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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091217
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】自動ドア開閉機構
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/08 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
B23Q11/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203900
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】成瀬 慎也
【テーマコード(参考)】
3C011
【Fターム(参考)】
3C011DD02
(57)【要約】
【課題】比較的簡単な構造で作業者の安全を確保することができるとともに、切粉清掃やドアワイパ交換などのメンテナンスの周期を長くすることができる自動ドア開閉機構を提供する。
【解決手段】自動ドア開閉機構は、固定カバー1の開口2を開閉するスライド式のドア3に設けられかつ駆動ロッド5へ連結される連結姿勢と駆動ロッド5へ連結されない非連結姿勢との間で姿勢が変化するストッパ10と、固定カバー1に設けられたドッグ11とを備えている。ストッパ10は、閉端近傍位置から閉端位置へのドア閉方向へのドア3の移動時にドッグ11に接触することにより連結姿勢となって駆動ロッド5とともにドア閉方向に移動し、ドア3のドア開方向への移動時にドッグ11への接触が解除されて非連結姿勢となる。ストッパ10は、連結姿勢においてドッグ11に対してドア3の開閉方向に移動自在である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する固定カバーと、前記固定カバーの開口を開閉するスライド式のドアと、前記固定カバーに設けられて前記ドアを駆動するアクチュエータとを備えた自動ドア開閉機構であって、
長手方向を前記ドアの開閉方向に向けて配置されかつ前記アクチュエータにより前記ドアの開閉方向に移動させられる駆動ロッドと、前記駆動ロッドに装着されかつ前記駆動ロッドのドア閉方向への移動により弾発力が生じる弾性体とを有しており、前記駆動ロッドのドア閉方向への移動により生じる前記弾性体の弾発力が前記ドアの抵抗力を超えた際に前記ドアがドア閉方向に移動するとともに、前記駆動ロッドのドア開方向への移動により前記ドアがドア開方向に移動するようになっており、
前記ドアに、前記駆動ロッドへ連結される連結姿勢と前記駆動ロッドへ連結されない非連結姿勢との間で姿勢が変化するストッパが設けられ、前記ストッパは、前記ドアが閉端近傍位置と閉端位置との間にあるときに前記連結姿勢となって前記駆動ロッドとともにドア閉方向に移動し、前記ドアが前記閉端近傍位置よりも開端位置側にあるときに前記非連結姿勢となる自動ドア開閉機構。
【請求項2】
前記ストッパは、前記ドアのドア閉方向への移動時に前記固定カバーの閉端側の第1部分に設けられたドッグに接触することにより前記連結姿勢となり、前記ドアのドア開方向への移動時に前記ドッグへの接触が解除されることにより前記非連結姿勢となり、前記連結姿勢において前記ストッパが前記ドッグに対して前記ドアの開閉方向に移動自在となる請求項1記載の自動ドア開閉機構。
【請求項3】
前記ストッパが略L形であって、前記ドアのドア閉方向の移動時に前記ドッグに当接する第1片と、前記第1片と直角をなす第2片とからなり、前記ストッパが前記ドアの開閉方向と直角をなす回転中心線の周りに回転自在であり、
前記非連結姿勢の前記ストッパの前記第1片が前記ドッグに当接することにより前記ストッパが前記回転中心線の周りに第1回転方向に回転して前記連結姿勢に変わり、前記連結姿勢の前記ストッパの前記第1片が前記ドッグから離れることにより前記ストッパが前記回転中心線の周りに前記第1回転方向とは逆向きの第2回転方向に回転して前記非連結姿勢に変わるようになっており、
前記連結姿勢において、前記第1片が、前記ドアの開閉方向に摺動自在となるように前記ドッグに接触して前記ストッパの前記第1回転方向への回転が阻止され、前記第2片に前記駆動ロッドに設けられたストッパ押さえ部が当接して前記ストッパの前記第2回転方向への回転が阻止される請求項2記載の自動ドア開閉機構。
【請求項4】
前記駆動ロッドが、前記ドアに設けられたドア連結部品を長手方向移動自在に貫通しており、前記弾性体がばねからなり、前記ばねが、前記ドア連結部品と前記駆動ロッドに設けられたばね受け部との間に配置され、前記ストッパ押さえ部が、前記ドアのドア開方向への移動時に前記ドア連結部品に係合するようになされている請求項3記載の自動ドア開閉機構。
【請求項5】
前記アクチュエータが、長手方向が前記ドアの開閉方向を向いたシリンダ本体およびピストンロッドを有するエアシリンダからなり、前記シリンダ本体が前記固定カバーにおける前記ドアの開端側の第2部分に配置されるとともに、前記ピストンロッドが前記シリンダ本体から前記固定カバーの前記第1部分に向かって突出可能な構造になっており、前記駆動ロッドが前記ピストンロッドに設けられ、前記ストッパ押さえ部が前記駆動ロッドにおける前記ドア連結部品よりも前記固定カバーの前記第1部分側に設けられ、前記ばね受け部が前記駆動ロッドにおける前記ドア連結部品よりも前記固定カバーの前記第2部分側に設けられている請求項4記載の自動ドア開閉機構。
【請求項6】
前記アクチュエータが、長手方向が前記ドアの開閉方向を向いたシリンダ本体およびピストンロッドを有するエアシリンダからなり、前記シリンダ本体が前記固定カバーにおける前記ドアの閉端側の前記第1部分に配置されるとともに、前記ピストンロッドが前記シリンダ本体から前記固定カバーにおける前記ドアの開端側の第2部分に向かって突出可能な構造になっており、前記駆動ロッドが前記ピストンロッドに設けられ、前記ストッパ押さえ部が前記駆動ロッドにおける前記ドア連結部品よりも前記固定カバーの前記第1部分側に設けられ、前記ばね受け部が前記駆動ロッドにおける前記ドア連結部品よりも前記固定カバーの前記第2部分側に設けられている請求項4記載の自動ドア開閉機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば工作機械の全体を覆う固定カバーに形成された開口を開閉するスライド式のドアに用いられる自動ドア開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、重切削による切粉の飛散や、大量に使用する切削液の飛散を防止するために全体が固定カバーで覆われており、固定カバーにワーク着脱兼段取用の開口が形成され、当該開口が、自動ドア開閉機構を有するスライド式のドアにより開閉されるようになっている。
【0003】
この種のスライド式のドアは比較的大重量であり、推力の大きいエアシリンダにより駆動されるようになっているので、自動ドア開閉機構には安全対策が講じられている。
【0004】
安全対策が講じられている自動ドア開閉機構として、本出願人は、先に、スライド式のドアの閉止時に固定カバーと重なる軽量かつ小型のサブドアを前記ドアの閉止側先端部に前記ドアの開閉方向に移動可能に設け、前記サブドアを常時突出方向に付勢するばねを設け、前記ドアの閉止動作中に前記サブドアが前記ばねの付勢力に抗して押し込まれたときに前記ドアを駆動するエアシリンダの動きを停止または後退させる手段を設けた自動ドア開閉機構を提案した(特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1記載の自動ドア開閉機構によれば、スライド式のドアの閉動作中に、万一作業者の体の一部がドアの移動経路上に存在したとしても、サブドアがばねの付勢力に抗して押し込まれ、スライド式ドアを駆動するエアシリンダの動きが停止または後退させられるので、作業者の安全が確保される。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の自動ドア開閉機構は、構造が比較的複雑になる。
【0007】
特許文献1記載のものよりも構造が簡単な自動ドア開閉機構として、図5図7に示す自動ドア開閉機構が知られている。図5図7に示す自動ドア開閉機構は、工作機械の全体を覆いかつワーク着脱兼段取用の開口(2)を有する固定カバー(1)と、固定カバー(1)の開口(2)を開閉するスライド式のドア(3)と、長手方向をドア(3)の開閉方向(図5図7の左右方向)に向けたシリンダ本体(4a)およびピストンロッド(4b)からなりかつドア(3)を駆動するアクチュエータとしてのエアシリンダ(4)と、長手方向をドア(3)の開閉方向に向けた状態でピストンロッド(4b)の先端部に設けられかつピストンロッド(4b)のドア(3)の開閉方向の移動により同方向に移動させられる駆動ロッド(5)と、駆動ロッド(5)に装着されかつピストンロッド(4b)の前進による駆動ロッド(5)のドア閉方向(図5図7の右方)への移動により弾発力が生じる弾性体、たとえばコイルばね(6)と、固定カバー(1)におけるドア(3)の閉端側(右側)の第1部分(1a)に設けられ、かつドア閉時の衝撃を吸収する衝撃吸収体(7)とを備えている。
【0008】
そして、駆動ロッド(5)のドア閉方向により生じるばね(6)の弾発力が、たとえばドア(3)の重量にドアワイパ(図示略)等による摺動抵抗や衝撃吸収体(7)の抗力を加えた力からなるドア(3)の抵抗力を超えた際にドア(3)がドア閉方向に移動するとともに、ドア(3)の抵抗力がばね(6)の所定の弾発力を超えた際にドア(3)が停止して駆動ロッド(5)のドア閉方向への移動のみが継続し、駆動ロッド(5)のドア開方向(図5図7の左方)への移動によりドア(3)がドア開方向へ移動させられるようになっている。
【0009】
エアシリンダ(4)のシリンダ本体(4a)は固定カバー(1)におけるドア(3)の開端側(左側)の第2部分(1b)に配置され、ピストンロッド(4b)はシリンダ本体(4a)から固定カバー(1)の第1部分(1a)に向かって突出している。駆動ロッド(5)は、ドア(3)の閉端部側に設けられたドア連結部品(8)を長手方向移動自在に貫通している。ばね(6)は、ドア連結部品(8)と駆動ロッド(5)におけるピストンロッド(4b)側の部分に設けられたばね受け部(5a)との間に配置されている。駆動ロッド(5)の右端部に、ドア(3)のドア開方向への移動時にドア連結部品(8)に係合する係合部(5b)が設けられている(図6参照)。
【0010】
上述した公知の自動ドア開閉機構において、図5(a)に示す開端位置にあるドア(3)を閉方向に移動させる際には、まずエアシリンダ(4)のピストンロッド(4b)を前進させることによって駆動ロッド(5)をドア閉方向に移動させ、ばね受け部(5a)によりばね(6)を圧縮する。この圧縮により生じるばね(6)の弾発力がドア(3)の抵抗力を超えると、ばね(6)の弾発力によってドア(3)が閉方向へ移動して閉端近傍位置に至り、衝撃吸収体(7)に当たる(図5(b)参照)。ドア(3)が衝撃吸収体(7)に当たった後にエアシリンダ(4)のピストンロッド(4b)はさらに前進させられることによりばね(6)がさらに圧縮されてより大きな弾発力が生じ、この弾発力によりドア(3)は閉端位置まで移動させられて開口(2)がドア(3)により閉じられる。
【0011】
図7に示すように、ドア(3)がドア閉方向に移動する際に、ドア(3)と、固定カバー(1)におけるドア(3)の閉端側の第1部分(1a)との間において、作業者の体の一部、たとえば手(H)がドア(3)の移動経路上に存在したとしても、ドア(3)の抵抗力がばね(6)の所定の弾発力を超えるので、駆動ロッド(5)のドア閉方向への移動が継続されるもののドア(3)が停止し、作業者にはばね(6)の弾発力のみがかかることになるので、作業者の安全が確保される。
【0012】
したがって、上述した公知の自動ドア開閉機構において、ピストンロッド(4b)の前進に伴う駆動ロッド(5)のドア閉方向への移動時にばね(6)が圧縮されることにより生じるばね(6)の弾発力や、たとえばドア(3)の重量にドアワイパ(図示略)等による摺動抵抗や衝撃吸収体(7)の抗力を加えた力からなるドア(3)の抵抗力や、作業者の安全などを考慮して、ばね(6)が選定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実開平6-42044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図5図7に示す自動ドア開閉機構において、ドアワイパとドア(3)の間に切粉が挟まることや、ドアワイパの劣化などによって、ドア(3)の閉端近傍位置において摺動抵抗が想定以上に増加し、ドア(3)が衝撃吸収体(7)に当たった後には、たとえばドアの重量に前記摺動抵抗および衝撃吸収体(7)の抗力を加えた力からなるドアの抵抗力が極めて大きくなって、ばね(6)の弾発力のみによってはドア(3)がドア閉方向に移動しにくくなることがある。その結果、ドア(3)の前記摺動抵抗の想定以上の増加を防止することを目的として、切粉清掃やドアワイパ交換などのメンテナンスを比較的頻繁に行う必要がある。
【0015】
この発明の目的は、上記問題を解決し、比較的簡単な構成で作業者の安全を確保することができるとともに、切粉清掃やドアワイパ交換などのメンテナンスの周期を長くすることができる自動ドア開閉機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0017】
1)開口を有する固定カバーと、前記固定カバーの開口を開閉するスライド式のドアと、前記固定カバーに設けられて前記ドアを駆動するアクチュエータとを備えた自動ドア開閉機構であって、
長手方向を前記ドアの開閉方向に向けて配置されかつ前記アクチュエータにより前記ドアの開閉方向に移動させられる駆動ロッドと、前記駆動ロッドに装着されかつ前記駆動ロッドのドア閉方向への移動により弾発力が生じる弾性体とを有しており、前記駆動ロッドのドア閉方向への移動により生じる前記弾性体の弾発力が前記ドアの抵抗力を超えた際に前記ドアがドア閉方向に移動するとともに、前記駆動ロッドのドア開方向への移動により前記ドアがドア開方向に移動するようになっており、
前記ドアに、前記駆動ロッドへ連結される連結姿勢と前記駆動ロッドへ連結されない非連結姿勢との間で姿勢が変化するストッパが設けられ、前記ストッパは、前記ドアが閉端近傍位置と閉端位置との間にあるときに前記連結姿勢となって前記駆動ロッドとともにドア閉方向に移動し、前記ドアが前記閉端近傍位置よりも開端位置側にあるときに前記非連結姿勢となる自動ドア開閉機構。
【0018】
2)前記ストッパは、前記ドアのドア閉方向への移動時に前記固定カバーの閉端側の第1部分に設けられたドッグに接触することにより前記連結姿勢となり、前記ドアのドア開方向への移動時に前記ドッグへの接触が解除されることにより前記非連結姿勢となり、前記連結姿勢において前記ストッパが前記ドッグに対して前記ドアの開閉方向に移動自在となる上記1)記載の自動ドア開閉機構。
【0019】
3)前記ストッパが略L形であって、前記ドアのドア閉方向の移動時に前記ドッグに当接する第1片と、前記第1片と直角をなす第2片とからなり、前記ストッパが前記ドアの開閉方向と直角をなす回転中心線の周りに回転自在であり、
前記非連結姿勢の前記ストッパの前記第1片が前記ドッグに当接することにより前記ストッパが前記回転中心線の周りに第1回転方向に回転して前記連結姿勢に変わり、前記連結姿勢の前記ストッパの前記第1片が前記ドッグから離れることにより前記ストッパが前記回転中心線の周りに前記第1回転方向とは逆向きの第2回転方向に回転して前記非連結姿勢に変わるようになっており、
前記連結姿勢において、前記第1片が、前記ドアの開閉方向に摺動自在となるように前記ドッグに接触して前記ストッパの前記第1回転方向への回転が阻止され、前記第2片に前記駆動ロッドに設けられたストッパ押さえ部が当接して前記ストッパの前記第2回転方向への回転が阻止される上記2)記載の自動ドア開閉機構。
【0020】
4)前記駆動ロッドが、前記ドアに設けられたドア連結部品を長手方向移動自在に貫通しており、前記弾性体がばねからなり、前記ばねが、前記ドア連結部品と前記駆動ロッドに設けられたばね受け部との間に配置され、前記ストッパ押さえ部が、前記ドアのドア開方向への移動時に前記ドア連結部品に係合するようになされている上記3)記載の自動ドア開閉機構。
【0021】
5)前記アクチュエータが、長手方向が前記ドアの開閉方向を向いたシリンダ本体およびピストンロッドを有するエアシリンダからなり、前記シリンダ本体が前記固定カバーにおける前記ドアの開端側の第2部分に配置されるとともに、前記ピストンロッドが前記シリンダ本体から前記固定カバーの前記第1部分に向かって突出可能な構造になっており、前記駆動ロッドが前記ピストンロッドに設けられ、前記ストッパ押さえ部が前記駆動ロッドにおける前記ドア連結部品よりも前記固定カバーの前記第1部分側に設けられ、前記ばね受け部が前記駆動ロッドにおける前記ドア連結部品よりも前記固定カバーの前記第2部分側に設けられている上記4)記載の自動ドア開閉機構。
【0022】
6)前記アクチュエータが、長手方向が前記ドアの開閉方向を向いたシリンダ本体およびピストンロッドを有するエアシリンダからなり、前記シリンダ本体が前記固定カバーにおける前記ドアの閉端側の前記第1部分に配置されるとともに、前記ピストンロッドが前記シリンダ本体から前記固定カバーにおける前記ドアの開端側の第2部分に向かって突出可能な構造になっており、前記駆動ロッドが前記ピストンロッドに設けられ、前記ストッパ押さえ部が前記駆動ロッドにおける前記ドア連結部品よりも前記固定カバーの前記第1部分側に設けられ、前記ばね受け部が前記駆動ロッドにおける前記ドア連結部品よりも前記固定カバーの前記第2部分側に設けられている上記4)記載の自動ドア開閉機構。
【発明の効果】
【0023】
上記1)~6)の自動ドア開閉機構においては、ストッパが非連結姿勢から連結姿勢に変わる際のドアの閉端近傍位置におけるドアと固定カバーにおける閉端側の第1部分との間隔が、作業者の身体の一部、たとえば手が入らないような間隔に設定される。また、上述した公知の自動ドア開閉機構と同様に、駆動ロッドのドア閉方向への移動時に生じる弾発力や、たとえばドアの重量に、ドアの摺動抵抗や衝撃吸収体の抗力を加えた力からなるドアの抵抗力や、作業者の安全などを考慮して、弾性体が選定される。
【0024】
そして、上記1)~6)の自動ドア開閉機構によれば、開端位置にあるドアのドア閉方向への移動開始時に、駆動ロッドのドア閉方向への移動により生じる弾性体の弾発力がドアの抵抗力を超えると、ドアがドア閉方向へ移動し、ドアの抵抗力が弾性体の所定の弾発力よりも小さい場合には、ドアの閉端近傍位置で衝撃吸収体に接触した後も閉端位置まで移動させられる。また、万一ドアの移動経路上に作業者の身体の一部が存在したとしても、ドアの抵抗力が弾性体の所定の弾発力を超えるので、駆動ロッドの移動が継続されるもののドアが停止し、作業者には弾性体の弾発力のみがかかることになって作業者の安全が確保される。しかも、ドアの他にサブドアや、エアシリンダのピストンロッドを停止または後退させる手段を必要とする特許文献1記載の自動ドア開閉機構に比べて構造が簡単になる。
【0025】
また、ドアに、駆動ロッドへ連結される連結姿勢と駆動ロッドへの連結が解除される非連結姿勢との間で姿勢が変化するストッパが設けられており、ストッパは、ドアが閉端近傍位置と閉端位置との間にあるときに連結姿勢となって駆動ロッドとともにドア閉方向に移動し、ドアが閉端近傍位置よりも開端位置側にあるときに非連結姿勢となるので、ドアワイパとドアの間に切粉が挟まることや、ドアワイパの劣化などによる摺動抵抗の増加によって、閉端近傍位置においてドアの抵抗力が想定以上に増大した場合にも、連結姿勢となっているストッパの働きにより駆動ロッドとドアとが連結される。したがって、アクチュエータの推力による駆動ロッドの移動によってドアがドア閉方向に移動させられることになり、固定カバーの開口をドアにより完全に閉じることができる。その結果、ドアの抵抗力が想定以上に増加した際に行う切粉清掃やドアワイパ交換などのメンテナンスの周期を長くすることができる。
【0026】
上記2)~6)の自動ドア開閉機構によれば、比較的簡単な構造で、駆動ロッドのドア閉方向への移動時にストッパの姿勢を非連結姿勢から連結姿勢に変えることができ、駆動ロッドのドア開方向への移動時にストッパの姿勢を連結姿勢から非連結姿勢に変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】この発明の実施形態1の自動ドア開閉機構において、ドアが閉端近傍位置と開端位置との間にあってストッパが非連結姿勢となっている状態を概略的に示す正面図である。
図2図1の自動ドア開閉機構において、ドアが閉端近傍位置と閉端位置との間にあってストッパが連結姿勢となっている状態を概略的に示す正面図である。
図3】この発明の実施形態2の自動ドア開閉機構において、ドアが閉端近傍位置と開端位置との間にあってストッパが非連結姿勢となっている状態を概略的に示す正面図である。
図4図3の自動ドア開閉機構において、ドアが閉端近傍位置と閉端位置との間にあってストッパが連結姿勢となっている状態を概略的に示す正面図である。
図5】公知の自動ドア開閉機構を示し、(a)はドアが開端位置にある状態を概略的に示す正面図であり、(b)はドアが閉端近傍位置にある状態を概略的に示す正面図である。
図6図5の一部分を拡大して示す図である。
図7図5の自動ドア開閉機構において、ドアの閉方向移動時に作業者の身体の一部がドアの移動経路上に存在する状態を概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0029】
以下の説明において、各図面の上下、左右を上下、左右というものとする。
【0030】
なお、以下の説明において、図5図7に示すものと同一物および同一部分には同一符号を付す。
実施形態1
この実施形態は図1および図2に示すものである。
【0031】
図1は実施形態1の自動ドア開閉機構において、ドアが閉端近傍位置と開端位置との間にあってストッパが非連結姿勢となっている状態を概略的に示し、図2図1の自動ドア開閉機構において、ドアが閉端近傍位置と閉端位置との間にあってストッパが連結姿勢となっている状態を概略的に示す。
【0032】
図1および図2に示す自動ドア開閉機構においては、固定カバー(1)の開口(2)を開閉するスライド式のドア(3)に、駆動ロッド(5)へ連結される連結姿勢(図2参照)と駆動ロッド(5)への連結が解除される非連結姿勢(図1参照)との間で姿勢が変化するストッパ(10)が設けられ、固定カバー(1)の閉端側の第1部分(1a)に、ドア(3)のドア閉方向への移動時にストッパ(10)が接触するドッグ(11)が設けられている。その他の構成は、図5図7に示す自動ドア開閉機構と同様である。
【0033】
ストッパ(10)は、ドア(3)が閉端近傍位置と閉端位置との間にあるときに連結姿勢となり(図2参照)、ドア(3)が閉端近傍位置よりも開端位置側にあるときに非連結姿勢となる(図1参照)。ストッパ(10)は、ドア(3)のドア閉方向への移動時に、ドッグ(11)に接触することによって前記連結姿勢となり、ドア(3)の開方向への移動時にドッグ(11)から離れることによって前記非連結姿勢となる。前記連結姿勢においてストッパ(10)はドッグ(11)に対してドア(3)の開閉方向に移動自在である。
【0034】
ストッパ(10)は略L形であって、非連結姿勢において上下方向を向くとともに連結姿勢において左右方向を向き、かつドア(3)のドア閉方向の移動時にドッグ(11)に当接する第1片(10a)と、第1片(10a)と直角をなし、かつ非連結姿勢において左右方向を向くとともに連結姿勢において上下方向を向く第2片(10b)とからなり、ドア(3)の開閉方向と直角をなすとともに図1および図2の紙面表裏方向に延びる回転中心線(O)の周りに回転自在となるように、旋回軸(13)によってドア(3)に取り付けられている。
【0035】
非連結姿勢のストッパ(10)は、ドア(3)のドア閉方向への移動時に第1片(10a)がドッグ(11)に当接することにより回転中心線(O)の周りに第1回転方向(図1の反時計方向)に回転して連結姿勢に変わる。
【0036】
連結姿勢のストッパ(10)は、第1片(10a)の第1回転方向側を向いた面(上面)が、ドア(3)の開閉方向に摺動自在となるようにドッグ(11)の下端面に接触して第1回転方向への回転が阻止され、第2片(10b)の第1回転方向とは逆向きの第2回転方向(図2の時計方向)側を向いた面(左面)に駆動ロッド(5)の右端部に設けられたストッパ押さえ部(12)が当接して第2回転方向への回転が阻止される(図2参照)。なお、この実施形態1では、駆動ロッド(5)の係合部(5b)が、ストッパ押さえ部(12)を兼ねている。したがって、前記連結姿勢においてストッパ(10)はドッグ(11)に対してドア(3)の開閉方向に移動自在であり、ストッパ(10)の第2片(10b)が駆動ロッド(5)のストッパ押さえ部(12)によってドア閉方向に押されることによってドア(3)は閉方向に移動する。
【0037】
連結姿勢のストッパ(10)は、ドア(3)の閉端からドア開方向への移動時に第1片(10a)がドッグ(11)から離れることにより回転中心線(O)の周りに前記第2回転方向に回転して非連結姿勢に変わる。図示は省略したが、ストッパ(10)は、ねじりばね、ウェイトなどの公知の復帰手段によって、第1片(10a)がドッグ(11)から離れた際に自動的に回転中心線(O)の周りに第2回転方向に回転するようになっている。
【0038】
上述した実施形態1の自動ドア開閉機構において、開端位置にあるドア(3)を閉方向に移動させる際には、まずエアシリンダ(4)のピストンロッド(4b)を前進させることによって駆動ロッド(5)をドア閉方向に移動させ、ばね受け部(5a)によりばね(6)を圧縮する。この圧縮により生じるばね(6)の弾発力がドア(3)の抵抗力を超えると、ばね(6)の弾発力によってドア(3)が閉方向へ移動して閉端近傍位置に至り、衝撃吸収体(7)に当たる。
【0039】
ドア(3)が閉端近傍位置からさらにドア閉方向に移動すると、ストッパ(10)がドッグ(11)に当接し、ストッパ(10)が前記第1回転方向に回転して連結姿勢となることにより駆動ロッド(5)とドア(3)とが連結される。その結果、ピストンロッド(4b)が前進することによるエアシリンダ(4)の推力によって駆動ロッド(5)がドア閉方向に移動し、これによりドア(3)がドア閉方向に移動させられる。したがって、ドアワイパとドア(3)の間に切粉が挟まることや、ドアワイパの劣化などによって、閉端近傍位置においてドア(3)の抵抗力が想定以上に増大した場合にも、固定カバー(1)の開口をドア(3)により完全に閉じることができる。また、図5図7に示す自動ドア開閉機構においては、ドア(3)が衝撃吸収体(7)に当たった後は、ピストンロッド(4b)をさらに前進させて駆動ロッド(5)を移動させることによりばね(6)をさらに圧縮し、ばね(6)に生じる弾発力を増大させる必要があるので、ピストンロッド(4b)および駆動ロッド(5)の移動に対するドア(3)の追従性が悪化する。これに対し、実施形態1の自動ドア開閉機構においては、ストッパ(10)が連結姿勢となった後はばね(6)を圧縮する必要はないので、ピストンロッド(4b)および駆動ロッド(5)の移動に対するドア(3)の追従性が向上するとともに、エアシリンダ(4)のシリンダストロークを短縮することができる。
【0040】
ドア(3)が閉端近傍位置に至る前に、ドア(3)と、固定カバー(1)におけるドア(3)の閉端側の第1部分(1a)との間において、ドア(3)の移動経路上に作業者の身体の一部、たとえば手(H)が存在する場合、ドア(3)の抵抗力がばね(6)の所定の弾発力を超えるので、駆動ロッド(5)のドア閉方向への移動が継続されるもののドア(3)が停止し、作業者にはばね(6)の弾発力のみがかかることになり、作業者の安全が確保される。
【0041】
完全に閉じられたドア(3)を開く場合には、エアシリンダ(4)のピストンロッド(4b)を後退させると、駆動ロッド(5)の係合部(5b)がドア連結部品(8)に係合し、ピストンロッド(4b)が後退することによるエアシリンダ(4)の推力によりドア(3)が閉端からドア開方向に移動させられる。ドア(3)のドア開方向への移動の途中にストッパ(10)の第1片(10a)がドッグ(11)から離れると、ストッパ(10)は自動的に非連結姿勢に戻る。
実施形態2
この実施形態は図3および図4に示すものである。
【0042】
図3は実施形態2の自動ドア開閉機構において、ドアが閉端近傍位置と開端位置との間にあってストッパが非連結姿勢となっている状態を概略的に示し、図4図3の自動ドア開閉機構において、ドアが閉端近傍位置と閉端位置との間にあってストッパが連結姿勢となっている状態を概略的に示す。
【0043】
図3および図4に示す自動ドア開閉機構において、固定カバー(1)の閉端側の第1部分(1a)は図3および図4の左側にあり、開端側の第2部分(1b)は図3および図4の右側にある。また、シリンダ本体(4a)およびピストンロッド(4b)の長手方向をドア(3)の開閉方向(図3および図4の左右方向)に向けたエアシリンダ(4)は、シリンダ本体(4a)が固定カバー(1)の第1部分(1a)に来るように配置されており、ピストンロッド(4b)がシリンダ本体(4a)から固定カバー(1)の開端側に向かって突出している。
【0044】
エアシリンダ(4)のピストンロッド(4b)の先端部にピストンロッド(4b)のドア(3)の開閉方向の移動により同方向に移動させられる駆動ロッド(25)が、長手方向をドア(3)の開閉方向に向けた状態で設けられている。駆動ロッド(25)に、ピストンロッド(4b)が後退することによる駆動ロッド(25)のドア閉方向(左方)への移動により弾発力が生じるばね(6)が装着されている。
【0045】
そして、駆動ロッド(25)のドア閉方向により生じるばね(6)の弾発力が、たとえばドア(3)の重量にドアワイパ(図示略)等による摺動抵抗や衝撃吸収体(7)の抗力を加えた力からなるドア(3)の抵抗力を超えた際にドア(3)がドア閉方向に移動するとともに、ドア(3)の抵抗力がばね(6)の所定の弾発力を超えた際にドア(3)が停止して駆動ロッド(25)のドア閉方向への移動のみが継続し、駆動ロッド(25)のドア開方向(右方)への移動によりドア(3)がドア開方向へ移動させられるようになっている。
【0046】
駆動ロッド(25)は、ドア(3)の閉端部側に設けられたドア連結部品(8)を長手方向移動自在に貫通しており、ばね(6)が、ドア連結部品(8)と駆動ロッド(25)の右端部に設けられたばね受け部(25a)との間に配置されている。また、駆動ロッド(25)おけるドア連結部品(8)よりもピストンロッド(4b)側(左側)の部分に、ドア(3)のドア開方向への移動時にドア連結部品(8)に係合する係合部(25b)が設けられている。
【0047】
固定カバー(1)の開口(2)を開閉するスライド式のドア(3)に、駆動ロッド(25)へ連結される連結姿勢(図4参照)と駆動ロッド(25)への連結が解除される非連結姿勢(図3参照)との間で姿勢が変化するストッパ(20)が設けられ、固定カバー(1)の閉端側の第1部分(1a)に、ドア(3)のドア閉方向への移動時にストッパ(20)が接触するドッグ(21)が設けられている。
【0048】
ストッパ(20)は、ドア(3)が閉端近傍位置と閉端位置との間にあるときに連結姿勢となり(図4参照)、ドア(3)が閉端近傍位置よりも開端位置側にあるときに非連結姿勢となる(図3参照)。ストッパ(20)は、ドア(3)のドア(3)閉方向への移動時にドッグ(21)に接触することにより前記連結姿勢となるとともに、ドア(3)の開方向への移動時にドッグ(21)から離れることによって前記非連結姿勢となる。前記連結姿勢においてストッパ(20)はドッグ(21)に対してドア(3)の開閉方向に移動自在である。
【0049】
ストッパ(20)は略L形であって、非連結姿勢において上下方向を向くとともに連結姿勢において左右方向を向き、かつドア(3)のドア閉方向の移動時にドッグ(21)に当接する第1片(20a)と、第1片(20a)と直角をなし、かつ非連結姿勢において左右方向を向くとともに連結姿勢において上下方向を向く第2片(20b)とからなり、ドア(3)の開閉方向と直角をなすとともに図3および図4の紙面表裏方向に延びる回転中心線(O)の周りに回転自在となるように、旋回軸(23)によってドア(3)に取り付けられている。
【0050】
非連結姿勢のストッパ(20)は、ドア(3)のドア閉方向への移動時に第1片(20a)がドッグ(21)に当接することにより回転中心線(O)の周りに第1回転方向(図3の時計方向)に回転して連結姿勢に変わる。
【0051】
連結姿勢のストッパ(20)は、第1片(20a)の第1回転方向側を向いた面(上面)が、ドア(3)の開閉方向に摺動自在となるようにドッグ(21)の下端面に接触して第1回転方向への回転が阻止され、第2片(20b)の第1回転方向とは逆向きの第2回転方向(図4の反時計方向)側を向いた面(右面)に駆動ロッド(25)におけるドア連結部品(8)よりも左側の部分に設けられたストッパ押さえ部(22)が当接して第2回転方向への回転が阻止される(図4参照)。なお、この実施形態2では、駆動ロッド(25)の係合部(25b)が、ストッパ押さえ部(22)を兼ねている。したがって、前記連結姿勢においてストッパ(20)はドッグ(21)に対してドア(3)の開閉方向に移動自在であり、ストッパ(20)の第2片(20b)が駆動ロッド(25)のストッパ押さえ部(22)によってドア閉方向に押されることによってドア(3)は閉方向に移動する。
【0052】
連結姿勢のストッパ(20)は、ドア(3)の閉端からドア開方向への移動時に第1片(20a)がドッグ(21)から離れることにより回転中心線(O)の周りに前記第2回転方向に回転して非連結姿勢に変わる。図示は省略したが、ストッパ(20)は、ねじりばね、ウェイトなどの公知の復帰手段によって、第1片(20a)がドッグ(21)から離れた際に自動的に回転中心線(O)の周りに第2回転方向に回転するようになっている。
【0053】
上述した実施形態2の自動ドア開閉機構において、ピストンロッド(4b)の後退に伴う駆動ロッド(25)のドア閉方向への移動時にばね(6)が圧縮されることにより生じるばね(6)の弾発力や、たとえばドア(3)の重量にドアワイパ(図示略)等による摺動抵抗や衝撃吸収体(7)の抗力を加えた力からなるドア(3)の抵抗力や、作業者の安全などを考慮してばね(6)が選定される。
【0054】
上述した実施形態2の自動ドア開閉機構において、開端位置にあるドア(3)を閉方向に移動させる際には、まずエアシリンダ(4)のピストンロッド(4b)を後退させることによって駆動ロッド(25)をドア閉方向に移動させ、ばね受け部(25a)によりばね(6)を圧縮する。この圧縮により生じるばね(6)の弾発力がドア(3)の抵抗力を超えると、ばね(6)の弾発力によってドア(3)が閉方向へ移動して閉端近傍位置に至り、衝撃吸収体(7)に当たる。
【0055】
ドア(3)が閉端近傍位置からさらにドア閉方向に移動すると、ストッパ(20)がドッグ(21)に当接し、ストッパ(20)が前記第1回転方向に回転して連結姿勢となることにより駆動ロッド(25)とドア(3)とが連結される。その結果、ピストンロッド(4b)が後退することによるエアシリンダ(4)の推力によって駆動ロッド(25)がドア閉方向に移動し、これによりドア(3)がドア閉方向に移動させられる。したがって、ドアワイパとドア(3)の間に切粉が挟まることや、ドアワイパの劣化などによって、閉端近傍位置においてドア(3)の抵抗力が想定以上に増大した場合にも、固定カバー(1)の開口をドア(3)により完全に閉じることができる。また、図5図7に示す自動ドア開閉機構においては、ドア(3)が衝撃吸収体(7)に当たった後は、ピストンロッド(4b)をさらに前進させて駆動ロッド(5)を移動させることによりばね(6)をさらに圧縮し、ばね(6)に生じる弾発力を増大させる必要があるので、ピストンロッド(4b)および駆動ロッド(5)の移動に対するドア(3)の追従性が悪化する。これに対し、実施形態2の自動ドア開閉機構においては、ストッパ(20)が連結姿勢となった後はばね(6)を圧縮する必要はないので、ピストンロッド(4b)および駆動ロッド(25)の移動に対するドア(3)の追従性が向上するとともに、エアシリンダ(4)のシリンダストロークを短縮することができる。
【0056】
ドア(3)が閉端近傍位置に至る前に、ドア(3)と、固定カバー(1)におけるドア(3)の閉端側の第1部分(1a)との間において、ドア(3)の移動経路上に作業者の身体の一部、たとえば手(H)が存在する場合、ドア(3)の抵抗力がばね(6)の所定の弾発力を超えるので、駆動ロッド(25)のドア閉方向への移動が継続されるもののドア(3)が停止し、作業者にはばね(6)の弾発力のみがかかることになり、作業者の安全が確保される。
【0057】
完全に閉じられたドア(3)を開く場合には、エアシリンダ(4)のピストンロッド(4b)を前進させると、駆動ロッド(25)の係合部(25b)がドア連結部品(8)に係合し、ピストンロッド(4b)が前進することによるエアシリンダ(4)の推力によりドア(3)が閉端からドア(3)開方向に移動させられる。ドア(3)のドア開方向への移動の途中にストッパ(20)の第1片(20a)がドッグ(21)から離れると、ストッパ(20)は自動的に非連結姿勢に戻る。
【産業上の利用可能性】
【0058】
この発明による自動ドア開閉機構は、工作機械の全体を覆う固定カバーに形成された開口を開閉するスライド式のドアに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0059】
(1):固定カバー
(1a):閉端側の第1部分
(1b):開端側の第2部分
(2):開口
(3):ドア
(4):エアシリンダ(アクチュエータ)
(4a):シリンダ本体
(4b):ピストンロッド
(5)(25):駆動ロッド
(5a)(25a):ばね受け部
(5b)(25b):係合部
(6):ばね
(8):ドア連結部品
(10)(20):ストッパ
(10a)(20a):第1片
(10b)(20b):第2片
(11)(21):ドッグ
(12)(22):ストッパ押さえ部
(O):回転中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7