(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091374
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】飲料水サーバ及び飲料水サーバを備えた冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20220614BHJP
B67D 3/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
F25D11/00 102B
B67D3/00 Z
F25D11/00 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204184
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】村田 和士
【テーマコード(参考)】
3E082
3L045
【Fターム(参考)】
3E082AA01
3E082BB01
3E082CC01
3E082EE01
3E082EE02
3E082FF09
3L045AA04
3L045BA01
3L045CA02
3L045KA07
3L045PA03
3L045PA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ディスペンサから出る前または出た後の水に衛生的問題が生じることを抑制できる飲料水サーバ及びこの飲料水サーバを備えた冷蔵庫を提供する。
【解決手段】使用者の操作に基づき出水及び止水を行うディスペンサ4と、水源及びディスペンサ4の間を繋ぐ水回路10と、ディスペンサ4から出た水を受けるディスペンサ受け部20と、上面が開口したドレーン蒸発皿40と、水回路10内またはディスペンサ受け部20内の水をドレーン蒸発皿40へ導くドレーン管30と、を備える飲料水サーバ2、及び飲料水サーバ2を備えた冷蔵庫である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の操作に基づき出水及び止水を行うディスペンサと、
水源及び前記ディスペンサの間を繋ぐ水回路と、
前記ディスペンサから出た水を受けるディスペンサ受け部と、
上面が開口したドレーン蒸発皿と、
前記水回路内または前記ディスペンサ受け部内の水を前記ドレーン蒸発皿へ導くドレーン管と、
を備えること特徴とする飲料水サーバ。
【請求項2】
前記水回路及び前記ドレーン管の間の開閉を行う自動弁と、
前記自動弁の開閉の制御を行う制御部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記自動弁を通常閉の状態に制御しており、排出条件の少なくとも1つを満たすと判別したとき、前記自動弁を閉から開に切り替えて、前記水回路内の水を、前記ドレーン管を介して前記ドレーン蒸発皿に排出し、所定の排出時間経過後に閉に戻す制御を行い、
前記排出条件に、所定の待機時間が経過したことが含まれることを特徴とする請求項1に記載の飲料水サーバ。
【請求項3】
前記排出条件に、前記ディスペンサが止水の状態で所定の止水時間が経過したことが含まれることを特徴とする請求項2に記載の飲料水サーバ。
【請求項4】
前記ドレーン蒸発皿の中の液面高を検出する液面センサを更に備え、
前記排出条件に、前記液面センサからの信号に基づき、前記ドレーン蒸発皿の液面高さが所定の高さ以内であると判別したことが含まれることを特徴とする請求項2または3に記載の飲料水サーバ。
【請求項5】
請求項2から4の何れか1項に記載の飲料水サーバと、
前記ドレーン蒸発皿として機能する、除霜により生じた水が溜まる蒸発皿と、
を備え、
前記排出条件に、蒸発器の除霜処理終了時から所定の時間が経過したことが含まれることを特徴とする冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンサにより飲料水を供給する飲料水サーバ及びこの飲料水サーバを備えた冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
使用者がディスペンサを操作することにより飲料水が供給される飲料水サーバを備えた冷蔵庫がある。その中には、フィルタの上流側に冷水タンクが配置され、使用者がディスペンサを操作することにより、冷水タンクに溜められた冷水がフィルタを通ってディスペンサに供給されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の飲料水サーバでは、冷水タンクに溜まっている水道水は塩素を含んでいるので、雑菌等の繁殖が抑えられる。しかし、フィルタを通過した後の水は塩素が除去されるので、ディスペンサから出水されずに水回路内に残った水が長時間保持されると、衛生的問題が生じる虞がある。また、ディスペンサから出た水がコップ等で受けられず、ディスペンサ受け部に溜まった場合にも、衛生的問題が生じる虞がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、ディスペンサから出る前または出た後の水に衛生的問題が生じることを抑制できる飲料水サーバ及びこの飲料水サーバを備えた冷蔵庫を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の飲料水サーバは、
使用者の操作に基づき出水及び止水を行うディスペンサと、
水源及び前記ディスペンサの間を繋ぐ水回路と、
前記ディスペンサから出た水を受けるディスペンサ受け部と、
上面が開口したドレーン蒸発皿と、
前記水回路内または前記ディスペンサ受け部内の水を前記ドレーン蒸発皿へ導くドレーン管と、
を備えること特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ドレーン管により、水回路内の水またはディスペンサ受け部内の水をドレーン蒸発皿へ排出できるので、上面が開口したドレーン蒸発皿で排出した水を蒸発させて処理することができる。これにより、ディスペンサから出る前または出た後の水が長時間溜まったままの状態になるのを防ぐことができるので、衛生的問題が生じることを抑制することができる。
【0008】
また、本発明の飲料水サーバは、
前記水回路及び前記ドレーン管の間の開閉を行う自動弁と、
前記自動弁の開閉の制御を行う制御部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記自動弁を通常閉の状態に制御しており、排出条件の少なくとも1つを満たすと判別したとき、前記自動弁を閉から開に切り替えて、前記水回路内の水を、前記ドレーン管を介して前記ドレーン蒸発皿に排出し、所定の排出時間経過後に閉に戻す制御を行い、
前記排出条件に、所定の待機時間が経過したことが含まれることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、水回路内の水を排出できる自動弁を備え、所定の待機時間が経過するごとに、自動弁を閉から開に切り替えて、水回路内の水を、ドレーン管を介してドレーン蒸発皿に排出することができる。これにより、水回路内の水を定期的に排出できるので、ディスペンサから供給する水に衛生的問題が生じることを抑制できる。
【0010】
また、本発明の飲料水サーバは、
前記排出条件に、前記ディスペンサが止水の状態で所定の止水時間が経過したことが含まれることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、ディスペンサが止水の状態で所定の止水時間が経過しとき、自動弁を閉から開に切り替えて、水回路内の水を、ドレーン管を介してドレーン蒸発皿に排出することができる。これにより、ディスペンサが止水の状態が長時間続いて水回路内に水が長時間で滞留するのを防ぐことができるので、ディスペンサから供給する水に衛生的問題が生じることを抑制できる。
【0012】
また、本発明の飲料水サーバは、
前記ドレーン蒸発皿の中の液面高を検出する液面センサを更に備え、
前記排出条件に、前記液面センサからの信号に基づき、前記ドレーン蒸発皿の液面高さが所定の高さ以内であると判別したことが含まれることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、液面センサからの信号に基づき、ドレーン蒸発皿の液面高さが所定の高さ以内であると判別しとき、自動弁を閉から開に切り替えて、水回路内の水を、ドレーン管を介してドレーン蒸発皿に排出する。これにより、ドレーン蒸発皿の水が溢れるといった不具合を未然に防ぐことができる。液面高さが所定の高さ以内には、ドレーン蒸発皿が空の場合も含まれる。
【0014】
本発明の冷蔵庫は、
上記の飲料水サーバと、
前記ドレーン蒸発皿として機能する、除霜により生じた水が溜まる蒸発皿と、
を備え、
前記排出条件に、蒸発器の除霜処理終了時から所定の時間が経過したことが含まれることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、蒸発器の除霜処理終了時から所定の時間が経過したとき、自動弁を閉から開に切り替えて、水回路内の水を、ドレーン管を介してドレーン蒸発皿に排出することができる。蒸発器の除霜処理を行った場合、溶けた水が蒸発皿内に流入して、蒸発皿の液面高さが高くなる可能性がある。しかし、除霜処理終了時から所定の時間が経過している場合には、蒸発等により液面高さが下がっていると考えられるので、水回路内の水を排出したとしても、蒸発皿が溢れるのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明においては、ディスペンサから出る前または出た後の水に衛生的問題が生じることを抑制できる飲料水サーバ及びこの飲料水サーバを備えた冷蔵庫を提供することすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る飲料水サーバを模式的に示す図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る飲料水サーバを模式的に示す図である。
【
図3】本発明の第3の実施形態に係る飲料水サーバを模式的に示す図である。
【
図4A】第1の実施形態に係る飲料水サーバが冷蔵庫に配置された場合のドレーン管の配置の1つの例を示す斜視図である。
【
図4B】
図4Aのディスペンサ受け部の回りを拡大して示した斜視図である。
【
図5A】第1の実施形態に係る飲料水サーバが冷蔵庫に配置された場合のドレーン管の配置のその他の例を示す斜視図である。
【
図5B】
図5Aの冷蔵庫におけるドレーン蒸発皿の回りを拡大して示した斜視図である。
【
図6A】制御部による自動弁の開閉制御の第1の例を示すフローチャートである。
【
図6B】制御部による自動弁の開閉制御の第2の例を示すフローチャートである。
【
図6C】制御部による自動弁の開閉制御の第3の例を示すフローチャートである。
【
図6D】制御部による自動弁の開閉制御の第4の例を示すフローチャートである。
【
図6E】制御部による自動弁の開閉制御の第5の例を示すフローチャートである。
【
図7】従来の飲料水サーバの一例を模式的に示す側面断面図である。
【
図8】従来の飲料水サーバを備えた冷蔵庫の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する冷蔵庫は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。要点の説明または理解の容易性を考慮して、便宜上実施形態や実施例を分けて示す場合があるが、異なる実施形態、実施例で示した構成の部分的な置換または組み合わせは可能である。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。
【0019】
(従来の飲料水サーバ、従来の飲料水サーバを備えた冷蔵庫)
図7は、従来の飲料水サーバ102の一例を模式的に示す側面断面図である。
図8は、従来の飲料水サーバ102を備えた冷蔵庫170の一例を模式的に示す斜視図である。はじめに、
図7及び
図8を参照しながら、従来の飲料水サーバ102及び従来の飲料水サーバ102を備えた冷蔵庫170が有する課題について簡潔に述べる。
図7に示すように、従来の飲料水サーバ102では、水源となる水タンクに減菌された飲料水が密封されており、長時間の保管も可能な状態にある。しかし、水タンク内の水には塩素等が含まれていないので、水タンクから出た後、長時間、冷水タンク112Aや温水タンク114等の水回路内に留まる場合、衛生的問題が生じる虞がある。
【0020】
図8に示す従来の飲料水サーバ102を備えた冷蔵庫170では、水源である水道管から、ストップ弁138を介して、冷蔵庫内に水が入り、貯水チューブ112に蓄えられる。貯水チューブ112で蓄えられた水は、低い庫内温度で冷却される。ソレノイド弁136を開にすると、貯水チューブ112内の水は、浄水フィルタ134を通過してディスペンサから出水される。
浄水フィルタ136通過前では、水回路内の水は、水道水と同様に塩素が効いていて殺菌力が保たれている。しかし浄水フィルタ136通過した後には、水回路内の水は殺菌力が弱く、衛生的問題が生じる虞がある。
【0021】
また、心情的に、水道から一度出た水が冷蔵庫内に長時間留まっていることに抵抗をもつ人も存在する。同様に、ディスペンサ104から出水した水が、それを受けるディスペンサ受け部内で長期間、留まっている場合も、滞留した水に衛生的問題が生じる可能性がある。
以上のようなディスペンサ104から出る前または出た後の水に衛生的問題を解決するため、本発明の各実施形態に係る飲料水サーバ2及びこの飲料水サーバ2を備えた冷蔵庫70は、下記のような構造を有する。
【0022】
(第1の実施形態に係る飲料水サーバ)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る飲料水サーバ2を模式的に示す図である。第1の実施形態に係る飲料水サーバ2は、使用者の操作に基づき出水及び止水を行うディスペンサ4と、水源及びディスペンサ4の間を繋ぐ水回路10と、ディスペンサ4から出た水を受けるディスペンサ受け部20とを備える。点線で囲まれた部分が、筐体内に各部材が配置された飲料水サーバ2の本体2Aを示す。更に、上面が開口したドレーン蒸発皿40と、水回路10内またはディスペンサ受け部20内の水をドレーン蒸発皿40へ導くドレーン管30とを備える。
【0023】
水源としては、水道管と接続されて水道水が供給される場合もあり得るし、飲料水が入った水タンクが装着され、重力等により水タンク内の水が供給される場合もあり得る。供給される飲料水としては、純粋な水だけに限られず、お茶、ジュースをはじめとする任意の飲料水が含まれる。
【0024】
水回路10は、主に、貯水チューブ12,温水タンク14、配管16、三方弁18から構成される。水源からの水は、配管16及び三方弁18を介して、貯水チューブ12及び温水タンク14に供給される。貯水チューブ12に蓄えられた水は冷却されて冷水となり、温水タンク14に蓄えられた水は加熱されて温水となる。温水の温度は、40℃程度から100℃近い場合(熱湯水)もあり得る。ディスペンサ4の操作により、貯水チューブ12内の冷水または温水タンク14内の温水が出水される。
【0025】
ディスペンサ4としては、冷水及び温水各々について、出水及び止水を切り替えられるレバーを有する切り替え弁を備えるものが例示される。ただし、これに限られるものではなく、1つのレバーで冷水、温水を混合させて出水できる混合栓を備える場合や、既知のその他の任意の構造のディスペンサ4を採用することができる。
ディスペンサ受け部20は、例えば、コップ等を載せる上面部にスリットが設けられ、ディスペンサ4から出た水のうち、コップ等で受けられなかった水が、スリットを通ってディスペンサ受け部20の底部に溜まるようすることができる。
【0026】
このような水がディスペンサ受け部20に長時間、溜まったままになっている場合には、衛生的問題が生じる虞がある。特に、水をコップ等に注ぐディスペンサ4の周囲で、長時間、水が溜まった状態を見ると、使用者が不安を感じる可能性がある。
本実施形態では、ディスペンサ受け部20にドレーン管30の一端が繋がっており、ドレーン管30の他端がドレーン蒸発皿40に繋がっている。これにより、コップ等で受けられずにディスペンサ受け部20に溜まった水は、ドレーン管30を介して、ドレーン蒸発皿40に排出される。ドレーン管30として、アルミ管のような金属管を用いることもできるし、樹脂製の管を用いることもできる。
【0027】
ドレーン蒸発皿40は上面が大きく開口し、溜まった水が蒸発し易くなっている。また、ドレーン蒸発皿40を、使用者の目に付きにくい場所に設置することにより、使用者が衛生的な不安を抱くのを抑制することができる。
以上にように、本実施形態では、ディスペンサ4から出た後の水に衛生的問題が生じることを抑制できる飲料水サーバ2を提供することができる。
【0028】
(第2の実施形態に係る飲料水サーバ)
図2は、本発明の第2の実施形態に係る飲料水サーバ2を模式的に示す図である。第2の実施形態では、ドレーン管30が、ディスペンサ受け部20ではなく、水回路10に接続されている点で、上記の第1の実施形態と異なる。本実施形態のその他の構造については、基本的に、上記の第1の実施形態と同様である。
【0029】
図2に示すように、水回路10のうち、貯水チューブ12や温水タンク14よりも下流側の配管16であって、ディスペンサ4の近傍の箇所に、自動弁50が取り付けられている。この自動弁50を介して、ドレーン管30が接続されている。自動弁50は、自動弁50の駆動部(例えば、ソレノイド)と電気的に接続された制御部52により開閉が制御され、基本的に閉の状態に制御されている。所定の条件を満たす場合に、自動弁50を閉から開に制御することにより、水回路10内の水をドレーン管30に流すことができる。ドレーン管30に流れた水は、ドレーン蒸発皿40に排出される。
【0030】
例えば、長時間、ディスペンサ4が操作されずに、水回路10内に水が長時間溜まった状態になっているときに、自動弁50を閉から開にする制御をすることにより、水回路10内の水をドレーン蒸発皿40に排出することができる。
これにより、本実施形態では、ディスペンサ4から出る前の水に衛生的問題が生じることを抑制できる飲料水サーバ2を提供することができる。自動弁50の開閉の制御については、追って詳細に述べる。
【0031】
(第3の実施形態に係る飲料水サーバ)
図3は、本発明の第3の実施形態に係る飲料水サーバ2を模式的に示す図である。第3の実施形態では、更にドレーン蒸発皿40に液面センサ60が配置されている点で、上記の第2の実施形態と異なる。液面センサ60は、センサ制御部62に接続されている。本実施形態のその他の構造については、基本的に、上記の第2の実施形態と同様である。
【0032】
ドレーン蒸発皿40にかなり水が溜まっているときに、自動弁50を開にして、水回路10内の水をドレーン蒸発皿40に排出した場合、ドレーン蒸発皿40の水が溢れる虞がある。液面センサ60からの信号に基づき、ドレーン蒸発皿40が空であるか、液面高さが所定の高さ以内であると判別しとき、自動弁50閉から開に切り替えて、水回路10内の水をドレーン蒸発皿40に排出できる。これにより、ドレーン蒸発皿40の水が溢れるといった不具合を未然に防ぐことができる。
【0033】
(飲料水サーバを備えた冷蔵庫)
上記の各実施形態に係る飲料水サーバ2は、独立した飲料水サーバとして存在する場合だけでなく、冷蔵庫の中に配置されている場合もあり得る。
図4Aは、第1の実施形態に係る飲料水サーバ2が冷蔵庫70に配置された場合のドレーン管30の配置の1つの例を示す斜視図である。
図4Bは、
図4Aのディスペンサ受け部20の回りを拡大して示した斜視図である。
図5Aは、第1の実施形態に係る飲料水サーバ2が冷蔵庫70に配置された場合のドレーン管30の配置のその他の例を示す斜視図である。
図5Bは、
図5Aの冷蔵庫70におけるドレーン蒸発皿40の回りを拡大して示した斜視図である。
【0034】
図4Aに示す飲料水サーバ2を備えた冷蔵庫70では、飲料水サーバ2が、冷蔵庫70の前面の高さ方向で中間位置に配置されている。一方の端部で飲料水サーバ2のディスペンサ受け部20に繋がったドレーン管30が、冷蔵庫70の前側から後ろ側へ進み、更に下側に進んで機械室72に達している。機械室72には、蒸発器の霜取りを行った時に生じる水を蒸発させる冷蔵庫の蒸発皿が配置されている。この例では、ドレーン管30の他方の端部が、冷蔵庫70の蒸発皿と繋がっており、冷蔵庫70の蒸発皿がドレーン蒸発皿40として機能する。
【0035】
図4Bに示すように、ディスペンサ受け部20の下部に枝管20Aが取り付けられており、ディスペンサ受け部20の底部に溜まった水は、枝管20Aから流出して、漏斗状に開口したドレーン管30の一方の端部に流入する。ドレーン管30の一方の端部から流入した水は、ドレーン管30内を流れて、他方の端部からドレーン蒸発皿(冷蔵庫の蒸発皿)40に流入する。
【0036】
図5Aに示す飲料水サーバ2を備えた冷蔵庫70でも、飲料水サーバ2が、冷蔵庫70の前面の高さ方向で中間位置に配置されており、ドレーン蒸発皿40として機能する冷蔵庫70の蒸発皿が、機械室72に配置されている。
図5Aに示す例では、飲料水サーバ2が開閉扉に取り付けられている。一方の端部で飲料水サーバ2のディスペンサ受け部20に繋がったドレーン管30が、冷蔵庫70の扉内を上から下へ進み、扉の開閉に対応するホースを経て、冷蔵庫70の内部を前側から後ろ側へ進んで機械室72内のドレーン蒸発皿(冷蔵庫の蒸発皿)40に繋がっている。扉の開閉に対応するため、ドレーン管30の一部にホースを用いる場合だけでなく、ドレーン管30を扉のヒンジ部を通過させることもできる。
【0037】
ドレーン蒸発皿(冷蔵庫の蒸発皿)40は、機械室72内の圧縮器74や凝縮器76に隣接して配置されているので、比較的高い温度下にある。よって、飲料水サーバ2からドレーン蒸発皿(冷蔵庫の蒸発皿)40に排出された水を、比較的短時間に蒸発させることができる。
図4A、
図4B、
図5A及び
図5Bでは、ドレーン管30がディスペンサ受け部20に繋がった場合を示しているが、ドレーン管30が水回路10に繋がった場合であっても、ほぼ同様にドレーン管30を配置することができる。
【0038】
(自動弁の制御)
次に、
図6Aから
図6Eに示すフローチャートを用いて、
図2、
図3に示すような、水回路10及びドレーン管30の間の開閉を行う自動弁50を備える場合における、制御部52による制御処理の説明を行う。何れのフローチャートも、自動弁50が閉の状態になった初期状態からの制御が示され、所定のインターバルごとに、繰り返しフローチャートに示された制御処理が繰り返されるようになっている。
<開閉制御の第1の例>
図6Aは、制御部52による自動弁50の開閉制御の第1の例を示すフローチャートである。第1の例では、所定の待機時間T1が経過すると自動弁50閉から開に切り替え、その後、所定の時間T2が経過すると、自動弁50を開から閉に切り替える制御処理を行う。
【0039】
はじめに、タイマー1を始動し(ステップS2)、次に、待機時間T1が経過したか否か判断する(ステップS4)。この判断で、もし、待機時間T1が経過していない(NO)と判別したときには、本サブルーチンを修了する。所定のインターバルごとに本サブルーチンが起動し、もし、ステップS4の判断で待機時間T1が経過した(YES)と判別したとき、自動弁50に信号を送信し、自動弁50を閉から開に切り替える制御処理を行う(ステップS6)。これにより、水回路10内の水が、ドレーン管30を介してドレーン蒸発皿40に排出される。
【0040】
そして、タイマー2を始動し(ステップS8)、次に、時間T2が経過したか否か判断する(ステップS10)。この判断で、もし、時間T2が経過していない(NO)と判別したとききには、この判断を繰り返す。つまり、時間T2が経過するまで、自動弁50は開の状態を維持する。ステップS10の判断で、もし、時間T2が経過した(YES)と判別したとき、自動弁50に信号を送信し、自動弁50を開から閉に切り替える制御処理を行って(ステップS12)、本サブルーチンを修了する。これにより、水回路10内からドレーン蒸発皿40に排出されていた水の流れが止まる。
【0041】
上記の待機時間T1が短か過ぎると、水を浪費することになり、待機時間T1が流すぎると、水回路10内の水の衛生的問題が生じる可能性が高まる。これを考慮すると、時間T1として、1時間から12時間を例示することができる。
水回路10内の水が排出される時間となる時間T2は、水の消費の観点と衛生上の観点とのバランスを考慮して定めるのが好ましい。これを苦慮すると、時間T2として、5秒から20秒を例示することができる。
ただし、時間T1,T2の値はこれに限られるものではなく、用途に応じて、その他の任意の時間を設定できる。
【0042】
以上のように、第1の例では、所定の待機時間T1が経過するごとに、自動弁50を閉から開に切り替えて、水回路10内の水を、ドレーン管30を介してドレーン蒸発皿40に排出することができる。これにより、水回路10内の水を定期的に排出できるので、ディスペンサ4から供給する水の衛生的問題が生じることを抑制できる。
【0043】
<開閉制御の第2の例>
図6Bは、制御部52による自動弁50の開閉制御の第2の例を示すフローチャートである。第2の例では、第1の例のような所定の待機時間T1が経過するごとに自動弁50を開にするのではなく、ディスペンサ4が閉の状態が所定の止水時間T3継続された場合に、自動弁50を開にする制御処理を行う。
【0044】
はじめに、ディスペンサ4が開から閉に切り替えられたとき(ステップS20)、タイマー3を始動し(ステップS22)、次に、止水時間T3が経過したか否か判断する(ステップS24)。この判断で、もし、止水時間T3が経過していない(NO)と判別したときには、本サブルーチンを修了する。所定のインターバルごとに本サブルーチンが起動し、もし、ステップS24の判断で、止水時間T3が経過した(YES)と判別したとき、自動弁50に信号を送信し、自動弁50を閉から開に切り替える制御処理を行う(ステップS26)。これにより、水回路10内の水が、ドレーン管30を介してドレーン蒸発皿40に排出される。止水時間T3として、1時間から12時間を例示できるが、これに限られるものではない。
その後の、自動弁50を開から閉に切り替えるステップS28からS32の制御処理は、
図6AのステップS8からS12の制御処理と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0045】
以上のように、第2の例では、ディスペンサ4が止水の状態で所定の止水時間T3が経過しとき、自動弁50を閉から開に切り替えて、水回路10内の水を、ドレーン管30を介してドレーン蒸発皿40に排出する。これにより、ディスペンサ4が止水の状態が長時間続いて水回路10内に水が長時間で滞留するのを防ぐことができるので、ディスペンサ4から供給する水の衛生的問題が生じることを抑制できる。
【0046】
<開閉制御の第3の例>
図6Cは、制御部52による自動弁50の開閉制御の第3の例を示すフローチャートである。第3の例では、飲料水サーバ2が冷蔵庫70に配置された場合であって、冷蔵庫70の蒸発皿をドレーン蒸発皿40として用いる場合の制御処理を示す。本例では、第2の例のように、ディスペンサ4が閉の状態が所定の止水時間T3継続された場合に加えて、更に、冷蔵庫70の蒸発器の前回の除霜から所定の時間T4が経過したときに、自動弁50を開にする制御処理を行う。
【0047】
ディスペンサ4が閉の状態で止水時間T3が経過するか否かを判断するステップS40からS44の制御処理は、
図6BのステップS20からS24の制御処理と同様なので、詳細な説明は省略する。そして、ステップS44の判断で、止水時間T3が経過した(YES)と判別したとき、更に、前回の除霜から所定の時間T4が経過したか否か判断する(ステップS46)。この判断でもし、時間T4が経過していない(NO)と判別したとききには、本サブルーチンを修了する。所定のインターバルごとに本サブルーチンを起動し、もし、ステップS46の判断で、時間T4が経過した(YES)と判別したとき、自動弁50に信号を送信し、自動弁50を閉から開に切り替える制御処理を行う(ステップS48)。これにより、水回路10内の水が、ドレーン管30を介してドレーン蒸発皿40に排出される。時間T4として、1時間から12時間を例示できるが、これに限られるものではない。
その後の、自動弁50を開から閉に切り替えるステップS50からS54の制御処理は、
図6AのステップS8からS12の制御処理と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0048】
以上のように、第3の例では、ディスペンサ4が止水の状態で所定の止水時間T3が経過するのに加えて、冷蔵庫70の蒸発器の除霜処理終了時から所定の時間T4が経過したとき、自動弁50を閉から開に切り替えて、水回路10内の水を、ドレーン管30を介してドレーン蒸発皿40に排出する。
この例では、ディスペンサ4が止水の状態で所定の止水時間T3が経過する条件と、冷蔵庫70の蒸発器の除霜処理終了時から所定の時間T4が経過する条件の2つの条件を満たしたときに、自動弁50を閉から開に切り替える制御処理を行っている。しかし、これに限られるものではなく、上記の2つの条件のうち少なくとも一方の条件を満たせば、自動弁50を閉から開に切り替える制御処理を行うこともできる。
【0049】
蒸発器の除霜処理を行った場合、溶けた水がドレーン蒸発皿(冷蔵庫の蒸発皿)40内に流入して、ドレーン蒸発皿(冷蔵庫の蒸発皿)40の液面高さが高くなる可能性がある。しかし、除霜処理終了時から所定の時間T4が経過している場合には、蒸発等により液面高さが下がっていると考えられるので、水回路10内の水を排出したとしても、ドレーン蒸発皿(冷蔵庫の蒸発皿)40が溢れるのを防ぐことができる。
【0050】
<開閉制御の第4の例>
図6Dは、制御部52による自動弁50の開閉制御の第4の例を示すフローチャートである。第4の例では、
図3に示すような、ドレーン蒸発皿40に液面センサ60が設けられた場合の制御処理を示す。本例では、第2の例のように、ディスペンサ4が閉の状態が所定の止水時間T3継続された場合に加えて、更に、液面センサ60からの信号に基づき、ドレーン蒸発皿40の液面高さが所定の高さ以下の場合に、自動弁50を開にする制御処理を行う。
【0051】
ディスペンサ4が閉の状態で止水時間T3が経過するか否かを判断するステップS60からS64の制御処理は、
図6BのステップS20からS24の制御処理と同様なので、詳細な説明は省略する。
そして、ステップS64の判断で、止水時間T3が経過した(YES)と判別したとき、更に、ドレーン蒸発皿40の液面高さが所定の高さH1以内であるか判断する(ステップS66)。この判断でもし、液面高さが所定の高さH1より高い(NO)と判別したときには、本サブルーチンを修了する。所定のインターバルごとに本サブルーチンを起動し、もし、ステップS66の判断で、ドレーン蒸発皿40の液面高さが所定の高さH1以内である(YES)と判別したとき、自動弁50に信号を送信し、自動弁50を閉から開に切り替える制御処理を行う(ステップS68)。これにより、水回路10内の水が、ドレーン管30を介してドレーン蒸発皿40に排出される。
【0052】
高さH1として、ドレーン蒸発皿40の高さの1/5以下の値を例示できるが、これに限られるものではない。高さH1がゼロの場合もあり得る。
その後の、自動弁50を開から閉に切り替えるステップS70からS74の制御処理は、
図6AのステップS8からS12の制御処理と同様なので、詳細な説明は省略する。
【0053】
以上のように、第4の例では、ディスペンサ4が止水の状態で所定の止水時間T3が経過するのに加えて、ドレーン蒸発皿40の液面高さが所定の高さH1以内であるとき、自動弁50を閉から開に切り替えて、水回路10内の水を、ドレーン管30を介してドレーン蒸発皿40に排出する。
この例では、ディスペンサ4が止水の状態で所定の時間T3が経過する条件と、ドレーン蒸発皿40の液面高さが所定の高さH1以内である条件の2つの条件を満たしたときに、自動弁50を閉から開に切り替える制御処理を行っている。しかし、これに限られるものではなく、上記の2つの条件のうち少なくとも一方の条件を満たせば、自動弁50を閉から開に切り替える制御処理を行うこともできる。
【0054】
液面センサ60からの信号に基づき、ドレーン蒸発皿40の液面高さが所定の高さH1以内であると判別しとき、自動弁50を閉から開に切り替えて、水回路10内の水を、ドレーン管30を介してドレーン蒸発皿40に排出する。これにより、ドレーン蒸発皿40の水が溢れるといった不具合を未然に防ぐことができる。
【0055】
<開閉制御の第5の例>
図6Eは、制御部による自動弁50の開閉制御の第5の例を示すフローチャートである。
第5の例では、飲料水サーバ2が冷蔵庫70に配置された場合であって、冷蔵庫70の蒸発皿をドレーン蒸発皿40として用いる場合であるとともに、ドレーン蒸発皿40に液面センサ60が設けられた場合の制御処理を示す。本例では、第2の例のように、ディスペンサ4が閉の状態が所定の止水時間T3継続された場合に加えて、第4の例のように、ドレーン蒸発皿40の液面高さが所定の高さH1以下であり、更に、第3の例のように、冷蔵庫70の蒸発器の前回の除霜から所定の時間T4が経過した場合に、自動弁50を開にする制御処理を行う。
【0056】
図6EのステップS80からS96に示す制御処理は、上記の各制御処理と同様なので、更なる詳細な説明は省略する。本例では、ドレーン蒸発皿40の水が溢れることなく、確実に、ディスペンサ4から供給する水の衛生的問題が生じることを抑制できる。
【0057】
本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【符号の説明】
【0058】
2 飲料水サーバ
2A 本体
4 ディスペンサ
10 水回路
12 貯水チューブ
14 温水タンク
16 配管
18 三方弁
20 ディスペンサ受け部
20A 枝管
30 ドレーン管
40 ドレーン蒸発皿
50 自動弁
52 制御部
60 液面センサ
62 センサ制御部
70 冷蔵庫
72 機械室
74 圧縮器
76 凝縮器
102 飲料水サーバ
112 貯水チューブ
112A 冷水タンク
114 温水タンク
132 製氷ユニット
134 浄水フィルタ
136 電磁弁
138 ストップ弁
170 冷蔵庫