(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091211
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】被締付部材の緊解機
(51)【国際特許分類】
E01B 29/28 20060101AFI20220614BHJP
B25B 21/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
E01B29/28
B25B21/00 540A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203886
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】390034706
【氏名又は名称】ヨコタ工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】595135671
【氏名又は名称】第一建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】和田 栄一
(72)【発明者】
【氏名】志村 泰昇
(72)【発明者】
【氏名】米山 泰広
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057BA29
(57)【要約】
【課題】被締付部材の締付作業又は緩解作業を行う際の使い勝手を向上し、作業効率を向上させることができる被締付部材の緊解機を提供する。
【解決手段】
被締付部材の緊解機は、台車10と、締付工具20を支持する支持部30と、ハンドル40と、遠隔操作部50と、伝達手段60とを具備する。台車10は、鉄道レールに沿って移動する。締付工具20は、被締付部材Bと嵌合するソケットSと連結され、被締付部材Bを締付け又は緩める際にソケットSに回転力を付与する。締付工具20は、被操作部21を有し、遠隔操作部50は、ハンドル40に配設され、締付工具20の被操作部21を遠隔から操作する遠隔操作を受付ける。伝達手段60は、遠隔操作部50が受付ける遠隔操作を締付工具20の被操作部21に伝達する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道レール(R)に沿って移動する台車(10)と、
被締付部材(B)と嵌合するソケット(S)と連結され、前記被締付部材(B)を締付け又は緩める際に前記ソケット(S)に回転力を付与する締付工具(20)であって、回転開始及び停止を含む各種操作を受付ける被操作部(21)を有する締付工具(20)を少なくとも上下に移動可能に前記台車(10)に支持する支持部(30)と、
前記締付工具(20)と連結され、前記締付工具(20)を少なくとも上下に移動する操作と前記台車(10)を移動する操作とを受付けるハンドル(40)と、
前記ハンドル(40)に配設され、前記締付工具(20)の前記被操作部(21)を遠隔から操作する遠隔操作を受付ける遠隔操作部(50)と、
前記遠隔操作部(50)が受付ける前記遠隔操作を前記締付工具(20)の前記被操作部(21)に伝達する伝達手段(60)
とを具備する、被締付部材の緊解機。
【請求項2】
前記締付工具(20)の前記被操作部(21)は、操作量に応じ前記締付工具(20)の回転数を回転停止と所定の最高回転数との間で調節する調節操作を受付ける回転数調節部(21a)を含み、
前記遠隔操作部(50)は、前記調節操作に対応する遠隔操作であって、操作量に応じ前記締付工具(20)の回転数を回転停止と前記最高回転数との間で調節する遠隔調節操作を受付ける遠隔調節部(51)を含む、請求項1に記載の被締付部材の緊解機。
【請求項3】
前記締付工具(20)の回転数が回転停止と前記最高回転数との間の所定の中間回転数に達するまで前記回転数調節部(21a)の操作量が増大したときに、前記遠隔調節部(51)を操作する際の負荷を段差状に増大する負荷増大手段(70)を更に具備する、請求項2に記載の被締付部材の緊解機。
【請求項4】
前記締付工具(20)の前記被操作部(21)は、前記回転力の回転方向を正逆切替える切替操作を受付ける回転方向切替部(21b)を含み、
前記遠隔操作部(50)は、前記切替操作に対応する遠隔操作であって、前記回転力の回転方向を正逆切替える遠隔切替操作を受付ける遠隔切替部(52)を含む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の被締付部材の緊解機。
【請求項5】
上下方向に沿って配設され、前記ハンドル(40)と前記締付工具(20)とを連結する軸状の連結部材(80)と、
前記連結部材(80)の長さを調節し、前記ハンドル(40)の高さを調節する高さ調節手段(90)
とを更に具備する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の被締付部材の緊解機。
【請求項6】
上下方向に沿って延びる第1回動軸(I1)を中心に回動可能に前記支持部(30)を前記台車(10)に取付ける第1回動部(100)を更に具備する、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の被締付部材の緊解機。
【請求項7】
前記支持部(30)は、2基の前記締付工具(20)を保持する一対の保持部(31)と、上下方向に沿って延びる第2回動軸(I2)を中心に回動可能に前記一対の保持部(31)を支持する第2回動部(32)とを含み、
前記ハンドル(40)は、一体的に連結される一対の把持部(41A)を有し、前記第2回動軸(I2)を中心に前記一対の保持部(31)を回動する操作を受付ける、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の被締付部材の緊解機。
【請求項8】
前記支持部(30)は、前記締付工具(20)を各々保持する一対の保持部(31)と、上下方向に沿って延びる第3回動軸(I3)及び第4回動軸(I4)を中心に互いに独立に回動可能に前記一対の保持部(31)を支持する第3回動部(33)とを含み、
前記ハンドル(40)は、前記一対の保持部(31)と各々連結される一対の把持部(41B)を有し、前記第3回動軸(I3)及び前記第4回動軸(I4)を中心に前記2基の締付工具(20)を互いに独立に回動する操作を受付ける、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の被締付部材の緊解機。
【請求項9】
前記支持部(30)は、前記一対の保持部(31)を互いに独立に上下にスライド可能に支持するスライド部(34)を含む、請求項7又は請求項8に記載の被締付部材の緊解機。
【請求項10】
前記支持部(30)は、前記締付工具(20)に装着されるアダプタ(35)を着脱自在に固定する固定手段(36)を含む、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の被締付部材の緊解機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボルト、ナットなどの被締付部材の緊解機、特に、鉄道レールを鉄道軌道において固定する被締付部材の緊解機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道レールを鉄道軌道において固定する被締付部材の緊解機として、特許文献1には、台車と、インパクトレンチの支持部とを具備する被締付部材の緊解機が記載されている。台車は、1本のレール上を移動するための車輪等を有している。支持部は、上下に移動可能に2基のインパクトレンチを台車に支持する。2基のインパクトレンチは、各々、被締付部材と嵌合するソケットを正逆回転し、被締付部材を締付ける締付作業と、被締付部材を緩める緩解作業とを行う。
【0003】
2基のインパクトレンチには、ハンドルが連結されており、使用者は、ハンドルを上下に移動することによって、2基のインパクトレンチを上下に移動する。2基のインパクトレンチの始動、停止、回転方向の正逆切替等の操作は、各インパクトレンチに設けられているスイッチ等によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の緊解機においては、インパクトレンチの始動、停止、回転方向の正逆切替等の操作を行う際に、ハンドルから手を放し、インパクトレンチにおいてスイッチ等を操作する必要があり、使い勝手が良好とは言えない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被締付部材の締付作業又は緩解作業を行う際の使い勝手を向上し、作業効率を向上させることができる被締付部材の緊解機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示する被締付部材の緊解機は、台車(10)と、締付工具(20)を支持する支持部(30)と、ハンドル(40)と、遠隔操作部(50)と、伝達手段(60)とを具備する。前記台車(10)は、鉄道レール(R)に沿って移動する。前記締付工具(20)は、被締付部材(B)と嵌合するソケット(S)と連結され、前記被締付部材(B)を締付け又は緩める際に前記ソケット(S)に回転力を付与する。また、前記締付工具(20)は、被操作部(21)を有する。前記被操作部(21)は、回転開始及び停止を含む各種操作を受付ける。前記支持部(30)は、少なくとも上下に移動可能に前記締付工具(20)を前記台車(10)に支持する。前記ハンドル(40)は、前記締付工具(20)と連結され、前記締付工具(20)を少なくとも上下に移動する操作と前記台車(10)を移動する操作とを受付ける。前記遠隔操作部(50)は、前記ハンドル(40)に配設され、前記締付工具(20)の前記被操作部(21)を遠隔から操作する遠隔操作を受付ける。前記伝達手段(60)は、前記遠隔操作部(50)が受付ける前記遠隔操作を前記締付工具(20)の前記被操作部(21)に伝達する。
【0008】
本願に開示する被締付部材の緊解機において、前記締付工具(20)の前記被操作部(21)は、回転数調節部(21a)を含む。前記回転数調節部(21a)は、調節操作を受付ける。前記調節操作は、操作量に応じ前記締付工具(20)の回転数を回転停止と所定の最高回転数との間で調節する操作である。前記遠隔操作部(50)は、遠隔調節部(51)を含む。前記遠隔調節部(51)は、遠隔調節操作を受付ける。前記遠隔調節操作は、前記調節操作に対応する遠隔操作であって、操作量に応じ前記締付工具(20)の回転数を回転停止と前記最高回転数との間で調節する操作である。
【0009】
また、本願に開示する被締付部材の緊解機は、負荷増大手段(70)を更に具備する。前記負荷増大手段(70)は、前記締付工具(20)の回転数が所定の中間回転数に達するまで前記被操作部(21)の操作量が増大したときに、前記遠隔調節部(51)を操作する際の負荷を段差状に増大する。前記中間回転数は、回転停止と前記最高回転数との間の回転数であり、予め設定される。また、本願に開示する被締付部材の緊解機は、回転停止と前記最高回転数との間の任意の回転数に前記中間回転数を設定する中間回転数設定手段を具備してもよい。
【0010】
本願に開示する被締付部材の緊解機において、前記締付工具(20)の前記被操作部(21)は、回転方向切替部(21b)を含む。前記回転方向切替部(21b)は、切替操作を受付ける。前記切替操作は、前記回転力の回転方向を正逆切替える操作である。前記遠隔操作部(50)は、遠隔切替部(52)を含む。前記遠隔切替部(52)は、遠隔切替操作を受付ける。前記遠隔切替操作は、前記切替操作と対応する遠隔操作であって、前記回転力の回転方向を正逆切替える操作である。
【0011】
また、本願に開示する被締付部材の緊解機は、軸状の連結部材(80)と、高さ調節手段(90)とを更に具備する。前記軸状の連結部材(80)は、上下方向に沿って配設され、前記ハンドル(40)と前記締付工具(20)とを連結する。前記高さ調節手段(90)は、前記連結部材(80)の長さを調節し、前記ハンドル(40)の高さを調節する。
【0012】
また、本願に開示する被締付部材の緊解機は、第1回動部(100)を更に具備する。前記第1回動部(100)は、上下方向に沿って延びる第1回動軸(I1)を中心に回動可能に前記支持部(30)を前記台車(10)に取付ける。
【0013】
本願に開示する被締付部材の緊解機において、前記支持部(30)は、一対の保持部(31)と、第2回動部(32)とを含む。前記一対の保持部(31)は、2基の前記締付工具(20)を保持する。前記第2回動部(32)は、上下方向に沿って延びる第2回動軸(I2)を中心に回動可能に前記一対の保持部(31)を支持する。前記ハンドル(40)は、一体的に連結される一対の把持部(41A)を有し、前記第2回動軸(I2)を中心に前記一対の保持部(31)を回動する操作を受付ける。
【0014】
また、本願に開示する被締付部材の緊解機において、前記支持部(30)は、一対の保持部(31)と、第3回動部(33)とを含む。前記一対の保持部(31)は、前記締付工具(20)を各々保持する。前記第3回動部(33)は、上下方向に沿って延びる第3回動軸(I3)及び第4回動軸(I4)を中心に互いに独立に回動可能に前記一対の保持部(31)を支持する。前記ハンドル(40)は、一対の把持部(41B)を有する。前記一対の把持部(41B)は、前記一対の保持部(31)と各々連結される。前記ハンドル(40)は、第3回動軸(I3)及び第4回動軸(I4)を中心に前記2基の締付工具(20)を互いに独立に回動する操作を受付ける。
【0015】
また、本願に開示する被締付部材の緊解機において、前記支持部(30)は、スライド部(34)を含む。前記スライド部(34)は、前記一対の保持部(31)を互いに独立に上下にスライド可能に支持する。
【0016】
また、本願に開示する被締付部材の緊解機において、前記支持部(30)は、固定手段(36)を含む。前記固定手段(36)は、前記締付工具(20)に装着されるアダプタ(35)を着脱自在に固定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の被締付部材の緊解機によれば、被締付部材の締付作業又は緩解作業を行う際の使い勝手を向上し、作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る被締付部材の緊解機を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る被締付部材の緊解機を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る被締付部材の緊解機を示す側面図である。
【
図4】(a)回転数調節部が操作されていないときの締付工具を示す側面図である。(b)回転数調節部が操作されていないときの締付工具を示す背面図である。
【
図5】回転数調節部が最高回転数に対応する操作量まで操作されている締付工具を示す側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る被締付部材の緊解機を示す上面図である。
【
図7】支持部が基準状態から回動している被締付部材の緊解機を示す上面図である。
【
図8】(a)回転方向切替部が第1状態である締付工具を示す側面図である。(b)回転方向切替部が第2状態である締付工具を示す側面図である。
【
図10】高さ調節手段を示す被締付部材の緊解機の部分拡大図である。
【
図11】(a)スライド部を示す被締付部材の緊解機の部分拡大図であって、第1状態を示す拡大図である。(a)第2状態を示す拡大図である。
【
図12】スライド部の動作を示す被締付部材の緊解機の正面図である。
【
図13】(a)アダプタを示す側面図である。(b)他のアダプタを示す側面図である。
【
図14】本発明の他の実施形態に係る被締付部材の緊解機を示す斜視図である。
【
図15】本発明の他の実施形態に係る被締付部材の緊解機を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る被締付部材の緊解機を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1~
図5を参照して、実施形態に係る被締付部材の緊解機を説明する。
図1は、実施形態に係る被締付部材の緊解機を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る被締付部材の緊解機を示す正面図である。
図3は、実施形態に係る被締付部材の緊解機を示す側面図である。
図4(a)は、回転数調節部が操作されていないときの締付工具を示す側面図である。
図4(b)は、回転数調節部が操作されていないときの締付工具を示す背面図である。
図5は、回転数調節部が最高回転数に対応する操作量まで操作されている締付工具を示す側面図である。
【0021】
図1~
図5に示すように、本実施形態の被締付部材の緊解機は、台車10と、締付工具20を支持する支持部30と、ハンドル40と、遠隔操作部50と、伝達手段60と、負荷増大手段70とを具備する。
【0022】
台車10は、細長い角柱状の本体部11と、車輪12とを有し、鉄道レールRに沿って移動する。台車10の本体部11は、実施形態においては、下面が開放された横断面コの字状の形材から形成される。台車10の車輪12は、本体部11における長手方向の両端に設けられており、横車輪12aと縦車輪12bとを含む。横車輪12aは、レールRの上面に摺接する。縦車輪12bは、レールRの頭部を両側から挟むように、レールRの頭部における両側面に摺接する。
【0023】
締付工具20は、被締付部材Bと嵌合するソケットSと連結され、被締付部材Bを締付け又は緩める際にソケットSに回転力を付与する。実施形態においては、被締付部材Bは、鉄道レールRを枕木Gや軌道スラブ等の軌道構造体に固定するためのボルトである。また、ソケットSは、被締付部材Bの被嵌合部としてのボルトの頭と嵌合する。
【0024】
図4に示すように、締付工具20は、実施形態においては、インパクトレンチであり、ソケットSと連結される連結部20aを有し、付属のバッテリ20bから供給される電力によって、ソケットSを正逆回転し、被締付部材Bを締付け又は緩める。また、締付工具20は、被操作部21を有する。被操作部21は、回転開始及び停止を含む各種操作を受付ける。実施形態においては、被操作部21は、回転数調節部としてのスロットル21aと、回転方向切替部としての切替スイッチ21bとを含む。
【0025】
スロットル21aは、調節操作を受付ける。調節操作は、操作量に応じ締付工具20の回転数を回転停止と所定の最高回転数との間で調節する操作である。切替スイッチ21bは、切替操作を受付ける。切替操作は、締付工具20がソケットSに付与する回転力の回転方向を正逆切替える操作である。実施形態においては、例えば、被締付部材Bを締付けるときの回転力の回転方向を正回転方向とし、被締付部材Bを緩めるときの回転力の回転方向を逆回転方向とする。
【0026】
支持部30は、上下に移動可能に締付工具20を台車10に支持する。
図3に示すように、実施形態においては、支持部30は、平行クランク機構から形成され、基端リンク30a、遊端リンク30b、上側アームリンク30c、下側アームリンク30dを含む。
【0027】
以下、
図3と、
図6及び
図7とを参照して、支持部30を更に詳細に説明する。
図6は、実施形態に係る被締付部材の緊解機を示す上面図である。
図7は、支持部が基準状態から回動している被締付部材の緊解機を示す上面図である。
【0028】
図3に示すように、支持部30の基端リンク30aと遊端リンク30bとは、上下方向に沿って延びる平行な垂直部材であり、基端リンク30aの下端部には、取付部材30eが連結される。上側アームリンク30cは、基端リンク30a及び遊端リンク30bの上端部に回動可能に連結され、下側アームリンク30dは、基端リンク30a及び遊端リンク30bの下端部に回動可能に連結される。上側アームリンク30cと下側アームリンク30dとは、等長であり、互いに平行に配設される。
【0029】
取付部材30eは、水平方向に配される角棒状の部材であり、一端部が基端リンク30aの下端部と連結される。取付部材30eの他端部には、下方に延びるように、第1回動軸I1が取付けられる。第1回動軸I1は、台車10に設けられた軸受101とともに、第1回動部100を形成する。
【0030】
第1回動部100は、第1回動軸I1を中心に回動可能に支持部30を台車10に取付ける。支持部30が、第1回動軸I1を中心に回動可能であることによって、
図3に、想像線で示すように、台車10の進行方向は反転可能である。
【0031】
また、
図6に示すように、実施形態においては、支持部30は、一対の保持部31を含む。一対の保持部31は、取付金具31aによって互いに連結されており、各々が1つずつ、合計2基の締付工具20を保持する。上述したとおり、支持部30が、第1回動軸I1を中心に回動可能であることによって、
図7に示すように、一対の保持部31は、鉄道レールRに対して垂直な方向に、全体として移動可能である。
【0032】
更に、
図6、
図7に示すように、支持部30は、第2回動部32を含む。第2回動部32は、上下方向に沿って延びる第2回動軸I2を含んでおり、第2回動軸I2を中心に回動可能に一対の保持部31を支持する。実施形態においては、取付金具31aが第2回動軸I2に軸支されることによって、一対の保持部31が第2回動軸I2を中心に回動可能となっており、2基の締付工具20は、第2回動軸I2を中心に一体的に回動可能である。
【0033】
ハンドル40は、締付工具20と連結され、締付工具20を少なくとも上下に移動する操作と、台車10を鉄道レールRに沿って移動する操作とを受付ける。実施形態においては、ハンドル40は、一体的に連結される一対の把持部41Aを有している。
【0034】
また、ハンドル40は、実施形態においては、取付金具31aと連結されており、第1回動軸I1を中心に台車10の進行方向を反転する反転操作と、第1回動軸I1を中心に、鉄道レールRに対して垂直な方向に、一対の保持部31を全体として左右に移動する左右移動操作と、第2回動軸I2を中心に一対の保持部31を回動する回動操作とを受付ける。
【0035】
遠隔操作部50は、ハンドル40に配設され、締付工具20の被操作部21を遠隔から操作する遠隔操作を受付ける。実施形態においては、遠隔操作部50は、遠隔調節部51と、遠隔切替部52とを含む。遠隔調節部51と遠隔切替部52とは、一対の把持部41Aから手を放さずに操作できるように、一対の把持部41Aの近傍に配設される。
【0036】
遠隔調節部51は、遠隔調節操作を受付ける。遠隔調節操作は、上記した調節操作と対応する遠隔操作であって、操作量に応じ締付工具20の回転数を回転停止と最高回転数との間で調節する操作である。
図1、
図2に示すように、遠隔調節部51は、実施形態においては、自転車のハンドルに設けられるブレーキレバーと同様の構造を有しており、自転車のブレーキレバーと同様に、握りの程度によって操作量が変化し、締付工具20の回転数を調節可能である。
【0037】
遠隔切替部52は、遠隔切替操作を受付ける。遠隔切替操作は、上記した切替操作と対応する遠隔操作であって、回転力の回転方向を正逆切替える操作である。
図1、
図2に示すように、遠隔切替部52は、実施形態においては、自転車のハンドルに設けられるサムシフターと同様の構造を有しており、遠隔切替部52が左右に回動されることによって、締付工具20の切替スイッチ21bが遠隔操作され、回転力の回転方向が正逆切替えられる。
【0038】
次に、
図4及び
図5と、
図8及び
図9とを参照して、伝達手段60を説明する。
図8(a)は、回転方向切替部が第1状態である締付工具を示す側面図である。第1状態は、例えば、回転力の回転方向を正回転方向に設定するときの回転方向切替部の状態である。
図8(b)は、回転方向切替部が第2状態である締付工具を示す側面図である。第2状態は、例えば、回転力の回転方向を逆回転方向に設定するときの回転方向切替部の状態である。
図9は、切替金具を示す上面図である。
【0039】
伝達手段60は、遠隔操作部50が受付ける遠隔操作を締付工具20の被操作部21に伝達する。実施形態においては、伝達手段60は、左右2本ずつ、計4本のボーデンケーブルを含んでいる。ボーデンケーブルは、
図4(a)に示すように、フレキシブルなチューブ状のケーブルハウジング61と、ケーブルハウジング61の中空部に挿通されるワイヤー状のケーブル62とを含む。実施形態における伝達手段60は、ケーブルハウジング61に対するケーブル62の動きによって、遠隔操作部50によって受付けられた遠隔操作を締付工具20の被操作部21に伝達する。
【0040】
遠隔調節操作を伝達する伝達手段60は、
図4(a)、
図4(b)に示すように、角棒状の回動部材63と、丸棒状の当接部材64とを含む。回動部材63は、一端部において保持部31に回動可能に支持されるとともに、長手方向の中間部においてケーブル62と連結される。当接部材64は、スロットル21aと当接するように、回動部材63の中間部に取付けられている。当接部材64は、回動部材63の回動に伴って、
図5に示すように、スロットル21aを押込むときの押込み位置と、
図4(a)に示すように、スロットル21aの押込みを解除するときの解除位置との間で変位する。また、
図9に示すように、回動部材63は、圧縮されたスプリング66の付勢力によって、当接部材64が解除位置に移動する方向に付勢される。
【0041】
ハンドル40において遠隔調節部51が握られると、ケーブル62がケーブルハウジング61に対して移動し、スプリング66の付勢力に抗して、当接部材64が押込み位置に移動する方向に回動部材63が回動し、スロットル21aが押込まれ、締付工具20の回転数が上昇する。遠隔調節部51に対する握りが解除されると、スプリング66の付勢力によって、当接部材64が解除位置に移動する方向に回動部材63が回動し、スロットル21aの押込みが解除され、締付工具20の回転が停止する。
【0042】
遠隔切替操作を伝達する伝達手段60は、
図8、
図9に示すように、馬蹄形の切替部材65と、スプリング67とを含む。切替部材65は、一対のスイッチ当接部65aと、中間部65bと、レバー部65cとを含み、中間部65bにおいて保持部31に軸支される。一対のスイッチ当接部65aは、締付工具20の切替スイッチ21bと各々当接するように配されるアーム状の部材である。中間部65bは、一対のスイッチ当接部65aを連結する。レバー部65cは、ケーブル62と連結される。
【0043】
遠隔切替部52が一方向に回動され、
図9において、レバー部65cが引っ張られる方向にケーブル62が移動すると、切替部材65が矢印Aの方向に回動し、切替スイッチ21bは、
図8(a)に示す第1状態となるように操作される。遠隔切替部52が反対方向に回動されると、スプリング67の付勢力によって、切替部材65は矢印Aと反対方向に回動し、切替スイッチ21bは、
図8(b)に示す第2状態となるように操作される。以上のようにして、締付工具20の回転方向が正逆切替わるように遠隔操作される。
【0044】
負荷増大手段70は、締付工具20の回転数が所定の中間回転数に達するまで被操作部21の操作量が増大したときに、遠隔調節部51を操作する際の負荷を段差状に増大する。中間回転数は、回転停止と最高回転数との間の回転数であり、予め設定される。例えば、中間回転数は、ソケットSと被締付部材Bとを嵌合することが容易となる、比較的に低速な回転数に設定される。
【0045】
実施形態においては、負荷増大手段70は、
図4に示すように、スプリングボックス70aと、丸棒状のロッド70bとを含む。スプリングボックス70aは、スプリングを内蔵している。ロッド70bは、進退可能にスプリングボックス70aに支持され、スプリングボックス70aに内蔵されているスプリングによって、スプリングボックス70aの内部から外部に押出される方向に付勢されている。そして、ロッド70bは、当接部材64が押込み位置に移動するように回動部材63が回動するとき、上記した中間回転数に対応する位置で回動部材63と当接し、遠隔調節部51を操作する際の負荷を段差状に増大する。
【0046】
なお、実施形態においては、ロッド70bは、回動部材63と直接的に当接するのではなく、中間回転数設定手段71を介し、回動部材63と当接する。中間回転数設定手段71は、
図4に示すように、調節ネジ71aと、回り止めスプリング71bとを含む。回動部材63には、ロッド70bの先端と、回動部材63から突出した調節ネジ71aの先端とが当接する位置に、回動部材63を貫通するようにネジ孔が穿設されている。調節ネジ71aの先端が回動部材63から突出する長さを調節することによって、遠隔調節部51を操作する際の負荷が段差状に増大するときの中間回転数が設定される。
【0047】
以上、
図1~
図9を参照して説明したように、実施形態の被締付部材の緊解機によれば、鉄道レールRに沿って移動する台車10に、上下に移動可能に締付工具20が支持され、締付工具20の被操作部21が、回転開始及び停止を含む各種操作を受付け、ハンドル40に配設される遠隔操作部50が、締付工具20の被操作部21を遠隔から操作する遠隔操作を受付け、伝達手段60が、遠隔操作部50が受付ける遠隔操作を締付工具20の被操作部21に伝達する。
【0048】
従って、鉄道レールRに沿って台車10を移動し、ボルト、ナット等の被締付部材Bを締付け又は緩める作業を行う際に、締付工具20の起動及び停止を含む各種操作のためにハンドル40から手を放し、締付工具20の被操作部21を操作する必要がなく、使い勝手が向上し、作業効率を向上させることができる。
【0049】
また、実施形態の被締付部材の緊解機によれば、被操作部21が、回転数調節部としてのスロットル21aを含み、遠隔操作部50が、遠隔調節部51を含む。従って、締付工具20の回転数を例えばハンドル40の手元で調節することができ、ソケットSを被締付部材Bと嵌合するときには、嵌合し易いように、締付工具20の回転数が低速となるように遠隔操作し、ソケットSが被締付部材Bと嵌合すると、締付工具20の回転数が最高回転数となるように遠隔操作する、といった運用がハンドル40を持ったままで可能となり、使い勝手を向上し、作業効率を向上させることができる。
【0050】
また、
図4を参照して説明したように、実施形態の被締付部材の緊解機によれば、締付工具20の回転数が、予め設定される中間回転数に達するまで被操作部21の操作量が増大したときに、負荷増大手段70が、遠隔調節部51を操作する際の負荷を段差状に増大する。従って、締付工具20の回転数を中間回転数に維持するように、遠隔調節部51を操作することが容易となり、例えばソケットSを被締付部材Bと容易に嵌合できる比較的に低速の回転数に締付工具20の回転数を維持することが容易となり、ソケットSを被締付部材Bと嵌合する作業が簡単となり、更に使い勝手を向上し、作業効率を向上させることができる。
【0051】
また、
図4を参照して説明したように、実施形態の被締付部材の緊解機によれば、締付工具20の被操作部21が、回転方向切替部としての切替スイッチ21bを含み、遠隔操作部50が、遠隔切替部52を含む。従って、ハンドル40の手元で締付工具20の回転方向を正逆切替えることができ、更に使い勝手を向上し、作業効率を向上させることができる。
【0052】
また、
図3を参照して説明したように、実施形態の被締付部材の緊解機によれば、第1回動部100が、第1回動軸I1を中心に回動可能に支持部30を台車に取付ける。従って、緊解機の進行方向を容易に反転できるとともに、鉄道レールRが延びる方向と直交する方向に締付工具20を移動でき、鉄道レールRと直交する方向においてボルト孔などの位置が基準位置からずれている場合においてもソケットSを被締付部材Bと嵌合でき、更に使い勝手を向上し、作業効率を向上させることができる。
【0053】
また、
図6、
図7を参照して説明したように、実施形態の被締付部材の緊解機によれば、支持部30が、第2回動部32を含むことによって、第2回動軸I2を中心に回動可能に2基の締付工具20を支持できる。従って、例えば枕木GがレールRに対し垂直となっていないような場合においても、第2回動軸I2を中心に2基の締付工具20を回動することによって、各ソケットSを被締付部材Bと容易に嵌合でき、更に使い勝手を向上し、作業効率を向上させることができる。
【0054】
次に、
図10を参照して、本発明の他の実施形態を説明する。
図10は、高さ調節手段を示す被締付部材の緊解機の側面図である。
【0055】
図10に示すように、本実施形態の被締付部材の緊解機は、連結部材としてのステム80と、高さ調節手段90とを具備する。ステム80は、軸状であり、上下方向に沿って配設され、ハンドル40と締付工具20とを連結する。高さ調節手段90は、ステム80の長さを調節し、ハンドル40の高さを調節する。
【0056】
実施形態においては、ステム80は、小径の上筒81と、大径の下筒82とを含む。上筒81は、への字状に延びる部材であり、斜部81aと、垂直部81bとを有する。斜部81aは、垂直部81bの上端から操作者側に向かって斜め上に延びており、ハンドル40と連結される。垂直部81bは、下筒82の上端開口から下筒82の内部に差込まれる。また、垂直部81bの下端は、斜面に形成されている。下筒82は、下部において締付工具20と連結される。
【0057】
実施形態の高さ調節手段90は、自転車のハンドルを固定する斜めウス式の固定手段と同様のものであり、引上げ棒91と、ウス92と、握り部93とを有する。
【0058】
引上げ棒91は、下端に雄ネジを有し、上筒81における垂直部81bの中空部に挿入される。ウス92は、上端に、垂直部81bの下端斜面と対向する斜面を有しており、引上げ棒91の雄ネジと螺合する雌ネジを有し、下筒82の内周面と接するように下筒82の内部に配設される。握り部93は、引上げ棒91を手で回転できるように、引上げ棒91の上端に取付けられている。握り部93が締付方向に回転され、引上げ棒91が回転されると、ウス92が引上げられ、斜面同士の滑りによって、ウス92が下筒82の内周面に圧接され、上筒81が下筒82に対し固定され、ハンドル40の高さが決められる。
【0059】
以上、
図10を参照して説明したように、本実施形態の被締付部材の緊解機によれば、高さ調節手段90が、ハンドル40の高さを調節可能に、ハンドル40を固定することによって、使用者の身長に応じて作業をし易い高さにハンドル40の高さを調節でき、作業時における作業者の負担を軽減し、更に使い勝手を向上し、作業効率を向上させることができる。また、高さ調節手段90が、握り部93を有することによって、スパナなどの工具を用いることなくハンドル40の高さを調節でき、更に使い勝手を向上し、作業効率を向上させることができる。
【0060】
次に、
図11、
図12を参照して、本発明の更に他の実施形態を説明する。
図11は、スライド部を示す被締付部材の緊解機の部分拡大図である。
図12は、スライド部の動作を示す被締付部材の緊解機の正面図である。
【0061】
図11に示すように、支持部30は、スライド部34を含む。スライド部34は、一対の保持部31を互いに独立に上下にスライド可能に支持する。実施形態のスライド部34は、上下方向に沿って延びるスライド軸34aと、筒状のガイド部34bとを含む。スライド軸34aは、上下方向に沿って配設され、保持部31に固定される。ガイド部34bは、スライド軸34aが挿通される中空部を有する。ガイド部34bは、取付金具31aと連結されており、スライド軸34aと摺接することによって、保持部31の上下動を案内する。
【0062】
図12に示すように、鉄道レールRの左右に配される被締付部材Bの高さに差異があるような場合には、スライド部34によって、各被締付部材Bの高さに応じて2基の締付工具20の上下方向の位置を調節でき、被締付部材Bの高さに差異があるような場合にも、各ソケットSを被締付部材Bと嵌合でき、更に作業効率を向上させることができる。
【0063】
次に、
図13を参照して、本発明の更に他の実施形態を説明する。
図13(a)は、アダプタを示す側面図である。
図13(b)は、他のアダプタを示す側面図である。
【0064】
図13(a)、
図13(b)に示すように、アダプタ35は、締付工具20に装着され、固定手段36によって、支持部30の保持部31に固定される。締付工具20は、メーカーや型番によって具体的な形状が異なる。アダプタ35は、締付工具20のメーカーや型番に応じて、
図13(a)に示すアダプタ35A、及び
図13(b)に示すアダプタ35Bのように、各種のものが予め作製され、準備される。
【0065】
以上、
図13を参照して説明したように、本実施形態においては、支持部30が固定手段36を含んでおり、締付工具20は、具体的な形状に応じて予め準備されるアダプタ35を介し、固定手段36によって、保持部31に固定される。従って、各アダプタ35を介し、使用者が所有している様々なメーカー、型番の締付工具20を実施形態の被締付部材の緊解機に取付け、被締付部材の締付作業又は緩解作業を行うことができ、使い勝手を向上し、更に作業効率を向上させることができる。
【0066】
また、
図13に示すように、固定手段36として、手で操作可能な留ネジを使用することによって、スパナなどの工具を使用することなく、締付工具20を固定することができ、更に使い勝手を向上させることができる。
【0067】
次に、
図14、
図15を参照して、本発明の更に他の実施形態を説明する。
図14は、本発明の他の実施形態に係る被締付部材の緊解機を示す斜視図であり、
図15は、上面図である。
【0068】
図14、
図15に示すように、本実施形態の被締付部材の緊解機においては、ハンドル40は、一対の把持部41Bを有するとともに、上述したスライド部34を有している。一対の把持部41Bは、一対の保持部31と各々連結されており、互いに独立に2基の締付工具20を少なくとも上下に移動するように操作可能である。
【0069】
更に、本実施形態の被締付部材の緊解機において、支持部30は、第3回動部33を含む。第3回動部33は、上下方向に沿って延びる第3回動軸I3及び第4回動軸I4を中心に互いに独立に回動可能に一対の保持部31を支持する。そして、ハンドル40は、一対の把持部41Bによって、第3回動軸I3及び第4回動軸I4を中心に2基の締付工具20を各々回動する回動操作を受付ける。本実施形態の被締付部材の緊解機は、上記以外の構成は、上述した各実施形態と同様である。
【0070】
以上、
図14、
図15を参照して説明したように、本実施形態の被締付部材の緊解機によれば、一対の保持部31が、第3回動軸I3及び第4回動軸I4を中心に互いに独立に回動可能に支持され、ハンドル40の一対の把持部41Bによって、各々回動される。従って、
図15に示すように、鉄道レールRに対し垂直な方向において、一対の保持部31に保持される2基の締付工具20の間隔を一定範囲で調節することができ、鉄道レールRの両脇に配される一対の被締付部材Bの間隔が基準となる間隔と異なっている場合にも、一対の被締付部材Bに各ソケットSを嵌合でき、使い勝手を向上し、作業効率を向上させることができる。
【0071】
以上、図面(
図1~
図15)を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である(例えば、下記(1)~(2))。
【0072】
(1)上記実施形態においては、伝達手段60はボーデンケーブルを含んでいるが、伝達手段60は遠隔操作を被操作部に伝達できるものであればよく、ハンドル操作の障害とならないような場合は、伝達手段60をロッドなどの非フレキシブルな機構から構成してもよい。しかしながら、多くの場合、ボーデンケーブルなどのフレキシブルな機構によって伝達手段60を形成する方が、ハンドル操作などの障害とならないために、好ましい。また、コスト上昇、メンテナンスの簡易性を無視してもよい場合には、伝達手段60は、電気的なものであってもよく、例えば被操作部21を操作するための電動アクチュエータや、電気的信号を伝達する信号ケーブルを含んでもよい。
【0073】
(2)上記実施形態においては、
図10に示すように、高さ調節手段90は、引上げ棒91とウス92とを含む斜めウス式の固定手段と同様のものであるが、これに限られず、高さ調節手段90は、ステム80の長さを調節することによって、ハンドル40の高さを調節できる機構であれば、どのような機構であってもよい。例えば、ステム80の上筒81と下筒82とに、長手方向の異なる位置に複数個のピン孔を設け、下筒82における長手方向の適宜位置で上筒81をピンによって止めるようにしてもよい。また、上筒81の径をテーパ状パーツで拡張する方法であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
I1…第1回動軸
I2…第2回動軸
I3…第3回動軸
I4…第4回動軸
10…台車
20…締付工具
21…被操作部
21a…スロットル(回転数調節部)
21b…切替スイッチ(回転方向切替部)
30…支持部
31…保持部
32…第2回動部
33…第3回動部
34…スライド部
35、35A、35B…アダプタ
36…固定手段
40…ハンドル
41A…把持部
41B…把持部
50…遠隔操作部
51…遠隔調節部
52…遠隔切替部
60…伝達手段
70…負荷増大手段
80…ステム(連結部材)
90…高さ調節手段
100…第1回動部