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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091472
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】建築板及び建築板の施工構造
(51)【国際特許分類】
   E04D 1/12 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
E04D1/12 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204320
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 早希
(72)【発明者】
【氏名】三宅 亜里彩
(57)【要約】
【課題】表面を伝う雨水を所定の部分に誘導することができる建築板及び建築板の施工構造を提供する。
【解決手段】建築板1は、基材2の表面20に、立体的な形状を有する複数の水誘導部3が設けられている。複数の水誘導部3のそれぞれは、表面20のうちの所定の部分Pに向かって下り傾斜した誘導面30を有する。建築板1の施工構造は、建築板1を千鳥状に配置した構造である。上段の建築板1は、下段の建築板1の左右方向の突き付け部に対して左右方向にずれた位置に、所定の部分Pを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に、立体的な形状を有する複数の水誘導部が設けられ、
前記複数の水誘導部のそれぞれは、前記表面のうちの所定の部分に向かって下り傾斜した誘導面を有することを特徴とする建築板。
【請求項2】
前記所定の部分は、前記基材の前記表面のうち左右両端を除いたその他の部分に位置することを特徴とする請求項1に記載の建築板。
【請求項3】
前記複数の水誘導部は、
前記基材の前記表面のうち、前記所定の部分の右側に位置する複数の第一水誘導部と、
前記基材の前記表面のうち、前記所定の部分の左側に位置する複数の第二水誘導部と、を含み、
前記第二水誘導部は、前記第一水誘導部を回転させた形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の建築板。
【請求項4】
前記第一水誘導部は、
前記基材の表面に規定された基準面から凹む凹部を有し、
前記凹部の内面は、凹面を有し、
前記凹面が、前記誘導面を構成することを特徴とする請求項3に記載の建築板。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の建築板を千鳥状に配置した構造であって、
上段の建築板は、下段の建築板の左右方向の突き付け部に対して左右方向にずれた位置に、前記所定の部分を有することを特徴とする建築板の施工構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築板及び建築板の施工構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、表面に木目調の縦溝を複数有する平板状屋根材が記載されている。当該縦溝は、平板状屋根材の暴露表面に流れ方向に沿って形成されている。また縦溝は適宜の箇所において横方向溝により連通されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61-3825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の平板状屋根材を複数枚施工して屋根を形成した場合、縦溝に沿って雨水が流れやすいが、複数枚の平板状屋根材を千鳥状に並べて施工した場合に、上段の平板状屋根材の縦溝を流れる雨水が、下段の平板状屋根材の左右方向の突き付け部に流れ込むおそれがある。
【0005】
上記事情に鑑みて、本発明は、表面を伝う雨水を所定の部分に誘導しやすい建築板及び建築板の施工構造を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の建築板は、基材の表面に、立体的な形状を有する複数の水誘導部が設けられ、前記複数の水誘導部のそれぞれは、前記表面のうちの所定の部分に向かって下り傾斜した誘導面を有する。
【0007】
また、本発明の一態様の建築板の施工構造は、前記の建築板を千鳥状に配置した構造であって、上段の建築板は、下段の建築板の左右方向の突き付け部に対して左右方向にずれた位置に、前記所定の部分を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の建築板及び建築板の施工構造によれば、表面を伝う雨水を所定の部分に誘導しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは、本発明に係る実施形態1の建築板の正面図であり、図1Bは、図1AのA部を拡大した正面図である。
図2図2Aは、同上の建築板の第一水誘導部群の一部を拡大して示す正面図であり、図2Bは、図2AのB-B線における断面図であり、図2Cは、図2AのC-C線における断面図である。
図3図3Aは、同上の建築板の第二水誘導部群の一部を拡大して示す正面図であり、図3Bは、図3AのD-D線における断面図であり、図3Cは、図3AのE-E線における断面図である。
図4図4は、同上の建築板の施工構造の一例を示す平面図である。
図5図5は、本発明に係る実施形態2の建築板の正面図である。
図6図6Aは、同上の建築板の一部を拡大して示す正面図であり、図6Bは、図6AのG-G線における断面図であり、図6Cは、図6AのH-H線における断面図である。
図7図7は、同上の建築板の施工構造の一例を示す平面図である。
図8図8は、本発明に係る実施形態3の建築板の正面図である。
図9図9Aは、同上の建築板の一部を拡大して示す正面図であり、図9Bは、図9AのI-I線における断面図であり、図9Cは、図9AのJ-J線における断面図である。
図10図10は、同上の建築板の施工構造の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
1.概要
図1A,Bに示す実施形態1の建築板1は、基材2の表面20に、立体的な形状を有する複数の水誘導部3が設けられている。複数の水誘導部3のそれぞれは、表面20のうちの所定の部分Pに向かって下り傾斜した誘導面30を有する。
【0011】
上記構成を備える建築板1では、基材2の表面20に設けられた複数の水誘導部3が有する誘導面30によって、表面20を伝う雨水を、表面20の所定の部分Pに誘導することができる。
【0012】
また、図4に示す実施形態1の建築板1の施工構造は、建築板1を千鳥状に配置した構造であって、上段の建築板1aは、下段の建築板1bの左右方向の突き付け部Q1に対して左右方向にずれた位置に、所定の部分Pを有する。
【0013】
上記構成を備える建築板の施工構造では、上段の建築板1aの複数の水誘導部3によって誘導される雨水が、下段の建築板1bの左右方向の突き付け部Q1に流入することを抑制することができる。
【0014】
2.詳細
2-1.建築板
続いて、図1から図3に示す実施形態1の建築板1について、更に詳しく説明する。
【0015】
建築板1は、例えば、屋根材、窯業系サイディング材であり、建築板1の材質は、窯業系基材、金属系基材等の無機質材料であってもよく、あるいは樹脂系基材等の有機質材料であってもよい。本実施形態の建築板1は、横張り(横長状態での設置)で用いられる。建築板1は、矩形板状である。以下では、建築板1の長手方向を左右方向とし、建築板1の短手方向を上下方向とし、建築板1の厚み方向を前後方向として、建築板1の各構成について詳しく説明する。建築板1のうち、複数の水誘導部3が形成された面が、表面(前面)であり、その反対側が、裏面(後面)である。
【0016】
建築板1は、基材2により主体が構成されている。基材2は、例えば、窯業系の材料により構成される。基材2の表面20には、図1Aに示すように、立体的な形状を有する複数の水誘導部3が形成されている。複数の水誘導部3は、例えば、ロール金型を用いて、基材2の表面20に凹凸を付けることで形成される。なお、基材2の表面20の凹凸は、平板状のプレス金型でプレス成形してもよい。
【0017】
本実施形態では、複数の水誘導部3は、基材2の表面20のうち、所定の部分Pの右側に位置する複数の第一水誘導部3aと、所定の部分Pの左側に位置する複数の第二水誘導部3bと、を含む。
【0018】
本実施形態の建築板1では、基材2の表面20には、複数の第一水誘導部3aで構成される第一水誘導部群4と、複数の第二水誘導部3bで構成される第二水誘導部群5との組み合わせが二組設けられている。基材2の表面20を左右方向に四等分する3本の仮想直線を仮想直線L1,L2,L3としたとき、基材2の表面20のうち、左端の仮想直線L1の右側に第一水誘導部群4が形成され、仮想直線L1の左側に第二水誘導部群5が形成される。また、基材2の表面20のうち、右端の仮想直線L3の右側に第一水誘導部群4が形成され、仮想直線L3の左側に第二水誘導部群5が形成される。
【0019】
仮想直線L1,L2,L3のそれぞれは、第一水誘導部群4と第二水誘導部群5との境界線である。本実施形態では、仮想直線L1と仮想直線L3のそれぞれが、所定の部分Pを構成する。つまり、所定の部分Pは、基材2の表面20のうち左右両端を除いた他の部分に位置している。
【0020】
基材2の表面20には、3本の仮想直線L1,L2,L3によって区切られた四つの領域のそれぞれにおいて、第一水誘導部群4又は第二水誘導部群5が、左右方向の全長にわたって設けられている。また、四つの領域のそれぞれにおいて、第一水誘導部群4又は第二水誘導部群5が、上下方向の全長にわたって設けられている。つまり、基材2の表面20の全体に、複数の水誘導部3が形成されている。
【0021】
図1Bには、建築板1のうち、仮想直線L3を挟んで位置する第一水誘導部群4及び第二水誘導部群5を拡大して示している。なお、図1Aに示すように、仮想直線L3を挟んで位置する第一水誘導部群4及び第二水誘導部群5と、仮想直線L1を挟んで位置する第一水誘導部群4及び第二水誘導部群5とは、構造が共通している。以下では、仮想直線L3を挟んで位置する第一水誘導部群4及び第二水誘導部群5について、詳しく説明する。
【0022】
第一水誘導部群4は、複数の第一水誘導部3aで構成され、第二水誘導部群5は、複数の第二水誘導部3bで構成されている。第二水誘導部3bは、第一水誘導部3aを回転させた形状である。
【0023】
つまり、第一水誘導部3aと第二水誘導部3bとは、同一形状である。本実施形態では、基材2の表面に規定された基準面Fに正対する方向に見て(以下正面視という)、第一水誘導部3aの中心(後述する中心線62の中心点)を通りかつ基準面Fに直交する回転軸を中心にして、第一水誘導部3aを時計周りに120度回転させた形状が、第二水誘導部3bである。また、本実施形態では、正面視にて、基準面F上の第一水誘導部群4と第二水誘導部群5との境界線(仮想直線L3)を中心にして、第一水誘導部3aを180度回転させた形状が、第二水誘導部3bである。第一水誘導部3aの回転は、基準面Fに直交する回転軸周りの回転に限らず、基準面F上の回転軸周りの回転であってもよいし、その他の回転軸周りの回転であってもよい。以下では、第一水誘導部3aと第二水誘導部3bを構成する同一形状の単位形状6について詳しく説明する。
【0024】
図2Aには、第一水誘導部群4を構成する単位形状6(つまり第一水誘導部3a)が示されている。単位形状6は、基材2の表面20に規定された基準面Fから凹む凹部7を有する。「規定された基準面F」とは、本実施形態では、前後方向に直交する平面状の仮想面であり、後述する領域S1を構成する平面と同一平面上に位置する。単位形状6は、基準面F上において片側に凸の曲線状の第一輪郭線60と、この第一輪郭線60と同じく基準面F上において当該第一輪郭線60とは反対側に凸の曲線状であり、第一輪郭線60の両端部につながった第二輪郭線61と、基準面F上において第一輪郭線60及び第二輪郭線61の両端部をつなぐ直線状の中心線62と、を備える。第一輪郭線60と中心線62とで囲まれる領域S1は、平面であり、第二輪郭線61と中心線62とで囲まれる領域S2は、凹部7である。単位形状6は、領域S1と領域S2とで凹凸の態様が異なる立体形状である。
【0025】
本実施形態では、単位形状6は、中心線62と平行な方向が長手方向であり、中心線62と直交し、かつ領域S1の平面と平行な方向が短手方向であり、前記の長手方向及び短手方向に直交する方向が厚み方向である。
【0026】
第一輪郭線60と第二輪郭線61のそれぞれは、一端と他端において中心線62の両端につながり、中心線62の中心点に対向する中央部において、中心線62から最も離れるように、湾曲している。本実施形態では、第一輪郭線60と第二輪郭線61とは、中心線62を中心に線対称であり、かつ、中心線62の中心点を中心に点対称である。
【0027】
凹部7は、図2Bに示すように、中心線62から裏側(後側)に平面状に延び、すなわち基準面Fに対して直交する方向に延びる第一側面70と、第二輪郭線61から裏側(後側)に曲面状に延び、第一側面70とつながった第二側面71と、を有し、第一側面70と第二側面71との境界線700が裏側に凸となるように湾曲状をなしている。また、凹部7の中心線62に沿った形状は、第一輪郭線60から徐々に深くなり、凹部7の中央部で最も深くなり、徐々に浅くなって第一輪郭線60に至る。
【0028】
図1Bに示すように、第一水誘導部群4では、複数の単位形状6のそれぞれは、その中心線62が建築板1の短手方向(上下方向)に平行な軸(例えば仮想直線L3)に対して時計周りに30度傾いている。図1B及び図2Aに示すように、第一水誘導部群4では、中心線62が一直線上に並ぶように配置された複数の単位形状6で構成される一列の単位形状群が、複数列形成されている。各列の中心線62は、互いに平行である。
【0029】
一列の単位形状群では、長手方向に隣接する二つの単位形状6のうちの、一方の第一輪郭線60と他方の第一輪郭線60とが、互いに連続する部分において第二輪郭線61側に凸となる滑らかな曲線を描くように連続している。また、一列の単位形状群では、長手方向に隣接する二つの単位形状6のうちの、一方の第二輪郭線61と他方の第二輪郭線61とが、互いに連続する部分において第一輪郭線60側に凸となる滑らかな曲線を描くように連続している。また、一列の単位形状群では、長手方向に隣接する二つの単位形状6のうちの、一方の中心線62と他方の中心線62とが、一直線状に連続している。各列の単位形状群において、第一輪郭線60と第二輪郭線61と中心線62は、上記の関係にある。
【0030】
隣接する二列の単位形状群では、一方の列の単位形状6の第二輪郭線61と他方の列の単位形状6の第一輪郭線60とが中央部同士で接するように、配置されている。互いに接する各列の単位形状6の中心線62の中心点を結ぶ仮想直線は、各列の単位形状6の中心線62に直交する。
【0031】
第一水誘導部群4は、単位形状6の長手方向及び短手方向に隣接する四つの単位形状6によって囲まれる領域S3に形成される中間単位形状8を更に有する。
【0032】
図2Aに示すように、中間単位形状8は、基準面F上において片側に凸の曲線状の第一輪郭線80と、この第一輪郭線80と同じく基準面F上において当該第一輪郭線80とは反対側に凸の曲線状であり、第一輪郭線80の両端部につながった第二輪郭線81と、基準面F上において第一輪郭線80及び第二輪郭線81の両端部をつなぐ直線状の中心線82と、を備える。図2Cに示すように、第一輪郭線80と中心線82とで囲まれる領域S30は、平面であり、第二輪郭線81と中心線82とで囲まれる領域S31は、凹部9である。つまり、中間単位形状8は、基材2の表面20に規定された基準面Fから凹む凹部9を有する。中間単位形状8は、領域S30と領域S31とで凹凸の態様が異なる立体形状である。領域S30を構成する平面は、基準面Fと同一平面上に位置する。
【0033】
第一輪郭線80と第二輪郭線81のそれぞれは、一端と他端において中心線82の両端につながり、中心線82の中心点に対向する中央部において、中心線82から最も離れるように、湾曲している。本実施形態では、第一輪郭線80と第二輪郭線81とは、中心線82を中心に線対称であり、かつ、中心線82の中心点を中心に点対称である。
【0034】
中間単位形状8の第一輪郭線80は、長手方向に並ぶ二つの単位形状6のうちの一方の第二輪郭線61の半部と他方の第二輪郭線61の半部とで構成される。中間単位形状8の第二輪郭線81は、他の列の長手方向に並ぶ二つの単位形状6のうちの一方の第一輪郭線60の半部と他方の第一輪郭線60の半部とで構成される。そのため、中間単位形状8の輪郭線80,81は、単位形状6の輪郭線60,61とは形状が若干異なる。
【0035】
凹部9は、図2Cに示すように、中心線82から裏側(後側)に平面状に延び、すなわち基準面Fに対して直交する方向に延びる第一側面90と、第二輪郭線81から裏側(後側)に曲面状に延び、第一側面90とつながった第二側面91と、を有し、第一側面90と第二側面91との境界線900が裏側に凸となるように湾曲状をなしている。
【0036】
図1Bに示すように、第一水誘導部群4では、中心線82が一直線上に並ぶように配置された複数の中間単位形状8で構成される一列の中間単位形状群が、複数列形成されている。
【0037】
図2Aに示すように、隣接する二列の中間単位形状群では、一方の列の中間単位形状8の第二輪郭線81と他方の列の中間単位形状8の第一輪郭線80とが中央部同士で接するように、配置されている。互いに接する各列の中間単位形状8の中心線82の中心点を結ぶ仮想直線は、各列の中間単位形状8の中心線82に直交する。
【0038】
一列の中間単位形状群では、長手方向に隣接する二つの中間単位形状8のうちの、一方の第一輪郭線80と他方の第一輪郭線80とが、互いに連続する部分において第二輪郭線81側に凸となる滑らかな曲線を描くように連続している。また、一列の中間単位形状群では、長手方向に隣接する二つの中間単位形状8のうちの、一方の第二輪郭線81と他方の第二輪郭線81とが、互いに連続する部分において第一輪郭線80側に凸となる滑らかな曲線を描くように連続している。また、一列の中間単位形状群では、長手方向に隣接する二つの中間単位形状8のうちの、一方の中心線82と他方の中心線82とが、一直線状に連続している。各列の中間単位形状群において、第一輪郭線80と第二輪郭線81と中心線82は、上記の関係にある。
【0039】
図1Bに示すように、第一水誘導部群4では、各列の中間単位形状群の中間単位形状8の中心線82は、単位形状6と同様に、建築板1の短手方向(上下方向)に平行な軸(例えば仮想直線L3)に対して時計周りに30度傾いている。
【0040】
中間単位形状群の中心線82は、隣接する二列の単位形状群の中心線62の中間に位置し、かつ各列の単位形状群の中心線62に対して平行である。なお、第一水誘導部群4と第二水誘導部群5との境界部分や、基材2の上下の端部及び右端部では、中間単位形状8は、四つの単位形状6によって囲まれない場合がある。
【0041】
図3Aには、第二水誘導部群5が拡大して示されている。第二水誘導部群5は、第一水誘導部群4と同様の相対的な位置関係で、複数の単位形状6と複数の中間単位形状8とを有している。
【0042】
図1Bに示すように、第二水誘導部群5では、複数の単位形状6及び複数の中間単位形状8のそれぞれは、その中心線62,82が建築板1の短手方向(上下方向)に平行な軸(例えば仮想直線L3)に対して反時計周りに30度傾いている。
【0043】
本実施形態では、第二水誘導部群5は、基準面F上の第一水誘導部群4との境界線(仮想直線L3)を中心に、第一水誘導部群4と線対称に設けられている。水誘導部群4,5の境界線(仮想直線L3)上において、水誘導部群4,5の単位形状6の中心線62が交差しており、水誘導部群4,5の中間単位形状8の中心線82が交差している。
【0044】
以上説明した本実施形態の建築板1では、第一水誘導部群4における各単位形状6の凹部7の側面70,71(図2B参照)が、仮想直線L3(つまり所定の部分P)に向かって下り傾斜した誘導面30を構成している。また、第一水誘導部群4における各中間単位形状8の凹部9の側面90,91(図2C参照)が、仮想直線L3(つまり所定の部分P)に向かって下り傾斜した誘導面30を構成している。
【0045】
また、本実施形態の建築板1では、第二水誘導部群5における各単位形状6の凹部7の側面70,71(図3B参照)が、仮想直線L3(つまり所定の部分P)に向かって下り傾斜した誘導面30を構成している。また、第二水誘導部群5における各中間単位形状8の凹部9の側面90,91(図3C参照)が、仮想直線L3(つまり所定の部分P)に向かって下り傾斜した誘導面30を構成している。
【0046】
そのため、本実施形態の建築板1では、仮想直線L3を挟んだ第一水誘導部群4と第二水誘導部群5において、各単位形状6,8の凹部7,9の側面70,71,90,91によって、凹部7,9に流れ込んだ雨水を仮想直線L3に向かう方向に誘導することができる。
【0047】
また、本実施形態の建築板1では、仮想直線L1を挟んだ第一水誘導部群4と第二水誘導部群5においても同様に、各単位形状6,8の凹部7,9の側面70,71,90,91によって、凹部7,9に流れ込んだ雨水を仮想直線L1に向かう方向に誘導することができる。
【0048】
また、本実施形態の建築板1では、仮想直線L2を挟んだ第一水誘導部群4と第二水誘導部群5においては、各単位形状6,8の凹部7,凹部9の側面70,71,90,91によって、凹部7,9に流れ込んだ雨水を仮想直線L2から離れる方向に誘導することができる。
【0049】
これにより、本実施形態の建築板1では、基材2の表面20で受けた雨水を、複数の水誘導部3によって所定の部分P(仮想直線L1又は仮想直線L3)に誘導することができる。したがって、本実施形態の建築板1では、周囲の環境等に合わせて、雨水が排水される箇所を適宜設定することができる。
【0050】
しかも、本実施形態の建築板1では、第一水誘導部群4と第二水誘導部群5を構成する単位形状6が同一形状であるため、基材2の表面20に第一水誘導部群4と第二水誘導部群5を簡単に形成することができる。
【0051】
2-2.建築板の施工構造
続いて、図4に示す屋根構造10について詳しく説明する。この屋根構造10は、本実施形態の建築板を使用した建築板の施工構造の一例である。
【0052】
屋根構造10は、上述した建築板1を千鳥状に配置した屋根構造である。屋根構造10では、複数の建築板1が、左右方向に突き付けて配置されていると共に、上下方向に突き付けて配置されている。本実施形態では、上下方向に隣り合う建築板1は、建築板1の左右方向の長さの半分、左右方向にずれて配置されている。
【0053】
本実施形態の屋根構造10では、上段の建築板1aは、下段の建築板1bの左右方向の突き付け部Q1に対して左右方向にずれた位置に、所定の部分P(仮想直線L1,L3)を有している。
【0054】
そのため、この屋根構造10では、上段の建築板1aの仮想直線L1,L3へと誘導された雨水が、下段の建築板1bの左右方向の突き付け部Q1に流入することを抑制することができる。
【0055】
また、各建築板1では、仮想直線L1,L3に雨水を誘導するため、左右方向に隣接する他の建築板1との突き付け部Q1又はQ2に雨水が流入することも抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態の屋根構造10では、上段の建築板1aの仮想直線L3と、下段の建築板1bの仮想直線L1とが、上下方向(詳しくは軒棟方向)に並んでおり、上段の建築板1aの仮想直線L1と、下段の建築板1bの仮想直線L3とが、上下方向に並んでいる。
【0057】
そのため、本実施形態の屋根構造10では、上段の建築板1aの仮想直線L1,L3へ誘導され、下段の建築板1bの表面へと排水された雨水を、下段の建築板1bの仮想直線L1,L3に沿ってスムーズに流すことができる。
【0058】
3.変形例
続いて、上述した本実施形態の建築板1及び建築板1の施工構造の変形例について説明する。なお、以下に示す変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0059】
第一水誘導部群4と第二水誘導部群5のそれぞれにおける単位形状6と中間単位形状8の、建築板1の短手方向(上下方向)に平行な軸(例えば仮想直線L1,L2,L3)に対する傾きは、図1Bに示す角度に限定されず、適宜変更可能である。なお、第一水誘導部群4の単位形状6,8の傾きと、第二水誘導部群5の単位形状6,8の傾きとは、対応させなくてもよい。
【0060】
また、水誘導部3は、立体的な形状を有し、基材2の表面20のうち所定の部分Pに向かって下り傾斜した誘導面30を有するものであればよく、水誘導部3の形状は、図2A,Bに示す単位形状6の形状に限定されない。
【0061】
例えば、第一水誘導部3aと第二水誘導部3bとは、形状が異なってもよい。
【0062】
また、複数の第一水誘導部3aは、互いに同一の立体形状でなくてもよく、互いに異なる複数種類の立体形状を含んでもよい。また、複数の第二水誘導部3bについても同様である。
【0063】
また、建築板1における水が誘導される所定の部分Pは、仮想直線L1,L3に限定されず、その他の部分であってもよい。例えば、所定の部分Pは、基材2の表面20の左右両端であってもよいし、基材2の表面20のその他の部分に位置してもよい。なお、建築板1は、基材2の表面20の一か所にのみ、所定の部分Pを有してもよい。
【0064】
また、建築板1の施工構造では、上段の建築板1aの所定の部分P(仮想直線L1,L3)が、下段の建築板1bの突き付け部Q1に対して左右方向にずれて位置すればよく、下段の建築板1bの仮想直線L1,L3に対して左右方向にずれて位置してもよい。
【0065】
また、建築板1の施工構造は、建築板1を千鳥状に配置した構造に限らず、上段の建築板1aの左右方向の突き付け部Q2と下段の建築板1bの左右方向の突き付け部Q1とが上下方向に並んで位置してもよい。
【0066】
また、単位形状6は、図2A,B等に示す形状に限定されない。例えば、単位形状6の中心線62は、直線状に限らず、基準面Fから表側に凸の湾曲状であってもよく、第一輪郭線60と中心線62とで囲まれる領域S1が、凸部であってもよい。この場合、第二輪郭線61と中心線62とで囲まれる領域S2は、凹部7に限らず、平面状であってもよい。この場合、単位形状6の凸状の領域S1によっても、雨水を誘導することができる。
【0067】
また、単位形状6の二つの輪郭線60,61は、円弧状であってもよい。また、単位形状6は、二つの輪郭線60,61が、中心線62を中心に線対称でなくてもよい。また、二つの輪郭線60,61は、曲線状に限らず、途中で少なくとも1回折れ曲がった直線状であってもよい。
【0068】
また、単位形状6の凹部7の内面は、平面状の部分(第一側面70)を有さなくてもよく、内面全体が凹面であってもよい。また、単位形状6の凹部7は、厚み方向に直交する底面を有してもよい。また、中間単位形状8の凹部9についても、同様である。なお、中間単位形状8は、凹凸を有する立体形状に限らず、全体が平面で構成されてもよい。
【0069】
また、複数の水誘導部3は、基材2の表面20の全体に限らず、一部に設けられてもよい。
【0070】
また、建築板1は、屋根材に限らず、外壁材や内壁材を構成してもよい。建築板1が壁板である場合、建築板1の施工構造は壁構造となる。
【0071】
(実施形態2)
続いて、図5及び図6A~Cに示す実施形態2の建築板1について説明する。以下では、実施形態2の建築板1について、実施形態1の建築板1と同様の構成については図中に同一の符号を付けて詳しい説明を省略し、実施形態1の建築板1とは異なる構成について詳しく説明する。
【0072】
本実施形態の建築板1は、矩形板の下端の一つの角部を切り取った形状である。建築板1の下面は、左右方向に対して平行な平面部と、この平面部の左側に位置し、平面部に近い部分ほど下方に位置するように傾斜した傾斜面部とで、構成されている。本実施形態の建築板1では、基材2の表面20の全体に、複数の水誘導部3が同一の向きで配置されている。
【0073】
複数の水誘導部3は、実施形態1の建築板1の第一水誘導部群4と同様の相対的な位置関係で、複数の単位形状6と複数の中間単位形状8とを有している。
【0074】
複数の単位形状6のそれぞれは、その中心線62が建築板1の長手方向(左右方向)に対して反時計周りに35度傾いている。複数の単位形状6のそれぞれは、中心線62の上側に第一輪郭線60が位置し、中心線62の下側に第二輪郭線61が位置する。
【0075】
同様に、複数の中間単位形状8のそれぞれは、その中心線82が建築板1の長手方向(左右方向)に対して反時計周りに35度傾いている。複数の中間単位形状8のそれぞれは、中心線82の上側に第一輪郭線80が位置し、中心線82の下側に第二輪郭線81が位置する。
【0076】
以上説明した本実施形態の建築板1では、各単位形状6の凹部7の側面70,71(図6B参照)が、建築板1の左端(つまり所定の部分P)に向かって下り傾斜した誘導面30を構成している。また、各中間単位形状8の凹部9の側面90,91(図6C参照)が、建築板1の左端(つまり所定の部分P)に向かって下り傾斜した誘導面30を構成している。
【0077】
そのため、本実施形態の建築板1では、各単位形状6,8の凹部7,9の側面70,71,90,91によって、凹部7,9に流れ込んだ雨水を、建築板1の左端に向かって斜め下方に誘導することができる。言い換えると、本実施形態の建築板1では、凹部7,9に流れ込んだ雨水を、建築板1の右端から離れる方向へと誘導することができる。
【0078】
続いて、図7に示す建築板1の施工構造について説明する。
【0079】
図7に示す建築板1の施工構造は、鎧張り施工構造11である。鎧張り施工構造11、千鳥状にかつ鎧張り状に並んだ複数の建築板1を備える。鎧張り施工構造11は、建物の屋根や壁を構成する。複数の建築板1のそれぞれは、釘等の固定具によって下地に固定されている。
【0080】
鎧張り施工構造11では、複数の建築板1が左右方向に突き付けて配置されていると共に、部分的に重なりながら上下方向に配置されている。上下方向に隣り合う建築板1は、左右方向にずれており、いわゆる千鳥状に配置されている。本実施形態において、上下方向に隣り合う建築板1は、建築板1の左右方向の長さの半分ずれている。
【0081】
上下方向に隣り合う建築板1は、下段の建築板1bの上部の前側に、上段の建築板1aの下部が位置しており、いわゆる鎧張り状に配置されている。本実施形態では、下段の建築板1bの上半部分の前側に、左右に並ぶ2枚の上段の建築板1aの下半部分が位置している。各建築板1は、下側の部分ほど前側に位置するように傾く姿勢で、下地に固定されている。
【0082】
鎧張り施工構造11では、上段の建築板1aは、下段の建築板1bの左右方向の突き付け部Q1に対して左右方向にずれた位置に、所定の部分P(つまり建築板1aの左端)を有している。
【0083】
そのため、この鎧張り施工構造11では、上段の建築板1aの左端に向かって斜め下方に誘導された雨水が、下段の建築板1bの左右方向の突き付け部Q1に流入することを抑制することができる。
【0084】
また、この鎧張り施工構造11では、各建築板1の表面の複数の水誘導部3(単位形状6,8)によって雨水を真下ではなく左斜め下方に流すことができるため、各建築板1の下面の平面部に到達した雨水は、平面部に沿って左側へと横走りしやすい(図7中の破線の矢印参照)。また、各建築板1の下面の傾斜面部に到達した雨水は、傾斜面部に沿って右斜め下方へと流れやすくて、突き付け部Q1,Q2の反対側へと流れやすい。各建築板1の下面に沿って流れる、左側へと横走りした雨水と右斜め下方へと流れる雨水とは、各建築板1の下面の平面部と傾斜面部とがなす角部において合流して、下方へと流れ落ちる。上段の建築板1aの下面の角部から下方へと流れ落ちた雨水は、下段の建築板1bの表面を流れ落ちる際にも複数の水誘導部3によって誘導されて、一方向のみでなく多方向に分散するため、各建築板1の表面には雨スジが発生しにくい。
【0085】
また、この鎧張り施工構造1では、各段の建築板1の左右方向の突き付け部Q1,Q2は、各建築板1の下側の角部が切り取った形状であることと、一つ上の段の建築板1によって上半部が覆われることから、露出する部分の長さが短い。そのため、突き付け部Q1,Q2で滞留する雨水が少なく、各建築板1の裏面側に浸入する水量も少ない。
【0086】
なお、実施形態2の建築板1及び建築板1の施工構造についても、実施形態1の建築板1及び建築板1の施工構造の変形例を適宜採用可能である。
【0087】
(実施形態3)
続いて、図8及び図9A~Cに示す実施形態3の建築板1について説明する。以下では、実施形態3の建築板1について、実施形態1の建築板1と同様の構成については図中に同一の符号を付けて詳しい説明を省略し、実施形態1の建築板1とは異なる構成については詳しく説明する。
【0088】
本実施形態の建築板1は、矩形板の下端の二つの角部を切り取った形状である。建築板1の下面は、左右方向の中央部に位置し、左右方向に対して平行な平面部と、この平面部の左右に位置し、平面部に近い部分ほど下方に位置するように傾斜した二つの傾斜面部とで、構成されている。
【0089】
本実施形態の建築板1では、基材2の表面20の全体に、複数の水誘導部3が同一の向きで配置されている。
【0090】
複数の水誘導部3は、実施形態1の建築板1の第一水誘導部群4と同様の相対的な位置関係で、複数の単位形状6と複数の中間単位形状8とを有している。
【0091】
複数の単位形状6のそれぞれは、その中心線62が建築板1の長手方向(左右方向)に対して平行である。複数の単位形状6のそれぞれは、中心線62の上側に第一輪郭線60が位置し、中心線62の下側に第二輪郭線60が位置する。
【0092】
同様に、複数の中間単位形状8のそれぞれは、その中心線82が建築板1の長手方向(左右方向)に対して平行である。複数の中間単位形状8のそれぞれは、中心線82の上側に第一輪郭線80が位置し、中心線82の下側に第二輪郭線80が位置する。
【0093】
以上説明した本実施形態の建築板1では、各単位形状6の凹部7の側面71(図9A図9B参照)が、凹部7の左右方向の中央部(つまり所定の部分P)に向かって下り傾斜した誘導面30を構成している。また、各中間単位形状8の凹部9の側面91(図9A図9C参照)が、凹部9の左右方向の中央部(つまり所定の部分P)に向かって下り傾斜した誘導面30を構成している。
【0094】
そのため、本実施形態の建築板1では、各単位形状6,8の凹部7,9の側面71,91によって、凹部7,9に流れ込んだ雨水を、凹部7,9の左右方向の中央部に向かって斜め下方に誘導することができる。
【0095】
続いて、図10に示す建築板1の施工構造について説明する。
【0096】
図10に示す建築板1の施工構造は、鎧張り施工構造11である。鎧張り施工構造11は、千鳥状にかつ鎧張り状に並んだ複数の建築板1を備える。鎧張り施工構造11は、建物の屋根や壁を構成する。複数の建築板1のそれぞれは、釘等の固定具によって下地に固定されている。
【0097】
鎧張り施工構造11では、複数の建築板1が左右方向に突き付けて配置されていると共に、部分的に重なりながら上下方向に配置されている。上下方向に隣り合う建築板1は、左右方向にずれており、いわゆる千鳥状に配置されている。本実施形態において、上下方向に隣り合う建築板1は、建築板1の左右方向の長さの半分ずれている。
【0098】
上下方向に隣り合う建築板1は、下段の建築板1bの上部の前側に、上段の建築板1aの下部が位置しており、いわゆる鎧張り状に配置されている。上段の建築板1aは、下面の左右方向の中央部の平面部分が、下段の建築板1bの左右の端辺の下端部よりも上方に位置するように、配置されている。各建築板1は、下側の部分ほど前側に位置するように傾く姿勢で、下地に固定されている。
【0099】
鎧張り施工構造11では、各建築板1の表面で受けた雨水を、複数の単位形状6,8のそれぞれによって、各単位形状6,8の左右方向の中央部に集まって真下に流れ落ちるように誘導することができる。
【0100】
そのため、この鎧張り施工構造11では、上段の建築板1aの表面で受けた雨水が、下段の建築板1bの左右方向の突き付け部Q1に集中的に流入することを抑制することができる。
【0101】
また、この鎧張り施工構造11では、上段の建築板1aの下面の傾斜に沿って流れる雨水(図10中の破線の矢印参照)が下段の建築板1bの突き付け部Q1に集中しやすいが、下段の建築板1bの突き付け部Q1は、露出する部分の長さが短いため、下段の建築板1bの裏面側に浸入する雨水は少ない。
【0102】
なお、実施形態3の建築板1及び建築板1の施工構造についても、実施形態1の建築板1及び建築板1の施工構造の変形例を適宜採用可能である。
【0103】
4.まとめ
以上説明した実施形態1~3及びその変形例から明らかなように、第一態様の建築板1は、下記の構成を備える。
【0104】
すなわち、第一態様の建築板1は、基材2の表面20に、立体的な形状を有する複数の水誘導部3が設けられている。複数の水誘導部3のそれぞれは、表面20のうちの所定の部分Pに向かって下り傾斜した誘導面30を有する。
【0105】
上記構成を備える第一態様の建築板1では、基材2の表面20に設けられた複数の水誘導部3が有する誘導面30によって、表面20を伝う雨水を、表面20の所定の部分Pに誘導することができる。
【0106】
また、上述した実施形態1及びその変形例から明らかなように、第二態様の建築板1は、第一態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0107】
すなわち、第二態様の建築板1では、所定の部分Pは、基材2の表面20のうち左右両端を除いたその他の部分に位置する。
【0108】
上記構成を備える第二態様の建築板1では、建築板1の左右両端に雨水が誘導されることを抑制することができる。
【0109】
また、上述した実施形態1及びその変形例から明らかなように、第三態様の建築板1は、第一又は第二態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0110】
すなわち、第三態様の建築板1では、複数の水誘導部3は、基材2の表面20のうち、所定の部分Pの右側に位置する複数の第一水誘導部3aと、基材2の表面20のうち、所定の部分Pの左側に位置する複数の第二水誘導部3bと、を含む。第二水誘導部3bは、第一水誘導部3aを回転させた形状である。
【0111】
上記構成を備える第三態様の建築板1では、第一水誘導部群4と第二水誘導部群5のそれぞれによってこれらの境界部分である所定の部分Pに、雨水を誘導することができる。しかも、第三態様の建築板1では、第一水誘導部3aと第二水誘導部3bが同一形状であるため、第一水誘導部群4と第二水誘導部群5を簡単に形成することができる。
【0112】
また、上述した実施形態1及びその変形例から明らかなように、第四態様の建築板1は、第三態様の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0113】
すなわち、第四態様の建築板1では、第一水誘導部3aは、基材2の表面20に規定された基準面Fから凹む凹部7を有し、凹部7の内面は、凹面を有し、凹面が、誘導面30を構成する。
【0114】
上記構成を備える第四態様の建築板1では、凹部7の内面の凹面によって誘導面30を形成でき、凹部7内に入り込んだ雨水を所定の部分Pに向けて誘導しやすい。
【0115】
また、上述した実施形態1,2及びその変形例から明らかなように、第五態様の建築板1の施工構造は、下記の構成を備える。
【0116】
すなわち、第五態様の建築板1の施工構造は、第一から第四のいずれか一つの態様の建築板1を千鳥状に配置した構造であって、上段の建築板1aは、下段の建築板1bの左右方向の突き付け部Q1に対して左右方向にずれた位置に、所定の部分Pを有する。
【0117】
上記構成を備える第五態様の建築板1の施工構造では、上段の建築板1aの複数の水誘導部3によって誘導される雨水が、下段の建築板1bの左右方向の突き付け部Q1に流入することを抑制することができる。
【0118】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0119】
1 建築板
1a 上段の建築板
1b 下段の建築板
2 基材
20 表面
3 水誘導部
30 誘導面
3a 第一水誘導部
3b 第二水誘導部
7 凹部
10 屋根構造
F 基準面
P 所定の部分
Q1 突き付け部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10