(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091448
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】カメラ装置
(51)【国際特許分類】
H04N 5/235 20060101AFI20220614BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20220614BHJP
G03B 7/091 20210101ALI20220614BHJP
G03B 37/00 20210101ALI20220614BHJP
【FI】
H04N5/235 100
G03B15/00 W
G03B7/091
G03B37/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204290
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】313003417
【氏名又は名称】株式会社ザクティ
(71)【出願人】
【識別番号】520242551
【氏名又は名称】株式会社ザクティエンジニアリングサービス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥 智岐
(72)【発明者】
【氏名】福本 晋平
(72)【発明者】
【氏名】前田 幸哉
(72)【発明者】
【氏名】野々田 浩一
【テーマコード(参考)】
2H002
2H059
5C122
【Fターム(参考)】
2H002DB14
2H002DB31
2H002GA02
2H002GA66
2H002HA04
2H059BA00
5C122DA08
5C122EA12
5C122FA01
5C122FA03
5C122FA07
5C122FB06
5C122FF01
5C122FF23
5C122FF26
5C122FH09
5C122FH16
5C122FK24
5C122FL05
5C122HA76
5C122HA86
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB05
5C122HB10
(57)【要約】
【課題】カメラ本体の姿勢によらずに最適な露光を実現する。
【解決手段】カメラ装置1は、魚眼レンズ21が設けられたカメラ本体10と、カメラ本体10の姿勢を検出する姿勢検出部と、制御部30とを備える。制御部30は、カメラ本体10が所定の角度よりも立てられた縦向き姿勢の場合、魚眼レンズ21を通して撮影された広角画像を出力する一方で、カメラ本体10が所定の角度よりも倒された横向き姿勢の場合、魚眼レンズ21を通して撮影された画像を所定の基準位置で分割し、複数のパノラマ画像として出力する。そして、制御部は、カメラ本体が横向き姿勢の場合に、前記撮像範囲の周縁に沿うドーナツ状の外縁エリアと比較して、その内側の中央エリアにおける測光の重みづけを低くする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚眼レンズが設けられたカメラ本体と、
前記カメラ本体の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記カメラ本体が所定の角度よりも立てられた縦向き姿勢の場合、前記魚眼レンズを通して撮影された広角画像を出力する一方で、前記カメラ本体が所定の角度よりも倒された横向き姿勢の場合、前記魚眼レンズを通して撮影された画像を所定の基準位置で分割し、複数のパノラマ画像として出力する制御部とを備え、
前記制御部は、前記カメラ本体が縦向き姿勢の場合と横向き姿勢の場合とで前記魚眼レンズの撮像範囲内の測光の重みづけを互いに異ならせ、かつ、前記カメラ本体が横向き姿勢の場合に、前記撮像範囲の周縁に沿うドーナツ状の外縁エリアと比較して、その内側の中央エリアにおける測光の重みづけを低くする、
ことを特徴とするカメラ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカメラ装置において、
前記制御部は、前記中央エリアを測光に使用しない、
ことを特徴とするカメラ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のカメラ装置において、
前記制御部は、前記カメラ本体が前記縦向き姿勢の場合に、前記カメラ本体の上下方向を基準にして前記広角画像を出力する、
ことを特徴とするカメラ装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のカメラ装置において、
前記制御部は、前記カメラ本体が前記横向き姿勢の場合でかつ撮影光軸が下向きの場合に、前記広角画像を出力する、
ことを特徴とするカメラ装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のカメラ装置において、
前記制御部から前記広角画像が出力される広角撮影モードと、前記制御部から前記複数のパノラマ画像が出力されるパノラマ撮影モードとを切り替えるためのモード切替ボタンをさらに備える、
ことを特徴とするカメラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カメラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェブ会議において、複数の拠点間での接続や、会議室以外の場所から会議に参加するような形態が増えている。そこで、魚眼レンズを用いて、会議室の広い範囲を撮像できるように構成された撮像装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、カメラの設置方向と、カメラに映る被写体の位置と大きさの時間的な関係などに基づいて、カメラの設置方向を判定し、判定したカメラの設置方向に応じて、撮像された画像の歪みを補正する技術が示されている。
【0004】
特許文献2には、加速度センサを用いて魚眼カメラの撮影方向を検出し、撮影画像を表示するときに、撮影時の撮影方向に応じた操作モードを自動設定する技術が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6335701号公報
【特許文献2】特許第5872415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ウェブ会議では、会議室の大きさや参加者の人数、会議の形態などに応じて、カメラの設置位置や撮影方向を変えたい場合がある。そのように撮影形態を変更した場合においても、なるべく多くの参加者の顔が撮影できることが望まれる。そこで、例えば、特許文献1では、カメラを机の上に置いた場合に、上下に分割されたパノラマ画像にして表示するようになっている。ここで、一般的なカメラでは、中央部重点測光のように、画角全体の状態を見つつ、比較的中央の部分を重視した測光が行われている。
【0007】
しかしながら、例えば、カメラが机に上向きに置かれるパノラマモードでは、中央部分には、天井や照明などが撮影されることが想定される。そのため、中央の領域に基づいて明るさを決めてしまうと、最適な露出にならずに、撮影対象者の顔が暗くなるなどの影響が出る恐れがある。
【0008】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カメラが縦向き姿勢の場合と横向きの姿勢の場合とで、出力する画像のレイアウトを切り替えた場合においても、その両方のモードで最適な露光を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様において、カメラ装置は、魚眼レンズが設けられたカメラ本体と、前記カメラ本体の姿勢を検出する姿勢検出部と、前記カメラ本体が所定の角度よりも立てられた縦向き姿勢の場合、前記魚眼レンズを通して撮影された広角画像を出力する一方で、前記カメラ本体が所定の角度よりも倒された横向き姿勢の場合、前記魚眼レンズを通して撮影された画像を所定の基準位置で分割し、複数のパノラマ画像として出力する制御部とを備え、前記制御部は、前記カメラ本体が縦向き姿勢の場合と横向き姿勢の場合とで前記魚眼レンズの撮像範囲内の測光の重みづけを互いに異ならせ、かつ、前記カメラ本体が横向き姿勢の場合に、前記撮像範囲の周縁に沿うドーナツ状の外縁エリアと比較して、当該外縁エリアの内側の中央エリアにおける測光の重みづけを低くする。
【0010】
例えば、本開示に係るカメラ装置を会議室用のWEBカメラとして使用する場合、カメラ本体が横向き姿勢となる場合とは、カメラが会議室のテーブル等に置かれた状態が想定される。そうすると、魚眼レンズの撮像範囲における外縁エリアに参加者が撮影され、中央エリアに天井や照明などが撮影されることになる。そこで、本開示のカメラ装置のように、カメラ本体が横向き姿勢の場合に、撮像範囲の周縁に沿うドーナツ状の外縁エリアと比較してその内側の中央エリアにおける測光の重みづけを低くすることで、撮影対象者の顔が露光量の不足により暗くなったりするのを防ぐことができる。
【0011】
上記態様において、前記制御部は、前記中央エリアを測光に使用しない、としてもよい。
【0012】
これにより、露光量の不足により撮影対象者の顔が暗くなったりすることをより確実に防ぐことができる。
【0013】
上記態様において、前記制御部は、前記カメラ本体が前記縦向き姿勢の場合に、前記カメラ本体の上下方向を基準にして前記広角画像を出力する、としてもよい。
【0014】
このような構成にすることで、カメラ装置を縦向き姿勢にする場合に、カメラ本体のどこを上にして設置するかを気にする必要がない。
【0015】
上記態様において、前記制御部は、前記カメラ本体が前記横向き姿勢の場合でかつ撮影光軸が下向きの場合に、前記広角画像を出力する、としてもよい。
【0016】
このような構成にすることで、カメラ装置を用いて、会議室から紙の資料などを撮って、会議室以外の場所で参加する参加者に見せることができるようになる。
【0017】
上記態様において、前記カメラ装置は、前記制御部から前記広角画像が出力される広角撮影モードと、前記制御部から前記複数のパノラマ画像が出力されるパノラマ撮影モードとを切り替えるためのモード切替ボタンをさらに備える、としてもよい。
【0018】
これにより、参加者のニーズに応じた撮影モードで撮影された画像を表示させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本開示によれば、カメラが縦向き姿勢の場合と横向きの姿勢の場合とで、出力する画像のレイアウトを切り替えた場合においても、その両方のレイアウトにおいて最適な露光を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】カメラ装置を縦向き姿勢で置いた場合のシステム全体の構成図である。
【
図2】
図1のカメラ装置を右斜め後方から見た斜視図である。
【
図3】カメラ装置を横向き姿勢で置いた場合のシステム全体の構成図である。
【
図4】
図3のカメラ装置を左斜め上方から見た斜視図である。
【
図5】カメラ装置の構成を例示するブロック図である。
【
図6】カメラ装置の動作の一例を例示するフローチャートである。
【
図7】
図1のシーンで撮影した画像をブロック単位に分割した様子を模式的に示した図である。
【
図8】
図1のシーンで撮影された画像を表示装置に表示した例を示す図である。
【
図9】
図3のシーンで撮影した画像をブロック単位に分割した様子を模式的に示した図である。
【
図10】
図3のシーンで撮影された画像を表示装置に表示した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
【0022】
<ウェブ会議システム>
図1及び
図3は、ウェブ会議システムSの全体構成を例示する図である。本実施形態に係るウェブ会議システムSは、複数の拠点間を接続したり、外部からリモート接続で参加することが可能な会議システムであって、カメラ装置1と、コンピュータ60と、表示装置4とを備える。
【0023】
図1及び
図3では、カメラ装置1が会議テーブルTA上に置かれ、6名の参加者P11~P13,P21~P23が会議室Rで会議に参加している。会議室Rの中央には、会議テーブルTAが配置され、壁面には壁掛け式の表示装置4が設けられている。以下では、説明の便宜上、会議テーブルTAから見て、表示装置4が設けられている方向を「前」とし、「前」を基準にして「後」及び「左右」を定義する。会議テーブルTAには、会議テーブルTAの右側に3名(P11~P13)、左側に3名(P21~P23)の参加者がそれぞれ並んで座っている。また、会議には、参加者P7が、カメラ71付のコンピュータ70でリモート接続により参加し、参加者P8が、カメラ81付のコンピュータ80でリモート接続により参加している。
【0024】
図1では、カメラ装置1は、最前列の参加者P11,P21より前において撮像光軸が後向きになる姿勢、すなわち、所定の角度よりも立てられた縦向き姿勢で置かれている(
図2参照)。ここでの所定の角度は、特に限定されないが、例えば、水平線に対するカメラ装置1の傾きが45°よりも大きい状態である。以下の説明では、
図1及び
図2のようにカメラ装置1が所定の角度よりも立てられた縦向き姿勢で置かれているときの撮影モードを「広角モード」と称する。
【0025】
図3では、カメラ装置1は、会議テーブルTAの中央に、撮像光軸が上向きになる姿勢、すなわち、所定の角度よりも倒された横向き姿勢で置かれている(
図4参照)。ここでの所定の角度は、特に限定されないが、例えば、水平線に対するカメラ装置1の傾きが45°よりも小さい状態である。以下の説明では、
図3及び
図4のようにカメラ装置1が所定の角度よりも倒された横向き姿勢でかつ撮影光軸が上を向くように置かれている上向き姿勢のときの撮影モードを「パノラマモード」と称する。
【0026】
なお、「広角モード」及び「パノラマモード」の両モードにおけるカメラ装置1の設置方法は、特に限定されず、例えば、壁に固定されてもよいし、テーブル以外の場所に置いてもよいし、天井などから吊り下げられてもよい。
【0027】
カメラ装置1で撮影された画像は、無線通信や、通信ケーブル19を介した有線通信によりコンピュータ60に送信される。コンピュータ60は、カメラ装置1から受信した画像を自機のディスプレイ62や外付けの表示装置4に表示させたり、インターネットなどのネットワークを介して他のコンピュータ70,80に送信したりする。また、コンピュータ60は、他のコンピュータ70,80から、それぞれのカメラ71,81で撮影された画像を受信し、その受信した画像を表示装置4に表示させる。
【0028】
図8は、広角モード(カメラ装置1が
図3の配置)における表示装置4の撮影画像の表示例である。
図8の例では、表示装置4の表示画面40を複数の表示領域41,42,43に分割し、それぞれの表示領域に、カメラ装置1での撮影画像、リモート接続されたコンピュータ70,80での撮影画像を表示させている。例えば、画面中央のメインの表示領域41に会議室Rの様子を表示させ、表示領域41の周辺におけるサブの表示領域42,43に、コンピュータ70で撮影された参加者P7及びコンピュータ80で撮影された参加者P8をそれぞれ表示させる。各表示領域41,42,43の大きさやそれぞれの領域に表示させる内容は、特に限定されず、大きさや配置などが手動や自動で切替可能に構成されていてもよい。
【0029】
なお、コンピュータ60,70,80は、図例のようなラップトップコンピュータに限定されず、デスクトップコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等、種々のコンピュータを用いて実現することができる。
【0030】
-カメラ装置-
図2及び
図4は、カメラ装置の構成例を示す斜視図である。また、
図5は、カメラ装置1の構成を例示するブロック図である。以下、カメラ装置1を構成する各部について、順番に説明する。なお、カメラ装置1の構造については、
図4の設置状態における方向を用いて説明する。
【0031】
カメラ装置1は、魚眼レンズ21が設けられたカメラ本体10を備える。
図4に示すように、カメラ本体10は、下面が開口した上ケース11と、上面が開口した下ケース12とを上下方向に嵌め合わせた構成になっている。上ケース11は、下方よりも上方が縮径した略円筒形状であり、下ケース12は、下方よりも上方が拡径した略円筒形状である。上ケース11の上端面の中央には、魚眼レンズ21への入射光を取り込むための開口(図示省略)が形成され、その開口の上側に魚眼レンズ21が取り付けられている。
【0032】
カメラ装置1は、広角モードの場合、魚眼レンズ21を通して撮影された広角画像を出力し、パノラマモードの場合、魚眼レンズ21を通して撮影された画像を所定の基準線で分割し、複数のパノラマ画像として出力する。
【0033】
図5に示すように、カメラ装置1は、撮影機能を有する撮像部20と、撮像部20から出力された画像信号の処理やカメラ本体10の向きに基づいた処理を行う制御部30と、加速度センサ25と、外部のコンピュータ60との間でデータを送受する通信部28とを備える。さらに、カメラ装置1には、後述する信号処理部32により処理された画像信号をフレーム単位で一時的に記憶するメモリ26と、メモリ26に記録された画像信号を継続的に記録する記憶媒体27とがデータ送受可能に接続される。
【0034】
メモリ26は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SDRAM(Synchronous DRAM)等の揮発性メモリを用いて実現することができる。また、記録媒体27は、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いて実現することができる。
【0035】
通信部28は、例えば無線式のルータによって構成される。通信部28は、カメラ装置1と外部のコンピュータ60とをWi-Fi(登録商標)等の無線LANによって通信可能に接続し、撮像部20で撮影された画像信号を外部のコンピュータ60へ出力する。これにより、外部のコンピュータ60やそのコンピュータ60と接続された表示装置4に、撮像部20で撮像された画像が表示されるようになっている。
【0036】
撮像部20は、被写体を結像する前述の魚眼レンズ21と、露光量を調整する絞り22と、被写体の光学像を画像信号に光電変換する撮像素子23とを有する。
【0037】
魚眼レンズ21は、半天球型のレンズとして構成され、被写体からの光を集光し、絞り22を介して撮像素子23に入射させる。魚眼レンズ21は、
図4の設置状態において、先端部分が上方に突出しかつ露出するように配置されており、広角(概ね180°の範囲)の撮影が可能になっている。
【0038】
絞り22は、制御部30から出力された制御信号を受けて、撮像素子23に入射する光量を調整する。魚眼レンズ21と絞り22とを通過した光は、撮像素子23上に入射されて、被写体像を結像する。なお、絞り22は必須ではなく、絞り22を用いずに光量が調整されるようになっていてもよい。
【0039】
撮像素子23は、その受光面に配置された複数の画素によって、被写体の光学像を光電変換して電気信号(画像信号)を生成する。具体的に、撮像素子23は、CCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサ等を用いて実現することができる。
【0040】
制御部30は、例えば、樹脂製の制御基板上に実装されたASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向けの集積回路)であって、種々の処理を行う回路を備えて構成されている。制御部30は、前処理部31、信号処理部32、平均輝度取得部33、エリア区分部34、重み設定部35、加重平均算出部36、露出制御部37、出力モード設定部38及び姿勢判定部39を備える。なお、説明の便宜上、制御部30を機能ごとの機能ブロックに分けて説明するが、明確なブロック分けがされている必要はなく、制御部30としてそれぞれの機能ブロックの機能が実現できるように構成されていればよい。
【0041】
制御部30では、カメラ本体10の姿勢が検知できるように構成されている。
【0042】
詳しくは、制御部30では、姿勢判定部39において、カメラ本体10が所定の角度よりも立てられた縦向き姿勢なのか、カメラ本体10が所定の角度よりも倒された横向き姿勢なのかを判定する。例えば、加速度センサ25が、下ケース12の底面と対向する基板(図示省略)上に設けられる。姿勢判定部39では、加速度センサ25の検出結果に基づいて、上記基板の水平線に対する傾きが所定の角度(例えば、45度)よりも大きいとカメラ本体10が縦向き姿勢であると判定し、上記基板の水平線に対する傾きが所定の角度(例えば、45度)未満であるとカメラ本体10が横向き姿勢であると判定する。
【0043】
このように、本実施形態では、カメラ本体10の姿勢を検出する姿勢検出部としての機能を、加速度センサ24と姿勢判定部39で実現している。なお、姿勢検出部としての機能が本実施形態とは異なるブロック構成で実現されてもよい。
【0044】
なお、姿勢判定部39は、カメラ本体10が横向き姿勢と判定された場合に、カメラ本体10(撮像光軸)が上を向いている上向き姿勢であるのか、カメラ本体10(撮像光軸)が下を向いている下向き姿勢であるのかを判定するようにしてもよい。また、姿勢判定部39は、カメラ本体10が縦向き姿勢の場合に、カメラ本体10の下端位置を検知できるように構成されていてもよい。
【0045】
出力モード設定部38は、姿勢判定部39で判定されたカメラ本体10の向きに応じたレイアウト(出力モード)の画像が信号処理部32から出力されるように制御する。信号処理部32の出力モードとして、例えば、「広角モード」と「パノラマモード」がある。
【0046】
広角モードとは、
図8に例示するように、撮影された広角画像をそのままのレイアウトで出力するモードである。パノラマモードとは、
図10に例示するように、撮影された広角画像を所定の基準位置で分割し、上下に並べたレイアウトで出力するモードである。所定の基準位置は、特に限定されないが、例えば、上ケース11の表面に形成された目印15を基準位置として、その目印15を通る中央線CLを境界にして撮影画像が分割される。
【0047】
なお、信号処理部32の出力モードは、上記に限定されない。例えば、図示しないが、出力モードとして、撮影された広角画像を縦横の中心線で4分割にしてレイアウトする4分割モードを含めてもよい。
【0048】
さらに、制御部30は、画像信号に対してA/D変換をはじめとする前処理を施す前処理部31と、前処理された画像信号に対してホワイトバランス調整をはじめとする信号処理を施す信号処理部32とを備える。
【0049】
前処理部31は、詳細な図示は省略するが、撮像素子23によって変換された画像信号に対して相関2重サンプリング(いわゆるCDS)処理を施した後、不図示のゲインコントロールアンプ(いわゆるAGC)を用いて所定の信号レベルに増幅する。信号レベルのゲイン(AGCゲイン)は、自動的に制御することができる。その後、前処理部31は、信号レベルが調整された画像信号に対して、A/D変換を施す。そうして、前処理部31は、画像信号として、撮像部20で撮像された画像に対応するディジタル信号を出力する。
【0050】
信号処理部32は、撮像素子23で生成された画像信号に対してA/D変換、ホワイトバランス調整、色分離、ひずみ補正、後述する出力モードに応じた画像生成等の処理(以下、まとめて画像処理という)を施すよう構成される。具体的に、信号処理部32は、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integration Circuit)等を用いて実現することができる。
【0051】
加えて、制御部30は、信号処理部32から出力された画像信号の平均輝度Li(例えば、i=0,1,…,255)をブロック単位で取得する平均輝度取得部33と、画像領域G全体を複数のエリアAj(例えば、j=0,1,2)に区分けするエリア区分部34と、ブロック毎に重み係数ciを設定する重み設定部35と、画像領域G全体にわたる平均輝度Liの加重平均Laを算出する加重平均算出部36と、加重平均Laに基づいて、撮像部20が撮像を行うときに露出を制御する露出制御部37とを有している。
【0052】
詳しくは、平均輝度取得部33は、
図7及び
図9に示すように、信号処理部32から出力された画像信号の画像領域Gを縦16ブロック、横16ブロック、計256ブロックのブロック単位に分割する。そして、平均輝度取得部33は、各ブロックに対応した画像信号に基づいて、各ブロック(つまり、256ブロックの各々)の平均輝度Liを算出する。
【0053】
エリア区分部34は、画像信号の画像領域G全体を、1つ以上のブロックから構成された複数のエリアに区分けする。本実施形態に係るエリア区分部34は、縦向き姿勢の広角モードと横向き姿勢のパノラマモードとでエリアの区分けが異なることに特徴がある。
【0054】
具体的には、
図7に示す広角モードでは、画像領域G全体を、撮像部20の撮像範囲外のエリアA0と、撮像部20の撮像範囲内のエリアA11からなる少なくとも2つのエリアに区分けする。なお、エリアA11をいくつかの小エリアに分けてもよい。
【0055】
一方で、
図9に示すパノラマモードでは、画像領域G全体を、撮像部20の撮像範囲外のエリアA0と、画像領域Gの中央を含む略円形状の位置する中央エリアA21と、その中央エリアA21の周囲を囲う略ドーナツ状の外縁エリアA22とからなる少なくとも3つのエリアに区分けする。なお、中央エリアA21及び/または外縁エリアA22をいくつかの小エリアに分けてもよい。
【0056】
重み設定部35は、256ブロックの各々に対して重み係数ciを設定する。重み係数ciは、同一エリアに属するブロックならば、同一の値を取るよう設定される。このことは、重み設定部35がエリア単位で重み係数を設定すること(つまり、複数のエリアA0~A2の各々に対して重み係数を設定すること)に等しい。重み係数ciの設定は、ブロック毎に算出された平均輝度Liに基づいて行われるようになっている。
【0057】
ここで、重み設定部35は、広角モードの場合には、中央部重点測光のように、画角全体の状態を見つつ、比較的中央の部分を重視した測光を行う。
【0058】
一方で、重み設定部35は、パノラマモードの場合には、外縁エリアA22よりも中央エリアA21の測光の重みづけが低くなるように設定する。パノラマモードでは、例えば、カメラ本体10が机に上向きに置かれて、中央エリアA21には天井や照明などが撮影されることが想定される。そのため、中央エリアA21の測光の重みづけを高くするなどして、中央エリアA21に基づいて明るさを決めてしまうと、最適な露出にならずに撮影対象者(この場合は、参加者P11~P13,P21~P23)の顔が暗くなる等の影響が出る恐れがある。そこで、本実施形態のように、外縁エリアA22よりも中央エリアA21の測光の重みづけを低くすることで、撮影対象者が撮影されている可能性が高い外縁エリアA22が重視された測光が行われるので、パノラマモードにおいても最適な露光を実現することができる。
【0059】
加重平均算出部36は、下式(1)に示す如く、重み設定部35により設定された重み係数ciに基づいて、画像領域G全体にわたる平均輝度Liの加重平均Laを算出する。
【0060】
【0061】
式(1)から見て取れるように、加重平均Laは、重み係数ciが相対的に大きく設定されたブロックの平均輝度Liの値を、より強く反映するようになっている。
【0062】
露出制御部37は、撮像部20による撮像に際し、加重平均Laに基づいて露出を制御する。具体的に、露出制御部37は、下式(2)に示すように、画像の明るさを逐次的に調整する。
【0063】
【0064】
式(2)において、Rn+1は次回露光時の明るさを示し、Rnは現在の明るさを示し、Ltは、目標輝度を示す。目標輝度Ltは、カメラ装置1の機種等に応じて規定されており、予め制御部50に記憶されている。式(2)から見て取れるように、加重平均Laが目標輝度Ltよりも大きい場合、つまり、撮像素子23へ入射する光量が多い場合には、絞り22を絞ったり、電子シャッタのシャッタスピードを増加させたりすることにより撮像素子23の露光量を減少させるか、又は、AGCゲインを抑えるかする。
【0065】
その一方で、加重平均Laが目標輝度Ltよりも小さい場合、つまり、撮像素子23へ入射する光量が少ない場合には、絞り22を開いたり、電子シャッタのシャッタスビードを減少させたりすることにより撮像素子23の露光量を増加させるか、又は、AGCゲインを増加させるかする。
【0066】
-カメラ装置の動作の具体例-
図6は、カメラ装置1の動作の一例を例示するフローチャートである。
【0067】
まず、ステップS1において、姿勢判定部39が、加速度センサ25の出力に基づいて、カメラ本体10の姿勢を検出し、続くステップS2において、カメラ本体10が縦向き姿勢か、横向き姿勢かを判定する。
【0068】
カメラ本体10が縦向き姿勢と判定された場合、フローはステップS3に進む。ステップS3では、出力モード設定部38により、信号処理部32の出力モードが広角モードに設定され、信号処理部32から広角モードの画像が出力され、通信部28を介して外部のコンピュータ60に出力される。
【0069】
このとき、信号処理部32は、カメラ本体10の置き方が、撮像光軸中心の回転方向のずれに関わらず、出力する画像の上下方向は重力方向と一致するように調整するようにしてもよい。具体的には、例えば、
図2の仮想線で示した位置に印15があるような置き方をされた場合においても、信号処理部32から出力される画像の上下方向が重力方向と一致するように光軸回転方向が調整される。そうすることで、参加者は、光軸回転方向のずれを気にせずにカメラ装置1を設置することができる。
【0070】
一方で、ステップS2において、カメラ本体10が横向き姿勢と判定された場合、フローはステップS4に進む。ステップS4では、カメラ本体10が上向き姿勢か、下向き姿勢かが判定される。カメラ本体10が上向き姿勢と判定された場合、フローはステップS5に進む。
【0071】
ステップS5では、出力モード設定部38により、信号処理部32の出力モードとしてパノラマモードが設定され、信号処理部32からパノラマモードの画像が出力される。その画像は、コンピュータ60で受信され、表示装置4に
図10のような撮影画像が表示される。なお、ステップS2において、カメラ本体10が横向き姿勢と判定された場合に、カメラ本体10が上向き姿勢/下向き姿勢にかかわらず、信号処理部32からパノラマモードの画像が出力されるように構成されていてもよい。
【0072】
以上説明したように、本実施形態に係るカメラ装置1では、カメラ本体10の姿勢に応じて、信号処理部32から、自動的に、広角モードの画像(撮影状態そのままのレイアウトした画像)、または、パノラマモードの画像(パノラマ画像を上下にレイアウトした画像)が出力される。さらに、本実施形態では、エリア区分部34において、縦向き姿勢の広角モードと横向き姿勢のパノラマモードとでエリアの区分けを異ならせている。そして、重み設定部35では、パノラマモードにおいて、外縁エリアA22よりも中央エリアA21の測光の重みづけを低くしている。これにより、カメラ本体10が横向き姿勢で置かれた場合に、撮影対象者が撮影されている可能性が高い外縁エリアA22が重視された測光が行われるので、パノラマモードにおいても最適な露光を実現することができる。
【0073】
《他の実施形態》
上記の実施形態では、重み設定部35は、パノラマモードの場合には、外縁エリアA22よりも中央エリアA21の測光の重みづけが低くなるように設定するものとしたが、これに限定されない。例えば、中央エリアA21を測光に使用せずに、外縁エリアA22のみに基づいて測光を行うようにしてもよい。これにより、露光量の不足により撮影対象者の顔が暗くなったりすることをより確実に防ぐことができる。
【0074】
また、上記の実施形態では、カメラ装置1は、縦向き姿勢または上向き姿勢であるものとして説明したが、これに限定されない。例えば、カメラ装置1が、下向き姿勢にされた場合の動作が設定されていてもよい。
【0075】
例えば、信号処理部32は、カメラ本体10が、横向き姿勢の場合でかつ撮影光軸が下向きの場合に、広角モードが適用されて広角画像を出力するように構成されていてもよい。このような構成にすることで、カメラ装置1で会議室Rの会議テーブルTA上に置かれた紙の資料などを撮って、他の参加者P7,P8に見せることができるようになる。
【0076】
また、例えば、カメラ本体10が、横向き姿勢の場合でかつ撮影光軸が下向きの場合に、信号処理部32から広角画像が出力される広角撮影モードと、信号処理部32から上下パノラマ画像が出力されるパノラマ撮影モードとが切り替えできるように構成されていてもよい。この場合の出力モードの設定は、カメラ装置1にモード切替ボタン(図示省略)などの操作部を設けてもよいし、外部のコンピュータ60から設定できるようにしてもよい。
図7のステップS6~S8では、カメラ本体10が、横向き姿勢の場合でかつ撮影光軸が下向きの場合における信号処理部32の出力モードを設定可能にした例について示している。
【0077】
図7のステップS4において、カメラ本体10が下向き姿勢と判定されると、フローはステップS6に進む。ステップS6では、信号処理部32に適用される出力モードが、広角モードか、上下パノラマモードかが判定される。そして、広角モードに設定されている場合、信号処理部32から広角モードの画像が出力され(ステップS7)、上下パノラマモードに設定されている場合、信号処理部32から上下パノラマモードの画像が出力される(ステップS8)。
【0078】
また、上記の実施形態では、カメラ装置1は、外部のコンピュータ60に画像を送信するものとしたが、これに限定されない。例えば、本開示の技術は、撮影結果を内部に記録する記録型カメラにも適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 カメラ装置
10 カメラ本体
21 魚眼レンズ
30 制御部