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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091278
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】判別システムおよび判別方法
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20220614BHJP
   B09B 5/00 20060101ALI20220614BHJP
   G01N 21/95 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B07C5/342
B09B5/00 C ZAB
G01N21/95 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204017
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000241485
【氏名又は名称】豊田通商株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(74)【代理人】
【識別番号】100157277
【弁理士】
【氏名又は名称】板倉 幸恵
(74)【代理人】
【識別番号】100182718
【弁理士】
【氏名又は名称】木崎 誠司
(72)【発明者】
【氏名】北山 功志郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 勇気
(72)【発明者】
【氏名】八百川 盾
(72)【発明者】
【氏名】森 広行
(72)【発明者】
【氏名】伊東 享祐
【テーマコード(参考)】
2G051
3F079
4D004
【Fターム(参考)】
2G051AA37
2G051AA51
2G051AA61
2G051AA90
2G051BA01
2G051CA04
2G051CB01
2G051EA11
2G051EA12
2G051EA16
2G051EA17
2G051EA25
2G051EB01
2G051EC03
2G051GC04
3F079AB01
3F079AD00
3F079AD17
3F079CA05
3F079CA23
3F079CA32
3F079CB25
3F079CB29
3F079DA12
4D004AA21
4D004AA24
4D004BA05
4D004CA08
4D004CB45
4D004CB50
4D004DA01
4D004DA04
4D004DA16
(57)【要約】
【課題】スクラップ屑等の混合物から安全かつ高い回収率で有害物を判別した上で、省人化を実現する。
【解決手段】判別システムは、アルミニウム合金を含む金属屑と、金属屑とは異なる特定物質とを含む判別対象群を搬送する搬送部と、搬送中の判別対象群の撮影画像を取得する撮影部と、撮影画像と、特定物質の色および形状に関する情報を用いた判別モデルとを用いて、搬送中の判別対象群から特定物質を判別する判別部と、判別された特定物質に対して、予め設定された投影画像を投影する投影部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
判別システムであって、
アルミニウム合金を含む金属屑と、前記金属屑とは異なる特定物質とを含む判別対象群を搬送する搬送部と、
搬送中の前記判別対象群の撮影画像を取得する撮影部と、
前記撮影画像と、前記特定物質の色および形状に関する情報を用いた判別モデルとを用いて、搬送中の前記判別対象群から前記特定物質を判別する判別部と、
判別された前記特定物質に対して、予め設定された投影画像を投影する投影部と、
を備える、判別システム。
【請求項2】
請求項1に記載の判別システムであって、
前記特定物質は、プリント基板を含み、
前記搬送部は、少なくとも前記撮影部による撮影範囲の表面が、暗色とされたベルトを有するベルトコンベヤである、判別システム。
【請求項3】
請求項2に記載の判別システムであって、
前記搬送部の前記ベルトには、さらに、少なくとも前記投影部による投影範囲内に、蛍光色の直線であって搬送方向に沿って延びる直線が形成されている、判別システム。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の判別システムであって、
前記投影部は、前記投影画像としての白抜きの画像を投影することで、前記特定物質を強調する、判別システム。
【請求項5】
請求項1に記載の判別システムであって、
前記搬送部は、少なくとも前記撮影部による撮影範囲内が、光を透過可能な材料により形成されたベルトを有するベルトコンベヤであり、
前記撮影部は、
前記判別対象群の上側から前記判別対象群を撮影する上方カメラと、
前記ベルトを介して、前記判別対象群の下側から前記判別対象群を撮影する下方カメラと、を有する、判別システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の判別システムであって、さらに、
前記撮影部による撮影範囲内を照らす照明部を備える、判別システム。
【請求項7】
請求項6に記載の判別システムであって、
前記照明部は、前記搬送部の搬送方向を挟んで、少なくとも2台配置されている、判別システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の判別システムであって、さらに、
前記特定物質が判別された場合に、警告音を発生させる音声出力部を備える、判別システム。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の判別システムであって、
前記投影部は、複数の前記特定物質を含む範囲に前記投影画像を投影可能である、判別システム。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の判別システムであって、さらに、
前記金属屑の画像と前記特定物質との画像を用いて深層学習を行うことにより前記判別モデルを学習する学習部を備える、判別システム。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の判別システムであって、
前記投影部は、前記判別部により前記特定物質が判別された時から前記投影画像を投影するまでの間に、前記投影画像の搬送方向に沿った投影位置を調整する、判別システム。
【請求項12】
判別方法であって、
アルミニウム合金を含む金属屑と、前記金属屑とは異なる特定物質とを含む判別対象群を搬送する搬送工程と、
搬送中の前記判別対象群の撮影画像を取得する撮影工程と、
前記撮影画像と、前記特定物質の色および形状に関する情報を用いた判別モデルとを用いて、搬送中の前記判別対象群から前記特定物質を判別する判別工程と、
判別された前記特定物質に対して、予め設定された投影画像を投影する投影工程と、
を備える、判別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、判別システムおよび判別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スクラップ屑からアルミ合金等の金属をリサイクルするために、これらの金属である有価物と、有害物とを判別する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された方法では、スクラップ屑にレーザ光を照射し、レーザ光の反射率データを用いて有価物を選別している。特許文献2に記載された装置では、ベルトにより搬送されているプラスチック材を昇温させることにより、材質によって異なる温度上昇を利用して有価物を識別している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許6635423号公報
【特許文献2】特許3961205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、全てのスクラップ屑にレーザ光を照射する必要があるため、スクラップ屑が間隔を空けて一列に整列している必要があり、選別に時間を要する。また、スクラップ屑に含まれるプリント基板(PCB)にレーザが当たると誤判断が生じるおそれがある。さらには、スクラップ屑に含まれる可燃物やエアバッグに含まれる火薬に対してレーザ光が照射されるのは、安全性の観点から好ましくない。また、特許文献1に記載された技術では、規格外の形状のスクラップ屑が混入していると選別できない。
【0005】
特許文献2に記載された技術では、熱伝導率が異なる樹脂同士を識別することはできるが、金属、有機物、および有害物が混ざったスクラップ屑から有害物を選択的に識別することは難しい。また、特許文献1の技術と同じように、スクラップ屑には火薬等が含まれる可能性があるため、スクラップ屑を加熱することは好ましくない。また、特許文献2に記載された技術では、識別時に、温度データを表すサーモグラフィを作業者が確認する必要があるため、十分な省人化を実現できていない。さらに、温度データは、室温等の影響を受けるため、識別対象や識別環境が限定される。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、スクラップ屑等の混合物から安全かつ高い回収率で有害物を判別した上で、省人化を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現できる。
【0008】
(1)本発明の一形態によれば、判別システムが提供される。この判別システムは、アルミニウム合金を含む金属屑と、前記金属屑とは異なる特定物質とを含む判別対象群を搬送する搬送部と、搬送中の前記判別対象群の撮影画像を取得する撮影部と、前記撮影画像と、前記特定物質の色および形状に関する情報を用いた判別モデルとを用いて、搬送中の前記判別対象群から前記特定物質を判別する判別部と、判別された前記特定物質に対して、予め設定された投影画像を投影する投影部と、を備える。
【0009】
本構成によれば、従来特定物質を判別していた作業者の代わりに、判別システムが判別対象群から特定物質を判別する。すなわち、特定物質の判別が自動化されているため、特定物質の判別処理を省力化および省人化できる。また、判別部は、判別対象群に対するレーザ光の照射や判別対象群への昇温処理などを行わずに、撮影画像と判別モデルとを用いて自動で特定物質を判別するため、プリント基板や火薬物などの有害物を含むスクラップ屑等の混合物から、安全に特定物質(有害物)を判別できる。さらに、判別部は、特定物質の色および形状に関する情報を用いた判別モデルによって特定物質(有害物)を判別するため、判別対象群に含まれる特定物質の含有率が10wt%以下と低い場合においても特定物質の回収漏れを効果的に抑制し、高い回収率を実現できる。さらに、投影部は、判別された特定物質が目立つように投影画像を投影するため、特定物質の選別回収を容易にできる。
【0010】
(2)上記態様の判別システムにおいて、前記特定物質は、プリント基板を含み、前記搬送部は、少なくとも前記撮影部による撮影範囲の表面が、暗色とされたベルトを有するベルトコンベヤであってもよい。
特定物質に含まれるプリント基板の色は緑などが多い。そのため、本構成によれば、暗色のベルトに対する特定物質のコントラスト比が高くなり、かつ、ベルトに付着する汚れに対する影響も抑制できる。これにより、撮影画像を用いた判別部による判別率が向上し、本構成の判別システムは、特定物質の回収漏れをより抑制できる。
【0011】
(3)上記態様の判別システムにおいて、前記搬送部の前記ベルトには、さらに、少なくとも前記投影部による投影範囲内に、蛍光色の直線であって搬送方向に沿って延びる直線が形成されていてもよい。
この構成によれば、搬送部上に判定対象群が配置されていると、搬送方向に沿って延びる直線が判定対象群に遮られる。判別部は、撮影画像中の直線を認識することにより、搬送中の判定対象群の位置および形状をより詳しく認識できる。そのため、本構成の判別システムでは、判別部による特定物質の見逃しをより抑制できる。
【0012】
(4)上記態様の判別システムにおいて、前記投影部は、前記投影画像としての白抜きの画像を投影することで、前記特定物質を強調してもよい。
投影部により投影される白抜きの画像は、暗色のベルトに対するコントラスト比が高いため、搬送中に回収される特定物質をより目立たせる。これにより、本構成の判別システムでは、特定物質PCBの回収漏れをより抑制できる。
【0013】
(5)上記態様の判別システムにおいて、前記搬送部は、少なくとも前記撮影部による撮影範囲内が、光を透過可能な材料により形成されたベルトを有するベルトコンベヤであり、前記撮影部は、前記判別対象群の上側から前記判別対象群を撮影する上方カメラと、前記ベルトを介して、前記判別対象群の下側から前記判別対象群を撮影する下方カメラと、を有してもよい。
本構成の判別システムでは、下方カメラが、上方カメラの死角である判別対象群が搬送部に接している側を撮影できる。これにより、上方カメラでは撮影できない範囲に特定物質が存在していても、判別部は、下方カメラの撮影画像を用いることにより、特定物質をより正確に判別できる。
【0014】
(6)上記態様の判別システムにおいて、さらに、前記撮影部による撮影範囲内を照らす照明部を備えていてもよい。
この構成によれば、照明部により撮影範囲が照らされることにより、撮影画像中の判別対象群がより明確に写る。これにより、撮影画像を用いる判別部による判別処理の精度が向上する。
【0015】
(7)上記態様の判別システムにおいて、前記照明部は、前記搬送部の搬送方向およびベルトを挟んで、少なくとも2台配置されていてもよい。
この構成によれば、照明部は、ベルトコンベアの搬送方向を挟んで2台が配置されている。ベルトコンベアの搬送中の判別対象群が両側から照らされることにより、撮影画像内における明暗のムラや影の発生を抑制できる。これにより、判別システムは、判別処理の精度をさらに向上させることができる。
【0016】
(8)上記態様の判別システムにおいて、さらに、前記特定物質が判別された場合に、警告音を発生させる音声出力部を備えていてもよい。
この構成によれば、特定物質の判別時に、投影画像の投影に加えて、音声出力部により音声が出力される。そのため、判別された特定物質を回収する作業者は、常に搬送中の判別対象群を視認し続けている必要はなく、警告音が発生した時のみ回収作業をすればよい。この結果、本構成の判別システムを用いることにより、作業者の自由度が向上し、より省力化および省人化を実現できる。
【0017】
(9)上記態様の判別システムにおいて、前記投影部は、複数の前記特定物質を含む範囲に前記投影画像を投影可能であってもよい。
本構成によれば、1つの特定物質のみにしか投影画像を投影できない場合と比較して、投影部は、投影画像を投影可能な範囲に複数の特定物質が搬送されても、各特定物質に投影画像を投影できる。これにより、本構成の判別システムを用いることにより、投影画像に基づいて特定物質の回収を行う作業者の回収漏れをより抑制できる。
【0018】
(10)上記態様の判別システムにおいて、さらに、前記金属屑の画像と前記特定物質との画像を用いて深層学習を行うことにより前記判別モデルを学習する学習部を備えていてもよい。
本構成によれば、学習部は、判別部が判別に用いる判別モデルを深層学習によって学習することにより、より判別率を向上させる判別モデルを作成できる。この結果、本構成の判別システムは、判別部による特定物質の見逃しをより抑制できる。
【0019】
(11)上記態様の判別システムにおいて、前記投影部は、前記判別部により前記特定物質が判別された時から前記投影画像を投影するまでの間に、前記投影画像の搬送方向に沿った投影位置を調整してもよい。
本構成の投影部は、判別部による判別処理に要する時間と、投影画像が特定物質に投影されるまでに要する時間との差を調整することにより、搬送により位置が常に変化する特定物質に追従してより正確な位置に投影画像を投影できる。この結果、特定物質を回収する作業者が特定物質の位置を正確に認識でき、本構成の判別システムでは、特定物質の回収漏れをより抑制できる。
【0020】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、判別装置、識別装置、選別装置、およびこれらの装置を備えるシステム、判別システム、および判別方法方法、これら装置や方法を実行するためのコンピュータプログラム、このコンピュータプログラムを配布するためのサーバ装置、コンピュータプログラムを記憶した一時的でない記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態としての判別システムの概略図である。
図2】ベルトコンベアに対する照明部の位置についての説明図である。
図3】第1実施形態の判別方法のフローチャートである。
図4】ベルトの表面色と判別率との関係についての説明図である。
図5】照明部が備える照明パネルの数と判別率との関係についての説明図である。
図6】第1実施形態の判別システムの効果についての説明図である。
図7】第2実施形態の判別システムの概略図である。
図8】プロジェクタおよびLEDアレイの投影手法の効果についての説明図である。
図9】変形例のベルトコンベアの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1実施形態>
図1は、本発明の実施形態としての判別システム100の概略図である。判別システム100は、ベルトコンベア(搬送部)10に投入されたスクラップ屑から、リサイクル可能なアルミニウム合金を含む金属屑と、プリント基板(PCB)や火薬等の有害物とを判別する。なお、有害物は「特定物質」に相当し、スクラップ屑は、金属屑と特定物質とを含む「判別対象群」に相当する。本実施形態の判別システム100は、後述の構成を有することにより、スクラップ屑等の判別対象群から、安全かつ高い回収率で特定物質(有害物)を判別し、かつ、省人化を実現できる。
【0023】
図1に示されるように、判別システム100は、判別対象群を搬送するベルトコンベア10と、搬送中の判別対象群の撮影画像を取得する撮影部30と、撮影部30の撮影範囲内を照らす照明部50と、撮影画像を用いてPCBや火薬等の特定物質を判別する判別装置20と、判別されたPCBや火薬等に対して予め設定された投影画像IM1を投影するプロジェクタ(投影部)40と、を備えている。
【0024】
図1では、照明部50により照らされておらず、かつ、プロジェクタ40により投影画像が投影されていない部分には、ハッチングが施されている。また、金属屑MTではない特定物質PCBには、目の細かいハッチングが施されている。ベルトコンベア10が有するベルト11は、図1中の白抜き矢印で示される搬送方向に沿って、判別対象群を搬送している。本実施形態のベルト11は、黒色の表面色を有する。すなわち、撮影部30による撮影範囲におけるベルトコンベア10の表面は黒色である。撮影部30は、照明部50により照らされた撮影範囲内を撮影する。
【0025】
図2は、ベルトコンベア10に対する照明部50の位置についての説明図である。図2に示されるように、ベルトコンベア10には、他のベルトコンベア110に投入された判別対象群が搬送されて供給される。照明部50は、4つの照明パネル51~54を備えている。照明パネル51,52と、照明パネル53,54とは、搬送方向およびベルト11を挟んで、搬送方向に沿って5cmの間隔を空けて並んで配置されている。各照明パネル51~54は、2180(Lx)/50(cm)である。撮影部30は、4つの照明パネル51~54により照らされている撮影範囲内の画像を取得する。
【0026】
プロジェクタ40は、搬送方向に沿って、撮影範囲よりも下流側の位置で、判別された特定物質に投影画像IM1を投影する。プロジェクタ40は、白抜きの画像である投影画像IM1を、特定物質PCBの全体を含むように投影する。本実施形態のプロジェクタ40は、投影画像IM1を投影可能な投影範囲内に複数の特定物質PCBが含まれる場合に、一枚の投影画像IM1で複数の特定物質PCBに対して各画像を投影できる。プロジェクタ40は、投影画像IM1である白抜きの画像以外の部分には、黒の画像を生成する。すなわち、プロジェクタ40は、複数の特定物質を含む範囲に投影画像IM1を投影できる。なお、図2では、ベルトコンベア10により搬送される判別対象群の図示が省略されている。図1で図示された撮影部30と、照明部50と、プロジェクタ40とは、説明のために簡略化したイメージ図であり、図2における各部の表示と異なっている。
【0027】
判別装置20は、有線により撮影部30およびプロジェクタ40に接続している。判別装置20は、パーソナルコンピュータ(PC)であり、CPU(Central Processing Unit)が、図示されていないROM(Read Only Memory)に格納されているプログラムをRAM(Random Access Memory)に展開することにより機能する。図1に示されるように、判別装置20は、各種画像を表示するモニタ26と記憶部25とを備える。記憶部25は、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)などで構成されている。記憶部25は、有線接続を介して撮影部30より取得された撮影画像を記憶する画像データベース(DB)251と、後述する学習部24により作成された判別モデルを記憶しているモデルデータベース(DB)252とを備えている。
【0028】
図1に示されるように、判別装置20が備えるCPUは、判別対象群を判別する判別部22と、判別に用いられる判別モデルを作成する学習部24と、プロジェクタ40を制御する投影制御部23としてのプログラムを実行する。学習部24は、予め判別済みである金属屑MTの画像と特定物質PCBと画像とを用いて、金属屑MTと特定物質PCBとついて予め深層学習を行って、特定物質PCBの色および形状に関する情報を用いた判別モデルを作成し、モデルDB252に記憶させる。判別部22は、撮影部30により取得された撮影画像と、判別モデルとを用いて、特定物質PCBを判別する。具体的には、判別部22は、撮影画像に写っている判別対象群に対して、判別モデルを用いて特定物質PCBを、処理速度1FPS(Flame Per Second)で特定する。
【0029】
投影制御部23は、判別部22により特定物質PCBと特定された対象に、プロジェクタ40を用いて投影画像IM1を投影する。本実施形態の投影制御部23が行う投影の処理速度は、およそ10~30FPSである。投影制御部23は、判別部22により特定物質PCBが判別された時から投影画像IM1を投影するまでの間に、投影画像IM1の搬送方向に沿った投影位置を調整する。本実施形態では、ベルトコンベア10の搬送速度は一定である。投影制御部23は、判別部22が特定物質PCBを判別した場合に、特定物質PCBが撮影された時間と、判別部22が判別に要した時間と、ベルトコンベア10の搬送速度とを用いて、投影画像IM1の搬送方向に沿った位置を調整する。また、投影制御部23は、撮影画像中の特定物質PCBの形状を認識することにより、搬送方向に直交する方向に沿った投影画像IM1の位置も調整する。投影画像IM1が投影された特定物質PCBが作業者によりベルトコンベア10から回収されることで、判別対象群から特定物質PCBからリサイクル可能な金属屑MTを集められる。なお、投影制御部23およびプロジェクタ40は、投影部に相当する。
【0030】
図3は、第1実施形態の判別方法のフローチャートである。図3に示される判別フローでは、初めに、ベルトコンベア10に金属屑MTと特定物質PCBとを含む判別対象群が、ベルトコンベア110(図2)を介して投入される(ステップS1)。撮影部30は、判別対象群が写っている撮影画像を取得する(ステップS2)。判別部22は、撮影画像と判別モデルとを用いて、搬送中の判別対象群から特定物質PCBを判別する(ステップS3)。投影制御部23は、プロジェクタ40を制御して、判別された搬送中の特定物質PCBに対して、予め設定された投影画像IM1を投影する(ステップS4)。投影画像IM1が投影された特定物質PCBは、作業者により回収される(ステップS5)。ベルトコンベア10に投入された判別対象群がまだ存在する場合には(ステップS6:NO)、ステップS2以降の処理が繰り返される。ベルトコンベア10に投入された判別対象群がもうない場合には(ステップS6:YES)、判別フローが終了する。
【0031】
図4は、ベルト11の表面色と判別率との関係についての説明図である。図4には、ベルト11の表面色を、黒(実施例)と、緑と、白との3種類に変化させた場合の、判別率と、コントラスト比と、評価結果を表す。判別率は、判別部22が特定物質PCBを特定できた割合(%)を表す値である。コントラスト比は、ベルト11の表面色に対する特定物質PCBのコントラスト比の平均値である。評価結果は、判別率に基づく、判別システム100の回収率の評価である。本評価では、判別率が100%のものを評価Aとし、判別率が100%未満90%以上のものと評価Bとし、判別率が90%未満のものを評価Cとした。判別システム100に投入された判別対象群は、市場で購入された「特定物質PCBが選別済み」とされているアルミニウムスクラップ屑350kgである。当該スクラップ屑を改めて確認したところ、350g(全体の0.1wt%)の特定物質PCBが含まれていた。
【0032】
図4に示されるように、本実施形態の判別システム100は、市場で購入されたスクラップ屑から、0.1wt%含まれる全ての特定物質PCBを判別して回収できた。なお、ベルト11が黒の場合のコントラスト比は、13.620であった。同じように、本実施形態の判別システム100のベルト11の表面色を緑と白とに変化させた場合、それぞれの判別率は92%,93%であり、それぞれのコントラスト比は2.115,0.666であった。以上のように、ベルト11の表面色が黒以外であっても、90%以上の特定物質PCBが回収された。評価結果は、ベルト11の表面色が黒の場合に最も優れたAであり、ベルト11の表面色が緑または白の場合はBであった。
【0033】
本実施形態では、コントラスト比を算出するために、特定物質PCBとベルト11とが写っている撮影画像を2値化し、特定物質PCBとベルト11とを分離した。その後、特定物質PCBの明度VPCBとして下記式(1)を用い、ベルト11の明度Vbeltとして、下記式(2)を用いて算出した。なお、RPCB,GPCB,BPCBは、特定物質PCBのRGBのそれぞれの平均値であり、Rbelt,Gbelt,Bbeltは、ベルト11のRGBのそれぞれの平均値である。
【数1】
【数2】
上記式(1),(2)を下記式(3)に用いることにより、コントラスト比Rを算出した。なお、上記コントラスト比Rの算出は、一例であり、周知の技術を適用できる。
【数3】
【0034】
図5は、照明部50が備える照明パネルの数と判別率との関係についての説明図である。図5に示されるように、照明パネル51~54を備える本実施形態の判別システム100は、市場で購入されたスクラップ屑から、0.1wt%含まれる全ての特定物質PCBを判別して回収できた。同じように、本実施形態の判別システム100の照明部50が備える照明パネルを2つの照明パネル51,53に減らした場合、判別率は94%であり、コントラスト比Rは6.042であった。また、判別システム100が照明部50を備えない場合、判別率は86%であり、コントラスト比Rは2.287であった。すなわち、判別システム100が照明部50を備えていなくても、85%以上の特定物質PCBが回収された。なお、図5の評価サンプルでは、ベルト11の表面色は全て黒である。評価結果は、4つの照明パネルを有する場合に最も優れたAであり、2つの照明パネルを有する場合には次に優れたBであり、照明パネルを有さない場合にCであった。
【0035】
図6は、第1実施形態の判別システム100の効果についての説明図である。図6には、本実施形態の判別システム100を用いた場合と、人の作業のみにより特定物質PCBを判別した場合(比較例(市場で購入されたスクラップ屑))との作業工数が示されている。図6に示されるように、ベルトコンベア10の搬送速度が2.5m/minの場合に、判別システム100を用いると、判別された特定物質PCBを回収するために1人の作業者が4時間の作業を行う必要がある。この場合に、回収後の判別対象群における特定物質PCBの含有率は0wt%である。一方で、比較例の判別では、搬送される判別対象群から特定物質PCBを判別するための作業と、判別された特定物質PCBを回収するための作業とで、合計2人で各8時間ずつの作業が必要になる。この場合に、回収後の判別対象群における特定物質PCBの含有率は0.1wt%であった。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の判別システム100では、撮影部30が、ベルトコンベア10により搬送中の判別対象群の撮影画像を取得する。判別部22は、撮影画像と、特定物質PCBの色および形状に関する情報を用いた判別モデルとを用いて、特定物質PCBを判別する。プロジェクタ40は、判別された特定物質PCBに対して、予め設定された投影画像IM1を投影する。本実施形態では、判別システム100が、従来特定物質PCBを判別していた作業者の代わりに、判別対象群から特定物質PCBを判別する。すなわち、特定物質PCBの判別が自動化されているため、図6の表に示されるように、特定物質PCBの判別処理を省力化および省人化できる。また、判別部22は、判別対象に対するレーザ光の照射や判別対象群への昇温処理などを行わずに、撮影画像と判別モデルとを用いて自動で特定物質PCBを判別するため、判別対象群に含まれる特定物質PCBの含有率が10wt%以下と低い場合の特定物質PCBの回収漏れを効果的に抑制し、高い回収率を実現できる。さらに、プロジェクタ40は、判別された特定物質PCBが目立つように投影画像IM1を投影するため、特定物質PCBの選別回収を容易にできる。
【0037】
また、本実施形態のベルトコンベア10が有するベルト11の表面は黒色である。特定物質PCBに含まれるプリント基板の色は緑が多い。そのため、図4の表に示されるように、黒のベルト11に対する特定物質PCBのコントラスト比Rが高くなり、かつ、ベルト11に付着する汚れに対する影響も抑制できる。これにより、撮影画像を用いた判別部22による判別率が向上し、本実施形態の判別システム100は、特定物質PCBの回収漏れをより抑制できる。
【0038】
また、本実施形態のプロジェクタ40は、判別された特定物質PCBに対して、白抜きの画像である投影画像IM1を投影する。白抜きの画像は、黒のベルト11に対するコントラスト比Rが高いため、搬送中に回収される特定物質PCBをより目立たせて強調させる。これにより、本実施形態の判別システム100では、作業者による特定物質PCBの回収漏れをより抑制できる。
【0039】
また、本実施形態の判別システム100は、撮影部30の撮影範囲を照らす照明部50を備えている。照明部50により撮影範囲が照らされることにより、撮影画像中の判別対象群がより明確に写る。これにより、撮影画像を用いる判別部22による判別処理の精度が向上する。さらに、照明部50は、ベルトコンベア10の搬送方向を挟んで2台以上が配置されている。ベルトコンベア10の搬送中の判別対象群が両側から照らされることにより、撮影画像内における明暗のムラや影の発生を抑制できる。これにより、判別システム100は、判別部22による判別処理の精度をさらに向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態のプロジェクタ40は、複数の特定物質を含む範囲に投影画像IM1を投影できる。そのため、本実施形態では、1つの判別対象のみしか投影画像を投影できない場合と比較して、プロジェクタ40は、投影画像を投影可能な範囲に複数の特定物質PCBが搬送されても、各特定物質PCBに投影画像IM1を投影できる。これにより、投影画像IM1に基づいて特定物質PCBの回収を行う作業者の回収漏れをより抑制できる。
【0041】
また、本実施形態の判別システム100は、予め判別済みである金属屑MTの画像と特定物質PCBと画像とを用いて、深層学習を行って特定物質PCBの色および形状に関する情報を用いた判別モデルを作成する学習部24を備える。学習部24は、判別部22が判別に用いる判別モデルを深層学習によって学習することにより、より判別率を向上させる判別モデルを作成できる。この結果、本実施形態の判別システム100は、判別部22による特定物質PCBの見逃しをより抑制できる。
【0042】
また、本実施形態の投影制御部23は、判別部22により特定物質PCBが判別された時からプロジェクタ40によって投影画像IM1が投影するまでの間に、投影画像IM1の搬送方向に沿った投影位置を調整する。本実施形態では、判別部22による判別処理に要する時間(1FPS)と、投影画像IM1が特定物質PCBに投影されるまでに要する時間(10~30FPS)とが異なる。投影制御部23は、この時間の差を調整することにより、搬送により位置が常に変化する特定物質PCBに追従してより正確な位置に投影画像IM1を投影できる。この結果、作業者が特定物質PCBの位置を正確に認識でき、本実施形態の判別システム100では、特定物質PCBの回収漏れをより抑制できる。
【0043】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の判別システム100aの概略図である。第2実施形態の判別システム100aは、第1実施形態の判別システム100と比較して、ベルトコンベア10aが備えるベルト11aが光透過型である点と、撮影部30aがベルト11aの上下から撮影している点と、音声出力部27を備える点と、プロジェクタ40の代わりにLEDアレイ(投影部)40aを備える点と、照明部50aを備えない点が異なり、他の構成等については第1実施形態の判別システム100と同じである。そのため、第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成等について説明し、同じ構成等についての説明を省略する。
【0044】
第2実施形態のベルト11aは、光を透過可能な透明な材料によって形成されている。図7に示されるように、撮影部30aは、判別対象群の上側から判別対象群を撮影する上方カメラ31と、判別対象群の下側であるベルト11aの裏側から判別対象群を撮影する下方カメラ32とを備えている。下方カメラ32により、撮影部30aは、判別対象群がベルト11aに対向している面側の撮影画像を取得できる。
【0045】
LEDアレイ40aは、第1実施形態のプロジェクタ40が投影画像IM1を投影する代わりに、判別された特定物質PCBに対して、ベルト11aの裏側から照らすLEDである。LEDアレイ40aは、照明範囲内に含まれる複数の特定物質PCBに対して一度の照明で各特定物質PCBを照らすことができる。音声出力部27は、判別部22により特定物質PCBが判別された場合に、警告音を発生させるスピーカである。すなわち、特定物質PCBが判別されると、LEDアレイ40aにより特定物質PCBが照らされ、かつ、音声出力部27により警告音が発生する。
【0046】
図8は、プロジェクタ40およびLEDアレイ40aの投影手法の効果についての説明図である。図8には、投影部の投影手法の違いによって、判別された複数の特定物質PCBに対して同時に投影可能か否かの評価結果が示されている。図8に示されるように、第1実施形態のプロジェクタ40による投影画像IM1の投影および第2実施形態のLEDアレイ40aによる投影では、複数の特定物質PCBに対する投影が可能である。一方で、搬送される特定物質PCBに追尾するライトに対して、投影部分を絞りによって制御した場合には、複数の特定物質PCBに対する投影が不可能である。
【0047】
以上説明したように、第2実施形態のベルト11aは、光を透過可能な透明な材料によって形成されている。撮影部30aは、判別対象群の上側から判別対象群を撮影する上方カメラ31と、判別対象群の下側であるベルト11aの裏側から判別対象群を撮影する下方カメラ32とを備えている。そのため、第2実施形態の判別システム100aでは、下方カメラ32が、上方カメラ31の死角である判別対象群がベルト11aに対向する側を撮影できる。これにより、上方カメラ31では撮影できない範囲に特定物質PCBが存在していても、判別部22は、下方カメラ32の撮影画像を用いることにより、特定物質PCBをより正確に判別できる。
【0048】
また、本実施形態の判別システム100aは、判別部22により特定物質PCBが判別された場合に、警告音を発生させる音声出力部27を備えている。そのため、判別された特定物質PCBを回収する作業者は、常に搬送中の判別対象群を視認し続けている必要はなく、警告音が発生した時のみ回収作業をすればよい。この結果、第2実施形態の判別システム100aを用いることにより、作業者の自由度が向上し、より省力化および省人化を実現できる。
【0049】
<上記実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0050】
[変形例1]
上記第1実施形態および第2実施形態の判別システム100,100aは一例であって、判別システム100,100aが備える構成および判別システム100,100aが行う制御等については、種々変形可能である。例えば、判別システム100は、照明部50および学習部24を備えていなくてもよい。照明部50は、4つの照明パネル51~54を備えておらず、1つの照明パネル51のみを備えていてもよいし、ベルトコンベア10の搬送方向およびベルト11を挟んで、2つの照明パネル51,53を備えていてもよい。第1実施形態では、4つの照明パネル51~54の具体的な性能および配置(パネル間の間隔)について一例を挙げたが、各照明パネル51~54の性能や配置については、撮影箇所を照らす範囲で変形可能である。また、投影部は、図8に示されるように絞りとライト追尾との構成を備え、1つの特定物質PCBのみにしか投影画像IM1を投影できなくてもよい。
【0051】
判別モデルは、学習部24の深層学習により作成されたモデルでなくてもよい。例えば、モデルDB252には、複数の特定物質PCBの三次元CADモデルが記憶されていて、判別部22は、撮影画像と、三次元CADモデルとを用いたパターンマッチングにより、特定物質PCBを判別してもよい。撮像画像と判別モデルとを用いた判別方法には、周知技術を適用できる。
【0052】
上記第1実施形態および第2実施形態では、ベルト11,11aの上側に配置されるカメラが1台であったが、カメラの配置台数および位置については変形可能である。例えば、第2実施形態の上方カメラ31が2台配置されて、それぞれの上方カメラ31が異なる角度から判別対象群を撮影してもよい。
【0053】
上記第2実施形態の音声出力部27は、スピーカに限られず、例えば、作業者の耳に装着されているイヤホンであってもよい。変形例では、音声出力部27の代わりに、作業者に対して光を照射する光照射部が、投影部による投影画像の筒底に加えて、作業者の注意を引くための光を照射してもよい。第1実施形態の投影制御部23は、判別処理に要する時間と、投影処理に要する時間とを用いて、投影画像IM1の投影位置を自動調整していたが、必ずしも調整する必要はない。投影制御部23は、予め設定された投影位置に対して、ベルトコンベア10の搬送速度に応じて決まるタイミングで投影画像IM1を投影してもよい。
【0054】
[変形例2]
上記第1実施形態のベルトコンベア10が有するベルト11の表面の色は、黒であったが、黒以外でもよく、例えば白であってもよい。ベルト11の表面は、黒色に近い暗色であることが好ましい。暗色としての色相および彩度は適宜決められればよいが、本実施形態の暗色とは、明度が相対的に低い黒色に近い色をいう。第1実施形態のプロジェクタ40が投影する投影画像IM1は、白抜き以外の画像であってもよい。プロジェクタ40は、ベルト11の表面の色および特定物質PCBの色に応じて、相対的にコントラスト比Rが高くなる色を選択してもよい。また、投影画像IM1の形状については、丸や三角であってもよいし、特定物質PCBの形状に合わせて異なる形状が選択されてもよい。
【0055】
ベルトコンベア10,10aは、1つのベルト11,11aで構成されずに、複数のベルトを備えていてもよい。例えば、ベルトコンベアは、撮影範囲では第2実施形態の光透過型のベルト11aを備え、プロジェクタ40による投影範囲では第1実施形態の黒色のベルト11を備えていてもよい。この場合に、第2実施形態の撮影部30aにより、判別対象群は、ベルト11aの表側と両側との両側から撮影され、判別された特定物質PCBには白抜きの投影画像IM1が投影されてもよい。
【0056】
第2実施形態の判別システム100aにおいて、上方カメラ31の撮影範囲は、下方カメラ32の撮影範囲よりも搬送方向に沿って上流側に位置していてもよい。この場合に、上方カメラ31の撮影範囲におけるベルト11aの裏側には黒色のメッシュ面が配置されていて、上方カメラ31は、黒色のメッシュ面に対する判別対象群を撮影できる。この変形例によれば、上方カメラ31の撮影画像では、メッシュ面に対する判別対象群のコントラスト比Rが高くなるため、判別部22による判別率が向上する。
【0057】
図9は、変形例のベルトコンベア10bの概略図である。図9に示されるベルトコンベア10bは、第1実施形態の黒色のベルト11の表面に、搬送方向に沿って延びる4本の蛍光色の直線LNが形成されたベルト11bを備えている。図9に示されるように、ベルト11b上に判定対象群が配置されていると、直線LNが判定対象群に遮られる。これにより、判別部は、撮影画像中の直線LNを認識することにより、ベルト11b上の判定対象群の位置および形状をより詳しく認識できる。そのため、変形例のベルトコンベア10bを用いた判別システムでは、判別部による特定物質PCBの見逃しをより抑制できる。なお、ベルト11b上に形成される直線LNは、蛍光色じゃなくてもよく、4本未満であってもよいし5本以上であってもよい。
【0058】
上記実施形態において、ハードウェアによって実現されるとした構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されるとした構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。上記実施形態における判別システム100とは、システムまたは装置を表す一名称であり、選別器、判別装置、および表示システムなどの名称であってもよい。
【0059】
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
【符号の説明】
【0060】
10,10a,10b…ベルトコンベア(搬送部)
110…ベルトコンベア
11,11a,11b…ベルト
20…判別装置
22…判別部
23…投影制御部(投影部)
24…学習部
25…記憶部
26…モニタ
27…音声出力部
30,30a…撮影部
31…上方カメラ
32…下方カメラ
40…プロジェクタ(投影部)
40a…LEDアレイ(投影部)
50,50a…照明部
51~54…照明パネル
100,100a…判別システム
251…画像DB
252…モデルDB
IM1…投影画像
LN…直線
MT…金属屑
PCB…特定物質
R…コントラスト比
PCB…特定物質の明度
belt…ベルトの明度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9