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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091438
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】温水洗浄便座
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20220614BHJP
   A47K 13/30 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
E03D9/08 J
A47K13/30 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204279
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】木内 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 仁
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
【Fターム(参考)】
2D037AA02
2D037AD03
2D038BC01
2D038JB03
2D038JH01
2D038KA13
(57)【要約】
【課題】より衛生的な温水洗浄水を提供する。
【解決手段】温水洗浄便座10は、洗浄水を貯留するタンク34と、タンク34内に設けられ、タンク34内の洗浄水に紫外光を照射し、紫外光の照射時に生じる熱を利用してタンク34内の洗浄水を加熱する光源ユニット36と、洗浄水を噴出させる吐水口40を有する洗浄ノズル20と、を備える。座面50の裏側に熱伝導部材が設けられる便座14をさらに備えてもよい。熱伝導部材は、タンク34内の洗浄水と熱的に接続されてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を貯留するタンクと、
前記タンク内に設けられ、前記タンク内の洗浄水に紫外光を照射し、前記紫外光の照射時に生じる熱を利用して前記タンク内の洗浄水を加熱する光源ユニットと、
前記洗浄水を噴出させる吐水口を有する洗浄ノズルと、を備える温水洗浄便座。
【請求項2】
座面の裏側に熱伝導部材が設けられる便座をさらに備え、
前記熱伝導部材は、前記タンク内の洗浄水と熱的に接続される、請求項1に記載の温水洗浄便座。
【請求項3】
前記光源ユニットは、前記紫外光を発するLEDと、前記LEDの前面側に設けられ、前記紫外光を透過する窓部材と、前記LEDの背面側に設けられ、前記タンク内の洗浄水と接する放熱部材と、を含み、
前記光源ユニットは、前記窓部材が重力方向上側、前記放熱部材が重力方向下側となるように配置される、請求項1または2に記載の温水洗浄便座。
【請求項4】
前記タンク内の洗浄水を加熱する電気ヒータをさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の温水洗浄便座。
【請求項5】
前記電気ヒータは、前記光源ユニットから離れて設けられる、請求項4に記載の温水洗浄便座。
【請求項6】
前記タンク内の洗浄水の温度を計測する温度センサと、
前記温度センサにて計測される温度が所定の閾値以上となる場合、前記温度センサにて計測される温度が前記閾値未満となる場合に比べて、前記紫外光の単位時間あたりの照射量が低くなるように前記光源ユニットを制御する制御部と、をさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の温水洗浄便座。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水洗浄便座に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、温水洗浄便座が広く普及している。温水洗浄便座には、洗浄水および便座を加熱するためのヒータが設けられる。使用後に便座や便器に残る雑菌に対して紫外線を照射する機能を備えた便座が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-220113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
温水洗浄に使用される洗浄水は、40℃程度に加熱された状態で貯留される。そのため、貯留される洗浄水にて雑菌が増えるおそれがある。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、より衛生的な温水洗浄水を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の温水洗浄便座は、洗浄水を貯留するタンクと、タンク内に設けられ、タンク内の洗浄水に紫外光を照射し、紫外光の照射時に生じる熱を利用してタンク内の洗浄水を加熱する光源ユニットと、洗浄水を噴出させる吐水口を有する洗浄ノズルと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より衛生的な温水洗浄水を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態に係る温水洗浄便座の構成を概略的に示す上面図である。
図2】光源ユニットの動作例を示すタイミングチャートである。
図3】第1の実施の形態に係る洗浄水生成ユニットの構成を概略的に示す断面図である。
図4】第2の実施の形態に係る洗浄水生成ユニットの構成を概略的に示す断面図である。
図5】第3の実施の形態に係る洗浄水生成ユニットの構成を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の寸法比と一致しない。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る温水洗浄便座10の構成を概略的に示す上面図である。温水洗浄便座10は、洋式便器の上に固定して使用される。温水洗浄便座10は、本体部12と、便座14と、を備える。本体部12は、洋式便器に対して固定される部分である。便座14は、洋式便器の便鉢の上に配置される部分である。便座14は、ヒンジ16a,16bを介して本体部12に取り付けられる。便座14は、本体部12に対して回動可能である。便座14は、便座14を閉じた状態と、便座14を開いた状態との間で変位可能である。図1は、便座14を閉じた状態を示す。温水洗浄便座10は、便座14をカバーするための便蓋(不図示)をさらに備えてもよい。
【0011】
本体部12は、洗浄水生成ユニット18と、洗浄ノズル20と、給水口22と、電磁弁24と、給水管26と、吐水管28と、吐水ユニット30と、制御部32とを備える。
【0012】
洗浄水生成ユニット18は、本体部12の内部に設けられる。洗浄水生成ユニット18は、温水洗浄便座10の使用者の局部を洗浄するための温水洗浄水を生成する。洗浄水生成ユニット18は、タンク34と、光源ユニット36と、温度センサ38とを含む。
【0013】
タンク34は、洗浄水を貯留する。タンク34の容量は、1回または複数回の温水洗浄に必要な容量に相当し、例えば、0.2L~1L程度である。タンク34は、紫外光に対して耐光性のある材料で構成されることが好ましく、金属材料や、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂材料で構成される。タンク34は、洗浄水が流入する流入口と、洗浄出が流出する流出口とを有する。タンク34の流入口には給水管26が接続される。タンク34の流出口には吐水管28が接続される。
【0014】
タンク34内の洗浄水は、給水口22、電磁弁24および給水管26を通じて供給される。給水口22は、例えば、上水道に接続される。電磁弁24は、給水口22と給水管26の間に設けられる。電磁弁24は、制御部32からの指令に基づいて動作する。タンク34内に貯留される洗浄水の使用に応じて電磁弁24を開閉することで、タンク34内の洗浄水の水量が制御される。例えば、洗浄ノズル20の使用時を除いて、タンク34内が洗浄水で満たされるように電磁弁24の開閉が制御される。タンク34内の洗浄水は、吐水管28を通じて吐水ユニット30に供給される。
【0015】
光源ユニット36は、タンク34内に設けられる。光源ユニット36は、紫外光を生成し、タンク34内の洗浄水に紫外光を照射して洗浄水を殺菌する。光源ユニット36が生成する紫外光の波長は、200nm以上300nm未満であり、例えば、260nm~285nm程度である。光源ユニット36は、紫外光の生成時に生じる熱を利用してタンク34内の洗浄水を加熱し、使用者の局部の洗浄に適した温度(例えば40℃程度)の温水洗浄水を生成する。温水洗浄水の温度は、使用者の操作によって設定変更できてもよい。
【0016】
温度センサ38は、タンク34内に設けられ、タンク34内の洗浄水の温度を計測する。温度センサ38は、例えば、タンク34の流出口の近傍に設けられ、タンク34から吐水管28に向けて流出する洗浄水の温度を計測する。
【0017】
吐水ユニット30は、洗浄ノズル20の動作を制御する。吐水ユニット30は、制御部32からの指令に基づいて動作する。吐水ユニット30は、洗浄ノズル20の先端を前後に移動させるための駆動モータ(不図示)と、洗浄ノズル20の先端に設けられる吐水口40から洗浄水を噴出させるためのポンプ(不図示)とを含む。吐水ユニット30は、制御部32からの指令に基づいて、洗浄ノズル20の先端を前方に移動させ、洗浄水生成ユニット18から供給される温水洗浄水を吐水口40から噴出させる。
【0018】
制御部32は、温水洗浄便座10の動作全般を制御する。制御部32は、例えば、MCU(Micro Controller Unit)などの集積回路を含む。制御部32は、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現できる。制御部32は、ハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0019】
制御部32は、温度センサ38が計測するタンク34内の洗浄水の温度に基づいて、光源ユニット36の動作を制御する。制御部32は、温度センサ38にて計測される温度が所定の閾値(例えば40℃)未満である場合、洗浄水の加熱を促進するための第1モードで光源ユニット36を動作させる。制御部32は、温度センサ38にて計測される温度が所定の閾値(例えば40℃)以上である場合、洗浄水の加熱を抑制するための第2モードで光源ユニット36を動作させる。第2モードは、第1モードに比べて、光源ユニット36の単位時間あたりの紫外光の照射量が小さく、光源ユニット36の単位時間あたりの発熱量が小さい。
【0020】
図2は、光源ユニット36の動作例を示すタイミングチャートである。図2では、温度センサ38にて計測される洗浄水の温度の時間変化と、光源ユニット36のオンオフのタイミングとを示す。
【0021】
第1期間71は、タンク34内に外部から供給される新たな洗浄水を加熱する期間である。通常、給水口22から新たに供給される洗浄水の温度は、温水洗浄に適した閾値Tth(例えば40℃)より低く、0℃~20℃程度である。第1期間71では、光源ユニット36を第1モードで動作させ、例えば、光源ユニット36を連続的にオンにする。
【0022】
第2期間72は、タンク34内の洗浄水の温度が閾値Tth(例えば40℃)以上となる期間である。第2期間72では、タンク34内の洗浄水の温度上昇を抑制するため、光源ユニット36を第2モードで動作させる。第2期間72では、光源ユニット36を間欠的にオンにし、例えば、5分や10分の間隔ごとに光源ユニット36を1分間オンにする。第2期間72において光源ユニット36を間欠的にオンにすることで、タンク34内の洗浄水に紫外光を間欠的に照射して殺菌された状態が維持されるようにする。第2期間72では、タンク34内の洗浄水の温度が閾値Tth(例えば40℃)程度であり、雑菌が繁殖しやすい環境といえる。第2期間72において光源ユニット36を完全にオフにするのではなく、光源ユニット36のオンとオフを切り替えることで、雑菌の繁殖を抑制しながら、洗浄水を適切な温度に維持する。
【0023】
なお、第2期間72において、光源ユニット36の出力を第1期間71よりも小さくしてもよい。例えば、第1期間71では光源ユニット36の出力を100%とし、第2期間72では光源ユニット36の出力を10%程度としてもよい。第2期間72における光源ユニット36の出力を第1期間71よりも低くする場合、光源ユニット36を連続的にオンにしてもよいし、光源ユニット36を間欠的にオンにしてもよい。
【0024】
第3期間73は、タンク34内の洗浄水が洗浄ノズル20にて消費された後、タンク34内に外部から補充される新たな洗浄水を加熱する期間である。第3期間73では、第1期間71と同様、光源ユニット36を第1モードで動作させ、例えば、光源ユニット36連続的にオンにする。
【0025】
図1に戻り、熱伝導ユニット42について説明する。温水洗浄便座10は、熱伝導ユニット42をさらに備える。熱伝導ユニット42は、洗浄水生成ユニット18にて生じる熱を便座14の座面50に伝達し、座面50が適温(例えば40℃程度)に加熱されるようにする。熱伝導ユニット42は、第1熱伝導部材44a,44bと、第2熱伝導部材46と、接続部48a,48bとを含む。
【0026】
第1熱伝導部材44a,44bは、本体部12の内部に設けられる。第1熱伝導部材44a,44bは、洗浄水生成ユニット18からヒンジ16a,16bに向けて延在する。第1熱伝導部材44a,44bは、ヒンジ16a,16bの内部に挿通される。第1熱伝導部材44a,44bは、熱伝導効率の優れた部材で構成され、ヒートパイプや、銅またはアルミニウムなどの熱伝導率の高い金属材料の棒材で構成される。
【0027】
第2熱伝導部材46は、便座14の座面50の裏側に設けられる。第2熱伝導部材46は、座面50の全体を加熱できるように、座面50の裏側の全体にわたって設けられる。第2熱伝導部材46は、例えば、座面50の外周と並行してU字状に延在するる。第2熱伝導部材46は、熱伝導効率の優れた部材で構成され、ヒートパイプや、銅またはアルミニウムなどの熱伝導率の高い金属材料の板材で構成される。
【0028】
接続部48a,48bは、第1熱伝導部材44a,44bと第2熱伝導部材46の間に設けられる。接続部48a,48bは、便座14の開閉を阻害しない態様で、第1熱伝導部材44a,44bと第2熱伝導部材46を接続する。接続部48a,48bは、例えば、第1熱伝導部材44a,44bに対して第2熱伝導部材46を回動させるための軸受構造を有する。第1熱伝導部材44a,44bと第2熱伝導部材46の間の熱伝導率を高めるため、接続部48a,48bの軸受構造に熱伝導グリスが使用されてもよい。
【0029】
図3は、洗浄水生成ユニット18の構成を概略的に示す断面図である。図3には、重力方向を示す矢印を付しており、紙面の上側が重力方向上方、紙面の下側が重力方向下方である。
【0030】
タンク34は、給水管26と接続される流入口66と、吐水管28と接続される流出口68とを有する。流入口66は、タンク34の重力方向下側に配置される。したがって、タンク34内に新たに供給される洗浄水は、主にタンク34内の下側の空間に流入する。
吐水管28は、タンク34の重力方向上側に配置される。したって、タンク34から洗浄ノズル20に向かう洗浄水は、主にタンク34内の上側の空間から供給される。温度センサ38は、タンク34の重力方向上側に配置されており、流出口68の近傍に配置されている。
【0031】
光源ユニット36は、タンク34内の中央に配置される。光源ユニット36は、タンク34内に貯留される洗浄水60に紫外光62を照射する。光源ユニット36は、タンク34内の中央付近から重力方向上側に紫外光62を照射するように配置される。光源ユニット36は、LED52と、筐体54と、窓部材56と、放熱部材58とを有する。
【0032】
LED52は、200nm以上300nm未満の紫外光62を出力するよう構成され、例えば260nm~285nm程度の紫外光62を出力する。光源ユニット36が有するLED52の数は特に問わないが、光源ユニット36は、一つのLED52のみを有してもよいし、複数のLED52を有してもよい。複数のLED52は、重力方向と直交する水平方向に並んで配置されてもよい。
【0033】
筐体54および窓部材56は、LED52を収容する光源室64を区画する。筐体54は、熱伝導性の高い材料で構成されることが好ましく、例えば、ステンレス鋼などの金属材料で構成される。LED52は、筐体54に対して取り付けられ、筐体54と熱的に接続される。LED52と筐体54の間に実装基板(不図示)などが設けられてもよい。窓部材56は、LED52の前面側に設けられる。窓部材56は、LED52の重力方向上側に配置される。窓部材56は、紫外光62を透過する材料で構成され、石英ガラスや非晶質フッ素樹脂などで構成される。
【0034】
放熱部材58は、LED52の背面側に設けられる。放熱部材58は、LED52の重力方向下側に配置される。放熱部材58は、筐体54に対して取り付けられ、筐体54を介してLED52と熱的に接続する。放熱部材58は、タンク34内の洗浄水60と物理的に接するように設けられる。放熱部材58は、LED52の発光時に生じる熱を洗浄水60に伝達することで、LED52を冷却し、洗浄水60を加熱する。放熱部材58は、熱伝導ユニット42の第1熱伝導部材44a,44bと接続される。したがって、第1熱伝導部材44a,44bは、少なくとも放熱部材58を介して、タンク34内の洗浄水と熱的に接続される。
【0035】
洗浄水生成ユニット18は、放熱部材58を用いてタンク34内の下側の洗浄水60を加熱する。放熱部材58によって加熱された洗浄水60は、加熱前と比べて比重が小さくなるため、タンク34内の上側に移動する。加熱された洗浄水60の移動によってタンク34内の洗浄水60が自然対流し、タンク34内の洗浄水60全体が加熱される。洗浄水生成ユニット18は、LED52を用いてタンク34内の上側の洗浄水60に向けて紫外光を照射する。タンク34内の洗浄水60が自然対流するため、洗浄水生成ユニット18は、タンク34内の洗浄水60全体に対して紫外光を照射して殺菌できる。洗浄水生成ユニット18は、少なくとも、温水洗浄に使用されるタンク34内の上側に貯留される洗浄水60に紫外光を照射して殺菌できる。
【0036】
本実施の形態によれば、洗浄水60を貯留するタンク34内に光源ユニット36を設けることで、洗浄水60を加熱して温水を生成するとともに、洗浄水60に紫外光を照射して殺菌できる。これにより、洗浄水60がタンク34内で長期にわたって雑菌が繁殖しやすい温度に維持される場合であっても、雑菌の繁殖を抑制することができ、より衛生的な洗浄水を提供することができる。
【0037】
本実施の形態によれば、熱伝導ユニット42をタンク34内の洗浄水と熱的に接続することで、熱伝導ユニット42を温水洗浄に適した温度(例えば40℃)に加熱することができ、座面50を保温できる。本実施の形態によれば、LED52が生成する熱を利用して座面50を保温できるため、エネルギー効率を高めることができる。
【0038】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態に係る洗浄水生成ユニット118の構成を概略的に示す断面図である。第2の実施の形態では、洗浄水生成ユニット118が電気ヒータ180をさらに備える点で、第1の実施の形態と相違する。以下、第2の実施の形態について、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0039】
洗浄水生成ユニット118は、タンク34と、光源ユニット36と、温度センサ38と、電気ヒータ180とを含む。タンク34、光源ユニット36および温度センサ38は、第1の実施の形態と同様に構成される。
【0040】
電気ヒータ180は、タンク34内に設けられ、タンク34内の洗浄水60を加熱する。電気ヒータ180は、タンク34の下面34aに設けられ、タンク34内の下側の洗浄水60を加熱する。電気ヒータ180は、光源ユニット36から離れて設けられ、光源ユニット36と物理的に接しないように設けられる。電気ヒータ180によってLED52が直接的に加熱されるのを防止するためである。
【0041】
電気ヒータ180は、制御部32からの指令に基づいて動作する。電気ヒータ180は、温度センサ38にて計測される温度が所定の閾値(例えば40℃)未満である場合にオンとなり、洗浄水60を加熱する。電気ヒータ180は、温度センサ38にて計測される温度が所定の閾値(例えば40℃)以上である場合にオフとなり、洗浄水60の加熱を停止する。電気ヒータ180は、例えば、図2の第1期間71および第3期間73においてオンとなり、図2の第2期間72においてオフとなる。
【0042】
本実施の形態によれば、タンク34内に電気ヒータ180を設けることで、タンク34内の洗浄水60を所定の温度(例えば40℃)まで加熱する時間を短縮できる。
【0043】
第2の実施の形態において、電気ヒータ180は、タンク34の下面34aに設けられる代わりに、タンク34の上面34bや側面34cに設けられてもよい。電気ヒータ180は、タンク34の下面34a、上面34bおよび側面34cのうちの二以上に設けられてもよい。
【0044】
(第3の実施の形態)
図5は、第3の実施の形態に係る洗浄水生成ユニット218の構成を概略的に示す断面図である。第3の実施の形態では、洗浄水生成ユニット218における第1熱伝導部材244の配置が上述の第1の実施の形態および第2の実施の形態と相違する。以下、第3の実施の形態について、第2の実施の形態との相違点を中心に説明する。
【0045】
洗浄水生成ユニット218は、タンク34と、光源ユニット36と、温度センサ38と、電気ヒータ180とを備える。熱伝導ユニット242は、第1熱伝導部材244を含む。熱伝導ユニット242は、図1の熱伝導ユニット42と同様に構成されるが、図1の第1熱伝導部材44a,44bの代わりに図5の第1熱伝導部材244を含む。したがって、熱伝導ユニット242は、第1熱伝導部材244と、第2熱伝導部材46と、接続部48a,48bとを含む。
【0046】
第1熱伝導部材244は、図1の第1熱伝導部材44a,44bと同様に構成され、図1の接続部48a,48bの間を延在する。第1熱伝導部材244は、タンク34内において光源ユニット36から離れて設けられている。第1熱伝導部材244は、光源ユニット36の放熱部材58に接続されるのではなく、タンク34の上面34bに沿って設けられている。第1熱伝導部材244は、タンク34内に貯留される洗浄水60と物理的に接し、洗浄水60と熱的に接続される。第1熱伝導部材244は、タンク34内で加熱される洗浄水60の熱を第2熱伝導部材46に伝達する。
【0047】
本実施の形態においても、上述の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0048】
第3の実施の形態において、電気ヒータ180をタンク34の下面34aに設ける代わりに、電気ヒータ180をタンク34の上面34bや側面34cに設けてもよい。また、電気ヒータ180は、タンク34の下面34a、上面34bおよび側面34cのうちの二以上に設けられてもよい。第3の実施の形態において、第1熱伝導部材244は、タンク34の上面34bや側面34cに沿って設けられてもよい。
【0049】
第3の実施の形態において、タンク34の下面34a、上面34bまたは側面34cのいずれかの内面に電気ヒータ180と第1熱伝導部材244の双方を設けてもよい。この場合、電気ヒータ180および第1熱伝導部材244の双方がタンク34の内面に物理的に接するように配置されてもよい。電気ヒータ180および第1熱伝導部材244を重ねて配置してもよい。例えば、タンク34の内面と電気ヒータ180の間に第1熱伝導部材244を配置してもよいし、タンク34の内面と第1熱伝導部材244の間に電気ヒータ180を配置してもよい。
【0050】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。本発明は上述の実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、また、そうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0051】
上述の実施の形態では、温水洗浄便座10が熱伝導ユニット42,242を備える場合について示した。別の実施の形態では、温水洗浄便座10が熱伝導ユニット42,242を備えなくてもよい。温水洗浄便座10は、座面50の裏側に配置され、座面50を保温するための電気ヒータをさらに備えてもよい。
【0052】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0053】
本発明の第1の態様は、洗浄水を貯留するタンクと、前記タンク内に設けられ、前記タンク内の洗浄水に紫外光を照射し、前記紫外光の照射時に生じる熱を利用して前記タンク内の洗浄水を加熱する光源ユニットと、前記洗浄水を噴出させる吐水口を有する洗浄ノズルと、を備える温水洗浄便座である。第1の態様によれば、洗浄水を貯留するタンク内に光源ユニットを配置することで、洗浄水に紫外光を照射して洗浄水を殺菌できるとともに、光源ユニットにて生じる熱を利用して洗浄水を加熱して温水洗浄水を生成できる。これにより、エネルギーを効率的に利用して、より衛生的な温水洗浄水を提供できる。
【0054】
本発明の第2の態様は、座面の裏側に熱伝導部材が設けられる便座をさらに備え、前記熱伝導部材は、前記タンク内の洗浄水と熱的に接続される、第1の態様に記載の温水洗浄便座である。第2の態様によれば、光源ユニットにて生じる熱を利用して座面を加熱することができ、エネルギーを効率的に利用して、便座の座面を保温できる。
【0055】
本発明の第3の態様は、前記光源ユニットは、前記紫外光を発するLEDと、前記LEDの前面側に設けられ、前記紫外光を透過する窓部材と、前記LEDの背面側に設けられ、前記タンク内の洗浄水と接する放熱部材と、を含み、前記光源ユニットは、前記窓部材が重力方向上側、前記放熱部材が重力方向下側となるように配置される、第1または第2の態様に記載の温水洗浄便座である。第3の態様によれば、放熱部材を重力方向下側に設けることで、放熱部材によって加熱されて比重が小さくなった洗浄水がタンク内で上方に移動し、タンク内で自然対流を発生させることができる。これにより、タンク内の洗浄水全体を効率的に加熱および殺菌できる。
【0056】
本発明の第4の態様は、前記タンク内の洗浄水を加熱する電気ヒータをさらに備える、第1から第3のいずれか一つの態様に記載の温水洗浄便座である。第4の態様によれば、電気ヒータを追加することで、タンク内の洗浄水の加熱時間を短縮できる。
【0057】
本発明の第5の態様は、前記電気ヒータは、前記光源ユニットから離れて設けられる、第4の態様に記載の温水洗浄便座である。第4の態様によれば、電気ヒータによって光源ユニットが過度に加熱されてしまうことを防止できる。
【0058】
本発明の第6の態様は、前記タンク内の洗浄水の温度を計測する温度センサと、前記温度センサにて計測される温度が所定の閾値以上となる場合、前記温度センサにて計測される温度が前記閾値未満となる場合に比べて、前記紫外光の単位時間あたりの照射量が低くなるように前記光源ユニットを制御する制御部と、をさらに備える、第1から第5のいずれか一つの態様に記載の温水洗浄便座である。第6の態様によれば、洗浄水の温度が所定の閾値に満たない場合、洗浄水をより短時間で加熱することができ、洗浄水の温度が所定の閾値以上であれば、洗浄水が過度に加熱されることを防止しながら洗浄水を継続的に殺菌できる。これにより、より衛生的な温水洗浄水を提供できる。
【符号の説明】
【0059】
10…温水洗浄便座、12…本体部、14…便座、18…洗浄水生成ユニット、20…洗浄ノズル、32…制御部、34…タンク、36…光源ユニット、38…温度センサ、40…吐水口、42,242…熱伝導ユニット、44a,44b,244…第1熱伝導部材、46…第2熱伝導部材、48a,48b…接続部、50…座面、52…LED、56…窓部材、58…放熱部材、60…洗浄水、62…紫外光、180…電気ヒータ。
図1
図2
図3
図4
図5