(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091359
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 85/16 20140101AFI20220614BHJP
E05B 41/00 20060101ALI20220614BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20220614BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220614BHJP
F21S 45/00 20180101ALI20220614BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20220614BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20220614BHJP
【FI】
E05B85/16 B
E05B41/00 H
B60J5/04 H
F21S2/00 430
F21S45/00
F21V23/00 115
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204155
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 勇介
【テーマコード(参考)】
2E250
3K014
3K244
3K273
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB08
2E250BB27
2E250DD06
2E250FF08
2E250FF23
2E250FF27
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
2E250JJ10
2E250KK03
2E250LL01
2E250SS05
2E250SS08
3K014AA01
3K244AA04
3K244BA50
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA08
3K244EA12
3K273PA07
3K273QA27
3K273QA33
3K273QA37
3K273SA15
3K273SA36
3K273SA60
3K273TA05
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA35
3K273TA41
3K273TA47
3K273TA54
3K273TA64
3K273TA75
3K273UA16
3K273UA22
3K273UA23
3K273UA26
3K273VA01
3K273VA08
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で耐候性に優れたドアハンドル装置を提供する。
【解決手段】車両のドアハンドル10に、照光部70と受電部61とを有する照光ユニット6と、受電部61に電力を供給する送電部55と、携帯端末と非接触で通信可能な非接触通信部51とを有するセンサユニット5と、を備え、照光ユニット6は、ドアハンドル10の外部から照光部70の照光状態が視認可能に配置され、照光ユニット6及びセンサユニット5は、互いが離間した状態でドアハンドル10に埋設され、且つ、送電部55から受電部61に非接触での給電が可能となるように構成され、センサユニット5は、携帯端末と非接触通信部51との間の通信に基づいてドアハンドル10を有する車両ドアの解錠または施錠が可能であり、照光ユニット6は、携帯端末と非接触通信部51との間の通信に基づいて照光部70の照光状態が制御される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアハンドルに、照光部と受電部とを有する照光ユニットと、
前記受電部に電力を供給する送電部と、携帯端末と非接触で通信可能な非接触通信部とを有するセンサユニットと、を備え、
前記照光ユニットは、前記ドアハンドルの外部から前記照光部の照光状態が視認可能に配置され、
前記照光ユニット及び前記センサユニットは、互いが離間した状態で前記ドアハンドルに埋設され、且つ、前記送電部から前記受電部に非接触での給電が可能となるように構成され、
前記センサユニットは、前記携帯端末と前記非接触通信部との間の通信に基づいて前記ドアハンドルを有する車両ドアの解錠または施錠が可能であり、
前記照光ユニットは、前記通信に基づいて前記照光部の照光状態が制御されるドアハンドル装置。
【請求項2】
前記送電部は、前記照光部の照光状態を制御する制御情報を重畳して前記受電部に電力を送電する請求項1に記載のドアハンドル装置。
【請求項3】
前記制御情報は、前記電力における電圧の振幅を変えることで設定されている請求項2に記載のドアハンドル装置。
【請求項4】
前記制御情報は、前記通信による認証結果に基づく、前記車両ドアの解錠情報または施錠情報である請求項2または3に記載のドアハンドル装置。
【請求項5】
前記センサユニットは、ユーザの前記ドアハンドルへの接触を検知することで前記車両ドアの解錠または施錠が可能となる接触検知部を更に有し、
前記照光部は、前記接触検知部がユーザの前記ドアハンドルへの接触を検知した際に照光する請求項1から4のいずれか一項に記載のドアハンドル装置。
【請求項6】
前記照光部は、前記通信による認証が完了した際に照光する請求項1から5のいずれか一項に記載のドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キーレスエントリーシステムが装備された車両においては、車両ドアの施錠や解錠が携帯端末等によって行われる。車両のキーレスエントリーシステムにおいて、携帯端末等からの信号を受け、ロック機構が動作完了した後の車両ドアの施錠状態や解錠状態をドアハンドルに設けた照光部(文献では「表示部」)により視認できる技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の技術では、照光部にLED等が使用され、照光部はドアハンドルの外面側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用のドアハンドルに照光部を設ける場合、ドアハンドルは車外に露出する状態で配置される。照光部を構成するLEDパッケージ等は水分に弱いことから、ドアハンドルには防水処理が必須になる。また、ドアハンドルに発光する照光部を組み込むことで、ドアハンドル内において配線が複雑になるため、ドアハンドルにおいて照光部の組付性が低下し、さらに断線等により接続不良となるおそれもある。
【0005】
そこで、簡易な構造で耐候性に優れたドアハンドル装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るドアハンドル装置の特徴構成は、車両のドアハンドルに、照光部と受電部とを有する照光ユニットと、前記受電部に電力を供給する送電部と、携帯端末と非接触で通信可能な非接触通信部とを有するセンサユニットと、を備え、前記照光ユニットは、前記ドアハンドルの外部から前記照光部の照光状態が視認可能に配置され、前記照光ユニット及び前記センサユニットは、互いが離間した状態で前記ドアハンドルに埋設され、且つ、前記送電部から前記受電部に非接触での給電が可能となるように構成され、前記センサユニットは、前記携帯端末と前記非接触通信部との間の通信に基づいて前記ドアハンドルを有する車両ドアの解錠または施錠が可能であり、前記照光ユニットは、前記通信に基づいて前記照光部の照光状態が制御される点にある。
【0007】
本構成によれば、照光ユニット及びセンサユニットが、互いが離間した状態でドアハンドルに埋設されているので、ドアハンドルの最外面に照光ユニットを独立させて密閉収容することができ、照光ユニットの耐候性を向上させることができる。また、照光ユニットの受電部はセンサユニットの送電部から非接触での給電が可能となるように構成されているので、センサユニットと照光ユニットとの間には配線が不要になり、断線等によるセンサユニットと照光ユニットとの接続不良を回避することができる。
【0008】
こうして、車両のドアハンドルに配置される照光部の照光状態から車両ドアのロック状態を視認可能なドアハンドル装置が、簡易な構造によって構成することができる。
【0009】
他の特徴構成は、前記送電部は、前記照光部の照光状態を制御する制御情報を重畳して前記受電部に電力を送電する点にある。
【0010】
本構成によれば、センサユニットから照光ユニットに電力供給するだけで照光部の照光状態を制御することができるので、照光部の照光状態を制御するために別途信号を送信する必要がない。したがって、ドアハンドル装置の構造を簡素化することができる。
【0011】
他の特徴構成は、前記制御情報は、前記電力における電圧の振幅を変えることで設定されている点にある。
【0012】
本構成によれば、制御情報が電力における電圧の振幅を変えることで設定されているので、電圧の振幅に対して適正な閾値を設けることで、閾値によって区分される電圧に応じて照光部の照光状態を容易に制御することができる。
【0013】
他の特徴構成は、前記制御情報は、前記通信による認証結果に基づく、前記車両ドアの解錠情報または施錠情報である点にある。
【0014】
本構成によれば、制御情報が通信による認証結果に基づく車両ドアの解錠情報または施錠情報であるので、当該制御情報に基づいて照光部の照光状態が制御されることで、照光部の照光状態から車両ドアが施錠状態または解錠状態であるかを確実に把握することができる。
【0015】
他の特徴構成は、前記センサユニットは、ユーザの前記ドアハンドルへの接触を検知することで前記車両ドアの解錠または施錠が可能となる接触検知部を更に有し、前記照光部は、前記接触検知部がユーザの前記ドアハンドルへの接触を検知した際に照光する点にある。
【0016】
本構成によれば、接触検知部がユーザのドアハンドルへの接触を検知することで車両ドアが解錠処理または施錠処理される際に照光部が照光するので、車両ドアのロック状態と照光部の照光状態との関係を把握し易い。
【0017】
他の特徴構成は、前記照光部は、前記通信による認証が完了した際に照光する点にある。
【0018】
本構成によれば、携帯端末との通信による認証が完了した際に照光部が照光するので、車両ドアが解錠処理または施錠処理される際には既に照光部が照光しており、車両ドアのロック状態を迅速に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】ドアハンドル装置を用いたシステムの概略を示すブロック図である。
【
図6】第1実施形態の解錠処理におけるフローチャートである。
【
図7】第1実施形態の施錠処理におけるフローチャートである。
【
図8】第2実施形態の解錠処理におけるフローチャートである。
【
図9】第2実施形態の施錠処理におけるフローチャートである。
【
図10】別実施形態のドアハンドル装置を用いたシステムの概略を示すブロック図である。
【
図11】別実施形態の受電電圧の波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明に係るドアハンドル装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態に限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0021】
図1には、本発明の一例であるドアハンドル装置1を用いたドア錠システム100が示される。ドア錠システム100では、車両(不図示)と車両の乗員(ユーザの一例)が所持する携帯端末2との間の通信を利用して車両ドア(不図示)の施錠と解錠がなされる。
【0022】
ドアハンドル装置1は、携帯端末2との通信等を制御するセンサユニット5と、車両ドアの施錠状態または解錠状態に基づいて照光する照光ユニット6とを備える。また、ドア錠システム100は、車両ドアの施錠解錠を制御するドア制御ユニット8を備える。本実施形態において、ドア制御ユニット8は車両ドアに設けられている。
【0023】
図2から
図4に示すように、ドアハンドル装置1はドアハンドル10に備えられている。ドアハンドル10は、車両ドアの外面に配置され、車両の乗員が車両ドアを開扉又は閉扉する際に操作される。ドアハンドル10は、車両ドアを開扉又は閉扉する際に車両の乗員により把持される横長状のハンドル本体11と、ハンドル本体11の長手方向の両側から車両ドアに向けて設けられるドア接続部12,13と、を有する。センサユニット5及び照光ユニット6は、互いが離間した状態でドアハンドル10のハンドル本体11に埋設されており、後述の通り、センサユニット5の送電部55から照光ユニット6の受電部61に非接触での給電が可能となるように構成されている。
【0024】
ドアハンドル10は、例えば樹脂製であって中実の筐体として形成される。ハンドル本体11の外面側11a(車両ドアから最も遠い側)には照光ユニット6を挿入配置する凹部14が形成される。
図2から
図4に示すように、照光ユニット6及び凹部14はハンドル本体11に対応して横長状に形成されている。センサユニット5は、ドアハンドル10において照光ユニット6よりも車両ドアに近接する位置であるハンドル本体11の内面側11bに配置されている。センサユニット5は、一方のドア接続部12の内部に向けて延設されて車両に搭載される制御ユニット(不図示)に接続されるよう構成されている。
【0025】
図1、
図3、
図4に示すように、センサユニット5は、非接触通信部51、解錠検知部52(接触検知部の一例)、施錠検知部53(接触検知部の一例)、アンテナ54、送電部55、センサ制御部56を有する。
【0026】
非接触通信部51は、例えば、NFC(Near Field Communication)を用いて携帯端末2と非接触通信が可能に構成されている。車両の乗員が車両ドアの施錠または解錠をする際に、携帯端末2を非接触通信部51が設けられた部位にかざすことで携帯端末2と非接触通信部51との通信が行われる。非接触通信部51には、通信プログラム及び認証プログラムが備えられ、携帯端末2が車両に対応する正規の端末であるか否かを判定する認証処理を行うことができる。非接触通信部51の認証結果はセンサ制御部56に送信され、認証結果に基づいてドア制御ユニット8(
図1)に車両ドアを施錠又は解錠させる信号がセンサ制御部56から送信される。送信された信号に基づきドア制御ユニット8がドアロック機構(不図示)を制御することにより、車両ドアの施錠処理又は解錠処理がなされる。このように、センサユニット5は、携帯端末2と非接触通信部51との間の通信に基づいて車両ドアの解錠または施錠を行う。
【0027】
解錠検知部52は、ハンドル本体11の車両側に配置され、車両の乗員が車両ドアを解錠する際のドアハンドル10への接触を検知する。施錠検知部53は、ハンドル本体11の車両側とは反対の外部側に配置され、車両の乗員が車両ドアを施錠する際のドアハンドル10への接触を検知する。アンテナ54は、キーレスエントリーリモコン(不図示)との間で通信を行うことができる。送電部55は、照光ユニット6に備えられる後述の受電部61に対して非接触での給電が可能となるように構成されている。送電部55から受電部61への非接触での給電は、例えば、電磁誘導を用いて行われる。具体的には、送電部55に送電側コイルを設け、受電部61に受電側コイルを設けて、送電側コイルに発生させた磁束を受電側コイルに鎖交させて誘導起電力を発生させることで、送電部55から受電部61への非接触での給電が可能となる。送電部55の送電側コイルには、送電部55内に設けられた電源回路により交流電力が印加されるように構成することができる。センサ制御部56は、センサユニット5とドア制御ユニット8との状態に基づき、ドアハンドル10の全体を制御する。
【0028】
ドア制御ユニット8は、制御プログラム等を用いて車両ドアの施錠と解錠とを制御する。制御プログラムは、車両ドアのロック機構は、ドア制御ユニット8からの信号に基づいて車両ドアの施錠又は解錠をする。車両ドアが施錠されているか否か(施錠状態か解錠状態か)は、例えば、不図示の検出部によって検出され当該検出信号がドア制御ユニット8に送信される。
【0029】
図1から
図4に示すように、照光ユニット6は、照光制御部60と照光部70とによって構成されている。照光ユニット6は、携帯端末2と非接触通信部51との通信に基づいて照光部70の照光状態が制御される。照光制御部60は、受電部61、整流回路62、電圧変換回路63、受電検知部64、光源制御部65を有する。照光部70は、光源71、導光板72、透過カバー73を有する。
【0030】
受電部61は、センサユニット5の送電部55から送電された電力を受電する。整流回路62は、受電部61によって受電した交流電力を直流電力に変換する。電圧変換回路63は、変換された直流電力の電圧を所望の電圧に変換する。受電検知部64は、受電部61が受電した電力状態を検知する。光源制御部65は、受電検知部64によって検知された電力状態情報に基づいて光源71の点灯、点滅、消灯の状態を制御する。
【0031】
光源71は、指定された表示色で点灯、点滅が可能であり、例えばLEDや有機ELによって構成され、導光板72に向けて光を照射する。導光板72は、光源71から出射された光を内部に入射させて全体に導光させて、透過カバー73の側に光を出射させる。透過カバー73はハンドル本体11の外側から導光板72が視認可能に配置されている。透過カバー73には照光制御部60と光源71とを遮蔽する遮蔽部74が設けられている。
【0032】
センサユニット5の送電部55は、照光ユニット6の受電部61に送電する電力に照光部70の照光状態を制御する制御情報を重畳して送電する。当該制御情報とは、携帯端末2と非接触通信部51との間の通信による認証結果に基づく、車両ドアの解錠情報または施錠情報である。具体的には、送電部55は、センサユニット5において取得された認証結果に基づく車両ドアの解錠情報または施錠情報に応じて、電圧の振幅を変えた交流電力を送電する。本実施形態では、照光部70の照光状態を制御する制御情報は、送電部55から送電される電力における電圧の振幅を変えることで設定される。
【0033】
このように、送電部55が、照光部70の照光状態を制御する制御情報を重畳した電力を照光ユニット6の受電部61に送電することで、センサユニット5から照光ユニット6に電力供給するだけで、照光部70の照光状態を制御することができる。したがって、照光部70の照光状態を制御するために別途信号を送信する必要がない。その結果、ドアハンドル装置1の構造を簡素化することができる。また、制御情報が携帯端末2と非接触通信部51との間の通信による認証結果に基づく車両ドアの解錠情報または施錠情報であるので、当該制御情報に基づいて照光部70の照光状態が制御されることで、照光部70の照光状態から車両ドアが施錠状態または解錠状態であるかを確実に把握することができる。
【0034】
図5は、照光ユニット6の受電検知部64が検知する受電電圧の波形を示す。送電部55から送電される電力における複数の電圧の振幅の大きさの相対関係(大小関係)は、受電部61で発生する複数の誘導起電力の電圧の振幅の大きさの相対関係に反映される。すなわち、送電部55から送電される電力における複数の電圧の振幅の大きさを変化させれば、受電部61で発生する複数の誘導起電力の電圧の振幅の大きさが変化する。本実施形態においては、送電部55は電圧の振幅の大きさが異なる3種類の電力を送電し、受電部61は電圧の振幅の大きさが異なる3種類の電力を受電する。
【0035】
受電検知部64は、受電した3種類の電力における夫々の電圧の振幅に対し予め定められた閾値に達するか否かを判定する。波形Aは制御情報が重畳されたときの波形であり、波形Aの電圧は、振幅の最大値が第一の電圧振幅(第一閾値)を越える電圧(第一電圧)である。波形Bは別の制御情報が重畳されたときの波形であり、波形Bの電圧は、振幅の最大値が第二の電圧振幅(第二閾値)を越えて第一の電圧振幅(第一閾値)以下の電圧(第二電圧)である。波形Cはさらに別の制御情報が重畳されたときの波形であり、波形Cの電圧は、振幅の最大値が第二の電圧振幅(第二閾値)以下の電圧(第三電圧)である。受電検知部64によって検知された電圧振幅の種別は光源制御部65に入力される。光源制御部65は、入力された電圧振幅の種別に基づいて、予め定められた発色がなされるように光源71を駆動する。
図5に示す例では、波形A、波形B、及び波形Cで示されるような異なる種別の電圧振幅に基づいて3パターンの発色が可能である。このように、照光部70の照光状態を制御する制御情報が電力における電圧の振幅を変えることで設定されているので、電圧の振幅に対して適正な閾値を設けることで、閾値によって区分される電圧に応じて照光部70の照光状態を容易に制御することができる。なお、
図5に示す例では、電圧の波形が正弦波状であるが、電圧の波形は矩形波であってもよい。また、閾値となる電圧の振幅を更に設定することにより、4種類以上の制御情報を用いて照光部70の照光状態を制御することも可能である。
【0036】
本実施形態では、照光ユニット6及びセンサユニット5が、互いが離間した状態でドアハンドル10に埋設されているので、ドアハンドル10の最外面に照光ユニット6を独立させて密閉収容することができ、照光ユニット6の耐候性を向上させることができる。また、センサユニット5の送電部55から照光ユニット6の受電部61に非接触での給電が可能となるように構成されているので、センサユニット5と照光ユニット6との間には配線が不要になり、断線等によるセンサユニット5と照光ユニット6との接続不良を回避することができる。
【0037】
図6~
図7のフローチャートを参照し、車両ドアの施錠処理及び解錠処理を説明する。
【0038】
図6は、携帯端末2による解錠認証要求に基づく解錠処理のフローチャートである。非接触通信部51に対して携帯端末2の近距離無線通信による解錠認証要求がなされると(ステップ#1)、非接触通信部51は、携帯端末2との通信により携帯端末2が車両に対応する携帯端末2であるかの認証処理を行う(ステップ#2)。
【0039】
その後、認証処理が完了し(ステップ#2,Yes)、車両ドアが施錠状態であること (ステップ#3,Yes)、及び、解錠認証が正常に完了したこと(ステップ#4,Yes)、が確認されると、ドア制御ユニット8が解錠処理を実行する(ステップ#5)。続いて、ドア制御ユニット8によって車両ドアの解錠状態が検知されると(ステップ#6,Yes)、センサユニット5の送電部55から受電部61に向けて、受電部61で第一の電圧振幅を越える波形A(
図5参照、第一電圧)の電力が受電できるような電力が送電される(ステップ#7)。続いて、照光ユニット6の受電検知部64では波形Aの電圧振幅が検知され、光源制御部65によって当該電圧振幅に基づく照光制御(第一照光制御)が行われる(ステップ#8)。この場合には、光源制御部65によって、例えば光源71が青色に点灯するように制御される。
【0040】
一方、ステップ#4において解錠認証が正常完了していないことが確認されると(ステップ#4,No)、センサユニット5の送電部55から受電部61に向けて、受電部61で第二の電圧振幅を越えて第一の電圧振幅以下の波形B(
図5参照、第二電圧)の電力が受電できるような電力が送電される(ステップ#9)。照光ユニット6の受電検知部64では波形Bの電圧振幅が検知され、光源制御部65によって当該電圧振幅に基づく照光制御(第二照光制御)が行われる(ステップ#10)。この場合には、光源制御部65によって、例えば光源71が赤色に点滅するように制御される。
【0041】
なお、所定時間内に認証処理が完了しないとき(ステップ#2、No)、車両ドアが解錠状態のとき(ステップ#3,No)、及び、車両ドアが所定時間経過しても解錠状態にならず施錠状態のとき(ステップ#6,No)には、解錠処理を終了する。
【0042】
図7は、携帯端末2による施錠認証要求に対する処理のフローチャートである。非接触通信部51に対して携帯端末2の近距離無線通信による施錠認証要求がなされると(ステップ#21)、非接触通信部51は、携帯端末2との通信により携帯端末2が車両に対応する携帯端末2であるかの認証処理を行う(ステップ#22)。
【0043】
その後、認証処理が完了し(ステップ#22,Yes)、車両ドアが解錠状態であること (ステップ#23,Yes)、及び、施錠認証が正常に完了したこと(ステップ#24,Yes)、が確認されると、ドア制御ユニット8が施錠処理を実行する(ステップ#25)。続いて、ドア制御ユニット8によって施錠状態が検知されると(ステップ#26,Yes)、センサユニット5の送電部55から受電部61に向けて、受電部61で第二の電圧振幅以下の波形C(
図5参照、第三電圧)の電力が受電できるような電力が送電される(ステップ#27)。続いて、照光ユニット6の受電検知部64では波形C(第三電圧)の電圧振幅が検知され、光源制御部65によって当該電圧振幅に基づく照光制御(第三照光制御)が行われる(ステップ#28)。この場合には、光源制御部65によって、例えば光源71が緑色に点灯するように制御される。
【0044】
一方、ステップ#24において施錠認証が正常完了していないことが確認されると(ステップ#24,No)、センサユニット5の送電部55から受電部61に向けて、受電部61で第二の電圧振幅を越えて第一の電圧振幅以下の波形B(
図5参照、第二電圧)の電力が受電できるような電力が送電される(ステップ#29)。照光ユニット6の受電検知部64では波形Bの電圧振幅が検知され、光源制御部65によって当該電圧振幅に基づく照光制御(第二照光制御)が行われる(ステップ#30)。この場合には、光源制御部65によって、例えば光源71が赤色に点滅するように制御される。
【0045】
なお、所定時間内に認証処理が完了しないとき(ステップ#22、No)、車両ドアが施錠状態のとき(ステップ#23,No)、及び、車両ドアが所定時間経過しても施錠状態にならず解錠状態のとき(ステップ#26,No)には、施錠処理を終了する。
【0046】
このように、本実施形態では、携帯端末2との通信による認証のみによって車両ドアが解錠処理または施錠処理される際に照光部70が照光するので、車両ドアのロック状態を迅速に確認することができる。また、ハンドル本体11の外面側11aにおいて、照光部70と非接触通信部51とが隣接して配置されているため、車両の乗員が携帯端末2を用いてドアハンドル10に対して施錠操作または解錠操作を行う際に、照光部70から車両ドアのロック状態を認識し易い。
【0047】
〔第2実施形態〕
別形態の照光ユニット6の照光制御について、
図8~
図9のフローチャートを参照して説明する。
【0048】
図8は、携帯端末2またはキーレスエントリーリモコン(以下、「電子キー」と称する。)による解錠処理のフローチャートである。携帯端末2から非接触通信部51(または電子キーからアンテナ54)に対し認証要求がなされると(ステップ#31)、携帯端末2(または電子キー)が車両に対応するものであるか否かの認証処理が行われる(ステップ#32)。
【0049】
その後、認証処理が完了し(ステップ#32,Yes)、車両ドアが施錠状態であること(ステップ#33,Yes)、解錠検知部52における接触検知(ステップ#34,Yes)、及び、認証が正常に完了したこと(ステップ#35,Yes)、が確認されると、ドア制御ユニット8は解錠処理を実行する(ステップ#36)。続いて、ドア制御ユニット8によって解錠状態が検知されると(ステップ#37,Yes)、センサユニット5の送電部55から受電部61に向けて、受電部61で第一の電圧振幅を越える波形A(
図5参照、第一電圧)の電力が受電できるような電力が送電される(ステップ#38)。続いて、照光ユニット6の受電検知部64では波形Aの電圧振幅が検知され、光源制御部65によって当該電圧振幅に基づく照光制御(第一照光制御)が行われる(ステップ#39)。この場合には、光源制御部65によって、例えば光源71が青色に点灯するように制御される。
【0050】
一方、ステップ#35において認証が正常に完了していないことが確認されると(ステップ#35,No)、センサユニット5の送電部55から受電部61に向けて、受電部61で第二の電圧振幅を越えて第一の電圧振幅以下の波形B(
図5参照、第二電圧)の電力が受電できるような電力が送電される(ステップ#40)。照光ユニット6の受電検知部64では波形Bの電圧振幅が検知され、光源制御部65によって当該電圧振幅に基づく照光制御(第二照光制御)が行われる(ステップ#41)。この場合には、光源制御部65によって、例えば光源71が赤色に点滅するように制御される。
【0051】
なお、所定時間内に認証処理が完了しないとき(ステップ#32、No)、車両ドアが解錠状態のとき(ステップ#33,No)、車両ドアが所定時間経過しても解錠検知部52において接触が検知されないとき(ステップ#34,No)及び、車両ドアが所定時間経過しても解錠状態にならず施錠状態のとき(ステップ#37,No)には、解錠処理を終了する。
【0052】
図9は、携帯端末2または電子キーによる施錠処理のフローチャートである。携帯端末2から非接触通信部51(または電子キーからアンテナ54)に対して認証要求がなされると(ステップ#51)、携帯端末2(または電子キー)が車両に対応するものであるか否かの認証処理が行われる(ステップ#52)。
【0053】
その後、認証処理が完了し(ステップ#52,Yes)、車両ドアが解錠状態であること (ステップ#53,Yes)、施錠検知部53における接触検知(ステップ#54,Yes)、及び、施錠認証が正常に完了したこと(ステップ#55,Yes)、が確認されると、ドア制御ユニット8が施錠処理を実行する(ステップ#56)。続いて、ドア制御ユニット8によって施錠状態が検知されると(ステップ#57,Yes)、センサユニット5の送電部55から受電部61に向けて、受電部61で第二の電圧振幅以下の波形C(
図5参照、第三電圧)の電力が受電できるような電力が送電される(ステップ#58)。続いて、照光ユニット6の受電検知部64では波形C(第三電圧)の電圧振幅が検知され、光源制御部65によって当該電圧振幅に基づく照光制御(第三照光制御)が行われる(ステップ#59)。この場合には、光源制御部65によって、例えば光源71が緑色に点灯するように制御される。
【0054】
一方、ステップ#55において施錠認証が正常完了していないことが確認されると(ステップ#55,No)、センサユニット5の送電部55から受電部61に向けて、受電部61で第二の電圧振幅を越えて第一の電圧振幅以下の波形B(
図5参照、第二電圧)の電力が受電できるような電力が送電される(ステップ#60)。照光ユニット6の受電検知部64では波形Bの電圧振幅が検知され、光源制御部65によって当該電圧振幅に基づく照光制御(第二照光制御)が行われる(ステップ#61)。この場合には、光源制御部65によって、例えば光源71が赤色に点滅するように制御される。
【0055】
なお、所定時間内に認証処理が完了しないとき(ステップ#52、No)、車両ドアが施錠状態のとき(ステップ#53,No)、車両ドアが所定時間経過しても施錠検知部53において接触が検知されないとき(ステップ#54,No)、及び、車両ドアが所定時間経過しても解錠状態のとき(ステップ#57,No)には、施錠処理を終了する。
【0056】
このように、本実施形態によれば、解錠検知部52または施錠検知部53が車両の乗員等のユーザのドアハンドル10への接触を検知することで車両ドアが解錠処理または施錠処理される際に照光部70が照光するので、車両ドアのロック状態と照光部70の照光状態との関係を把握し易い。
【0057】
〔別実施形態〕
(1)上記の実施形態では、携帯端末2等による解錠処理及び施錠処理において、照光ユニット6の光源71が青色に点灯する例と、赤色に点滅する例と、緑色に点灯する例とを示したが、光源71の色と点灯及び点滅とは特に限定されない。
【0058】
(2)上記の実施形態では、照光部70が光源71からの光を導光板72に導いて照光する例を示した。
図10に示すように、照光ユニット6の照光制御部60において、光源制御部65に代えて表示制御部67を有し、照光部70として、光源71及び導光板72に代えて文字を表示可能な表示部75を有する構成でもよい。この場合には、表示部75には、例えば表示制御部67によって電圧の振幅に応じて予め設定された文字列が表示することができる。
【0059】
(3)上記の実施形態では、センサユニット5の送電部55から送電される電力の電圧が一定の振幅を有する例を示したが、電圧の振幅を周期毎に変化させて給電してもよい。この場合、受電検知部64は、例えば
図11に示すように、1周期ごとの電圧の振幅をデジタル信号として検知することができる。
図11に示す例では、第一の電圧振幅を超える振幅を「1」と設定し、第二の電圧振幅を越えて第二の電圧振幅以下の振幅を「0」と設定することで、電圧の振幅をデジタル信号に変換することができる。こうして変換されたデジタル信号を用いることで、例えば、上記の別実施形態(2)で示した表示部75に、デジタル信号に基づいて設定される任意の文字列を表示することができる。また、ドアハンドル装置1は、電圧の振幅に代えて、電圧の周波数に基づいて照光制御を行う構成でもよい。
【0060】
(4)上記の実施形態では、施錠処理において解錠処理とは異なる電圧を用いる例を示したが、施錠処理において解錠処理と同じ電圧(例えば第一電圧または第二電圧)を含む電力を送電部55から送電するようにしてもよい。また、施錠処理においてはドアハンドル10に設けられた照光部70が照光しない構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係るドアハンドル装置は、各種移動体に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 :ドアハンドル装置
2 :携帯端末
5 :センサユニット
6 :照光ユニット
8 :ドア制御ユニット
10 :ドアハンドル
11 :ハンドル本体
11a :外面側
11b :内面側
14 :凹部
51 :非接触通信部
52 :解錠検知部(接触検知部)
53 :施錠検知部(接触検知部)
54 :アンテナ
55 :送電部
56 :センサ制御部
60 :照光制御部
61 :受電部
64 :受電検知部
65 :光源制御部
67 :表示制御部
70 :照光部
71 :光源
72 :導光板
73 :透過カバー
75 :表示部
100 :ドア錠システム