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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091280
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】外付け型液体供給装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/71 20220101AFI20220614BHJP
   B01F 35/83 20220101ALI20220614BHJP
【FI】
B01F15/02 A
B01F15/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204019
(22)【出願日】2020-12-09
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000117102
【氏名又は名称】旭有機材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078190
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 三千雄
(74)【代理人】
【識別番号】100115174
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 正博
(72)【発明者】
【氏名】関 浩之
【テーマコード(参考)】
4G037
【Fターム(参考)】
4G037AA02
4G037BB06
4G037CA11
(57)【要約】
【課題】第一の液体と第二の液体とを混合せしめ、その混合物を被着体に対して吹き付ける発泡機において、第一及び/又は第二の液体に対する第三の液体の供給を簡易に実施することが可能な外付け型液体供給装置を提供すること。
【解決手段】所定の現場吹付け型発泡機における第一の供給系統又は第二の供給系統に接続されて、第三の液体を供給する外付け型液体供給装置を、1)第三の液体を収容するタンクと、2)第一又は第二の供給系統に着脱可能に接続されて、タンクから供給される第三の液体を、第一又は第二の供給系統に導く液体供給流路と、3)液体供給流路を通じて、第一又は第二の供給系統に供給される第三の液体の流量を制御する流量調整弁と、4)液体供給流路の流量調整弁よりも上流側の部位に配置され、タンクから導かれる第三の液体を送出するポンプとから、構成した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネートを含む第一の液体を圧送する第一の供給系統と、ポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体を圧送する第二の供給系統と、それら第一及び第二の供給系統からそれぞれ供給される第一及び第二の液体を混合して、噴射する噴射装置とを有する現場吹付け型発泡機における、該第一の供給系統又は該第二の供給系統に対して接続されて、第三の液体を供給する外付け型液体供給装置にして、
前記第三の液体を収容するタンクと、
前記第一又は第二の供給系統に着脱可能に接続されて、前記タンクから供給される前記第三の液体を、該第一又は第二の供給系統に導く液体供給流路と、
前記液体供給流路を通じて、前記第一又は第二の供給系統に供給される前記第三の液体の流量を制御する流量調整弁と、
前記液体供給流路の前記流量調整弁よりも上流側の部位に配置され、前記タンクから導かれる前記第三の液体を送出するポンプと、
を有する外付け型液体供給装置。
【請求項2】
前記流量調整弁が、流量固定式の流量調整弁又は流量可変式の流量調整弁である請求項1に記載の外付け型液体供給装置。
【請求項3】
前記流量可変式の流量調整弁が、制御装置によって流量の制御が可能なものである請求項2に記載の外付け型液体供給装置。
【請求項4】
前記第一又は第二の供給系統と前記液体供給流路との接続が、三方管継手を用いて行なわれ、該三方管継手の二つの接続口が該第一又は第二の供給系統の第一又は第二の液体圧送路に接続せしめられて、該三方管継手にて該液体圧送路の一部を構成している一方、かかる三方管継手の残りの一つの接続口に対して、前記液体供給流路が、着脱可能に接続されるようになっている請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の外付け型液体供給装置。
【請求項5】
前記第三の液体が、触媒、着色料、及び常温で気化しない発泡剤のうちの少なくとも一種以上を含む請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の外付け型液体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外付け型液体供給装置に係り、特に、吹付け発泡現場において、ポリイソシアネートを含む第一の液体とポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体とを混合せしめ、かかる混合物を被着体に対して吹き付ける発泡機に取り付けられて、使用される、後付け型の液体供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建築物の壁面や天井等の被着体(対象物)に対して、ポリイソシアネートを原料とする所定の樹脂層、例えばポリウレタンフォームの被覆層を、所定厚さで形成すべく、その施工現場に持ち込まれて、使用される現場吹付け型発泡機として、ポリイソシアネートを含む第一の液体を圧送する第一の供給系統と、ポリオールを含む第二の液体を圧送する第二の供給系統と、それら第一及び第二の供給系統からそれぞれ供給される第一及び第二の液体を混合して、噴射する噴射装置とを有する構造の装置が、知られている(特開2000-102751号公報参照)。
【0003】
ところで、例えば、そのような現場吹付け型発泡機を用いたポリウレタンフォームの形成には、原料であるポリイソシアネートとポリオールとの反応を良好なものとすべく、各種の触媒が用いられることが一般的であり、そのような触媒は、通常、ポリオールを含む第二の液体に含有せしめられ、かかる第二の液体と、ポリイソシアネートを含む第一の液体とが混合されて、ポリイソシアネートとポリオールとの反応が進行せしめられるようになっている。これは、ポリオールを含む第二の液体よりも、ポリイソシアネートを含む第一の液体の方が、反応活性が高いからである。なお、かかるポリオールを含む第二の液体には、必要に応じて発泡剤や整泡剤、難燃剤、減粘剤等も含有せしめられ、また、難燃性の高いポリイソシアヌレートを形成する場合にあっては、ポリオールに代えてリン酸エステル等を含む第二の液体が用いられることとなる。
【0004】
しかしながら、ポリオールを含む第二の液体に触媒を添加し、含有せしめると、触媒の種類やその添加量、或いは、触媒と第二の液体との組合せ等によっては、触媒の添加により液体の劣化が経時的に進行し、第二の液体の貯蔵安定性が悪くなることに加えて、そのような劣化した第二の液体を用いて、ポリイソシアネートを含む第一の液体に混合し、反応せしめた場合に、それらの反応性に悪影響を及ぼす恐れがあり、更には、形成されるポリウレタンフォームの特性が低下する等の問題も、内在している。
【0005】
また、ポリオールを含む第二の液体に対する触媒の添加を、例えば吹付け作業の開始前に、第二の液体が収容されているタンク内にて実施すると、上記した問題の発生を防止する観点より、作業終了後にタンク内に残存する第二の液体は、廃棄処分されることが一般的である。そのような廃棄処分される、触媒を含む第二の液体の量は、タンク容量が大きい発泡機や液体の供給経路が長い発泡機においては必然的に多くなるところから、作業コスト(吹付け施工のコスト)を悪化させるという問題をも有しているのであり、更には、ポリオール及び触媒を含む大量の液体を廃棄処分にすることは、環境に与える影響を考慮すると、得策でないことは明白である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-102751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、ポリイソシアネートを含む第一の液体とポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体とを混合せしめ、かかる混合物を被着体に対して吹き付ける発泡機において、第一及び/又は第二の液体に対する第三の液体の供給を簡易に実施することが可能な外付け型液体供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、本発明は、上記した課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものである。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書の記載から把握され得る発明思想に基づいて認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0009】
(1) ポリイソシアネートを含む第一の液体を圧送する第一の供給系統と、ポリオール 及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体を圧送する第二の供給系統と、そ れら第一及び第二の供給系統からそれぞれ供給される第一及び第二の液体を混合し て、噴射する噴射装置とを有する現場吹付け型発泡機における、該第一の供給系統 又は該第二の供給系統に対して接続されて、第三の液体を供給する外付け型液体供 給装置にして、
前記第三の液体を収容するタンクと、
前記第一又は第二の供給系統に着脱可能に接続されて、前記タンクから供給され る前記第三の液体を、該第一又は第二の供給系統に導く液体供給流路と、
前記液体供給流路を通じて、前記第一又は第二の供給系統に供給される前記第三 の液体の流量を制御する流量調整弁と、
前記液体供給流路の前記流量調整弁よりも上流側の部位に配置され、前記タンク から導かれる前記第三の液体を送出するポンプと、
を有する外付け型液体供給装置。
(2) 前記流量調整弁が、流量固定式の流量調整弁又は流量可変式の流量調整弁である 前記態様(1)に記載の外付け型液体供給装置。
(3) 前記流量可変式の流量調整弁が、制御装置によって流量の制御が可能なものであ る前記態様(2)に記載の外付け型液体供給装置。
(4) 前記第一又は第二の供給系統と前記液体供給流路との接続が、三方管継手を用い て行なわれ、該三方管継手の二つの接続口が該第一又は第二の供給系統の第一又は 第二の液体圧送路に接続せしめられて、該三方管継手にて該液体圧送路の一部を構 成している一方、かかる三方管継手の残りの一つの接続口に対して、前記液体供給 流路が、着脱可能に接続されるようになっている前記態様(1)乃至前記態様(3 )の何れか1つに記載の外付け型液体供給装置。
(5) 前記第三の液体が、触媒、着色料、及び常温で気化しない発泡剤のうちの少なく とも一種以上を含む前記態様(1)乃至前記態様(4)の何れか1つに記載の外付 け型液体供給装置。
【発明の効果】
【0010】
そして、このような本発明に従う外付け型液体供給装置によれば、以下に列挙せる如き各種の効果が奏され得ることとなる。
(1) 既存の二液混合型の現場吹付け型発泡機へ取り付けることにより、第三の液体を 、ポリイソシアネートを含む第一の液体を圧送する第一の供給系統、若しくはポリ オール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体を圧送する第二の供給系統 に、容易に供給することが可能となる。従って、例えば、本発明の液体供給装置を 、現場吹付け型発泡機の第二の供給系統に接続して、第三の液体としての触媒を含 む液体を本発明の供給装置によって第二の供給系統に供給するように構成すること によって、発泡機において、第二の液体に予め触媒を添加しておくことが不要とな るのであり、触媒による第二の液体の劣化が有利に防止され得て、液の貯蔵安定性 が効果的に向上せしめられ得ることとなるのである。また、第二の液体の劣化が有 利に防止され得るところから、第二の液体と第一の液体との反応性に悪影響を受け る恐れもなく、更には、それら第一及び第二の液体を反応して得られる反応生成物 (樹脂)の特性が低下する等の恐れも顧慮する必要がない。
(2) 触媒を含む液体を第三の液体として、現場吹付け型発泡機に供給するにあたり、 本発明に従う外付け型液体供給装置を、発泡機の第二の供給系統における噴射装置 に近傍の部位に接続することによって、触媒が含有せしめられた、ポリオール及び /又は有機リン酸エステルを含む第二の液体の量を、吹付け(噴射)作業に必要な 程度の少量に止めることが可能ならしめられる。このような位置に本発明の液体供 給装置を接続することによって、作業終了後に廃棄処分とせざるを得なかった、触 媒を含有する第二の液体の量は、有利に減少することとなるのであって、本発明の 液体供給装置を使用することにより、作業コスト(吹付け施工のコスト)の向上が 有利に図られ得るのである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に従う外付け型液体供給装置が接続された現場吹付け型発泡機における機器の配置の一例を示す概略説明図である。
図2図1に示される概略説明図において、現場吹付け型発泡機に接続される外付け型液体供給装置の一例を示す概略説明図である。
図3図1に示される概略説明図において、第二の供給系統に対する外付け型液体供給装置の接続部分を具体的に示す部分断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に従う外付け型液体供給装置の構成について、更に具体的に明らかにするために、本発明の代表的な実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0013】
先ず、図1には、本発明に従う外付け型液体供給装置が接続された現場吹付け型発泡機の一例に係る機器の配置構成が、概略的に示されている。そこにおいて、発泡機10は、ポリイソシアネートを含む第一の液体(A液)を圧送する第一の供給系統12と、ポリオールを含む第二の液体(B液)を圧送する第二の供給系統14と、それら第一及び第二の供給系統12、14にて供給される第一の液体(ポリイソシアネート)と第二の液体(ポリオール及び/又は有機リン酸エステル)とを混合して、噴射する噴射装置である、手持ち式等の公知のスプレーガン16と、それら第一及び第二の供給系統12、14によって供給される第一の液体や第二の液体の供給量を制御する(ここでは、発泡機内のシーケンサーによって制御されるようになっているが、遠隔操作で供給量や温度などを設定できるようにしても良い)発泡機制御装置18とを含んで構成されている。なお、第一及び第二の供給系統12、14には、それぞれの供給系統を通じて供給される第一の液体及び第二の液体の流路を加熱するためのジャケット装置は、図示はされていないが、従来と同様に、それぞれ設けられている。
【0014】
そこでは、第一の供給系統12において、所定圧力の第一の液体を導く液体圧送路となる第一の液体流路12aは、ポリイソシアネートを含む第一の液体(A液)を収容する第一のタンク12bに接続されており、この第一のタンク12b内の第一の液体が、第一の汲上げポンプ12cにて汲み上げられた後、第一の圧送ポンプ12dにて圧送され、その吐出圧力が第一の圧力計12eにて検出され、更に、第一のヒータ12fにて加熱せしめられた後、スプレーガン16に供給されるようになっている。一方、第二の供給系統14においても同様に、所定圧力の第二の液体を導く液体圧送路となる第二の液体流路14aが、ポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体(B液)を収容する第二のタンク14bに接続され、そこに収容されている第二の液体が、第二の汲上げポンプ14cにて汲み上げられた後、第二の圧送ポンプ14dにてスプレーガン16に向かって圧送せしめられるようになっており、更に、その圧送せしめられる第二の液体の吐出圧力が、第二の圧力計14eにて検出されると共に、第二のヒータ14fにて所望の温度に加熱せしめられて、粘度調整された後に、スプレーガン16に供給されるようになっている。
【0015】
そして、このような発泡機10においては、第一の供給系統12の第一の液体流路12aを通じて、第一のタンク12b内に収容されたポリイソシアネートを含む第一の液体(A液)が、発泡機制御装置18による制御の下に、所定の圧力及び温度にてスプレーガン16に供給される一方、第二の供給系統14の第二の液体流路14aを通じて、第二のタンク14b内に収容されたポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体(B液)が、発泡機制御装置18による制御の下に、所定の圧力及び温度にて圧送されて、スプレーガン16に供給せしめられ、そこにおいて、第一の液体と第二の液体とが混合された後、吹付け現場において、スプレーガン16から壁等の対象物に対して吹き付けられて、所定厚さのポリウレタンフォーム層等の吹付け層が形成せしめられるようになっているのである。
【0016】
なお、第一のタンク12b内に収容される第一の液体(A液)に含まれるポリイソシアネートとしては、ポリオールとの反応やそれ自身の三量化反応によってポリウレタンやポリイソシアヌレートを形成し得る、イソシアネート基を2個以上有する公知の化合物の何れもが使用可能であり、例えば、芳香族系、脂環族系及び脂肪族系のポリイソシアネート、それらの2種以上の混合物、並びにそれらを変性して得られる変性ポリイソシアネート等を挙げることが出来る。また、第一の液体には、更に必要に応じて、整泡剤、難燃剤、減粘剤等の公知の添加成分を含有せしめることも可能ではあるが、それら添加成分は、第一の液体中のポリイソシアネートの含有量が、一般には50~100質量%となるように、好ましくは70~100質量%、より好ましくは80~100質量%となるように、その添加量が適宜に設定されて、含有せしめられることとなる。
【0017】
また、第二のタンク14b内に収容される第二の液体(B液)は、ポリイソシアネートを含む第一の液体との反応等のために、ポリオール及び有機リン酸エステルのうちの少なくとも何れか一方を含むものである。そこにおいて、ポリオールとしては、ポリイソシアネートとの反応によってポリウレタンを形成し得る、水酸基を2個以上有する公知の各種の化合物の中から適宜に選定されることとなるが、その中でも、特に、ポリエーテル系ポリオールやポリエステル系ポリオール、或いはそれらの混合物が、好適に用いられることとなる。そのようなポリオールと共に、又はそれに代えて用いられる有機リン酸エステルは、難燃剤として、更には減粘剤として機能するものであって、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、テトラキス(2-クロロエチル)ジクロロイソペンチルジホスフェート、ポリオキシアルキレンビス(ジクロロアルキル)ホスフェート等が好適に用いられることとなる。このような有機リン酸エステルが、ポリオールに代わって含有せしめられた第二の液体を用いることにより、ポリイソシアネートを三量化触媒にて三量化して得られるポリイソシアヌレートの難燃性が更に有利に高められ得ることとなる。加えて、そのような第二の液体には、上述の如きポリオール及び/又は有機リン酸エステルと共に、従来と同様な各種の添加剤を添加せしめることが可能である。例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤等の公知の各種の難燃剤を含有せしめることが可能であり、更に、水やハイドロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハロゲン化オレフィン等の発泡剤の他、整泡剤、減粘剤等の添加剤も、従来と同様にして、含有せしめることが可能である。
【0018】
そして、第一の液体(A液)に含まれるポリイソシアネートと第二の液体(B液)に含まれるポリオール及び/又は有機リン酸エステルとの反応に触媒を供するべく、上述した現場吹付け型発泡機10においては、図1より理解されるように、触媒を含む第三の液体(C液)を供給する装置として、本発明に従う外付け型液体供給装置20が配設されているのである。
【0019】
液体供給装置20の構成については、図2により詳細に示されているところ、液体供給装置20は、触媒を含む第三の液体(C液)を収容するタンク22と、このタンク22から取り出されたC液を発泡機10における第二の供給系統14に供給すべく、かかる第二の供給系統14の流体流路14aに対して着脱可能に接続された液体供給流路24と、タンク22から導かれる第三の液体(C液)を液体供給流路24内に送出するポンプ26とを備えていると共に、液体供給流路24におけるタンク22と反対側の端部には、流量固定式の流量調整弁とである直進ノズル28を内装するカップリング30(図3を参照)が配設されて、構成されている。
【0020】
そのような構成に係る液体供給装置20は、図3に示される接続構造に従って発泡機10に接続されている。そこにおいて、発泡機10の第二の液体流路14a上に、三方管継手たる接続ブロック40が配設されており、かかる接続ブロック40内に形成された主流路40aによって、第二の流体流路14aの連通状態が確保されている一方、かかる主流路40aに連通する副流路40bの入口部に、液体供給装置20における液体供給流路24の端部に配設されたカップリング30が螺入せしめられていることによって、液体供給流路24が接続されているのである。そして、液体供給流路24を通じて導かれる第三の液体は、カップリング30に内装せしめられている流量固定式の流量調整弁(直進ノズル28)によって、第三の液体の単位時間当りの流量が一定となるように制御されつつ、副流路40b内に導かれ、そして、主流路40a内に流通せしめられる第二の液体中に、第三の液体が混入せしめられるようになっているのである。
【0021】
このように、本発明に従う外付け型液体供給装置20を用いることによって、触媒を含む第三の液体を、ポリオール/及び又は有機リン酸エステルを含む第二の液体が流通する第二の液体流路14aの途中において、混入せしめることが可能となるところから、現場吹付け終了後における第二の液体の廃棄量を著しく低減せしめ得ることに加えて、触媒による第二の液体の劣化、特に、現場吹付け作業の中断が長引くことによる、第二の液体流路14aや第二のタンク14b内における第二の液体の劣化が、有利に回避され得ることとなるのである。
【0022】
ここで、上述した接続構造の下、触媒を含む第三の液体(C液)は、ポンプ26にて汲み上げられて、液体供給流路24を通じて、第二の液体流路14aのいずれの箇所にも導入せしめられるように構成されているのであるが、その導入位置と、第一の液体と第二の液体との混合を行なうスプレーガン16との間の距離:X(図1を参照)は、5m以内とすることが好ましい。かかる距離:Xを5m以内とすることによって、上述した種々の効果、具体的には、現場吹付け終了後における第二の液体の廃棄量の低減や、触媒による第二の液体の劣化等の諸問題の発生回避といった効果を、より有利に享受することが可能であり、最終的には作業コスト(吹付け作業のコスト)の低減にも大きく寄与することとなるのである。
【0023】
なお、本実施形態において、第三の液体中に含有せしめられる触媒としては、ポリイソシアネートとポリオールとの反応によってポリウレタンを得るための公知の各種の触媒や、ポリイソシアネートの三量化によってポリイソシアヌレートを得るための公知の触媒があり、例えば、特開2019-14839号公報に明らかにされている如きアミン系触媒やイミダソール系触媒があり、更に、樹脂化触媒としてウレタン化触媒やイソシアヌレート化触媒が、単独で用いられたり、或いは併用されたりすることとなる。また、そのような触媒に溶剤乃至は減粘剤を混合して、50~2000mPa・sの粘度(20℃)を有する第三の液体を調製することが望ましい。
【0024】
以上、本発明の代表的な実施形態の一つについて詳述してきたが、本発明が、上述した形態のものに限定されるものでないことは、言うまでもないところである。
【0025】
例えば、上述した実施形態において、触媒を含む第三の液体を収容するタンク22に加熱手段を設置し、かかる加熱手段を作動させることにより、タンク22内に収容されている第三の液体を所定の温度(液温)に加熱することが可能である。所定温度に加熱された第三の液体を発泡機10に供給することにより、反応促進等の触媒の添加効果を、より有利に享受することが出来る。
【0026】
また、上述した実施形態においては、ポリイソシアネートとポリオールとの反応に供される触媒やポリイソシアネートの樹脂化に供される触媒を含む液体を第三の液体とし、そのような第三の液体を、本発明に従う外付け型液体供給装置20を用いて、ポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体を圧送する第二の供給系統14に供給するように構成されているが、本発明の液体供給装置によって供給可能な液体は、上述の如き触媒を含むものに限定されず、また、液体供給流路24が接続される、発泡機における供給系統も、第二の供給系統14に限定されるものではない。具体的には、着色料を含む液体や、常温で気化しない液状又は溶剤に溶解せしめられた状態の発泡剤等も、第三の液体として、本発明の液体供給装置を用いて発泡機に供給することが可能であり、また、第三の液体を、そこに含まれる成分に従い、ポリイソシアネートを含む第一の液体を圧送する第一の供給系統、若しくは、ポリオール及び/又は有機リン酸エステルを含む第二の液体を圧送する第二の供給系統の何れかに供給することは勿論のこと、場合によっては、二つの液体供給装置を用いて、各装置によって第一及び第二の供給系統のそれぞれに供給することも可能である。
【0027】
さらに、上述した外付け型液体供給装置20における流量調整弁は流量固定式のもの(直進ノズル28)であるが、流量固定式の流量調整弁に代えて、流量可変式の流量調整弁を用いることも可能である。流量可変式の流量調整弁としては、手動操作によって流量を変更することが可能なニードル弁や、外部の制御装置による制御によって流量を変更、設定することが可能な電動弁等を挙げることが出来る。電動弁は、独自の制御装置にて制御されるように構成することも、発泡機の制御装置(発泡機10における制御装置18)によって制御されるように構成することも、可能である。なお、上述した実施形態にて採用されている、直進ノズル28の如き流量固定式の流量調整弁は、流量可変式のものと比較すると一般的に軽量であることから、流量固定式の流量調整弁を用いることによって、吹付け作業の作業性が向上するという利点があり、その一方、流量可変式の流量調整弁を用いた場合には、作業状況等に応じて、第一(第二)の液体に対する第三の液体の供給量を適宜、設定することが出来るという利点がある。
【0028】
加えて、本発明の外付け型液体供給装置を構成するタンク及び/又はポンプを所定の台車上に載置せしめて、台車の下部に設けられた車輪の転動により、タンク等を、発泡現場における目的とする位置に、容易に移動せしめられ得るようにすることも可能である。
【0029】
その他、一々、列挙はしないが、本発明に従う外付け型液体供給装置は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、そして、そのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
【符号の説明】
【0030】
10 現場吹付け型発泡機 12 第一の供給系統
14 第二の供給系統 16 スプレーガン
18 発泡機制御装置 20 外付け型液体供給装置
22 タンク 24 液体供給流路
26 ポンプ 28 直進ノズル
30 カップリング 40 接続ブロック
図1
図2
図3