(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022009144
(43)【公開日】2022-01-14
(54)【発明の名称】部品間の運動の相対速度を制御または管理するためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02K 49/02 20060101AFI20220106BHJP
H02K 49/10 20060101ALI20220106BHJP
【FI】
H02K49/02 B
H02K49/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021168761
(22)【出願日】2021-10-14
(62)【分割の表示】P 2019156868の分割
【原出願日】2014-12-16
(31)【優先権主張番号】619034
(32)【優先日】2013-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(71)【出願人】
【識別番号】515073551
【氏名又は名称】エディ・カーレント・リミテッド・パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ディール, アンドリュー カール
(72)【発明者】
【氏名】ライト, ケヴィン エー.
【テーマコード(参考)】
5H649
【Fターム(参考)】
5H649AA01
5H649BB02
5H649GG08
5H649GG16
5H649HH06
5H649HH16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】渦電流の形成を介してアセンブリ部品間の動きの相対速度を制御または管理するアセンブリ及びその使用方法を提供する。
【解決手段】アセンブリ1は、内壁および外壁を有するチューブ2ならびにその中の空間部を含んでいる。また、アセンブリ1は、シリンダ5を含んでいる。シリンダ5は、2つの運動度をもってチューブ2に対して相対運動し、この2つの運動度は、矢印Aに沿ってチューブ2の空間部に出入りする軸線方向の並進と、チューブ2に相対する回転運動Bである。軸線方向運動Aは、完全にまたは部分的に空間部に出入りすることができる。チューブ2およびシリンダ5は、1つまたは複数の導電性部材および磁性部材を含むことができる。チューブ2およびシリンダ5が、異なる相対回転速度を有する場合、渦電流の抵抗力が、近接して配置されたときに回転に抵抗して、チューブ2とシリンダ5との間に生じる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリであって、
チューブであり、内側及び外側の壁並びに内部の空間部を含むチューブと、
シリンダであり、該シリンダが前記チューブの空間部の内外への軸線方向の並進と前記チューブに対する回転にて前記チューブに対して運動する、シリンダと、
シャフトであり、該シャフトを中心に前記シリンダが回転する、シャフトと、
を備えており、
前記チューブ、前記シリンダ及び前記シャフトが共通の回転中心軸線を共有しており、
前記チューブ及び前記シリンダは、1つまたは複数の導電性部材及び磁性部材を含むことにより、前記チューブ及び前記シリンダが異なる相対回転速度を有する場合、渦電流抵抗力が、前記チューブ及び前記シリンダが重なるときに前記チューブ及び前記シリンダ間の相対回転に抵抗して、前記部材間に生じるように構成されており、
前記シリンダの軸線方向運動は、前記シャフトに対して課される回転トルクに対する反作用として前記シリンダに対して課される軸線方向力によって付勢され、
前記シリンダ及び前記チューブの磁石及び導電体が、互いに対する異なる相対回転速度及び重なりにより共に相互作用し、
渦電流制動力は、制御された渦電流誘導の制動トルクを提供するために、軸線方向及び回転方向での前記チューブ及び前記シリンダの平衡位置への長手方向軸線に沿った前記チューブ及び前記シリンダの軸線方向運動及び回転運動の両方により引き起こされる前記チューブ及び前記シリンダに対する力のバランスに起因して生じる制動力の調節を伴って、前記チューブ及び前記シリンダの異なる相対運動速度に対して誘導され、
前記チューブは、前記シリンダと逆の回転方向に回転し、前記シリンダの軸線方向の並進、前記チューブ及び前記シリンダ間の重なり並びに逆回転の結果として、渦電流力が前記チューブ及び前記シリンダ間に生成され、前記チューブ及び前記シリンダの回転に対する抵抗力を生じ、それにより、前記チューブ及び前記シリンダの前記相対回転速度を低下させる、
アセンブリ。
【請求項2】
前記導電性部材は前記チューブ上にあるか又は前記チューブ自体が導電性部材であり、前記磁性部材は前記シリンダ上にあるか前記シリンダ自体が磁性部材である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記導電性部材は前記シリンダ上にあるか又は前記シリンダ自体が導電性部材であり、前記磁性部材は前記チューブ上にあるか前記チューブ自体が磁性部材である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記シリンダの軸線方向運動の前に、前記チューブ及び前記シリンダが、互いに完全に又は部分的に重なる、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
前記シリンダの軸線方向運動の前に、前記チューブ及び前記シリンダが、互いに重ならない、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項6】
アセンブリであって、
チューブであり、内側及び外側の壁並びに内部の空間部を含むチューブと、
シリンダであり、該シリンダが前記チューブの空間部の内外への軸線方向の並進と前記チューブに対する回転にて前記チューブに対して運動する、シリンダと、
シャフトであり、該シャフトを中心に前記シリンダが回転する、シャフトと、
を備えており、
前記チューブ、前記シリンダ及び前記シャフトが共通の回転中心軸線を共有しており、
前記チューブ及び前記シリンダは、1つまたは複数の導電性部材及び磁性部材を含むことにより、前記チューブ及び前記シリンダが異なる相対回転速度を有する場合、渦電流抵抗力が、前記チューブ及び前記シリンダが重なるときに前記チューブ及び前記シリンダ間の相対回転に抵抗して、前記部材間に生じるように構成されており、
前記シリンダの軸線方向運動は、前記シャフトに対して課される回転トルクに対する反作用として前記シリンダに対して課される軸線方向力によって付勢され、
前記シリンダ及び前記チューブの磁石及び導電体が、互いに対する異なる相対回転速度及び重なりにより共に相互作用し、
渦電流制動力は、制御された渦電流誘導の制動トルクを提供するために、軸線方向及び回転方向での前記チューブ及び前記シリンダの平衡位置への長手方向軸線に沿った前記チューブ及び前記シリンダの軸線方向運動及び回転運動の両方により引き起こされる前記チューブ及び前記シリンダに対する力のバランスに起因して生じる制動力の調節を伴って、前記チューブ及び前記シリンダの異なる相対運動速度に対して誘導され、
前記シャフトは、物体が取り付けられるラインのスプールに取り付けられており、トルク力が前記ライン及び前記スプールに印加されるにつれて、ラインが前記スプールから繰り出され、前記スプール及び前記シャフトの回転をひき起こし、シリンダの回転運動とその後の前記チューブの空間部への軸線方向運動をもたらし、前記シリンダ及び前記チューブ間の渦電流制動相互作用をひき起こし、それによりシリンダの回転及び前記スプールからのラインの繰り出しを遅くする、
アセンブリ。
【請求項7】
前記導電性部材は前記チューブ上にあるか又は前記チューブ自体が導電性部材であり、前記磁性部材は前記シリンダ上にあるか前記シリンダ自体が磁性部材である、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記導電性部材は前記シリンダ上にあるか又は前記シリンダ自体が導電性部材であり、前記磁性部材は前記チューブ上にあるか前記チューブ自体が磁性部材である、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項9】
前記シリンダの軸線方向運動の前に、前記チューブ及び前記シリンダが、互いに完全に又は部分的に重なる、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記シリンダの軸線方向運動の前に、前記チューブ及び前記シリンダが、互いに重ならない、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記チューブが回転しないように固定されており、前記シリンダが回転し、前記シリンダの軸線方向の並進、前記チューブ及び前記シリンダ間の重なり並びに異なる相対回転速度の結果として、渦電流力が前記チューブ及び前記シリンダ間に生成され、前記シリンダの回転に対する抵抗力を生じ、それにより、前記シリンダの回転速度を低下させる、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記チューブは、前記シリンダと同じ方向だが前記シリンダと異なる相対速度で回転し、前記シリンダの軸線方向の並進、前記チューブ及び前記シリンダ間の重なり並びに異なる相対回転速度の結果として、渦電流力が前記チューブ及び前記シリンダ間に生成され、前記チューブ及び/又は前記シリンダの回転に対する抵抗力を生じ、それにより、前記チューブ及び前記シリンダの前記相対回転速度を低下させる、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記チューブが、前記シリンダと逆の回転方向に回転し、前記シリンダの軸線方向の並進、前記チューブ及び前記シリンダ間の重なり並びに逆回転の結果として、渦電流力が前記チューブ及び前記シリンダ間に生成され、前記チューブ及び前記シリンダの回転に対する抵抗力を生じ、それにより、前記チューブ及び前記シリンダの前記相対回転速度を低下させる、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項14】
アセンブリであって、
チューブであり、内側及び外側の壁並びに内部の空間部を含み、複数の同心壁を備えるチューブと、
シリンダであり、該シリンダが前記チューブの空間部の内外への軸線方向の並進と前記チューブに対する回転にて前記チューブに対して運動し、該チューブが、相補的な壁開口を備え、前記チューブの複数の同心壁が、前記シリンダの同心の相補的な壁開口内で入れ子になっている、シリンダと、
シャフトであり、該シャフトを中心に前記シリンダが回転する、シャフトと、
を備えており、
前記チューブ、前記シリンダ及び前記シャフトが共通の回転中心軸線を共有しており、
前記チューブ及び前記シリンダは、1つまたは複数の導電性部材及び磁性部材を含むことにより、前記チューブ及び前記シリンダが異なる相対回転速度を有する場合、渦電流抵抗力が、前記チューブ及び前記シリンダが重なるときに前記チューブ及び前記シリンダ間の相対回転に抵抗して、前記部材間に生じるように構成されており、
前記シリンダの軸線方向運動は、前記シャフトに対して課される回転トルクに対する反作用として前記シリンダに対して課される軸線方向力によって付勢され、
前記シリンダ及び前記チューブの磁石及び導電体が、互いに対する異なる相対回転速度及び重なりにより共に相互作用し、
渦電流制動力は、制御された渦電流誘導の制動トルクを提供するために、軸線方向及び回転方向での前記チューブ及び前記シリンダの平衡位置への長手方向軸線に沿った前記チューブ及び前記シリンダの軸線方向運動及び回転運動の両方により引き起こされる前記チューブ及び前記シリンダに対する力のバランスに起因して生じる制動力の調節を伴って、前記チューブ及び前記シリンダの異なる相対運動速度に対して誘導される、
アセンブリ。
【請求項15】
前記導電性部材は前記チューブ上にあるか又は前記チューブ自体が導電性部材であり、前記磁性部材は前記シリンダ上にあるか前記シリンダ自体が磁性部材である、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項16】
前記導電性部材は前記シリンダ上にあるか又は前記シリンダ自体が導電性部材であり、前記磁性部材は前記チューブ上にあるか前記チューブ自体が磁性部材である、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項17】
前記シリンダの軸線方向運動の前に、前記チューブ及び前記シリンダが、互いに完全に又は部分的に重なる、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記シリンダの軸線方向運動の前に、前記チューブ及び前記シリンダが、互いに重ならない、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記チューブが回転しないように固定されており、前記シリンダが回転し、前記シリンダの軸線方向の並進、前記チューブ及び前記シリンダ間の重なり並びに異なる相対回転速度の結果として、渦電流力が前記チューブ及び前記シリンダ間に生成され、前記シリンダの回転に対する抵抗力を生じ、それにより、前記シリンダの回転速度を低下させる、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記チューブは、前記シリンダと同じ方向だが前記シリンダと異なる相対速度で回転し、前記シリンダの軸線方向の並進、前記チューブ及び前記シリンダ間の重なり並びに異なる相対回転速度の結果として、渦電流力が前記チューブ及び前記シリンダ間に生成され、前記チューブ及び/又は前記シリンダの回転に対する抵抗力を生じ、それにより、前記チューブ及び前記シリンダの前記相対回転速度を低下させる、請求項14に記載のアセンブリ。
【請求項21】
前記チューブが、前記シリンダと逆の回転方向に回転し、前記シリンダの軸線方向の並進、前記チューブ及び前記シリンダ間の重なり並びに逆回転の結果として、渦電流力が前記チューブ及び前記シリンダ間に生成され、前記チューブ及び前記シリンダの回転に対する抵抗力を生じ、それにより、前記チューブ及び前記シリンダの前記相対回転速度を低下させる、請求項14に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
部品間の運動の相対速度を制御または管理するためのアセンブリが、本明細書に記載されている。より詳細には、2つの部品間の運動の相対速度を制御または管理するために渦電流形成を用いたアセンブリが、本明細書に記載されている。
【背景技術】
【0002】
渦電流形成は、部材の回転速度を調整するためにさまざまな態様において使用することができる。さまざまな装置が、例えば懸垂下降する際の、クライマの下降を制御するために、または、例えば、落下を引き起こすようなけがを防ぐために個人用保護具の状況で、存在している。渦電流の発生を使用する他の用途は、電車、ケーブルカー、ジップライン装置、およびジェットコースタのラインの繰り出しを制御することにある。
【0003】
1つの技術装置は、米国特許出願公開第2012/0055740号明細書に公開されている。この装置は、ロータアセンブリを利用している。ロータ自体が、導電性または磁性であってもよいし、それに取り付けられた導電性部材または磁性部材を有していてもよい。回転力が加えられると、ロータは、遠心力により中心軸線から外側におよび磁場(または導電性フィールド)に移動する。ロータが磁場を移動するにつれて、渦電流が生成され、その強度は回転速度に比例する。回転速度が減少するにつれて、ロータはばねによって回転軸線に向かって引き戻される。この装置は広く使用されているが、多くの可動部品を必要とする。別の欠点は、ロータが外側に移動し、磁場が生成されると、磁場がスピン軸線の周囲で連続していないということであり、したがって、連続的な渦電流発生経路を提供しない。
【0004】
理解され得るように、機械的なアセンブリにおいて部品の数を少なくすることは、組み立てコストを低減するために有効であり得る。また、機械的なアセンブリにおける可動部品は、一般に、メンテナンスを必要とするので、より多くの費用がかかる。可動部品の数を最小限に抑えることは、有効である。渦電流力の発生を最大化することも有効であり、または少なくとも選択肢を一般に提供することが有用である。
【0005】
アセンブリおよびその使用方法のさらなる態様および利点は、単なる例として与えられる次の説明から明らかとなろう。
【発明の概要】
【0006】
渦電流形成技術によりアセンブリ部品間の動きの相対速度を制御または管理するためのアセンブリおよびその使用方法が、本明細書に記載されている。また、このアセンブリおよび方法は、必要な部品の数を最小限に抑えることができ、可動部品の数を最小限に抑えることができ、それによって、より多くの可動部品を有しかつより複雑である技術設計と比較して、アセンブリの機械的耐久性を増加させる。
【0007】
第1の態様では、
壁と、チューブに画定された空間部とを含むチューブ、および、
チューブの空間部に嵌合されるシリンダ
を備えるアセンブリであって、
使用時、シリンダおよびチューブが、互いに異なる相対回転速度を有し、チューブおよびシリンダまたはその一部が、チューブおよびシリンダ上の力のバランスに起因して生じる制動力の調節を伴って、動きの異なる相対速度に対する渦電流起因の制動力を変化させるよう相互作用する、アセンブリが提供される。
【0008】
第2の態様では、チューブおよび/またはシリンダの軸線および回転が、ライン(紐)のスプールに連結され得るシャフトにリンクされ、速度制御アセンブリがスプールからのラインの繰り出しの速度を調節する、実質的に上述したアセンブリが提供される。
【0009】
第3の態様では、実質的に上述したアセンブリに連結されるラインのスプールに一つ又は複数の物体を連結するステップと、一つ又は複数の物体を重力によって落下させ、それにより、速度制御アセンブリがスプールからのラインの繰り出しに制動力を生成するシャフト上のトルク力を生成するステップとによって、物体の落下を制動する方法が提供される。
【0010】
第4の態様では、実質的に上述したアセンブリを含む落下防止安全装置が提供される。
【0011】
第5の態様では、実質的に上述したアセンブリであって、速度制御システムに連結されたケーブルに接続された吊るされたジップラインの乗客用椅子の加減速を制御するために、ジップラインの乗り物に組み込まれた、アセンブリが提供される。
【0012】
本発明者らは、さまざまな構成要素が、適用される力の程度を決定するチューブおよびシリンダ上の力のバランスに起因して生じる制動力の調節を伴って、渦電流起因の制動力を変化させるよう相互作用する装置を考案した。
【0013】
上記の利点は、アセンブリにおける部品の運動の相対速度を制御または管理するための渦電流力の効率的な使用と伝達を依然として提供するいくつかの可動部品を有する、アセンブリおよび方法の提供を含む。
【0014】
アセンブリおよびその使用方法のさらなる態様は、単なる例として与えられる以下の説明からおよび添付の図面を参照して、明らかとされよう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】非制動位置に部品を有するリードスクリュシャフトを用いたアセンブリの一実施形態の図であり、Aは斜視図、Bは側面図、Cは正面図、Dは切断線A-Aに沿った側断面図である。
【
図2】部分制動位置に部品を有するシャフト上の駆動傾斜部を用いたアセンブリの代替の実施形態の図であり、Aは斜視図、Bは側面図、Cは正面図、Dは切断線A-Aに沿った側断面図である。
【
図3】付勢機構を用いたアセンブリの代替の実施形態の図であり、Aは斜視図、Bは側面図、Cは正面図、Dは切断線A-Aに沿った側断面図である。
【
図4】代替の付勢機構を用いたアセンブリの代替の実施形態の図であり、Aは斜視図、Bは側面図、Cは正面図、Dは切断線A-Aに沿った側断面図である。
【
図5】部分制動位置に部品を有するシャフト上の駆動傾斜部および付勢機構を用いたアセンブリの代替の実施形態の図であり、Aは斜視図、Bは側面図、Cは正面図、Dは切断線A-Aに沿った側断面図である。
【
図6】部分制動位置に部品を有するリードスクリュシャフトおよび重りを用いたアセンブリの一実施形態の図であり、Aは斜視図、Bは側面図、Cは正面図、Dは切断線A-Aに沿った側断面図である。
【
図7】部分制動位置に部品を有するリードスクリュシャフト、重り、および付勢機構を用いたアセンブリの一実施形態の図であり、Aは斜視図、Bは側面図、Cは正面図、Dは切断線A-Aに沿った側断面図である。
【
図8】部分制動位置に部品を有する傾斜部および重り装置を用いたアセンブリの一実施形態の図であり、Aは斜視図、Bは側面図、Cは正面図、Dは切断線A-Aに沿った側断面図である。
【
図9】部分制動位置に部品を有する傾斜部、重り装置、および付勢機構を用いたアセンブリの一実施形態の図であり、Aは斜視図、Bは側面図、Cは正面図、Dは切断線A-Aに沿った側断面図である。
【
図10】使用することができるシリンダおよびチューブの代替形状を示す図である。
【
図11】多層の同心壁を用いたチューブおよびシリンダ設計の断面側面図である。
【
図12】
図11に示したものに磁石位置を変えて多層の同心壁を用いたチューブおよびシリンダ設計の代替の断面側面図の実施形態を示している。
【
図13】多層の同心壁の実施形態の別の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上述したように、渦電流の形成によりアセンブリ部品間の動きの相対速度を制御または管理するためのアセンブリおよびその使用方法が、本明細書に記載されている。また、このアセンブリおよび方法は、必要な部品の数を最小限に抑えることができ、可動部品の数を最小限に抑えることができ、それによって、より多くの可動部品を有しかつより複雑であり得る技術設計と比較して、アセンブリの機械的耐久性を増加させる。
【0017】
本明細書の目的のために、「約(about)」または「おおよそ(approximately)」という用語やその文法上の変形は、基準の数量、レベル、程度、値、数、頻度、比率、寸法、サイズ、量、重量、または長さに対し、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%だけ変化する、数量、レベル、程度、値、数、頻度、比率、寸法、サイズ、量、重量、または長さを意味する。
【0018】
「実質的に(substantially)」という用語またはその文法上の変形は、少なくとも約50%、例えば、75%、85%、95%、または98%をいう。
【0019】
「含む、備える(comprise)」という用語やその文法上の変形は、その包括的な意味を有するべきであり、すなわち、列挙されている直接参照する構成要素だけでなく、他の特定されていない構成要素または要素を含むことを意味すると解釈される。
【0020】
「チューブ(tube)」という用語やその文法上の変形は、一実施形態では、円形シリンダが嵌合する円形の穴すなわち空間部を有する円筒状の要素をいうだけでなく、正方形の外側チューブ壁および円形の空間部または多角形のチューブ壁(内側および外側)または円錐台形のチューブ壁とすることもできる。
【0021】
「シリンダ(cylinder)」という用語やその文法上の変形は、さまざまな形状に言及することができ、その重要な基準は、チューブの空間部スペースに相対して軸線方向におよび/または回転方向に運動するシリンダの能力であり、またはその逆に、すなわち、チューブもまた、シリンダに相対して軸線方向におよび/または回転方向に運動することができる。なお、シリンダは、固体である必要はなく、内部に空間部スペース(複数可)を有していてもよいことに留意されたい。
【0022】
第1の態様では、
壁と、チューブに画定された空間部とを含むチューブ、および
チューブの空間部に嵌合されるシリンダ
を備えるアセンブリであって、
使用時、シリンダおよびチューブが互いに異なる相対回転速度を有し、チューブおよびシリンダまたはその一部が、チューブおよびシリンダ上の力のバランスに起因して生じる制動力の調節を伴って、動きの異なる相対速度に対する渦電流起因の制動力を変化させるよう相互作用する、アセンブリが提供される。
【0023】
本発明者は、さまざまな構成要素が、適用される力の程度を決定するチューブおよびシリンダ上の力のバランスに起因して生じる制動力の調節を伴って、渦電流起因の制動力を変化させるよう相互作用する装置を考案した。
【0024】
シリンダは、
(a)シリンダがチューブ空間部の中へと、または外へと少なくとも部分的に通過することができるよう、チューブに対するシリンダの軸線方向の並進運動、および、
(b)チューブ空間部を通る長手方向軸線を中心としたチューブに対するシリンダの回転運動
という2つの異なる運動度(two separate degrees of movement)によりチューブに対して動作することが可能である。
【0025】
あるいは、チューブは、
(a)シリンダがチューブ空間部の中へと、または外へと少なくとも部分的に通過すこことができるよう、シリンダに対するチューブの軸線方向の並進運動、および、
(b)チューブ空間部を通る長手方向軸線を中心としたシリンダに対するチューブの回転運動
という2つの異なる運動度によりシリンダに対して動作することが可能である。
【0026】
1つまたは複数の導電性部材および1つまたは複数の磁性部材をチューブおよびシリンダに結合させることができ、チューブおよびシリンダはそれぞれ、磁性部材または導電性部材のいずれかを有し、導電性部材と磁性部材は互いに相互作用するように向きが定められている。
【0027】
チューブおよびシリンダは共通回転軸線を有することができる。上述したように、チューブおよびシリンダは、さまざまな断面形状を有することができ、円形である必要はない。しかし、チューブの円形の空間部および同様の嵌合する円形シリンダの断面は、最大の度合いの効率を提供することが予想され、したがって、これは、ほとんどの用途について有効であり得る。2つの入れ子式の円形断面を有することで、共通回転軸線は便利な特徴とされ得る。
【0028】
シリンダは、シリンダおよびチューブの回転軸線を通る回転部材を中心に回転することができる。回転部材はシャフトであってもよいが、他の構成も可能である。他の特徴的要素が、シャフトとベアリングのようなシリンダとの間に含まれてもよい。代替の実施形態では、チューブは、シャフトのような回転部材を中心に回転することができる。
【0029】
回転部材は、部材の回転運動をシリンダの直線運動に変換するために螺旋溝を含むことができる。螺旋溝のピッチおよび/またはリードを、制動応答を変化させるために変化させることができる。回転部材はリードスクリューであるとよい。螺旋溝を、シリンダの軸線方向運動を制御および/または駆動するために使用することができる。他の方法が、種々の付勢装置または種々の支承面装置などの軸線方向運動を制御および駆動するために使用され得るため、螺旋溝は必須ではなく、螺旋溝は、限定的なものとみなされるべきではない。
【0030】
導電性部材は、磁性部材よりも幅広であってもよい。必須ではないが、導電性部材が、完全な誘導磁場を発生するように磁性部材よりも幅広である場合、最大の渦電流の発生が起こり得る。より小さい導電性部材の領域が、さらに使用され得るが、より小さな磁場は、低減された渦電流の抵抗形成をもたらすこのような状況で生成され得る。
【0031】
磁性部材と導電性部材との間の隙間を、渦電流制動力を最大にするために、最小にすることができる。理解され得るように、大きな隙間が、より小さい磁場およびより少ない渦電流抵抗力の生成につながる。これは、いくつかの状況では有効であるが、最小の取り組みで最大の力を生成するために、実質的に小さな隙間(おおよそ5mmより小さい、すなわち4mmや3mm、または2mm、または1mmより小さい)が有用であり得る。
【0032】
チューブを適所に固定することができ、シリンダは、チューブに対して軸線方向および回転方向に運動することができる。反対の運動(opposite movement)は、例えばモータによりチューブをシリンダに向かうようにまたはシリンダから離れるように移動させるのに有用であり得るが、本明細書に記載のアセンブリの目的は、必要な部品の全体の数を最小限に抑えること、また、可動部品の数を最小限に抑えることである。
【0033】
シリンダは、並流または向流方向においてチューブに対して異なる相対速度で回転することができる。理解され得るように、渦電流を発生するために重要であるのは、導電性部材と磁性部材との間の異なる相対回転速度である。これを達成する1つの手段は、チューブである導電性部材とシリンダである磁性部材を有し、各部材を異なる相対速度で回転させることである。上述したように、チューブは、適所に固定され、全く回転しなくてもよい。また、チューブは、シリンダと同じ方向に(ただし、シリンダとは異なる速度で)回転するか、またはシリンダとは反対方向に回転してもよい(この場合、大きな相対速度差に起因してより強い渦電流力をもたらす)。
【0034】
シリンダは、シリンダおよび/またはチューブが回転していないとき、チューブの少なくとも部分的に外側にあってもよい。シリンダは、シリンダおよび/またはチューブが回転していないとき、少なくとも部分的にチューブ内にあってもよい。アセンブリが静止しているときに軸線方向にシリンダの位置を変化させることにより、回転の開始時の特性を変えることができる。例えば、シリンダがチューブ内に既にある場合は、シリンダ(またはチューブ)が回転すると、即時の渦電流の抵抗力の生成が起こることになる。回転が開始されるときにシリンダがチューブの外側にある場合は、最小限の即時の渦電流力が発生することになり、例えば、ラインの低速の繰り出しが登山用途で必要とされるときのような、少しの回転が所望される場合、この遅延した効果が有用である可能性がある。落下が起こると、ラインの繰り出しは、はるかに速くなり、高速の回転は、その後、抵抗力および制動効果を生成するために、軸線方向の並進によりシリンダおよびチューブの係合を引き起こす可能性がある。
【0035】
少なくとも1つの磁石部材の強度および/またはシリンダもしくはチューブ上の位置を変化させることにより、制動応答を変化させることができる。少なくとも1つの導電性部材の化学的組成および/またはシリンダもしくはチューブ上の位置を変化させることにより、制動応答を変化させることができる。この特徴をさらに説明するために、いくつかの技術の渦電流装置は、互いに離間された導電性部材または磁性部材を使用している。この結果は、連続的な磁場よりも低いレベルの渦電流の発生であってもよい。例えば、導電性部材は、磁場の中へとまたは外へと回転運動することができ、したがって、それらは、磁場が連続した場合よりも小さいすなわち効果的でない渦電流の抵抗力を単に作成しているかもしれない。対照的に、チューブおよびシリンダの説明した構成は、チューブ空間部の表面とシリンダの表面の連続的な性質に起因して導電性部材と磁性部材との間に連続的な磁場を発生することを可能にし得る。完全に連続的な渦電流の発生関係の一例は、シリンダが完全に導電性部材から作成されること、またはシリンダの少なくとも外面が導電性部材から作成されるか導電性部材を含むこと、およびチューブ自体またはチューブ空間部の外面が磁性部材から作成されるか磁性部材を含むことであり得る。連続的な界面が、その後、渦電流の発生のために2つの部品間に作成される。連続に満たない界面が所望される場合に、これに対する変化も着手され得るが、連続面を作成する機能は特有であり、この特定の設計の利点とされ得る。
【0036】
チューブおよびシリンダの回転の相対速度を変化させることにより、制動応答を変化させることができる。上述したように、相対速度は、渦電流を発生させる際に重要である。シリンダおよびチューブの軸線方向位置が変化せず、導電性部材および磁性部材の位置が変化しないと想定すると、渦電流の特性を変える次の方法は、相対回転速度を変更することであってもよい。
【0037】
シリンダの少なくとも一部が導電性材料を含んでもよく、または導電性材料から形成されてもよく、それにより導電性部材を形成してもよい。チューブの少なくとも一部が導電性材料を含んでもよく、または導電性材料から形成されてもよく、それにより導電性部材を形成してもよい。導電性部材を、シリンダまたはチューブの表面上に配置することができ、同様に、磁性部材は、シリンダまたはチューブの表面上に配置することができる。チューブまたはチューブ空間部の壁は、それ自体が導電性材料または磁性材料であってもよく、シリンダ自体またはシリンダ外部も同様である。
【0038】
チューブおよび/またはシリンダの軸線方向運動を、少なくとも1つのモータによって作動させることができる。モータを、アセンブリ全体の部品を最小限に抑えかつ可動部品を最小限に抑えるために避ける可能性があるが、必要に応じて組み込むことができる。
【0039】
アセンブリは、チューブおよび/またはシリンダに直接のまたは非直接の軸線方向力を生成する付勢部材を含むことができ、この付勢部材は、チューブおよび/またはシリンダを一緒に付勢するか、またはチューブおよび/またはシリンダの回転に関し別に付勢する。付勢部材はばねであってもよい。
【0040】
チューブおよび/またはシリンダの軸線方向運動は、チューブおよび/またはシリンダが回転するときに生じさせることができ、軸線方向運動は、遠心力によるエネルギーを軸線方向の並進に変換することによって引き起こされる。チューブおよび/またはシリンダは、回転軸線からオフセットした少なくとも1つの重りを含むことができ、この重りは、チューブおよび/またはシリンダの回転で遠心力を受ける可能性があり、運動学的関係により遠心力をチューブおよび/またはシリンダ上の軸線方向力に変換することによって、チューブおよび/またはシリンダの相対的な軸線方向運動を引き起こす。重りの回転運動をシリンダまたはチューブの軸線方向運動に変換するレバーは、運動学的関係を形成するように作用することができる。重りは、遠心力の適用で、少なくとも部分的に径方向に移動することができる。代替の実施形態において、重りの遠心力による外側への運動は、傾斜部に作用することによりシリンダの軸線方向運動を引き起こすことができる。
【0041】
チューブおよび/またはシリンダは複数の層として形成されてもよく、シリンダは例えば中空内部を有し、チューブおよびシリンダの相対運動の前に、最中に、または後に、シリンダはシリンダの外側にわたって少なくとも部分的に延びる外壁とシリンダの中空内部に延びる内壁を有するチューブと嵌合する。チューブおよびシリンダは、複数の入れ子式の同心壁を有することができる。磁石および/または導電性部材を、シリンダ壁および/または1つまたは複数のチューブ壁(外側および/または内側)に配置することができる。さらなる実施形態において、シリンダは、チューブ上の複数の同心壁と嵌合する複数の同心壁層、および壁層の一部またはすべてに配置された磁石および/または導電性部材を有していてもよい。
【0042】
第2の態様では、チューブおよび/またはシリンダの軸線および回転は、ラインのスプールに連結され得るシャフトにリンクされ、速度制御アセンブリは、スプールからのラインの繰り出しの速度を調節する、実質的に上述したアセンブリが提供される。
【0043】
上記アセンブリは、繰り出し力が除去されると、繰り出されたラインをスプールに引き戻すための引き込み機構を含むことができる。
【0044】
ラインのスプールの繰り出しのために加えられる制動力は、加えられたトルクの範囲にわたって続くために実質的に一定の速度であってもよい。
【0045】
上記のようなアセンブリは筐体を含むことができ、筐体は、アセンブリの少なくとも一部を囲んでいる。筐体は、アセンブリの耐候性のために、また、アセンブリの美観を向上させるために有用であり得る。また、筐体は、偶然の損傷を回避する安全性のために重要であり得る。
【0046】
第3の態様では、実質的に上述したアセンブリに連結されるラインのスプールに一つ又は複数の物体を連結するステップと、一つ又は複数の物体を重力によって落下させ、それにより、速度制御アセンブリがスプールからのラインの繰り出しに制動力を生成するシャフト上のトルク力を生成するステップとによって、物体の落下を制動する方法が提供される。
【0047】
また、制動力は、きれいに引き込むためにラインに何も取り付けられていない状態の完全に延伸したラインを可能にするのに十分であるほど、ラインの引き込み速度を減少させることも可能である。
【0048】
加えられるトルクの範囲は、約9kg、10kg、11kg、12kg、13kg、14kg、15kg、20kg、25kg、30kg、35kg、40kg、45kg、50kg、55kg、60kg、65kg、70kg、75kg、80kg、85kg、90kg、95kg、100kg、105kg、110kg、115kg、120kg、125kg、130kg、135kg、140kg、145kgまたは150kgの重さの、ラインに取り付けられる物体をカバーすることが可能である。この範囲を、約9kg~約150kgとすることができる。
【0049】
第4の態様では、実質的に上述したアセンブリを含む落下防止安全装置が提供される。
【0050】
第5の態様では、実質的に上述したアセンブリであって、速度制御システムに連結されたケーブルに接続された懸垂型のジップライン乗客用椅子の加減速を制御するために、ジップラインの乗り物に組み込まれているアセンブリが提供される。
【0051】
要約すると、説明した装置を用いた部材の相対速度の制御および管理は、以下の2つの例AおよびBについて起こり得る。
【0052】
[A]シャフトおよびチューブと相互作用するシリンダの実施形態では、次の通り。
・チューブおよびシリンダは、それらの軸線に沿ったチューブおよびシリンダの相対回転が対応する相対並進の動きにリンクされる場合に運動学的関係が存在する態様で接続される。
・シャフトにトルクを加えることによりシャフトの回転とそれによるシリンダの回転を引き起こす。
・シリンダの回転の結果として、シリンダに渦電流の抵抗トルクの形成をもたらす。および/または、
・慣性トルクが、適用されたシャフトの回転加速度に起因してシリンダによって生成される。
・運動学的関係は、シリンダに対応する軸線方向力を与える。
・付勢装置を、シャフトとシリンダとの間に接続することができるため、付勢部はシャフトおよびシリンダの相対回転と関係し、シリンダとシャフトの相対回転は、渦抵抗トルクおよび慣性トルクが付勢装置の反作用トルクによって釣り合っている場合に、平衡に達する。または、
・付勢装置は、シリンダと「接地」本体(場合により、チューブまたは支持構造)との間に接続されるため、付勢部はシャフトおよびシリンダの相対並進と関係し、シリンダおよびシャフトの相対並進は、渦抵抗トルクおよび慣性トルクの運動学的関係によって誘導される軸線方向誘導力が付勢装置の軸線方向の反作用力によって釣り合っている場合に、平衡に達する。および、
・シャフト、シリンダ、およびチューブの得られた平衡位置は、シャフトの回転速度および加速度に基づいて制御された渦電流誘導の制動トルクを提供する。および、
・誘導されたトルクは、加えられたトルクと釣り合う。
【0053】
[B]次のようなシャフトと相互作用するシリンダ。
・シャフトおよびシリンダは、相対並進の動きが可能とされ、遠心システムが、シャフトの回転の際にシリンダに軸線方向力を加えるように配置される場合に運動学的関係が存在する態様で接続される。および、
・付勢装置は、シリンダと「接地」本体(場合により、チューブまたは支持構造)との間に接続されるため、付勢部はシャフトおよびシリンダの相対回転と関係し、シリンダおよびシャフトの相対並進は、遠心力による軸線方向誘導力が付勢装置の軸線方向の反作用力によって釣り合っている場合に、平衡に達する。および、
・シャフト、シリンダ、およびチューブの得られた平衡位置は、シャフトの回転速度および加速度に基づいて制御された渦電流誘導の制動トルクを提供する。および、
・誘導されたトルクは、印加されたトルクと釣り合う。
【0054】
上記アセンブリの利点は、効率的な態様で、部品間の動きの相対速度を制御または管理する能力を含み、この態様はまた、必要な部品の全体の数を最小限に抑えることが可能であり、また、可動部品の数を最小限に抑えることが可能である。一般に機械的な装置において、可動部品では、機械的な物体が機能しなくなるかまたはメンテナンスを必要とするため(したがって、よりコストがかかるため)、可動部品の数を減少させることにより、アセンブリの機械的耐久性を向上させることができる。
【0055】
また、上記の実施形態は、個別にまたはまとめて、本出願の明細書に参照されるすなわち示されている部品、要素、および特徴、ならびに2つ以上の前記部品、要素、または特徴の、任意のまたはすべての組み合わせで構成されていると、概して言うことができ、ここで、特定の統合品が、本実施形態が関連する技術で均等物と知られているものとして本明細書に記載され、このような公知の均等物は、個別に記載のように本明細書に組み込まれるとみなされる。
【0056】
特定の統合品が、本発明が関連する技術で均等物と知られているものとして本明細書に記載されている場合には、このような公知の等価物は、このような公知の均等物は、個別に記載のように本明細書に組み込まれるとみなされる。
【0057】
具体例
上記のアセンブリおよび使用方法について、以下の具体例を参照して説明する。
【0058】
例1
図1のA~Dを参照すると、アセンブリの一実施形態が示されている。図示のアセンブリ1は、内壁3Aおよび外壁3Bを有するチューブ2ならびにその中の空間部4を含んでいる。また、アセンブリ1は、シリンダ5を含んでいる。シリンダ5は、2つの運動度をもってチューブ2に対して相対運動し、この2つの運動度は、矢印Aに沿ってチューブ2の空間部4に出入りする軸線方向の並進と、チューブ2に相対する回転運動Bである。軸線方向運動Aは、完全にまたは部分的に空間部4に出入りすることができる。図示の実施形態では、チューブ2およびシリンダ5は、共通の回転中心軸線を共有している。シリンダ5は、シャフト7を中心として方向Bで回転することができる。シャフト7は螺旋溝をシャフト上に有することができ、シャフト7が方向Bで回転すると、チューブ2に対してシリンダ5を軸線方向運動Aに駆動する。チューブ2およびシリンダ5は、1つまたは複数の導電性部材および磁性部材(不図示)を含むことができる。一実施形態では、導電性部材はチューブ2上にあってもよく、またはチューブ2自体が導電性部材であってもよく、および磁性部材はシリンダ5上にあってもよく、またはシリンダ5自体が磁性部材であってもよい。逆の状況も可能であり、導電性部材はシリンダ5にあってもよく、またはシリンダ5自体が導電性部材であってもよく、磁性部材はチューブ2上にあってもよく、またはチューブ2自体が磁性部材であってもよい。使用中に、チューブ2およびシリンダ5が、異なる相対回転速度を有する場合、渦電流の抵抗力が、近接して配置されたときに回転に抵抗して、部材2と部材5との間に生じる。一実施形態では、チューブ2を適所に固定することができ、シリンダ5は回転する。シリンダ5がチューブ2に入ると、渦電流力(不図示)がシリンダ5の回転Bに抵抗力を生じさせ、回転Bの速度は低下する。理解され得るように、渦電流力は必ずしもすべての回転Bを停止しないが、チューブ2の空間部4内のシリンダ5の運動によって生成される相対的な磁場に関連するレベルまで回転速度を抑制させる。高速の相対回転運動Bは、例えば、強力な制動力をもたらすことができる。他の実施形態では、チューブ2はまた、シリンダ5と同じ方向(ただし、異なる相対速度で)またはシリンダ5と逆の回転方向に回転することができる。
【0059】
上記のように、シャフト7は、シリンダ5の軸線方向運動を駆動する螺旋溝を有することができる。螺旋溝は、ねじ山であってもよく、またはリードスクリューであってもよい。螺旋溝のピッチおよび/またはリードを、制動応答を変化させるために変化させることができる。一例として、ピッチおよび/またはリードにより、例えば、シャフト7の少しの回転がシリンダ5の大きな軸線方向の並進Aを引き起こし、これにより、シリンダ5がチューブ2内に迅速に移動し、渦電流力が生成されるため、迅速な制動力が適用される。その逆の場合も可能であり、ピッチ/リードは、低速の軸線方向Aの進行を単に可能にするために変更され、このため、低速制動応答が得られる。
【0060】
図2のA~Dは、代替の実施形態を示しており、ここでは、シリンダ5の軸線方向運動は、シリンダ5のインタフェース13の周りの傾斜面16によって駆動され得る。シリンダ5が回転するにつれて、シリンダ5は、チューブ2の空間部4に強制される。この例では、運動を駆動するためにシャフト7上にねじ山は必要とされない。
【0061】
図3のA~Dは、代替の実施形態を示しており、ここでは、シリンダ5の軸線方向運動は、ばね8のような付勢機構によっても影響され得る。ばね8を、制動作用の特性を変更するために使用することができる。例えば、ばね8は、チューブ2からシリンダ5を引くように付勢され得る。シリンダ5の回転を十分に減速すると、本実施形態におけるばね8は、チューブ2からシリンダ5を引くように作用することができ、このため制動力を解放する。代替の実施形態では、長い時間にわたり制動力を維持したり、制動力が適用される範囲内でのペースを加速したりするために、チューブ2内にシリンダ5を強制する代わりにばね8を用いてもよい。
【0062】
図4のA~Cは、さらなる代替の付勢装置を示している。示されているアセンブリ1内のシリンダ5は、バーに取り付けられるか、またはシリンダ部分18を2つの付勢部材23,24を介してシリンダ5の両側に接続された部分18の各遠位端部に固定され得る。シリンダ5のばね部材の接続点は、バー18の接続点に対してオフセットされている。シリンダ5が回転すると、オフセットは、完全に効果的に、バー18とシリンダ5との間の距離を長くすること、および空間部4内にシリンダ5を強制することを、低減するかまたは消失させる。回転Bが減速または停止すると、付勢部材23,24は、バー18に向かっておよび静止位置でのオフセットにシリンダ5を引き戻す。
【0063】
図5のA~Dは、
図2のA~Dに示される実施形態が、傾斜部13の軸線Aの変位と付勢部8の軸線Aの変位の両方の効果を組み合わせるために、ばね8のような付勢手段と組み合わせることができる方法を示している。
【0064】
図6のA~Dは、遠心力の成分を、アセンブリ1の特性を変更するために使用することもできる方法を示している。図示の例では、重り11を、シリンダ5に接続することができる。シリンダ5が回転すると、重り11も回転し、遠心力が方向Fで重りに作用する。運動学的関係により、シリンダ5をチューブ2の内外に押す(または引く)ために、重り11に対する遠心力Fを、シリンダ5に対する軸線方向力Aに変換することができる。運動学的関係は、レバー装置12を介していてもよい。この特性を調整する手段は、特定の実施形態において有用であり得る。
【0065】
また、
図6のA~Dに示されるように、シャフト7を、ラインのスプール9に取り付けすることができ、そこに、人物のような物体(不図示)を取り付けすることができる。例えば、物体が重力により落下するような方向Xで、力がラインおよびスプール9に印加されるにつれて、ラインはスプール9から繰り出され、方向Bでスプール9およびシャフト7の回転を引き起こし、これにより、シリンダ5をチューブ2の空間部4に出入りさせる。一例として、人物が、ある高さから落下する物体であってもよい。重力によってラインがスプール9から繰り出されるため、スプール9が回転する。スプール9の回転がシャフト7の回転を引き起こし、これにより、順に、シリンダ5は、適所に固定され得るチューブ2の空間部4に入る。チューブ2とシリンダ5の異なる回転速度により、渦電流の抵抗力(不図示)が発生し、このため、ライン上の人物の落下が遅くなる。
【0066】
図7のA~Dは
図6のA~Dと同じ遠心力による構成を示しているが、シリンダ5をチューブ2の空間部4に引き込んだり、そこから外に強制したりするのを支援するために、付勢部8が含まれている。
【0067】
図8のA~Dは、遠心力方式および傾斜方式の両方を使用してシリンダ5の軸線方向の並進Aを強制する別の方法を示している。シャフト7が回転すると、重り15は、方向Fで外側に移動することを強制され、これにより、シリンダ5の軸線方向の並進Aを引き起こすシリンダ5の傾斜面16に作用する。回転速度Bが減少すると、重り15に作用する遠心力Fが減少し、シリンダ5は引き込まれていない位置に戻る。
【0068】
図9のA~Dは、
図8のA~Dと同じ実施形態を示しており、ここでは、付勢ばね8がまた、チューブ2の空間部4に出入りするシリンダ5の軸線方向運動Aの特性を変更するために使用されている。
【0069】
図10は、いくつかの別の代替のチューブ2およびシリンダ5の構成を示している。上記の実施形態は、円形の空間部を有する円形チューブ2を利用するが、チューブ2は、正方形のような任意の多角形の外形を有してもよい。前の図に示すように、チューブ2の内部の空間部形状は円形であってもよいが、楕円形、正方形、六角形などとすることも可能である。同様に、前の図は、円形断面のシリンダ5を示しているが、シリンダ5は、さまざまな形状をとることができ、また、中空であってもよい。
【0070】
例2
多層壁のアプローチを使用することも可能である。
【0071】
図11~
図13に示すように、シリンダ50は中空51であり、補足的な中空61を有するチューブ60と嵌合する。シリンダおよびチューブの重なり合う壁52,62が、磁石および/または導電性部材を含んでもよく、これにより、渦電流調整を変化させることができる。
図11および
図12は、中空のシリンダ50と入れ子式になっている多層チューブ60を示しており、2つの代替の磁石63がチューブ壁62を構成している。
図13は、チューブ60およびシリンダ50の両方が、互いに嵌合する複数の同心壁52,62を有する場合の、多層壁52,62によるアプローチを示している。
【0072】
アセンブリの態様および使用方法は、単なる一例として記載されており、修正や追加が、本明細書の特許請求の範囲から逸脱することなくなされ得ることが理解されるべきである。
[発明の項目]
[項目1]
壁と、内部に画定された空間部とを含むチューブ、および、
前記チューブの前記空間部に嵌合されるシリンダ
を含むアセンブリであって、
使用時、前記シリンダおよび前記チューブが互いに異なる回転の相対速度を有し、前記チューブおよび前記シリンダまたはその一部が、前記チューブおよび前記シリンダ上の力のバランスに起因して生じる制動力の調節を伴って、運動の異なる相対速度に対する渦電流誘導の制動力を変化させるよう相互作用する、アセンブリ。
[項目2]
前記シリンダは、
(c)前記シリンダが前記チューブの前記空間部の中へと、または外へと少なくとも部分的に通過することができるようにする、前記チューブに対する前記シリンダの軸線方向の並進と、
(d)前記チューブの前記空間部を通る長手方向軸線を中心とした前記チューブに対する前記シリンダの回転と
をいう2つの異なる運動度をもって、前記チューブに対して運動する、項目1に記載のアセンブリ。
[項目3]
前記チューブは、
(c)前記シリンダが前記チューブの前記空間部の中へと、または外へと少なくとも部分的に通過することができるようにする、前記シリンダに対する前記チューブの軸線方向の並進と、
(d)前記チューブの前記空間部を通る長手方向軸線を中心とした前記シリンダに対する前記チューブの回転と
をいう2つの異なる運動度をもって、前記シリンダに対して運動する、項目1に記載のアセンブリ。
[項目4]
1つまたは複数の導電性部材および1つまたは複数の磁性部材が、前記チューブおよび前記シリンダに結合され、前記チューブおよび前記シリンダはそれぞれ、前記磁性部材または前記導電性部材のいずれかを有し、前記導電性部材と前記磁性部材とは、互いに相互作用するように向きが定められている、項目1~3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目5]
前記チューブおよび前記シリンダが共通の回転軸線を有する、項目1~4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目6]
前記シリンダが、前記シリンダおよび前記チューブの回転軸線を通る回転部材を中心に回転する、項目1~5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目7]
前記チューブおよび前記シリンダが、それらの軸線に沿った前記チューブおよび前記シリンダの相対的な回転が対応する相対的な並進の動きにリンクされる場合に運動学的関係が存在する態様で接続されている、項目1~6のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目8]
導電性部材が磁性部材よりも幅広である、項目1~7のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目9]
磁性部材と導電性部材との間の隙間が、渦電流の形成に起因する回転に対する前記制動力を最大にするために最小にされている、項目1~8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目10]
前記チューブが適所に固定され、前記シリンダが、前記チューブに対して軸線方向および回転方向に運動する、項目1~9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目11]
前記シリンダが適所に固定され、前記チューブが、前記シリンダに対して軸線方向および回転方向に運動する、項目1~9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目12]
前記シリンダおよび前記チューブが、並流方向または向流方向で異なる相対速度で回転する、項目1~9のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目13]
前記シリンダおよび前記チューブは、前記シリンダおよび/または前記チューブが回転していないとき、少なくとも部分的に互いに離間されている、項目1~12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目14]
前記シリンダは、前記シリンダおよび/または前記チューブが回転していないとき、少なくとも部分的に前記チューブ内にある、項目1~12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目15]
少なくとも1つの磁性部材の強度および/または前記シリンダもしくは前記チューブ上の位置を変化させることにより、制動応答を変化させる、項目1~14のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目16]
少なくとも1つの導電性部材の鉄含有量および/または前記シリンダもしくは前記チューブ上の位置を変化させることにより、制動応答を変化させる、項目1~15のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目17]
前記チューブおよび前記シリンダの相対的な回転速度を変化させることにより、制動応答を変化させる、項目1~16のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目18]
前記シリンダの少なくとも一部が、導電性材料を含み、または導電性材料から形成されることにより導電性部材を形成している、項目1~17のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目19]
前記チューブの少なくとも一部が、導電性材料を含み、または導電性材料から形成されることによりそれ自体が導電性部材を形成している、項目1~17のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目20]
前記チューブおよび/または前記シリンダの軸線方向運動が、少なくとも1つのモータによって作動される、項目1~19のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目21]
当該アセンブリが、前記チューブおよび/または前記シリンダに直接のまたは非直接の軸線方向力を生成する付勢部材を含み、前記付勢部材は、前記チューブおよび/または前記シリンダの回転と一緒にまたは別に、前記チューブおよび/または前記シリンダを付勢する、項目1~20のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目22]
前記チューブおよび/または前記シリンダの軸線方向運動が、前記チューブおよび/または前記シリンダが回転するときに生成され、前記軸線方向運動は、遠心力によるエネルギーを軸線方向の並進に変換することによって引き起こされる、項目1~21のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目23]
前記チューブおよび/または前記シリンダが、回転軸線からオフセットした少なくとも1つの重りを含み、前記重りは、前記チューブおよび/または前記シリンダの回転で遠心力を受け、運動学的関係により前記遠心力を前記チューブおよび/または前記シリンダ上の軸線方向力に変換することによって、前記チューブおよび/または前記シリンダの相対的な軸線方向運動を引き起こす、項目1~22のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目24]
前記重りの回転運動を前記シリンダまたは前記チューブの軸線方向運動に変換するレバーが、運動学的関係を形成するように作用する、項目23に記載のアセンブリ。
[項目25]
前記重りが、遠心力により、少なくとも部分的に径方向に移動する、項目24に記載のアセンブリ。
[項目26]
前記チューブおよび/または前記シリンダの軸線および回転が、ラインのスプールに連結されるシャフトにリンクされ、当該アセンブリが前記スプールからの前記ラインの繰り出しの速度を調節する、項目1~25のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目27]
繰り出し力が除去された場合に、繰り出された前記ラインを前記スプールに引き戻す引き込み機構を含む、項目26に記載のアセンブリ。
[項目28]
前記ラインの前記スプールの繰り出しに加えられる制動力が、加えられたトルクの範囲にわたって続くよう実質的に一定の速度である、項目26または27に記載のアセンブリ。
[項目29]
当該アセンブリが筐体を含み、前記筐体は当該アセンブリの少なくとも一部を囲んでいる、項目1~28のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目30]
前記チューブおよび/または前記シリンダが、複数の入れ子式の同心壁で形成されている、項目1~29のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[項目31]
項目26~28のいずれか一項に記載のラインのスプールに一つ又は複数の物体を連結し、前記一つ又は複数の物体が重力によって落下することによってシャフトにトルク力を生成するのを可能にするステップによって、物体の落下を制動する方法であって、前記トルク力により、前記アセンブリが前記スプールからの前記ラインの繰り出しに制動力を生成する、方法。
[項目32]
制動力が、前記ラインを正しく引き込むために前記ラインに何も取り付けられていない状態で前記ラインを完全に延伸することができるほど十分に前記ラインの引き込み速度を減少させる、項目31に記載の方法。
[項目33]
加えられたトルクの範囲が、前記ラインに取り付けられた約9kg~約150kgの重さの物体をカバーする、項目31または32に記載の方法。
[項目34]
項目1~30のいずれか一項に記載のアセンブリを含む落下防止安全装置。
[項目35]
懸垂型のジップライン乗客用椅子の加減速を制御するためにジップラインの乗り物に組み込まれている、項目1~30のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[発明の条項]
[条項1]
内側および外側の壁と、内部に画定された空間部とを含むチューブ、および、
前記チューブの前記空間部に嵌合されるシリンダ
を含むアセンブリであって、
前記シリンダおよび前記チューブのうちの一方は、(a)前記シリンダが前記チューブの前記空間部の中へと、または外へと少なくとも部分的に通過することができるようにする、前記シリンダおよび前記チューブのうちの他方に対する前記シリンダおよび前記チューブのうちの前記一方の軸線方向の並進と、(b)前記チューブの前記空間部を通る長手方向軸線を中心とした前記シリンダおよび前記チューブのうちの前記他方に対する前記シリンダおよび前記チューブのうちの前記一方の回転と、という2つの異なる運動度をもって、前記シリンダおよび前記チューブのうちの前記他方に対して運動し、
前記チューブおよび前記シリンダが、それらの軸線に沿った前記チューブおよび前記シリンダの相対的な回転が、前記チューブおよび空間部を通る長手方向軸線に沿った対応する相対的な並進の動きにリンクされる場合に前記チューブおよび前記シリンダの間に運動学的関係が存在する態様で接続されており、
前記シリンダは、前記シリンダおよび前記チューブの長手方向軸線を通るシャフトを中心として回転し、前記シャフトは、前記チューブおよび前記シリンダが異なる相対回転速度を有する場合に前記長手方向軸線を中心として別のまたは一緒の前記チューブおよび前記シリンダの軸線方向運動を生じさせる螺旋溝および/または傾斜面を有しており、
1つまたは複数の導電性部材および1つまたは複数の磁性部材が、前記チューブおよび前記シリンダに結合される、若しくは、前記チューブおよび/または前記シリンダそれ自体が、前記磁性部材または前記導電性部材であり、前記導電性部材と前記磁性部材又はその一部とは、互いに相互作用するように配置されたときに5mm未満離れて向きが定められており、それにより、
前記シリンダおよび前記チューブの1つまたは複数の導電性部材および1つまたは複数の磁性部材が互いに異なる回転の相対速度を有するとき、前記1つまたは複数の導電性部材および1つまたは複数の磁性部材が、制御された渦電流誘導の制動トルクを提供するための軸線方向及び回転方向の前記チューブおよび前記シリンダの平衡位置への、前記長手方向軸線に沿った前記チューブおよび前記シリンダの軸線方向運動および回転運動により生じる、前記チューブおよび前記シリンダ上の力のバランスに起因して生じる制動力の調節を伴って、前記チューブおよび前記シリンダの動きの異なる相対速度に対する渦電流制動力を誘導するように相互作用する、アセンブリ。
[条項2]
前記チューブおよび/またはシリンダが、物体が取り付けられるラインのスプールにリンクされるシャフトに連結されており、力が前記ラインおよびスプールに加えられるにつれて、ラインは前記スプールから繰り出され、前記スプールおよびシャフトの回転を引き起こし、これにより、前記シリンダを前記チューブの空間部に出入りさせ、前記シリンダに対する前記チューブの軸線方向の並進及び異なる回転速度が渦電流の抵抗力を生じさせ、これにより前記スプールからのラインの繰り出しを遅くする、条項1に記載のアセンブリ。
[条項3]
ラインの前記スプールからの繰り出しに加えられる前記制動力は、加えられたトルクの範囲にわたって続くために実質的に一定の速度であり、加えられるトルクの範囲は、9kg~150kgの重さのラインに取り付けられる物体をカバーする、条項2に記載のアセンブリ。
[条項4]
前記チューブおよび前記シリンダが共通の長手方向の回転軸線を有する、条項1~3のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項5]
前記1つまたは複数の導電性部材は、前記1つまたは複数の磁性部材よりも幅広である、条項1~4のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項6]
前記チューブが適所に固定され、前記シリンダが前記チューブに対して軸線方向及び回転方向に運動する、条項1~5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項7]
前記シリンダが適所に固定され、前記チューブが前記シリンダに対して軸線方向及び回転方向に運動する、条項1~5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項8]
前記シリンダおよび前記チューブが、並流方向または向流方向で異なる相対速度で回転する、条項1~5のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項9]
前記シリンダおよび前記チューブは、前記シリンダおよび/または前記チューブが回転していないとき、少なくとも部分的に互いに離間されている、条項1~8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項10]
前記シリンダは、前記シリンダおよび/または前記チューブが回転していないとき、少なくとも部分的に前記チューブ内にある、条項1~8のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項11]
前記シリンダの少なくとも一部が、導電性材料を含み、または導電性材料から形成されることにより導電性部材を形成している、条項1~10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項12]
前記チューブの少なくとも一部が、導電性材料を含み、または導電性材料から形成されることによりそれ自体が導電性部材を形成している、条項1~10のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項13]
当該アセンブリが、前記チューブおよび/または前記シリンダに直接のまたは非直接の軸線方向力を生成する付勢部材を含み、前記付勢部材は、前記チューブおよび前記シリンダが異なる相対回転速度を有する場合前記チューブおよび/または前記シリンダの回転と一緒にまたは別に、前記チューブおよび/または前記シリンダを軸線方向に付勢する、条項1~12のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項14]
前記チューブおよび/またはシリンダの軸線方向運動は、前記チューブおよび前記シリンダが異なる相対回転速度を有する場合、遠心力によるエネルギーを軸線方向の並進に変換することによって引き起こされる、条項1~13のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項15]
当該アセンブリが筐体を含み、前記筐体は当該アセンブリの少なくとも一部を囲んでいる、条項1~14のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[条項16]
条項1~15のいずれか一項に記載のアセンブリを含む落下防止安全装置。
[条項17]
条項1~15のいずれか一項に記載のアセンブリを含み、懸垂型のジップライン乗客用椅子の加減速を制御するためのジップラインの乗り物。
[条項18]
前記シリンダが完全に導電性部材により作成されること、前記シリンダの少なくとも外面が導電性部材から完全に作成されるか導電性部材を含むこと、および/またはチューブ自体または前記チューブの空間部の外面が1つまたは複数の磁性部材から作成されるか前記磁性部材を含むこと、により連続的な渦電流の発生関係が実現される、条項1~15のいずれか一項に記載のアセンブリ。
[発明の方法]
[方法1]
一つ又は複数の物体の落下を制動する方法であって、該方法は、アセンブリを提供するステップを含み、
前記アセンブリは、
内側および外側の壁と、内部に画定された空間部とを含むチューブ、および、
前記チューブの前記空間部に嵌合されるシリンダ
を含み、
前記シリンダおよび前記チューブのうちの一方は、
(a)前記シリンダが前記チューブの前記空間部の中へと、または外へと少なくとも部分的に通過することができるようにする、前記シリンダおよび前記チューブのうちの他方に対する前記シリンダおよび前記チューブのうちの前記一方の軸線方向の並進と、
(b)前記チューブの前記空間部を通る長手方向軸線を中心とした前記シリンダおよび前記チューブのうちの前記他方に対する前記シリンダおよび前記チューブのうちの前記一方の回転と、
という2つの異なる運動度をもって、前記シリンダおよび前記チューブのうちの前記他方に対して運動し、
前記チューブおよび前記シリンダが、それらの軸線に沿った前記チューブおよび前記シリンダの相対的な回転が、前記チューブおよび空間部を通る長手方向軸線に沿った対応する相対的な並進の動きにリンクされる場合に前記チューブおよび前記シリンダの間に運動学的関係が存在する態様で接続されており、
前記シリンダは、前記シリンダおよび前記チューブの長手方向軸線を通るシャフトを中心として回転し、前記シャフトは、前記チューブおよび前記シリンダが異なる相対回転速度を有する場合に前記長手方向軸線を中心として別のまたは一緒の前記チューブおよび前記シリンダの軸線方向運動を生じさせる螺旋溝および/または傾斜面を有しており、
前記シャフトは、ラインが設けられたスプールにリンクされ、前記スプールの前記ラインは、前記物体に取り付けられ、
1つまたは複数の導電性部材および1つまたは複数の磁性部材が、前記チューブおよび前記シリンダに結合される、若しくは、前記チューブおよび/または前記シリンダそれ自体が、前記磁性部材または前記導電性部材であり、前記導電性部材と前記磁性部材又はその一部とは、互いに相互作用するように配置されたときに5mm未満離れて向きが定められており、それにより、
力が前記ラインおよびスプールに加えられるにつれて、ラインは前記スプールから繰り出され、前記スプールおよびシャフトの回転を引き起こし、これにより、前記シリンダを前記チューブの空間部に出入りさせ、前記シリンダおよび前記チューブの1つまたは複数の導電性部材および1つまたは複数の磁性部材の異なる回転の相対速度が、前記スプールからのラインの繰り出しを遅くする制御された渦電流誘導の制動トルクを提供するための軸線方向及び回転方向の前記チューブおよび前記シリンダの平衡位置への、前記長手方向軸線に沿った前記チューブおよび前記シリンダの軸線方向運動および回転運動により生じる、前記チューブおよび前記シリンダ上の力のバランスに起因して生じる制動力の調節を伴って、前記チューブおよび前記シリンダ並びにスプールおよびラインの動きの異なる相対速度に対する渦電流制動力を誘導するように相互作用する、方法。
[方法2]
ラインの前記スプールからの繰り出しは、加えられたトルクの範囲にわたって続く実質的に一定の速度であり、加えられるトルクの範囲は、9kg~150kgの重さのラインに取り付けられる物体をカバーする、方法1に記載の方法。
[方法3]
前記制動力が、前記ラインを正しく引き込むために前記ラインに何も取り付けられていない状態で前記ラインを完全に延伸することができるほど十分に前記ラインの引き込み速度を減少させる、方法1又は2に記載の方法。
[方法4]
前記チューブおよび前記シリンダが共通の長手方向の回転軸線を有する、方法1~3のいずれか一項に記載の方法。
[方法5]
前記1つまたは複数の導電性部材は、前記1つまたは複数の磁性部材よりも幅広である、方法1~4のいずれか一項に記載の方法。
[方法6]
前記チューブが適所に固定され、前記シリンダが前記チューブに対して軸線方向及び回転方向に運動する、方法1~5のいずれか一項に記載の方法。
[方法7]
前記シリンダが適所に固定され、前記チューブが前記シリンダに対して軸線方向及び回転方向に運動する、方法1~5のいずれか一項に記載の方法。
[方法8]
前記シリンダおよび前記チューブが、並流方向または向流方向で異なる相対速度で回転する、方法1~5のいずれか一項に記載の方法。
[方法9]
前記シリンダおよび前記チューブは、前記シリンダおよび/または前記チューブが回転していないとき、少なくとも部分的に互いに離間されている、方法1~8のいずれか一項に記載の方法。
[方法10]
前記シリンダは、前記シリンダおよび/または前記チューブが回転していないとき、少なくとも部分的に前記チューブ内にある、方法1~8のいずれか一項に記載の方法。
[方法11]
前記シリンダの少なくとも一部が、導電性材料を含み、または導電性材料から形成されることにより導電性部材を形成している、方法1~10のいずれか一項に記載の方法。
[方法12]
前記チューブの少なくとも一部が、導電性材料を含み、または導電性材料から形成されることによりそれ自体が導電性部材を形成している、方法1~10のいずれか一項に記載の方法。
[方法13]
当該アセンブリが、前記チューブおよび/または前記シリンダに直接のまたは非直接の軸線方向力を生成する付勢部材を含み、前記付勢部材は、前記チューブおよび前記シリンダが異なる相対回転速度を有する場合前記チューブおよび/または前記シリンダの回転と一緒にまたは別に、前記チューブおよび/または前記シリンダを軸線方向に付勢する、方法1~12のいずれか一項に記載の方法。
[方法14]
前記チューブおよび/またはシリンダの軸線方向運動は、前記チューブおよび前記シリンダが異なる相対回転速度を有する場合、遠心力によるエネルギーを軸線方向の並進に変換することによって引き起こされる、方法1~13のいずれか一項に記載の方法。
[方法15]
当該アセンブリが筐体を含み、前記筐体は当該アセンブリの少なくとも一部を囲んでいる、方法1~14のいずれか一項に記載の方法。
[方法16]
前記シリンダが完全に導電性部材により作成されること、前記シリンダの少なくとも外面が導電性部材から完全に作成されるか導電性部材を含むこと、および/またはチューブ自体または前記チューブの空間部の外面が1つまたは複数の磁性部材から作成されるか前記磁性部材を含むこと、により連続的な渦電流の発生関係が実現される、方法1~15のいずれか一項に記載の方法。
【外国語明細書】