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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091467
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】サービス方式判定システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204315
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 健
(72)【発明者】
【氏名】大橋 大
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 洋子
(72)【発明者】
【氏名】堀 敬滋
(72)【発明者】
【氏名】若林 賢
(72)【発明者】
【氏名】前山田 信
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC09
5H181FF10
5H181FF13
5H181MB03
5H181MC04
5H181MC20
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】燃料スタンドのサービス方式を自動的に判定する技術を提供する。
【解決手段】車両位置及び車両の窓の開閉の状態である窓状態を少なくとも含む車両挙動情報を取得する取得部と、車両位置が燃料スタンド内の位置を示す車両挙動情報に含まれる窓状態に基づいて、燃料スタンドのサービス方式がセルフサービス方式であるか、フルサービス方式であるかの方式判定を行う方式判定部と、備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両位置及び車両の窓の開閉の状態である窓状態を少なくとも含む車両挙動情報を取得する取得部と、
前記車両位置が燃料スタンド内の位置を示す前記車両挙動情報に含まれる前記窓状態に基づいて、前記燃料スタンドのサービス方式がセルフサービス方式であるか、フルサービス方式であるかの方式判定を行う方式判定部と、
を備える、サービス方式判定システム。
【請求項2】
前記車両挙動情報は、車両のドアの開閉の状態であるドア状態をさらに含み、
前記方式判定は、さらに、前記車両位置が前記燃料スタンド内の位置を示す前記車両挙動情報に含まれる前記ドア状態に基づいて行われる、請求項1に記載のサービス方式判定システム。
【請求項3】
前記方式判定では、前記窓状態に基づいて、前記サービス方式が判定できない場合に、前記ドア状態に基づいて、前記サービス方式が判定される、請求項2に記載のサービス方式判定システム。
【請求項4】
前記窓状態は、運転席の窓開閉の状態を示し、
前記ドア状態は、前記車両が備える複数のドアそれぞれの開閉の状態を示す、請求項2又は3に記載のサービス方式判定システム。
【請求項5】
前記車両挙動情報は、時刻及び車両の燃料残量をさらに含み、
前記方式判定では、前記車両位置が前記燃料スタンド内の位置を示す前記車両挙動情報として、前記燃料残量の増加が特定された、複数の前記車両挙動情報が参照される、請求項1乃至4の何れか1項に記載のサービス方式判定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サービス方式判定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転中にドライバに必要な情報を通知するシステムが知られている。特許文献1には、車両がセルフ方式のガソリンスタンドに近接した場合に、車両の給油口の位置や油種の情報をドライバに報知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-163907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術においては、ガソリンスタンドがセルフサービス方式であるかフルサービス方式であるかを示す情報が地図情報に予め登録されている必要がある。しかしながら、フルサービス方式のガソリンスタンドが地図情報へ登録された後でセルフサービスに変更になったにも関わらず、当該変更が地図情報に反映されないというように、地図情報が最新の状況に対応しない場合がある。この場合、変更後のサービス方式をドライバに通知することができない。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みなされたもので、ドライバ等に適切な情報提供を行う可能性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明のサービス方式判定システムは、車両位置及び車両の窓の開閉の状態である窓状態を少なくとも含む車両挙動情報を取得する取得部と、前記車両位置が燃料スタンド内の位置を示す前記車両挙動情報に含まれる前記窓状態に基づいて、前記燃料スタンドのサービス方式がセルフサービス方式であるか、フルサービス方式であるかの方式判定を行う方式判定部と、を備える。
【0007】
上記サービス方式判定システムは、車両位置が燃料スタンド内の位置を示す車両から得られた車両挙動情報に含まれる窓状態に基づいて、燃料スタンドのサービス方式がセルフサービス方式であるか、フルサービス方式であるかの方式判定を行う。すなわち、燃料スタンドのサービス方式を自動的に判定することができるため、判定結果を参照することにより、ドライバ等への適切な情報提供の可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車載システム及びサービス方式判定システムの構成図。
図2】車両挙動情報DBのデータ構成例を示す図。
図3】給油時間帯情報DBのデータ構成例を示す図。
図4図4A及び図4Bは、グルーピングの説明図。
図5】GS情報DBのデータ構成例を示す図。
図6】給油地点登録処理を示すフローチャート。
図7】統計処理を示すフローチャート。
図8】判定処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)車載システム及びサービス方式判定システムの構成:
(2)サービス方式判定処理:
(3)他の実施形態:
【0010】
(1)車載システム及びサービス方式判定システムの構成:
図1は、車載システム10及びサービス方式判定システム30の構成を示すブロック図である。車載システム10は、車両(プローブ車両)に搭載されたシステムである。以下、車載システム10が搭載された車両を適宜、搭載車両と称する。車載システム10は、定期的に車両挙動情報(プローブ情報)をサービス方式判定システム30に送信する。ここで、車両挙動情報は、搭載車両の位置(車両位置)や走行速度(車速)等、搭載車両の挙動を示す情報と挙動が検出された検出時刻とを対応付けた情報である。サービス方式判定システム30は、車載システム10から車両挙動情報を受信し、車両挙動情報に基づいて、ガソリンスタンドの位置及びサービス方式を判定するサーバ装置である。ここで、サービス方式は、ガソリンスタンドにおけるガソリン提供の方式であり、フルサービス方式とセルフサービス方式の2通りがある。フルサービス方式は、ガソリンスタンドの店員が車両への給油のための操作を行う方式である。セルフサービス方式は、車両の乗車者が給油のための操作を行う方式である。
【0011】
車載システム10は、CPU、ROM、RAM等を備える制御部11と、記録媒体12と、通信部13と、ユーザI/F部14と、を備えている。制御部11は、記録媒体12やROMに記憶された種々のプログラムを実行することができる。本実施形態の制御部11は、このプログラムの1つとして、送信プログラム110を実行することができる。制御部11は、送信プログラム110の処理により、定期的に車両挙動情報をサービス方式判定システム30に送信する。通信部13は、外部の装置と無線通信を行うための装置であり、制御部11は、通信部13を介してサービス方式判定システム30と通信することができる。制御部11によるサービス方式判定システム30への情報の送信は、通信部13を介して行われる。ユーザI/F部14は、ユーザの指示を入力し、また、ユーザに各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネル式のディスプレイやスイッチ等やスピーカー等を備えている。すなわち、ユーザI/F部14は画像や音声の出力部およびユーザによる指示の入力部を備えている。
【0012】
記録媒体12には、地図情報121が格納されている。地図情報121は、車両位置の特定や、経路案内等に利用される。地図情報121は、道路区間の端点に対応するノードの位置を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士を接続するリンクを示すリンクデータ等を含んでいる。ここで、ノードは、交差点に対応し、リンクは、交差点から交差点までの道路区間に対応する。地図情報121はさらに、施設情報を含んでいる。ここで、施設情報は、建物の位置、やガソリンスタンド、商業施設、等施設の属性を示す情報も含まれる。
【0013】
車載システム10はさらに、GNSS受信部15と、車速センサ16と、ジャイロセンサ17と、アクセサリー電源(ACC電源)18と、ガソリン残量センサ19と、ドアセンサ20と、窓開閉駆動部21とを備えている。GNSS受信部15は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置である。GNSS受信部15は、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して、車両位置を算出するための信号を出力する。制御部11は、この信号に基づいて、車両位置を特定する。車速センサ16は、搭載車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部11は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、当該信号に基づいて車速を特定する。ジャイロセンサ17は、搭載車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、搭載車両の向きに対応した信号を出力する。制御部11は、この信号を取得し、当該信号に基づいて搭載車両の進行方向を特定する。車速センサ16、ジャイロセンサ17等は、搭載車両の走行軌道を特定するために利用される。本実施形態においては、制御部11は、搭載車両の出発地と走行軌道とに基づいて、走行中の搭載車両の車両位置を特定し、出発地と走行軌道とに基づいて特定された車両位置をGNSS受信部15の出力信号に基づいて補正する。
【0014】
ACC電源18は、主にシガーソケット、ETC、ナビゲーション等に利用される電源である。ガソリン残量センサ19は、搭載車両が備えるガソリンタンクのガソリン残量を検出する。ここで、ガソリンは、燃料の一例であり、ガソリン残量は燃料残量の一例である。ガソリン残量センサ19は、例えば、ガソリンタンクに浮かべられたフロートの位置により搭載車両のガソリン残量を検出する。ドアセンサ20は、搭載車両が備える各ドアの開閉を検知する。窓開閉駆動部21は、ユーザ操作に応じて駆動し、搭載車両が備える開閉可能な各窓を開閉する。
【0015】
なお、本実施形態においては、ACC電源18、各種センサ16、17、19、20、及び窓開閉駆動部21は、制御部11に接続されているものとした。ただし、他の例としては、これら各種センサ16、17、19、20、及び窓開閉駆動部21は、ECUを介して制御部1に接続されていることとしてもよい。この場合、制御部11は、各種センサ16、17、19、20、及び窓開閉駆動部21からの情報を、ECUを介して取得する。
【0016】
車載システム10の制御部11が実行する送信プログラム110は、車両挙動情報を定期的にサービス方式判定システム30に送信するために、車両挙動情報生成部111と、通信処理部112と、を備えている。すなわち、送信プログラム110は、車載システム10のコンピュータを、上記各部として機能させるためのプログラムである。
【0017】
車両挙動情報生成部111は、車両挙動情報を生成する機能である。具体的には、制御部11は、車両挙動情報生成部111の機能により、以下の処理を行う。すなわち、制御部11は、例えば0.1秒毎の時刻を検出時刻とし、定期的に、検出時刻における搭載車両の挙動を特定する。そして、制御部11は、搭載車両の挙動を示す情報に、挙動が検出された検出時刻と、搭載車両のドライバを識別するドライバIDとを対応付けることで車両挙動情報を生成する。本実施形態においては、制御部11は、搭載車両の挙動として、車両位置、車速、ガソリン残量、ドア状態、窓状態及びトリップNoを特定し、これらを示す車両挙動情報を生成する。
【0018】
以下、搭載車両の各挙動を特定する処理について説明する。制御部11は、前述の通り、GNSS受信部15,車速センサ16,ジャイロセンサ17の出力信号により得られた情報から車両位置を特定する。制御部11は、前述の通り、車速センサ16の検知結果から車速を特定する。制御部11は、ガソリン残量センサ19の検知結果からガソリン残量を特定する。
【0019】
ドア状態は、搭載車両に設けられた各ドアの開閉状態である。制御部11は、ドアセンサ20により、いずれかのドアが開けられたこと又は閉じられたことが検出された場合に、ドアを識別する情報と共に検出結果をドア状態としてROMに記録する。例えば、運転席のドアが開けられたことが検出された場合には、制御部11は、運転席のドア状態として「開」を記録し、その後運転席のドアが閉じられたことが検出された場合には、運転席のドア状態を「閉」に更新する。このように、ドア状態は、ドアセンサ20の検出結果に応じて適宜更新されるため、ROMには、最新のドア状態が記録される。なお、ドア状態の初期値は「閉」に設定されているものとする。制御部11は、検出時刻においてROMに記憶されている各ドアのドア状態を、検出時刻におけるドア状態として特定する。
【0020】
窓状態は、搭載車両に設けられた各窓の開閉状態である。制御部11は、窓開閉駆動部21が駆動した場合に、駆動状態に応じて各窓の開閉状態を窓状態としてROMに記録する。例えば、運転席の窓が開く方向に駆動した場合には、制御部11は、運転席の窓が開いたと判定し、運転席の窓状態として「開」を記録し、その後運転席の窓が閉じる方向に駆動した場合には、運転席の窓状態を「閉」に更新する。このように、窓状態は、窓開閉駆動部21の駆動状態に応じて適宜更新されるため、ROMには、最新の窓状態が記録される。なお、窓状態の初期値は「閉」に設定されているものとする。制御部11は、検出時刻においてROMに記憶されている各窓の窓状態を、検出時刻における窓状態として特定する。なお、他の例としては、制御部11は、例えば窓の開閉を検知する窓開閉センサの検知結果から窓状態を判定してもよい。
【0021】
トリップNoは、ACC電源18がオンされた回数を示す値である。トリップNoは、ROMに記憶されている。なお、トリップNoの初期値は「0」であり、制御部31は、ACC電源18がオフからオンへ切り替わった場合にトリップNoに「1」を加算する。制御部31は、検出時刻においてROMに記憶されているトリップNoを検出時刻におけるトリップNoとして特定する。
【0022】
通信処理部112は、通信部13を介して、サービス方式判定システム30との情報の送受信を行う機能である。制御部11は、通信処理部112の機能により、定期的に、生成された車両挙動情報をサービス方式判定システム30へ送信する。
【0023】
図1においては、1台の車両に搭載された車載システム10のみ示しているが、サービス方式判定システム30には、複数の車両それぞれに搭載された複数の車載システム10から、定期的に車両挙動情報が送信される。
【0024】
サービス方式判定システム30は、CPU、ROM、RAM等を備える制御部31と、記録媒体32と、通信部33と、を有している。制御部31は、記録媒体32やROMに記憶された種々のプログラムを実行することができる。制御部31は、このプログラムの1つとして、方式判定プログラム310の処理により、ガソリンスタンドのサービス方式の判定を行う。通信部33は、外部装置と無線通信を行うための装置であり、制御部31は、通信部33を介して車載システム10と通信することができる。制御部31による車載システム10からの情報の受信は、通信部33を介して行われる。
【0025】
記録媒体332には、地図情報321、車両挙動情報DB322、給油地点DB323、給油時間帯情報324及びGS情報DB325が格納されている。地図情報321は、車載システム10の地図情報121と同様である。車両挙動情報DB322には、複数の車載システム10それぞれから定期的に送信される車両挙動情報が順次蓄積される。図2は、車両挙動情報DB322のデータ構成例を示す図である。図2においては、1台の搭載車両に対応した車両挙動情報を示しているが、車両挙動情報DB322には、同様に他の搭載車両に対応した車両挙動情報も格納されている。図2において、1つのレコード400が1つの車両挙動情報に対応する。なお、ドア状態及び窓状態は、いずれも「0」が「閉」を意味し、「1」が「開」を意味する。図2においては一部省略しているが、ドア状態は、搭載車両に備えられた複数のドアそれぞれについての開閉状態を示し、窓状態は、搭載車両に備えられた複数の窓それぞれの開閉状態を示している。
【0026】
図1に示す給油地点DB323には、給油地点の車両挙動情報が格納される。ここで、給油地点の車両挙動情報とは、給油地点に位置する搭載車両から得られた車両挙動情報である。給油時間帯情報DB324には、給油時間帯の車両挙動情報群が格納される。ここで、給油時間帯の車両挙動情報群とは、給油が行われた搭載車両が給油のためにガソリンスタンド内に位置している時間帯に検出された、複数の車両挙動情報である。すなわち、給油時間帯情報DB324には、ガソリンスタンド内に位置している時間帯に検出された一連の車両挙動情報が格納されているのに対し、給油地点DB323には、給油時間帯情報DB324に格納される一連の車両挙動情報のうち1の車両挙動情報が、給油地点の位置を示す車両挙動情報として格納される。GS情報DB325には、ガソリンスタンド毎の情報が格納される。給油地点DB323、給油時間帯情報DB324及びGS情報DB325への情報の記録は、制御部31により行われる。各DB323、324、325に記録される情報及び各DB323、324、325への情報の記録等の処理については後に詳述する。
【0027】
サービス方式判定システム30の制御部31が実行する方式判定プログラム310は、ガソリンスタンドのサービス方式がセルフサービス方式であるかフルサービス方式であるかを判定するために、取得部311と、方式判定部312とを備えている。すなわち、方式判定プログラム310は、サービス方式判定システム30のコンピュータを、上記各部として機能させるためのプログラムである。
【0028】
取得部311は、複数の車載システム10それぞれから車両挙動情報を受信する機能である。制御部31は、取得部311の機能により、複数の車載システム10それぞれから定期的に車両挙動情報を取得し、車両挙動情報を車両挙動情報DB322に格納する。
【0029】
方式判定部312は、車両挙動情報DB322に格納されている車両挙動情報に基づいて、ガソリンスタンドのサービス方式を判定する機能である。制御部31は、方式判定部312の機能により、以下の処理を行う。すなわち、制御部31は、サービス方式を判定するために、給油地点登録処理、統計処理、及び判定処理を行う。これらの処理について順に説明する。
【0030】
給油地点登録処理は、例えば1時間毎など定期的に実行される。給油地点登録処理は、前回、給油地点登録処理が実行された後で車両挙動情報DB322に新たに格納された車両挙動情報を処理対象として実行される。給油地点登録処理においては、制御部31は、まず車両挙動情報DB322の処理対象の時間帯の車両挙動情報のうち、1つの搭載車両の時系列に沿った複数の車両挙動情報のガソリン残量を参照することで、当該搭載車両のガソリン残量の増加を検出する。具体的には、制御部31は、時系列順において連続する2つの車両挙動情報のガソリン残量を比較することで、ガソリン残量の増加が連続する期間の複数の車両挙動情報を抽出する。制御部31は、抽出された複数の車両挙動情報におけるガソリン残量の最大値及び最小値を特定し、最大値と最小値の差分を増加分として特定する。
【0031】
そして、制御部31は、増加分が増加閾値以上の場合に、ガソリン残量の最大値が特定された車両挙動情報を、給油地点の車両挙動情報として特定する。ガソリン残量が増加していることから、給油が行われたことが推定され、ガソリン残量の最大値が特定された車両挙動情報に示される車両位置は、ガソリンスタンド内の位置であると推定されるためである。制御部31は、給油地点の車両挙動情報を給油地点DB323に記録し、給油地点の車両挙動情報に示される検出時刻を、給油完了時刻に設定する。制御部31は、以上の処理を車両挙動情報DB322に格納される、すべての搭載車両の車両挙動情報に対して実行する。
【0032】
例えば、図2に示す例においては、車両挙動情報400においてガソリン残量が5Lであるのに対し、車両挙動情報401においては、ガソリン残量が50Lに増加している。さらに、その後の車両挙動情報ではガソリン残量は、50Lで一定となっている。この場合、制御部31は、車両挙動情報400から車両挙動情報401までの時系列に連続する複数の車両挙動情報を抽出し、50Lをガソリン残量の最大値、5Lをガソリン残量の最小値として特定し、差分の45Lを増加分として特定する。さらに、増加閾値として10Lが設定されている場合には、算出された増加分(45L)が増加閾値(10L)以上であることから、制御部31は、ガソリン残量の最大値(50L)が特定された車両挙動情報401を、給油地点の車両挙動情報として特定する。
【0033】
さらに、制御部31は、給油地点の車両挙動情報に含まれる検出時刻(給油完了時刻)を基準として、給油時間帯を特定する。上述の通り、給油時間帯は、搭載車両がガソリンスタンド内に位置している時間帯である。本実施形態においては、制御部31は、給油地点の車両挙動情報を含み、当該車両挙動情報と時系列に沿って連続する複数の車両挙動情報のうち、車速が車速閾値未満を示す複数の車両挙動情報を給油時間帯の車両挙動情報群として特定する。ここで、車速閾値は、ROM等の予め設定されているものとする。
【0034】
例えば、車速閾値が4km/hに設定され、図2に示す車両挙動情報401が給油地点の車両挙動情報として特定された場合には、その前後において車速閾値未満の車速に対応した複数の車両挙動情報が、給油時間帯の車両挙動情報群410として特定される。制御部31は、このように特定された、給油時間帯の車両挙動情報群を、給油時間帯情報DB324に記録する。
【0035】
制御部31はさらに、この車両挙動情報群を識別する情報群IDを生成し、車両挙動情報群に対応付けて情報群IDを記録する。本実施形態においては、制御部31は、ドライバIDと給油完了時刻を示す情報を情報群IDとして生成するものとする。このように、情報群IDは、ドライバIDと給油完了時刻を示す。したがって、情報群IDを検索キーとして、車両挙動情報群に対応した、給油地点DB323に格納される給油地点の車両挙動情報を特定することができる。図3は、給油時間帯情報DB324のデータ構成例を示す図である。このように、給油時間帯情報DB324においては、情報群IDと、給油時間帯の車両挙動情報群410とが対応付けられている。
【0036】
なお、本実施形態においては、制御部31は、車速に基づいて、給油時間帯の車両挙動情報群を特定するものとするが、給油時間帯の車両挙動情報群を特定するための処理は実施形態に限定されるものではない。他の例としては、制御部31は、車両位置に基づいて、給油時間帯を特定してもよい。具体的には、制御部31は、給油地点の車両挙動情報に含まれる車両位置から所定範囲内の車両位置を示す複数の車両挙動情報を、給油時間帯の車両挙動情報群として特定してもよい。以上で、給油地点登録処理が完了する。
【0037】
次に統計処理について説明する。制御部31は、例えば1日など、給油地点登録処理の周期よりも長い周期で、統計処理を行う。なお、他の例としては、統計処理の周期は、給油地点登録処理の周期と等しくてもよい。制御部31は、給油地点DB323に記録されるすべての給油地点の車両挙動情報を対象として、同一のガソリンスタンド内の位置を車両位置として示す車両挙動情報を同一グループに分類する。具体的には、制御部31は、車両位置間の距離が距離閾値未満となる車両挙動情報を同一グループに分類する。ここで、距離閾値は、ROM等に予め設定されているものとする。例えば、給油地点DB323に記録される給油地点の車両挙動情報に示される各車両位置が図4Aに示すような位置であったとする。なお、図4Aにおいては、車両位置を示す逆三角形が地図上に表示されている。図4の例では、複数のグループ501、502、503が生成される。給油地点は、ガソリンスタンド内の位置と考えられるため、各グループに属する車両挙動情報は、同一のガソリンスタンド内における車両挙動情報と考えることができる。
【0038】
ここで、グルーピングにおける具体的な処理について説明する。制御部31は、まず給油地点DB323に記録される、給油地点の車両挙動情報を2つ選択し、2つの車両挙動情報それぞれの車両位置の間の距離を距離閾値と比較する。制御部31は、車両位置間の距離が距離閾値未満の場合には、2つの車両挙動情報が同一のグループに属するものとして、2つの車両挙動情報が属する1つのグループを生成する。制御部31はまた、車両位置間の距離が距離閾値以上の場合には、2つの車両挙動情報は異なるグループに属するものとして、それぞれが属する2つの異なるグループを生成する。
【0039】
制御部31は、続いて、未処理の車両挙動情報を処理対象として1つ選択し、処理対象の車両挙動情報の車両位置と、処理済みの車両挙動情報、すなわち所属するグループが既に決定されている車両挙動情報の車両位置との距離を求める。車両位置間の距離が距離閾値未満の場合には、制御部31は、処理対象の車両挙動情報を、処理済みの車両挙動情報と同一グループに含める。制御部31は、処理対象の車両挙動情報の車両位置と、処理済みの車両挙動情報の車両位置との間の距離が、いずれの処理済み車両挙動情報についても閾値以上の場合には、処理対象の車両挙動情報が属する新たなグループを生成する。制御部31は、すべての車両挙動情報に対し、同様の処理を行うことで、給油地点DB323の車両挙動情報をグルーピングする。
【0040】
なお、処理対象の車両挙動情報が、複数のグループの車両挙動情報それぞれとの間で、車両位置間の距離が距離閾値未満となる場合がある。この場合には、制御部31は、これら複数のグループを統合し、処理対象の車両挙動情報を統合後のグループに含める。例えば、図4Bに示すように、処理対象の車両挙動情報520の車両位置がグループ511内の車両挙動情報511a及びグループ512内の車両挙動情報512aのいずれとの間においても、車両位置間の距離が閾値未満であったとする。この場合には、グループ511、512を統合した新たなグループ513を生成し、車両挙動情報520は、新たなグループ513に含める。以上の処理により、互いの車両位置間の距離が閾値未満となる車両挙動情報が同一グループとなるようにグルーピングされる。
【0041】
制御部31は、グルーピングにより生成された各グループに対応するレコード、すなわち各ガソリンスタンドに対応するレコードを生成し、これをGS情報DB325に登録する。なお、制御部31は、基準数以上の車両挙動情報が属するグループのみをGS情報DB325への登録対象とし、基準数未満のグループに対しては、レコードの生成、登録は行わない。ここで、基準数は、ROM等に予め設定されているものとする。例えば図4に示すグループ501、502、503のうち、グループ501、502に属する車両挙動情報の数がいずれも基準数以上で、グループ503に属する車両挙動情報の数は基準数未満であったとする。この場合には、グループ501、502は登録対象となるが、グループ503は登録対象とはならない。
【0042】
なお、前述の通り統計処理は、繰り返し実行される処理であり、2回目以降の統計処理の実行時には、GS情報DB325には、前回までの統計処理において登録されたレコードが登録されている。以下では、まず初回の統計処理においてレコードを登録する処理について説明する。
【0043】
図5は、GS情報DB325のデータ構成例を示す図である。GS情報DB325に登録されるレコードには、ステーションID、検出範囲座標、ACCオン回数、窓開回数、ドア開回数、窓開率、ドア開率及びサービス方式が記録される。ステーションIDは、グループ、すなわちガソリンスタンド(ガスステーション)を識別する情報である。制御部31は、登録対象のグループに対しステーションIDを生成し、登録対象のグループに対応したレコードに、生成したステーションIDを記録する。
【0044】
検出範囲座標は、同一グループに含まれる、複数の車両挙動情報それぞれに示される車両位置を含む範囲を示す座標である。本実施形態においては、グループに含まれるすべての車両挙動情報の車両位置を含む最小の矩形を検出範囲とし、検出範囲の左下端点及び右上端点の座標を検出範囲座標とする。制御部31は、同一グループに含まれるすべての車両挙動情報の車両位置に基づいて、検出範囲を定め、検出範囲座標をレコードに記録する。
【0045】
ACCオン回数、窓開回数及びドア開回数には、初期値としてゼロが設定され、制御部31は、給油時間帯情報DB324に記録されている給油時間帯の車両挙動情報群に基づいて、これらの回数を更新(加算)する。以下、ACCオン回数、窓開回数及びドア開回数を加算する処理を順に説明する。
【0046】
制御部31は、処理対象のグループに属する車両挙動情報の1つを処理対象として選択する。そして、制御部31は、当該車両挙動情報のドライバIDと検出時刻を検索キーとし、検索キーに一致する情報群IDに対応付けられた給油時間帯の車両挙動情報群を給油時間帯情報DB324から抽出する。例えば、図4に示す給油地点の車両挙動情報401に対しては、給油時間帯の車両挙動情報群410が抽出される。
【0047】
そして、制御部31は、抽出した車両挙動情報群において、トリップNoが「1」増加した回数をカウントし、処理対象のグループのレコードにおけるACCオン回数にカウントした回数を加算する。ここで、ACCオン回数は、ガソリンスタンドへの立ち寄り回数の推定値として参照される値である。ガソリンスタンドへの1回の立ち寄りにおいてACC電源18が1回オンされるケースが多いと想定される。そこで、本実施形態においては、ACCオン回数を、ガソリンスタンドへの立ち寄り回数の推定値として利用することとした。
【0048】
制御部31はまた、車両挙動情報群に含まれる各車両挙動情報の運転席の窓状態を参照し、運転席の窓が開いた回数をカウントし、処理対象のグループのレコードにおける窓開回数にカウントした回数を加算する。ここで、窓開回数は、フルサービス方式のガソリンスタンドへの立ち寄り回数の推定値として参照される値である。フルサービス方式のガソリンスタンドにおいては給油のための店員とのやり取りにおいて運転席の窓が開けられると想定される。そこで、本実施形態においては、運転席の窓開回数を、フルサービス方式のガソリンスタンドへの立ち寄り回数の推定値として利用することとした。
【0049】
制御部31はまた、車両挙動情報群に含まれる各車両挙動情報のドア状態を参照し、いずれかのドアが開いた回数をカウントし、処理対象のグループのレコードにおけるドア開回数にカウントした回数を加算する。ここで、ドア開回数は、セルフサービス方式のガソリンスタンドへの立ち寄り回数の推定値として参照される値である。セルフサービス方式のガソリンスタンドにおいては、搭載車両の乗車者が給油の操作のために搭載車両から降りる必要がある。また、作業を行う乗車者は運転者に限られない。そこで、本実施形態においては、いずれかのドアが開いた回数(窓開回数)を、セルフ方式のガソリンスタンドへの立ち寄り回数の推定値として利用することとした。なお、例えば、運転席のドアが開き、さらに助手席のドアも開いた場合には、ドアが開いた回数は2回とカウントされる。
【0050】
処理対象のグループにおいて、50個の給油地点の車両挙動情報が含まれる場合には、制御部31は、50個の車両挙動情報群を給油時間帯情報DB324から抽出し、各車両挙動情報群に基づいて、ACCオン回数、窓開回数、ドア開回数の加算を行う。制御部31はさらに、登録対象のすべてのグループに対して上記処理を行うことで、すべてのグループの統計値を記録する。
【0051】
なお、前回までの統計処理の実行により、GS情報DB325に既にレコードが記録されている場合には、制御部31は、今回得られた各グループに対応したレコードが登録されているか否かを確認する。具体的には、制御部31は、処理対象のグループに含まれる車両位置の平均値を求め、これをグループの基準位置とする。そして、制御部31は、基準位置が、GS情報DB325に登録されているレコードの検出範囲座標により特定されるいずれかの検出範囲に含まれる場合には、基準位置が含まれる検出範囲を示すレコードを処理対象のグループに対応したレコードと判定する。すなわち、この場合制御部31は、処理対象のグループに対応したレコードがGS情報DB325に既に登録されていると判定する。制御部31は、処理対象のグループの基準位置がGS情報DB325に登録されているいずれのレコードの検出範囲にも含まれない場合には、処理対象のグループに対応したレコードは登録されていないと判定する。
【0052】
なお、処理対象のグループがGS情報DB325に登録されているレコードに対応するか否かは、レコードの検出範囲とグループに含まれる車両位置とに基づいて判定されればよく、具体的な判定方法は実施形態に限定されるものではない。他の例としては、制御部31は、基準位置とあるレコードの検出範囲の境界位置との最小距離が予め設定された閾値未満の場合に、処理対象のグループと当該レコードが対応すると判定してもよい。また、制御部31は、処理対象のグループに含まれる車両位置のうち所定の割合の車両位置があるレコードの検出範囲に含まれる場合に、処理対象のグループと当該レコードが対応すると判定してもよい。
【0053】
制御部31は、対応したレコードが登録されている場合には、当該レコードにおいて、処理対象のグループに含まれる車両挙動情報に示される車両位置を含むように検出範囲座標を更新する。そして、制御部31は、すでに記録されているACCオン回数、窓開回数及びドア開回数に対して、処理対象のグループの車両挙動情報群から得られた各回数を加算する。制御部31は、対応したレコードが登録されていない場合には、初回の統計処理においてレコードを登録する処理と同様の処理により新たなレコードを登録する。
【0054】
次に、判定処理について説明する。判定処理は、例えば1日など一定周期で行われる。判定処理の周期は、統計処理の周期と同じか又はそれより長い周期であればよい。例えば、統計処理が1日おきに行われ、判定処理が2日おきに行われてもよい。判定処理においては、制御部31は、GS情報DB325の各レコードに基づいて、各レコードに対応したガソリンスタンドのサービス方式を判定し、判定結果をレコードに記録する。具体的には、制御部31は、GS情報DB325を参照し、処理対象のレコードに示されるACCオン回数に対する窓開回数の割合(窓開回数/ACCオン回数)を求め、これを処理対象のレコードの窓開率として記録する。制御部31はまた、処理対象のレコードのACCオン回数に対するドア開回数の割合(ドア開回数/ACCオン回数)を求め、これを処理対象のレコードのドア開率として記録する。
【0055】
そして、制御部31は、処理対象のレコードの窓開率とドア開率に基づいて、処理対象のレコードに対応するガソリンスタンドのサービス方式を判定する。具体的には、制御部31は、窓開率が第1閾値以上の場合には、フルサービス方式と判定する。制御部31は、窓開率が第1閾値未満の場合には、さらにドア開率と第2閾値とを比較する。制御部31は、ドア開率が第2閾値以上の場合には、セルフサービスと判定する。このように、窓開率からサービス方式が判定できない場合には、制御部31は、さらにドア開率を参照することにより、サービス方式を判定する。制御部31は、窓開率が第1閾値未満、かつドア開率が第2閾値未満の場合には、サービス方式は不明と判定する。ここで、第1閾値及び第2閾値は、ROM等に予め設定されているものとする。本実施形態においては、第1閾値及び第2閾値として0.4が設定されるものとする。なお、第1閾値及び第2閾値としては、任意の値を設定可能であり、両閾値は等しい値でもよく異なる値でもよい。
【0056】
フルサービス方式のガソリンスタンドにおいては、ガソリンスタンドの店員とやり取りするために、主に運転席の窓が開けられる可能性が高い。そこで、このように、運転席の窓が開けられた割合(窓開率)が第1閾値以上の場合に、制御部31は、フルサービス方式と判定することとする。一方で、セルフサービス方式のガソリンスタンドにおいては、給油作業のために車両の乗車者が車両から降りるためにドアが開けられる。そこで、このように、ドアが開けられた割合(ドア開率)が第2閾値以上の場合には、制御部31は、セルフサービス方式と判定することとする。
【0057】
また、窓開率が第1閾値以上かつドア開率が第2閾値以上の場合があるが、この場合には、制御部31は、フルサービス方式と判定する。これは、フルサービス方式のガソリンスタンドにおいても、ドアが開けられる可能性が高いのに対し、セルフサービス方式のガソリンスタンドにおいて窓が開けられる可能性は低いことに対応したものである。また、上述のように、第1閾値及び第2閾値を0.4と1よりも小さい値としたのは、例えば、車両のエンジンが切られ車載システム10から車両挙動情報が送信されない期間にドアが開けられたり、窓が開けられたりする可能性を考慮したものである。
【0058】
上記の処理により、ガソリンスタンドが特定され、ガソリンスタンドのサービス方式が判定されると、制御部31は、ガソリンスタンドの位置とサービス方式を地図情報321に登録する。なお、ガソリンスタンドの位置は、GS情報DB325の検出範囲座標から決定されればよい。制御部31は、例えば検出範囲座標で特定される検出範囲の中心位置をガソリンスタンドの位置として決定する。
【0059】
制御部31は、特定されたガソリンスタンドが既に地図情報321に登録されている場合には、登録されたガソリンスタンドのサービス方式を確認し、サービス方式が登録されていなければ、新たに判定されたサービス方式を登録する。制御部31はまた、既にサービス方式が登録されている場合には、新たに判定されたサービス方式と一致するか否かを確認し、一致しない場合には新たに判定されたサービス方式に更新する。なお、一致する場合には、地図情報321の更新は行われない。
【0060】
制御部31は、こうして地図情報321が更新された場合には、地図情報の更新通知と共に、更新内容を車載システム10に送信する。これにより、車載システム10では、サービス方式の判定結果を地図情報121に反映させることができる。したがって、車載システム10は、例えば、搭載車両がガソリンスタンドに近付いた場合に、ユーザI/F部14を介して、運転者等にガソリンスタンドの位置及びサービス方式を適切にかつ正確に通知することができる。
【0061】
以上のように、本実施形態のサービス方式判定システム30は、車両挙動情報からガソリンスタンドのサービス方式を判定することができる。すなわち、サービス方式判定システム30は、自動的にサービス方式を判定することができる。したがって、サービス方式判定システム30は、得られた判定結果に基づいて、地図情報321を更新し、更新内容を車載システム10に通知することができる。これにより、車載システム10においては、更新後の地図情報121に基づいて、新たに判定されたガソリンスタンドの位置やサービス方法を通知することができる。すなわち、ドライバ等に適切な情報提供を行う可能性を高めることができる。
【0062】
さらに、本実施形態のサービス方式判定システム30は、同一車両において連続して得られた車両挙動情報におけるガソリン残量の増加に基づいて、ガソリンスタンドの位置を特定することができる。このため、地図情報が作成された後でオープンしたガソリンスタンドなど、地図情報に登録されていないガソリンスタンドについても、その位置とサービス方式を新たに地図情報に追加することができる。
【0063】
(2)サービス方式判定処理:
次に、方式判定プログラム310の機能により実行されるサービス方式判定処理について説明する。サービス方式判定処理は、上述の通り、給油地点登録処理、統計処理及び判定処理の大きく3つの処理を含む。なお、サービス方式判定処理は、制御部31が方式判定部312の機能により実行する処理である。
【0064】
図6は、給油地点登録処理を示すフローチャートである。給油地点登録処理は、定期的に実行される。制御部31は、前回、給油地点登録処理が実行された時点以降に車両挙動情報DB322に新たに記録された車両挙動情報を処理対象として抽出する(S100)。給油地点登録処理が1時間毎に実行される場合には、直近1時間に車両挙動情報DB322に記録された車両挙動情報が抽出される。
【0065】
次に、制御部31は、抽出した車両挙動情報に対応した複数の車両を1台ずつ順に処理対象として選択し、処理対象の車両から得られた車両挙動情報を利用して、以降の処理(S102~S112)を実行する。すなわち、制御部31はまず、処理対象の車両から得られた時系列に沿った複数の車両挙動情報のガソリン残量を比較することで、ガソリン残量の増加分を算出する(S102)。増加閾値以上の増加分が検出されなかった場合には(S104でN)、制御部31は、当該車両についての処理を終了する。なお、ガソリン残量の増加が検出されなかった場合も、制御部31は、当該車両についての処理を終了する。
【0066】
増加閾値以上の増加分が検出された場合には(S104でY)、制御部31は、給油地点の車両挙動情報を特定し、これを給油地点DB323に記録する(S106)。具体的には、制御部31は、増加閾値以上の増加分が検出された複数の車両挙動情報のうち、ガソリン残量が最大値を示す車両挙動情報を特定する。そして、制御部31は、特定した車両挙動情報を、給油地点の車両挙動情報として給油地点DB323に記録する。
【0067】
次に、制御部31は、給油地点の車両挙動情報に示される検出時刻を給油完了時刻として設定する(S108)。具体的には、制御部31は、給油完了時刻をROM等に記録する。次に、制御部31は、給油地点の車両挙動情報を基準として、給油時間帯の車両挙動情報群を特定し、これを給油時間帯情報DB324に記録する(S110)。制御部31はさらに、S110において記録した車両挙動情報群に対し情報群IDを生成し、これを付与する(S112)。すなわち、制御部31は、情報群IDと、給油時間帯の車両挙動情報群とを対応付けて給油時間帯情報DB324に記録する。制御部31は、S100において抽出された車両挙動情報に対応したすべての車両を処理対象として、S102~S112の処理を繰り返す。これにより、給油地点の車両挙動情報が給油地点DB323に記録される。また、給油時間帯の車両挙動情報群が給油時間帯情報DB324に記録される。
【0068】
図7は、統計処理を示すフローチャートである。統計処理は、定期的に実行される。制御部31は、まず給油地点DB323に格納されているすべての車両挙動情報を抽出する(S200)。次に、制御部31は、車両位置に基づいて、S200において抽出されたすべての車両挙動情報をグルーピングする(S202)。これにより、同一のガソリンスタンドに位置する車両から得られた車両挙動情報が1つのグループに分類される。
【0069】
次に、制御部31は、S202において生成されたグループを1つずつ順に処理対象として選択し、処理対象のグループに対し、以降の処理(S204~S220)を実行する。すなわち、制御部31はまず、処理対象のグループに対応したレコードがGS情報DB325に既に登録されているか否かを判定する(S204)。
【0070】
処理対象のグループに対応したレコードが登録されている場合には(S204でY)、制御部31は、処理対象のグループに含まれる車両挙動情報の車両位置に基づいて、対応するレコードの検出範囲座標を更新する(S206)。制御部31は、その後処理をS212へ進める。
【0071】
S204において、処理対象のグループに対応したレコードが登録されていない場合には(S204でN)、制御部31は、処理対象のグループに属する車両挙動情報の数と基準数とを比較する。車両挙動情報の数が基準数以上の場合には(S208でY)、制御部31は、処理対象のグループに対応したレコードをGS情報DB325に新たに登録する(S210)。具体的には、制御部31は、グループIDを生成し、これを新たなレコードに記録し、さらに処理対象のグループに含まれる車両挙動情報の車両位置に基づいて検出範囲を定め、検出範囲座標を新たなレコードに記録する。制御部31はまた、ACCオン回数、窓開回数及びドア開回数に、それぞれ初期値「0」を設定する。制御部31はその後処理をS212へ進める。S208において、車両挙動情報の数が基準数未満の場合には(S208でN)、制御部31は、処理対象のグループに対する処理を終了する。
【0072】
S212において、制御部31は、処理対象のグループに含まれる各車両挙動情報のドライバID及び検出時刻により対応付けられた、給油時間帯の車両挙動情報群を給油時間帯情報DB324から抽出する。処理対象のグループに例えば10個の車両挙動情報が記録されている場合には、10個の車両挙動情報群が抽出される。
【0073】
次に、制御部31は、S212において抽出されたすべての車両挙動情報群を1つずつ順に処理対象として選択し、処理対象の車両挙動情報群に対し、以降の処理を実行する。すなわち、制御部31はまず、処理対象の車両挙動情報群に含まれる複数の車両挙動情報に基づいて、ACCオン回数、窓開回数及びドア開回数をカウントする(S214)。次に、制御部31は、処理対象のグループに対応したGS情報DB325のレコードのACCオン回数、窓回数及びドア開回数それぞれに、S214においてカウントされたACCオン回数、窓回数及びドア開回数を加算する(S216)。
【0074】
次に、制御部31は、処理対象の車両挙動情報群を給油時間帯情報DB324から削除する(S218)。次に、制御部31は、処理対象の車両挙動情報群に対応した、給油地点の車両挙動情報、すなわち処理対象の車両挙動情報を給油地点DB323から削除する(S220)。制御部31は、S210において抽出したすべての車両挙動情報群を処理対象としてS214~S220の処理を繰り返すことで、GS情報DB325の処理対象のレコードのACCオン回数、窓開回数及びドア開回数の加算を完了する。さらに、制御部31は、S202において得られたすべてのグループを処理対象として、S204~S220の処理を繰り返すことで、S202において得られたグループに対応したレコードへのACCオン回数、窓開回数及びドア開回数の加算を完了する。
【0075】
図8は、判定処理を示すフローチャートである。判定処理は、定期的に実行される。判定処理においては、制御部31はまず、GS情報DB325に記憶されているすべてのレコードを抽出する(S300)。次に、制御部31は、抽出されたすべてのレコード(すべてのガソリンスタンド)を1つずつ順に処理対象として選択し、処理対象のレコードに対し、以下の処理(S302~S314)を実行する。すなわち、制御部31は、処理対象のレコードのACC回数と窓開回数に基づいて、窓開率を算出し、ACC回数とドア回数に基づいて、ドア開率を算出し、これをレコードに記録する(S302)。
【0076】
次に、制御部31は、窓開率と第1閾値を比較する。そして、制御部31は、窓開率が第1閾値以上の場合には(S304でY)、処理対象のガソリンスタンドのサービス方式はフルサービス方式であると判定し(S306)、その後サービス方式を処理対象のレコードに記録する(S314)。また、制御部31は、窓開率が閾値未満の場合には(S304でN)、さらにドア開率と第2閾値とを比較する(S308)。制御部31は、ドア開率が第2閾値以上の場合には(S308でY)、処理対象のガソリンスタンドのサービス方式はセルフ方式であると判定し(S310)、その後処理をS314へ進める。一方、制御部31は、ドア開率が第2閾値未満の場合には(S308でN)、処理対象のガソリンスタンドのサービス方式は不明と判定し(S312)、その後処理をS314へ進める。制御部31は、S300において抽出されたすべてのレコード(ガソリンスタンド)を対象として、S302~S314を繰り返すことで、すべてのガソリンスタンドのサービス方式を判定し、記録する。
【0077】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は、本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、サービス方式判定システム30は、複数の装置によって実現されるシステムであってもよい。サービス方式判定システム30の処理を複数の装置が協働して実現してもよい。例えば、車載システムにおいて、ガソリン残量からガソリンスタンドの位置を特定する処理を行い、給油地点の車両挙動情報については、給油地点の車両挙動情報であることを示す情報と共に、サービス方式判定システム30に送信することとしてもよい。また、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0078】
また、本実施形態においては、制御部31は、車両に設けられた複数のドアそれぞれが開けられた回数の合計をドア開回数としてカウントしたが、これに限定されるものではない。例えば、制御部31は、運転席又は助手席のドアに限定した回数をドア開回数としてカウントしてもよい。また、本実施形態においては、制御部31は、車両に設けられた窓のうち運転席の窓が開けられた回数を窓開回数としてカウントしたがこれに限定されるものではない。例えば、制御部31は、運転席又は助手席の窓が開けられた回数の合計を窓開回数としてカウントしてもよい。このように、ドア開回数としてカウント対象とすべきドアは、予め設定されたドアであればよい。同様に、窓回数としてカウント対象とすべき窓は、予め設定された窓であればよい。
【0079】
また、制御部31は、窓開率とドア開率の比較により、サービス方式を判定してもよい。例えば、窓開率がドア開率に比べて大きい場合にフルサービス方式、ドア開率が窓開率に比べて大きい場合にセルフサービス方式と判定してもよい。
【0080】
また、ガソリンスタンドへの1回の立ち寄りにおける窓開の回数及びドア開の回数がそれぞれ窓開率及びドア開率として得られればよく、これらの値を算出するために用いるパラメータは実施形態に限定されない。本実施形態においては、制御部31は、ACCオン回数をガソリンスタンドへの立ち寄り回数とみなしたが、他の例としては、差分閾値以上のガソリン残量の増加の回数をガソリンスタンドへの1回の立ち寄りとみなしてもよい。また、他の例としては、制御部31は、車両位置の変化からガソリンスタンドへの立ち寄り回数を特定してもよい。
【0081】
また、給油時間帯の車両挙動情報群に含まれる車両挙動情報のうち、検出時刻が給油開始前の時間帯を示す車両挙動情報を対象に、窓開回数、ドア開回数をカウントしてもよい。これにより、給油の操作以外の目的で窓やドアが開けられた回数をカウントするのを避ける可能性を高めることができる。
【0082】
また、本実施形態においては、制御部31は、窓開率及びドア開率を用いて、複数の車両から得られた複数の車両挙動情報を利用して統計的にサービス方式の判定を行った。ただし、制御部31は、少なくとも1つの給油時間帯の車両挙動情報群からサービス方式を判定してもよい。例えば、制御部31は、給油時間帯の車両挙動情報群において、窓が開けられたことが検出された場合にはフルサービス方式と判定し、ドアが開けられたことが検出された場合にはセルフサービス方式と判定してもよい。
【0083】
また、サービス方式判定システム30は、地図情報321に示されるガソリンスタンドのサービス方式を判定するものであってもよい。この場合には、制御部31は、ガソリン残量を参照したガソリンスタンドの位置の特定は行う必要がない。この場合、制御部31は、車両挙動情報に示される車両位置が地図情報321に示されるガソリンスタンドの敷地内の位置を示す車両挙動情報に基づいて、サービス方式を判定すればよい。
【0084】
また、本実施形態においては、ACC回数、窓回数及びドア回数は、更新されることなく加算されるものとした。他の例としては、制御部31は、例えば、過去1週間など、所定の期間に車両挙動情報DB322に格納された車両挙動情報に基づいて、ACC回数、窓開回数及びドア開回数を求め、これらの値に基づいて、サービス方式を判定してもよい。このように、サービス方式の判定において参照する情報を過去の所定期間の間に得られた車両挙動情報に限定する。これにより、制御部31は、フルサービス方式からセルフサービス方式に変更になったガソリンスタンドについても、変更後に速やかに変更後のサービス方式を判定することができる。
【0085】
また、判定処理のタイミングは実施形態に限定されるものではない。他の例としては、制御部31は、管理者等が要求したタイミングで、判定処理を行い、各ガソリンスタンドのサービス方式を判定してもよい。
【0086】
また、本実施形態においては、ドア状態及び窓状態に基づいて、サービス方式を判定することとしたが、他の例としては、サービス方式判定システム30は、車両の各座席に設けられた着座センサの検出結果に基づいて、サービス方式を判定してもよい。着座センサは、例えば圧力センサである。この場合、車両挙動情報には、各座席の着座センサの検出結果が含まれるものとする。そして、制御部31は、給油時間帯の車両挙動情報群において、車両の何れかの着座の検出がオンからオフに切り替わった場合に、セルフサービス方式と判定する。また、制御部31は、着座の検出に変化がなかった場合にはフルサービス方式と判定する。また他の例としては、制御部31は、ACC回数に対する着座がオンからオフに切り替わった回数の割合が閾値以上の場合にセルフサービス方式、閾値未満の場合にフルサービス方式と判定してもよい。
【0087】
また、他の例としては、サービス方式判定システム30は、シートベルトの着脱センサの検出結果に基づいて、サービス方式を判定してもよい。この場合、車両挙動情報には、各座席のシートベルトの着脱センサの検出結果が含まれるものとする。そして、制御部31は、給油時間帯の車両挙動情報群において、車両の何れかのシートベルトが外されたことが検出された場合に、セルフサービス方式と判定する。また、制御部31は、シートベルトが外されたことが検出されなかった場合にはフルサービス方式と判定する。また他の例としては、制御部31は、ACC回数に対するシートベルトが外された回数の割合が閾値以上の場合にセルフサービス方式、閾値未満の場合にフルサービス方式と判定してもよい。
【0088】
本実施形態においては、ガソリンスタンドにおけるサービス方式を判定する場合を例に説明した。ただし、サービス方式判定システム30は、ガソリンスタンドに限らず、水素ステーションのように車両の燃料を提供する燃料スタンドを対象として、そのサービス方式を判定することができる。なお、他の燃料スタンドの場合も、サービス方式を判定するための処理は、ガソリンスタンドの場合と同様である。
【0089】
さらに、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置で共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0090】
10…車載システム、11…制御部、12…記録媒体、13…通信部、18…ACC電源、19…ガソリン残量センサ、20…ドアセンサ、21…窓開閉駆動部、30…サービス方式判定システム、31…制御部、32…記録媒体、33…通信部、311…取得部、312…方式判定部、321…地図情報、322…車両挙動情報DB、323…給油地点DB、324…給油時間帯情報DB、325…GS情報DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8