネルとインストルメントパネルとの連結状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図11Bを参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係るインストルメントパネルの支持装置は、車載機器からインストルメントパネルを支持するように構成される。車載機器として、以下では、車室内の前部におけるインストルメントパネルの中央部に設けられるナビゲーションユニットを用いる例を説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係るインストルメントパネルの支持装置が適用されるナビゲーションユニット10の車両への取付状態を示す斜視図である。以下では、車両の前後方向(車両長さ方向)、左右方向(車幅方向)および上下方向(車両高さ方向)を基準として、便宜上、図示のように前後方向、左右方向および上下方向を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。
【0010】
図1は、ナビゲーションユニット10を車室内の斜め後方から見た図である。
図1に示すように、ナビゲーションユニット10は、車幅方向中央部のインストルメントパネル20の後方に配置された、上下左右方向に延在する略矩形状の薄型のディスプレイ11を有する。ディスプレイ11は、表示面11aが後方を向くように立設状態で、あるいは後方かつやや上方を向くように傾斜状態で配置される。ディスプレイ11(表示面11a)には、道路地図情報や目的地までのルート案内情報等の他、図示しない車載カメラ(例えばリアカメラ)により撮像された映像などが表示される。
【0011】
ナビゲーションユニット10は、ディスプレイ11の下部に、ディスプレイ11と一体に設けられ、後方に延在する本体12を有する。本体12には、ディスプレイ11を制御する制御回路が収容されるとともに、CDやDVD等のディスク13が挿脱可能に設けられる。なお、本体12に、ラジオ、CDプレーヤ、DVDプレーヤ、デジタルオーディオプレーヤーなどを設け、これらの音声を車内に搭載されたスピーカから出力するようにしてもよい。すなわち、ナビゲーションユニット10をカーオーディオとして用いることもできる。この場合、ディスプレイ11に、各種案内情報やテレビ放送受信機による受信映像などを表示するようにしてもよい。
【0012】
図2は、ナビゲーションユニット10の縦方向(上下方向)の断面図である。
図2に示すように、ディスプレイ11は筐体15によって包囲される。筐体15は、樹脂を構成材とした成形品であり、上下方向および左右方向に延在する筐体15の前面の前壁16を有する。本体12の上面12aは、ディスプレイ11の上下方向の中間部から略水平に前方に延在する。本体12の上面12aの上方には、インストルメントパネル20が配置される。
【0013】
図3は、インストルメントパネル20の全体構成を示す正面図(後方から見た図)である。
図3に示すように、インストルメントパネル20の後端部には、略矩形の開口20aが設けられる。より詳しくは、インストルメントパネル20は、水平方向に延在する上下一対のパネル部、すなわち上壁21および底壁22と、鉛直方向に延在する左右一対のパネル部、すなわち左右の側壁23,24を有する。インストルメントパネル20の内側には、これら上壁21、底壁22および側壁23,24によって包囲され、開口20aに連なる収容空間SPが形成される。
【0014】
図4は、ナビゲーションユニット10の背面(前壁16)にインストルメントパネル20が取り付けられた状態を示す背面図(前方から見た図)である。
図4に示すように、インストルメントパネル20の収容空間SPには、開口20aを介して挿入されたナビゲーションユニット10の本体12が収容される。この状態で、インストルメントパネル20の後端部は、ディスプレイ11の背面の前壁16に支持される。
【0015】
ところで、インストルメントパネル20は、樹脂を構成材とした一体成形により形成される。したがって、インストルメントパネル20は、樹脂成型の段階で、あるいは経年劣化により、
図3に点線で示すように上壁21が内側(下方)に撓んで変形するおそれがある。その結果、インストルメントパネル20を
図4に示すようにナビゲーションユニット10の所定位置(例えば前壁16)から支持することが困難な場合がある。
【0016】
また、インストルメントパネル20をナビゲーションユニット10から支持する場合、走行時の振動等によりインストルメントパネル20とナビゲーションユニット10とが繰り返し接触し、騒音が生じるおそれがある。特に、インストルメントパネル20が
図3の点線に示すように変形すると、インストルメントパネル20とナビゲーションユニット10との位置関係にずれが生じやすく、騒音が発生しやすい。そこで、本実施形態では、インストルメントパネル20とナビゲーションユニット10との接触による騒音の発生を抑えるため、以下のようにインストルメントパネルの支持装置を構成する。
【0017】
図5は、本実施形態に係るインストルメントパネルの支持装置の要部構成を示す図(
図2の要部拡大図)であり、インストルメントパネル20の上壁21の後端部とディスプレイ11の筐体15とを連結する連結部CP1の構成を示す図である。
図5に示すように、連結部CP1は、上壁21の後端部に設けられた爪部210と、筐体15の前壁16に設けられた段部160とを有する。爪部210は、上壁21の底面から下方に突設される。段部160は、爪部210の位置に対応して前方に突設された突出部161の前端部に、突出部161の上面よりも上方に突設される。
【0018】
図4に示すように、連結部CP1(爪部210と段部160)は、左右方向3箇所に等間隔に設けられる。すなわち、インストルメントパネル20の左右方向中央部と、その右側と左側とにそれぞれ設けられる。
【0019】
図6A~
図6Cは、ナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20との連結部CP1における、爪部210と段部160との係合動作を示す図であり、
図4のVI-VI線に沿った断面図に相当する。
図6Aに示すように、爪部210は、その先端における面、すなわち後端面210aと、後端面210aから下方かつ前方に傾斜して延在するテーパ面210bと、テーパ面210bの前端から上壁21の上面と略平行(前後方向)に延在する底面210cと、底面210cの前端から上方に延在する前端面210dとを有する。
【0020】
段部160は、前壁16の前面16aから前方に突設された突出部161の前端部に設けられる。段部160は、その先端における面、すなわち前端面160aと、前端面160aから上方かつ後方に斜めに延在するテーパ面160bと、テーパ面160bの後端から略水平に後方に延在する上面160cと、上面160cの後端から下方に延在する後端面160dとを有する。前壁16には、突出部161の上方において前後方向に貫通する開口16bが設けられる。前壁16の前面16aには、開口16bに連なって凹部16cが設けられる。
【0021】
インストルメントパネル20がナビゲーションユニット10に組み付けられる際は、
図6Aの矢印Aに示すように、前壁16の前方から段部160に向けて爪部210を押し込む。この場合、まず、爪部210のテーパ面210bが段部160のテーパ面160bに当接し、テーパ面210b,160b同士が摺動しながら、爪部210は主に上壁21の弾性変形により段部160の上方に移動する。これにより、上壁21の下方への撓みが修正される。次いで、
図6Bに示すように、爪部210の底面210cが段部160の上面160cに当接し、底面210cと上面160cとが摺動しながら、爪部210は後方に移動する。
【0022】
次いで、
図6Cに示すように、爪部210が段部160を乗り越える。すなわち、爪部210の前端面210dが段部160の後端面160dよりも前方に移動する。このとき、爪部210は、弾性変形からの復元力により下方に移動し、爪部210の先端(後端部)が前壁16の前面16aの凹部16cに係合する。これによりインストルメントパネル20の前後方向の位置が拘束される。
【0023】
なお、
図6Cでは、便宜上、インストルメントパネル20の先端部(爪部210や上壁21)が前壁16(段部160や突出部161や凹部16c)から離間して示されるが、実際にはインストルメントパネル20の先端部は復元力により前壁16側に押し当てられ、インストルメントパネル20の先端部は前壁16に接触している。例えば、上壁21の底面が段部160の上面160cに接触、または爪部210の底面210cが突出部161の上面に接触、または爪部210の後端面210aが凹部16cの底面に接触している。
【0024】
このように本実施形態では、ナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20との連結部CP1が、インストルメントパネル20の組み付け動作時に爪部210が段部160から上方に押し上げられように構成される。これにより、インストルメントパネル20の上壁21が下方に撓んでいる場合であっても、上壁21の位置が修正され、インストルメントパネル20の組み付けが容易である。この場合、爪部210と段部160とが上壁21等の弾性変形により係合されるので、爪部210と段部160とが互いに当接した状態を維持できる。このため、走行時の振動によりナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20とが繰り返し接触することによる騒音の発生を抑制できる。
【0025】
インストルメントパネル20をナビゲーションユニット10に組み付けた後は、インストルメントパネル20の後端部がナビゲーションユニット10の前壁16の突出部161の上方に配置される。これにより、インストルメントパネル20の経年劣化による垂れ下がり(下方への撓み)を防止することができ、インストルメントパネル20を安定的に支持できる。また、爪部210と段部160とは前後方向に係合するので、ナビゲーションユニット10に対するインストルメントパネル20の前後方向の位置を規制することができる。さらに、爪部210の先端部は前壁16の前面16aの凹部16cに係合するので、爪部210の上方への移動を凹部16cにより阻止することができ、爪部210を係合位置に安定的に保持できる。
【0026】
本実施形態では、連結部CP1に加え、さらにインストルメントパネル20とナビゲーションユニット10とを連結する連結部CP2を有する。
図4に示すように、連結部CP2は、連結部CP1と左右方向交互に、すなわち左右方向4か所に設けられる。
図3に示すように、インストルメントパネル20の上壁21には、連結部CP2に対応して左右方向4か所に、下方に延在するリブ211が設けられる。リブ211には、リブ211を前後方向に貫通する正面視略矩形状の開口部211aが設けられる。
【0027】
図7A~
図7Cは、ナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20との連結部CP2におけるリブ211の係合動作を示す図であり、
図4のVII-VII線に沿った断面図に相当する。なお、
図7A~
図7Cは、
図6A~
図6Cの連結部CP1の係合動作に対応する。
図7Aに示すように、リブ211は、開口部211aの上側の上リブ212と下側の下リブ213とを有する。上リブ212は下支部213よりも後方に突出し、上リブ212の後端面212aは、下リブ213の後端面213aよりも後方に位置する。上リブ212は、
図6Aの上壁21と上下方向ほぼ同一高さに位置する。
【0028】
前壁16の前面16aには、リブ211の位置に対応して前方に突出する突出部162が設けられる。突出部162の厚さ(上下方向長さ)は、リブ211の開口部211aの上下方向長さよりも短い。突出部162の前端部には、下側の角部にテーパ面162aが形成される。前壁16の前面16aには、突出部162の上方に、凹部16dが設けられる。凹部16dの上下方向位置は、
図6Aの凹部16cの上下方向位置とほぼ等しい。
【0029】
ナビゲーションユニット10にインストルメントパネル20を組み付けるとき、
図6Aに示すように、爪部210の先端が段部160に当接を開始した状態では、
図7Aに示すように、リブ211の後端は突出部162の前端よりも前方に位置し、両者は互いに離れている。このとき、リブ211の開口部211aは突出部162よりも下方に位置する。
図6Bに示すように、爪部210が段部160に乗り上げて上壁21が上方に押し上げられると、
図7Bに示すように、リブ211も上方に押し上げられ、下リブ213の上端面が突出部162のテーパ面162aに当接する。これにより突出部162が開口部211a内に挿入される。
【0030】
その後、下リブ213が突出部162の底面に沿って摺動しながら、リブ211は後方に移動する。
図6Cに示すように、爪部210が段部160を乗り越えて爪部210の先端が凹部16cに係合されると、
図7Cに示すように、上リブ212の先端(後端部)が前壁16の前面16aの凹部16dに係合する。なお、
図7Cでは、便宜上、リブ211が突出部162や凹部16dから離間して示されるが、実際にはリブ211は突出部162や凹部16dに接触している。
【0031】
このようにインストルメントパネル20の組み付け時に、突出部162がリブ211の開口部211aに挿入されるので、インストルメントパネル20をナビゲーションユニット10に精度よく位置決めして組み付けることができる。特に、連結部CP1では、爪部210の底面210cが段部160の上面10cに当接してインストルメントパネル20の下方への移動が制限されるのに対し(
図6B)、連結部CP2では、下リブ213の上面が突出部162の底面に当接してインストルメントパネル20の上方への移動が制限される(
図7B)。
【0032】
このため、ナビゲーションユニット10に対するインストルメントパネル20の上下方向の位置精度を高めることができ、ナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20とを所定位置で確実に接触させることができる。その結果、ナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20との所定位置での接触状態を保つことができ、ナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20とが繰り返し接触することにより騒音が発生することを抑制できる。
【0033】
図4に示すように、本実施形態では、インストルメントパネル20の上壁21だけでなく、左右の側壁23,24にも、ナビゲーションユニット10との連結部CP3が設けられる。
図8Aは、右側の側壁24における連結部CP3の構成を示す
図4のVIII-VIII線に沿った断面図である。なお、図示は省略するが、左側の側壁23における連結部CP3の構成も
図8Aと同様である。
【0034】
図8Aに示すように、ナビゲーションユニット10の筐体15の前壁16の前面および後面には、それぞれ上下方向にわたって前後方向に突出部161,162が突設される。突出部161は前壁16の右端面よりも左方に位置し、突出部162は突出部161よりもさらに左方に位置する。前壁16には、突出部162の左方に、前壁16を前後方向に貫通する開口部163が設けられる。一方、側壁24の左面には、左方に向けてブラケット25が突設される。ブラケット25は、側壁24の左面から左方に延在する基部251と、基部251の左端部から後方に延在する突出部252とを有し、全体が断面略L字状に形成される。突出部252は、側壁24よりも後方に突出し、突出部252の後端面252aは側壁24の後端面24aよりも後方に位置する。
【0035】
インストルメントパネル20の組み付け時には、突出部252の先端が前壁16の開口部163に挿入される。このとき、突出部252の後端面252aは前壁16の後面よりも後方に位置するとともに、突出部252の右面が開口部163の右縁に当接し、側壁24が前壁16に対し左右方向に位置決めされる。なお、突出部252と開口部163との接触は、面接触ではなく例えば線接触あるいは点接触である。
【0036】
突出部252と開口部163とが接触した状態では、側壁24の後端部が突出部162の右方に配置される。これにより、側壁24が突出部162から離間した状態で、突出部162の外側が、ブラケット25の基部251よりも後方の側壁24(カバー部24bと呼ぶ)により覆われる。このため、連結部CP3(突出部252、開口部163)が隠れるので、インストルメントパネル20の側方からの見栄え(意匠性)が向上する。特に、側壁24は左右方向の位置決めに用いられずに、側壁24から離間したブラケット25が左右方向の位置決めに用いられ、側壁24は、突出部162から離間して配置される。これにより、側壁24にヒケを生じさせることなく、側方からの見栄えを優先して側壁24を容易に成形することができる。
【0037】
これに対し、本実施形態の比較例である
図8Bに示すように、側壁24の先端部を前壁16(例えば突出部162)に嵌合するように構成すると、側壁24による位置決めを優先して側壁24を成形する必要がある。このため、側壁24にヒケが生じやすく、意匠性が低下する。
【0038】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態に係るインストルメントパネルの支持装置は、ナビゲーションユニット10と、ナビゲーションユニット10の前壁16とインストルメントパネル20の後端部とを連結する連結部CP1と、を備え、ナビゲーションユニット10からインストルメントパネル20の後端部を支持するように構成される(
図5)。連結部CP1は、インストルメントパネル20の後端部に設けられた爪部210と、ナビゲーションユニット10の前壁16に設けられ、インストルメントパネル20が前壁16に前後方向に押し込まれるインストルメントパネル20とナビゲーションユニット10との連結時に、爪部210が係合される段部160と、を有する(
図5)。連結部CP1では、インストルメントパネル20の上壁21の弾性変形により爪部210が段部160ないし段部160の周囲に当接された状態で係合される(
図6A~
図6C)。
【0039】
これにより、ナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20とが連結部CP1において、常時、安定的に接触するようになる。このため、走行時の振動等によりナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20とが繰り返し接触することを防止でき、騒音の発生を抑えることができる。また、インストルメントパネル20の押し込みに伴いインストルメントパネル20の後端部が段部160に沿って押動されるため、インストルメントパネル20の変形による位置ずれが元に戻され、インストルメントパネル20をナビゲーションユニット10の所定位置に容易に係合することができる。
【0040】
(2)連結部CP1は、車幅方向(左右方向)にわたって複数箇所に設けられる(
図4)。これにより、インストルメントパネル20がナビゲーションユニット10に強固に支持され、ナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20との接触による騒音の発生を良好に抑えることができる。
【0041】
(3)インストルメントパネルの支持装置は、ナビゲーションユニット10の前壁16とインストルメントパネル20の後端部とを連結する連結部CP2をさらに備える(
図7A~
図7C)。連結部CP2は、インストルメントパネル20の後端部に設けられ、前後方向に凹状に形成された複数の開口部211aと、前壁16に設けられ、インストルメントパネル20とナビゲーションユニット10との連結時に開口部211aに嵌合する突出部162と、を有する(
図7A~
図7C)。連結部CP2は、車幅方向にわたって複数箇所に、連結部CP1と車幅方向交互に設けられる。これにより、インストルメントパネル20をより強固に支持することができ、騒音の発生を効果的に抑制することができる。
【0042】
(4)爪部210は、その先端部に、下方に突設されるとともに、先端面がテーパ状に形成される。段部160は、インストルメントパネル20とナビゲーションユニット10との連結時に爪部210が当接して乗り越えるように上方に突設される(
図6A~
図6C)。これにより、インストルメントパネル20の押し込みに伴い、インストルメントパネル20の位置ずれを修正しながら、インストルメントパネル20をナビゲーションユニット10に対し所定位置に保持できる。
【0043】
(5)インストルメントパネル20は、上壁21に連なって上下方向に延在する側壁23,24を有する(
図3)。側壁23,24は、前後方向に延在する突出部252を有し、前壁16は、インストルメントパネル20とナビゲーションユニット10との連結時に突出部252の側面が当接する開口部163を有する(
図8A)。これにより、インストルメントパネル20の側面側における、ナビゲーションユニット10との接触による騒音の発生を抑制することができる。
【0044】
(6)側壁24は、突出部252の車幅方向外側に、突出部252と平行に延在するカバー部24bを有する(
図8A)。前壁16は、開口部163の左右方向外側かつカバー部24bの車幅方向内側に、カバー部24bから離間して配置される突出部162を有する(
図8A)。カバー部24bは、ナビゲーションユニット10と非接触であるため、カバー部24bとの接触による騒音が発生することがなく、カバー部24bによりインストルメントパネル20の側面の美観を向上できる。
【0045】
本実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、ナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20とを連結する際にインストルメントパネル20を前後方向に押し込んで連結するようにしたが、上下方向に押し込んで連結するようにしてもよい。上記実施形態では、車載機器としてのナビゲーションユニット10によりインストルメントパネル20の後端部を支持するようにしたが、支持部の構成はこれに限らない。ナビゲーションユニット10にパネル部材(固定部材の一例)等の部品を固定し、パネル部材を介してナビゲーションユニット10からインストルメントパネル20を支持するようにしてもよい。
【0046】
図9は、パネル部材としてのナビパネル50がナビゲーションユニット10の背面に固定された例である。ナビパネル50は、ナビパネル50を前後方向に貫通するボルト14によりディスプレイ11の背面の筐体15に固定される。
図10は、ナビパネル50の構成をより詳細に示す斜視図である。
図10に示すように、ナビパネル50は、正面視略矩形板状の基部51を有する。基部51の上端部には、段部52とスリット孔53とが左右方向に交互に設けられる。段部52とスリット孔53とには、それぞれ上方からインストルメントパネル20が押し込まれ、インストルメントパネル20がナビパネル50に連結される。
【0047】
図11Aは、段部52とインストルメントパネル20との連結部CP4の構成を示す断面図であり、
図11Bは、スリット孔53とインストルメントパネル20との連結部CP5の構成を示す断面図である。
図11Aに示すように、連結部CP4は、インストルメントパネル20の押し込み方向が異なる点を除き、
図5の連結部CP1と同様の構成を有する。すなわち、連結部CP4は、段部52と、インストルメントパネル20に設けられ、段部52を乗り越えて段部52に係合する爪部26とを有する。
図11Bに示すように連結部CP5は、スリット孔53と、インストルメントパネル20に設けられ、スリット孔53に嵌合する板部27とを有する。
【0048】
なお、上記実施形態では、インストルメントパネル20の後端部における係合凸部としての爪部210と、ナビゲーションユニット10の前壁16の被係合凸部としての段部160とを係合するようにしたが、係合部と被係合部の構成は上述したものに限らない。すなわち、係合部が弾性変形により被係合部に当接された状態で係合されているのであれば、連結部(第1連結部)の構成はいかなるものでもよい。上記実施形態では、車幅方向3箇所に連結部CP1を設けるようにしたが、連結部CP1の個数は上述したものに限らない。
【0049】
上記実施形態では、ナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20とを連結する第2連結部として、インストルメントパネル20の後端部のリブ211の開口部211aとナビゲーションユニット10の前壁16の突出部162とを嵌合するようにしたが、嵌合部と被嵌合部の構成は上述したものに限らない。インストルメントパネル20の端部の嵌合部を凸状に形成してもよい。上記実施形態では、ナビゲーションユニット10とインストルメントパネル20との連結部に、連結部CP1と連結部CP2とを車幅方向交互に設けるようにしたが、第1連結部のみ、あるいは第2連結部のみを設けるようにしてもよい。
【0050】
上記実施形態では、インストルメントパネル20の側壁23,24(側壁部)からブラケット25を突設するとともに、ブラケット25に前壁16に向けて突設する突出部252を設け、突出部252を前壁16の開口部163に当接するようにしたが、側壁部から所定方向に突出する突出部の構成および突出部の側面が当接する当接部の構成はこれに限らない。上記実施形態では、側壁24の先端部におけるカバー部24bを、突出部162(壁部)から離間して配置するようにしたが、カバー部と壁部の構成はこれに限らない。
【0051】
上記実施形態では、ナビゲーションユニット10からインストルメントパネル20を支持するようにしたが、他の車載機器からインストルメントパネルの端部を支持するようにしてもよい。すなわち、本発明が適用される車載機器は上述したものに限らない。
【0052】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 ナビゲーションユニット、16 前壁、20 インストルメントパネル、21 上壁、23,24 側壁、24b カバー部、160 段部、162 突出部、163 開口部、210 爪部、211 リブ、211a 開口部、252 突出部、CP1 連結部(第1連結部)、CP2 連結部(第2連結部)