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特開2022-91349ボンディング装置およびボンディング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091349
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】ボンディング装置およびボンディング方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20220614BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H01L21/52 F
H01L21/60 311T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204140
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】永元 信裕
【テーマコード(参考)】
5F044
5F047
【Fターム(参考)】
5F044PP15
5F047AA11
5F047FA08
5F047FA46
5F047FA82
(57)【要約】
【課題】コレットに傾きが生じていても、設定された押し込み量で生産可能な荷重(生産荷重)に達成しているか判断でき、不必要な作業(調整)を生じさせないボンディング装置およびボンディング方法を提供する。
【解決手段】荷重設定手段と荷重付与手段と反力検出手段と押し込み量検出手段と荷重設定手段と判定手段とを備える。荷重設定手段にてコレットからのチップへ付与される生産荷重を設定する。荷重付与手段にて、コレットに荷重を付与でき、コレットがチップ側からの反力を受ける状態とする。その反力が反力検出手段にて検出でき、その押し込み量は押し込み量検出手段で検出する。判定手段では、押し込み量と反力とから、コレットからのチップへ付与される荷重が生産荷重に到達しているか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップを押圧する弾性変形可能なコレットを備えたボンディング装置であって、
コレットからのチップへ付与される生産荷重を設定する荷重設定手段と、
コレットに荷重を付与する荷重付与手段と、
チップ側からのコレットに作用する反力を検出する反力検出手段と、
荷重付与手段にてコレットに荷重を付与した際のコレットの押し込み量を検出する押し込み量検出手段と、
押し込み量検出手段にて検出した押し込み量と、反力検出手段にて検出した反力とから、コレットからのチップへ付与される荷重が荷重設定手段にて設定されている生産荷重に到達しているか否かを判定する判定手段とを備えたことを特徴とするボンディング装置。
【請求項2】
前記判定手段は、コレットの弾性係数を算出する機能を有することを特徴とする請求項1に記載のボンディング装置。
【請求項3】
コレットの弾性係数は、生産荷重と、生産荷重よりも小さい任意に設定した最小荷重と、コレットのチップ接触面積と、生産荷重時のコレット高さと、最小荷重時のコレット高さとで算出することを特徴とする請求項2に記載のボンディング装置。
【請求項4】
ピックアップポジションで弾性変形するコレットにてチップを吸着してピックアップし、ボンディングポジションで弾性変形するコレットにて吸着しているチップをボンディングするボンディング装置であって、
少なくとも、ボンディングポジションで前記判定手段の判定を行うことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載のボンディング装置。
【請求項5】
ピックアップポジションで弾性変形するコレットにてチップを吸着してピックアップし、ボンディングポジションで弾性変形するコレットにて吸着しているチップをボンディングし、かつ、ピックアップポジションとボンディングポジションとの間にチップが搬送される中間ステージを有するボンディング装置であって、
ピックアップポジション、中間ステージ、又はボンディングポジションの少なくともいずれか一つで前記判定手段の判定を行うことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載のボンディング装置。
【請求項6】
ボンディングポジションでの生産荷重が、ピックアップポジション及び中間ステージでの生産荷重よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載のボンディング装置。
【請求項7】
チップを押圧する弾性変形可能なコレットを用いてチップをボンディングするボンディング方法であって、
コレットからのチップへ付与される生産荷重を設定する荷重設定工程と、
コレットに荷重を付与する荷重付与工程と、
チップ側からのコレットに作用する反力を検出する反力検出工程と、
荷重付与工程にてコレットに荷重を付与した際のコレットの押し込み量を検出する押し込み量検出工程と、
押し込み量検出工程にて検出した押し込み量と、反力検出工程にて検出した反力とから、コレットからのチップへ付与される荷重が荷重設定工程にて設定されている生産荷重に到達しているか否かを判定する判定工程とを備えたことを特徴とするボンディング方法。
【請求項8】
前記判定工程を、コレット交換後に行うことを特徴とする請求項7に記載のボンディング方法。
【請求項9】
判定工程で、生産荷重に到達していれば、ボンディング動作を行うことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のボンディング方法。
【請求項10】
判定工程で、生産荷重に到達していなければ、ボンディング動作を行わないことを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のボンディング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディング装置およびボンディング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、多数個の素子を一括して造り込まれたウエハをダイシングして個々の半導体チップに分離し、これを一個ずつリードフレーム等の所定位置にボンディングするというチップボンディングの手法が採用されている。そして、このチップボンディングにはボンディング装置(ダイボンダ)が用いられる。
【0003】
一般に、ボンディング装置(ダイボンダ)は、図8に示すように、ウエハから切り出されるチップ(半導体チップ)1をピックアップポジションPにてコレット3でピックアップして、リードフレームなどの基材2のボンディングポジションQに移送(搭載)するものである。ウエハは、金属製のリング(ウエハリング)に張設されたウエハシート(粘着シート5)上に粘着されており、ダイシング工程によって、多数のチップ1に分断(分割)される。
【0004】
コレット3は、図8に示すように、ピックアップポジションP上での矢印A方向の上昇および矢印B方向の下降と、ボンディングポジションQ上での矢印C方向の上昇および矢印D方向の下降と、ピックアップポジションPとボンディングポジションQとの間の矢印E、F方向の往復動とが可能とされる。コレット3は、ボンディングヘッド(図示省略)に付設され、このボンディングヘッドはボンディングアーム(図示省略)に付設される。
【0005】
このようなボンディング装置では、チップ1のサイズの相違やコレット3の劣化等により交換する必要がある。コレット3を交換すれば、コレット3のチップ吸着面3aがチップ1に対して任意の角度で傾斜するおそれがあった。
【0006】
このようにコレットに傾斜があれば、ピックアップポジションPでは、チップ1を吸着する際に、安定した吸着とならず、また、ボンディングポジションQでは、チップ1を基板等のボンディング位置に接着のための正規の押圧力をチップに付与できない状態が生じる。
【0007】
このため、従来には、コレットの交換後に、コレットの傾きを検出することが可能な半導体製造装置および半導体装置の製造方法(特許文献1)、及びボンディング装置およびボンディング方法(特許文献2)等が提案されている。
【0008】
特許文献1では、指紋センサを用いて、コレットの取付け状態(傾き)の確認を行うものである。また、特許文献2では、コレットを接触できる位置に突起を設け、コレットの複数の箇所が突起に接触したときの各々の高さに基づきコレットの傾きを判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2019-75446号公報
【特許文献2】特開2016-139629号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1及び特許文献2に記載のものでは、コレットの傾きを検出(検知)するものである。このため、これらにおいては、コレットの傾きだけで、コレットが正常に装着されていないと判断することになる。
【0011】
しかしながら、コレットとしては、弾性変形可能なゴム材で構成されるものでは、傾きが生じていても、予め設定された押し込み量でコレットの弾性変形が完了すれば、生産(ボンディング)に使用できる場合がある。
【0012】
したがって、従来では、コレットの傾きだけで、コレットが正規に装着されていないと判断して、そのコレットを一旦、ボンディング装置(ダイボンダ)から取り外して、再度装着したり、他の新しいものを装着したりすることになる。しかしながら、コレットサイズと生産用に設定された荷重により許容できる傾きを個別に設定する必要があるにもかかわらず、取り付け不良だとするコレットの傾きを固有値に設定すると、前記したように、コレットの装着し直しやコレットの取り換え作業等の不必要な作業(調整)が生じる。
【0013】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、コレットに傾きが生じていても、設定された押し込み量で生産可能な荷重(生産荷重)に達成しているか判断でき、不必要な作業(調整)を生じさせないボンディング装置およびボンディング方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のボンディング装置は、チップを押圧する弾性変形可能なコレットを備えたボンディング装置であって、コレットからのチップへ付与される生産荷重を設定する荷重設定手段と、コレットに荷重を付与する荷重付与手段と、チップ側からのコレットに作用する反力を検出する反力検出手段と、荷重付与手段にてコレットに荷重を付与した際のコレットの押し込み量を検出する押し込み量検出手段と、押し込み量検出手段にて検出した押し込み量と、反力検出手段にて検出した反力とから、コレットからのチップへ付与される荷重が荷重設定手段にて設定されている生産荷重に到達しているか否かを判定する判定手段とを備えたものである。
【0015】
本発明のボンディング装置によれば、荷重設定手段にてコレットからのチップへ付与される生産荷重を設定することができる。ここで、生産荷重とは、通常の正常なピックアップ時や正常ボンディング時に発生する荷重である。また、荷重付与手段にて、コレットに荷重を付与でき、コレットがチップ側からの反力を受ける状態とすることができる。このため、コレットがその反力で、押し込まれることになる。
【0016】
この際、その反力が反力検出手段にて検出でき、その押し込み量は押し込み量検出手段で検出することができる。これによって、判定手段では、押し込み量と反力とから、コレットからのチップへ付与される荷重が生産荷重に到達しているか否かを判定することができる。
【0017】
すなわち、例えば、所定量だけコレットが傾いている場合、その所定量分だけ押し込まなければ、チップ接触面(下面)の全面がチップに接地(接触)しない。しかも、チップには、傾斜していないコレットの前記所定量の半分の荷重(反力)しかかからない。このため、この反力を検知(測定)できれば、傾きを判定できる。ところが、このような場合(傾きが生じている場合)でも、この押し込み量で生産荷重に達している場合があり、達していれば、その傾きを修正することなく、つまりコレットを装着し直しや他のコレットに交換することなく、ピックアップ工程やボンディング工程を行うことができる。ここで、ピックアップ工程とは、チップをコレットに吸着させて、その吸着状態を維持しつつコレットを上昇させて、ピックアップポジションからチップをピックアップする工程である。また、ボンディング工程とは、コレットに吸着されているチップをボンディングポジションでボンディングする工程である。
【0018】
前記判定手段は、コレットの弾性係数を算出する機能を有するものであってもよい。このように、コレットの弾性係数を算出できるものでは、劣化や損傷等のある不良品のコレットを検出したり、コレットを交換した際に、その交換したコレットがピックアップしたりボンディングしたりするチップに対して最適なものでない場合(すなわち、間違ったコレットを装着した場合)の検出が可能となる。
【0019】
この場合、コレットの弾性係数は、生産荷重と、生産荷重よりも小さい任意に設定した最小荷重と、コレットのチップ接触面積と、生産荷重時のコレット高さと、最小荷重時のコレット高さとで算出することができる。これによって、コレットの弾性係数を安定して算出することができる。
【0020】
ボンディング装置として、ピックアップポジションで弾性変形するコレットにてチップを吸着してピックアップし、ボンディングポジションで弾性変形するコレットにて吸着しているチップをボンディングするボンディング装置であって、少なくとも、ボンディングポジションで前記判定手段の判定を行うものであってもよい。この場合、ピックアップポジションでも、判定手段の判定を行ってもよい。前記生産荷重は、ピックアップポジションでは、ピックアップ荷重と呼び、ボンディングポジションではボンディング荷重と呼ぶことができる。また、ピックアップ荷重とボンディング荷重とが同じであっても、相違するものであってもよい。
【0021】
また、ボンディング装置として、ピックアップポジションで弾性変形するコレットにてチップを吸着してピックアップし、ボンディングポジションで弾性変形するコレットにて吸着しているチップをボンディングし、かつ、ピックアップポジションとボンディングポジションとの間にチップが搬送される中間ステージを有するボンディング装置であって、ピックアップポジション、中間ステージ、又はボンディングポジションの少なくともいずれか一つで前記判定手段の判定を行うものであってもよい。この場合の生産荷重は、ピックアップポジション及びボンディングポジションでは、中間ステージを有さないものと同様、ピックアップ荷重及びボンディング荷重と呼ぶことができる。また、中間ステージでは、ピックアップポジションと中間ステージへ搬送するためのコレットと、中間ステージからボンディングポジションへ搬送するためのコレットを必要とする。このため、中間ステージでは、中間ステージへ搬送するためのコレットに対する生産荷重とボンディングポジションへ搬送するためのコレットに対する生産荷重とがある。この際、これらの生産荷重としては、同一であっても相違するものであってもよい。
【0022】
ボンディングポジションでの生産荷重が、ピックアップポジション及び中間ステージでの生産荷重よりも大きいように設定できる。
【0023】
本発明のボンディング方法は、チップを押圧する弾性変形可能なコレットを用いてチップをボンディングするボンディング方法であって、コレットからのチップへ付与される生産荷重を設定する荷重設定工程と、コレットに荷重を付与する荷重付与工程と、チップ側からのコレットに作用する反力を検出する反力検出工程と、荷重付与工程にてコレットに荷重を付与した際のコレットの押し込み量を検出する押し込み量検出工程と、押し込み量検出工程にて検出した押し込み量と、反力検出工程にて検出した反力とから、コレットからのチップへ付与される荷重が荷重設定工程にて設定されている生産荷重に到達しているか否かを判定する判定工程とを備えたものである。
【0024】
本発明のボンディング方法によれば、荷重設定工程にてコレットからのチップへ付与される生産荷重を設定することができる。また、荷重付与工程にて、コレットに荷重を付与でき、コレットがチップ側からの反力を受ける状態とすることができる。このため、コレットがその反力で、押し込まれることになる。
【0025】
この際、その反力が反力検出工程にて検出でき、その押し込み量は押し込み量検出工程で検出することができる。これによって、判断工程では、押し込み量と反力とから、コレットからのチップへ付与される荷重が生産荷重に到達しているか否かを判定することができる。
【0026】
判定工程で、生産荷重に到達していれば、ボンディング動作を行い、生産荷重に到達していなければ、ボンディング動作を行わないようにすることができる。ここで、ボンディング動作とは、ピックアップ工程とボンディング工程とを含む工程である。また、ピックアップ工程は、チップをピックアップする工程であり、ボンディング工程は、チップをボンディングする工程である。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、コレットからのチップへ付与される荷重が生産荷重に到達しているか否かを判定することができる。このため、コレットに傾きがあっても、生産荷重に到達していれば、生産工程(ピックアップ工程やボンディング工程)を行え、コレットの付け直しや他のコレットの装着作業の頻度を少なくできる。しかも、ボンディング装置として、既存の装置を用いることができ、コストアップなしに、生産性に優れたボンディング装置やボンディング方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明のボンディング装置のボンディング動作前の前工程を行う制御部を示す要部構成ブロック図である。
図2】本発明のボンディング装置のボンディング動作を示す簡略図である。
図3】コレットとコレットホルダとの関係を示し(a)はコレットが傾き無しにコレットホルダに装着された状態の簡略図であり、(b)はコレットが傾いた状態でコレットホルダに装着された状態の簡略図である。
図4】反力荷重と押し込み量との関係を示すグラフ図である。
図5】本発明のボンディング方法のボンディング動作前の前工程を示す要部ブロック図である。
図6】ボンディング方法のボンディング動作前の前工程のフロートチャート図である。
図7】本発明の他のボンディング装置のボンディング動作を示す簡略図である。
図8】一般的なボンディング装置のボンディング動作を示す簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下本発明の実施の形態を図1図7に基づいて説明する。
【0030】
図2は、本発明に係るボンディング装置(ダイボンダ)を示し、このボンディング装置
は、ウエハから切り出されるチップ11を(ピックアップポジションP)にてピックアップして、リードフレームなどの基材12のボンディングポジションQに移送(搭載)するものである。ウエハは、金属製のリング(ウエハリング)に張設されたウエハシート(粘着シート10)上に粘着されており、ダイシング工程によって、多数のチップ11に分断(分割)される。なお、チップ11はウエハを素材とし、この素材を正方形や短冊状(矩形)に切断することによって最終製品となる。このため、チップ11には正方形や短冊状(矩形)のものがある。
【0031】
すなわち、ボンディング装置は、搬送手段(移動機構)を介してピックアップポジションPとボンディングポジションQとの間の移動が可能なボンディングアーム(図示省略)を備え、ボンディングアームの先端部は、コレットホルダ14に装着されたコレット13(半導体チップ11を吸着するコレット13)を保持している。
【0032】
この場合、コレットホルダ14は、移動機構にて、ピックアップポジションP上での矢印A方向の上昇および矢印B方向の下降と、ボンディングポジションQ上での矢印C方向の上昇および矢印D方向の下降と、ピックアップポジションPとボンディングポジションQとの間の矢印E、F方向の往復動とが可能とされる。移動機構は制御手段にて前記矢印A、B、C、D、E、Fの移動が制御される。なお、移動機構としては、シリンダ機構、ボールねじ機構、モーターリニア機構等の種々の機構にて構成することができ,XYZθ軸ステージや、XYZθ方向に移動可能なロボットアーム等を使用することができる。
【0033】
なお、本実施形態では、ピックアップポジションPにおけるチップ11をコレット13を介してピックアップする工程をピックアップ工程と呼び、ボンディングポジションQにチップ1をボンディングする工程をボンディング工程と呼び、ピックアップ工程とボンディング工程とを含む工程をボンディング動作と呼ぶ。
【0034】
コレット13は、弾性変形可能なゴムコレットや樹脂コレットであり、図3に示すように、下端面(吸着面)13aに開口する吸着用の吸着孔(図示省略)が形成され、この吸着孔にコレットホルダ14及びボンディングアームを介して図外の真空発生器が接続されている。この真空発生器の駆動にて吸着孔のエアが吸引され、チップ11が真空吸引され、コレット13の下端面13aにチップ11が吸着する。なお、この真空吸引(真空引き)が解除されれば、コレット13からチップ11が外れる。真空発生器としては、真空ポンプを用いるものであっても、高圧空気を開閉制御してノズルよりディフューザに放出して拡散室に負圧を発生させるエジェクタ方式のものであってもよい。
【0035】
また、多数のチップ11に分断(分割)されたウエハは、例えばXYθテーブル上に配置され、このXYθテーブルには突き上げピンを備えた突き上げ手段が配置される。すなわち、突き上げ手段によって、ピックアップしようとするチップ11を下方から突き上げ、粘着シートから剥離しやすくする。この状態で、下降してきたコレット13にこのチップ11が吸着する。
【0036】
コレットホルダ14は、図3(a)(b)に示すように、矩形平板形状のコレット13が嵌着される嵌合凹部15aを有するホルダ本体15と、このホルダ本体15の上面から上方へ延びる軸部16とを備える。図3(a)では、コレット13がコレットホルダ14に対して正常に装着された状態を示し、図3(b)では、コレット13の下面(チップ接触面)13aに傾きが生じている状態を示している。コレット13がコレットホルダ14に対して正常に装着された状態では、チップ接触面13aが吸着すべきチップ11の上面(コレット吸着面11a)と平行状態が維持できる状態であり、チップ接触面13aに傾きが生じている状態では、チップ接触面13aが吸着すべきチップ11の上面(コレット吸着面11a)に対して傾斜している状態である。
【0037】
ところで、コレット13としては、図3(a)に示すように、コレットホルダ14に正常(傾きが0)に装着されることはほとんどない。このため、コレット13に傾きが生じていれば、所定の荷重をコレット13に付与しても、チップ接触面13a全面に荷重(反力)かからないおそれがある。また、傾きがあっても、チップ接触面13a全面に荷重がかかる場合がある。
【0038】
そこで、本発明に係るボンディング装置では、コレット13に傾きが生じていても、設定された押し込み量で生産可能な荷重(生産荷重)に達成しているか判断でき、不必要な作業(調整)を生じさせないものとした。
【0039】
このため、本発明に係るボンディング装置では、図1に示す構成を具備するものである。すなわち、このボンディング装置は、コレット13からのチップ11へ付与される生産荷重を設定する荷重設定手段31と、コレット13に荷重を付与する荷重付与手段32と、チップ側からのコレット13に作用する反力を検出する反力検出手段33と、荷重付与手段32にてコレット13に荷重を付与した際のコレット13の押し込み量を検出する押し込み量検出手段34と、押し込み量検出手段34にて検出した押し込み量と、反力検出手段にて検出した反力とから、コレット13からのチップ11へ付与される荷重が荷重設定手段31にて設定されている生産荷重に到達しているか否かを判定する判定手段35とを備える。
【0040】
荷重設定手段31にて設定する生産荷重とは、予め設定される生産用の荷重であって、チップ11をピックアップする場合では、チップ11に付加するピックピックアップ荷重であり、チップ11をボンディングする場合には、チップ11に付加するボンディング荷重である。このように、設定されたピックアップ荷重をチップ11に付加することによって、ピックアップポジションでのチップ11を安定してピックアップでき、設定されたボンディング荷重をチップ11に付加することによって、ボンディングポジションPでのチップ11を安定してボンディングできる。ここで、安定してピックアップできるとは、ピックアップする際に、チップ11の上面全体がコレット13のチップ接触面13aに接触せずに、ピップアップすべきチップをピックアップできない状態や、チップ11に対して、不要な負荷がかかったりすることなく、チップ11はチップ接触面13aに吸着されて粘着シートから剥離することができることであり、安定してボンディングできるとは、チップ11を基板等に接合できる程度かつ損傷や折れ曲がらない程度に加圧できることである。
【0041】
ところで、図示省略のボンディングヘッドの先端にはボンディングアームが付設され、このボンディングアームにコレットホルダ14が取り付けられることになり、荷重付与手段32は、ボンディングアーム側からコレットホルダ14を介してコレット13に荷重を付与する。荷重付与手段32は、駆動機構(図示省略)と、この駆動機構の駆動力をボンディングアーム側からコレットホルダ14を介してコレット13に伝達するための動力伝達機構(図示省略)とを備える。ここで、駆動機構としては、ボールねじ機構、シリンダ機構、リニアモータ機構等の種々の機構で構成でき、動力伝達機構としては、リンク機構やクランク機構等で構成できる。
【0042】
反力検出手段33として、ロードセルにて構成できる。ここで、ロードセルとは、作用した荷重を電気信号に変換する荷重変換器であり、一般に、磁歪式、静電容量型、ジャイロ式、圧電式、電磁式、音叉式、ひずみゲージ式などがある。この場合、精度が高く温度変化の影響が小さい、出力が電気信号で長距離伝送が可能、計測できる荷重に対し小型であるなどの特徴を有するひずみゲージ式を用いるのが好ましい。
【0043】
この場合、例えば、コレット13のコレットホルダ14がボンディングアームに吊り下げられた状態で収容され、このコレットホルダ14の上部に反力検出手段33としてのロードセルが配置されている。このため、チップ11をコレット13にて吸着している状態で、コレットにチップ11を押圧する荷重を、前記荷重付与手段32にて付与させれば、コレット13が上昇しようとして、ロードセルが上昇する荷重(反力)を受けることになる。このため、ボンディングアームのロードセル受け部にロードセルが押し付けられ、これによって、ロードセルはチップ11からの反力を検出できる。
【0044】
押し込み量検出手段34としては、光学式変位センサや超音波変位センサ等の図示省略の変位センサ等で構成できる。
【0045】
判定手段35は、図示省略のコンピュータで構成できる。ところで、コンピュータは、基本的には、入力機能を備えた入力手段と、出力機能を備えた出力手段と、記憶機能を備えた記憶手段と、演算機能を備えた演算手段と、制御機能を備えた制御手段にて構成される。入力機能は、外部からの情報を、コンピュータに読み取るためのものであって、読み込まれたデータやプログラムは、コンピュータシステムに適した形式の信号に変換される。出力機能は、演算結果や保存されているデータなどを外部に表示するものである。記憶手段は、プログラムやデータ、処理結果などを記憶して保存するものである。演算機能は、データをプログラムの命令に随って、計算や比較して処理するものである。制御機能は、プログラムの命令を解読し、各手段に指示を出すものであり、この制御機能はコンピュータの全手段の統括をする。
【0046】
入力手段には、キーボード、マウス、タブレット、マイク、ジョイスティック、スキャナ、キャプチャーボード等がある。また、出力手段には、モニタ、スピーカー、プリンタ等がある。記憶手段には、メモリ、ハードディスク、CD・CD-R,PD・MO等がある。演算手段には、CPU等があり、制御手段には、CPUやマザーボード等がある。
【0047】
このため、各手段31、32、33、34、及び搬送手段(移動機構)等の制御には、このようなコンピュータを用いることができる。なお、荷重設定手段31は前記入力手段にて構成できる。
【0048】
前記のように構成されたボンディング装置を用いてボンディング動作を行う場合、ボンディングするチップサイズを変更した際や所定時間(期間)同じコレット13を用いた際には、コレット13を交換する必要がある。しかしながら、交換したコレット13が、そのチップ接触面13aが、チップ11のコレット吸着面11aに対して傾斜している場合がある。このような場合には、予め設定された押し込み量で、チップ11を押圧できない場合が生じる。
【0049】
すなわち、図3(b)に示すように、コレット13のチップ接触面13aに傾きθが生じている場合、例えば、チップ接触面13aの最下位点13a1と最上位点13a2との差が所定寸S(例えば、60μm)である傾きがある場合、この60μmだけ押し込まなければ、チップ接触面13aの全面がチップ11のコレット吸着面11aに接触しない。この場合、図4に示すように、正常に装着されたコレット13の場合(この傾きが無いとした場合)の30μm分の荷重しか掛からない。
【0050】
図4に示すように、例えば、コレット傾きが0μmである場合、コレット押し込み量が100μmであるときに、ロードセル荷重(コレット13を押し込んだ際のコレット13がチップ11から受ける反力)を10Nとすると、コレット13を50μmだけ押し込めば、ロードセル荷重が5Nとなる。この図4でコレット傾きとは、チップ接触面13aの最下位点13a1と最上位点13a2との差(所定寸S)である。なお、図3(b)において、クロスハッチング部が、ある反力を受けた場合の押し込まれる部位を示している。
【0051】
図4からわかるように、コレット傾きが20μmである場合、押し込み量を50μmとすれば、ロードセル荷重(反力)が3N程度であり、コレット傾きが40μmである場合、押し込み量を50μmとすれば、ロードセル荷重(反力)が1.8N程度であり、コレット傾きが60μmである場合、押し込み量を50μmとすれば、ロードセル荷重(反力)が1N程度であり、コレット傾きが80μmである場合、押し込み量を50μmとすれば、ロードセル荷重(反力)が0.4N程度であり、コレット傾きが100μmである場合、押し込み量を50μmとすれば、ロードセル荷重(反力)が0.2N程度である。
【0052】
このため、ロードセル荷重が測定できれば、コレット傾きを判定できる。この場合、設定された押し込み量(例えば、100μm)で生産用の荷重(生産荷重)に達すれば、例え、コレット13にコレット傾きが生じていても、傾きを補正することなく、ボンディング動作を行うことができる。
【0053】
このため、本ボンディング装置では、コレット13にコレット傾きが生じていても、傾きを補正することなく、ボンディング動作を行うことができるか否かを判断できる。このためには、まず、傾き測定面(チップ接触面13a)に対して、規定値内に傾きが調整されたコレット(例えば、4隅の傾きが10μm以内のコレット)に所定低荷重(最小荷重)を掛けた状態でのコレット接地高さを測定する。なお、最小荷重とは、コレット13の最下位点13a1がチップ11に接触して、微小量の押し込みがある荷重であり、任意に設定できる。すなわち、この微小量の押し込みがある荷重としては、生産荷重より小さければよい。
【0054】
その後、生産用の設定された荷重(例えば、ピックアップポジションPで行うピックアップ工程では、ピックアップ時に必要なピックアップ荷重であり、ボンディングポジションで行うボンディング工程では、ボンディング時に必要なボンディング荷重である。)に切り替えて、コレット接地高さを測定する。
【0055】
これによって、コレット13のゴム弾性係数を算出する。すなわち、コレット13のゴム弾性係数は、(生産荷重-最小荷重)/コレットのチップ接触面面積/(生産荷重接地高さ-最小荷重接地高さ)で求めることができる。このため、前記コンピュータには、生産荷重毎にゴム弾性係数のテーブルを持つようにする。ここで、接地高さとは、基準位置からコレット13までの高さ(コレット高さ)である。
【0056】
次に、コレット13にコレット傾きが生じていても、傾きを補正することなく、ボンディング動作を行うことができるか否かを判断できる方法(前工程)を説明する。すなわち、この前工程は、図5に示すように、荷重設定工程51と、荷重付与工程52と、反力検出工程53と、押し込み量検出工程54と、判定工程55とを備えることになる。
【0057】
これらの前工程を次の図6に示すフローチャート図を用いて説明する。まず生産荷重を設定する(ステップS1)(ピックアップポジションで行うピックアップ工程では、ピックアップ時に必要なピックアップ荷重であり、ボンディングポジションで行うボンディング工程では、ボンディング時に必要なボンディング荷重である。)。
【0058】
次に、荷重付与手段32にてコレット13に荷重を付与していき(ステップS2)、コレット13が受ける反力(ロードセル荷重)を検出する(ステップS3)。そして、その反力での押し込み量を押し込み量検出手段34で検出する(ステップS4)。その後は、ステップS5へ移行して、このステップS5で生産荷重に到達しているか否かを判断する。この判断としては、制御手段に記憶されているテーブルを利用して判断する。
【0059】
ステップS5で、達していると判断されれば、ステップS6へ移行して、ボンディング動作を行うことになる(ステップS6)。また、ステップS5で生産荷重に到達していないと判断されれば、ステップS7へ移行して、ボンディング動作を行わず、この動作を終了する。
【0060】
また、ステップS6からはステップS7へ移行して、ボンディング動作を終了するか判断し、ボンディング動作を終了する場合は、この工程を終了し、ステップS7でボンディング動作を終了しない場合は、ステップS1へ戻る。
【0061】
ところで、図6に示すフローチャートにおけるボンディング動作とは、ピックアップポジションPで弾性変形するコレット13にてチップ11を吸着してピックアップし、ボンディングポジションQで弾性変形するコレット13にて吸着しているチップ11をボンディングする工程である。
【0062】
このため、生産荷重には、ピックアップポジションPにおける生産荷重とボンディングポジションQでの生産荷重とがあり、一般的には、ボンディングポジションQでの生産荷重がピックアップポジションPにおける生産荷重よりも大である。この場合、ボンディングポジションQにおいて、生産荷重が付与されれば、チップ11をボンディング部位に安定してボンディングすることができる。そのため、ボンディングポジションQで生産荷重に達しているかを判断するようにするのが好ましい。しかしながら、ボンディング装置として、ピックアップポジションPで生産荷重に達しているかを判断するものであってもよい。この場合、ピックアップポジションPのみで生産荷重に達しているかを判断するものであっても、ピックアップポジションP及びボンディングポジションQで生産荷重に達しているかを判断するものであってもよい。
【0063】
本ボンディング装置では、荷重設定手段31にてコレット13からのチップ11へ付与される生産荷重を設定することができる。また、荷重付与手段32にて、コレット13に荷重を付与でき、コレット13がチップ側からの反力を受ける状態とすることができる。このため、コレット13がその反力で、押し込まれることになる。
【0064】
この際、その反力を反力検出手段33にて検出でき、その押し込み量は押し込み量検出手段34で検出することができる。これによって、判定手段35では、押し込みと反力とから、コレット13からのチップ11へ付与される荷重が生産荷重に到達しているか否かを判定することができる。
【0065】
すなわち、例えば、所定量だけコレット13が傾いている場合、その所定量分だけ押し込まなければ、チップ接触面(下面)13aの全面がチップ11に接地(接触)しない。しかも、チップ11には、傾斜していないコレット13の所定量の半分の荷重(反力)しかかからない。このため、この反力を検知(測定)できれば、傾きを判定できる。ところが、このような場合でも、この押し込み量で生産荷重に達している場合があり、達していれば、コレット13を装着し直しや他のコレット13に交換することなく、ピックアップ工程やボンディング工程を行うことができる。
【0066】
このため、本発明は、コレット13からのチップ11へ付与される荷重が生産荷重に到達しているか否かを判定することができる。このため、コレット13に傾きがあっても、生産荷重に到達していれば、生産工程(ピックアップ工程やボンディング工程)を行え、コレット13の付け直しや他のコレット13の装着作業の頻度を少なくできる。しかも、ボンディング装置として、既存の装置を用いることができ、コストアップなしに、生産性に優れたボンディング装置やボンディング方法を提供できる。
【0067】
ところで、本ボンディング装置では、判定手段35は、コレット13の弾性係数を算出する機能を有するものである。このように、コレット13の弾性係数を算出できるものでは、劣化や損傷等のある不良品のコレット13を検出したり、コレット13を交換した際に、その交換したコレット13がピックアップしたりボンディングしたりするチップ11に対して最適なものでない場合(すなわち、間違ったコレット13を装着した場合)の検出が可能となる。
【0068】
この場合、コレット13の弾性係数は、生産荷重と、生産荷重よりも小さい任意に設定した最小荷重と、コレット13のチップ接触面積と、生産荷重時のコレット高さと、最小荷重時のコレット高さとで算出することができる。これによって、コレット13の弾性係数を安定して算出することができる。
【0069】
ところで、このコレット弾性係数の算出は常温である領域、例えば、後述する中間ステージ63等で行うのが好ましいが、チップ11を接着するボンディング領域で行ってもよい。あるいは両方で行ってもよい。ボンディング領域は一般的に昇温されているため、コレット13の温度変化や熱膨張を伴うため、弾性係数や押込み量ごとの反力が常温での算出結果と一致しないことがある。よって2つの反力変化テーブルを持ち、生産開始時(コレット常温)と生産安定時(コレット昇温)の押込み量を変化させてもよい。
【0070】
図7(a)(b)に示すボンディング装置は、ピックアップポジションPとボンディングポジションQとの間に、チップ11が搬送される中間ステージ63を有するものである。すなわち、チップ11をピックアップポジションPにおいてピックアップ側コレット62にてピックアップして、ピックアップ側コレット62にて吸着されているチップ11を中間ステージ63に供給し、この中間ステージ63上に供給されているチップ11をボンディング側コレット64にてピックアップして、ボンディング側コレット64にて吸着されているチップ11を基板65等のボンディングポジションQに供給するものである。なお、ピックアップポジションPのチップ11は、ウエハ66から多数に分割されてなる。
【0071】
ピックアップ側コレット62は、コレットホルダを介してアーム(図示省略)が接続され、このアームがピックアップ側搬送手段(図示省略)にて、X、Y、Z及びθ方向に駆動することができる。この場合、ピックアップ側搬送手段としては、ロボットアーム機構やXYZθ軸ステージ等で構成できる。
【0072】
ピックアップ側コレット62は、図7(a)に示す移動が可能となっている。すなわち、待機位置、つまり、ピックアップポジションPと中間ステージ63との中間位置の上部位置から、矢印C1方向に沿ってピックアップポジションPの上方位置までの移動、この位置から矢印D1方向に沿って下降して、ピックアップポジションPにおけるチップ11を吸着するための移動、この位置から矢印D2方向に沿って上昇してピックアップポジションPの上方位置までの移動、この位置から矢印C2方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。また、待機位置から矢印C3方向に沿って中間ステージ63の上方位置までの移動、この位置から矢印D3方向に沿って下降して、中間ステージ63上のチップ供給位置へチップを供給するための移動、この位置から矢印D4方向に沿って上昇して中間ステージ63の上方位置までの移動、この位置から矢印C4方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。
【0073】
ボンディング側コレット64は、コレットホルダを介してアーム(図示省略)が接続され、このアームがボンディング側コレット搬送手段にて、X、Y、Z及びθ方向に駆動することができる。このボンディング側コレット搬送手段も、ロボットアーム機構やXYZθ軸ステージ等で構成できる。
【0074】
これによって、ボンディング側コレット64は、図7(b)に示す移動が可能となって
いる。ボンディングポジションQと中間ステージ63との中間位置の上部位置から、矢印E1方向に沿って中間ステージ63の上方位置までの移動、この位置から矢印F1方向に沿って下降して、中間ステージ63上のチップ11を吸着するための移動、この位置から矢印F2方向に沿って上昇して中間ステージ63の上方位置までの移動、この位置から矢印E2方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。また、待機位置から矢印E3方向に沿ってボンディングポジションQの上方位置までの移動、この位置から矢印F3方向に沿って下降して、ボンディングポジションQへチップ11を供給するための移動、この位置から矢印F4方向に沿って上昇してボンディングポジションQの上方位置までの移動、この位置から矢印E4方向に沿って待機位置まで戻す移動が可能である。
【0075】
ところで、このボンディング装置では、ピックアップ側コレット62では、ピックアップポジションPでチップ11をピックアップし、中間ステージ63でチップ11を供給(載置)することになり、ボンディング側コレット64では、中間ステージ63でチップをピックアップし、ボンディングポジションQでチップ11をボンディングすることになる。
【0076】
このため、このように中間ステージ63を備えたボンディング装置では、ピックアップポジションP、中間ステージ63、又はボンディングポジションQの少なくともいずれか1つで、判定手段35の判定が行えるものであればよい。
【0077】
この場合、ピックアップポジションP、中間ステージ63、及びボンディングポジションQで判定手段35の判定を行えるものであっても、ピックアップポジションP、中間ステージ63、及びボンディングポジションQのうち、いずれか2箇所で判定を行うものであっても、いずれかの1箇所で判定を行うものであってもよい。
【0078】
生産荷重としては、ボンディングポジションQでの生産荷重が他の部位での生産荷重よりも大きく設定される。また、中間ステージ63では、ピックアップ側コレット62による中間ステージ63上へのチップ11の供給と、ボンディング側コレット64による中間ステージ上のチップ11のピックアップがある。このため、中間ステージ63では、ピックアップ側コレット62のチップ供給のための生産荷重と、ボンディング側コレット64にてチップ11をピックアップするための生産荷重とがあり、これらの生産荷重として、相違する場合と同一である場合とがある。
【0079】
したがって、図7に示すような中間ステージ63を有するボンディング装置であっても、このような中間ステージ63を有さないボンディング装置と同様の作用効果を奏する。
【0080】
本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、本ボンディング装置およびボンディング方法では、半導体装置の製造に用いるものであるが、半導体装置として、複数枚のチップ11が積層されてなるものであっても、基板に1枚のチップ11がボンディングされるものであってもよい。半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【0081】
コレット13のチップ接触面13aの大きさとしては、チップ11のコレット吸着面11aの大きさより小さいほうが好ましいが、複数数枚のチップ11が積層されるものを製造する場合、下位のチップ11より上位のチップ11がはみ出す場合(オーバーハングしている場合)には、そのオーバーハング量より小さくするのが好ましい。また、コレット13のチップ接触面13aの形状として、正方形、矩形(長方形)、三角形、五角形以上のものであってもよい。コレット13に形成される吸着孔の数、配置位置、口径、及び断面形状として、ピックアップするチップ11の大きさ等に応じて、種々変更できる。
【0082】
ところで、図6に示す前工程を行うタイミングとしては、コレットを交換した際に行うことが好ましいが、所定時間経過した後に行うものであってもよい。
【0083】
なお、実施形態では、説明の簡略化のため、コレット13のチップ接触面13aに傾きが生じている場合として、2次元的な傾きで説明したが、傾きが生じる場合として、2次元的な傾きに限るものではなく、3次元的な傾きもある。しかしながら、3次元的に傾いていても、このボンディング装置およびボンディング方法では、2次元的に傾いている場合と同様、「コレットに傾きが生じていても、設定された押し込み量で生産可能な荷重(生産荷重)に達成しているか判断でき、不必要な作業(調整)を生じさせない」ものとすることができる。
【符号の説明】
【0084】
11 半導体チップ
13 コレット
31 荷重設定手段
32 荷重付与手段
33 反力検出手段
34 押し込み量検出手段
35 判定手段
51 荷重設定工程
52 荷重付与工程
53 反力検出工程
54 押し込み量検出工程
55 判定工程
62 ピックアップ側コレット
63 中間ステージ
64 ボンディング側コレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8