IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社キーレックスの特許一覧 ▶ セキ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-ボルト選別移送装置 図1
  • 特開-ボルト選別移送装置 図2
  • 特開-ボルト選別移送装置 図3
  • 特開-ボルト選別移送装置 図4
  • 特開-ボルト選別移送装置 図5
  • 特開-ボルト選別移送装置 図6
  • 特開-ボルト選別移送装置 図7
  • 特開-ボルト選別移送装置 図8
  • 特開-ボルト選別移送装置 図9
  • 特開-ボルト選別移送装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091252
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】ボルト選別移送装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/06 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
B07C5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020203968
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】590000721
【氏名又は名称】株式会社キーレックス
(71)【出願人】
【識別番号】593049017
【氏名又は名称】セキ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品川 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】船木 優希
(72)【発明者】
【氏名】迫田 宏治
(72)【発明者】
【氏名】三浦 誠司
(72)【発明者】
【氏名】小田 直樹
【テーマコード(参考)】
3F079
【Fターム(参考)】
3F079AD01
3F079BA09
3F079CA23
3F079CB16
3F079CC05
3F079DA06
(57)【要約】
【課題】簡単な作業で種々の規格のボルトを選別可能にする。
【解決手段】部品移送装置は、正規ボルトRBと不良ボルトBBとの両方を、先端の向きがそろった状態で搬送する統括経路35と、統括経路35の下流端に設けられ、正規ボルトRBと不良ボルトBBとを選別する選別ゲージ70と、を備える。選別ゲージ70は、正規ボルトRB及び不良ボルトBBのうち一方のボルトが通過可能でありかつ、他方のボルトが通過不可な選別路を構成する一対のゲート部材74と、一対のゲート部材74の間の角度を、一方のボルトにおける先端の角度に対応する角度に調整可能な調整ネジ75を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正規ボルトと、該正規ボルトとは形状が異なる不良ボルトとを選別して移送するボルト選別移送装置であって、
前記正規ボルトと前記不良ボルトとの両方を、先端の向きがそろった状態で搬送する統括経路と、
前記統括経路の下流端に設けられ、前記正規ボルトと前記不良ボルトとを選別する選別ゲージと、を備え、
前記選別ゲージは、
前記正規ボルト及び前記不良ボルトのうち一方のボルトが通過可能でありかつ、他方のボルトが通過不可な選別路を構成する一対のゲート部材と、
前記一対のゲート部材の間の角度を、前記一方のボルトにおける先端の角度に対応する角度に調整可能な角度調整機構と、
を有することを特徴とするボルト選別移送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のボルト選別移送装置において、
前記選別ゲージは、ゲージ本体を更に備え、
前記各ゲート部材は、それぞれ板状の羽部材で構成されており、
前記角度調整機構は、前記各ゲート部材の各一端部を前記ゲージ本体に取付支持する取付部材により構成され、
前記取付部材の前記ゲージ本体に対する結合力を緩めたときに、前記各ゲート部材の各他端部が該取付部材を支点に回動可能になり、前記取付部材の前記ゲージ本体に対する結合力を高めたときに、前記各ゲート部材が、該各ゲート部材の間の角度が所望の角度になった状態で固定されることを特徴とするボルト選別移送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のボルト選別移送装置において、
前記統括経路は、前記一方のボルトが通る第1経路と、前記正規ボルト及び前記不良ボルトのうち他方のボルトが通る第2経路とに分岐しており、
前記第1経路は、前記選別路に連続して設けられ、
前記第2経路は、前記統括経路に対して、該統括経路の幅方向に傾斜して延びており、
前記選別ゲージは、前記第2経路に向かって広がりかつ前記他方のボルトを前記第2経路に案内するためのガイド面を更に有し、
前記各ゲート部材は、前記ガイド面に沿って配置されていることを特徴とするボルト選別移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、ボルト選別移送装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車の組立作業においては、鋼板等をプレス成形したワークに、ボルト等の接続部品を溶接することが行われている。このボルト等は部品供給装置により移送される。部品移送装置は、大量の部品を整列させて搬送するものが知られている(例えば、特許文献1)。大量の部品の中には不良品が含まれていることがあり、部品供給装置には、不良品と正規部品とを選別する機能が求められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、部品搬送面に正規部品のみが通過可能な通路断面形状の模範ゲートを設け、部品搬送面の模範ゲートを設けた箇所の部品搬送面を開閉自在な開閉底部材で形成し、開閉底部材を開閉させるアクチュエータを設けた部品移送装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献1の部品供給装置は、不良品が模範ゲート内で詰まったときに、該詰まりを光電センサで検出して、アクチュエータにより開閉底部材を開閉するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-2643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ボルトには先端形状の違いにより複数の規格がある。特許文献1では、1つの決まった模範ゲートを用いているため、異なる規格のボルトを選別及び搬送させるときには、ボルトの規格が変更される度に模範ゲートごと取り替える必要がある。模範ゲートは、正規部品が通過する一方で、不良品が詰まるように、搬送経路に対して正確に位置合わせをする必要があるため、作業が繁雑であり面倒である。
【0007】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ボルトの規格が変更されたとしても、簡単な作業で新たな規格のボルトの選別が可能なボルト選別移送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、ここに開示された技術の第1の態様は、正規ボルトと、該正規ボルトとは形状が異なる不良ボルトとを選別して移送するボルト選別移送装置を対象として、前記正規ボルトと前記不良ボルトとの両方を、先端の向きがそろった状態で搬送する統括経路と、前記統括経路の下流端に設けられ、前記正規ボルトと前記不良ボルトとを選別する選別ゲージと、を備え、前記選別ゲージは、前記正規ボルト及び前記不良ボルトのうち一方のボルトが通過可能でありかつ、他方のボルトが通過不可な選別路を構成する一対のゲート部材と、前記一対のゲート部材の間の角度を、前記一方のボルトにおける先端の角度に対応する角度に調整可能な角度調整機構とを有する、ことを特徴とする。
【0009】
ここに開示された技術の第2の態様は、第1の態様において、前記選別ゲージは、ゲージ本体を更に備え、前記各ゲート部材は、それぞれ板状の羽部材で構成されており、前記角度調整機構は、前記各ゲート部材の各一端部を前記ゲージ本体に取付支持する取付部材により構成され、前記取付部材の前記ゲージ本体に対する結合力を緩めたときに、前記各ゲート部材の各他端部が該取付部材を支点に回動可能になり、前記取付部材の前記ゲージ本体に対する結合力を高めたときに、前記各ゲート部材が、該各ゲート部材の間の角度が所望の角度になった状態で固定される、ことを特徴とする。
【0010】
ここに開示された技術の第3の態様は、第2の態様において、前記統括経路は、前記一方のボルトが通る第1経路と、前記正規ボルト及び前記不良ボルトのうち他方のボルトが通る第2経路とに分岐しており、前記第1経路は、前記選別路に連続して設けられ、前記第2経路は、前記統括経路に対して、該統括経路の幅方向に傾斜して延びており、前記選別ゲージは、前記第2経路に向かって広がりかつ前記他方のボルトを前記第2経路に案内するためのガイド面を更に有し、前記各ゲート部材は、前記ガイド面に沿って配置されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
ここに開示された技術の第1の態様によると、角度調整機構により、一対のゲート部材の間の角度を、正規ボルトや不良ボルトの先端形状に応じて変更することができる。例えば、一対のゲート部材の間の角度を、正規ボルトの先端形状に対応するように調整したときには、正規ボルトが通過可能でありかつ、不良ボルトが通過不可な選別路を構成することができる。また、正規ボルトの規格が、先端形状が異なる規格に変更されたときには、該変更後の正規ボルトの先端形状に応じて、一対のゲート部材の間の角度を変更すればよい。一方で、一対のゲート部材の間の角度を、不良ボルトの先端形状に対応するように調整したときには、不良ボルトが通過可能でありかつ、正規ボルトが通過不可な選別路を構成することができる。この場合、特に、正規ボルトよりも先端が尖った不良ボルトを取り除くことができる。したがって、正規ボルトの規格が変更されたとしても、選別ゲージを取り外すことなく、角度調整機構により一対のゲート部材の間の角度を変更すればよいため、簡単な作業で新たな規格のボルトの選別を可能にすることができる。
【0012】
ここに開示された技術の第2の態様によると、簡単な構成で種々のボルトに対応した選別路を形成することができる。このため、簡単な作業で種々のボルトの選別が可能になる。
【0013】
ここに開示された技術の第3の態様によると、正規ボルト又は不良ボルトのうちの一方のボルトは、搬送方向の力により選別路を通過する一方で、正規ボルト又は不良ボルトのうちの他方のボルトは、ゲート部材に当接した後、搬送方向の力によりガイド面に沿って自動的に第2通路に案内される。これにより、選別作業を一層容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態1に係るボルト選別移送装置を示す斜視図である。
図2図2は、ボルト選別移送装置を側方から見た図である。
図3図3は、ボルトを搬送路に案内するガイド板を示す正面図である。
図4図4は、選別ゲージの斜視図である。
図5図5は、選別ゲージを前側及び搬送方向の上流側からそれぞれ見た2面図である。
図6図6は、選別ゲージをガイド面に垂直な方向から見た図であり、ゲート部材及び調整ボルトを取り外した状態を示す。
図7図7は、ボルトの規格に応じて、ゲート部材同士の間の角度を変更した状態を示す図である。
図8図8は、選別ゲージにより部品が選別される様子を示す動作図であって、部品が統括経路を搬送されている状態を示す。
図9図9は、選別ゲージにより部品が選別される様子を示す動作図であって、正規部品が選別路に進入しかつ不良品がガイド面により排出経路に案内される状態を示す。
図10図10は、実施形態2に係る選別ゲージを前側及びガイド面に垂直な方向から見た2面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0016】
(実施形態1)
〈装置構成〉
図1図3は、ボルト選別移送装置1を示す。ボルト選別移送装置1は、基台5の上に固定された投入シュート2と、装置本体3と、基台5の側方に設けられたレール6と、不良品を回収するボックス7とを備える。投入シュート2には、ばらの状態の多数のボルトBが投入される。装置本体3は、投入シュート2に投入されたボルトBのヘッドの向きを統一した姿勢に変換させて、レール6に搬送する。レール6は、ボルトBをボルト移送装置(図示省略)までボルトBを搬送する。尚、以下の説明では、投入シュート2側を前側といい、装置本体3側を後側ということがある。また、前側から後側を見たときの右側を右側といい、左側を左側ということがある。
【0017】
投入シュート2は、上下に開口するホッパー筒部2aと、上面が開口する略半円形状の横断面形状を有する桶状のシュート部2bと、を有する。シュート部2bは、基台5の上面にブラケット5bにより固定されている。ホッパー筒部2aは、シュート部2bと一体になっている。ここで、基台5の上面は、後側に向かって下側に傾斜した傾斜面5aで構成されている。このため、シュート部2bは、傾斜面5aに沿って傾斜する姿勢となっている。シュート部2bの前部は、ホッパー筒部2aの下端の開口に連通している。この開口を通じて、ホッパー筒部2aに投入されたボルトBがシュート部2bに移動する。シュート部2bに移動したボルトBは、シュート部2bの傾斜に沿って後側に移動する。
【0018】
装置本体3は、傾斜面5aの低い位置(後側の位置)に固定されている。装置本体3は、面板20を備える。面板20は、シュート部2bの傾斜方向に直交して広がる矩形状をなす。面板20は、その前面が投入シュート2の側(前側)を向き且つ斜め上向きに傾斜して配置される。面板20の前面の下部には、シュート部2bの先端部(後端部)が接続される。これにより、図1に示すように、面板20の前面側の下部に、面板20とシュート部2bとに囲まれたボルト溜まり部60が設けられる。ボルト溜まり部60には、複数のボルトBが無整列の状態で溜められる。
【0019】
装置本体3は、図2に示すように、複数の吸着手段40を備える。吸着手段40は、面板20の後側に設けられている。吸着手段40は、磁界を形成することで、ボルト溜まり部60に位置するボルトBのうち、面板20に近いボルトBを、面板20に吸着させる。
【0020】
吸着手段40は、図3に示すように、回転ヘッド41を有する。回転ヘッド41は、磁界を形成するための一対の略円柱状の永久磁石43を有する。
【0021】
装置本体3は、回転駆動手段50を備える。回転駆動手段50は、図2に示すように、保持部51と、駆動部としてのモータ52と、を有する。保持部51は、面板20に直交する中心軸Xを中心に2つの板材を十字状に組んで構成されている。保持部51の4つの先端部には、吸着手段40がそれぞれ取り付けられている。モータ52は、回転軸が中心軸X上に延びるように、配置されている。モータ52の回転軸は、面板20の後面22側に設けられた支持板8を貫通する。モータ52の回転軸の前端部は、保持部51の中心位置に固定されている。
【0022】
モータ52は、保持部51を中心軸X回りに回転させる。これにより、吸着手段40は、中心軸X周りに回転移動する。このとき、吸着手段40における一対の永久磁石43の中点は、中心軸Xを中心とする特定円周線Pを通る回転軌跡を描く。すなわち、回転駆動手段50の保持部51は、特定円周線P上で、吸着手段40を、保持する。また、回転駆動手段50のモータ52は、保持部51を中心軸X回りに回転させることで、吸着手段40を特定円周線Pに沿って回転移動させる。これにより、吸着手段40の磁界に引き寄せられて面板20に吸着されたボルトBは、面板20の前面の上部における所定位置まで回転移動する。
【0023】
本実施形態において、吸着手段40は、前側から見て反時計回りに回転する。ボルト溜まり部60は、特定円周線Pの下側部分に位置する。すなわち、吸着手段40は、ボルト溜まり部60の後側を通る。具体的には、吸着手段40は、ボルト溜まり部60に対して面板20を挟んで後側を通る。これにより、ボルト溜まり部60に溜められたボルトBは、面板20を介して、吸着手段40によって吸着される。
【0024】
装置本体3は、ガイド板30を有する。ガイド板30は、面板20と同様の矩形状をなす。ガイド板30は、面板20の前面に重ね合わされており、面板20に対して固定される。吸着手段40によって面板20の前面に吸着したボルトBは、吸着手段40の回転移動に伴い、該吸着手段に引き寄せされて面板20の前面を移動する。ガイド板30の厚みは、ボルトBの長さよりも小さい。
【0025】
図3に示すように、ガイド板30の中央付近には、板厚方向に貫通する開口部33が設けられる。開口部33の開口縁部33aの下部は、シュート部2bの横断面形状に対応した略円弧状になっている。開口縁部33aは、前記特定円周線Pよりも外側に位置する。開口縁部33aは、吸着手段40により吸着されたボルトBを後述の搬送経路34に案内するガイドの役割を果たす。
【0026】
ガイド板30の開口部33の左側には、ボルトBをレール6に搬送するための搬送経路34が設けられている。搬送経路34は、全てのボルトBが通る統括経路35を有する。統括経路35は、前側が開口した溝状をなしている。統括経路35の溝の底部は面板20により形成されている。つまり、統括経路35は、ガイド板30と面板20とが協働して形成されている。図示は省略するが、統括経路35の後側の半部(面板20側の部分)は、ボルトBのヘッドが通る程度の幅になっている一方で、統括経路35の前側の半部は、ボルトBのヘッドよりは狭くかつボルトBの軸部よりは広い幅になっている。統括経路35は、上流端に開口縁部33aに開口する投入口35aを有する。投入口35aには、吸着手段40に引き寄せられて搬送されたボルトBが投入される。投入口35aも、前述したような溝形状をなしているため、投入口35aから投入されるボルトBは、ヘッドが後側(面板20側)に位置し、軸部が前側に位置する姿勢になる。ガイド板30の厚みがボルトBの長さよりも小さいため、統括経路35に進入したボルトBは、軸部の先端側の部分が統括経路35から前側に突出した状態となる。尚、統括経路35を通る全てのボルトBは、所定の形状基準を満たす正規ボルトRBと、該形状基準を満たさない不良ボルトBBとを含む。
【0027】
統括経路35における投入口35aの近傍部分は、開口縁部33aの接線方向に沿って延びている。統括経路35は、投入口35aから左側に向かって下側に湾曲して延びた後、下側に向かって真っ直ぐに延びている。つまり、統括経路35の一部は、搬送方向が上下方向となるように形成されている。
【0028】
統括経路35の下流端は、正規搬送経路36と、排出経路37とに分岐している。正規搬送経路36は、正規ボルトRBが搬送される経路である。排出経路37は、不良ボルトBBを排出するための経路である。正規搬送経路36及び排出経路37は、統括経路35と同様に、前側が開口された溝状をなしている。正規搬送経路36及び排出経路37の溝の底部も、統括経路35と同様に、面板20によりそれぞれ形成されている。つまり、正規搬送経路36及び排出経路37も、ガイド板30と面板20とが協働して形成されている。正規搬送経路36及び排出経路37は、統括経路35と同様に、後側の部分は、ボルトBのヘッドが通る程度の幅になっている一方で、前側の部分は、ボルトBのヘッドよりは狭くかつボルトBの軸部よりは広い幅になっている。また、ガイド板30の厚みがボルトBの長さよりも小さいため、正規搬送経路36を通る正規ボルトRB及び排出経路37を通る不良ボルトBBは、各軸部の先端側の部分が正規搬送経路36及び排出経路37から前側に突出した状態となる。
【0029】
正規搬送経路36は、統括経路35の下流端に連続して、下側に向かって真っ直ぐに延びている。正規搬送経路36の下流端は、ガイド板30の下端部に開口している。
【0030】
排出経路37は、正規搬送経路36から離れるように、統括経路35の溝幅方向に傾斜して延びている。具体的には、排出経路37は、下側に向かって左側に傾斜して延びている。排出経路37の下流端は、ガイド板30の側端、より詳しくは、左側側端部に開口した排出口37aとなっている。
【0031】
正規搬送経路36と排出経路37との分岐部分、すなわち、統括経路35の下流端には、正規ボルトRBと不良ボルトBBとを選別する選別ゲージ70が設けられている。選別ゲージ70の構成については後述する。
【0032】
レール6は、正規搬送経路36における下流端の開口の下側に位置している。レール6の溝幅は、正規ボルトRBの軸部より大きくかつヘッドよりも小さい幅に設定されている。正規搬送経路36を通って、レール6に落下した正規ボルトRBは、ヘッドがレール6の上面部に引っ掛かって、引っ掛かったヘッドを支点に軸部が溝に入るように回転する。これにより、レール6に正規ボルトRBがセットされる。レール6にセットされた正規ボルトRBは、レール6に沿って部品移送装置に搬送される。
【0033】
ボックス7は、排出経路37を通って、排出口37aから排出された不良ボルトBBが投入される。排出口37aから排出された不良ボルトBBは、排出経路37の延長線に沿って、レール6の上側を通って、ボックス7に投入される。ボックス7は、基台5に対して取外可能に構成されている。
【0034】
〈選別ゲージ〉
次に、選別ゲージ70の構成について詳細に説明する。尚、以下の説明における、前後、上下、及び左右方向は、選別ゲージ70が前述したボルト選別移送装置1に取り付けられた場合の前後、上下、及び左右方向であり、選別ゲージ70の取り付け方を限定するものではない。
【0035】
図4及び図5に示すように、選別ゲージ70は、金属製のブロック体を加工して構成されている。選別ゲージ70は、ゲージ本体71と、ゲージ本体71を貫通して形成された貫通路72と、ゲージ本体71の外周面の一部に形成されたガイド面73とを有する。選別ゲージ70は、図3に示すように、統括経路35の下流端に配置されている。
【0036】
ゲージ本体71は、図5に示すように、正面視で台形状をなす。ゲージ本体71は、貫通路72の一部を構成する一対の脚部71aを有する。左側の脚部71aの上面は、ガイド面73の一部を構成する。左側の脚部71aの後面は、図8に示すように、ガイド板30の前面に着脱可能に固定される。右側の脚部71aは、左側の脚部71aと比較して長い。右側の脚部71aは、詳細な図示は省略するが、ガイド板30に設けられた凹部に挿入される。該凹部に挿入された状態で、右側の脚部71aの左側の面(貫通路72を形成する部分)は、統括経路35の右前側の面及び正規搬送経路36の右前側の面と面一になる。これにより、排出経路37の分岐部分以外は、統括経路35、貫通路72、及び正規搬送経路36が連続した状態となる。右側の脚部71aもガイド板30に着脱可能に固定される。
【0037】
貫通路72は、ゲージ本体71全体を貫通して(ここでは、上下方向に貫通して)形成されている。貫通路72の上流端には、正規ボルトRBが通過可能でありかつ、不良ボルトBBが通過不可な選別路72aを構成する一対のゲート部材74が設けられている。一対のゲート部材74は、それぞれ板状の羽部材で構成されている。一対のゲート部材74は、調整ネジ75により、互いの前端部同士が重ねられた状態でゲージ本体71に取付支持されている。より詳しくは、一対のゲート部材74は、ガイド板30に固定された状態で、相対的に排出経路37に対して遠い方が上側(統括経路35における上流側)になり、相対的に排出経路37に近い方が下側(統括経路35における下流側)になるように、重ねられている。一対のゲート部材74は、ガイド面73に沿うようにゲージ本体71に取付支持されている。調整ネジ75は、各ゲート部材74の各一端部(ここでは各前端部)をゲージ本体71に取付支持する取付部材を構成する。
【0038】
一対のゲート部材74は、互いの間の角度を調整可能に構成されている。具体的には、調整ネジ75のゲージ本体71に対する締結力を緩めると、各ゲート部材74が調整ネジ75を支点に回動可能な状態になる。調整ネジ75を緩めた状態で、各ゲート部材74の間の角度を所望の角度に調整した後、調整ネジ75のゲージ本体71に対する締結力を再び高めると、該角度が所望の角度になった状態で固定される。これにより、ゲート部材74の間の角度を、正規ボルトRBにおける先端の角度に対応する角度に調整することができる。より詳しくは、図5に示すように、各ゲート部材74を統括経路35の上流側から搬送方向に沿って見たときの各ゲート部材74の間の角度α(以下、単にゲート部材74の角度αということがある)を、正規ボルトRBにおける先端の角度に対応する角度に調整することができる。このことから、調整ネジ75は、角度調整機構を構成する。
【0039】
ゲージ本体71のガイド面73の部分には、図6に示すように、調整ネジ75が締結される複数(ここでは3つ)のネジ穴73aが設けられている。調整ネジ75を締結させるネジ穴73aを変更することで、ゲート部材74のガイド板30に対する高さ位置を調整することができる。これにより、ボルトBの長さの違いを利用した選別も可能になる。
【0040】
図7は、正規ボルトRBの形状に応じて、ゲート部材74の角度α及び統括経路35に対する高さ位置を変更したものを例示する。例えば、図7(a)に示すように、先端尖りのボルトを正規ボルトRBとするときには、ゲート部材74の角度αを比較的小さくするとともに、統括経路35に対する高さ位置を比較的高くする。これにより、例えば、図7(b)に示すような通常の先端平型のボルトはゲート部材74と当接して、選別路72aを通過できないようになる。一方で、図7(b)に示すように、先端平型のボルトを正規ボルトRBとするときには、ゲート部材74の角度αを比較的大きくするとともに、統括経路35に対する高さ位置を比較的低くする。これにより、図7(a)に示すような先端尖りのボルトは、先端部がゲート部材74と当接するため、選別路72aを通過できないようになる。
【0041】
ガイド面73は、ゲージ本体71における貫通路72の上流端の位置に形成されている。図8及び図9に示すように、ガイド面73は、排出経路37に向かって広がるように配設されている。より具体的には、ガイド面73は、排出経路37の下前側の溝壁と連続するように配設されている。特に、排出経路37の前側に位置するガイド面73は、排出経路37の下前側の溝壁と面一になるように配設されている。ガイド面73は、統括経路35の溝幅方向全体に亘って配設されている。ガイド面73が前述のように配置されることで、図8及び図9に示すように、ゲート部材74も、排出経路37に向かって広がるようになる。これにより、ゲート部材74の上側の面がガイド面73のように、不良ボルトBBを排出経路37に案内する機能を有するようになる。
【0042】
次に、選別ゲージ70による正規ボルトRBと不良ボルトBBとの選別について説明する。ここでは、先端尖り形状のボルトを正規ボルトRBと仮定して、先端平型のボルトを不良ボルトBBと仮定している。一対のゲート部材74は、角度αが正規ボルトRBに対応する角度に調整されている。
【0043】
まず、図8に示すように、正規ボルトRBと不良ボルトBBとが統括経路35を流れてくる。このとき、正規ボルトRB及び不良ボルトBBは、先端部が統括経路35から突出した状態になっている。正規ボルトRB及び不良ボルトBBは、重力により自然落下するように、統括経路35を移動する。
【0044】
次に、図9に示すように、正規ボルトRBと不良ボルトBBとが選別ゲージ70の位置に到達する。このとき、正規ボルトRBは、ゲート部材74により形成された選別路72aを通り抜けて貫通路72内に進入する。その後、正規搬送経路36に進入する。正規ボルトRBは、正規搬送経路36を通った後、レール6に入って搬送される。
【0045】
一方で、不良ボルトBBは、先端がゲート部材74に当接する。より具体的には、不良ボルトBBは、まず、排出経路37から遠い側のゲート部材74に当接する。ゲート部材74に当接することで、不良ボルトBBには横向きの力がかかる。これにより、不良ボルトBBは、ゲート部材74に沿って(すなわちガイド面73に沿って)左斜め下側に、排出経路37に向かって案内される。次に、不良ボルトBBは、排出経路37に近い側のゲート部材74に当接する。ここでも、不良ボルトBBは、ゲート部材74に沿って排出経路37に向かって案内される。その後、不良ボルトBBは、ガイド面73と当接して、ガイド面73に沿って排出経路37に向かって案内される。そして、不良ボルトBBは、排出経路37に進入した後は、重力により排出経路37に沿って進み、排出口37aから排出される。不良ボルトBBは、排出口37aから排出された後、ボックス7に入る。
【0046】
以上のように、ボルト溜まり部60から統括経路35に投入されたボルトBは、搬送経路34を移動する力を利用して、選別ゲージ70により正規ボルトRBと不良ボルトBBとに選別される。
【0047】
尚、先端平型のボルトを正規ボルトRBとするときには、図7(b)に示すようにゲート部材74の角度α及び高さ位置を調整すれば、先端尖り形状のボルトを不良ボルトBBとして排出することができる。
【0048】
〈まとめ〉
したがって、本実施形態1によると、正規ボルトRBと不良ボルトBBとの両方を、先端の向きがそろった状態で搬送する統括経路35と、統括経路35の下流端に設けられ、正規ボルトRBと不良ボルトBBとを選別する選別ゲージ70と、を備える。選別ゲージ70は、正規ボルトRBが通過可能でありかつ、不良ボルトBBが通過不可な選別路72aを構成する一対のゲート部材74と、一対のゲート部材74の間の角度を、正規ボルトRBにおける先端の角度に対応する角度に調整可能な調整ネジ75と、を有する。これにより、一対のゲート部材74の角度αを、正規ボルトRBの先端形状に応じて変更することができる。正規ボルトRBの規格が、先端形状が異なる規格に変更されたときには、該変更後の正規ボルトRBの先端形状に応じて、一対のゲート部材74の角度αを変更すればよい。したがって、正規ボルトRBの規格が変更されたとしても、選別ゲージ70をガイド板30から取り外すことなく、一対のゲート部材74の角度αを変更すればよいため、簡単な作業で新たな規格のボルトの選別を可能にすることができる。
【0049】
特に、本実施形態1では、選別ゲージ70は、ゲージ本体71を備え、各ゲート部材74は、それぞれ板状の羽部材で構成されており、調整ネジ75のゲージ本体71に対する締結力を緩めたときに、各ゲート部材74の各他端部が調整ネジ75を支点に回動可能になり、調整ネジ75のゲージ本体71に対する締結力を高めたときに、各ゲート部材74が、該各ゲート部材74の角度αが所望の角度になった状態で固定される。これにより、簡単な構成で種々のボルトに対応した選別路72aを形成することができるため、簡単な作業で新たな種々のボルトの選別が可能になる。
【0050】
また、本実施形態1では、統括経路35は、正規ボルトRBが通る正規搬送経路36と、不良ボルトBBが通る排出経路37とに分岐しており、正規搬送経路36は、選別路72aに連続して設けられ、排出経路37は、統括経路35に対して、該統括経路35の幅方向に傾斜して延びており、選別ゲージ70は、排出経路37に向かって広がりかつ不良ボルトBBを排出経路37に案内するためのガイド面73を更に有し、各ゲート部材74は、ガイド面73に沿って配置されている。これにより、正規ボルトRBは、搬送方向の力により選別路72aを通過する一方で、不良ボルトBBは、ゲート部材74に当接した後、搬送方向の力によりガイド面73に沿って自動的に排出経路37に案内される。これにより、選別作業を一層容易にすることができる。
【0051】
特に、本実施形態1では、一対のゲート部材74のうち排出経路37から遠い側のゲート部材74が、相対的に統括経路35の上流側に位置する。これにより、不良ボルトBBが排出経路37に向かって移動する際に、不良ボルトBBがゲート部材74に引っ掛かって、ゲート部材74により不良ボルトBBがせき止められることが抑制される。これにより、不良ボルトBBが排出経路37にスムーズに流れるようになる。この結果、選別作業をより容易にすることができる。
【0052】
また、本実施形態1では、ゲージ本体71に複数のネジ穴73aが設けられており、調整ネジ75を締結させるネジ穴73aを変更することで、ゲート部材74のガイド板30に対する高さ位置を調整できるように構成されている。これにより、ボルトBの長さの違いを利用した選別も可能になるため選別精度を向上させることができる。
【0053】
(実施形態2)
以下、実施形態2について詳細に説明する。以下の説明において実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0054】
本実施形態2では、ガイド面73に、ゲート部材274の角度を設定する際の補助となる複数の突起部276が設けられている点で、前述の実施形態1とは異なる。また、各ゲート部材274には、突起部276と係合する係合孔274aがそれぞれ設けられている。各ゲート部材274の係合孔274aを突起部276に係合させると、ゲート部材274の角度が特定の角度に設定される。そして、この状態で、調整ネジ75を締めれば、ゲート部材274の間の角度を特定の角度に固定することができる。このことから、突起部276は、角度調整機構の一部を構成する。
【0055】
突起部276は、代表的なボルトの先端形状に合わせて位置決めされており、各ゲート部材274の係合孔274aと突起部276とを利用することで、ゲート部材274の角度を容易に設定することができる。これにより、より簡単な作業で種々の規格のボルトの選別を可能にすることができようになる。
【0056】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0057】
例えば、前述の実施形態1及び2では、正規搬送経路36は統括経路35に連続して形成され、選別路72aは、正規ボルトRBが通過可能になっていた。これに限らず、排出経路37を統括経路35に連続して形成し、選別路72aを不良ボルトBBが通過可能な構成にしてもよい。この場合、正規搬送経路36は、統括経路35の幅方向に傾斜して、排出経路37から離れるように延びる。また、排出口37aは、ガイド板30の下面に開口し、ボックス7は該排出口37aの直下に配置される。さらに、レール6は、ガイド板30の左側側面部から投入される正規ボルトRBを受け止め可能に配設される。そして、正規ボルトRBは、ゲート部材74,274及びガイド面73に案内されて正規搬送経路36に向かって移動する。
【0058】
また、前述の実施形態1及び2では、選別ゲージ70のみによりボルトBの選別をしていた。これに限らず、例えば、投入口35aにボルトBの長さに応じて、ボルトBを選別するゲージを別途設けてもよい。
【0059】
また、前述の実施形態1及び2では、ゲート部材74は板状の羽部材で構成されていた。これに限らず、例えば、貫通路72に設けられるブロック体で構成されていてもよい。この場合、例えば、ゲート部材74のそれぞれにギヤと取り付け各ギヤを互いに反対方向に回転させるようにすれば、ゲート部材74同士の角度を調整可能である。
【0060】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
ここに開示された技術は、正規部品と、正規部品とは形状が異なる不良品とを選別して移送する部品移送装置として有用である。
【符号の説明】
【0062】
1 ボルト選別移送装置
35 統括経路
36 正規搬送経路(第1経路)
37 排出経路(第2経路)
70 選別ゲージ
71 ゲージ本体
73 ガイド面
74 ゲート部材
75 調整ネジ(角度調整機構)
274 ゲート部材
276 突起部(角度調整機構)
B ボルト(部品)
RB 正規ボルト(正規部品)
BB 不良ボルト(不良品)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10