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特開2022-91408機械式駐車装置の操作盤とその制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091408
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】機械式駐車装置の操作盤とその制御方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/18 20060101AFI20220614BHJP
   E04H 6/42 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
E04H6/18 601F
E04H6/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204229
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】▲曽▼我 隆之
(72)【発明者】
【氏名】巽 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】梶原 雄大
(72)【発明者】
【氏名】中矢 豪
(72)【発明者】
【氏名】佐々 直人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】操作が容易であり誤操作を少なくでき、かつ安全性の高い機械式駐車装置の操作盤とその制御方法を提供する。
【解決手段】機械式駐車装置は、操作盤10と双方向に通信する第1通信器を有する制御装置を備える。操作盤10は、操作者を認証する認証装置12と、操作信号を出力する操作ボタン20と、第1通信器と双方向に通信する第2通信器26と、操作ボタン20を制御する制御器30と、を有する。制御器30は、機械式駐車装置の複数の待機状態において、操作ボタン20の単一の操作信号により各待機状態に対応する異なる制御信号を出力する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械式駐車装置の操作盤であって、
前記機械式駐車装置は、前記操作盤と双方向に通信する第1通信器を有する制御装置を備え、
前記操作盤は、操作者を認証する認証装置と、前記第1通信器と双方向に通信する第2通信器と、操作信号を出力する操作ボタンと、前記操作ボタンを制御する制御器と、を有しており、
前記制御器は、前記機械式駐車装置の複数の待機状態において、単一の前記操作信号により各待機状態に対応する異なる制御信号を出力する、機械式駐車装置の操作盤。
【請求項2】
複数の前記待機状態は、前記認証装置による認証後、前記操作者が車両を入庫し乗降室から退出した後、又は、乗降室の無人確認後であり、
複数の前記待機状態に対応する異なる制御信号は、前記認証装置による認証後のスタート信号、前記操作者が乗降室から退出した後の無人確認信号、又は、無人確認後の出入口扉を閉じるための扉閉信号である、請求項1に記載の機械式駐車装置の操作盤。
【請求項3】
前記機械式駐車装置は、車両が入庫又は出庫する乗降室と、前記乗降室の出入口扉と、前記乗降室の内側に設けられ前記乗降室内を監視する監視モニターと、を有し、
前記操作盤は、文字又は画像を表示する表示装置と、音声を出力するスピーカと、所定位置の操作者を検出する操作者検出センサと、を有しており、
前記待機状態において、前記表示装置又は前記スピーカにより、複数の前記待機状態に応じた操作メッセージを出力する、請求項1に記載の機械式駐車装置の操作盤。
【請求項4】
前記認証装置は、前記操作者のICカードと非接触で交信するカードリーダー、又は生体認証装置である、請求項1に記載の機械式駐車装置の操作盤。
【請求項5】
請求項1に記載の操作盤の制御方法であって、
前記機械式駐車装置の複数の前記待機状態において、単一の前記操作信号により各待機状態に対応する異なる制御信号を出力する、操作盤の制御方法。
【請求項6】
前記待機状態において前記操作信号がその立上り時から所定時間継続するときに、前記制御信号を出力する、請求項5に記載の操作盤の制御方法。
【請求項7】
前記待機状態において前記操作信号の立下り時に、前記制御信号を出力する、請求項5に記載の操作盤の制御方法。
【請求項8】
待機状態以外において、前記操作ボタンをその操作を受け付けない不作動状態に維持し、
前記待機状態において、所定位置の前記操作者を検出した時に、前記不作動状態から前記操作を受け付ける作動状態に切り替え、
前記作動状態の経過時間を計測し、
前記経過時間が設定時間を超える場合に、前記操作ボタンを前記不作動状態に切り替える、請求項5に記載の操作盤の制御方法。
【請求項9】
前記作動状態において、所定位置の前記操作者の前記検出が途絶えた場合、前記操作ボタンを前記不作動状態に切り替える、請求項8に記載の操作盤の制御方法。
【請求項10】
前記待機状態において、前記操作ボタンの必要操作回数をランダム数で出力し、
前記制御器により、前記操作ボタンの操作回数が前記ランダム数と一致する場合に、前記待機状態に応じた単一の前記制御信号を出力し、
前記操作回数が前記ランダム数と不一致の場合に、前記操作ボタンを前記不作動状態に切り替えて、前記操作ボタンの前記操作を無効にする、請求項8に記載の操作盤の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置を有する機械式駐車装置の操作盤とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置(例えば、エレベータ方式、垂直循環方式、等)には、車両が入出庫(入庫又は出庫)する乗降室と、乗降室へ車両が出入するための出入口扉が設けられている。
機械式駐車装置の乗降室へ車両が入庫する際には、安全性を確保するために、人が乗降室内に残っていないことを確認し、出入口扉を全閉する必要がある。車両が出庫する際も同様である。
【0003】
かかる機械式駐車装置において、より確実に乗降室から人が退出した後に動作を行い、乗降室内の安全性を確保するために、例えば特許文献1が提案されている。
【0004】
特許文献1の「機械式駐車装置及びその制御方法並びに制御プログラム」では、操作盤が人による安全確認の実施状態を入力する確認ボタンを備える。また、確認ボタンへの入力が行われ、かつ乗降室から人が退室した後に、パレットの搬送が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6416299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、利用者(例えば、車両の運転者)が入庫又は出庫のために操作盤を直接操作する機械式駐車装置では、操作盤の案内表示や音声に従い、利用者自身が操作盤に設けられた複数の操作ボタンを操作している。
この場合、操作者の認証後の「スタート」ボタン、入庫後又は出庫後の「無人確認」ボタン、無人確認後の「扉閉」ボタンなど、複数の操作ボタンが操作盤上に近接して設置される。そのため、操作ボタンが多く、操作がわかりづらく、誤って別の操作ボタンを操作する可能性があった。
【0007】
また、コロナ感染症対策で非接触ボタンを採用する場合、複数の操作ボタンを近接して配置すると誤操作のリスクがあった。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、操作が容易であり誤操作を少なくでき、かつ安全性の高い機械式駐車装置の操作盤とその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、機械式駐車装置の操作盤であって、
前記機械式駐車装置は、前記操作盤と双方向に通信する第1通信器を有する制御装置を備え、
前記操作盤は、操作者を認証する認証装置と、前記第1通信器と双方向に通信する第2通信器と、操作信号を出力する操作ボタンと、前記操作ボタンを制御する制御器と、を有しており、
前記制御器は、前記機械式駐車装置の複数の待機状態において、単一の前記操作信号により各待機状態に対応する異なる制御信号を出力する、機械式駐車装置の操作盤が提供される。
【0010】
また本発明によれば、上記の操作盤の制御方法であって、
前記機械式駐車装置の複数の前記待機状態において、単一の前記操作信号により各待機状態に対応する異なる制御信号を出力する、操作盤の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、機械式駐車装置の複数の待機状態において、操作ボタンの単一の操作信号により各待機状態に対応する異なる制御信号を出力する。
従って、操作ボタンを大幅に少なく(例えば1つだけに)できるため、誤って別の操作ボタンを操作する可能性が少なく、操作が容易であり誤操作を少なくできる。
【0012】
また、制御器により、機械式駐車装置の複数の待機状態において、機械式駐車装置の各待機状態に対応する異なる制御信号を出力するので、操作者の誤認の可能性がなく、安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の操作盤を備えた機械式駐車装置の一例を示す平面図である。
図2】操作盤の説明図であり、(A)は正面図、(B)はブロック図である。
図3】機械式駐車装置と操作盤の制御方法を示すフロー図である。
図4】本発明による操作盤の制御方法の第1実施形態を示すフロー図である。
図5】本発明による操作盤の制御方法の第2実施形態を示すフロー図である。
図6】待機状態における操作信号と制御信号との関係を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0015】
図1は、本発明の操作盤10を備えた機械式駐車装置100の一例を示す平面図である。
機械式駐車装置100は、その作動を制御する制御装置50を備える。また、制御装置50は、操作盤10と双方向に通信する第1通信器52を有している。
機械式駐車装置100は、例えば、エレベータ方式、垂直循環方式、等であるが、本発明はこれに限定されず、制御装置50を備えるその他の機械式駐車装置であってもよい。
【0016】
この例で、機械式駐車装置100は、車両1が入庫又は出庫する乗降室2と、乗降室2の出入口扉3と、乗降室2の内側に設けられ乗降室内を撮像する庫内カメラ5と、乗降室2の外側に設けられ乗降室内を監視する監視モニター6と、を有している。
またこの図において、Mは操作者(例えば運転手)、2aは乗降室2の壁、2bは乗降室2の出入口、4はパレット(又は車両1の乗降領域)である。
【0017】
操作者Mは、利用者(例えば、車両1の運転者)が入庫又は出庫のために操作盤10を直接操作することを契約した者であるのがよい。
本発明の操作盤10は、乗降室2の外側、例えば出入口扉3に近い箇所(例えば壁2a)に設置される。操作盤10は壁面に埋設することが好ましいが露出してもよい。
【0018】
図2は、操作盤10の説明図であり、(A)は正面図、(B)はブロック図である。
【0019】
図2(A)において、操作盤10は、認証装置12、表示装置14、スピーカ16、操作者検出センサ18、及び操作ボタン20を有している。この例でこれらは操作盤10の盤面に設けられているが、その一部を別の場所に設けてもよい。
なお、図2(A)において、22は自動と手動を切り替える切替スイッチ、24は非常停止ボタンである。
【0020】
認証装置12は、操作者Mを認証する。認証装置12は、この例では操作者MのICカードと非接触で交信するカードリーダーである。なお、認証装置12は、カードリーダーに限定されず、スマートフォンやリモコンで操作者Mを認証してもよい。
また認証装置12は、指紋認証、顔認証、虹彩認証などの生体認証装置であってもよい。
【0021】
表示装置14は、文字又は画像を表示するディスプレイ装置である。表示装置14は、例えば、「手をかざしてください。」「庫内の安全を確認してください。」などの操作メッセージを表示する。
スピーカ16は、音声を出力する。スピーカ16は、例えば表示装置14と同じ操作メッセージを音声で出力する。
機械式駐車装置100の複数の待機状態A(後述する)において、表示装置14又はスピーカ16は、待機状態Aに応じた操作メッセージを出力する。
【0022】
操作者検出センサ18は、所定位置の操作者Mを検出する。所定位置は、操作盤10を操作可能な位置であり、操作盤10の正面近傍であるのがよい。
操作者検出センサ18は、この例では赤外線センサであるが、所定位置の操作者Mを検出できる限りで、その他のセンサ(例えば超音波センサ、など)でもよい。また赤外線センサは、パッシブセンサ(赤外線受動センサ)であることが好ましい。
【0023】
操作ボタン20は、この例では単一(1つのみ)であり、操作により単一の操作信号bを出力する。操作ボタン20は、好ましくはコロナ感染症対策のため非接触式、例えば静電式センサであるのがよい。
なお、操作ボタン20は、非接触式に限定されず、接触式、又は押しボタン式であってもよい。
【0024】
また、操作ボタン20は、その操作を受け付けない「不作動状態」と、その操作を受け付ける「作動状態」をボタンの発光色(例えば、赤と青)または消灯と点滅などで表示できることが好ましい。
なお、操作ボタン20の表示の代わりに、或いはこれと併用して表示装置14又はスピーカ16で操作ボタン20の「不作動状態」と「作動状態」を出力してもよい。
【0025】
図2(B)において、操作盤10は、さらに、機械式駐車装置100の制御装置50と双方向に通信する第2通信器26と、操作ボタン20を制御する制御器30と、を有している。
第2通信器26は、制御装置50から状態信号aを受信し、制御装置50に制御信号cを出力する。
【0026】
制御器30は、認証装置12、操作者検出センサ18、操作ボタン20、切替スイッチ22、及び非常停止ボタン24の状態またはこれらからの受信信号を受信し、表示装置14、スピーカ16、及び制御器30に必要な信号又はデータを出力する。制御器30は、例えば入力装置、出力装置、記憶装置、及び演算装置を有するコンピュータ(PC)である。
【0027】
制御器30は、機械式駐車装置100の複数の待機状態Aにおいて、操作ボタン20の単一の操作信号bにより複数の異なる待機状態Aに対応する制御信号cを制御装置50に出力する。
複数の待機状態Aは、例えば、認証装置12による認証後、操作者Mが車両1を入庫し乗降室2から退出した後、又は、乗降室2の無人確認後である。
また、待機状態Aに対応する状態信号aは、例えば、認証確認信号a1、退出確認信号a2、無人確認信号a3である。
また、複数の待機状態Aに対応する異なる制御信号cは、認証装置12による認証後のスタート信号c1、操作者Mが乗降室2から退出した後の無人確認信号c2、又は、無人確認後の出入口扉3を閉じるための扉閉信号c3である。
【0028】
図6は、待機状態Aにおける操作信号bと制御信号cとの関係を示すタイミングチャートである。
【0029】
図6(A)は、操作信号bの立上り信号を用いる例である。
この例では、待機状態Aにおいて操作信号bがその立上り時から所定時間継続するときに、制御信号cを出力する。この場合の所定時間は、例えば0.5~2秒程度であるのがよい。
また、状態信号a(この例で無人確認信号a3)が出力される前から操作ボタン20を操作している場合、状態信号aが出た後で操作信号bの立上り信号が発生しないので、制御信号cは出力されない。また、操作信号bの継続時間(この例でt3)が所定時間未満の場合にも、制御信号cは出力されない。
この構成により、待機状態Aになってから操作ボタン20を操作しないと制御信号cが出力されないので、例えば手をかざしたままでは次の操作に進まないようにできる。
【0030】
図6(B)は、操作信号bの立下り信号を用いる例である。
この例では、待機状態Aにおいて操作信号bの立下り時に、制御信号cを出力する。
すなわち制御器30は、操作者Mが操作ボタン20を操作し手を外したときに、制御信号cを出力する。
例えば、操作ボタン20が非接触式の場合に、操作ボタン20に手をかざしたままでは次の操作に進まず、「手を外したとき」に制御信号cが出力される。接触式、又は押しボタン式の場合も同様である。
この例では、状態信号a(この例で無人確認信号a3)が出力される前から操作ボタン20を操作している場合、状態信号aが出た後の操作信号bの立下り信号により制御信号cが出力される。また、制御信号cの出力後は、状態信号a及び操作信号bがOFFになるので、その後では制御信号cは出力されない。
この構成により、操作ボタン20から一度手を外さないと制御信号cが出力されないので、例えば手をかざしたままでは次の操作に進まないようにできる。
【0031】
図3は、機械式駐車装置100と操作盤10の制御方法を示すフロー図である。
この図において、この制御方法は、車両1の入庫時において、S1~S15の各ステップ(工程)を有する。
【0032】
図3において、ステップS1で車両1を出入口扉前に停車し、ステップS2で操作者Mが例えばカードリーダーにカードをかざして、認証装置12により操作認証する。
機械式駐車装置100の制御装置50は、認証を確認し(S11)、認証確認信号a1を出力する。
【0033】
ステップS3では、表示装置14とスピーカ16が操作メッセージを出力する。この操作メッセージは、例えば、「スタートさせるため操作ボタンに手をかざしてください。」、「操作ボタンが点滅しているときは、監視モニターで安全を確認した後、操作ボタンに手をかざしてください。」、「操作ボタンが青色に変わってから、操作ボタンに手をかざしてください。」などである。
【0034】
ステップS4で、操作者Mが操作ボタン20を操作する(例えば操作ボタン20に手をかざす)と、操作ボタン20の操作信号bにより、スタート信号c1が出力され、機械式駐車装置100が入庫呼び操作をし、出入口扉3が開く(S12)。
【0035】
次いで、ステップS5で操作者Mが運転を開始して入庫操作を実施し、入庫操作完了後、操作者Mは乗降室2から退出する。機械式駐車装置100がこの退出を確認すると退出確認信号a2が制御装置50から出力される(S13)。
ステップS6では、表示装置14とスピーカ16が操作メッセージを出力する。この操作メッセージは、例えば、「パーキング内に人がいないこと、荷物等の置き忘れがないことを目視および監視モニターで確認して下さい。」「無人確認後に操作ボタンに手をかざしてください。」、などである。
【0036】
次いで、ステップS7で、操作者Mが操作ボタン20を操作する(例えば操作ボタンに手をかざす)と、操作ボタン20の操作信号bにより、無人確認信号c2が機械式駐車装置100に出力される。機械式駐車装置100が乗降室2の安全を確認し、かつ無人確認信号c2を受信すると無人確認信号a3が制御装置50から出力される(S14)。
【0037】
次いで、ステップS8で、表示装置14とスピーカ16が操作メッセージを出力する。この操作メッセージは、例えば、「扉を閉じるため操作ボタンに手をかざしてください。」「操作ボタンが点滅しているときは、監視モニターで安全を再度確認した後、操作ボタンに手をかざしてください。」、などである。
【0038】
次いで、操作者MがステップS9で、操作ボタン20を操作する(例えば操作ボタンに手をかざす)と、操作ボタン20の操作信号bにより、扉閉信号c3が機械式駐車装置100に出力される。
【0039】
次いで、ステップS10で操作者Mが例えばカードリーダーにカードをかざして、認証装置12により操作認証する。
扉閉信号c3と操作認証信号を受信すると、機械式駐車装置100により出入口扉3の閉動作が開始され(S15)、出入口扉3が閉限(全閉)して入庫動作が終了する。
【0040】
なお、車両の出庫時には、入庫操作が出庫操作に置き換わるが、その他の制御方法は同様である。
【0041】
上述した本発明の実施形態によれば、操作信号bを出力する操作ボタン20が単一であり、機械式駐車装置100の複数の待機状態Aにおいて、操作ボタン20の単一の操作信号bにより複数の各待機状態に対応する異なる制御信号cを出力する。
従って、操作ボタン20が1つだけであるため、誤って別の操作ボタンを操作する可能性がなく、操作が容易であり誤操作を少なくできる。
【0042】
また、制御器30により、機械式駐車装置100の複数の待機状態Aにおいて、機械式駐車装置100の各待機状態Aに対応する異なる制御信号cを出力するので、操作者Mの誤認の可能性がなく、安全性を高めることができる。
【0043】
本発明による操作盤の制御方法は、上述した操作盤10を用い、機械式駐車装置100の複数の待機状態Aにおいて、操作ボタン20の単一の操作信号bにより複数の各待機状態に対応する異なる制御信号cを出力する。
【0044】
図4は、本発明による操作盤10の制御方法の第1実施形態を示すフロー図である。
この図において、操作盤10の制御方法は、入庫時と出庫時において、T1~T9の各ステップ(工程)を有する。
【0045】
制御器30は、上述した複数の待機状態A、すなわち、待機状態Aに対応する状態信号a(例えば、認証確認信号a1、退出確認信号a2、無人確認信号a3)の受信時において、以下のように作動する。
【0046】
待機状態以外において、操作ボタン20をその操作を受け付けない「不作動状態」に維持する。不作動状態は、操作ボタン20の発光色(例えば、赤)または操作ボタン20の消灯と点滅などで表示されることが好ましい。
【0047】
ステップT1では、機械式駐車装置100が上述した複数の待機状態Aであるか否かを判断する。NOの場合には、操作ボタン20を不作動状態のままで待機する。
いずれかの待機状態Aとなり、T1でYESの場合、操作者検出センサ18により操作者Mを検出したか否かを判断する。NOの場合には、操作ボタン20を不作動状態のままで待機する。
【0048】
操作者Mを検出し、ステップT2でYESの場合、ステップT3で操作ボタン20を「不作動状態」から操作を受け付ける「作動状態」に切り替える。作動状態は、操作ボタン20の発光色(例えば、青)または操作ボタン20の点灯などで表示されることが好ましい。
【0049】
またステップT3と同時にステップT4で、操作ボタン20の作動状態の経過時間を計測するタイマーを作動させる。
操作ボタン20の作動時間(設定時間)は、異なる待機状態Aに応じて異なり、例えば2~10秒間であるのがよい。
ステップT5で、作動状態の経過時間が設定時間を超える場合に、ステップT8で操作ボタン20を不作動状態に切り替える。
次いで、ステップT9において、認証装置12による認証を再度実施してステップT1に戻る。
【0050】
またタイマーの作動中に、ステップT2における操作者検出センサ18による検出信号が途絶えた場合も、ステップT8で操作ボタン20を不作動状態に切り替え、ステップT9において、認証装置12による認証を再度実施してステップT1に戻る。
【0051】
ステップT5で、作動状態の経過時間が設定時間以下の場合、操作ボタン20の操作(ステップT6)により、ステップT7おいて、単一の操作信号bにより各待機状態Aに対応する異なる制御信号cを出力する。
【0052】
上述した制御方法により、操作者検出センサ18により操作者Mを検出した時に、操作ボタン20を非作動状態から作動状態に切り替える。
また、操作者検出センサ18により操作者Mを検出した後に、操作者Mが操作盤前の所定位置から離れた場合には、操作者検出センサ18の検出信号が途絶えるため、操作ボタン20が非作動状態に切り替えられる。
従って、操作者Mが所定位置にいない場合に、子供や他人による操作ボタン20の操作を防止できる。
【0053】
また制御器30は、タイマーの作動中において、経過時間が予め設定した操作時間内において、操作ボタン20が操作された場合に、操作ボタン20の操作信号bにより待機状態に応じた単一の制御信号cを出力する。
また経過時間が操作時間を超える場合に、操作ボタン20を非作動状態に切り替えて、操作ボタン20の操作を無効にする。
【0054】
従って、操作者Mがタイマーの操作時間を超えて所定位置から離れた場合に、操作ボタン20が非作動状態となり子供や他人による操作ボタン20の操作を防止できる。
【0055】
また、本発明によれば、認証装置12による操作認証により、S12で出入口扉3の閉動作が開始され、出入口扉3が閉限(全閉)して入庫動作が終了するので、操作者以外の者の悪意の操作を防止できる。
【0056】
また、上述した制御方法において、操作者Mは、操作盤10の所定位置において、機械式駐車装置100が各待機状態Aになり、操作ボタン20が作動状態になった状態で、所定の操作時間内に単一の操作ボタン20を操作するだけである。従って、操作が容易であり誤操作をほとんど無くすことができる。
【0057】
図5は、本発明による操作盤10の制御方法の第2実施形態を示すフロー図である。
この図において、操作盤10の制御方法は、T11~T17の各ステップ(工程)を有する。
【0058】
すなわち制御器30は、上述した複数の待機状態A、すなわち、待機状態Aに対応する状態信号a(例えば、認証確認信号a1、退出確認信号a2、無人確認信号a3)の受信時において、以下のように作動する。
ステップT11では、上述した複数の待機状態Aであるか否かを判断する。NOの場合には、その状態で待機する。
【0059】
ステップT11でYESの場合、ステップT12で、表示装置14又はスピーカ16により、操作ボタン20の必要操作回数をランダム数Nで出力する。このランダム数Nは、例えば1~5の整数である。
ステップT13で操作ボタン20が操作された場合に、設定時間内における操作ボタン20の回数をカウントする。設定時間は、例えば2~10秒間であるのがよい。
操作ボタン20の操作は、例えば操作ボタン20が非接触式である場合、「操作ボタン20に手をかざした後、手を離す」動作を繰り返す必要がある。「手をかざしたまま」の場合には1回とカウントする。
これにより、「手をかざしたまま」の場合の誤作動を防止できる。
【0060】
ステップT14で、制御器30は、操作ボタン20の操作回数がランダム数Nと一致する場合(YES)に、ステップT15において、待機状態に応じた単一の制御信号cを出力する。
また、ステップT14で、操作回数がランダム数Nと不一致の場合(NO)に、ステップT16で操作ボタン20を非作動状態に切り替えて、操作ボタン20の操作を無効にする。この場合、次いで、ステップT17において、認証装置12による認証を再度実施し、ステップT11に戻る。
なお、図5の方法においても、図4におけるステップT2~T9を併用することが好ましい。
【0061】
上述した制御方法により、操作者Mが無意識で操作ボタン20に手をかざしたままにしたような場合に、操作者Mに注意を喚起することができる。また、ランダム数Nを認識しない限り操作を継続できないので、悪意の操作者を排除することができる。
【0062】
図4図5の方法は、併用してもよい。例えば、最初に図4の方法を実施することで、操作が容易であり誤操作を少なくでき、かつ安全性を確保できる。
また、図4の方法で例えば操作認証(T9)が繰り返されるような場合に、図5の方法に切り替えることで、操作者Mに注意を喚起することができ、かつ悪意の操作者を排除することができる。
【0063】
上述した例において、操作ボタン20は、単一(1つのみ)であるが、本発明は1つに限定されず、複数の操作ボタンを備えてもよい。
例えば、ターンテーブルの操作のために、「右回りボタン」「左回りボタン」を追加してもよい。
この場合も操作ボタンを大幅に少なくできるため、誤って別の操作ボタンを操作する可能性が少なく、操作が容易であり誤操作を少なくできる。
【0064】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
a 状態信号、a1 認証確認信号、a2 退出確認信号、
a3 無人確認信号、b 操作信号、c 制御信号、c1 スタート信号、
c2 無人確認信号、c3 扉閉信号、M 操作者、N ランダム数、
1 車両、2 乗降室、2a 壁、2b 出入口、3 出入口扉、
4 パレット(又は乗降領域)、5 庫内カメラ、6 監視モニター、
10 操作盤、12 認証装置、14 表示装置、16 スピーカ、
18 操作者検出センサ(赤外線センサ)、20 操作ボタン、
22 切替スイッチ、24 非常停止ボタン、26 第2通信器、
30 制御器、50 制御装置、52 第1通信器、
100 機械式駐車装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6