IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 理想科学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-印刷システム 図1
  • 特開-印刷システム 図2
  • 特開-印刷システム 図3
  • 特開-印刷システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091299
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20220614BHJP
   G06K 7/10 20060101ALI20220614BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20220614BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B41J29/38 204
G06K7/10 104
G06K7/10 148
B41J2/175 167
B41J29/00 Z
B41J29/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204057
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】砂川 寛行
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EB20
2C056EB44
2C056KC02
2C056KC30
2C056KD10
2C061AQ05
2C061AR01
2C061CG01
2C061CG15
2C061CL08
2C061HJ10
2C061HK08
2C061HN22
(57)【要約】
【課題】RFIDタグに記憶されたデータが読み取られることを防止する。
【解決手段】装着部に装着されたインクカートリッジ2と、装着されたインクカートリッジ2を用いて印刷する印刷装置1とを有する印刷システム100であって、インクカートリッジ2は、認証情報を含む第1情報が記憶された第1タグ7と、認証情報を含まない第2情報が記憶された第2タグ8と、を備え、印刷装置1は、第1タグ7から第1情報、または第2タグ8から第2情報を読み取るRFIDリーダライタ3と、所定のタイミングのみ、第2タグを読取不可状態とし、RFIDリーダライタ3により読み取られた第1情報に基づいてインクカートリッジ2の認証を行う認証手段46とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着部に装着された消耗品と、前記装着された消耗品を用いて印刷する印刷装置とを有する印刷システムであって、
前記消耗品は、
認証情報を含む第1情報が記憶された第1タグと、
前記認証情報を含まない第2情報が記憶された第2タグと、を備え、
前記印刷装置は、
前記第1タグから前記第1情報、または前記第2タグから前記第2情報を読み取る読取手段と、
所定のタイミングのみ、前記第2タグを読取不可状態とし、前記読取手段により読み取られた第1情報に基づいて前記消耗品の認証を行う認証手段と、を備えた
ことを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な消耗品のみを許可認証することにより印刷品質の低下や装置故障を防止する印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置ではその印刷方式によってインクカートリッジや孔版原紙など様々な消耗品が着脱可能に設けられている。
【0003】
装置本体と消耗品の不適合な組み合わせが存在する場合は、装置としての機能を満足することができないばかりか装置本体又は消耗品の故障に至ることもある。このため装置本体と装着された消耗品との適合性を判定して、動作の可否を決定したり操作者に対してメッセージ等で知らしめる必要がある。
【0004】
特許文献1には、装着された消耗品と装置本体との間で情報を伝達し、消耗品に設置された消耗品情報に基づいて各特性を照合、設定する技術において、認証精度を向上させることができる認証システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4106156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昨今、RFID(Radio Frequency Identification)タグおよびRW(リーダライタ)の性能が向上しており、印刷システムにおいてRFIDを用いて消耗品を認証することが多くなっている。
【0007】
しかしながら、近距離においては、別の消耗品のRFIDタグに記憶された情報が読み取られてしまうなどの問題も想定される。このように、別の消耗品のRFIDタグのデータを読み取ってしまうと、消耗品を適切に認証することが困難となるので、印刷品質の低下や装置故障を防止することができなくなる。
【0008】
上述の特許文献1に記載の認証システムでは、別の消耗品のRFIDタグのデータが読み取られる可能性があった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、RFIDタグに記憶されたデータが読み取られることを防止する印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷システムの特徴は、
装着部に装着された消耗品と、前記装着された消耗品を用いて印刷する印刷装置とを有する印刷システムであって、
前記消耗品は、
認証情報を含む第1情報が記憶された第1タグと、
前記認証情報を含まない第2情報が記憶された第2タグと、を備え、
前記印刷装置は、
前記第1タグから前記第1情報、または前記第2タグから前記第2情報を読み取る読取手段と、
所定のタイミングのみ、前記第2タグを読取不可状態とし、前記読取手段により読み取られた第1情報に基づいて前記消耗品の認証を行う認証手段と、を備えた
ことにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る印刷システムの特徴によれば、RFIDタグに記憶されたデータが読み取られることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1に係る印刷システムの構成を説明した図である。
図2】本発明の実施例1に係る印刷システムのインクカートリッジの側面図である。
図3】本発明の実施例1に係る印刷システムの印刷装置の認証動作を模式的に説明した説明図である。
図4】本発明の実施例1に係る印刷システムの処理内容を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一もしくは同等の部位や構成要素には、同一もしくは同等の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0014】
また、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものであって、この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の技術的思想は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る印刷システムの実施形態を詳細に説明する。
【0016】
<実施例1に係る印刷システムの全体構成>
図1は、本発明の実施例1に係る印刷システム100の構成を説明した図である。
【0017】
図1に示すように、印刷システム100は、印刷装置1と、インクカートリッジ2とを備えている。
【0018】
インクカートリッジ2は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の色ごとに、インクカートリッジ2K,2C,2M,2Yを有している。インクカートリッジ2K,2C,2M,2Yは、同一の構成を有するので、以下、総称して、インクカートリッジ2として説明する。
【0019】
インクカートリッジ2は、インクボトル6と、第1タグ7と、第2タグ8とを有している。
【0020】
インクボトル6は、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)の色のインクを貯留し、それぞれの色のインクを印刷装置1へ供給する。
【0021】
第1タグ7は、後述するRFIDリーダライタ3とRFID(Radio Frequency Identification)により同一周波数帯の、交信性能を制限して無線通信するものである。第1タグ7は、認証情報を含む第1情報が記憶されている。認証情報は、インクカートリッジ2を識別するIDや、パスワードでもよいし、インクボトルに貯留されたインクの属性データや、インクカートリッジが使用される地域を示す仕向け情報でもよい。インクの属性データには、インク色情報、インク溶媒種類情報、インク残量情報が含まれているとよい。
【0022】
第2タグ8は、後述するRFIDリーダライタ3とRFID(Radio Frequency Identification)により無線通信するものであり、第1タグ7より交信性能(エリア・距離)が優れている。第2タグ8は、交信性能が広く第1タグ7の交信を阻害するようにインクカートリッジ2の検出・識別用として設けられたコリジョンタグである。第2タグ8には、コリジョンタグであることを示す属性情報と、パージデントクワイエットモード動作を指示するコマンドとを含む第2情報が記憶されている。第2情報には、認証情報は含まれない。
【0023】
図2は、本発明の実施例1に係る印刷システム100のインクカートリッジ2の側面図である。
【0024】
図2に示すように、インクカートリッジ2の印刷装置1に接合する側面の中心部に、第1タグ7が設けられている。また、第1タグ7を囲むように、第2タグ8が設けられている。このように、第1タグ7に比べて第2タグ8は受信する表面積が広く、アンテナ感度が高い。そのため、第2タグ8は、第1タグ7より交信性能(エリア・距離)が優れている。
【0025】
図1に戻り、印刷装置1は、RFIDリーダライタ3K,3C,3M,3Yと、エンジン制御部4とを備えている。
【0026】
RFIDリーダライタ3K,3C,3M,3Yは、インクカートリッジ2K,2C,2M,2Yにそれぞれ対応して設けられている。RFIDリーダライタ3K,3C,3M,3Yは、同一の構成を有するので、以下、総称して、RFIDリーダライタ3として説明する。
【0027】
RFIDリーダライタ3は、第1タグ7と通信を確立し、第1タグ7から第1情報を読み取る。また、RFIDリーダライタ3は、第2タグ8と通信を確立し、第2タグ8から第2情報を読み取る。
【0028】
エンジン制御部4は、データ処理回路41と、センサ・モータ駆動回路42と、RAM43と、ROM44と、CPU45とを備えている。
【0029】
データ処理回路41は、画像データをインクジェットから吐出するためのデータ形式に変換するなど、様々なデータ処理を実行する。
【0030】
センサ・モータ駆動回路42は、印刷装置1が印刷動作を実行するために、図示しないセンサやモータなどの駆動を制御する。
【0031】
RAM43は、CPU45や、データ処理回路41や、センサ・モータ駆動回路42が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。
【0032】
ROM44は、制御プログラムや認証手段46が用いる認証情報などを記憶している。
【0033】
CPU45は、印刷装置1を統括的に制御する。CPU45は、認証手段46を備えている。
【0034】
認証手段46は、所定のタイミングのみ、第2タグ8を読取不可状態とし、RFIDリーダライタ3により読み取られた第1情報に基づいてインクカートリッジ2の認証を行う。
【0035】
図3は、本発明の実施例1に係る印刷システム100の印刷装置1の認証動作を模式的に説明した説明図である。
【0036】
図3に示すように、インクカートリッジ2を、RFIDリーダライタ3側(矢印の方向)に距離L2まで近づけると、RFIDリーダライタ3は、第2タグ8を検出する。そして、RFIDリーダライタ3は、第2タグ8と通信を確立し、第2タグ8から第2情報を読み取る。第2タグ8は、遠距離でも反応するので、挿入途中のインクカートリッジ2であっても検出可能になる。このように、インクカートリッジ2が接合する前に検出することができるので、ユーザがインクカートリッジ2を間違えて接合部に装着しようとした場合、装着される前に、ユーザに警告を出したり、回避行動を行い、接合部に間違ったインクが付着する事を防止することができる。
【0037】
また、距離L2まで近づいた際、RFIDリーダライタ3は、第1タグ7と通信を確立しようとしても、コリジョンタグである第2タグ8が反応し、第1タグ7との通信が阻害される。そのため、距離L2まで近づいた時点では、RFIDリーダライタ3は、第1タグ7とは通信を確立できず、第2タグ8のみと通信を確立する。
【0038】
第1タグ7と通信を確立するためには、第2タグ8の機能を停止させる必要がある。
【0039】
そこで、距離L2まで近づいた際、認証手段46は、第2タグ8に対して、パージデントクワイエットモード動作を指示するコマンドを送信することで、第2タグ8への給電を停止し、第2タグ8を読取不可状態とする。
【0040】
その後、さらに、インクカートリッジ2が、RFIDリーダライタ3側(矢印の方向)に距離L1まで近づいた際、RFIDリーダライタ3は、第1タグ7と通信を確立する。
【0041】
そして、認証手段46は、RFIDリーダライタ3に読み取られた第1情報と、ROM44に記憶された認証情報とに基づいて消耗品であるインクカートリッジ2の認証を行う。
【0042】
このように、第2タグ8を読取不可状態とする処理を実行した上で、第1情報に基づいてインクカートリッジ2の認証を行うので、第1タグ7に記憶された第1情報が読み取られたり、第1情報が改ざんされてしまうことを防止することができる。また、ユーザが間違ったインクカートリッジ2を挿入して接合部をインクで汚してしまうことを防止できる。
【0043】
図4は、本発明の実施例1に係る印刷システム100の処理内容を示したフローチャートである。
【0044】
図4に示すように、ステップS101において、印刷装置1の電源が投入されるか、インクカートリッジ2が装着部に装着されると、RFIDリーダライタ3は、RFIDタグ(第1タグ7および第2タグ8)を探索する(ステップS103)。
【0045】
ステップS105において、第2タグ8と通信を確立し、CPU45が、第2タグ8はコリジョンタグであると判定すると、パージデントクワイエットモード動作を指示するコマンドを送信する。
【0046】
これにより、第2タグ8への給電が停止されて第2タグ8は読取不可状態にされる(ステップS107)。
【0047】
その後、ステップS109において、さらにインクカートリッジ2がRFIDリーダライタ3に近づくと、第1タグ7と通信を確立し、CPU45が、第2タグ8はコリジョンタグではない、すなわち認証タグであると判定すると、認証手段46は、認証動作を実行する。具体的には、認証手段46は、RFIDリーダライタ3に読み取られた第1情報と、ROM44に記憶された認証情報とに基づいてインクカートリッジ2の認証を行う。なお、第2タグ8が、パージデントクワイエットモードに対応していない場合、RFIDリーダライタ3が第1タグ7と通信を確立しようとしても、第2タグ8が反応し衝突が発生する。
【0048】
その後、CPU45は、第1タグ7への給電を停止する(ステップS111)。
【0049】
さらに、RFIDリーダライタ3は、数秒間隔で第1タグ7の第1情報の読み取りを行う(ステップS113)。上記、ステップS111とステップS113の処理は繰り返し実行される。
【0050】
なお、第2タグ8が、パージデントクワイエットモードに対応しているふりをしたとしても、ハードウェアが対応していなければ、給電を停止した段階で状態はリセットされてしまい、その後の通信で衝突が発生する。
【0051】
このように、本発明の実施例1に係る印刷システム100は、所定のタイミングのみ、第2タグ8を読取不可状態とし、RFIDリーダライタ3により読み取られた第1情報に基づいてインクカートリッジ2の認証を行うという手順で処理を実行するので、所定の手順を行わないと、第1タグ7との通信を確立することができないようになっている。
【0052】
なお、第1タグ7と第2タグ8とのRFIDのIC種類を異なったものにしてもよいし、パターンを異なるものとしてもよいし、共振周波数を異なるものとしてもよい。
【0053】
また、図2に示したように、第1タグ7はインクカートリッジ2の側面に設けられているが、カバーを設けるなどして外部から見えなくするようにしてもよいし、第1タグ7と第2タグ8との奥行き(挿入方向における位置)を異なるようにしてもよい。
【0054】
なお、ここでは、消耗品の例としてインクカートリッジ2を例に挙げて説明したが、インクカートリッジ以外でも孔版原紙など様々な消耗品に適用できる。
【0055】
(付記)
本出願は、以下の発明を開示する。
【0056】
(付記1)
装着部に装着された消耗品と、前記装着された消耗品を用いて印刷する印刷装置とを有する印刷システムであって、
前記消耗品は、
認証情報を含む第1情報が記憶された第1タグと、
前記認証情報を含まない第2情報が記憶された第2タグと、を備え、
前記印刷装置は、
前記第1タグから前記第1情報、または前記第2タグから前記第2情報を読み取る読取手段と、
所定のタイミングのみ、前記第2タグを読取不可状態とし、前記読取手段により読み取られた第1情報に基づいて前記消耗品の認証を行う認証手段と、を備えた
ことを特徴とする印刷システム。
【0057】
これにより、第2タグを読取不可状態とする処理を実行した上で、第1情報に基づいて消耗品の認証を行うので、第1タグに記憶された第1情報が読み取られることを防止することができる。また、ユーザが間違った消耗品を挿入して接合部をインクで汚してしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0058】
1 印刷装置
2C,2K,2M,2Y インクカートリッジ
3C,3K,3M,3Y RFIDリーダライタ
4 エンジン制御部
6 インクボトル
7 第1タグ
8 第2タグ
41 データ処理回路
42 センサ・モータ駆動回路
43 RAM
44 ROM
45 CPU
46 認証手段
100 印刷システム
図1
図2
図3
図4