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特開2022-91223プリント配線板の製造方法およびプリント配線板
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  • 特開-プリント配線板の製造方法およびプリント配線板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091223
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】プリント配線板の製造方法およびプリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/42 20060101AFI20220614BHJP
   H05K 1/11 20060101ALI20220614BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H05K3/42 610C
H05K1/11 H
H05K3/46 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203913
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】特許業務法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 貴秀
(72)【発明者】
【氏名】川合 悟
【テーマコード(参考)】
5E316
5E317
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC08
5E316CC32
5E316DD25
5E316DD32
5E316DD33
5E316FF01
5E316FF15
5E316GG15
5E316GG16
5E316GG17
5E316GG22
5E316HH40
5E317AA11
5E317AA24
5E317BB02
5E317BB12
5E317CC32
5E317CC33
5E317CD01
5E317CD27
5E317CD31
5E317GG20
(57)【要約】
【課題】貫通孔上に、良好な導体回路を得る。
【解決手段】絶縁基板1とその両表面に形成された第1銅箔2-1と第2銅箔2-2とからなる両面銅貼積層板3を準備し、両面銅貼積層板に貫通孔4を形成し、貫通孔の側壁に筒状のスルーホール導体5-3を形成するとともに、第1銅箔2-1上に第1めっき膜5-1と、第2銅箔2-2上に第2めっき膜5-2とを、それぞれ形成し、貫通孔に充填樹脂6を充填し、第1銅箔と第1めっき膜、第2銅箔と第2めっき膜および貫通孔から突出した充填樹脂を除去し、絶縁基板の表面と充填樹脂の表面とを面一とするとともに、スルーホール導体の両端部を、凸形状で絶縁基板と充填樹脂とを面一とした表面より貫通孔に入り込む形状とし、面一とした絶縁基板の表面および充填樹脂の表面に、第3めっき膜7-1および第4めっき膜7-2を形成し、第3めっき膜7-1および第4めっき膜7-2から絶縁基板の両表面に第1導体回路8-1および第2表面回路8-2を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面と反対側の第2面を有する絶縁基板と、前記絶縁基板の前記第1面上に積層されている第1銅箔と、前記2面上に積層されている第2銅箔で形成されている両面銅貼積層板を準備することと、
前記両面銅貼積層板を貫通する貫通孔を前記両面銅貼積層板に形成することと、
前記貫通孔から露出する前記絶縁基板上に筒状のスルーホール導体を形成することと、
前記第1銅箔上に第1めっき膜を形成することと、
前記第2銅箔上に第2めっき膜を形成することと、
前記スルーホール導体内に充填樹脂を充填することと、
前記第1めっき膜と前記第1銅箔と前記スルーホール導体の一部と前記充填樹脂の一部を除去することで、前記第1面側に前記絶縁基板と前記スルーホール導体と前記充填樹脂で形成される第1平面を形成することと、
前記第2めっき膜と前記第2銅箔と前記スルーホール導体の一部と前記充填樹脂の一部を除去することで、前記第2面側に前記絶縁基板と前記スルーホール導体と前記充填樹脂で形成される第2平面を形成することと、
前記第1面から露出する前記絶縁基板と前記スルーホール導体と前記充填樹脂上に第3めっき膜を形成することと、
前記第2面から露出する前記絶縁基板と前記スルーホール導体と前記充填樹脂上に第4めっき膜を形成すること、
前記第3めっき膜から第1導体回路を形成することと、
前記第4めっき膜から第2導体回路を形成することと、を含むプリント配線板の製造方法であって、
前記第1面から露出するスルーホール導体が凸形状で、前記第1面より貫通孔に入り込む形状であり、
前記第2面から露出するスルーホール導体が凸形状で、前記第2面より貫通孔に入り込む形状である。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板の製造方法であって、前記スルーホール導体を形成することと前記第1めっき膜を形成することと前記第2めっき膜を形成することは同時に行われ、前記第3めっき膜を形成することと前記第4めっき膜を形成することは同時に行われる。
【請求項3】
請求項1または2のプリント配線板の製造方法であって、前記第1めっき膜と前記第1銅箔と前記スルーホール導体の一部と前記充填樹脂の一部を除去することおよび前記第2めっき膜と前記第2銅箔と前記スルーホール導体の一部と前記充填樹脂の一部を除去することは、研磨およびエッチングで行われる。
【請求項4】
請求項1または2のプリント配線板の製造方法であって、前記第3めっき膜から前記第1導体回路を形成することおよび前記第4めっき膜から前記第2導体回路を形成することは、サブトラクティブ工法またはセミアディティブ工法により行う。
【請求項5】
第1面と、前記第1面と反対側の第2面を有する絶縁基板と、
前記絶縁基板を貫通するよう形成された貫通孔と、
前記貫通孔から露出する前記絶縁基板上に形成された筒状のスルーホール導体と、
前記スルーホール導体内に充填された充填樹脂と、
前記絶縁基板の前記第1面上に形成された第1導体回路と、
前記絶縁基板の前記第2面上に形成された第2導体回路と、を含むプリント配線板であって、
前記絶縁基板上の導体厚みと前記充填樹脂上の導体厚みとが同一であり、
前記絶縁基板の表面と前記充填樹脂の表面とが面一であり、
前記絶縁基板の前記第1面上には、前記第1導体回路のみが形成されており、
前記絶縁基板の前記第2面上には、前記第2導体回路のみが形成されており、
前記第1導体回路および前記第2導体回路は、前記絶縁基板の表面より深い位置で前記スルーホール導体と接触しており、
前記スルーホール導体の両端部が凸形状である。
【請求項6】
請求項5のプリント配線板であって、同一である前記絶縁基板上の導体厚みと前記充填樹脂上の導体厚みとが20μm以上40μm以下である。
【請求項7】
請求項5のプリント配線であって、前記絶縁基板の表面のRaが0.1μm以上0.5μm以下である。
【請求項8】
請求項5のプリント配線板であって、前記第1面から露出する前記スルーホール導体と前記第1導体回路との接触位置および前記第2面から露出する前記スルーホール導体と前記第2導体回路との接触位置は、前記絶縁基板の表面より5μm以上深い位置である。
【請求項9】
請求項5のプリント配線板であって、前記絶縁基板の表面のRaと前記充填樹脂の表面のRaとが略同一である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スルーホールを形成したプリント配線板の製造方法およびプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スルーホールを形成したプリント配線板が使用されている(例えば、特許文献1参照)。図4(a)~(d)は、それぞれ、従来のスルーホールを形成したプリント配線板の製造方法の一実施形態を示す図である。
【0003】
プリント配線板の製造は以下の工程により行われる。まず、絶縁基板51とその両表面に形成された銅箔52とからなる両面銅貼積層板53にドリルで貫通孔54を形成し、露出する絶縁基板51上に筒状のスルーホール導体55と、銅箔52上にめっき膜59とを形成する(図4(a))。次に、スルーホール導体55内に充填樹脂56を充填し、充填樹脂56をスルーホール導体55とめっき膜59と面一になるように研磨する(図4(b))。次に、充填樹脂56とスルーホール導体55とめっき膜59とが面一となる両表面に、めっき膜57を形成する(図4(c))。さらに、めっき膜57に対し、例えばサブトラクティブ工法を適用して、導体回路58を形成している(図4(d))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-163452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した製造方法で製造したプリント配線板においては、絶縁基板51の表面から、銅箔52の厚さ+スルーホール導体55の厚さ分だけ、充填樹脂56が突出する。そのため、図4(c)の状態において、充填樹脂56上の導体厚みが、絶縁基板51上の導体厚みより、銅箔52の厚さ+スルーホール導体55の厚さ分だけ薄くなる。この時、充填樹脂56の突出部付近で応力が大きくなり、めっき膜57の剥離等が生じ易くなる。充填樹脂56上の導体厚みが薄いため、その上に形成されたビルドアップ層をレーザ加工する際、導体を貫通する恐れがある。両面銅貼積層板53の絶縁基板51と銅箔52との界面の算術平均粗さRaが大きいため、絶縁基板51の伝送損失が大きくなり、高周波用基板として不利となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面を有する絶縁基板と、前記絶縁基板の前記第1面上に積層されている第1銅箔と、前記2面上に積層されている第2銅箔で形成されている両面銅貼積層板を準備することと、前記両面銅貼積層板を貫通する貫通孔を前記両面銅貼積層板に形成することと、前記貫通孔から露出する前記絶縁基板上に筒状のスルーホール導体を形成することと、前記第1銅箔上に第1めっき膜を形成することと、前記第2銅箔上に第2めっき膜を形成することと、前記スルーホール導体内に充填樹脂を充填することと、前記第1めっき膜と前記第1銅箔と前記スルーホール導体の一部と前記充填樹脂の一部を除去することで、前記第1面側に前記絶縁基板と前記スルーホール導体と前記充填樹脂で形成される第1平面を形成することと、前記第2めっき膜と前記第2銅箔と前記スルーホール導体の一部と前記充填樹脂の一部を除去することで、前記第2面側に前記絶縁基板と前記スルーホール導体と前記充填樹脂で形成される第2平面を形成することと、前記第1面から露出する前記絶縁基板と前記スルーホール導体と前記充填樹脂上に第3めっき膜を形成することと、前記第2面から露出する前記絶縁基板と前記スルーホール導体と前記充填樹脂上に第4めっき膜を形成すること、前記第3めっき膜から第1導体回路を形成することと、前記第4めっき膜から第2導体回路を形成することと、を含むプリント配線板の製造方法であって、前記第1面から露出するスルーホール導体が凸形状で、前記第1面より貫通孔に入り込む形状であり、前記第2面から露出するスルーホール導体が凸形状で、前記第2面より貫通孔に入り込む形状である。
【0007】
本発明に係るプリント配線板は、第1面と、前記第1面と反対側の第2面を有する絶縁基板と、前記絶縁基板を貫通するよう形成された貫通孔と、前記貫通孔から露出する前記絶縁基板上に形成された筒状のスルーホール導体と、前記スルーホール導体内に充填された充填樹脂と、前記絶縁基板の前記第1面上に形成された第1導体回路と、前記絶縁基板の前記第2面上に形成された第2導体回路と、を含むプリント配線板であって、前記絶縁基板上の導体厚みと前記充填樹脂上の導体厚みとが同一であり、前記絶縁基板の表面と前記充填樹脂の表面とが面一であり、前記絶縁基板の前記第1面上には、前記第1導体回路のみが形成されており、前記絶縁基板の前記第2面上には、前記第2導体回路のみが形成されており、前記第1導体回路および前記第2導体回路は、前記絶縁基板の表面より深い位置で前記スルーホール導体と接触しており、前記スルーホール導体の両端部が凸形状である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)~(e)は、それぞれ、本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態における各工程を説明するための図である。
図2】(a)~(d)は、それぞれ、第1導体回路および第2導体回路を形成するサブトラクティブ工法を説明するための図である。
図3】(a)~(c)は、それぞれ、第1導体回路および第2導体回路を形成するセミアディティブ工法を説明するための図である。
図4】(a)~(d)は、それぞれ、従来のプリント配線板の製造方法の一実施形態における各工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態が、図面を参照して説明される。なお、図1(a)~(e)に示す例において、各部材の寸法、特に高さ方向の寸法については、本発明の特徴をより良く理解できるようにするために、実際の寸法とは異なる寸法で記載している。以下、本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態を、図1(a)~(e)を参照して説明する。
【0010】
まず、図1(a)に示すように、従来と同様の方法を用いて、絶縁基板1とその両表面に形成された第1銅箔2-1および第2銅箔2-2とからなる両面銅貼積層板3を準備し、両面銅貼積層板3に貫通孔4を形成し、第1銅箔2-1上に第1めっき膜5-1と、第2銅箔2-2上に第2めっき膜5-2と、貫通孔4から露出する絶縁基板1上に筒状のスルーホール導体5-3とを形成する。
【0011】
ここで、両面銅貼積層板3としては、市販の両面銅貼積層板(CCL)を用いることができる。貫通孔4の形成は、両面銅貼積層板3に、従来から知られている方法、例えば、ドリル加工やレーザ(CO、UV-YAG、エキシマなど)加工を施すことで行うことができる。また、貫通孔4の形成後、スルーホール導体5-3の形成前に、絶縁基板1の表面および貫通孔4の側面の貫通孔形成で発生した残渣を、例えば、過マンガン酸+水酸化ナトリウムを用いるデスミア処理やCFを用いたプラズマを用いるデスミア処理で除去することが好ましい。さらに、第1めっき膜5-1および第2めっき膜5-2、スルーホール導体5-3は、無電解銅めっきとその後の電解銅めっきにより形成される。
【0012】
次に、図1(b)に示すように、スルーホール導体5-3内に充填樹脂6を充填する。ここで、充填樹脂6は、従来から知られているように、例えば熱硬化型のエポキシ樹脂組成物を用いることができる。また、充填樹脂6の充填は、従来から知られているように、印刷法や真空印刷法などを用いることができる。
【0013】
次に、図1(c)に示すように、両面銅貼積層板3の両表面に対し、研磨およびエッチングを行うことで、第1めっき膜5-1と第1銅箔2-1、第2めっき膜5-2と第2銅箔2-2、スルーホール導体5-3の一部、および、充填樹脂6の一部を除去する。研磨およびその後のエッチングにより、絶縁基板1の表面と充填樹脂6の表面とが面一となる。同時に、貫通孔4の側壁のスルーホール導体5-3の両端部が、凸形状で絶縁基板1と充填樹脂6とを面一とした表面より貫通孔4に入り込む形状となる。
【0014】
ここで、両面銅貼積層板3の両表面の研磨方法としては、従来から知られているように、バフ研磨、ベルト研磨、平面研磨などの方法を用いることができ、製品の仕様により研磨方法を使い分ける。また、研磨後の絶縁基板1の両表面およびスルーホール導体5-3の両端部のエッチングは、従来から知られているように、エッチング液を用いるいずれのエッチング処理をも用いることができる。このとき、エッチング後、絶縁基板1の表面のRaが0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。
【0015】
次に、図1(d)に示すように、絶縁基板1の表面と充填樹脂6の表面とを面一とした両表面、および、両端部が凸形状のスルーホール導体5-3に、第3のめっき膜7-1および第4めっき膜7-2を形成する。第3めっき膜7-1および第4めっき膜7-2は、スルーホール導体5-3の形成と同様に、無電解銅めっきとその後の電解銅めっきにより形成することができる。このとき、同一である絶縁基板1上の導体(第3めっき膜7-1および第4めっき膜7-2)の厚みと充填樹脂6上の導体(第3めっき膜7-1および第4めっき膜7-2)の厚みとが20μm以上40μm以下であることが好ましい。
【0016】
最後に、図1(e)に示すように、第3めっき膜7-1および第4めっき膜7-2を加工して、絶縁基板1の表面に第1導体回路8-1および第2導体回路8-2を形成する。第3めっき膜7-1および第4めっき膜7-2から第1導体回路8-1および第2導体回路8-2を形成するには、従来から知られているサブトラクティブ工法またはセミアディティブ工法を用いることができる。このとき、スルーホール導体5-3の両端部と第1導体回路8-1および第2導体回路8-2との接触位置は、絶縁基板1の表面より5μm以上深い位置であることが好ましい。
【0017】
以下、第3めっき膜7-1および第4めっき膜7-2から第1導体回路8-1および第2導体回路8-2を形成する際使用する加工方法として、サブトラクティブ工法およびセミアディティブ工法を、それぞれ、図2(a)~(d)および図3(a)~(d)を参照して説明する。図2(a)~(d)および図3(a)~(c)に示す例において、図1(a)~(e)に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0018】
図2(a)~(d)は、それぞれ、サブトラクティブ工法に従って第1導体回路8-1および第2導体回路8-2を形成する一実施形態の工程を示す図である。まず、図2(a)に示す第3めっき膜7-1および第4めっき膜7-2を形成した状態の両面銅貼積層板3(図1(d)に対応)に対し、図2(b)に示すように、第1導体回路8-1および第2導体回路8-2を形成すべき位置にレジスト9を形成する。その後、レジスト9を形成した両面銅貼積層板3に対しエッチングを行い、図2(c)に示すように、レジスト9以外の第3めっき膜7-1および第4めっき膜7-2を除去して、絶縁基板1を露出させる。最後に、レジスト9を除去して、図2(d)に示すように、第1導体回路8-1および第2導体回路8-2を形成する。なお、レジスト9の形成、エッチング、レジスト9の除去は、いずれも公知の方法をとることができる。
【0019】
図3(a)~(c)は、それぞれ、セミアディティブ工法に従って第1導体回路8-1および第2導体回路8-2を形成する一実施形態の工程を示す図である。まず、図3(a)に示すように、図1(c)に示す状態の絶縁基板1の表面上において、第1導体回路8-1および第2導体回路8-2を形成しない位置にレジスト9を形成する。次に、図3(b)に示すように、レジスト9の存在しない絶縁基板1上に第3めっき膜7-1および第4めっき膜7-2を形成する。最後に、レジスト9を除去して、図3(c)に示すように、第1導体回路8-1および第2導体回路8-2を形成する。本例においても、レジスト9の形成、エッチング、レジスト9の除去は、いずれも公知の方法をとることができる。セミアディディブ工法は、サブトラクティブ工法と比較して、狭ピッチの導体パターンの形成に向いている。
【0020】
次に、図1(e)を参照して、本発明に係る製造方法に従って製造したプリント配線板の一実施形態を説明する。
【0021】
図1(e)に示す実施形態において、絶縁基板1上の第1導体回路8-1および第2導体回路8-2の厚みと充填樹脂6上の第1導体回路8-1および第2導体回路8-2の厚みとが同一となり、好ましくは導体厚みが20μm以上40μm以下である。絶縁基板1の表面と充填樹脂6の表面とが面一となる。絶縁基板1の表面の算術平均粗さRaが0.1μm以上0.5μm以下である。絶縁基板1の表面のRaと充填樹脂6の表面のRaとが略同一である。絶縁基板1の第1面上には、第1銅箔2-1および第1銅箔2-1上の第1めっき膜5-1が存在せず、第1導体回路8-1のみが形成されている。絶縁基板1の第2面上には、第2銅箔2-2および第2銅箔2-2上の第2めっき膜5-2が存在せず、第2導体回路8-2のみが形成されている。第1導体回路8-1および第2導体回路8-2は、絶縁基板1の表面より深い位置でスルーホール導体5-3と接触しており、スルーホール導体5-3の両端部が凸形状である。好ましくは、絶縁基板1の第1面から露出するスルーホール導体5-3と第1導体回路8-1との接触位置、および、絶縁基板1の第2面から露出するスルーホール導体5-3と第2導体回路8-2との接触位置は、絶縁基板1の第1表面および第2表面よりそれぞれ5μm以上深い位置である。
【0022】
図1(e)に示す本発明のプリント配線板によれば、絶縁基板1上の第1導体回路8-1および第2導体回路8-2の厚みと充填樹脂6上の第1導体回路8-1および第2導体回路8-2の厚みとが同一となるため、充填樹脂6が絶縁基板1より突出することはなく、第1導体回路8-1および第2導体回路8-2にかかる応力を均一にすることができる。また、第1導体回路8-1および第2導体回路8-2の厚みを、好ましくは20μm以上40μm以下と厚くできるため、上層をレーザ加工しても第1導体回路8-1および第2導体回路8-2を貫通する恐れを少なくすることができる。
【0023】
また、絶縁基板1および充填樹脂6の表面を研磨およびエッチングしているため、表面を好ましくはRaが0.1μm以上0.5μm以下と小さくすることができ、伝送損失を小さくでき、高周波用のプリント配線板として有利となる。さらに、スルーホール導体5-3の両端部が、凸形状であるとともにスルーホール内に、好ましくは表面より5μm以上深い位置まで入り込む構造であるため、第1導体回路8-1および第2導体回路8-2が絶縁基板1および充填樹脂6から剥がれにくくなり、第1導体回路8-1および第2導体回路8-2を強固に形成することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 絶縁基板
2-1 第1銅箔
2-2 第2銅箔
3 両面銅貼積層板
4 貫通孔
5-1 第1めっき膜
5-2 第2めっき膜
5-3 スルーホール導体
6 充填樹脂
7-1 第3めっき膜
7-2 第4めっき膜
8-1 第1導体回路
8-2 第2導体回路
9 レジスト
図1
図2
図3
図4