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特開2022-91476新規含窒素三環性骨格化合物およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091476
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】新規含窒素三環性骨格化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/16 20060101AFI20220614BHJP
   A61K 31/4985 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
C07D471/16 CSP
A61K31/4985
A61P31/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204328
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
(71)【出願人】
【識別番号】518108818
【氏名又は名称】株式会社大分大学先端医学研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【弁理士】
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】梅寺 倖平
(72)【発明者】
【氏名】盛田 大輝
(72)【発明者】
【氏名】吉森 篤史
(72)【発明者】
【氏名】小路 弘行
【テーマコード(参考)】
4C065
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA07
4C065BB10
4C065CC05
4C065DD02
4C065EE03
4C065HH04
4C065JJ01
4C065KK01
4C065LL01
4C065LL06
4C065PP03
4C065PP04
4C065PP09
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】      (修正有)
【課題】狂犬病ウイルスを含むリッサウイルス属ウイルスに対する優れた抗ウイルス作用を示す新規含窒素三環性骨格化合物を提供する。
【解決手段】式XIIにより表される化合物もしくはそのエナンチオマー又はそれらの塩又はそれらの溶媒和物を提供する。

[Rは、H、置換/非置換の炭化水素基、置換/非置換の複素環、置換/非置換のカルボニル、もしくは置換/非置換の官能基であり、R及びRは、各々独立して、H、置換/非置換の炭化水素基、置換/非置換の複素環、もしくは置換/非置換の官能基である。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式XII
【化73】
により表される化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物であって、式中、
は、
水素、
必要に応じて置換された炭化水素基、
必要に応じて置換された複素環、
必要に応じて置換されたカルボニル、もしくは
必要に応じて置換された官能基であり、
およびRは各々独立して、
水素、
必要に応じて置換された炭化水素基、
必要に応じて置換された複素環、もしくは
必要に応じて置換された官能基である、
化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項2】
が、
水素、
必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、もしくは必要に応じて置換されたカルボニルであり、
およびRが、各々独立して、
水素、
必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリールである、
請求項1に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項3】
、RおよびRが、各々独立して、
1-6アルキル、ヒドロキシ基で置換されたC1-6アルキル、カルボキシ基で置換されたC1-6アルキル、アミノ基で置換されたC1-6アルキル、カルバモイル基で置換されたC1-6アルキル、C1-6シクロアルキルで置換されたC1-6アルキル、アルコキシカルボニル基もしくはハロゲンで置換されたC1-10アリールで置換されたC1-6アルキル、C1-10ヘテロアリールで置換されたC1-6アルキル、イミノ基で置換されたC1-6ヘテロアルキル、C1-6シクロアルキル、C1-10アリール、もしくはC1-6アルコキシである、
請求項1または2に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項4】
が、
イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、4-フルオロベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、フェニル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOOH、-CHCHCOOH、-CHCHCHCHNH、-CHCONH、-CHCHCONH、-OtBu、
【化74】
である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項5】
、RおよびRが、各々独立して、
イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、4-フルオロベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、フェニル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOOH、-CHCHCOOH、-CHCHCHCHNH、-CHCONH、-CHCHCONH、-OtBu、
【化75】
である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項6】
、RおよびRが、各々独立して、
イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、-CHCHCOOH、-CHCHCONH、-CHCHCHCHNH、-OtBu、
【化76】
である、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
【請求項7】
以下の構造で表される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物:
【化77】
【化78】
【請求項8】
、RおよびRが、各々独立して、
イソブチル基、もしくはベンジル基である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医薬として有用な新規含窒素三環性骨格化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物に関する。より詳しくは、該含窒素三環性骨格化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含有する医薬組成物に関する。本開示はまた、該含窒素三環性骨格化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を含有する治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
狂犬病は、狂犬病ウイルスにより引き起こされる感染症であり、ヒトにおける発症後の致死率は、ほぼ100%である。毎年、狂犬病を予防するために世界で1500万以上の人が暴露後予防接種を受けている一方で、世界での狂犬病死亡者数は毎年約55000人である。狂犬病の有効な治療方法は、未だ確立されておらず、その確立が依然として求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、新規含窒素三環性骨格化合物およびそれらの用途等を提供する。
【0004】
本発明者らは鋭意研究を行った結果、下記式XIIならびにその関連構造式で表される化合物、またはその薬学的に許容される塩(以下、「本開示の化合物」または「本開示化合物」(the compound(s) of the disclosure)と称することもある)が上記課題を解決することを見出し、本開示の技術事項を完成させた。即ち、本開示は以下のとおりである。
【0005】
本開示は、以下の項を提供する。
【0006】
[項1]式XII
【化1】
により表される化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物であって、式中、
は、
水素、
必要に応じて置換された炭化水素基、
必要に応じて置換された複素環、
必要に応じて置換されたカルボニル、もしくは
必要に応じて置換された官能基であり、
およびRは各々独立して、
水素、
必要に応じて置換された炭化水素基、
必要に応じて置換された複素環、もしくは
必要に応じて置換された官能基である、
化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項2]Rが、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、もしくは必要に応じて置換されたカルボニルであり、
およびRが、各々独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、もしくは必要に応じて置換されたヘテロアリールである、
項1に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項3]R、RおよびRが、各々独立して、C1-6アルキル、ヒドロキシ基で置換されたC1-6アルキル、カルボキシ基で置換されたC1-6アルキル、アミノ基で置換されたC1-6アルキル、カルバモイル基で置換されたC1-6アルキル、C1-6シクロアルキルで置換されたC1-6アルキル、アルコキシカルボニル基もしくはハロゲンで置換されたC1-10アリールで置換されたC1-6アルキル、C1-10ヘテロアリールで置換されたC1-6アルキル、イミノ基で置換されたC1-6ヘテロアルキル、C1-6シクロアルキル、C1-10アリール、もしくはC1-6アルコキシである、項1または2に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項4]Rが、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、4-フルオロベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、フェニル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOOH、-CHCHCOOH、-CHCHCHCHNH、-CHCONH、-CHCHCONH、-OtBu、
【化2】
である、項1から3のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項5]R、RおよびRが、各々独立して、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、4-フルオロベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、フェニル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOOH、-CHCHCOOH、-CHCHCHCHNH、-CHCONH、-CHCHCONH、-OtBu、
【化3】
である、項1から4のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項6]R、RおよびRが、各々独立して、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、-CHCHCOOH、-CHCHCONH、-CHCHCHCHNH、-OtBu、
【化4】
である、項1から5のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項7]Rが、イソブチル基、ベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、または(4-イソブチルカルボニルオキシフェニル)メチルである、項1から6のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項8]Rが、イソブチル基、ベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、-CHCHCOOH、-CHCHCONH、-CHCHCHCHNH、-OtBu、または(4-イソブチルカルボニルオキシフェニル)メチルである、項1から6のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項9]Rが、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、-CHCHCOOH、-CHCHCONH、-CHCHCHCHNH
【化5】
である、項1から6のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項10]以下の構造で表される、項1から9のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物:
【化6】
【化7】

[項11]R、RおよびRが、各々独立して、イソブチル基、もしくはベンジル基である、項1から6のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項12]Rが、イソブチル基、ベンジル基、または(4-イソブチルカルボニルオキシフェニル)メチルである、項1から6のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項13]Rが、イソブチル基、ベンジル基、またはtert-ブトキシカルボニル基である、項1から6のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
[項14]Rが、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基、またはシクロヘキシル基である、項1から6のいずれか一項に記載の化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物。
【0007】
本開示において、上記1または複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供されうることが意図される。本開示のなおさらなる実施形態および利点は、必要に応じて以下の詳細な説明を読んで理解すれば、当業者に認識される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の化合物は、狂犬病ウイルスを含むリッサウイルス属ウイルスに対する優れた抗ウイルス作用を示す。したがって、本開示の化合物は、狂犬病の治療剤および/または予防剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を最良の形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用されるすべての専門用語および科学技術用語は、本開示の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0010】
(定義)
最初に本開示において使用される用語および一般的な技術を説明する。
【0011】
本明細書において「基」なる用語は、別途指定されない限り、一価基を意味する。一価基でない例としては、アルキレン基(2価)等が挙げられる。また、下記の置換基等の説明において、「基」なる用語を省略する場合もある。
【0012】
本明細書において、「必要に応じて置換された」もしくは「置換されている」で定義される場合における置換基の数は、特に限定がない場合、置換可能であれば特に制限はなく、1または複数である。また、特に指示した場合を除き、各々の置換基の説明はその置換基が他の置換基の一部分または置換基である場合にも該当する。
【0013】
本明細書において、「最大置換可能数」とは、ある基が有することができる置換基の最大数であり、各基において異なり得る。例えば、メチル基では3であり、エチル基では5であり、ベンジル基では7であり、ナフタレニルエチル基では11である。
【0014】
本明細書において「必要に応じて置換された」もしくは「置換されている」で修飾されている基において、該基のいずれの部分が置換されていてもよい。例えば、「必要に応じて置換されたアリールアルキル」および「置換されているアリールアルキル」は、アリール部分が置換されていても、アルキル部分が置換されていてもよく、アリール部分およびアルキル部分の両方が置換されていてもよい。
【0015】
本明細書において「必要に応じて置換された」場合における置換基は、下記置換基群I~VIのいずれかから選択される1個またはそれより多くの同一または異なる置換基であり得る。結合に関与する置換基内の原子の種類は、置換基の種類によって特に制限されないが、置換基が結合する原子が酸素原子、窒素原子、硫黄原子の場合は、下記の置換基における結合点が炭素原子であるものに限定され、それらから選択される。
【0016】
置換基群Iは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシイミノ、ホルミル、ホルミルオキシ、カルバモイル、スルファモイル、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、アミジノアミノ、非置換もしくは置換アルキル、非置換もしくは置換アルケニル、非置換もしくは置換アルキニル、非置換もしくは置換アリール、非置換もしくは置換シクロアルキル、非置換もしくは置換ヘテロアリール、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル、非置換もしくは置換アルキルオキシ、非置換もしくは置換アルケニルオキシ、非置換もしくは置換アルキニルオキシ、非置換もしくは置換アリール-L-オキシ、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-オキシ、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-オキシ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-オキシ、非置換もしくは置換アルキルオキシアルキル、非置換もしくは置換アルケニルオキシアルキル、非置換もしくは置換アルキニルオキシアルキル、非置換もしくは置換アリールオキシアルキル、非置換もしくは置換シクロアルキルオキシアルキル、非置換もしくは置換ヘテロアリールオキシアルキル、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルオキシアルキル、非置換もしくは置換アルキルオキシアルキルオキシ、非置換もしくは置換アルケニルオキシアルキルオキシ、非置換もしくは置換アルキニルオキシアルキルオキシ、非置換もしくは置換アリールオキシアルキルオキシ、非置換もしくは置換シクロアルキルオキシアルキルオキシ、非置換もしくは置換ヘテロアリールオキシアルキルオキシ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキルオキシアルキルオキシ、非置換もしくは置換アルキルカルボニル、非置換もしくは置換アルケニルカルボニル、非置換もしくは置換アルキニルカルボニル、非置換もしくは置換アリール-L-カルボニル、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-カルボニル、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-カルボニル、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-カルボニル、非置換もしくは置換アルキルカルボニルオキシ、非置換もしくは置換アルケニルカルボニルオキシ、非置換もしくは置換アルキニルカルボニルオキシ、非置換もしくは置換アリール-L-カルボニルオキシ、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-カルボニルオキシ、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-カルボニルオキシ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルオキシ、非置換もしくは置換アルキルカルボニルアミノ、非置換もしくは置換アルケニルカルボニルアミノ、非置換もしくは置換アルキニルカルボニルアミノ、非置換もしくは置換アリール-L-カルボニルアミノ、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-カルボニルアミノ、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-カルボニルアミノ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルアミノ、非置換もしくは置換アルキルカルボニルチオ、非置換もしくは置換アルケニルカルボニルチオ、非置換もしくは置換アルキニルカルボニルチオ、非置換もしくは置換アリール-L-カルボニルチオ、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-カルボニルチオ、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-カルボニルチオ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルチオ、非置換もしくは置換アルキルカルボニルイミノ、非置換もしくは置換アルケニルカルボニルイミノ、非置換もしくは置換アルキニルカルボニルイミノ、非置換もしくは置換アリール-L-カルボニルイミノ、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-カルボニルイミノ、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-カルボニルイミノ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルイミノ、非置換もしくは置換アルキルチオ、非置換もしくは置換アルケニルチオ、非置換もしくは置換アルキニルチオ、非置換もしくは置換アリール-L-チオ、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-チオ、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-チオ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-チオ、非置換もしくは置換アルキルアミノ、非置換もしくは置換アルケニルアミノ、非置換もしくは置換アルキニルアミノ、非置換もしくは置換アルキニルアミノ、非置換もしくは置換アリール-L-アミノ、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-アミノ、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-アミノ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-アミノ、非置換もしくは置換アルキルスルホニル、非置換もしくは置換アルケニルスルホニル、非置換もしくは置換アルキニルスルホニル、非置換もしくは置換アリール-L-スルホニル、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-スルホニル、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-スルホニル、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-スルホニル、非置換もしくは置換アルキルスルホニルアミノ、非置換もしくは置換アルケニルスルホニルアミノ、非置換もしくは置換アルキニルスルホニルアミノ、非置換もしくは置換アリール-L-スルホニルアミノ、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-スルホニルアミノ、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-スルホニルアミノ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-スルホニルアミノ、非置換もしくは置換アルキルイミノ、非置換もしくは置換アルケニルイミノ、非置換もしくは置換アルキニルイミノ、非置換もしくは置換アリール-L-イミノ、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-イミノ、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-イミノ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-イミノ、非置換もしくは置換アルキルオキシイミノ、非置換もしくは置換アルケニルオキシイミノ、非置換もしくは置換アルキニルオキシイミノ、非置換もしくは置換アリール-L-オキシイミノ、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-オキシイミノ、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-オキシイミノ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-オキシイミノ、非置換もしくは置換アルキルオキシカルボニル、非置換もしくは置換アルケニルオキシカルボニル、非置換もしくは置換アルキニルオキシカルボニル、非置換もしくは置換アリール-L-オキシカルボニル、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-オキシカルボニル、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-オキシカルボニル、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-オキシカルボニル、非置換もしくは置換アルキルオキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換アルケニルオキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換アルキニルオキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換アリール-L-オキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-オキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-オキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-オキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換アルキルスルファニル、非置換もしくは置換アルケニルスルファニル、非置換もしくは置換アルキニルスルファニル、非置換もしくは置換アリール-L-スルファニル、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-スルファニル、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-スルファニル、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-スルファニル、非置換もしくは置換アルキルスルフィニル、非置換もしくは置換アルケニルスルフィニル、非置換もしくは置換アルキニルスルフィニル、非置換もしくは置換アリール-L-スルフィニル、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-スルフィニル、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-スルフィニル、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-スルフィニル、非置換もしくは置換アルキルカルバモイル、非置換もしくは置換アルケニルカルバモイル、非置換もしくは置換アルキニルカルバモイル、非置換もしくは置換アリール-L-カルバモイル、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-カルバモイル、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-カルバモイル、非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-カルバモイル、非置換もしくは置換アルキルスルファモイル、非置換もしくは置換アルケニルスルファモイル、非置換もしくは置換アルキニルスルファモイル、非置換もしくは置換アリール-L-スルファモイル、非置換もしくは置換シクロアルキル-L-スルファモイル、非置換もしくは置換ヘテロアリール-L-スルファモイル、および非置換もしくは置換ヘテロシクロアルキル-L-スルファモイルからなり、ここで、Lは、単結合または非置換もしくは置換アルキレンであり、前記置換基群中の、置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換アリール、置換シクロアルキル、置換ヘテロアリール、置換ヘテロシクロアルキル、および置換アルキレン部分(全体または一部として)は各々独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシイミノ、ホルミル、ホルミルオキシ、カルバモイル、スルファモイル、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、アミジノアミノ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリール-L-オキシ、シクロアルキル-L-オキシ、ヘテロアリール-L-オキシ、ヘテロシクロアルキル-L-オキシ、アルキルオキシアルキル、アルケニルオキシアルキル、アルキニルオキシアルキル、アリールオキシアルキル、シクロアルキルオキシアルキル、ヘテロアリールオキシアルキル、ヘテロシクロアルキルオキシアルキル、アルキルオキシアルキルオキシ、アルケニルオキシアルキルオキシ、アルキニルオキシアルキルオキシ、アリールオキシアルキルオキシ、シクロアルキルオキシアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシアルキルオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシアルキルオキシ、アルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、アルキニルカルボニル、アリール-L-カルボニル、シクロアルキル-L-カルボニル、ヘテロアリール-L-カルボニル、ヘテロシクロアルキル-L-カルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アリール-L-カルボニルオキシ、シクロアルキル-L-カルボニルオキシ、
ヘテロアリール-L-カルボニルオキシ、ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルオキシ、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アルキニルカルボニルアミノ、アリール-L-カルボニルアミノ、シクロアルキル-L-カルボニルアミノ、ヘテロアリール-L-カルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルアミノ、アルキルカルボニルチオ、アルケニルカルボニルチオ、アルキニルカルボニルチオ、アリール-L-カルボニルチオ、シクロアルキル-L-カルボニルチオ、ヘテロアリール-L-カルボニルチオ、ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルチオ、アルキルカルボニルイミノ、アルケニルカルボニルイミノ、アルキニルカルボニルイミノ、アリール-L-カルボニルイミノ、シクロアルキル-L-カルボニルイミノ、ヘテロアリール-L-カルボニルイミノ、ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルイミノ、アルキルチオ、アルケニルチオ、アルキニルチオ、アリール-L-チオ、シクロアルキル-L-チオ、ヘテロアリール-L-チオ、ヘテロシクロアルキル-L-チオ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アルキニルアミノ、アリール-L-アミノ、シクロアルキル-L-アミノ、ヘテロアリール-L-アミノ、ヘテロシクロアルキル-L-アミノ、アルキルスルホニル、アルケニルスルホニル、アルキニルスルホニル、アリール-L-スルホニル、シクロアルキル-L-スルホニル、ヘテロアリール-L-スルホニル、ヘテロシクロアルキル-L-スルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルケニルスルホニルアミノ、アルキニルスルホニルアミノ、アリール-L-スルホニルアミノ、シクロアルキル-L-スルホニルアミノ、ヘテロアリール-L-スルホニルアミノ、ヘテロシクロアルキル-L-スルホニルアミノ、アルキルイミノ、アルケニルイミノ、アルキニルイミノ、アリール-L-イミノ、シクロアルキル-L-イミノ、ヘテロアリール-L-イミノ、ヘテロシクロアルキル-L-イミノ、アルキルオキシイミノ、アルケニルオキシイミノ、アルキニルオキシイミノ、アリール-L-オキシイミノ、シクロアルキル-L-オキシイミノ、ヘテロアリール-L-オキシイミノ、ヘテロシクロアルキル-L-オキシイミノ、アルキルオキシカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アリール-L-オキシカルボニル、シクロアルキル-L-オキシカルボニル、ヘテロアリール-L-オキシカルボニル、ヘテロシクロアルキル-L-オキシカルボニル、アルキルオキシカルボニルアミノ、アルケニルオキシカルボニルアミノ、アルキニルオキシカルボニルアミノ、アリール-L-オキシカルボニルアミノ、シクロアルキル-L-オキシカルボニルアミノ、ヘテロアリール-L-オキシカルボニルアミノ、ヘテロシクロアルキル-L-オキシカルボニルアミノ、アルキルスルファニル、アルケニルスルファニル、アルキニルスルファニル、アリール-L-スルファニル、シクロアルキル-L-スルファニル、ヘテロアリール-L-スルファニル、ヘテロシクロアルキル-L-スルファニル、アルキルスルフィニル、アルケニルスルフィニル、アルキニルスルフィニル、アリール-L-スルフィニル、シクロアルキル-L-スルフィニル、ヘテロアリール-L-スルフィニル、ヘテロシクロアルキル-L-スルフィニル、アルキルカルバモイル、アルケニルカルバモイル、アルキニルカルバモイル、アリール-L-カルバモイル、シクロアルキル-L-カルバモイル、ヘテロアリール-L-カルバモイル、ヘテロシクロアルキル-L-カルバモイル、アルキルスルファモイル、アルケニルスルファモイル、アルキニルスルファモイル、アリール-L-スルファモイル、シクロアルキル-L-スルファモイル、ヘテロアリール-L-スルファモイル、およびヘテロシクロアルキル-L-スルファモイルからなる群より選択される1個から最大置換可能数までの同一または異なる置換基を有する。
【0017】
置換基群IIは、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシイミノ、ホルミル、ホルミルオキシ、カルバモイル、スルファモイル、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、アミジノアミノ、非置換もしくは置換C1-12アルキル、非置換もしくは置換C2-12アルケニル、非置換もしくは置換C2-12アルキニル、非置換もしくは置換C6-10アリール、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル、非置換もしくは置換C1-12アルキルオキシ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルオキシ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルオキシ、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-オキシ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-オキシ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-オキシ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-オキシ、非置換もしくは置換C1-12アルキルオキシC1-12アルキル、非置換もしくは置換C2-12アルケニルオキシC1-12アルキル、非置換もしくは置換C2-12アルキニルオキシC1-12アルキル、非置換もしくは置換C6-10アリールオキシC1-12アルキル、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキルオキシC1-12アルキル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリールオキシC1-12アルキル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキルオキシC1-12アルキル、非置換もしくは置換C1-12アルキルオキシC1-12アルキルオキシ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルオキシC1-12アルキルオキシ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルオキシC1-12アルキルオキシ、非置換もしくは置換C6-10アリールオキシC1-12アルキルオキシ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキルオキシC1-12アルキルオキシ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリールオキシC1-12アルキルオキシ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキルオキシC1-12アルキルオキシ、非置換もしくは置換C1-12アルキルカルボニル、非置換もしくは置換C2-12アルケニルカルボニル、非置換もしくは置換C2-12アルキニルカルボニル、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-カルボニル、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-カルボニル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-カルボニル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルボニル、非置換もしくは置換C1-12アルキルカルボニルオキシ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルカルボニルオキシ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルカルボニルオキシ、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-カルボニルオキシ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-カルボニルオキシ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-カルボニルオキシ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルオキシ、非置換もしくは置換C1-12アルキルカルボニルアミノ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルカルボニルアミノ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルカルボニルアミノ、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-カルボニルアミノ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-カルボニルアミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-カルボニルアミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルアミノ、非置換もしくは置換C1-12アルキルカルボニルチオ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルカルボニルチオ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルカルボニルチオ、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-カルボニルチオ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-カルボニルチオ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-カルボニルチオ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルチオ、非置換もしくは置換C1-12アルキルカルボニルイミノ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルカルボニルイミノ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルカルボニルイミノ、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-カルボニルイミノ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-カルボニルイミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-カルボニルイミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルイミノ、非置換もしくは置換C1-12アルキルチオ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルチオ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルチオ、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-チオ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-チオ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-チオ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-チオ、非置換もしくは置換C1-12アルキルアミノ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルアミノ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルアミノ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルアミノ、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-アミノ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-アミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-アミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-アミノ、非置換もしくは置換C1-12アルキルスルホニル、非置換もしくは置換C2-12アルケニルスルホニル、非置換もしくは置換C2-12アルキニルスルホニル、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-スルホニル、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-スルホニル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-スルホニル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-スルホニル、非置換もしくは置換C1-12アルキルスルホニルアミノ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルスルホニルアミノ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルスルホニルアミノ、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-スルホニルアミノ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-スルホニルアミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-スルホニルアミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-スルホニルアミノ、非置換もしくは置換C1-12アルキルイミノ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルイミノ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルイミノ、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-イミノ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-イミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-イミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-イミノ、非置換もしくは置換C1-12アルキルオキシイミノ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルオキシイミノ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルオキシイミノ、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-オキシイミノ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-オキシイミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-オキシイミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-オキシイミノ、非置換もしくは置換C1-12アルキルオキシカルボニル、非置換もしくは置換C2-12アルケニルオキシカルボニル、非置換もしくは置換C2-12アルキニルオキシカルボニル、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-オキシカルボニル、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-オキシカルボニル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-オキシカルボニル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-オキシカルボニル、非置換もしくは置換C1-12アルキルオキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換C2-12アルケニルオキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換C2-12アルキニルオキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-オキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-オキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-オキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-オキシカルボニルアミノ、非置換もしくは置換C1-12アルキルスルファニル、非置換もしくは置換C2-12アルケニルスルファニル、非置換もしくは置換C2-12アルキニルスルファニル、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-スルファニル、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-スルファニル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-スルファニル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-スルファニル、非置換もしくは置換C1-12アルキルスルフィニル、非置換もしくは置換C2-12アルケニルスルフィニル、非置換もしくは置換C2-12アルキニルスルフィニル、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-スルフィニル、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-スルフィニル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-スルフィニル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-スルフィニル、非置換もしくは置換C1-12アルキルカルバモイル、非置換もしくは置換C2-12アルケニルカルバモイル、
非置換もしくは置換C2-12アルキニルカルバモイル、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-カルバモイル、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-カルバモイル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-カルバモイル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルバモイル、非置換もしくは置換C1-12アルキルスルファモイル、非置換もしくは置換C2-12アルケニルスルファモイル、非置換もしくは置換C2-12アルキニルスルファモイル、非置換もしくは置換C6-10アリール-L-スルファモイル、非置換もしくは置換C3-10シクロアルキル-L-スルファモイル、非置換もしくは置換5~10員ヘテロアリール-L-スルファモイル、および非置換もしくは置換5~10員ヘテロシクロアルキル-L-スルファモイルからなり、ここで、Lは、単結合または非置換もしくは置換C1-12アルキレンであり、
前記置換基群中の、置換C1-12アルキル、置換C2-12アルケニル、置換C2-12アルキニル、置換C6-10アリール、置換C3-10シクロアルキル、置換5~10員ヘテロアリール、置換5~10員ヘテロシクロアルキル、および置換アルキレン部分(全体または一部として)は各々独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、カルボキシ、アミノ、イミノ、ヒドロキシアミノ、ヒドロキシイミノ、ホルミル、ホルミルオキシ、カルバモイル、スルファモイル、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、アミジノアミノ、C1-12アルキル、C1-12ハロアルキル、C2-12アルケニル、C2-12アルキニル、C6-10アリール、C3-10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、5~10員ヘテロシクロアルキル、C1-12アルキルオキシ、C1-12ハロアルキルオキシ、C2-12アルケニルオキシ、C2-12アルキニルオキシ、C6-10アリール-L-オキシ、C3-10シクロアルキル-L-オキシ、5~10員ヘテロアリール-L-オキシ、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-オキシ、C1-12アルキルオキシアルキル、C2-12アルケニルオキシアルキル、C2-12アルキニルオキシアルキル、C6-10アリールオキシアルキル、C3-10シクロアルキルオキシアルキル、5~10員ヘテロアリールオキシアルキル、5~10員ヘテロシクロアルキルオキシアルキル、C1-12アルキルオキシアルキルオキシ、C2-12アルケニルオキシアルキルオキシ、C2-12アルキニルオキシアルキルオキシ、C6-10アリールオキシアルキルオキシ、C3-10シクロアルキルオキシアルキルオキシ、5~10員ヘテロアリールオキシアルキルオキシ、5~10員ヘテロシクロアルキルオキシアルキルオキシ、C1-12アルキルカルボニル、C2-12アルケニルカルボニル、C2-12アルキニルカルボニル、C6-10アリール-L-カルボニル、C3-10シクロアルキル-L-カルボニル、5~10員ヘテロアリール-L-カルボニル、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルボニル、C1-12アルキルカルボニルオキシ、C2-12アルケニルカルボニルオキシ、C2-12アルキニルカルボニルオキシ、C6-10アリール-L-カルボニルオキシ、C3-10シクロアルキル-L-カルボニルオキシ、5~10員ヘテロアリール-L-カルボニルオキシ、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルオキシ、C1-12アルキルカルボニルアミノ、C2-12アルケニルカルボニルアミノ、C2-12アルキニルカルボニルアミノ、C6-10アリール-L-カルボニルアミノ、C3-10シクロアルキル-L-カルボニルアミノ、5~10員ヘテロアリール-L-カルボニルアミノ、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルアミノ、C1-12アルキルカルボニルチオ、C2-12アルケニルカルボニルチオ、C2-12アルキニルカルボニルチオ、C6-10アリール-L-カルボニルチオ、C3-10シクロアルキル-L-カルボニルチオ、5~10員ヘテロアリール-L-カルボニルチオ、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルチオ、C1-12アルキルカルボニルイミノ、C2-12アルケニルカルボニルイミノ、C2-12アルキニルカルボニルイミノ、C6-10アリール-L-カルボニルイミノ、C3-10シクロアルキル-L-カルボニルイミノ、5~10員ヘテロアリール-L-カルボニルイミノ、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルボニルイミノ、C1-12アルキルチオ、C2-12アルケニルチオ、C2-12アルキニルチオ、C6-10アリール-L-チオ、C3-10シクロアルキル-L-チオ、5~10員ヘテロアリール-L-チオ、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-チオ、C1-12アルキルアミノ、C2-12アルケニルアミノ、C2-12アルキニルアミノ、C2-12アルキニルアミノ、C6-10アリール-L-アミノ、C3-10シクロアルキル-L-アミノ、5~10員ヘテロアリール-L-アミノ、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-アミノ、C1-12アルキルスルホニル、C2-12アルケニルスルホニル、C2-12アルキニルスルホニル、C6-10アリール-L-スルホニル、C3-10シクロアルキル-L-スルホニル、5~10員ヘテロアリール-L-スルホニル、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-スルホニル、C1-12アルキルスルホニルアミノ、C2-12アルケニルスルホニルアミノ、C2-12アルキニルスルホニルアミノ、C6-10アリール-L-スルホニルアミノ、C3-10シクロアルキル-L-スルホニルアミノ、5~10員ヘテロアリール-L-スルホニルアミノ、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-スルホニルアミノ、C1-12アルキルイミノ、C2-12アルケニルイミノ、C2-12アルキニルイミノ、C6-10アリール-L-イミノ、C3-10シクロアルキル-L-イミノ、5~10員ヘテロアリール-L-イミノ、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-イミノ、C1-12アルキルオキシイミノ、C2-12アルケニルオキシイミノ、C2-12アルキニルオキシイミノ、C6-10アリール-L-オキシイミノ、C3-10シクロアルキル-L-オキシイミノ、5~10員ヘテロアリール-L-オキシイミノ、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-オキシイミノ、C1-12アルキルオキシカルボニル、C2-12アルケニルオキシカルボニル、C2-12アルキニルオキシカルボニル、C6-10アリール-L-オキシカルボニル、C3-10シクロアルキル-L-オキシカルボニル、5~10員ヘテロアリール-L-オキシカルボニル、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-オキシカルボニル、C1-12アルキルオキシカルボニルアミノ、C2-12アルケニルオキシカルボニルアミノ、C2-12アルキニルオキシカルボニルアミノ、C6-10アリール-L-オキシカルボニルアミノ、C3-10シクロアルキル-L-オキシカルボニルアミノ、5~10員ヘテロアリール-L-オキシカルボニルアミノ、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-オキシカルボニルアミノ、C1-12アルキルスルファニル、C2-12アルケニルスルファニル、C2-12アルキニルスルファニル、C6-10アリール-L-スルファニル、C3-10シクロアルキル-L-スルファニル、5~10員ヘテロアリール-L-スルファニル、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-スルファニル、C1-12アルキルスルフィニル、C2-12アルケニルスルフィニル、C2-12アルキニルスルフィニル、C6-10アリール-L-スルフィニル、C3-10シクロアルキル-L-スルフィニル、5~10員ヘテロアリール-L-スルフィニル、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-スルフィニル、C1-12アルキルカルバモイル、C2-12アルケニルカルバモイル、C2-12アルキニルカルバモイル、C6-10アリール-L-カルバモイル、C3-10シクロアルキル-L-カルバモイル、5~10員ヘテロアリール-L-カルバモイル、5~10員ヘテロシクロアルキル-L-カルバモイル、C1-12アルキルスルファモイル、C2-12アルケニルスルファモイル、C2-12アルキニルスルファモイル、C6-10アリール-L-スルファモイル、C3-10シクロアルキル-L-スルファモイル、5~10員ヘテロアリール-L-スルファモイル、および5~10員ヘテロシクロアルキル-L-スルファモイルからなる群より選択される1個から最大置換可能数までの同一または異なる置換基を有する。
【0018】
置換基群IIIは、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、カルバモイル、ニトロ、アミジノアミノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、アルキルオキシ、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、シクロアルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アルキルオキシカルボニル、およびトリアルキルシリルオキシからなり、前記置換基群のこれらの基は、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、カルバモイル、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、アリール、ハロアリール、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、およびアルキルオキシカルボニルからなる群より選択される1個から最大置換可能数までの同一または異なる置換基で置換されていてもよい。
置換基群IIIは、好ましくは置換基群III’であり、これは、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、カルバモイル、ニトロ、アミジノアミノ、C1-12アルキル、C6-10アリール、C3-10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、C1-12アルキルオキシ、C1-12アルキルカルボニル、C3-10シクロアルキルカルボニル、C1-12アルキルカルボニルアミノ、C3-10シクロアルキルカルボニルアミノ、C1-12アルキルアミノ、C3-10シクロアルキルC1-6アルキルアミノ、C1-12アルキルオキシカルボニル、およびトリC1-6アルキルシリルオキシ、からなり、前記置換基群のこれらの基は、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、カルバモイル、ニトロ、C1-12アルキル、C1-12ハロアルキル、C6-10アリール、C6-10ハロアリール、C1-12アルキルオキシ、C1-12ハロアルキルオキシ、およびC1-12アルキルオキシカルボニルからなる群より選択される1個から最大置換可能数までの同一または異なる置換基で置換されていてもよい。
【0019】
置換基群IVは、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、カルバモイル、ニトロ、アミジノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、シクロアルキルアルキル、アルキルオキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、およびトリアルキルシリルオキシからなり、前記置換基群のこれらの基は、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、カルバモイル、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、およびアルキルオキシカルボニルからなる群より選択される1個から最大置換可能数までの同一または異なる置換基で置換されていてもよい。
置換基群IVは、好ましくは置換基群IV’であり、これは、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、カルバモイル、ニトロ、アミジノ、C1-6アルキル、C6-10アリール、C3-10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール5~10員ヘテロシクロアルキル、C6-10アリールC1-6アルキル、C3-10シクロアルキルC1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C6-10アリールオキシ、C1-6アルキルカルボニル、C3-10シクロアルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニル、およびトリC1-6アルキルシリルオキシからなり、前記置換基群のこれらの基は各々独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、カルバモイル、ニトロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6ハロアルキルオキシ、およびC1-6アルキルオキシカルボニルからなる群より選択される1個から最大置換可能数までの同一または異なる置換基で置換されていてもよい。
【0020】
置換基群Vは、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ホルミル、カルバモイル、シアノ、ニトロ、アミジノ、アミジノアミノ、アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アルキルオキシ、アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アルキルオキシオキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、シクロアルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、ホルミル、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、シクロアルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロシクロアルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロシクロアルキルオキシカルボニル、アルキルカルバモイル、アリールカルバモイル、シクロアルキルカルバモイル、ヘテロアリールカルバモイル、およびヘテロシクロアルキルカルバモイルからなり、ここで、前記置換基群のこれらの基は各々独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ホルミル、カルバモイル、シアノ、ニトロ、アミジノ、アミジノアミノ、アルキル、アルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルキルアミノ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、およびアルキルカルバモイルからなる群より選択される1個から最大置換可能数までの同一または異なる置換基で置換されていてもよい。
置換基群Vは、好ましくは置換基群V’であり、これは、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ホルミル、カルバモイル、シアノ、ニトロ、アミジノ、アミジノアミノ、C1-12アルキル、C6-10アリール、C3-10シクロアルキル、5~10員ヘテロアリール、5~10員ヘテロシクロアルキル、C1-12アルキルオキシ、C6-10アリールオキシ、C3-10シクロアルキルオキシ、5~10員ヘテロアリールオキシ、5~10員ヘテロシクロアルキルオキシ、C1-12アルキルアミノ、C6-10アリールアミノ、C3-10シクロアルキルアミノ、5~10員ヘテロアリールアミノ、5~10員ヘテロシクロアルキルアミノ、ホルミル、C1-12アルキルカルボニル、C6-10アリールカルボニル、C3-10シクロアルキルカルボニル、5~10員ヘテロアリールカルボニル、5~10員ヘテロシクロアルキルカルボニル、C1-12アルキルオキシカルボニル、C6-10アリールオキシカルボニル、C3-10シクロアルキルオキシカルボニル、5~10員ヘテロアリールオキシカルボニル、5~10員ヘテロシクロアルキルオキシカルボニル、C1-12アルキルカルバモイル、C6-10アリールカルバモイル、C3-10シクロアルキルカルバモイル、5~10員ヘテロアリールカルバモイル、および5~10員ヘテロシクロアルキルカルバモイルからなり、ここで、前記置換基群のこれらの基は各々独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ホルミル、カルバモイル、シアノ、ニトロ、アミジノ、アミジノアミノ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルキルオキシ、C1-6アルキルアミノ、ホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニル、およびC1-6アルキルカルバモイルからなる群より選択される1個から最大置換可能数までの同一または異なる置換基で置換されていてもよい。
【0021】
置換基群VIは、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ホルミル、カルバモイル、シアノ、ニトロ、アミジノ、アミジノアミノ、アルキル、アルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルキルオキシ、アルキルアミノ、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルオキシカルボニル、およびアルキルカルバモイルからなる。
置換基群VIは、好ましくは置換基群VI’であり、これは、ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ホルミル、カルバモイル、シアノ、ニトロ、アミジノ、アミジノアミノ、C1-6アルキル、C1-6アルキルオキシ、C1-6ハロアルキル、C1-6ハロアルキルオキシ、C1-6アルキルアミノ、ホルミル、C1-6アルキルカルボニル、C1-6アルキルオキシカルボニル、およびC1-6アルキルカルバモイルからなる。
【0022】
本明細書において「必要に応じて置換された」場合における置換基としては、置換基群αおよび置換基群βが例示される。置換基群αは置換基群α1、置換基群α2または置換基群α3であってもよく、置換基群βは置換基群β1、置換基群β2または置換基群β3であってもよい。「必要に応じて置換された」場合における置換基としては、置換基群α1から選択されていてもよく、また、同一または異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい。結合に関与する置換基内の原子の種類は、置換基の種類によって特に制限されないが、置換基が結合する原子が酸素原子、窒素原子、硫黄原子の場合は、下記の置換基の中から結合する原子が炭素原子のものに限定される。
置換基群α1は、
1)ハロゲン原子
2)水酸基
3)カルボキシル基
4)シアノ基
5)C1-6アルキル
6)C2-6アルケニル
7)C2-6アルキニル
8)C1-6アルコキシ
9)C1-6アルキルチオ
10)C1-6アルキルカルボニル
11)C1-6アルキルスルホニル
(但し、5)から11)の各置換基は、置換基群β1から選択される、同一または異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
12)C3-10脂環式基
13)C3-10脂環式オキシ
14)C6-10アリールオキシ
15)5員または6員ヘテロアリールオキシ
16)4~10員の非アリールヘテロ環オキシ
17)C3-10脂環式チオ
18)C6-10アリールチオ
19)5員または6員ヘテロアリールチオ
20)4~10員の非アリールヘテロ環チオ
21)C6-10アリール
22)5員または6員ヘテロアリール
23)4~10員の非アリールヘテロ環
24)C3-10脂環式カルボニル
25)C6-10アリールカルボニル
26)5員または6員ヘテロアリールカルボニル
27)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル
28)C3-10脂環式スルホニル
29)C6-10アリールスルホニル
30)5員または6員ヘテロアリールスルホニル
31)4~10員の非アリールヘテロ環スルホニル
(但し12)から31)の各置換基は、1~5個の置換基群β1または前記5)C1-6アルキルによって置換されていてもよい)
32)-NR10a11a
33)-SO-NR10b11b
34)-NR10c-C(=O)R11c
35)-NR10d-C(=O)OR11d
36)-NR12a-C(=O)NR10e11e
37)-NR10i-SO-R11i
38)-NR12c-SO-NR10j11j
39)-C(=O)OR10k
40)-C(=O)NR10l11k
41)-C(=O)NR10mOR11l
42)-C(=O)NR12d-NR10n11m
43)-C(=NR13a)R10s
44)-C(=NR13c)NR10t11q
45)-C(=NR13d)NR12f-NR10u11r
46)-NR17c-C(=NR13k)R17d
47)-NR12g-C(=NR13e)-NR10v11s
48)-NR14-C(=NR13f)-NR12h-NR10w11t
49)-OC(=O)R10x
50)-OC(=O)OR10y
51)-OC(=O)NR10z111u
52)-NR12i-NR10z211v
53)-NR10z3OR11w
54)保護基
が挙げられ、
置換基群β1は、
1)ハロゲン原子、
2)水酸基、
3)カルボキシル基、
4)シアノ基、
5)C3-10脂環式基、
6)C1-6アルコキシ、
7)C3-10脂環式オキシ、
8)C1-6アルキルチオ、
9)5員または6員ヘテロアリールチオ、
10)C6-10アリール、
11)5員または6員ヘテロアリール、
12)4~10員の非アリールヘテロ環、
13)C1-6アルキルカルボニル、
14)C3-10脂環式カルボニル、
15)C6-10アリールカルボニル、
16)5員または6員ヘテロアリールカルボニル、
17)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル、
18)-NR15a16a
19)-SO-NR15b16b
20)-NR15c-C(=O)R16c
21)-NR17a-C(=O)NR15d16d
22)-C(=O)NR15e16e
23)-C(=NR13g)R15f
24)-C(=NR13h)NR15g16f
25)-NR16g-C(=NR13i)R15h
26)-NR17b-C(=NR13j)-NR15i16h
27)保護基
(但し、置換基群β1のうち、5)から17)の各置換基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、-NR18a18bからなる群より選択される1~5個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群であり、
13a、R13c、R13d、R13e、R13f、R13g、R13h、R13i、R13j、R13kは、各々独立して、同一または異なって、水素原子、水酸基、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルコキシカルボニルであり、
10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10i、R10j、R10k、R10l、R10m、R10n、R10s、R10t、R10u、R10v、R10w、R10x、R10y、R10z1、R10z2、R10z3、R11a、R11b、R11c、R11d、R11e、R11i、R11j、R11k、R11l、R11m、R11q、R11r、R11s、R11t、R11u、R11v、R11w、R12a、R12c、R12d、R12f、R12g、R12h、R12i、R14、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15h、R15i、R16a、R16b、R16c、R16d、R16e、R16f、R16g、R16h、R17a、R17b、R17c、R17dは、各々独立して、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル(該C1-6アルキルは、水酸基、シアノ基、C1-6アルコキシ、-NR18a18bより選ばれる同一または異なる、1~3個の置換基によって置換されていてもよい)、またはC1-6アルコキシカルボニルであり、
18a、R18bは、各々独立して、同一または異なって、水素原子またはC1-6アルキルである。
例示的な実施形態において、置換基群α1およびβ1における任意の水酸基の水素は、保護基で置換されていてもよい。
【0023】
本明細書において「必要に応じて置換された」場合における置換基としては、好ましくは下記の置換基が挙げられる。
置換基群α2は、好ましくは、
1)ハロゲン原子
2)水酸基
3)カルボキシル基
4)シアノ基
5)C1-6アルキル
6)C1-6アルコキシ
7)C1-6アルキルチオ
8)C1-6アルキルカルボニル
(但し、5)から8)の各置換基は、置換基群β2から選択される、同一または異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
9)C3-10脂環式基
10)C3-10脂環式オキシ
11)C6-10アリールオキシ
12)5員または6員ヘテロアリールオキシ
13)4~10員の非アリールヘテロ環オキシ
14)C3-10脂環式チオ
15)C6-10アリールチオ
16)5員または6員ヘテロアリールチオ
17)4~10員の非アリールヘテロ環チオ
18)C6-10アリール
19)5員または6員ヘテロアリール
20)4~10員の非アリールヘテロ環
21)C3-10脂環式カルボニル
22)C6-10アリールカルボニル
23)5員または6員ヘテロアリールカルボニル
24)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル
(但し9)から24)の各置換基は、1~5個の置換基群β2または前記1)C1-6アルキルによって置換されていてもよい)
25)-NR10a11a
26)-SO-NR10b11b
27)-NR10c-C(=O)R11c
28)-NR12a-C(=O)NR10d11d
29)-NR10e-SO-R11e
30)-NR12b-SO-NR10f11f
31)-C(=O)NR10g11g
32)-C(=NR13a)R10h
33)-C(=NR13b)NR10i11h
34)-NR11f2-C(=NR13c)R10g2
35)-NR12c-C(=NR13d)-NR10j11i
が挙げられ、
置換基群β2は、好ましくは、
1)ハロゲン原子
2)水酸基
3)シアノ基
4)C3-10脂環式基
5)C1-6アルコキシ
6)C1-6アルキルチオ
7)5員または6員ヘテロアリールチオ
8)5員または6員ヘテロアリール
9)4~10員の非アリールヘテロ環
10)C1-6アルキルカルボニル
11)C3-10脂環式カルボニル
12)C6-10アリールカルボニル
13)5員または6員ヘテロアリールカルボニル
14)4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル
15)-NR15a16a
16)-NR15b-C(=O)R16b
17)-NR17a-C(=O)NR15c16c
18)-C(=O)NR15d16d
19)-C(=NR13e)R15e
20)-C(=NR13f)NR15f16e
21)-NR16f-C(=NR13g)R15g
22)-NR17b-C(=NR13h)-NR15h16g
(但し、置換基群β2のうち、4)から14)の各置換基は、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、カルボキシル基、-NR18a18bからなる群より選択される1~5個の置換基によって置換されていてもよい)からなる群であり、
13a、R13b、R13c、R13d、R13e、R13f、R13g、R13hは、各々独立して、同一または異なって、水素原子、水酸基、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルコキシカルボニルであり、
10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f、R10g、R10g2、R10h、R10i、R10j、R11a、R11b、R11c、R11d、R11e、R11f、R11f2、R11g、R11h、R11i、R12a、R12b、R12c、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15h、R16a、R16b、R16c、R16d、R16e、R16f、R16g、R17a、R17bは、各々独立して、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル(該C1-6アルキルは、水酸基、シアノ基、C1-6アルコキシ、-NR18a18bより選ばれる同一または異なる、1~3個の置換基によって置換されていてもよい)、またはC1-6アルコキシカルボニルであり、
18a、R18bは、各々独立して、同一または異なって、水素原子またはC1-6アルキルである。
例示的な実施形態において、置換基群α2およびβ2における任意の水酸基の水素は、保護基で置換されていてもよい。
【0024】
本明細書において「必要に応じて置換された」場合における置換基としては、さらに好ましくは下記の置換基が挙げられる。
置換基群α3は、さらに好ましくは、
1)ハロゲン原子
2)水酸基
3)シアノ基
4)C1-6アルキル
5)C1-6アルコキシ
6)C1-6アルキルチオ
7)C1-6アルキルカルボニル
(但し、4)から7)の各置換基は、置換基群β3から選択される、同一または異なる1~5個の置換基で置換されていてもよい)
8)C3-10脂環式基
9)5員または6員ヘテロアリールオキシ
10)4~10員の非アリールヘテロ環オキシ
11)5員または6員ヘテロアリールチオ
12)4~10員の非アリールヘテロ環チオ
13)C6-10アリール
14)5員または6員ヘテロアリール
15)4~10員の非アリールヘテロ環
(但し8)から15)の各置換基は、1~5個の置換基群β3または前記1)C1-6アルキルによって置換されていてもよい)
16)-NR10a11a
17)-NR11b-C(=O)R10b
18)-NR12a-C(=O)NR10c11c
19)-C(=O)NR10d11d
20)-C(=NR13a)R10e
21)-C(=NR13b)NR10f11e
22)-NR11f-C(=NR13c)R10g
23)-NR12b-C(=NR13d)-NR10h11g
が挙げられ、
置換基群β3は、さらに好ましくは、
1)ハロゲン原子、
2)水酸基、
3)シアノ基、
4)-NR15a16a
5)-NR15b-C(=O)R16b
6)-NR17a-C(=O)NR15c16c
7)-C(=O)NR15d16d
8)-C(=NR13e)R15e
9)-C(=NR13f)NR15f16e
10)-NR16f-C(=NR13g)R15g
11)-NR17b-C(=NR13h)-NR15h16g
であり、
13a、R13b、R13c、R13d、R13e、R13f、R13g、R13hは、各々独立して、同一または異なって、水素原子、水酸基、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルコキシカルボニルであり、
10a、R10b、R10c、R10d、R10e、R10f、R10g、R10h、R11a、R11b、R11c、R11d、R11e、R11f、R11g、R12a、R12b、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15h、R16a、R16b、R16c、R16d、R16e、R16f、R16g、R17a、R17bは、各々独立して、同一または異なって、水素原子、C1-6アルキル(該C1-6アルキルは、水酸基、シアノ基、C1-6アルコキシ、-NR18a18bより選ばれる同一または異なる、1~3個の置換基によって置換されていてもよい)、またはC1-6アルコキシカルボニルであり、
18aおよびR18bは各々独立して、同一または異なって、水素原子またはC1-6アルキルである。
例示的な実施形態において、置換基群α3およびβ3における任意の水酸基の水素は、保護基で置換されていてもよい。
【0025】
例示的実施形態では、上記置換基群(例えば、α(α1など)、β(β1など)、I~VI)中の水酸基は、さらにシリル保護基で保護されていてもよい。例示的実施形態では、上記置換基群I~VI中のアミノ基は、さらに窒素保護基で保護されていてもよい。
【0026】
本明細書において「C1-6」とは、炭素原子数が1~6であることを意味する。他の数字の場合も同様であり、例えば、「C1-4」とは炭素原子数が1~4であること、「C1-3」とは炭素原子数が1~3であることを意味する。本明細書において炭素数の限定がある記載はあくまで好ましい数値範囲であり、本開示は規定される炭素数以外の炭素数の置換基を有する基も本開示の範囲内であることが意図される。
【0027】
本明細書において「炭化水素基」とは、ヒドロカルビル基ともいい、少なくとも1個の炭素と少なくとも1個の水素とを含む「炭化水素」から少なくとも1個の水素を除去することにより生成される基(group)をいう。
【0028】
本明細書において「官能基」とは、何らかの官能性(functionality)を付与する任意の基をいい、カルボキシル基、ニトリル基、カルボニル基、ヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、ニトロ基、ハロゲン基の他、アルキル基も包含され、広義には、酸無水物、エステル結合、アミド結合、エーテル結合等の結合によって形成される基も包含される。
【0029】
本明細書において「ヘテロ原子」は、炭素原子および水素原子以外の原子をいい、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を意味する。ヘテロ原子を含む基は、ヘテロ・・・基(例えば、ヘテロアリール基(アリール基に少なくともヘテロ原子を含むことを意味する。))または複素・・・基(例えば、複素環基(環基(炭素環基)に少なくとも1つのヘテロ原子を含むことを意味する。))などと称することがある。
【0030】
本明細書において「ハロゲン原子」は、ハロゲン族に属する原子であって、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子等を意味する。好ましくはフッ素原子、または塩素原子である。「ハロゲン原子」を「ハロゲン」、「ハロ」と称する場合もある。
【0031】
本明細書において「水酸基」は、-OHの一価基である。この基は、「ヒドロキシ基」、「ヒドロキシ」と呼ばれる場合もある。
【0032】
本明細書において「カルボキシル基」は、-COOHの一価基である。この基は、「カルボキシ基」、「カルボキシ」、「カルボキシル」と呼ばれる場合もある。
【0033】
本明細書において「シアノ基」は、-CNの一価基である。
【0034】
本明細書において「アミノ」は、-NHの一価基である。この基は、「アミノ基」と呼ばれる場合もある。
【0035】
本明細書において「アルキル」は、直鎖または分枝鎖状の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。「C1-12アルキル」は、炭素原子数1~12のアルキル基であり、例としては、C1-6アルキル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチル、イソオクチル、ノニル、イソノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、イソウンデシル、ドデシル、イソドデシル等が挙げられるが、これらに限定されない。「C1-12アルキル」は、炭素原子数1~12のアルキル基である。「C1-6アルキル」は、炭素原子数1~6のアルキル基であり、好ましい例としては、「C1-4アルキル」が挙げられ、より好ましくは「C1-3アルキル」であり、さらに好ましくは「C1-2アルキル」である。「C1-4アルキル」の具体例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル等が挙げられる。「C1-6アルキル」の具体例としては、C1-4アルキル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、1,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されない。「C1-12アルキル」の具体例としては、C1-6アルキル、n-ヘプチル、イソヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、n-ノニル、n-デカニル、n-ウンデシル、n-ドデシル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
本明細書において「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含有する直鎖または分枝鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。「C2-12アルケニル」は、炭素原子数2~12のアルケニル基であり、例としては、ヘプテニル、イソヘプテニル、オクテニル、イソオクテニル、ノネニル、イソノネニル、デセニル、イソデセニル、ウンデセニル、イソウンデセニル、ドデセニル、イソドデセニル等が挙げられるが、これらに限定されない。「C2-6アルケニル」は、炭素原子数2~6のアルケニル基であり、好ましい例としては「C2-4アルケニル」が挙げられる。「C2-6アルケニル」の具体例としては、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書において「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含有する直鎖または分枝鎖状の不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。「C2-12アルキニル」は、炭素原子数2~12のアルキニル基であり、例としては、ヘプチニル、イソヘプチニル、オクチニル、イソオクチニル、ノニニル、イソノニニル、デシニル、イソデシニル、ウンデシニル、イソウンデシニル、ドデシニル、イソドデシニル等が挙げられるが、これらに限定されない。「C2-6アルキニル」は、炭素原子数2~6のアルキニル基であり、好ましい例としては「C2-4アルキニル」が挙げられる。「C2-6アルキニル」の具体例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、1-へキシニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書において「アリール」は、単環式または二環式の芳香族炭化水素環の一価基を意味し、「C6-10アリール」は、炭素原子数6から10のアリール基を意味する。「アリール」の例としては、Cアリール、C10アリール等が挙げられるが、これらに限定されない。Cアリールの具体例としては、フェニル等が挙げられるが、これらに限定されない。C10アリールの具体例としては、1-ナフチル、2-ナフチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
置換基またはその一部としてのアリール基は、脂環式基と縮合していてもよい。例えば、フェニル基が、シクロヘキサン環と縮合して1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル基を形成してもよく、この場合、ベンゼン環上の可能な炭素原子のいずれかが、母骨格または母骨格に近い基もしくはその原子に結合する。アリール基は、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-1-イル、5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イルを包含する。
【0040】
本明細書において「アリールアルキル」は、少なくとも一つのアリールで置換されたアルキルを意味する。「C6-10アリールC1-6アルキル」は、少なくとも一つのC6-10アリールで置換されたC1-6アルキルを意味する。C6-10アリールC1-6アルキルの具体例としては、ベンジル(即ち、フェニル-CH-)、フェネチル(即ち、フェニル-CHCH-)、1-フェニルエチル、ナフタレン-1-イルメチル、ナフタレン-2-イルメチル、2-(ナフタレン-1-イル)エチル、2-(ナフタレン-2-イル)エチル、1-(ナフタレン-1-イル)エチル、1-(ナフタレン-2-イル)エチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書において「(置換されていてもよいアミノ)-アリールアルキル」は、置換されていてもよいアミノ基で置換されているアリールアルキルを意味し、ここで、該アルキル基もしくは該アリール基またはそれら両方が、アミノ基で置換されている。当該アリールアルキル基のアミノ基は、非置換であってもよく、また、1、2、または3個の置換基、例えば、置換されていてもよいアルキル(例えば、非置換C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル-C1-6アルキル、C3-6シクロアルキルカルボニルなど)で置換されていてもよい。
(置換されていてもよいアミノ)-C6-10アリールC1-6アルキルの例としては、(ジ(アルキル)アミノ)ベンジル、((シクロアルキルアルキル)アミノ)ベンジル、((シクロアルキルカルボニル)アミノ)ベンジル、((カルバモイルアルキル)カルボニルアミノ)ベンジル、((カルボキシアルキル)カルボニル)アミノベンジル、(ジ(アルキル)アミノ)ナフタレニルメチル、((シクロアルキルアルキル)アミノ)ナフタレニルメチル、((シクロアルキルカルボニル)アミノ)ナフタレニルメチル、((カルバモイルアルキル)カルボニルアミノ)ナフタレニルメチル、または((カルボキシアルキル)カルボニル)アミノナフタレニルメチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
本明細書において「アリールチオ」のアリール部分は、上記アリールと同義である。「C6-10アリールチオ」として、好ましくは「CもしくはC10アリールチオ」が挙げられる。「C6-10アリールオキシ」の具体例としては、フェニルチオ、1-ナフチルチオ、2-ナフチルチオ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書において「アリールスルホニル」とは、上記「アリール」で置換されたスルホニルを意味する。「C6-10アリールスルホニル」として、好ましくは「CまたはC10のアリールスルホニル」である。「C6-10アリールスルホニル」の具体例としては、フェニルスルホニル、1-ナフチルスルホニル、2-ナフチルスルホニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書において「ヘテロアリール」は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される同一または異なる1~4個のヘテロ原子を含む、単環式または二環式の芳香族ヘテロ環の一価基を意味する。
【0045】
本明細書において「5員または6員ヘテロアリール」は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される同一または異なる1~4個のヘテロ原子を含む、5から6個の原子からなる単環の芳香族ヘテロ環の一価基を意味する。「5員または6員ヘテロアリール」の具体例としては、ピロリル、フリル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書において「5~10員ヘテロアリール」は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される同一または異なる1~4個のヘテロ原子を含む、5から10個の原子からなる単環式または二環式の芳香族ヘテロ環の一価基を意味する。「5~10員ヘテロアリール」の具体例としては、5員または6員ヘテロアリール、キノリル、イソキノリル、ナフチリジニル、キノキサリニル、シンノリニル、キナゾリニル、フタラジニル、イミダゾピリジル、イミダゾチアゾリル、イミダゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイミダゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ピロロピリジル、チエノピリジル、フロピリジル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ピリドピリミジニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、チエノフリル、クロメニル、クロマニル、クマリニル、キノロニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
本明細書において「ヘテロアリールアルキル」は、少なくとも一つのヘテロアリールで置換されたアルキルを意味する。「5~10員ヘテロアリールC1-6アルキル」は、少なくとも一つの5~10員ヘテロアリールで置換されたC1-6アルキルを意味する。5~10員ヘテロアリールC1-6アルキルの具体例としては、ピリジン-2-イルメチル、ピリジン-4-イルメチル、2-(キノリン-8-イル)エチル、2-(キノリン-5-イル)エチル、2-(キノキサリン-5-イル)エチル、1H-インドール-3-イルメチル、2-(1H-インドール-3-イル)エチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書において「脂環式基」とは、単環式、二環式または三環式の非芳香族炭化水素環の一価基を意味し、一部不飽和結合を有するもの、一部架橋構造を有するもの、一部スピロ化されたものおよび1もしくは2個またはそれより多くのカルボニル構造を有するものも含む。「脂環式基」は、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニルを包含する。「C3-20脂環式基」として、好ましくは「C3-10脂環式基」であり、より好ましくは「C3-6脂環式基」である。「C3-20脂環式基」の具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロヘキサジニル、シクロヘプタジニル、シクロオクタジニル、アダマンチルまたはノルボルニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
脂環式基は、非アリール環と、アリールおよび/またはヘテロアリール環との縮合環であってもよい。例えば、C6-10アリールまたは5員または6員ヘテロアリールと縮合しているシクロアルキルは、脂環式基に包含される。縮合脂環式基の例としては、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、インダン、1,2,3,4-テトラヒドロアントラセン、および5,6,7,8-テトラヒドロキノリンから1個の水素原子が除去された一価基等が挙げられ、具体例としては、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル、インダン-1-イル、インダン-2-イル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-5-イル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-6-イルなどが挙げられる。縮合脂環式基は、非アリール環上の環構成原子の可能ないずれか一つから母骨格に結合する。
【0050】
本明細書において「C3-10脂環式基」は、上記「C3-20脂環式基」のうち、「C3-10脂環式基」が一価基となっている置換基を意味する。
【0051】
本明細書において「脂環式オキシ」は、(脂環式基)-O-基を意味し、該脂環式部分は、脂環式基と同義である。「C3-6脂環式オキシ」は、(C3-6脂環式基)-O-基を意味し、該C3-6脂環式部分は、C3-6脂環式基と同義である。「C3-6脂環式オキシ」として、好ましくは「C3-5脂環式オキシ」である。「C3-6脂環式オキシ」の具体例としては、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書において「脂環式カルボニル」とは、上記「脂環式基」で置換されたカルボニルを意味する。「C3-10脂環式カルボニル」として、好ましくは、「C3-6脂環式カルボニル」である。「C3-10脂環式カルボニル」の具体例としては、シクロプロピルカルボニル、シクロブチルカルボニル、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書において「脂環式チオ」は、(脂環式基)-S-基を意味し、該脂環式部分は、上記定義のとおりである。「C3-10脂環式チオ」として、好ましくは「C3-6脂環式チオ」である。「C3-6脂環式チオ」の具体例としては、シクロプロピルチオ、シクロブチルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本明細書において「脂環式スルホニル」とは、上記「脂環式基」で置換されたスルホニル基を意味する。「C3-10脂環式スルホニル」として、好ましくは「C3-6脂環式スルホニル」である。「C3-10脂環式スルホニル」の具体例としては、シクロプロピルスルホニル、シクロブチルスルホニル、シクロペンチルスルホニル、シクロヘキシルスルホニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
本明細書において「シクロアルキル」は、非芳香族の飽和炭化水素環基を意味し、一部架橋構造を有するもの、一部スピロ化されたものおよび1もしくは2個またはそれより多くのカルボニル構造を有するものも含む。「C3-20シクロアルキル」は、炭素原子数3から20の単環式または二環式シクロアルキルを意味する。「C3-6シクロアルキル」は、炭素原子数3から6の単環式シクロアルキルを意味する。C3-6シクロアルキルの具体例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。「C3-10シクロアルキル」は、炭素原子数3から10の単環式または二環式シクロアルキルを意味する。C3-10シクロアルキルの具体例としては、C3-6シクロアルキル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ビシクロ[4.1.0]ヘプチル、ビシクロ[3.3.0]オクチル、ビシクロ[4.2.0]オクチル、ビシクロ[4.3.0]ノニル、デカヒドロナフチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
置換基またはその一部としてのシクロアルキル基は、アリールおよび/またはヘテロアリール環と縮合していてもよい。例えば、シクロヘキシル基が、ベンゼン環と縮合して1,2,3,4-テトラヒドロナフタレニル基を形成してもよく、この場合、シクロヘキサン環上の可能な炭素原子のいずれかが、母骨格または母骨格に近い基もしくはその原子に結合する。シクロアルキル基は、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イル、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル、インダン-1-イル、インダン-2-イル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-5-イル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリン-6-イルを包含する。
【0057】
本明細書において「シクロアルキルアルキル」は、少なくとも一つのシクロアルキルで置換されたアルキルを意味する。「C3-10シクロアルキルC1-6アルキル」は、少なくとも一つのC3-10シクロアルキルで置換されたC1-6アルキルを意味し、「C3-6シクロアルキルC1-6アルキル」は、少なくとも一つのC3-6シクロアルキルで置換されたC1-6アルキルを意味する。C3-6シクロアルキルC1-6アルキルの具体例としては、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、2-シクロプロピルエチル、2-シクロブチルエチル、2-シクロペンチルエチル、2-シクロヘキシルエチル、3-シクロプロピルプロピル、3-シクロブチルプロピル、3-シクロペンチルプロピル、3-シクロヘキシルプロピル等が挙げられるが、これらに限定されない。C3-10シクロアルキルC1-6アルキルの具体例としては、C3-6シクロアルキルメチル、C3-6シクロアルキルエチル、シクロヘプチルメチル、シクロヘプチルエチル、シクロオクチルメチル、シクロオクチルエチル、シクロノニルメチル、シクロノニルエチル、シクロデシルメチル、シクロデシルエチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
本明細書において「ヘテロシクロアルキル」は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される同一または異なる1もしくは2個またはそれより多くのヘテロ原子を含む、3個以上の原子で構成される非芳香族の飽和もしくは一部不飽和ヘテロ環を意味し、一部架橋された構造を有するものおよび一部スピロ化されたものを含む。「ヘテロシクロアルキル」は、「非アリールヘテロ環」を包含する。ヘテロシクロアルキルは、非芳香族複素環が、アリール環および/またはヘテロアリール環と縮合した構造を有し得る。
【0059】
本明細書において「非アリールヘテロ環」は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群より選択される同一または異なる1もしくは2個またはそれより多くのヘテロ原子を含む、3個以上の原子で構成される単環式または二環式の非芳香族のヘテロ環を意味し、飽和の非アリールヘテロ環、一部不飽和結合を有するもの、一部架橋された構造を有するものおよび一部スピロ化されたものを含む。非アリールヘテロ環は、アリールまたはヘテロアリールと縮合環を形成してもよい。例えば、C6-10アリールまたは5員または6員ヘテロアリールと縮合した場合もヘテロ環に含まれる。また、当該非アリールヘテロ環を構成するのに、1もしくは2個またはそれより多くのカルボニル、チオカルボニル、スルフィニルまたはスルホニルを含んでいてもよく、例えば、ラクタム、チオラクタム、ラクトン、チオラクトン、環状のイミド、環状のカルバメート、環状のチオカルバメート等の環状基も当該非アリールヘテロ環に含まれる。ここにおいて、カルボニル、スルフィニルおよびスルホニルの酸素原子およびチオカルボニルの硫黄原子は、環員の数(環の大きさ)および環を構成しているヘテロ原子の数には含まれない。
【0060】
本明細書において「4~10員の非アリールヘテロ環」は、上記「非アリールヘテロ環」のうち、「4~10員の非アリールヘテロ環」が一価基となっている置換基を意味する。
【0061】
本明細書において「非アリールヘテロ環オキシ」の非アリールヘテロ環部分は、上記「4~10員の非アリールヘテロ環」と同義である。「4~10員の非アリールヘテロ環オキシ」として、好ましくは、「4~6員の非アリールヘテロ環オキシ」である。「4~10員の非アリールヘテロ環オキシ」の具体例としては、テトラヒドロフラニルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ、アゼチジニルオキシ、ピロリジニルオキシ、ピペリジニルオキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本明細書において「非アリールヘテロ環チオ」の非アリールヘテロ環部分は、上記「非アリールヘテロ環」と同義である。「4~10員の非アリールヘテロ環チオ」として、好ましくは、「4~6員の非アリールヘテロ環チオ」である。「4~10員の非アリールヘテロ環チオ」の具体例としては、テトラヒドロピラニルチオ、ピペリジニルチオ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書において「非アリールヘテロ環カルボニル」とは、上記「非アリールヘテロ環」で置換されたカルボニル基を意味する。「4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル」として、好ましくは、「4~6員の非アリールヘテロ環カルボニル」である。「4~10員の非アリールヘテロ環カルボニル」の具体例としては、アゼチジニルカルボニル、ピロリジニルカルボニル、ピペリジニルカルボニル、モルホリニルカルボニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書において「非アリールヘテロ環スルホニル」とは、上記「非アリールヘテロ環」で置換されたスルホニル基を意味する。「4~10員の非アリールヘテロ環スルホニル」として、好ましくは、「4~6員の非アリールヘテロ環スルホニル」である。「4~10員の非アリールヘテロ環スルホニル」の具体例としては、アゼチジニルスルホニル、ピロリジニルスルホニル、ピペリジニルスルホニル、モルホリニルスルホニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書において「5員または6員ヘテロシクロアルキル」および「5~6員ヘテロシクロアルキル」は、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなるより選択される同一または異なる1または2個以上のヘテロ原子を含む、5~6個の環原子から構成されるヘテロシクロアルキルを意味する。
【0066】
本明細書において「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、少なくとも一つのヘテロシクロアルキルで置換されたアルキルを意味する。
【0067】
本明細書において「アルキルカルボニル」は、-C(=O)-アルキルの一価基である。アルキルカルボニルの好ましい例としては、C1-6アルキルカルボニルが挙げられる。C1-6アルキルカルボニルの具体例としては、アセチル(CHC(=O)-)、n-プロパノイル(CHCHC(=O)-)、n-ブタノイル(CHCHCHC(=O)-)、n-ペンタノイル(CH(CHC(=O)-)、n-ヘキサノイル(CH(CHC(=O)-)、n-ヘプタノイル(CH(CHC(=O)-)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
本明細書において「アルコキシ」は、-O-アルキルの一価基である。アルコキシの好ましい例としては、C1-6アルコキシ(即ち、C1-6アルキル-O-)、C1-4アルコキシ(即ち、C1-4アルキル-O-)等が挙げられる。C1-4アルコキシの具体例としては、メトキシ(CHO-)、エトキシ(CHCHO-)、n-プロポキシ(CH(CHO-)、イソプロポキシ((CHCHO-)、n-ブトキシ(CH(CHO-)、イソブトキシ((CHCHCHO-)、tert-ブトキシ((CHCO-)、sec-ブトキシ(CHCHCH(CH)O-)等が挙げられる。C1-6アルコキシの具体例としては、C1-4アルコキシ、n-ペンチルオキシ(CH(CHO-)、イソペンチルオキシ((CHCHCHCHO-)、ネオペンチルオキシ((CHCCHO-)、tert-ペンチルオキシ(CHCHC(CHO-)、1,2-ジメチルプロポキシ(CHCH(CH)CH(CH)O-)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0069】
本明細書において「アルコキシカルボニル」は、-C(=O)-O-アルキルの一価基である。アルコキシカルボニルの例としては、C1-6アルコキシカルボニル、好ましくはC1-4アルコキシカルボニルが挙げられるが、これらに限定されない。C1-4アルコキシカルボニルの具体例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n-ブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル等が挙げられる。C1-6アルコキシカルボニルの具体例としては、C1-4アルコキシカルボニル、n-ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、tert-ペンチルオキシカルボニル、1,2-ジメチルプロピルオキシカルボニル、n-ヘキシルオキシカルボニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書において「アルコキシカルボニルアミノ」は、-NH-C(=O)-O-アルキルの一価基である。アルコキシカルボニルアミノの例としては、C1-6アルコキシカルボニルアミノ、好ましくはC1-4アルコキシカルボニルアミノが挙げられるが、これらに限定されない。C1-4アルコキシカルボニルアミノの具体例としては、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、n-プロポキシカルボニルアミノ、イソプロポキシカルボニルアミノ、n-ブトキシカルボニルアミノ、sec-ブトキシカルボニルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノ、イソブトキシカルボニルアミノ等が挙げられる。C1-6アルコキシカルボニルアミノの具体例としては、C1-4アルコキシカルボニルアミノ、n-ペンチルオキシカルボニルアミノ、イソペンチルオキシカルボニルアミノ、ネオペンチルオキシカルボニルアミノ、tert-ペンチルオキシカルボニルアミノ、1,2-ジメチルプロピルオキシカルボニルアミノ、n-ヘキシルオキシカルボニルアミノ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0071】
本明細書において「ハロアルキル」は、ハロゲン化アルキルの一価基であり、アルキル基上の1個または複数の水素がハロゲンで置換されている。また、用語「ペルハロアルキル」は、アルキル基上の全ての水素がハロゲンで置換されたハロアルキルを意味する。例えば、ペルフルオロエチルは、-CFCFであり、ペルクロロ-n-プロピルは、-CClCClCClである。ハロアルキルの例としては、C1-6ハロアルキル、C1-4ハロアルキル、C1-3ハロアルキル等が挙げられる。C1-3アルキルの具体例としては、フルオロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、トリブロモメチル、フルオロクロロメチル、ジフルオロクロロメチル、フルオロジクロロメチル、フルオロエチル、クロロエチル、ブロモエチル、トリフルオロエチル、トリクロロエチル、トリブロモエチル、ペルフルオロエチル、ペルクロロエチル、ペルブロモエチル、ペルフルオロプロピル、ペルクロロプロピル、ペルブロモプロピル、ペルフルオロイソプロピル、ペルクロロイソプロピル、ペルブロモイソプロピル等が挙げられるが、これらに限定されない。C1-4アルキルの具体例としては、C1-3ハロアルキル、ペルフルオロブチル、ペルクロロブチル、ペルブロモブチル、ペルフルオロイソブチル、ペルフルオロ-tert-ブチル等が挙げられるが、これらに限定されない。C1-6アルキルの具体例としては、C1-4ハロアルキル、ペルフルオロ-n-ペンチル、ペルフルオロイソペンチル、ペルフルオロネオペンチル、ペルフルオロtert-ペンチル、ペルフルオロ-1,2-ジメチルプロピル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
本明細書において「ハロアルコキシ」および「ハロアルキルオキシ」は、アルキル基上の1個または複数の水素がハロゲンで置換された、-O-ハロアルキルの一価基である。また、用語「ペルハロアルコキシ」は、アルキル基上の全ての水素がハロゲンで置換されたハロアルコキシを意味する。例えば、ペルフルオロエトキシは、-OCFCFであり、ペルクロロ-n-プロポキシは、-OCClCClCClである。ハロアルコキシの好ましい例としては、C1-6ハロアルコキシ、C1-4ハロアルコキシ、C1-3ハロアルコキシ等が挙げられる。C1-3アルコキシの具体例としては、フルオロメトキシ、クロロメトキシ、ブロモメトキシ、ジフルオロメトキシ、ジクロロメトキシ、ジブロモメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、トリブロモメトキシ、フルオロクロロメトキシ、ジフルオロクロロメトキシ、フルオロジクロロメトキシ、フルオロエトキシ、クロロエトキシ、ブロモエトキシ、トリフルオロエトキシ、トリクロロエトキシ、トリブロモエトキシ、ペルフルオロエトキシ、ペルクロロエトキシ、ペルブロモエトキシ、ペルフルオロプロポキシ、ペルクロロプロポキシ、ペルブロモプロポキシ、ペルフルオロイソプロポキシ、ペルクロロイソプロポキシ、ペルブロモイソプロポキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。C1-4アルコキシの具体例としては、C1-3ハロアルコキシ、ペルフルオロブトキシ、ペルクロロブトキシ、ペルブロモブトキシ、ペルフルオロイソブトキシ、ペルフルオロ-t-ブトキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。C1-6アルコキシの具体例としては、C1-4ハロアルコキシ、ペルフルオロ-n-ペンチルオキシ、ペルフルオロイソペンチルオキシ、ペルフルオロネオペンチルオキシ、ペルフルオロtert-ペンチルオキシ、ペルフルオロ-1,2-ジメチルプロポキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
本明細書において「アルキルスルホニル」とは、上記「アルキル」で置換されたスルホニル基を意味する。「C1-6アルキルスルホニル」として、好ましくは「C1-4アルキルスルホニル」である。「C1-6アルキルスルホニル」の具体例としては、メチルスルホニル、プロピオニルスルホニル、ブチリルスルホニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0074】
本明細書において「アルキルチオ」のアルキル部分は、上記アルキルと同義である。「C1-6アルキルチオ」の例としては、「C1-4アルキルチオ」、好ましくは「C1-3アルキルチオ」が挙げられる。「C1-6アルキルチオ」の具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、n-ブチルチオ、イソプロピルチオ、イソブチルチオ、tert-ブチルチオ、sec-ブチルチオ、イソペンチルチオ、ネオペンチルチオ、tert-ペンチルチオ、1,2-ジメチルプロピルチオ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
本明細書において「アリールカルボニル」は、-C(=O)-アリールの一価基である。アリールカルボニルの好ましい例としては、C6-10アリールカルボニルが挙げられる。C6-10アリールカルボニルの具体例としては、ベンゾイル(即ち、フェニル-C(=O)-)、1-ナフチルカルボニル、2-ナフチルカルボニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
本明細書において「アリールオキシ」のアリール部分は、上記アリールと同義である。「C6-10アリールオキシ」として、好ましくは「CもしくはC10のアリールオキシ」が挙げられる。「C6-10アリールオキシ基」の具体例としては、フェノキシ基、1-ナフチルオキシ基、2-ナフチルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書において「ヘテロアリールカルボニル」は、-C(=O)-ヘテロアリールの一価基である。
【0078】
本明細書において「ヘテロアリールカルボニル基」とは、上記「ヘテロアリール」で置換されたカルボニル基を意味する。「5員または6員ヘテロアリールカルボニル基」の具体例としては、ピラゾイルカルボニル基、トリアゾイルカルボニル基、チアゾイルカルボニル基、チアジアゾイルカルボニル基、ピリジルカルボニル基、ピリダゾイルカルボニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
本明細書において「ヘテロアリールオキシ基」のヘテロアリール部分は、上記「ヘテロアリール」と同義である。「5員または6員ヘテロアリールオキシ基」の5員または6員ヘテロアリール部分は、「5員のヘテロアリール」もしくは「6員のヘテロアリール」とそれぞれ同義である。「5員または6員ヘテロアリールオキシ基」の具体例としては、ピラゾイルオキシ基、トリアゾイルオキシ基、チアゾイルオキシ基、チアジアゾイルオキシ基、ピリジルオキシ基、ピリダゾイルオキシ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
本明細書において「ヘテロアリールチオ基」のヘテロアリール部分は、上記「ヘテロアリール」と同義である。「5員または6員ヘテロアリールチオ基」の5員または6員ヘテロアリール部分は、「5員のヘテロアリール」もしくは「6員のヘテロアリール」とそれぞれ同義である。「5員または6員ヘテロアリールチオ基」の具体例としては、ピラゾイルチオ基、トリアゾイルチオ基、チアゾイルチオ基、チアジアゾイルチオ基、ピリジルチオ基、ピリダゾイルチオ基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本明細書において「ヘテロアリールスルホニル基」のヘテロアリール部分は、上記「ヘテロアリール」と同義である。「5員または6員ヘテロアリールスルホニル基」とは、上記「5員または6員ヘテロアリール」で置換されたスルホニル基を意味する。「5員または6員ヘテロアリールスルホニル基」の具体例としては、ピラゾイルスルホニル基、トリアゾイルスルホニル基、チアゾイルスルホニル基、チアジアゾイルスルホニル基、ピリジルスルホニル基、ピリダゾイルスルホニル基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
本明細書において「アシル」は、-C(=O)-Racylの一価基を意味し、ここで、Racylは、水素、必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアルケニル、必要に応じて置換されたアルキニル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、または必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキルである。アシルの具体例としては、ホルミル、ならびにアルキルカルボニル、アリールカルボニル、およびヘテロアリールカルボニルの例示されている基等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
本明細書において、「必要に応じて置換されたカルボニル」基は、-C(=O)-(水素または本明細書中に記載の置換基群から選択される任意の基)の一価基を意味する。「必要に応じて置換されたカルボニル」基の例としては、ホルミル、必要に応じて置換された、カルバモイル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルケニルカルボニル、アルケニルオキシカルボニル、アルキニルカルボニル、アルキニルオキシカルボニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、シクロアルキルカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロアリールオキシカルボニル、ヘテロシクロアルキルカルボニル、ヘテロシクロアルキルオキシカルボニル等が挙げられるが、これらに限定されない。水素で置換されたカルボニル基は、ホルミル基である。アミノで置換されたカルボニル基は、カルバモイル基である。
【0084】
本明細書において、「必要に応じて置換されたオキシ」基は、-O-(水素または本明細書中に記載の置換基群から選択される任意の基)の一価基を意味する。「必要に応じて置換されたオキシ」基の例としては、ヒドロキシ、必要に応じて置換された、アルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アルケニルカルボニルオキシ、アルキニルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、ヘテロアリールカルボニルオキシ、ヘテロシクロアルキルカルボニルオキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。水素で置換されたオキシ基は、ヒドロキシ基である。
【0085】
本明細書において「カルバモイル」は、-C(=O)-NHの一価基である。
【0086】
本明細書において「アミジノアミノ」は、-NH-C(=NH)-NHの一価基である。「アミジノアミノ」基は、「グアニジノ」基または「グアニジル」基と呼ばれる場合があり、これらの用語は交換可能に使用される。
【0087】
本明細書において、「ある置換基で置換された基」という記載は、該基が少なくとも一つの置換基で置換されていることを意味する。例えば、「ヒドロキシ置換されたC1-6アルキル」は、C1-6アルキルが少なくとも一つのヒドロキシで置換されていることを意味する。
【0088】
本明細書において「カルバモイル置換されたC1-6アルキル」は、少なくとも一つの-C(=O)-NH基で置換されたC1-6アルキルである。「カルバモイル置換されたC1-6アルキル」の例としては、カルバモイル置換されたC1-4アルキル、6-アミノ-6-オキソヘキシル(即ち、HNC(=O)-(CH-、またはカルバモイルペンチル)、7-アミノ-7-オキソヘプチル(即ち、HNC(=O)-(CH-、またはカルバモイルヘキシル)等が挙げられるが、これらに限定されない。「カルバモイル置換されたC1-4アルキル」の具体例としては、2-アミノ-2-オキソエチル(即ち、HNC(=O)-CH-、またはカルバモイルメチル)、3-アミノ-3-オキソプロピル(即ち、HNC(=O)-CHCH-、またはカルバモイルエチル)、4-アミノ-4-オキソブチル(即ち、HNC(=O)-(CH-、またはカルバモイルプロピル)、5-アミノ-5-オキソペンチル(即ち、HNC(=O)-(CH-、またはカルバモイルブチル)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0089】
本明細書において「アミジノアミノ置換されたアルキル」または「グアニジノ置換されたアルキル」は、少なくとも一つの-NH-C(=NH)-NH基で置換されたアルキルであり、ここで、アミジノアミノ基の窒素原子は、窒素保護基(例えば、tert-ブトキシカルボニル基)で保護されていてもよい。「アミジノアミノ置換されたC1-6アルキル」の例としては、「アミジノアミノ置換されたC1-4アルキル」等が挙げられるが、これに限定されない。「アミジノアミノ置換されたC1-4アルキル」の具体例としては、(アミジノアミノ)メチル、2-(アミジノアミノ)エチル、3-(アミジノアミノ)プロピル、4-(アミジノアミノ)ブチル等が挙げられるが、これらに限定されない。「アミジノアミノ置換されたC1-6アルキル」の具体例としては、アミジノアミノ置換されたC1-4アルキル、5-(アミジノアミノ)ペンチル、6-(アミジノアミノ)ヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されない。窒素保護基で保護されたアミジノアミノ基の例としては、
【化8】
が挙げられる。本明細書において「アミジノアミノ」と「グアニジノ」は同義である。
【0090】
本明細書において「カルボキシ置換されたアルキル」は、少なくとも一つの-COOH基で置換されたアルキルである。「カルボキシ置換されたC1-6アルキル」の例としては、カルボキシ置換されたC1-4アルキル、5-カルボキシペンチル、6-カルボキシヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されない。「カルボキシ置換されたC1-4アルキル」の具体例としては、カルボキシメチル、2-カルボキシエチル、3-カルボキシプロピル、4-カルボキシブチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
本明細書において「アルキル置換アミノで置換されたアリールアルキル」は、少なくとも一つのアルキル置換アミノで置換されたアリールアルキルである。C1-6アルキル置換アミノの具体例としては、-NH(CH)、-N(CH、-NH(CHCH)、-N(CHCH、-NH((CHCH)、-N((CHCH、-NH(CH(CH)、-N(CH(CH、-NH((CHCH)、-N((CHCH、-NH(CHCH(CH)、-N(CHCH(CH、-NH((CHCH)、-N((CHCH、-NH((CHCH)、-N((CHCH等が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において「アルキル置換アミノ」は、「アルキルアミノ」と同義である。
【0092】
「保護基」は、分子内の反応性官能基に結合した場合、官能基の反応性を遮蔽するか、減少させるか、または防止する原子群を指す。本開示の化合物は、任意のR~Rまたはそれらの置換基あるいはそれら以外の置換基等の任意の位置において適切または必要な場合保護基で置換されていてもよく、それらの保護基を含む化合物も本開示の範囲内である。典型的には、保護基は、所望する場合、合成過程の最中に選択的に除去され得る。保護基の例は、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Chemistry、第5版、2014年、John Wiley & Sons、NYおよびHarrisonら、Compendium of Synthetic Organic Methods、1~8巻、John Wiley & Sons、NY等に見出すことができる。本明細書で使用される場合、「保護基」は、置換基αの1)~53)および置換基βの1)~26)の定義に該当し得る。その場合、置換基群α1において、「54)保護基」は「54)1)~53)以外の保護基」と、置換基群β1において、「27)保護基」は「1)~26)以外の保護基」と記載してもよい。代表的な窒素保護基としては、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert-ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2-トリメチルシリルエタンスルホニル(「TES」)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロ-ベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)、および本明細書において化学構造式中の「Protect」により表される基などが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なヒドロキシル保護基として、ヒドロキシル基が、アシル化(エステル化)またはアルキル化されるもの、例えば、ベンジルおよびトリチルエーテルなど、ならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(例えば、TMS、トリエチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS))、アルキルジアリールシリルエーテル(例えば、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS))、トリアリールシリルエーテル(例えば、トリフェニルシリル)、グリコールエーテル(例えば、エチレングリコールエーテル、プロピレングリコールエーテルなど)、およびアリルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
本開示の化合物が有するアミノ基(例えば、母骨格が有するアミノ基、置換基としてのアミノ基、該化合物が有する置換基中のアミノ基など)は、窒素保護基または「Protect」により表される基で保護されていてもよい。置換基群中に列挙される置換基中のアミノ基が、窒素保護基または「Protect」により表される基でさらに保護されていてもよく、保護された置換基が、置換基として利用されてもよい。
【0094】
本開示の化合物が有するヒドロキシ基(例えば、置換基としてのヒドロキシ基、該化合物が有する置換基中のヒドロキシ基、上記置換基群中のヒドロキシ基など)も、ヒドロキシ基の保護基で保護されていてもよい。置換基群中に列挙される置換基中のヒドロキシ基が、本明細書中に記載のヒドロキシル保護基(シリルエーテルなど)でさらに保護されていてもよく、保護された置換基が、置換基として利用されてもよい。
【0095】
(好ましい実施形態)
以下に本開示の好ましい実施形態を説明する。以下に提供される実施形態は、本開示のよりよい理解のために提供されるものであり、本開示の範囲は以下の記載に限定されるべきでないことが理解される。従って、当業者は、本明細書中の記載を参酌して、本開示の範囲内で適宜改変を行うことができることは明らかである。また、本開示の以下の実施形態は単独でも使用されあるいはそれらを組み合わせて使用することができることが理解される。
【0096】
本開示は、式XII
【化9】
により表される化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物であって、式中、
は、
水素、
必要に応じて置換された炭化水素基、
必要に応じて置換された複素環、
必要に応じて置換されたカルボニル、もしくは
必要に応じて置換された官能基であり、
およびRは各々独立して、
水素、
必要に応じて置換された炭化水素基、
必要に応じて置換された複素環、もしくは
必要に応じて置換された官能基である、
化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物、ならびにこれらの等価物を提供する。
【0097】
一つの実施形態では、Rは、
水素、
必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、もしくは必要に応じて置換されたカルボニルであり得、
別の実施形態では、C1-6アルキル、ヒドロキシ基で置換されたC1-6アルキル、カルボキシ基で置換されたC1-6アルキル、アミノ基で置換されたC1-6アルキル、カルバモイル基で置換されたC1-6アルキル、C1-6シクロアルキルで置換されたC1-6アルキル、アルコキシカルボニル基もしくはハロゲンで置換されたC1-10アリールで置換されたC1-6アルキル、C1-10ヘテロアリールで置換されたC1-6アルキル、イミノ基で置換されたC1-6ヘテロアルキル、C1-6シクロアルキル、C1-10アリール、もしくはC1-6アルコキシであり得、
別の実施形態では、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、4-フルオロベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、フェニル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOOH、-CHCHCOOH、-CHCHCHCHNH、-CHCONH、-CHCHCONH、-OtBu、
【化10】
であり得、
別の実施形態では、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、4-フルオロベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、フェニル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOOH、-CHCHCOOH、-CHCHCHCHNH、-CHCONH、-CHCHCONH、-OtBu、
【化11】
であり得、
別の実施形態では、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、-CHCHCOOH、-CHCHCONH、-CHCHCHCHNH、-OtBu、
【化12】
であり得、
好ましい実施形態では、イソブチル基、ベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、または(4-イソブチルカルボニルオキシフェニル)メチルであり得、
イソブチル基、ベンジル基、または(4-イソブチルカルボニルオキシフェニル)メチルであり得、
あるいは、イソブチル基、もしくはベンジル基であり得る。
【0098】
一つの実施形態では、Rは、
水素、
必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、もしくは必要に応じて置換されたカルボニルであり得、
別の実施形態では、C1-6アルキル、ヒドロキシ基で置換されたC1-6アルキル、カルボキシ基で置換されたC1-6アルキル、アミノ基で置換されたC1-6アルキル、カルバモイル基で置換されたC1-6アルキル、C1-6シクロアルキルで置換されたC1-6アルキル、アルコキシカルボニル基もしくはハロゲンで置換されたC1-10アリールで置換されたC1-6アルキル、C1-10ヘテロアリールで置換されたC1-6アルキル、イミノ基で置換されたC1-6ヘテロアルキル、C1-6シクロアルキル、C1-10アリール、もしくはC1-6アルコキシであり得、
別の実施形態では、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、4-フルオロベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、フェニル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOOH、-CHCHCOOH、-CHCHCHCHNH、-CHCONH、-CHCHCONH、-OtBu、
【化13】
であり得、
別の実施形態では、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、4-フルオロベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、フェニル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOOH、-CHCHCOOH、-CHCHCHCHNH、-CHCONH、-CHCHCONH、-OtBu、
【化14】
であり得、
別の実施形態では、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、-CHCHCOOH、-CHCHCONH、-CHCHCHCHNH、-OtBu、
【化15】
であり得、
好ましい実施形態では、イソブチル基、ベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、-CHCHCOOH、-CHCHCONH、-CHCHCHCHNH、-OtBu、または(4-イソブチルカルボニルオキシフェニル)メチルであり得、あるいは、
イソブチル基、ベンジル基、またはtert-ブトキシカルボニル基であり得、
あるいは、イソブチル基、もしくはベンジル基であり得る。
【0099】
一つの実施形態では、Rは、
水素、
必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたヘテロアルキル、必要に応じて置換されたシクロアルキル、必要に応じて置換されたヘテロシクロアルキル、必要に応じて置換されたアリール、必要に応じて置換されたヘテロアリール、もしくは必要に応じて置換されたカルボニルであり得、
別の実施形態では、C1-6アルキル、ヒドロキシ基で置換されたC1-6アルキル、カルボキシ基で置換されたC1-6アルキル、アミノ基で置換されたC1-6アルキル、カルバモイル基で置換されたC1-6アルキル、C1-6シクロアルキルで置換されたC1-6アルキル、アルコキシカルボニル基もしくはハロゲンで置換されたC1-10アリールで置換されたC1-6アルキル、C1-10ヘテロアリールで置換されたC1-6アルキル、イミノ基で置換されたC1-6ヘテロアルキル、C1-6シクロアルキル、C1-10アリール、もしくはC1-6アルコキシであり得、
別の実施形態では、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、4-フルオロベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、フェニル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOOH、-CHCHCOOH、-CHCHCHCHNH、-CHCONH、-CHCHCONH、-OtBu、
【化16】
であり得、
別の実施形態では、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、イソペンチル基、nヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ベンジル基、4-フルオロベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、フェニル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、-CHOH、-CHCHOH、-CHCOOH、-CHCHCOOH、-CHCHCHCHNH、-CHCONH、-CHCHCONH、-OtBu、
【化17】
であり得、
別の実施形態では、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、-CHCHCOOH、-CHCHCONH、-CHCHCHCHNH、-OtBu、
【化18】
であり得、
好ましい実施形態では、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、4-ヒドロキシベンジル基、-CHCHCOOH、-CHCHCONH、-CHCHCHCHNH
【化19】
であり得、あるいは、
イソブチル基、ベンジル基、フェニル基、またはシクロヘキシル基であり得、
あるいは、イソブチル基、もしくはベンジル基であり得る。
【0100】
以下、本開示の化合物について、さらに説明する。
本開示の化合物には、置換基の種類によっては、互変異性体、幾何異性体等の立体異性体および光学異性体が存在しうるが、本開示はそれらも含む。即ち、本開示の化合物において不斉炭素原子が一つ以上存在する場合には、ジアステレオマーや光学異性体が存在するが、これらのジアステレオマーや光学異性体の混合物や単離されたものも本開示の化合物に含まれる。
【0101】
また、本開示は、各種水和物、溶媒和物および結晶多形を含むことが意図される。
【0102】
さらに、本開示の化合物は、同位体元素(例えば、H(もしくはD)、H(もしくはT)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、35S、18F、125I等)で置換されていてもよく、これらの化合物も本開示の化合物に含まれる。
【0103】
さらに本開示の範囲には本開示の化合物のプロドラッグも含まれる。本開示においてプロドラッグとは、生体内で、例えば、酸加水分解により、あるいは酵素的に分解されて本明細書中記載の式XIIで表される化合物を与える誘導体をいう。例えば、本明細書中記載の式XIIで表される化合物が水酸基やアミノ基、またはカルボキシル基を有する場合は、これらの基を常法に従って修飾してプロドラッグを製造することができる。プロドラッグの技術については、例えば、C. G. Wermuth, “The Practice of Medicinal Chemistry”, 4th Ed., Academic Press, (2015), Chapter 28に記載されている。
【0104】
例えばカルボキシ基を有する化合物であればそのカルボキシル基がアルコキシカルボニル基となった化合物、アルキルチオカルボニル基となった化合物、またはアルキルアミノカルボニル基となった化合物が挙げられる。
【0105】
また、例えばアミノ基を有する化合物であれば、そのアミノ基がアルカノイル基で置換されアルカノイルアミノ基となった化合物、アルコキシカルボニル基により置換されアルコキシカルボニルアミノ基となった化合物、アルカノイルオキシメチルアミノ基となった化合物、またはヒドロキシルアミンとなった化合物が挙げられる。
【0106】
また例えば水酸基を有する化合物であれば、その水酸基が前記アルカノイル基により置換されてアルカノイルオキシ基となった化合物、リン酸エステルとなった化合物、またはアルカノイルオキシメチルオキシ基となった化合物が挙げられる。
【0107】
これらのプロドラッグ化に用いる基のアルキル部分としては前記アルキル基が挙げられ、そのアルキル基は例えばアルコキシ基等により置換されていてもよい。好ましい例としては、次のものが挙げられる。
【0108】
例えばカルボキシル基がアルコキシカルボニル基となった化合物についての例としては、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニル等のアルコキシカルボニル、またはメトキシメトキシカルボニル、エトキシメトキシカルボニル、2-メトキシエトキシカルボニル、2-メトキシエトキシメトキシカルボニルまたはピバロイルオキシメトキシカルボニル等のアルコキシ基により置換されたアルコキシカルボニルが挙げられる。
【0109】
本明細書において、「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に使用することが許容されている酸付加塩および塩基付加塩を意味する。「薬学的に許容される塩」の具体例としては、酢酸塩、プロピオン酸塩、酪酸塩、ギ酸塩、トリフルオロ酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、エチルコハク酸塩、マロン酸塩、ラクトビオン酸塩、グルコン酸塩、グルコヘプトン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸塩(トシル酸塩)、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、アスコルビン酸塩、マンデル酸塩、サッカリン酸塩、キシナホ酸塩、パモ酸塩、ケイヒ酸塩、アジピン酸塩、システイン塩、N-アセチルシステイン塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、ヨウ化水素酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、ピクリン酸塩、チオシアン酸塩、ウンデカン酸塩、アクリル酸ポリマー塩、カルボキシビニルポリマー等の酸付加塩;リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等の無機塩基付加塩;モルホリン、ピペリジン等の有機塩基付加塩;アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸との付加塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
句「化合物もしくはそのエナンチオマーまたはそれらの塩またはそれらの溶媒和物」は、ある化合物、前記化合物のエナンチオマー、前記化合物の塩、前記エナンチオマーの塩、前記化合物の溶媒和物、前記エナンチオマーの溶媒和物、前記化合物の塩の溶媒和物、または前記エナンチオマーの塩の溶媒和物を意味する。
【0111】
本明細書で使用する場合、狂犬病を「予防する」治療剤は、被験体において、未処置の被験体と比べて、処置した被験体の障害もしくは状態の出現を減少させるか、または未処置の被験体と比べて、狂犬病の1つもしくは複数の症状の発症を遅らせるか、もしくは重症度を減少させる化合物を指す。
【0112】
「治療する」という用語は、予防的および/または治療的処置を含む。「予防的または治療的」処置という用語は、当技術分野において承認されており、1種または複数種の本願発明の化合物または医薬組成物の宿主への投与を含む。望ましくない状態(例えば、宿主動物の疾患または他の望ましくない状態)の臨床所見以前に投与される場合、処置は予防的(すなわち、望ましくない状態の発症から宿主を保護する)であるのに対して、望ましくない状態の所見後に投与される場合、処置は治療的(すなわち、現存する望ましくない状態またはその副作用を減退、回復、または安定化させることを意図する)である。
【0113】
「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下で、本開示の治療活性剤(例えば、式XIIの化合物)へと変換される化合物を包含することを意図する。プロドラッグを作製するための一般的方法は、生理学的条件下で加水分解されることで所望の分子を曝露する、1つまたは複数の選択された部分を含める方法である。他の実施形態では、プロドラッグは、宿主動物の酵素活性により変換される。例えば、エステルまたはカーボネート(例えば、アルコールまたはカルボン酸のエステルまたはカーボネート)は本開示の好ましいプロドラッグである。特定の実施形態では、上に表された製剤中の一部または式XIIのすべての化合物は、例えば、親化合物中のヒドロキシルがエステルまたはカーボネートとして与えられるか、または親化合物中に存在するカルボン酸がエステルとして与えられる、対応する適切なプロドラッグで置き換えることができる。
【0114】
医薬組成物
本開示の組成物および方法は、それを必要とする個体を処置するために利用することができる。特定の実施形態では、個体は、哺乳動物、例えばヒトなど、または非ヒト哺乳動物である。動物、例えばヒトなどに投与された場合、組成物または化合物は、好ましくは、例えば、本開示の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物として投与される。薬学的に許容される担体は、当技術分野で周知であり、例えば、水溶液、例えば、水もしくは緩衝生理食塩水など、または他の溶媒もしくはビヒクル、例えば、グリコール、グリセロール、油、例えば、オリーブ油など、または注射用の有機エステルが挙げられる。好ましい実施形態では、このような医薬組成物がヒトへの投与、特に侵襲経路の投与のためである場合(すなわち、例えば、上皮バリアを介した輸送または拡散を回避する注射またはインプランテーションなどの経路)、水溶液はパイロジェンを含まない、またはパイロジェンを実質的に含まない。賦形剤は、例えば、剤の遅延放出を実行するように、または1つもしくは複数の細胞、組織または器官を選択的にターゲットとするよう選択することができる。医薬組成物は、単位剤形、例えば、錠剤、カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、顆粒剤、再構成用に凍結乾燥されたもの、散剤、液剤、シロップ剤、坐剤、または注射などであり得る。組成物はまた、経皮的送達システム、例えば、皮膚パッチ中に存在することもできる。組成物はまた、局所的投与に対して適切な液剤、例えば点眼剤などの中に存在することもできる。
【0115】
薬学的に許容される担体は、化合物、例えば、本開示の化合物などを、例えば、安定化させるか、溶解度を増加させるか、または吸収を増加させるように作用する、生理学的に許容される剤を含有することができる。このような生理学的に許容される剤として、例えば、炭水化物、例えば、グルコース、スクロースまたはデキストランなど、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸またはグルタチオンなど、キレート剤、低分子量タンパク質または他の安定剤もしくは賦形剤などが挙げられる。生理学的に許容される剤を含めた、薬学的に許容される担体の選択は、例えば、組成物の投与経路に依存する。調製物または医薬組成物は、自己乳化型薬物送達システムまたは自己マイクロ乳化型薬物送達システムであってよい。医薬組成物(調製物)はまた、リポソームであっても他のポリマーマトリクスであってよく、これらの中に、例えば、本開示の化合物を組み込むことができる。リポソーム、例えば、リン脂質または他の脂質を含むリポソームなどは、作製および投与が比較的簡単な、非毒性の、生理学的に許容される、代謝可能な担体である。
【0116】
「薬学的に許容される」という句は、本明細書中で採用されることによって、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性も、刺激も、アレルギー応答も、他の問題も、合併症もなしに、妥当な損益比に見合って、ヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適切である化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0117】
「薬学的に許容される担体」という句は、本明細書で使用する場合、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化材料などを意味する。各担体は、製剤の他の成分と相容性であり、患者に対し有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容される担体として機能することができる材料の一部の例として、以下が挙げられる:(1)糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロースなど;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなど;(3)セルロース、およびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど;(4)粉末状トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐剤ワックスなど;(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油など;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコールなど;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなど;(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンを含まない水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;ならびに(21)薬学的製剤に採用される他の無毒性の相容性物質。
【0118】
医薬組成物(調製物)は、例えば、経口的に(例えば、水性または非水性の液剤または懸濁剤などの中の飲薬、錠剤、カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌への適用のためのペースト剤);口腔粘膜を通しての吸収(例えば、舌下);肛門で、直腸でまたは経膣的に(例えば、ペッサリー、クリーム剤または発泡体などとして);非経口的に(筋肉内、静脈内、皮下または髄腔内を含む、例えば、滅菌の液剤または懸濁剤として);経鼻;腹腔内;皮下;経皮的に(例えば、皮膚に適用されるパッチとして);および局所的に(例えば、皮膚に適用されるクリーム剤、軟膏剤もしくはスプレー剤、または点眼剤として)などを含めた、いくつかの投与経路のうちのいずれかにより被験体に投与することができる。化合物はまた、吸入用に製剤化され得る。特定の実施形態では、化合物は単に滅菌水中に溶解または懸濁させるだけでよい。適切な投与経路およびそれに適する組成物の詳細は、例えば、米国特許第6,110,973号、同第5,731,000号、同第5,541,231号、同第5,427,798号、同第5,358,970号および同第4,172,896号、ならびにこれらの中に引用された特許の中に見出すことができる。
【0119】
製剤は、便利よく、単位剤形で与えられてよく、薬学の技術分野で周知の任意の方法により調製されてよい。担体物質と組み合わせて単一剤形を生成することができる活性成分の量は、処置を受けている宿主、特定の投与モードに応じて異なる。担体物質と組み合わせて単一剤形を生成することができる活性成分の量は、一般的に治療効果を生じる化合物の量である。一般的に、この量は、100パーセントのうち、約1パーセント~約99パーセントの活性成分、好ましくは約5パーセント~約70パーセントの活性成分、最も好ましくは約10パーセント~約30パーセントの活性成分の範囲におよぶ。
【0120】
これらの製剤または組成物を調製する方法は、活性化合物、例えば、本開示の化合物などを、担体および、必要に応じて、1つまたは複数の副成分と会合させるステップを含む。一般的に、製剤は、本開示の化合物を、液体担体もしくは微細に分割された固体担体、またはこれらの両方と均一かつ密に会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を成形することにより調製される。
【0121】
経口投与に対して適切な本開示の製剤は、カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(香味づけたベース、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用)、凍結乾燥されたもの、散剤、顆粒剤、または水性もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁剤として、または水中油型もしくは油中水型の液体乳剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはパステル剤として(不活性ベース、例えば、ゼラチンおよびグリセリンなど、またはスクロースおよびアカシアを使用)および/または洗口剤としての形態などであってよく、これらのそれぞれが活性成分として本開示の化合物の既定量を含有する。組成物または化合物はまた、ボーラス、舐剤またはペースト剤として投与されてもよい。
【0122】
経口投与のための固体剤形(カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、および顆粒剤など)を調製するために、活性成分は、1種もしくは複数の薬学的に許容される担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウム、および/または以下のうちのいずれかと混合する:(1)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸など;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなど;(3)保湿剤、例えば、グリセロールなど;(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウムなど;(5)溶解遅延剤、例えば、パラフィンなど;(6)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物など;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど;(8)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土など;(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物など;(10)錯化剤、例えば、修飾および未修飾のシクロデキストリンなど;ならびに(11)着色剤。カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物はまた緩衝剤を含んでもよい。同様のタイプの固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として採用することができる。
【0123】
錠剤は、必要に応じて1つまたは複数の副成分と一緒に、圧縮または成型により作製することができる。圧縮錠は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤を使用して調製することができる。成型錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を適切な機器の中で成型することによって作製することができる。
【0124】
医薬組成物の錠剤および他の固体剤形、例えば、糖衣錠、カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、丸剤および顆粒剤などは、必要に応じて刻みを入れるか、またはコーティングおよびシェル、例えば、腸溶コーティングおよび医薬品製剤化技術において周知の他のコーティングなどを用いて調製してもよい。これらはまた、例えば、所望の放出プロファイルを提供するために異なる割合でヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを使用して、その中の活性成分の持続性放出または制御性放出を提供するために製剤化されていてもよい。これらは、例えば、細菌保留フィルターを通す濾過により、または使用直前に滅菌水、もしくはある他の滅菌注射用媒体に溶解させることができる滅菌された固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌されていてもよい。これらの組成物はまた、乳化剤を必要に応じて含有してもよく、活性成分(単数または複数)を、消化管の特定の部分のみにおいて、またはこの部分において優先的に、必要に応じて、遅延型方式で放出する組成物であってよい。使用することができる包埋組成物の例として、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。活性成分はまた、適切な場合、上に記載された賦形剤の1種または複数種を用いて、マイクロカプセル化した形態にすることができる。
【0125】
経口投与に対して有用な液体剤形として、薬学的に許容される乳剤、再構成用に凍結乾燥されたもの、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、シクロデキストリンおよびその誘導体、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなど、ならびにこれらの混合物などを含有してもよい。
【0126】
不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、香料ならびに保存剤などを含むことができる。
【0127】
懸濁剤は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにこれらの混合物などを含有してもよい。
【0128】
直腸、膣、または尿道への投与のための医薬組成物の製剤は坐剤として与えられてもよく、この坐剤は、1種または複数種の活性化合物を、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチレートなどを含む、1種または複数種の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製することができ、これは、室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸または膣腔において融解して、活性化合物を放出する。
【0129】
口への投与のための医薬組成物の製剤は、洗口剤、または経口スプレー剤、または経口軟膏剤として与えられてもよい。
【0130】
代わりにまたは追加的に、組成物は、カテーテル、ステント、ワイヤ、または他の腔内デバイスを介した送達用に製剤化することができる。このようなデバイスを介した送達は、特に膀胱、尿道、尿管、直腸、または腸への送達に対して有用であり得る。
【0131】
経膣投与に対して適切な製剤はまた、当技術分野で適当であることが公知であるような担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、発泡体またはスプレー製剤を含む。
【0132】
局所的または経皮的投与のための剤形は、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチおよび吸入剤を含む。活性化合物は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体、および必要であり得る任意の保存剤、緩衝剤、または噴霧剤と混合することができる。
【0133】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、動物性および植物性の油脂、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの混合物などを含有してもよい。
【0134】
散剤およびスプレー剤は、活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などを含有することができる。スプレー剤は、慣習的噴霧剤、例えば、クロロフルオロ炭化水素などおよび揮発性の非置換炭化水素、例えば、ブタンおよびプロパンなどをさらに含有することができる。
【0135】
経皮的パッチにより、本開示の化合物の制御送達を身体に提供するという利点が加わった。このような剤形は、活性化合物を適正な媒体中に溶解または分散させることによって作製することができる。吸収増強剤を使用することによって、皮膚を横断する化合物のフラックスを増加させることもできる。このようなフラックスの速度は、速度制御膜を提供すること、または化合物をポリマーマトリクスまたはゲル内で分散させることのいずれかによって制御することができる。
【0136】
眼用製剤、眼軟膏剤、散剤、および液剤などもまた本開示の範囲内にあると想定されている。例示的眼用製剤は、米国特許出願公開第2005/0080056号、同第2005/0059744号、同第2005/0031697号および同第2005/004074号ならびに米国特許第6,583,124号(これらの内容は、本明細書に参考として援用される)に記載されている。所望する場合、液体眼用製剤は、涙液、房水または硝子体液と同様の特性を有するか、またはこのような流体と相容性である。好ましい投与経路は、局部への投与(例えば、局所的投与、例えば点眼剤など、またはインプラントを介した投与)である。
【0137】
「非経口投与」および「非経口的に投与された」という句は、本明細書で使用する場合、経腸および局所的投与以外の投与モード、通常は注射によるものを意味し、制限なしで、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内および胸骨内注射および注入が挙げられる。非経口投与に対して適切な医薬組成物は、1種または複数種の活性化合物を、1種または複数種の薬学的に許容される滅菌の、等張の、水性もしくは非水性の液剤、分散液、懸濁剤もしくは乳剤、または使用直前に滅菌注射液剤もしくは分散液に再構成することができる滅菌散剤と組み合わせて含み、それらは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、対象とするレシピエントの血液と製剤とを等張性にする溶質、または懸濁化剤もしくは粘稠化剤を含有することができる。
【0138】
本開示の医薬組成物に採用され得る適切な水性および非水性の担体の例として、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールなど)、および適切なこれらの混合物、植物油、例えば、オリーブ油など、および注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルなどが挙げられる。適正な流動度は、例えば、コーティング材料、例えば、レシチンなどを使用することによって、分散液の場合、必要な粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、維持することができる。
【0139】
これらの組成物はまた、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤なども含有することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、およびフェノールソルビン酸などの包含により確実にすることができる。等張剤、例えば、糖および塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることもまた望ましい。加えて、注射用医薬品形態の長期吸収は、吸収を遅らせる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの包含により引き起こすことができる。
【0140】
場合によっては、薬物の効果を長引かせるために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性の乏しい、結晶質材料または非晶質材料の液体懸濁剤を使用することによって遂行されてもよい。よって、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、さらに速度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。代わりに、非経口的に投与された薬物の形態の遅延型吸収は、油ビヒクル中に薬物を溶解または懸濁させることによって遂行される。
【0141】
注射用のデポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド-ポリグリコリドなど)中で対象化合物のマイクロカプセル化マトリクスを形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比率、および採用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、体組織と相容性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン内に薬物を封入することによって調製される。
【0142】
本開示の方法における使用に対して、活性化合物それ自体が与えられてもよく、または、例えば、0.1~99.5%(より好ましくは、0.5~90%)の活性成分を、薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する医薬組成物として与えられてもよい。
【0143】
導入の方法はまた、再充填可能なデバイスまたは生分解性のデバイスにより提供することもできる。近年では、タンパク質性生物製剤を含めた薬物の制御送達のために、様々な持続放出ポリマーデバイスが開発され、インビボで試験されてきた。生分解性ポリマーと非分解性ポリマーの両方を含めた、様々な生体適合性ポリマー(ハイドロゲルを含む)を使用することによって、ある特定のターゲット部位での化合物の持続性放出のためのインプラントを形成することができる。
【0144】
医薬組成物中の活性成分の実際の投与量レベルを変化させることによって、ある特定の患者に対して有毒であることなく、上記特定の患者、組成物、および投与モードに対して所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得ることができる。
【0145】
選択された投与量レベルは、採用された特定の化合物もしくは化合物の組合せ、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、採用されている特定の化合物(単数または複数)の排出速度、処置の継続時間、採用された特定の化合物(単数または複数)と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または物質、処置を受けている患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康状態および以前の病歴、ならびに医学的技術分野において周知の同種の因子を含めた様々な因子に依存する。
【0146】
当業者である医師または獣医は、必要とされる医薬組成物の治療有効量を容易に判定および処方することができる。例えば、医師または獣医であれば、医薬組成物または化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルより低いレベルから開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることができる。「治療有効量」とは、所望の治療効果を顕在化させるのに十分な化合物の濃度を意味する。化合物の有効量は、被験体の体重、性別、年齢、および病歴に従い変わることが一般的に理解されている。有効量に影響を与える他の因子として、これらに限定されないが、患者の状態の重症度、処置を受けている障害、化合物の安定性、および、所望する場合、本開示の化合物と共に投与されている別のタイプの治療剤を挙げることができる。より多い総用量を、上記剤の複数回投与により送達することができる。効力および投与量を判定する方法は、当業者に公知である(本明細書に参考として援用される、Isselbacherら(1996年)Harrison’s Principles of Internal Medicine、13版、1814~1882頁)。
【0147】
一般的に、本開示の組成物および方法において使用される活性化合物の適切な1日量は、治療効果を生じるのに有効な最も低い用量である、化合物の量となる。このような有効用量は、一般的には、上に記載されている因子に依存する。
【0148】
所望する場合、活性化合物の有効な1日量は、必要に応じて単位剤形で、1日を通して適当な間隔で別々に投与される1、2、3、4、5、もしくは6個または6個超の分割用量として投与されてもよい。本開示の特定の実施形態では、活性化合物は、1日2回または3回投与され得る。好ましい実施形態では、活性化合物は、1日1回投与される。
【0149】
この処置を受ける患者は、霊長類、特にヒト、および他の哺乳動物、例えば、ウマ、ウシ、ブタおよびヒツジなど;ならびに家禽類およびペット全般を含めた、処置を必要とする任意の動物である。
【0150】
特定の実施形態では、本開示の化合物は、単独で使用してもよいし、別のタイプの治療剤と共同して投与してもよい。本明細書で使用する場合、「共同して投与」という句は、以前に投与された治療用化合物が体内で依然として有効である間に第2の化合物が投与されるような(例えば、この2種の化合物は患者の体内で同時に有効であり、それは、2種の化合物の相乗効果を含み得る)、2種もしくは2種超の異なる治療用化合物の投与の任意の形態を指す。例えば、異なる治療用化合物は、同じ製剤または別個の製剤のいずれかで、同時にまたは逐次的にのいずれかで投与することができる。特定の実施形態では、異なる治療用化合物は、互いに1時間以内、12時間以内、24時間以内、36時間以内、48時間以内、72時間以内、または1週間以内に投与することができる。したがって、このような処置を受ける個体は、異なる治療用化合物の併用効果から恩恵を受けることができる。
【0151】
特定の実施形態では、本開示の化合物と、1種または複数種の追加の治療剤(複数可)(例えば、1種または複数種の追加の化学療法剤(複数可))との共同投与は、本開示の化合物(例えば、式XIIの化合物)または1種もしくは複数種の追加の治療剤(複数可)の個々の投与のそれぞれと比較して、改善された効力を提供する。特定のこのような実施形態では、共同投与は、相加効果を提供し、ここで、相加効果とは、本開示の化合物および1種または複数種の追加の治療剤(複数可)の個々の投与の効果のそれぞれの和を指す。
【0152】
一つの実施形態において、本開示の化合物は、経口投与または非経口投与により、直接または適当な剤形を用いて製剤、医薬または医薬組成物にし、投与することができる。これらの剤形の具体例としては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射剤、貼付剤、パップ剤等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの製剤は、通常の医薬品添加物として使用されている添加剤を用いて、公知の方法で製造することができる。
【0153】
これらの添加剤としては、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。これらの添加剤の具体例としては、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
本開示の化合物の投与量は、投与される被験体、投与経路、疾患、被験体の年齢、体重および症状によって適宜選択される。例えば、経口投与の場合には、成人に対して、1日当たり、下限として0.01mg(好ましくは100mg)、上限として10000mg(好ましくは6000mg)であり、この量を1日1回または数回に分けて投与することができる。
【0155】
一つの実施形態において、本開示の化合物は、リッサウイルス(Lyssavirus)属ウイルスに対する抗ウイルス活性を有する化合物である。前記リッサウイルス属ウイルスは、狂犬病ウイルス、ラゴスコウモリウイルス、モコラウイルス、ドゥベンヘイジウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス1、ヨーロッパコウモリリッサウイルス2、オーストラリアコウモリリッサウイルス等を含み、好ましくは、前記リッサウイルス属ウイルスは、狂犬病ウイルスを含む。
【0156】
本開示の化合物およびそれらの治療剤の投与時期は限定されず、これらを投与される被験体に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。また、本開示の化合物とそれらの治療剤の合剤としてもよい。それらの治療剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本開示の化合物とそれらの治療剤との配合比は、投与される被験体、投与経路、対象疾患、症状、組合せ等により適宜選択することができる。
【0157】
本開示の一つの実施形態において、医薬組成物を使用する際に、本開示の化合物を、同時または異時に組み合わせて投与することができる。このような医薬組成物もまた本開示の範囲内にある。
【0158】
このような医薬、製剤、医薬組成物は、当該分野で公知の任意の技術を用いて、本開示の化合物および/または追加の薬剤(例えば、抗狂犬病ガンマグロブリン製剤、抗菌薬、抗ウイルス剤(例えば、リバビリン、アマンタジン等)、鎮静剤(例えば、ケタミン、ミダゾラム等)等)を、一緒にまたは別々に、合剤としてまたは別々の薬剤として、適宜の任意の成分と混合することによって製造することができ、当該分野で公知の任意の技術を用いて、適宜の製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射剤、貼付剤、パップ剤とすることで製剤化することができる。本開示の化合物および/または追加の薬剤(例えば、抗狂犬病ガンマグロブリン製剤、抗菌薬、抗ウイルス剤(例えば、リバビリン、アマンタジン等)、鎮静剤(例えば、ケタミン、ミダゾラム等)等)が別々の薬剤として調製される場合は、2つの薬剤のキットとして提供されてもよく、一方の成分の単剤として提供され、他方の成分(本開示の化合物の場合は、追加の薬剤であり、追加の薬剤(例えば、抗狂犬病ガンマグロブリン製剤、抗菌薬、抗ウイルス剤(例えば、リバビリン、アマンタジン等)、鎮静剤(例えば、ケタミン、ミダゾラム等)等)の場合は、本開示の化合物である)を同時または異時に組み合わせて投与されることを指示する指示書(添付文書等)とともに提供されてもよい。
【0159】
本開示の化合物を医薬の活性成分として使用する場合、それはヒトだけに使用することを意図するのではなく、ヒト以外のその他の動物(ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、コウモリ、キツネ、マングース、アライグマ等)にも使用することが可能である。
【0160】
(予防または治療方法)
本開示はまた、狂犬病を予防または治療する方法であって、その予防または治療を必要とする被験体に、式XIIの化合物またはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物、あるいはそれを含む医薬組成物を投与する工程を含む、方法を提供する。一実施形態において、狂犬病を予防または治療する方法は、治療有効量の、その予防または治療を必要とする被験体に、式XIIの化合物またはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物、あるいはそれを含む医薬組成物を投与する工程を含む。
【0161】
(予防または治療のための使用)
本開示の一つの実施形態において、狂犬病を予防または治療するための医薬の製造のための、式XIIの化合物またはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物の使用を提供する。
【0162】
本開示はまた、狂犬病の予防または治療において使用するための、式XIIの化合物またはその薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を提供する。
【0163】
(本開示の化合物の製造法)
以下に、本開示の化合物の製造法について、例を挙げて説明するが、本開示はもとよりこれらに限定されるものではない。
【0164】
本開示の化合物は、これらに限定されないが、例えば、下記に記した製造法によって製造することができる。これらの製造法は、有機合成化学を習熟している者の知識に基づき、適宜改良することができる。下記製造法において、原料として用いられる化合物は、反応に支障をきたさない限り、それらの塩を用いてもよい。
【0165】
下記製造法において、具体的に保護基の使用を明示していなくても、反応点以外のいずれかの官能基が反応条件で変化する場合、または反応後の処理を実施するのに不適当な場合には、反応点以外を必要に応じて保護し、反応終了後または一連の反応を行った後に脱保護することにより目的化合物を得ることができる。これらの過程で用いられる保護基としては、文献(Peter G. M. Wuts, “Greene's Protective Groups in Organic Synthesis”, 5th Ed., John Wiley & Sons, Inc., Hoboken, New Jersey (2014))等に記載されている通常の保護基を用いることができる。また、保護基の導入および除去は、有機合成化学で常用される方法(例えば、上記文献に記載の方法等)またはそれらに準じた方法により行うことができる。
【0166】
下記製造法における出発原料および中間体は、市販品として購入可能であるか、または公知文献に記載された方法もしくは公知化合物から公知の方法に準じて合成することにより入手可能である。また、これらの出発原料および中間体は、反応に支障をきたさない限り、それらの塩を用いてもよい。
【0167】
下記製造法における中間体および目的化合物は、それらの官能基を適宜変換することによって、本開示に含まれる別の化合物へ変換することもできる。その際の官能基の変換は、有機合成化学で常用される方法(例えば、R. C. Larock, “Comprehensive Organic Transformations”, 2nd Ed., John Wiley and Sons, Inc., New York (1999)に記載されている方法等)またはそれらに準じた方法により行うことができる。
【0168】
下記製造法における不活性溶媒とは、反応で用いられる原料、試薬、塩基、酸、触媒、配位子等(以下、「反応で用いられる原料等」と称することもある)と反応しない溶媒を意味する。また、各工程で使用する溶媒が、反応で用いられる原料等と反応する場合であっても、目的の反応が進行して目的化合物が得られる限り、不活性溶媒として使用することができる。
【0169】
本明細書中、例えば、式1、2、IIIまたはXIIで表される化合物をそれぞれ、化合物1、化合物2、化合物III、または化合物XIIと称する場合がある。
【0170】
(製造スキーム)
合成スキーム1
化合物1および2の合成
式1および2の化合物は、例えば、公知の方法(Fricke, T.; Kopp、N.; Wunsch、B. Synthesis 2010, 5, 791)に準じて、製造することができる。
【化20】
【0171】
出発原料である化合物は、市販されているものを用いるか、または公知の方法で製造されたものを用いることができる。
【0172】
合成スキーム2
化合物IIIの合成
式IIIの化合物は、例えば下記製造法によって化合物2から製造することができる。
【化21】
ここで、Xは求核置換反応における脱離基を表し、その例としては、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、硫酸エステル(-OSOH等)、スルホニル-O-基(例えば、メタンスルホニル-O-、トルエンスルホニル-O-等)が挙げられ、「Protect」はアミノ基の保護基である。アミノ基の保護基の例としては、エトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、アセチル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ベンジルオキシカルボニル基、3-もしくは4-クロロベンジルオキシカルボニル基、トリフェニルメチル基、メタンスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、トリメチルシリル基、ベンジルオキシカルボニル基、3-もしくは4-クロロベンジルオキシカルボニル基、ベンジルスルホニル基、メチル基、エチル基等が挙げられる。
【0173】
合成スキーム3
化合物IVの合成
【化22】
化合物IVは、例えば、公知の方法(Billaud, E. F. ; Rbah-Vidal, L.; Vidal, A.; Besse, S.; Tarrit, S.; Askienazy, S.; Maisonial, A.; Moins, N.; Madelmont, J. C.; Miot-Noirault, E.; Chezal, J. M.; Auzeloux, P. J. Med. Chem. 2013, 56, 8455.)に準じて、製造することができる。
ここで、Xは求核置換反応における脱離基を表し、その例としては、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、硫酸エステル(-OSOH等)、スルホニル-O-基(例えば、メタンスルホニル-O-、トルエンスルホニル-O-等)が挙げられ、「Protect’」はヒドロキシ基の保護基である。ヒドロキシ基の保護基の例としては、メトキシメチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、アセチル基、ベンゾイル基、トリチル基等が挙げられる。
【0174】
合成スキーム4
化合物Vの合成
式Vの化合物は、例えば下記製造法によって化合物IIIと化合物IVから製造することができる。
【化23】
【0175】
合成スキーム5
化合物VIの合成
式VIの化合物は、例えば下記製造法によって化合物Vから製造することができる。
【化24】
【0176】
合成スキーム6
化合物VIIの合成
式VIIの化合物は、例えば下記製造法によって化合物VIから製造することができる。
【化25】
【0177】
合成スキーム7
化合物VIIIの合成
化合物VIIIは、例えば下記製造法によって製造することができる。
(1)経路1-1 化合物VIIと化合物XIIIからの合成
【化26】
ここで、Xは求核置換反応における脱離基を表し、その例としては、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、硫酸エステル(-OSOH等)、スルホニル-O-基(例えば、メタンスルホニル-O-、トルエンスルホニル-O-等)が挙げられる。
(2)経路1-2 化合物VIIと化合物XIVからの合成
【化27】
ここで、化合物VIII中のRを-CH-R’で表すことができる場合には、化合物VIII中のRを-CH-R’に置き換えて、化合物VIIIを化合物VIII’として表すことができる。
式中、Rは、本明細書項1に定義されるとおりである。
【0178】
出発原料である化合物は、市販されているものを用いるか、または公知の方法で製造されたものを用いることができる。
【0179】
合成スキーム8
化合物IXの合成
式IXの化合物は、例えば下記製造法によって化合物VIIIから製造することができる。
【化28】
【0180】
合成スキーム9
化合物Xの合成
式Xの化合物は、例えば下記製造法によって化合物IXから製造することができる。
【化29】
【0181】
合成スキーム10
化合物XIの合成
化合物XIは、例えば下記製造法によって製造することができる。
(1)経路1-1 化合物Xと化合物XVからの合成
【化30】
(2)経路1-2 化合物Xと化合物XVIからの合成
【化31】
式中、RおよびRは、本明細書項1に定義されるとおりである。
ここで、Xは求核置換反応における脱離基を表し、その例としては、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、硫酸エステル(-OSOH等)、スルホニル-O-基(例えば、メタンスルホニル-O-、トルエンスルホニル-O-等)が挙げられる。
【0182】
合成スキーム11
化合物XIIの合成
化合物XIIは、例えば下記製造法によって製造することができる。
(1)経路1-1 化合物XIと化合物XVIIからの合成
【化32】
(2)経路1-2 化合物XIと化合物XVIIIからの合成
【化33】
式中、R、R、およびRは、本明細書項1に定義されるとおりである。
ここで、Xは求核置換反応における脱離基を表し、その例としては、ハロゲン(例えば、塩素、臭素、ヨウ素)、硫酸エステル(-OSOH等)、スルホニル-O-基(例えば、メタンスルホニル-O-、トルエンスルホニル-O-等)が挙げられる。
上記製造法における中間体および目的化合物は、有機合成化学で常用される精製法(例えば、中和、濾過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等)に付することにより単離精製することができる。また、各中間体においては、特に精製することなく次の反応に供することも可能である。
【0183】
光学活性な出発原料や中間体を用いること、または中間体や最終品のラセミ体を光学分割することにより、本開示の化合物の光学活性体を製造することができる。光学分割の方法としては、これらに限定されないが、例えば、光学活性カラムを用いた分離方法、分別結晶化法等の分離方法が挙げられる。本開示の化合物のジアステレオマーは、これらに限定されないが、例えば、カラムクロマトグラフィーや分別結晶化法等の分離方法によって、製造することができる。
【0184】
式XIIで表される化合物の薬学的に許容される塩は、これらに限定されないが、例えば、水、メタノール、エタノール、2-プロパノール、酢酸エチル、アセトン等の溶媒中で、式XIIで表される化合物と、薬学的に許容される酸または塩基とを混合することで製造することができる。
【0185】
(医薬)
一つの局面において、本開示は、リッサウイルス(Lyssavirus)属ウイルスの感染および/またはウイルス感染により引き起こされる疾患、障害または症状を治療、予防または管理するための医薬(組成物)を提供する。このような医薬または医薬組成物は、個々の単回単位剤形の調製に使用することができる。本開示の医薬組成物および剤形は、本開示の化合物またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体、および必要に応じてさらなる活性物質を含有する。本開示の医薬組成物および剤形は更に、1種以上の担体、賦形剤または希釈剤を含有することができる。
【0186】
本開示の医薬組成物および剤形は、1種以上の追加の活性物質または成分も含有することができる。結果として、本開示の医薬組成物および剤形は、本開示の化合物、またはその医薬として許容し得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体、および少なくとも一つの第二活性物質を含有してよい。任意の第二活性物質の例は、本明細書に開示されている。
【0187】
本開示が対象としうるリッサウイルス属ウイルスは、狂犬病ウイルス、ラゴスコウモリウイルス、モコラウイルス、ドゥベンヘイジウイルス、ヨーロッパコウモリリッサウイルス1、ヨーロッパコウモリリッサウイルス2、オーストラリアコウモリリッサウイルス等を含み、好ましくは、前記リッサウイルス属ウイルスは、狂犬病ウイルスを含む。
【0188】
一つの実施形態において、本開示の化合物は、経口投与または非経口投与(例えば、経粘膜的(例えば舌下、経鼻、経膣、嚢胞内、経直腸、経包皮、眼内、頬内または耳内)、非経口的(例えば皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内または動脈内)、局所的(例えば、点眼または他の眼科用調合薬)、経皮的または経表皮的)により、直接または適当な剤形を用いて製剤、医薬または医薬組成物にし、投与することができる。これらの剤形の具体例としては、錠剤、カプレット、カプセル剤、例えば弾性のある軟ゼラチンカプセル剤、カシェ剤、トローチ剤、散剤、舐剤、顆粒剤、液剤、分散剤、坐剤、エアゾール剤(例えば、経鼻噴霧剤または吸入剤)、ゲル剤、懸濁剤(例えば、水性または非水性液体懸濁剤、水中油型液体乳剤または油中水型液体乳剤)、エリキシル剤、注射剤、貼付剤、パップ剤等が挙げられるが、これらに限定されない。また、これらの製剤は、通常の医薬品添加物として使用されている添加剤を用いて、公知の方法で製造することができる。本開示はまた、エリキシル剤をはじめとする患者への経口または経粘膜投与に適した液体剤形、患者への非経口投与に適した液体剤形、点眼剤または他の局所性投与に適した眼科用調合薬;ならびに、患者への非経口投与に適している液体剤形を提供するために、再構成することができる、無菌の固形物(例えば晶質または非晶質固形物)等であってもよい。本開示は単回単位剤形として投与されることができる。
【0189】
本開示において使用され得る添加剤としては、目的に応じて、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、滑沢剤、コーティング剤、溶解剤、溶解補助剤、増粘剤、分散剤、安定化剤、甘味剤、香料等を用いることができる。これらの添加剤の具体例としては、乳糖、マンニトール、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、酸化チタン、タルク等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0190】
本開示の組成物および剤形の組成、形状および種類は、典型的にはそれらの用途に応じて変わる。例えば、ある疾患の迅速治療に使用される剤形は、1種以上の活性成分を大量に含んでいてよく、これは該疾患の慢性治療において使用される剤形よりも多くを含有する。同様に非経口剤形は、より少ない量の1種以上の活性成分を含んでよく、該活性成分の含有量は、該疾患の治療において使用される経口剤形よりも少ない。本開示に包含される具体的剤形が互いに異なるこれらおよびその他の方法は、当業者には容易に明らかである。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing、Easton, PA(1990)を参照されたい。
【0191】
本開示の化合物の投与量は、投与される被験体、投与経路、疾患、被験体の年齢、体重および症状によって適宜選択される。例えば、経口投与の場合には、成人に対して、1日当たり、下限として0.01mg(好ましくは100mg)、上限として10000mg(好ましくは6000mg)であり、この量を1日1回または数回に分けて投与することができる。
【0192】
一つの実施形態において、経口投与に適している本開示の医薬組成物は、限定ではないが、錠剤(例えばチュアブル錠)、カプレット、カプセル剤および液剤(例えば風味付けシロップ剤)などの、個別の剤形として提示することができる。本開示の典型的な経口剤形は、通常の医薬配合技術に従い、少なくとも1種の賦形剤と活性成分を組み合わせて完全混和物にすることにより調製される。賦形剤は、投与に望ましい調製物の形態に応じ、多種多様な形態をとることができる。経口の液体またはエアゾール剤形における使用に適した賦形剤の非限定的な例としては、水、グリコール、油類、アルコール、香味剤、保存剤および着色剤が挙げられる。固形経口剤形(例えば散剤、錠剤、カプセル剤およびカプレット)における使用に適した賦形剤の非限定的な例としては、デンプン、糖類、微結晶性セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤が挙げられる。
【0193】
本開示の経口剤形において使用することができる賦形剤の非限定的な例としては、結合剤、充填剤、崩壊剤および滑沢剤が挙げられる。医薬組成物および剤形における使用に適した結合剤の非限定的な例としては、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたは他のデンプン、ゼラチン、天然および合成のゴム、例えばアカシアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、トラガント末、グアーガム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロースおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0194】
本明細書に開示された医薬組成物および剤形における使用に適した充填剤の非限定的な例としては、タルク、炭酸カルシウム(例えば顆粒または粉末)、微結晶性セルロース、粉末化されたセルロース、デキストラン、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプンおよびそれらの混合物が挙げられる。本開示の医薬組成物中の結合剤または充填剤は、典型的には、医薬組成物または剤形の約50~約99質量%で存在する。
【0195】
本開示の医薬組成物および剤形において使用することができる崩壊剤の非限定的な例としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、他のデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、クレイ、他のアルギン、他のセルロース、ガムおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0196】
本開示の医薬組成物および剤形において使用することができる滑沢剤の非限定的な例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天およびそれらの混合物が挙げられる。追加の滑沢剤の例としては、シロイドシリカゲル、合成シリカの凝固したエーロゾル、CAB-O-SIL(発熱性二酸化ケイ素製品、Cabot社.(ボストン、MA)から販売)およびそれらの混合物が挙げられる。滑沢剤は、使用される場合には、典型的にはそれらが組み込まれる医薬組成物または剤形の約1質量%未満の量で使用される。
【0197】
本開示の有効成分または活性成分は、放出制御手段によるか、または当業者に周知である送達デバイスまたは剤形により投与することができる。放出制御手段または送達デバイスの非限定的な例としては、米国特許第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号、同第4,008,719号、同第5,674,533号、同第5,059,595号、同第5,591,767号、同第5,120,548号、同第5,073,543号、同第5,639,476号、同第5,354,556号および同第5,733,566号に開示されたものが挙げられ、これらは本明細書に参照により組み込まれている。そのような剤形を使用し、様々な割合で望ましい放出プロファイルを提供するために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、ゲル、透過膜、浸透圧システム、多層コーティング、微小粒子、リポソーム、ミクロスフェアまたはそれらの組合せを用いる、1種以上の活性成分の遅延放出または放出制御を提供することができる。本明細書に開示されたものを含む、当業者に公知である好適な放出制御製剤は、本開示の有効成分または活性成分と共に使用するために容易に選択することができる。従って本開示は、これらに限定されないが、放出制御に適合させた、非限定的に錠剤、カプセル剤、ジェルキャップおよびカプレットなどの経口投与に適した単位剤形を包含している。
【0198】
非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内および動脈内を含むが、これらに限定されるものではない様々な経路により、患者へ投与することができる。それらの投与は典型的には、汚染物質に対する患者の自然の防御を迂回するので、非経口剤形は、無菌であるかまたは患者への投与前に滅菌可能であることが好ましい。非経口剤形の非限定的な例としては、そのまま注射できる液剤、注射のために医薬として許容し得るビヒクル中に容易に溶解または懸濁される乾燥製品、そのまま注射できる懸濁剤および乳剤が挙げられる。本開示の非経口剤形を提供するために使用することができる好適なビヒクルは、当業者に周知である。好適なビヒクルの非限定的な例としては、注射用水(米国薬局方);水性ビヒクル、例えば非限定的に、注射用塩化ナトリウム液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロースおよび塩化ナトリウム注射液ならびに乳酸リンゲル注射液など;水混和性ビヒクル、例えば非限定的に、エチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールなど;ならびに、非水性ビヒクル、例えば非限定的に、トウモロコシ油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピルおよび安息香酸ベンジルなどが挙げられる。
【0199】
薬物は、皮膚およびその付属器へまたは様々な粘膜へ局所的に適用することができる。使用することができる経路は、舌下、経鼻、経膣、嚢胞内、経直腸、経包皮、眼内、頬内または耳内を含む。多くの剤形が、局所作用を生じるための適用部位へ活性主薬を送達するために開発されている。本開示の局所的および粘膜用剤形の非限定的な例としては、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、糊状剤、粉剤、ローション剤、噴霧剤、塗布剤、パップ剤、エアゾール剤、液剤、乳剤、懸濁剤、点眼剤もしくは他の眼科用調製物または当業者に公知の他の剤形が挙げられる。Remington's Pharmaceutical Sciences、18th Ed., Mack Publishing、Easton, PA(1990)、Introduction to Pharmaceutical Dosage Forms, Lea & Febiger, Philadelphia (1985)などを参照されたい。口腔内の粘膜組織を治療するのに適した剤形は、含嗽剤または経口ゲル剤として製剤することができる。
【0200】
本開示に包含される局所的および粘膜用剤形を提供するために使用することができる好適な賦形剤(例えば担体および希釈剤)および他の材料は、医薬分野の業者に周知であり、ならびに所定の医薬組成物または剤形が適用される具体的組織に応じて決まる。液剤、乳剤またはゲル剤を形成するための、典型的賦形剤の非限定的な例としては、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油およびそれらの混合物が挙げられ、これらは無毒でありかつ医薬として許容し得るものである。
【0201】
閉鎖剤(occlusive)、保湿剤、緩和剤およびタンパク質若返り剤(rejuvenator)などの湿潤剤も、所望であれば医薬組成物および剤形へ添加することができる。
【0202】
閉鎖剤は、角質層内の水分の喪失を物理的にブロックする物質である。閉鎖剤の非限定的な例としては、ワセリン、ラノリン、鉱油、ジメチコーンのようなシリコーン、酸化亜鉛およびそれらの組合せが挙げられる。好ましい閉鎖剤は、ワセリンおよびラノリンであり、より好ましくは最小濃度5%のワセリンである。
【0203】
保湿剤は、皮膚へ適用された場合に、水を皮膚へ引きつけ、かつ理論的には角質層の水和を改善する物質である。しかし皮膚に引きつけられた水は、他の細胞由来の水であり、大気中の水ではない。この種の保湿剤によっては、皮膚からの蒸発は継続し、実際には乾燥は増悪し得る。保湿剤の非限定的な例としては、グリセリン、ソルビトール、尿素、アルファヒドロキシ酸、糖類およびそれらの組合せが挙げられる。好ましい保湿剤としては、アルファヒドロキシ酸、例えばグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
【0204】
緩和剤は、油滴により皮膚薄片間の空間を満たすことにより、皮膚を滑らかにする物質であり、通常厚く適用されない限りは、閉塞しない。乳化剤と併用される場合は、これらは、角質層内の油分および水分の保持を補助することができる。ビタミンEは、緩和剤として以外は、作用はないようである、一般的添加剤である。同様に他のビタミン類、例えばビタミンAおよびビタミンDも添加されるが、それらの作用は疑問の余地がある。緩和剤の非限定的な例としては、鉱油、ラノリン、脂肪酸、コレステロール、スクアレン、構造脂質およびそれらの組合せが挙げられる。
【0205】
本開示の化合物およびそれらの治療剤の投与時期は限定されず、これらを、投与される被験体に対し同時に投与してもよいし、インターバルをおいて(即ち、異時に)投与してもよい。また、本開示の化合物とそれらの治療剤の合剤としてもよい。それらの治療剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本開示の化合物とそれらの治療剤との配合比は、投与される被験体、投与経路、対象疾患、症状、組合せ等により適宜選択することができる。
【0206】
本開示の一つの実施形態において、医薬組成物を使用する際に、本開示の化合物を、同時または異時に組み合わせて投与することができる。このような医薬組成物もまた本開示の範囲内にある。
【0207】
このような医薬、製剤、医薬組成物は、当該分野で公知の任意の技術を用いて、本開示の化合物および/または追加の薬剤(例えば、抗狂犬病ガンマグロブリン製剤、抗菌薬、抗ウイルス剤(例えば、リバビリン、アマンタジン等)、鎮静剤(例えば、ケタミン、ミダゾラム等)等)を、一緒にまたは別々に、合剤としてまたは別々の薬剤として、適宜の任意の成分と混合することによって製造することができ、当該分野で公知の任意の技術を用いて、適宜の製剤、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、注射剤、貼付剤、パップ剤とすることで製剤化することができる。本開示の化合物および/または追加の薬剤(例えば、抗狂犬病ガンマグロブリン製剤、抗菌薬、抗ウイルス剤(例えば、リバビリン、アマンタジン等)、鎮静剤(例えば、ケタミン、ミダゾラム等)等)が別々の薬剤として調製される場合は、2つの薬剤のキットとして提供されてもよく、一方の成分の単剤として提供され、他方の成分(本開示の化合物の場合は、追加の薬剤であり、追加の薬剤(例えば、抗狂犬病ガンマグロブリン製剤、抗菌薬、抗ウイルス剤(例えば、リバビリン、アマンタジン等)、鎮静剤(例えば、ケタミン、ミダゾラム等)等)の場合は、本開示の化合物である)を同時または異時に組み合わせて投与されることを指示する指示書(添付文書等)とともに提供されてもよい。
【0208】
本開示の化合物を医薬の活性成分として使用する場合、それはヒトだけに使用することを意図するのではなく、ヒト以外のその他の動物(ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、コウモリ、キツネ、マングース、アライグマ等)にも使用することが可能である。
【0209】
本開示の化合物の毒性および治療有効性は、例えばLD50(集団の50%が致死である投与量)およびED50(集団の50%が治療的に有効である投与量)を測定することによる、培養細胞または実験動物における標準の医薬手順により決定することができる。毒性作用と治療作用の間の用量比が、治療係数であり、これは比LD50/ED5Oとして表すことができる。
大きい治療係数を示す化合物が好ましい。毒性副作用を示す化合物を使用することができるが、非感染細胞への可能性のある損傷を最小化し、それにより副作用を減少させるために、そのような化合物を罹患組織部位へ標的化する送達システムのデザインは慎重に行われなければならない。
【0210】
細胞培養アッセイおよび動物試験から得られたデータは、ヒトにおける使用のための用量範囲の処方に使用することができる。そのような化合物の用量は、毒性をほとんどまたは全く伴わない、ED50を含む循環濃度の範囲内であることが好ましい。用量は、使用される剤形および利用される投与経路に応じて、この範囲内で変動してよい。本開示の方法において使用される化合物に関して、治療的に十分な投与量は、最初に細胞培養アッセイから概算することができる。細胞培養において決定されたIC50(すなわち、症状の最大阻害の半分を実現する被験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を実現する用量を動物モデルにおいて処方することができる。そのような情報を使用し、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定することができる。血漿レベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
【0211】
本開示の化合物は、有効成分量換算で、経口的にかつ約0.10~約150mg/日の単回のまたは分割した1日量で投与することができ、非経口的、局所的または経粘膜的、例えば経鼻、経直腸または経皮的に、あるいは局所的に投与される場合も同様に換算することができる。本開示の方法で投与される医薬組成物の量は、治療される対象、障害または障害の症状の重症度、投与法、投与頻度および医師の判断に応じて決まる。投与頻度は、ほぼ毎時間の投与から毎月の投与までの範囲内である。具体的実施態様において、投与は、1日8回から1日おきに1回まで、または1~3回/日である。具体的実施態様において、本開示の医薬組成物は、慢性的に、例えば毎日投与される。
【0212】
本明細書において「または」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値の範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。
【0213】
本明細書において引用された、科学文献、特許、特許出願等の参考文献は、その全体が、各々具体的に記載されたのと同じ程度に本明細書において参考として援用される。
【0214】
以上、本開示を、理解の容易のために好ましい実施形態を示して説明してきた。以下に、実施例に基づいて本開示を説明するが、上述の説明および以下の実施例は、例示の目的のみに提供され、本開示を限定する目的で提供したのではない。従って、本開示の範囲は、本明細書に具体的に記載された実施形態にも実施例にも限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【実施例0215】
本開示の例示的説明の目的で、以下に実施例を提供する。しかし、本開示の範囲は、以下に述べる実施例に限定されるものではない。使用される試薬、機器等は本実施例に記載される具体的な入手先以外の適切な入手先からのものでも交換可能に使用され得ることが理解される。
【0216】
実施例において、記載の簡略化のために、上記で示した略語および下記に示す略語を使用することがある。
s:一重線
d:二重線
t:三重線
m:多重線
dd:二重線の二重線
J:カップリング定数(coupling constant)
Hz:ヘルツ(Hertz)
δ:化学シフト
min:分
RT:保持時間
CDCl3:重クロロホルム
Me:メチル
Et:エチル
Pr:プロピル
i-Pr:イソプロピル
i-Bu:イソブチル
s-Buおよびsec-Bu:第二級ブチル
tBuおよびtBuおよびtert-Bu:第三級ブチル
i-Pnt:イソペンチル
Hxy:n-ヘキシル
Ac:アセチル
Bz:ベンゾイル
Bn:ベンジル
BocおよびtBOCおよびtBOC:tert-ブトキシカルボニル
Cbz:ベンジルオキシカルボニル
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
EDCI:1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
Hex:ヘキサン
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
NMM:N-メチルモルホリン
TBS:tert-ブチルジメチルシリル
TBSOTf:tert-ブチルジメチルシリルトリフルオロアセテート
Trt:トリチルまたはトリフェニルメチル
r.t.またはrt:室温
eq:当量
【0217】
実施例1:化合物の合成
スキーム1に、L-酒石酸から化合物7への合成経路を示す。
【化34】
化合物1、2は、公知の方法(Fricke, T.; Kopp、N.; Wunsch、B. Synthesis 2010, 5, 791)に従って合成した。
【0218】
化合物2から化合物3の合成
【化35】
化合物2(4.04g、20.9 mmol)をメタノール(30 mL)に溶かし、Pd/C(404 mg)を加えた後、水素雰囲気下50℃で2時間攪拌した。その後、Pd/C(400 mg)を追加し、同条件でさらに攪拌した。2時間経過後、反応溶液をCelite(登録商標)でろ過し、濾液を減圧下で濃縮した。
得られた残渣を炭酸ナトリウム水溶液(10wt%、63 mL)と1,4-ジオキサン(44.2 mL)の混合液に溶解し、0℃に氷冷後、クロロぎ酸ベンジル(2.95 mL、20.9 mmol)を滴下した。滴下後、0℃で1時間攪拌し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH、98:2から9:1)により精製することで化合物3(4.00 g、収率:80%)を黄色液体として得た。化合物データは、報告値と一致した。(Chapman、T. M.; Courtney, S.; Hay, P.; Davis、B. G. Chem. Eur. J. 2003, 9 , 3397.)
【0219】
化合物4の合成
【化36】
化合物4は、既知化合物であり、文献記載の方法によって合成した(Billaud, E. F. ; Rbah-Vidal, L.; Vidal, A.; Besse, S.; Tarrit, S.; Askienazy, S.; Maisonial, A.; Moins, N.; Madelmont, J. C.; Miot-Noirault, E.; Chezal, J. M.; Auzeloux, P. J. Med. Chem. 2013, 56, 8455.)。
【0220】
化合物3から化合物5の合成
【化37】
化合物3(1.19 g、5.02 mmol)をTHF(35 mL)に溶かし、水(15 mL)に溶解させた過ヨウ素酸ナトリウム(1.28 g、5.98 mmol)を加え、室温で攪拌した。24時間後、同量の過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を加え、室温でさらに21時間攪拌した。原料の消失が確認できなかったため、再度、同量の過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を加え、7.5時間攪拌した。その後、減圧下でTHFを除去し、飽和食塩水を加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をジクロロメタンで希釈し、硫酸マグネシウムでさらに乾燥させ、ろ過後、減圧下で濾液を濃縮した。
1,3-アセトンジカルボン酸(731 mg、5.00 mmol)を水(3.5 mL)に溶かし、25%アンモニア水(3.5 mL)を加えて0℃に氷冷した。そこに、上記操作の残渣をTHF(3.5 mL)溶液として加えた。反応混合物を室温まで徐々に昇温させ、2日間攪拌させた。その後、飽和食塩水を加えて、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH=98:2から95:5)で精製し、黄色液体の粗精製物を得た。
上記の操作で得られた粗精製物、化合物4(459 mg、1.48 mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(367 μL、2.11 mmol)の混合物をMeCN(4.3 mL)中、室温で1.5時間攪拌した。その後、反応混合物を40℃に昇温させ、1時間攪拌した後、50℃までさらに昇温させた。1時間後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt=6:4から5:5)により精製することで、化合物5(446 mg、収率:19%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.36-7.28 (m, 5H), 5.09 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 4.33 (s, 2H), 4.06-3.92 (m, 2H), 3.61 (s, 2H), 3.50 (d, J = 14.7 Hz, 2H), 3.17 (m, 2H), 2.65 (dd, J = 15.8 Hz , J = 5.8 Hz, 2H), 2.25 (m, 2H), 0.90 (s, 9H), 0.10 (s, 6H); HRMS (ESI) calcd for C25H36N2O4SiNa+ [M+Na+] 479.2337, found 479.2338.
【0221】
化合物5から化合物6の合成
【化38】
化合物5(1.84 g、4.03 mmol)をジクロロメタン(20 mL)に溶かし、トリエチルアミン(840 μL、6.03 mmol)を加えた。反応混合物を-78℃まで冷やした後、TBSOTf(1.11 mL、4.83 mmol)を滴下し、0℃まで昇温させた。10分間攪拌させた後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、ジクロロメタンで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt = 7:3)により精製することで、化合物6(2.27 g)を黄色液体として定量的に得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.34-7.33 (m, 5H), 5.15-4.99 (m, 2H), 4.65 (dd, J = 17.1 Hz, J = 4.8 Hz , 1H), 4.33 (s, 2H), 4.08 (dd, J = 51.6 Hz, J = 13.2 Hz , 1H), 3.85 (dd, J = 41.4 Hz, J = 12.4 Hz , 1H), 3.47-3.08 (m, 6H), 2.35 (dd, J = 18.3 Hz, J = 7.0 Hz , 1H), 1.79 (dd, J = 34.6 Hz, J = 18.2 Hz , 1H), 0.90 (m, 18H), 0.12-0.10 (m, 12H); HRMS (ESI) calcd for C31H51N2O4Si2 + [M+H+] 571.3382, found 571.3376.
【0222】
化合物6から化合物7の合成
【化39】
化合物6(2.27 g、3.98 mmol)、JohnPhos AuCl (213 mg、0.397 mmol)、AgOTf (160 mg、0.623 mmol)をトルエン(20 mL)に懸濁させ、メタノール(2.0 mL)を加えた。反応溶液を40℃で1.5時間攪拌させた後、Celite(登録商標)でろ過し、濾液を減圧下で濃縮した。
残渣をメタノール(12 mL)に溶解させ、ロジウム-活性アルミナ(500 mg)を加えた。水素雰囲気下、50℃で11時間攪拌した後、Celite(登録商標)でろ過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc=100% から DCM/MeOH=95:5)で精製することで化合物7(1.01 g、収率 79%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.68 (s, 1H), 3.92-3.87 (m, 3H), 3.20-3.26 (m, 2H), 3.01 (s, 1H), 2.95-2.91 (m, 2H), 2.86 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.71 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 2.66-2.61 (m, 2H), 2.03 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 1.54 (bs, 1H), 0.76 (s, 9H), -0.07 (s, 3H), -0.09 (s, 3H); HRMS (ESI) calcd for C17H31N2O2Si+ [M+H+] 323.2149, found 323.2151.
【0223】
化合物7から化合物12の合成
【化40】
(A) 化合物7から化合物8aの合成(R1 = Bn)
化合物7 (167 mg、0.517 mmol)とN,N-ジイソプロピルエチルアミン(130 μL、0.746 mmol)をMeCN(1.5 mL)に溶解させ、ベンジルブロミド(68 μ L、0.569 mmol)を加えた。室温で1.5時間攪拌した後、反応溶液を水で希釈して酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt=1:9 から EtOAc=100%)で精製することで、化合物8a(191 mg、収率:90%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.33-7.29 (m, 2H), 7.23-7.21 (m, 3H), 5.81 (s, 1H), 4.03-4.00 (m, 3H), 3.53 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.47 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.34-3.32 (m, 2H), 3.15 (s, 1H), 2.81 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 2.75-2.70 (m, 2H), 2.63 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 2.45-2.41 (m, 2H), 2.10 (d, J = 15.5 Hz, 1H)。0.89 (s, 9H), 0.05 (s, 3H), 0.04 (s, 3H); HRMS (ESI) calcd for C24H37N2O2Si+ [M+H+] 413.2619, found 413.2619.
【0224】
(B) 化合物8aから化合物9aの合成(R1 = Bn)
化合物8a (57.8 mg、0.140 mmol)をジエチルエーテル(980 μL)に溶解させ、0℃に氷冷した後、LiAlH4(13.3 mg、0.350 mmol)を加えて30分間攪拌した。その後、飽和硫酸ナトリウム水溶液を加えて反応を停止し、反応混合物をメタノールで希釈後、Celite(登録商標)でろ過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタンで希釈し、再度Celite(登録商標)でろ過し、溶媒を減圧下で除去した。
残渣をジクロロメタン(420 μL)に溶解させ、トリエチルアミン(29.3 μL、0.21 mmol)を加えた。反応混合物を0℃に氷冷し、メシルクロリド(13.0 μL、0.168 mmol)を加えた後、室温で1時間攪拌した。その後、反応混合物を水で希釈して酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過後、減圧下で溶媒を除去した。
残渣をN,N-ジメチルホルムアミド(560 μL)に溶解させ、アジ化ナトリウム(18.2 mg、0.280 mmol)を加え、80℃で1時間攪拌させた。その後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/Hexane=4:6)で精製することで、化合物9a(36.2 mg、収率:59%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.36-7.32 (m, 2H), 7.29-7.24 (m, 3H), 5.82 (s, 1 H), 5.41-5.36 (m, 1H), 4.29 (dd, J = 14.0 Hz, J = 1.9 Hz, 1H), 4.05 (dd, J = 14.0 Hz, J = 2.0 Hz, 1H), 3.83 (d, J = 18.9 Hz, 1H), 3.45 (s, 2H), 3.16 (dd, J = 19.2 Hz, J = 2.4 Hz, 1H), 3.00 (s, 1H), 2.92-2.89 (m, 2H), 2.79 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 2.49-2.45 (m, 2H), 2.32 (d, J = 5.0 Hz, 1H), 1.87-1.77 (m, 2H), 0.92 (s, 9H), 0.082 (s, 3H), 0.077 (s, 3H); HRMS (ESI) calcd for C24H38N5OSi+ [M+H+] 440.2840, found 440.2841.
【0225】
(C) 化合物9aから化合物10aの合成(R1 = Bn)
化合物9a (20.4 mg、0.0464 mmol)をTHF(500 μL)に溶解させ、水(50 μL)とトリフェニルホスフィン(18.3 mg、0.0696 mmol)を加えた。反応混合物を70℃で2.5時間攪拌した後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH/Et3N=92:8:1)により精製することで化合物10a(16.2 mg、収率:84%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.28-7.26 (m, 4H), 7.24-7.18 (m, 1H), 5.80 (s, 1H), 4.50-4.44 (m, 1H), 4.23 (dd, J = 14.1 Hz, J = 1.8 Hz, 1H), 4.04 (dd, J = 14.1 Hz, J = 2.0 Hz, 1H), 3.79 (dd, J = 19.1 Hz, J = 2.5 Hz, 1H), 3.41 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.37 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.14 (dd, J = 19.2 Hz, J = 2.3 Hz, 1H), 2.90-2.88 (m, 2H), 2.82 (d, J = 1.6 Hz, 1H), 2.77 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 2.43-2.40 (m, 2H), 2.18 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 1.64 (dd, J = 13.2 Hz, J = 5.3 Hz, 1H), 1.49-1.42 (m, 1H), 1.33 (bs, 2H), 0.89 (s, 9H), 0.053 (s, 3H), 0.048 (s, 3H); HRMS (ESI) calcd for C24H40N3OSi+ [M+H+] 414.2935, found 414.2943.
【0226】
(D) 化合物10aから化合物11aaの合成(R1 = Bn、R2 = Bn)
化合物10a (25.3 mg、0.0612 mmol)をジクロロメタン(250 μL)とN,N-ジメチルホルムアミド(60 μL)の混合液に溶かし、0℃に氷冷した。フェニル酢酸(10.3 mg、0.0757 mmol)、4-メチルモルホリン(20.3 μL、0.185 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(10.4 mg、0.679 mmol)、EDCI・HCl(16.9 mg、0.0882 mmol)をこの順番で加え、室温で2時間攪拌した。その後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、減圧下で溶媒を除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(AcOEt/Hexane=8:2から9:1)により精製することで、化合物11aa(27.6 mg、収率:85%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.45-7.43 (m, 2H), 7.36-7.32 (m, 4H), 7.28-7.26 (m, 2H), 7.24-7.21 (m, 2H), 5.90-5.82 (m, 2H), 5.63 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 3.90-3.76 (m, 3H), 3.56-3.42 (m, 4H), 3.13 (dd, J = 19.3 Hz, J = 2.0 Hz, 1H), 2.98 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.88 (s, 1H), 2.82-2.79 (m, 2H), 2.46-2.42 (m, 2 H), 2.32 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 1.65 (dd, J = 13.0 Hz, J = 5.5 Hz, 1H), 1.47-1.40 (m, 1H), 0.91 (s, 9H), 0.07 (s, 6H); HRMS (ESI) calcd for C32H46N3O2Si+ [M+H+] 532.3354, found 532.3360.
【0227】
(D) 化合物10aから化合物11abの合成(R1 = Bn、R2 = i-Bu)
化合物10a (60.7 mg、0.147 mmol)とイソ吉草酸を出発物質とし、上記手法と同様な方法で、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH=95:5から9:1)による精製後、化合物11ab(43.4 mg、収率:59%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.45 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.33 (dd, J = 7.4 Hz, J = 7.4 Hz, 2H), 7.21 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 5.95-5.84 (m, 3H), 4.07 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.99 (d, J = 13.4 Hz, 1H), 3.81 (d, J = 19.1 Hz, 1H), 3.49 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.45 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.17 (d, J = 19.0 Hz, 1H), 2.99 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 2.90 (s, 1H), 2.85-2.80 (m, 2H), 2.48-2.42 (m, 2H), 2.29-2.26 (m, 1H), 2.21-2.11 (m, 1H), 2.05-1.93 (m, 2H), 1.73 (dd, J = 13.2 Hz, J = 5.0 Hz, 1H), 1.54-147 (m, 1H), 0.96 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 0.94 (d, J = 7.0 Hz, 3H), 0.92 (s, 9H), 0.10 (s, 6H); HRMS (ESI) calcd for C29H48N3O2Si+ [M+H+] 498.3510, found 498.3519.
【0228】
(E) 化合物11aaから化合物12aaaの合成(R1 = Bn、R2 = Bn、R3 = Bn)
【化41】
化合物11aa (19.6 mg、0.0369 mmol)をアセトニトリル(300 μL)に溶解させ、リン酸水溶液(≧85 wt.%、200 μL)を加え、室温で1時間攪拌した。その後、飽和炭酸水素ナトリウムを加えて反応を停止し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。
残渣をジクロロメタン(400 μL)とN,N-ジメチルホルムアミド(100 μL)の混合液に溶解させ、フェニル酢酸(5.4 mg、0.040 mmol)、4-メチルモルホリン(12.3 μL、0.111 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(7.3 mg、0.048 mmol)、EDC・HCl(9.6 mg、0.050 mmol)をこの順番で加え、室温で2.5時間攪拌した。その後、反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc=100% から DCM/MeOH=95:5)で精製することで化合物12aaa(12.3 mg、収率:62%)を黄色液体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.45-7.19 (m, 15H), 6.14 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 5.93-5.87 (m, 1H), 5.50 (s, 1H), 4.33 (d, J = 14.3 Hz , 1H), 4.12 (dd, J = 14.4 Hz, J = 2.3 Hz, 1H), 3.71-3.65 (m, 3H), 3.56 (d, J = 14.7 Hz , 1H), 3.50 (d, J = 14.7 Hz , 1H), 3.45 (d, J = 13.2 Hz , 1H), 3.42 (d, J = 13.1 Hz , 1H), 3.02 (dd, J = 19.4 Hz, J = 2.3 Hz, 1H), 2.93 (d, J =11.2 Hz , 1H), 2.85 (s, 1H), 2.79-2.74 (m, 2H), 2.43-2.38 (m, 2H), 2.19 (d, J = 4.8 Hz , 1H), 1.58 (dd, J = 13.1 Hz, J = 5.5 Hz, 1H), 1.44-1.39 (m, 1H); HRMS (ESI) calcd for C34H38N3O3 + [M+H+] 536.2908, found 536.2908.
【0229】
(E) 化合物11aaから化合物12aabの合成(R1 = Bn、R2 = Bn、R3 = i-Bu)
【化42】
化合物11aa (29.3 mg、0.0551 mmol)とイソ吉草酸を出発物質とし、上記手法と同様な方法で、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc=100% から DCM/MeOH=95:5)による精製後、化合物12aab(9.4 mg、収率:34%)を黄色液体として得た。1H NMR (500 MHz, MeOD) δ 7.61-7.19 (m, 10H), 5.93-5.87 (m, 2H), 4.43 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 4.32 (d, J = 13.7 Hz, 1H), 3.72 (d, J = 19.3 Hz, 1H), 3.55-3.50 (m, 3H), 3.43 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.23 (d, J = 19.2 Hz, 1H), 3.04 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 2.96 (s, 1H), 2.81 (m, 2H), 2.47-2.44 (m, 3H), 2.22 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 2.11-2.05 (m, 1H), 1.78-1.72 (m, 1H), 1.56 (dd, J = 13.3 Hz, J = 5.3 Hz, 1H), 0.96-0.95 (m, 6H); HRMS (ESI) calcd for C31H40N3O3 + [M+H+] 502.3064, found 502.3072.
【0230】
(E) 化合物11abから化合物12abaの合成(R1 = Bn、R2 = i-Bu、R3 = Bn)
【化43】
化合物11ab (12.8 mg、0.0257 mmol)とフェニル酢酸を出発物質とし、上記手法と同様な方法で、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc=100% から DCM/MeOH=95:5)による精製後、化合物12aba(6.6 mg、収率:51%)を黄色液体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.46 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.36-7.26 (m, 7H), 7.23 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 6.25 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 5.97-5.91 (m, 1H), 5.48 (s, 1H), 4.65 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 4.29-4.26 (m, 1H), 3.72-3.68 (m, 3H), 3.47 (d, J = 13.7, 1H), 3.44 (d, J = 13.5, 1H), 3.03 (dd, J = 19.4 Hz, J = 2.1 Hz, 1H), 2.97 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.86 (s, 1H), 2.81-2.78 (m, 2H), 2.44-2.40 (m, 2H), 2.23-2.13 (m, 2H), 2.05-2.03 (m, 2H), 1.61 (dd, J = 13.2 Hz, J = 5.6 Hz, 1H), 1.50-1.44 (m, 1H), 0.95 (d, J = 5.3 Hz, 3H), 0.94 (d, J = 5.4 Hz, 3H); HRMS (ESI) calcd for C31H40N3O3 + [M+H+] 502.3064, found 502.3072。
【0231】
(E) 化合物11abから化合物12abbの合成(R1 = Bn、R2 = i-Bu、R3 = i-Bu)
【化44】
化合物11ab (13.9 mg、0.0279 mmolとイソ吉草酸を出発物質とし、上記手法と同様な方法で、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc=100% から DCM/MeOH=95:5)による精製後、化合物12abb(4.3 mg、収率:33%)を黄色液体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.47 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.35 (dd, J = 7.6 Hz, J = 7.6 Hz, 2H), 7.23 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 6.48 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 6.00-5.95 (m, 1H), 5.71 (s, 1H), 4.63 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 4.26 (dd, J = 14.6 Hz, J = 2.5 Hz, 1H), 3.79 (d, J = 18.7, 1H), 3.49 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 3..45 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 3.14 (dd, J = 19.3 Hz, J = 2.3 Hz, 1H), 3.00 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 2.89 (s, 1H), 2.85 (s, 1H), 2.81 (d, J = 10.7 Hz, 1H), 2.47-2.42 (m, 2H), 2.28 (d, J = 7.1 Hz, 2H), 2.24-2.23 (m, 1H), 2.21-2.03 (m, 4H), 1.65 (dd, J = 13.1 Hz, J = 5.4 Hz, 1H), 1.55-1.49 (m, 1H), 0.99-0.95 (m, 12H); HRMS (ESI) calcd for C28H42N3O3 + [M+H+] 468.3221, found 468.3229.
【0232】
(A) 化合物7aから化合物8bの合成(R1 = i-Bu)
化合物7a (350 mg、1.09 mmol)をジクロロエタン(5.0 mL)に溶解させ、イソブチルアルデヒド(250 μL、2.75 mmol)、酢酸(60 μL、1.05 mmol)、NaBH(OAc)3 (462 mg、2.18 mmol)を加えた。室温で40分間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Hexane/AcOEt=2:8)で精製することで化合物8b(349 mg、収率:85%)を無色液体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.80 (m, 1H), 4.03-4.00 (m, 3H), 3.35-3.31 (m, 2H), 3.15 (s, 1H), 2.79 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.75-2.70 (m, 2H), 2.64 (dt, J = 10.8 Hz, J = 2.3 Hz 1H), 2.41-2.37 (m, 2H), 2.12 (d, J = 15.6 Hz, 1H), 2.09-2.02 (m, 2H), 1.74-1.67 (m, 1H), 0,89 (s, 9H), 0.82 (d, J = 3.9 Hz, 3H), 0.81 (d, J = 3.9 Hz, 3H), 0.05 (s, 3H), 0.03 (s, 3H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 203.1, 137.4, 121.3, 66.3, 63.9, 60.2, 59.9, 57.4, 57.2, 54.4, 51.9, 38.9, 26.0, 25.8, 20.8, 20.7, 18.5, -5.28, -5.31; HRMS (ESI) calcd for C21H39N2O2Si+ [M+H+] 379.2775, found 379.2785.
【0233】
(B) 化合物8bから化合物9bの合成(R1 = i-Bu)
化合物8b (349 mg、0.922 mmol)を出発物質として、化合物9aと同様の方法により、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/Hexane = 4:6)で精製後、化合物9b (288 mg、0.710 mmol、3ステップで収率77%)を黄色液体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 5.79 (s, 1H), 5.31-5.27 (m, 1H), 4.26 (dd, J = 13.9 Hz, J = 1.9 Hz, 1H), 4.04 (dd, J = 14.0 Hz, J = 2.0 Hz, 1H), 3.79 (d, J = 18.2 Hz, 1H), 3.12 (dd, J = 19.2 Hz, J = 2.5 Hz, 1H), 2.96 (s, 1H), 2.85 (d, J = 4.0 Hz, 1H), 2.84 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 2.74 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 2.37-2.30 (m, 3H), 1.98 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 1.84-1.72 (m, 3H), 0.89 (s, 9H), 0.88-0.86 (m, 6H), 0.06 (s, 3H), 0.05 (s, 3H); HRMS (ESI) calcd for C21H40N5OSi+ [M+H+] 406.2997, found 406.3006.
【0234】
(C) 化合物9bから化合物10bの合成(R1 = i-Bu)
化合物9b (247 mg、0.609 mmol)を出発物質として、化合物10a同様の方法により、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH=95:5から9:1)で精製後、化合物10b(183 mg、収率:79%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.75 (s, 1H), 4.36-4.31 (m, 1H), 4.20 (dd, J = 14.1 Hz, J = 1.8 Hz, 1H), 4.01 (dd, J = 14.1 Hz, J = 2.1 Hz, 1H), 3.74 (dd, J = 19.1 Hz, J = 2.6 Hz, 1H), 3.09 (dd, J = 19.1 Hz, J = 2.4 Hz, 1H), 2.84-2.77 (m, 3H), 2.69 (d, J = 10.4 Hz, 1H), 2.32-2.27 (m, 2H), 2.15 (d, J = 4.6 Hz, 1H), 1.91 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 1.73-1.67 (m, 1H), 1.59 (dd, J = 13.1 Hz, J = 5.3 Hz, 1H), 1.45-1.37 (m ,1H), 1.17 (bs, 2H), 0.85 (s, 9H), 0.812 (d, J = 1.2 Hz, 3H), 0.80 (d, J = 1.2 Hz, 3H), 0.02 (s, 3H), 0.01 (s, 3H); HRMS (ESI) calcd for C21H42N3OSi+ [M+H+] 380.3092, found 380.3094.
【0235】
(D) 化合物10bから化合物11baの合成(R1 = i-Bu、R2 = Bn)
化合物10b(85.4 mg、0.225 mol)とトリエチルアミン(60 μL、0.430 mmol)をジクロロメタン(680 μL)に溶かし、0℃に氷冷した。フェニルアセチルクロリド(45 μL、0.340 mmol)を滴下した後、反応混合物を室温で2時間攪拌した。その後、飽和炭酸水素ナトリウムを加えて反応を停止し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(AcOEt/Hexane = 6:4 から DCM/MeOH = 95:5)で精製することにより、化合物11ba(90.9 mg、収率:81%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.32-7.29 (m, 2H), 7.25-7.22 (m, 3H), 5.81(s, 1H), 5.75-5.68 (m, 1H), 5.56 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 3.85-3.76 (m, 3H), 3.47 (s, 2H), 3.12 (dd, J = 19.3 Hz, J = 1.8 Hz, 1H), 2.96 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.88 (s, 1H), 2.80-2.77 (m, 2H), 2.36-2.33 (m, 3H), 1.99 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 1.83-1.75 (m, 1H), 1.65 (dd, J = 12.9 Hz, J = 5.3 Hz, 1H), 1.46-1.39 (m, 1H), 0.95 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 0.93 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.91 (s, 9H), 0.06 (s, 6H); HRMS (ESI) calcd for C29H48N3O2Si+ [M+H+] 498.3510, found 498.3518.
【0236】
(D) 化合物10bから化合物11bbの合成(R1 = i-Bu、R2 = i-Bu)
化合物10b (98.8 mg、0.260 mmol)とイソ吉草酸クロリドを出発物質とし、上記手法と同様な方法で、シリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH = 95/5 から 9/1)による精製後、化合物11bb(90.3 mg、収率:75%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 5.87-5.84 (m, 2H), 5.76-5.68 (m, 1H), 4.06 (dd, J = 13.3 Hz, J = 1.4 Hz, 1H), 3.99 (dd, J = 13.2 Hz, J = 1.2 Hz, 1H), 3.80 (d, J = 18.2 Hz, 1H), 3.16 (dd, J = 19.3 Hz , J = 1.7 Hz, 1H), 2.96 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 2.89 (s, 1H), 2.83-2.78 (m, 2H), 2.38-2.30 (m, 3H), 2.17-2.07 (m, 1H), 2.02-1.89 (m, 4H), 1.83-1.71 (m, 2H), 1.52-1.45 (m, 1H), 0.95-0.88 (m, 21H), 0.09 (s, 6H); HRMS (ESI) calcd for C26H50N3O2Si+ [M+H+] 464.3667, found 464.3667.
【0237】
(E) 化合物11baから化合物12baaの合成(R1 = i-Bu、R2 = Bn、R3 = Bn)
【化45】
化合物11ba (30.3 mg、0.0609 mmol)とフェニル酢酸を出発物質とし、化合物12aと同様の方法で、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc=100% から DCM/MeOH = 95:5)による精製後、化合物12baa (27.3 mg、0.0544 mmol、2ステップで収率89%)を黄色液体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.38-7.29 (m, 5H), 7.25-7.17 (m, 5H), 6.08 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 5.80-5.73 (m, 1H), 5.51 (s, 1H), 4.33 (d, J = 14.3 Hz, 1H), 4.12 (dd, J = 14.3 Hz, J = 2.3 Hz, 1H), 3.70-3.66 (m, 3H), 3.52 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 3.45 (d, J = 14.7 Hz, 1H), 3.01 (dd, J = 19.4 Hz, J = 2.4 Hz, 1H), 2.93 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.84 (s, 1H), 2.77 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 2.73 (s, 1H), 2.34-2.28 (m, 2H), 2.22 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 1.98 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 1.82-1.74 (m, 1H), 1.59 (dd, J = 13.1 Hz, J = 5.5 Hz, 1H), 1.44-1.38 (m, 1H), 0.97 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 0.94 (d, J = 6.5 Hz, 3H); HRMS (ESI) calcd for C31H40N3O3 + [M+H+] 502.3064, found 502.3076.
【0238】
(E) 化合物11baから化合物12babの合成(R1 = i-Bu、R2 = Bn、R3 = i-Bu)
【化46】
化合物11ba (27.5 mg、0.0552 mmol)とイソ吉草酸を出発物質とし、化合物12aと同様の方法で シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc=100% から DCM/MeOH = 95:5)による精製後、化合物12bab(14.8 mg、収率:57%)を黄色液体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.31-7.27 (m, 4H), 7.25-7.21 (m, 1H), 6.27 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 5.83-5.77 (m, 1H), 5.68 (s, 1H), 4.38 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.15-4.11 (m, 1H), 3.76 (d, d, J = 19.4 Hz, 1H), 3.55 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 3.49 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 3.10 (dd, J = 19.4 Hz, J = 2.5 Hz, 1H), 2.97 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.87 (m, 1H), 2.81-2.78 (m, 2H), 2.35-2.32 (m, 2H), 2.27-2.26 (m, 3H), 2.19-2.11 (m, 1H), 2.00 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 1.83-1.75 (m, 1H), 1.63 (dd, J = 13.1 Hz, J = 5.5 Hz, 1H), 1.49-1.43 (m, 1H), 1.01 (d, J = 1.5 Hz, 3H), 0.99 (d, J = 1.5 Hz, 3H), 0.97 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 0.95 (d, J = 6.5 Hz, 3H); HRMS (ESI) calcd for C28H42N3O3 + [M+H+] 468.3221, found 468.3225.
【0239】
(E) 化合物11bbから化合物12bbaの合成(R1 = i-Bu、R2 = i-Bu、R3 = Bn)
【化47】
化合物11bb (36.4 mg、0.0785 mmol)とフェニル酢酸を出発物質とし、化合物12aと同様の方法で、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc=100% から DCM/MeOH = 95:5)で精製後、化合物12bba(29.2 mg、収率:79%)を黄色液体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.36-7.28 (m, 5H), 6.17 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.83-5.76 (m, 1H), 5.49 (s, 1H), 4.65 (d, J = 14.3 Hz, 1H), 4.28 (dd, J = 14.5 Hz, J = 2.6 Hz, 1H), 3.71-3.68 (m, 3H), 3.03 (dd, J = 19.4 Hz, J = 2.5Hz, 1H), 2.96 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 2.86 (s, 1H), 2.81-2.77 (m, 2H), 2.34-2.31 (m, 2H), 2.23 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 2.17-2.10 (m, 1H), 2.05-1.95 (m, 4H), 1.83-1.75 (m, 1H), 1.63 (dd, J = 13.1 Hz, J = 5.5 Hz, 1H), 1.49-1.43 (m, 1H), 0.97 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.95 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.91 (d, J = 6.4 Hz, 3H), 0.90 (d, J = 6.4 Hz, 3H); HRMS (ESI) calcd for C28H42N3O3 + [M+H+] 468.3221, found 468.3228.
【0240】
(E) 化合物11bbから化合物12bbbの合成(R1 = i-Bu、R2 = i-Bu、R3 = i-Bu)
【化48】
化合物11bb (30.6 mg、0.0660 mmol)とイソ吉草酸を出発物質とし、化合物12aと同様の方法で、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc=100% から DCM/MeOH = 95:5)で精製後、化合物12bbb(15.4 mg。収率 54%)を黄色液体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 6.39 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.86-5.80 (m, 1H), 5.71 (s, 1H), 4.64 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 4.27 (dd, J = 14.5 Hz, J = 2.4 Hz, 1H), 3.79 (d, J = 19.2 Hz, 1H), 3.13 (dd, J = 19.3 Hz, J = 2.3 Hz, 1H), 2.99 (d, J = 11.2 Hz, 1H)。2.89 (s, 1H), 2.84-2.81 (m, 2H), 2.38-2.35 (m, 2H), 2.28-2.24 (m, 3H), 2.18-2.10 (m, 2H), 2.09-1.98 (m, 4H), 1.82-1.77 (m, 1H), 1.67 (dd, J = 13.1 Hz, J = 5.4 Hz, 1H), 1.69-1.65 (m, 1H), 0.99-0.91 (m, 18H); HRMS (ESI) calcd for C25H44N3O3 + [M+H+] 434.3377, found 434.3386.
【0241】
下記スキームのとおりに、化合物11aaから各化合物を合成した。
【化49】
(E) 化合物11aaから化合物11’aaの合成(R1 = Bn、R2 = Bn)
化合物11aa (521 mg、0.980 mmol)をMeCN (4.0 mL)に溶解し、リン酸水溶液(≧85 wt.%、2.0 mL)を加えて室温で1時間攪拌した。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH = 95:5から9:1)で精製すると、化合物11’aa(363 mg、収率:88%)が黄色非晶質として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.46-7.19 (m, 10 H), 6.81 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.90-5.84 (m, 2H), 3.89 (dd, J = 11.9 Hz, J = 0.8 Hz, 1H), 3.75 (d, J = 18.5 Hz, 1H), 3.67 (d, J = 11.9 Hz, 1H), 3.53-3.41 (m, 4H), 3.09 (d, J = 19.3 Hz, 1H), 2.94 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.84-2.76 (m, 4H), 2.47-2.40 (m, 2H), 2.30 (d, J = 4.3 Hz, 1H), 1.76 (dd, J = 13.1 Hz, J = 5.3 Hz, 1H), 1.45-1.37 (m, 1H); HRMS (ESI) calcd for C26H32N3O2 + [M+H+] 418.2489, found 418.2492.
【0242】
(E) 化合物11’aaから化合物12aacの合成(R1 = Bn、R2 = Bn、R3 = -CH2CH2CO2H)
【化50】
化合物11’aa (20.6 mg、0.0493 mmol)と無水コハク酸(5.9 mg、0.059 mmol、1.2当量)をトルエン(500 μL)に溶解し、DMAP(1.0 mg)を加えて80℃で1時間攪拌した。無水コハク酸(2.9 mg、0.029 mmol、0.59当量)を追加し、さらに20分間攪拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH = 98:2から85:15)で精製すると、化合物12aac(19.3 mg、収率:62%)が黄色非晶質として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.43-7.21 (m, 10H), 6.80 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 6.06-5.97 (m, 1H), 5.95 (s, 1H), 4.39 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 4.13 (d, J = 15.3 Hz, 1H), 3.87 (d, J = 18.7 Hz, 1H), 3.64-3.43 (m, 4H), 3.25-3.10 (m, 3H), 2.96 (d, J = 12.0 Hz, 1H), 2.81 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 2.72-2.56 (m, 6H), 2.28 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 1.77-1.63 (m, 2H); HRMS (ESI) calcd for C30H36N3O5 + [M+H+] 518.2649, found 518.2641.
【0243】
(E) 化合物11’aaから化合物12aadの合成(R1 = Bn、R2 = Bn、R3 = 4-OH-C6H4CH2-)
【化51】
酸塩化物13の合成: 2-(4-((4-メトキシベンジル)オキシ)フェニル)酢酸 (49.5 mg、0.182 mmol)(Rakowitz, D.; Angerer, H.; Barbara, M. Arch. Pharm. Chem. Life. Sci. 2006, 339, 547.)をDCM (1.0 mL)に懸濁し、塩化オキサリル(50 μL、0.583 mmol、3.2当量)とDMF (10 μL)を0℃で加えて1時間攪拌した。反応溶液を減圧下で濃縮することで、酸塩化物13を粗精製物として得た。
化合物11’aa (23.5 mg、0.0563 mmol)をDCM (200 μL)に溶解し、トリエチルアミン(100 μL)とトルエン(500 μL)に懸濁した酸塩化物13を0℃で加えた。反応溶液を室温で1時間攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去し、粗精製物を得た。
粗精製物をDCM (200 μL)に溶解させ、Et3SiH (200 μL)とトリフルオロ酢酸 (200 μL)を室温で加えた。1時間攪拌した後、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH = 95:5から85:15)で精製すると、化合物12aad(16.6 mg、収率:52%)が黄色液体として得られた。1H NMR (500 MHz,CDCl3) δ 7.43 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 7.33 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.29-7.21 (m, 6H), 7.13 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.73 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 6.29 (d, J = 10.0 Hz, 1H), 5.95-5.89 (m, 1H), 5.31 (s, 1H), 4.34 (d, J = 14.3 Hz, 1H), 4.10 (dd, J = 14.5 Hz, J = 2.4 Hz, 1H), 3.61-3.50 (m, 5H), 3.44 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.41 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 2.97-2.86 (m, 3H), 2.79-2.74 (m, 2H), 2.47-2.41 (m, 2H), 2.18 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 1.59 (dd, J = 13.2 Hz, J = 5.5 Hz, 1H), 1.44-1.39 (m, 1H); HRMS (ESI) calcd for C34H38N3O4 + [M+H+] 552.2857, found 552.2850.
【0244】
(E) 化合物11’aaから化合物12aaeの合成(R1 = Bn、R2 = Bn、R3 = -CH2CH2CONH2
【化52】
カルボン酸14の合成: 無水コハク酸(208 mg、2.08 mmol)とトリチルアミン(543 mg、2.09 mmol、1.0当量)をトルエン(8.0 mL)に溶解し、DMAP (20.7 mg、0.169 mmol、0.081当量)を加え、100℃で13時間攪拌した。反応溶液を6M NaOH水溶液で希釈し、Et2Oで洗浄した。水層を2M HCl水溶液で酸性にし、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残渣をEt2Oで洗浄し、カルボン酸14(379 mg。収率 50%)を白色固体として得た。化合物データは報告値と一致した (Skobridis, K. et al. ARKIVOC 2009, 277.)。
化合物12aaeの合成: 化合物11’aa (36.9 mg、0.0884 mmol、1.0当量)をDCM (360 μL)とDMF (90 μL)に溶解した。この溶液にカルボン酸(63.1 mg、0.176 mmol、2.0当量)、4-メチルモルホリン(29.3 μL、0.266 mmol、3.0当量)、HOBt・H2O (29.3 μL、0.266 mmol、3.0当量)および EDCI・HCl (32.2 mg、0.168 mmol、1.9当量)を加え、室温で攪拌した。化合物11’aaの消失がTLCで確認できるまで、カルボン酸、4-メチルモルホリン、HOBt・H2Oおよび EDCI・HClを繰り返し加えた。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去し、粗精製物を得た。
粗精製物をDCM (500 μL)に溶解させ、Et3SiH (500 μL)とトリフルオロ酢酸 (500 μL)を室温で加えた。1時間攪拌した後、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、溶媒を減圧下で除去した。残渣をpTLC (DCM/MeOH = 95:5)で精製すると、化合物12aae(24.9 mg、収率:55%)が白色固体として得られた。 1H NMR (500 MHz、CDCl3) δ 7.43-7.22 (m、10H)、6.06 (m、1H)、5.95-5.89 (m ,1H)、5.74 (s、2H)、5.59 (s、1H)、4.35 (d、J = 14.2 Hz、1H)、4.23 (d、J = 14.2 Hz、1H)、3.85 (d、J = 19.1 Hz、1H)、3.58 (d、J = 15.0 Hz、1H)、3.53 (d、J = 15.0 Hz、1H)、3.46 (s、2H)、3.16 (d、J = 19.1 Hz、1H)、3.00-2.91 (m、3H)、2.80 (d、J = 10.8 Hz、1H)、2.81-2.65 (m、2H)、2.56-2.49 (m、4H)、2.38 (s、1H)、1.62 (dd、J = 13.3 Hz、J = 8.0 Hz、1H)、1.51-1.45 (m、1H); HRMS (ESI) calcd for C30H37N4O4 + [M+H+] 517.2809、found 517.2811.
【0245】
(E) 化合物11’aaから化合物12aafの合成(R1 = Bn、R2 = Bn、R3 = 3-インドリル-CH2-)
【化53】
カルボン酸15の合成: 文献記載の方法によって合成した。(Papaioannou, D. et al. J. Org. Chem. 2019, 84, 15118.)
化合物12aafの合成: 上記手法と同様な方法により、化合物11’aa(22.1 mg、0.0529 mmol)を出発物質とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc = 1:9からDCM/MeOH = 97:3)で精製することで、化合物12aaf(11.0 mg、収率:36%)を無色液体として得た。1H NMR (500 MHz,CD3OD) δ 7.53 (dt, J = 7.9 Hz, J = 0.9 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 7.0 Hz, 2H), 7.34-7.16 (m, 10H), 7.06-7.03 (m, 1H), 6.97-6.94 (m, 1H), 5.84-5.80 (m, 1H), 5.63 (s, 1H), 4.41 (d, J = 13.4 Hz, 1H), 4.28 (dd, J = 13.5 Hz, J = 1.8 Hz, 1H), 3.79 (dd, J = 15.2 Hz, J = 0.7 Hz, 1H), 3.75 (dd, J = 15.1 Hz, J = 0.7 Hz, 1H), 3.57-3.43 (m, 5H), 3.06 (d, J = 19.2 Hz, 1H), 2.93 (s, 1H), 2.79 (d, J = 11.5 Hz, 2H), 2.49 (s, 1H), 2.40 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 2.30-2.27 (m, 2H), 1.69-1.63 (m, 1H), 1.52 (dd, J = 13.5 Hz, J = 5.6 Hz, 1H); HRMS (ESI) calcd for C36H39N4O3 + [M+H+] 575.3017, found 575.3017.
【0246】
(E) 化合物11’aaから化合物12aagの合成(R1 = Bn、R2 = Bn、R3 = 3-インドリル-CH2-)
【化54】
カルボン酸16の合成: 文献に記載の方法により、合成した。(LaSala, D. et al. ACS Med. Chem. Lett. 2013, 4, 1203.)
化合物12aagの合成: 化合物11’aa (24.6 mg、0.0599 mmol)をDCM (240 μL)とDMF (60 μL)に溶解した。この溶液にカルボン酸16 (44.3 mg、0.120 mmol、2.0当量)、4-メチルモルホリン(19.8 μL、0.180 mmol、3.0当量)、HOBt・H2O (18.6 mg、0.121 mol、2.0当量)および EDCI・HCl (24.6 mg、0.128 mmol、2.1当量)を加え、室温で攪拌した。化合物11’aaの消失がTLCで確認できるまで、カルボン酸、4-メチルモルホリン、HOBt・H2Oおよび EDCI・HClを繰り返し加えた。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去し、粗精製物を得た。
粗精製物をDCM (500 μL)に溶解させ、Et3SiH (500 μL)とトリフルオロ酢酸 (500 μL)を室温で加えた。1時間攪拌した後、反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH = 95:5 から85:15)で精製すると、化合物12aag(21.4 mg、収率:57%)のトリフルオロ酢酸塩が非晶質として得られた。1H NMR (500 MHz,CD3OD) δ 8.02 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.41-7.20 (m, 10H), 7.15 (s, 1H), 5.97-5.92 (m, 2H), 4.50 (dd, J = 14.0 Hz, J = 1.3 Hz, 1H), 4.46 (dd, J = 14.0 Hz, J = 1.8 Hz, 1H), 4.08 (d, J = 18.6 Hz, 1H), 3.76-3.66 (m, 3H), 3.58-3.49 (m, 5H), 3.36 (s, 1H), 3.19 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 3.05 (d, J = 12.4 Hz, 1H), 2.78 (dd, J = 5.2 Hz, J = 1.7 Hz, 1H), 2.68 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 2.64 (dd, J = 12.9 Hz, J = 3.6 Hz, 1H), 2.06-2.00 (m, 1H), 1.85 (dd, J = 14.2 Hz, J = 5.5 Hz, 1H); HRMS (ESI) calcd for C31H36N5O3 + [M+H+] 526.2813, found 526.2816.
【0247】
(E) 化合物11’aaから化合物12aahの合成(R1 = Bn、R2 = Bn、R3 = H2N(CH2)4-)
【化55】
カルボン酸17の合成: 文献記載の方法により、合成した。(Davis, B. G. et al. J. Am. Chem. Soc. 2018, 140, 14599.)
化合物12aahの合成: 上記手法と同様な方法により、化合物11’aa (24.9 mg、0.0596 mmol)を出発物質とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH = 9:1 から 85:15)で精製することで、化合物12aah(20.8 mg。収率 55%)のトリフルオロ酢酸塩を非晶質として得た。1H NMR (400 MHz,CD3OD) δ 7.94 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.41-7.24 (m, 9H), 6.02-5.94 (m, 2H), 4.48 (s, 2H), 4.18 (d, J = 18.2 Hz, 1H), 3.80 (d, J = 19.1 Hz, 1H), 3.66-3.51 (m, 6H), 3.25 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 3.08 (d, J = 12.5 Hz, 1H), 2.94-2.85 (m, 3H), 2.75-2.68 (m, 2H), 2.41 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 2.13-2.06 (m, 1H), 1.92 (dd, J = 14.2 Hz, J = 5.6 Hz, 1H), 1.69-1.63 (m, 4H); HRMS (ESI) calcd for C31H41N4O3 + [M+H+] 517.3173, found 517.3173.
【0248】
(E) 化合物11’aaから化合物12aaiの合成(R1 = Bn、R2 = Bn、R3 = Ph)
【化56】
化合物11’aa (19.9 mg、0.0477 mmol)とトリエチルアミン(13.3 μL、0.0954、2.0当量)をDCM(500 μL)に溶解させ、塩化ベンゾイル(6.6 μL、0.057 mmol、1.2当量)を0℃で加えた。室温で1時間攪拌した後、同量のトリエチルアミンと塩化ベンゾイルを追加し、さらに20分間攪拌した。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/EtOAc = 5:95から DCM/MeOH = 95:5)で精製すると、化合物12aai(18.0 mg、収率:72%)が黄色液体として得られた。1H NMR (400 MHz, MeOD) δ 8.03 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.65-7.16 (m, 13H), 5.98-5.94 (m, 2H), 4.68 (d, J = 13.8 Hz, 1H), 4.55 (d, J = 13.9 Hz, 1H), 3.76 (d, J = 19.2 Hz, 1H), 3.56-3.51 (m, 3H), 3.43 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.29-3.24 (m, 1H), 3.08 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 3.00 (s, 1H), 2.92 (s, 1H), 2.83 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 2.59 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 2.50-2.45 (m, 2H), 1.85-1.77 (m, 1H), 1.60 (dd, J = 13.4 Hz, J = 5.4 Hz, 1H); HRMS (ESI) calcd for C33H36N3O3 + [M+H+] 522.2751, found 522.2747.
【0249】
(E) 化合物11’aaから化合物12aajの合成(R1 = Bn、R2 = Bn、R3 = シクロヘキシル)
【化57】
上記手法と同様な方法により、化合物11’aa (22.3 mg、0.0534 mmol)とシクロヘキサンカルボニルクロリド(8.7 μL、0.064 mmol、1.2当量)を出発物質とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc = 5:95からDCM/MeOH = 95:5)で精製することで、化合物12aaj(10.3 mg、収率:37%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.45 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.37-7.21 (m, 8H), 6.41 (d, J = 9.9 Hz, 1H), 5.98-5.90 (m, 1H), 5.64 (s, 1H), 4.34 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 4.10 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 3.79 (d, J = 18.9 Hz, 1H), 3.59 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.52 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 3.45 (s, 2H), 3.11 (dd, J = 19.2 Hz, J = 1.8 Hz, 1H), 2.98 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 2.90 (s, 1H), 2.84-2.78 (m, 2H), 2.48-2.46 (m, 2H), 2.37 (tt, J = 11.3 Hz, J = 3.4 Hz, 1H), 2.23 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 1.95 (m, 2H), 1.81-1.78 (m, 2H), 1.69-1.59 (m, 2H), 1.52-1.43 (m, 3H), 1.37-1.21 (m, 3H); HRMS (ESI) calcd for C33H42N3O3 + [M+H+] 528.3221, found 528.3211.
【0250】
【化58】
(D) 化合物10aから化合物11acの合成(R1 = Bn、R2 = Trt-イミダゾリル-CH2-)
【化59】
化合物11aaと同様な方法により、化合物10a (104 mg、0.251 mmol)とカルボン酸 (140 mg)を出発物質とし、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane/EtOAc = 6:4からDCM/MeOH = 9:1)で精製することで、化合物11ac(166 mg。収率 86%)を黄色液体として得た。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.44 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.34-7.31 (m, 11H), 7.21 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.12-7.10 (m, 6H), 6.86 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 6.69 (s, 1H), 5.87-5.81 (m, 2H), 4.12 (dd, J = 13.8 Hz, J = 1.5 Hz, 1H), 3.94 (d, J = 13.9 Hz, 1H), 3.83 (d, J = 19.0 Hz, 1H), 3.50-3.42 (m, 4H), 3.16 (dd, J = 19.2 Hz, J = 1.9 Hz, 1H), 3.03 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.94-2.87 (m, 1H), 2.83-2.78 (m, 2H), 2.47-2.44 (m, 3H), 1.60-1.51 (m, 2H), 0.85 (s, 9H), 0.008 (s, 3H), 0.009 (s, 3H); HRMS (ESI) calcd for C48H58N5O2Si+ [M+H+] 764.4354, found 764.4347.
【0251】
(E) 化合物11acから化合物12acaの合成(R1 = Bn、R2 = Trt-イミダゾリル-CH2-、R3 = Bn)
【化60】
化合物11ac(88.8 mg、0.116 mmol)をTHF (300 μL)に溶解し、TBAF (THF中1.0 M、230 μL、0.23 mmol、2.0当量)を加え、室温で30分間撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去し、粗精製物を得た。
粗精製物をDCM (460 μL)とDMF (120 μL)に溶解した。この溶液にフェニル酢酸(31.0 mg)、4-メチルモルホリン(38.4 μL、0.349 mmol、3.0当量)、HOBt・H2O (36.0 mg、0.235 mol、2.0当量)および EDCI・HCl (49.0 mg、0.257 mmol、2.2当量)を加え、室温で攪拌した。粗精製物の消失がTLCで確認できるまで、フェニル酢酸、4-メチルモルホリン、HOBt・H2Oおよび EDCI・HClを繰り返し加えた。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去し、粗精製物を得た。
粗精製物をDCM (200 μL)に溶解させ、Et3SiH (200 μL)とトリフルオロ酢酸 (600 μL)を室温で加えた。1時間攪拌した後、反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM/MeOH = 95:5から9:1)で精製すると、化合物12aca(17.4 mg、収率:29%)が黄色液体として得られた。1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 7.44-7.41 (m, 3H), 7.34-7.30 (m, 4H), 7.27-7.25 (m, 3H), 7.22 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 6.78 (s, 1H), 6.73 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 5.91-5.84 (m, 1H), 5.63 (s, 1H), 4.32 (d, J = 13.8 Hz, 1H), 4.13 (dd, J = 13.7 Hz, J = 1.5 Hz, 1H), 3.71 (d, J = 19.5 Hz, 1H), 3.63 (s, 2H), 3.54 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 3.50 (d, J = 16.4 Hz, 1H), 3.46 (d, J = 13.2 Hz, 1H), 3.41 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.06 (dd, J = 19.4 Hz, J = 1.8 Hz, 1H), 2.93 (d, J = 11.3 Hz, 1H), 2.87 (s, 1H), 2.79 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 2.72 (s, 1H), 2.43 (d, J = 10.5 Hz, 1H), 2.38 (dd, J = 11.3 Hz, J = 3.7 Hz, 1H), 2.27 (d, J = 4.7 Hz, 1H), 1.60 (dd, J = 13.0 Hz, J = 5.5 Hz, 1H), 1.53-1.47 (m, 1H); HRMS (ESI) calcd for C31H36N5O3 + [M+H+] 526.2813, found 526.2806.
【0252】
(E) 化合物10aから化合物11’adの合成(R1 = Bn、R2 = Trt-NHCOCH2CH2-)
【化61】
化合物10a (82.7 mg、0.200 mmol)をDCM (800 μL)とDMF (200 μL)に溶解し、カルボン酸14(105 mg、0.292 mmol、1.5当量)、4-メチルモルホリン(70 μL、0.637 mmol、3.2当量)、HOBt・H2O (41.3 mg、0.270 mmol、1.4当量)および EDCI・HCl (55.5 mg、0.290 mmol、1.5当量)を0℃で加え、室温で8時間攪拌した。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をpTLC (DCM/MeOH = 93:7)により精製することで アミドを粗精製物(118 mg)として得た。
粗精製物(118 mg)をTHF (600 μL)に溶解し、TBAF (THF中1.0 M、400 μL、0.40 mmol、2.0当量)を加え、室温で1時間撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残渣を分取用TLC (DCM/MeOH = 98:2)で精製すると、化合物11’ad(38.8 mg、収率:30%)が白色固体として得られた。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.63 (s, 1H), 7.46-7.42 (m, 3H), 7.28-7.18 (m, 16H), 5.76 (s, 1H), 5.64-5.59 (m, 1H), 4.80 (t, J = 5.3 Hz, 1H), 3.81 (dd, J = 13.4 Hz, J = 4.6 Hz, 1H), 3.74 (dd, J = 13.0 Hz, J = 3.3 Hz, 1H), 3.61 (d, J = 19.0 Hz, 1H), 3.49 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 3.39 (d, J = 13.7 Hz, 1H), 3.09 (d, J = 18.8 Hz, 1H), 2.88-2.86 (m, 2H), 2.75 ((d, J = 9.9 Hz, 1H), 2.65 (s, 1H), 2.60-2.54 (m, 1H), 2.47-2.41 (m, 1H), 2.36 (d, J = 9.5 Hz, 1H), 2.31-2.17 (m, 4H), 1.58-1.53 (m, 1H), 1.43 (dd, J = 12.6 Hz, J = 5.2 Hz, 1H); HRMS (ESI) calcd for C41H45N4O3 + [M+H+] 641.3486, found 641.3484.
【0253】
(E) 化合物11’adから化合物12adaの合成(R1 = Bn、R2 = Trt-NHCOCH2CH2-、R3 = Bn)
【化62】
化合物11’ad (28.5 mg、0.0445 mmol)をDCM(220 μL)に懸濁し、フェニル酢酸(12.3 mg)、4-メチルモルホリン(14.7 μL、0.134 mmol、3.0当量)、HOBt・H2O (15.9 mg、0.104 mol、2.3当量)および EDCI・HCl (17.9 mg、0.0934 mmol、2.1当量)を加え、室温で攪拌した。化合物11’adの消失がTLCで確認できるまで、フェニル酢酸、4-メチルモルホリン、HOBt・H2Oおよび EDCI・HClを繰り返し加えた。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去し,粗精製物を得た。
粗精製物をDCM (200 μL)に溶解させ、Et3SiH (200 μL)とトリフルオロ酢酸 (200 μL)を室温で加えた。1時間攪拌した後、反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc 100%からDCM/MeOH = 95:5)で精製すると、化合物12ada(16.1 mg、収率:70%)が黄色液体として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.42-7.27 (m, 9H), 7.25-7.21 (m, 1H), 6.52 (d, J = 9.8 Hz, 1H), 6.38 (bs, 1H), 5.92-5.84 (m, 1H), 5.52 (s, 1H), 5.40 (bs, 1H), 4.61 (d, J = 14.4 Hz, 1H), 4.32 (dd, J = 14.4 Hz, J = 2.3 Hz, 1H), 3.72-3.64 (m, 3H), 3.44 (s, 2H), 3.03 (dd, J = 19.4 Hz, J = 2.3 Hz, 1H), 2.95 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.87 (s, 1H), 2.80-2.77 (m, 2H), 2.62-2.47 (m, 4H), 2.44-2.40 (m, 2H), 2.22 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 1.60 (dd, J = 13.2 Hz, J = 5.6 Hz, 1H), 1.52-1.45 (m, 1H); HRMS (ESI) calcd for C30H37N4O4 + [M+H+] 517.2809, found 517.2811.
【0254】
(D) 化合物10aから化合物11aeの合成(R1 =Bn、R2 = t-BuO)
【化63】
化合物10a (47.4 mg、0.115 mmol)をDCM (500 μL)に溶解させ、Boc2O (46.6 mg、0.214 mmol、1.9当量)とDMAP (1.0 mg)を加え、室温で30分間攪拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc = 6:4からEtOAc 100%)で精製すると、化合物11ae(38.4 mg。収率 65%)が白色固体として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.41 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.33-7.30 (m, 2H), 7.22 (t, J = 7.3 Hz, 1H), 5.84 (s, 1H), 5.48 (s, 1H), 4.85 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.08 (d, J = 14.5 Hz, 1H), 4.02 (d, J = 13.6 Hz, 1H), 3.81 (d, J = 19.1 Hz, 1H), 3.49 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.44 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.16 (d, J = 19.2 Hz, 1H), 2.99-2.91 (m, 2H), 2.83-2.81 (m, 2H), 2.49-2.45 (m, 2H), 2.36 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 1.74 (dd, J = 13.0 Hz, J = 5.0 Hz, 1H), 1.46 (m, 10H), 0.92 (s, 9H), 0.10 (s, 6H); HRMS (ESI) calcd for C29H48N3O3Si+ [M+H+] 514.3459, found 514.3456.
【0255】
(E) 化合物11aeから化合物12aeaの合成(R1 = Bn、R2 = t-Bu0、R3 = Bn)
【化64】
化合物11ae (31.8 mg、0.0619 mmol)をTHF (400 μL)に溶解し、TBAF (THF中1.0 M、120 μL、0.12 mmol、1.9当量)を加え、室温で15分間撹拌した。反応溶液を飽和塩化アンモニウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で除去することで、アルコールを粗精製物として得た。
粗精製物をDCM (240 μL)とDMF (60 μL)に溶解した。この溶液にフェニル酢酸(16.9 mg)、4-メチルモルホリン(20.4 μL、0.186 mmol、3.0当量)、HOBt・H2O (19.0 mg、0.124 mol、2.0当量)および EDCI・HCl (23.7 mg、0.124 mmol、2.0当量)を加え、室温で攪拌した。粗精製物の消失がTLCで確認できるまで、フェニル酢酸、4-メチルモルホリン、HOBt・H2Oおよび EDCI・HClを繰り返し加えた。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で希釈し、水層を酢酸エチルで3回抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過後、溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc = 5:95からDCM/MeOH = 95:5)で精製すると、化合物12aea(20.3 mg、収率:63%)が黄色液体として得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.40-7.24 (m, 10H), 5.69 (s, 1H), 5.54 (s, 1H), 4.71 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.57 (d, J = 13.4 Hz, 1H), 4.41 (d, J = 13.4 Hz, 1H), 3.76 (d, J = 19.3 Hz, 1H), 3.67 (s, 2H), 3.51 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.42 d, J = 12.4 Hz, 1H), 3.08 (d, J = 19.6 Hz, 1H), 2.98-2.88 (m, 2H), 2.80-2.74 (m, 2H), 2.48-2.46 (m, 3H), 1.67 (dd, J = 13.2 Hz, J = 5.4 Hz, 1H), 1.46 (m, 10H); HRMS (ESI) calcd for C31H40N3O4 + [M+H+] 518.3013, found 518.3002.
【0256】
化合物12cbbおよび化合物12caaの合成
【化65】
(A) 化合物8cの合成(R1 =4-(t-BuO)C6H4CH2
【化66】
化合物7 (753 mg、2.34 mmol)と4-tert-ブチルベンズアルデヒドを出発物質として、化合物8aと同様な方法により、シリカゲルクロマトグラフィー(Hexane/EtOAc = 7:3 to 5:5)で精製後、化合物8c(1.08 g、収率:95%)を黄色液体として得た。1H NMR (500 MHz、CDCl3) δ 7.02 (d、J = 8.5 Hz、2H)、6.85 (d、J = 8.5 Hz、2H)、5.72 (s、1H)、3.94-3.92 (m、3H)、3.39 (d、J = 13.2 Hz、1H)、3.35 (d、J = 13.3 Hz、1H)、3.26-3.22 (m、2H)、3.07 (s、1H)、2.73 (d、J = 11.2 Hz、1H)、2.66-2.62 (m、2H)、2.54 (d、J = 10.8 Hz、1H)、2.35-2.32 (m、2H)、2.01 (d、J = 15.5 Hz、1H)、1.24 (s、9H)、0.81 (s、9H)、-0.02 (s、3H)、-0.04 (s、3H); HRMS (ESI) calcd for C28H45N2O3Si+ [M+H+] 485.3194、found 485.3195.
【0257】
(B) 化合物9cの合成(R1 =4-(t-BuO)C6H4CH2
【化67】
化合物8c (996 mg、2.05 mmol) を出発物質として、化合物9aと同様な方法により、シリカゲルクロマトグラフィー(Hexane/EtOAc = 7:3から6:4)で精製後、化合物9c(616 mg、収率:59%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.14 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 6.93 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 5.80 (s, 1H), 5.38-5.33 (m, 1H), 4.27 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.04 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 3.80 (d, J = 19.1 Hz, 1H), 3.38 (s, 2H), 3.14 (d, J = 19.1 Hz, 1H), 2.98 (s, 1H), 2.88-2.86 (m, 2H), 2.76 (d, J = 10.6 Hz, 1H), 2.44-2.41 (m, 2H), 2.29 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 1.84-1.74 (m, 2H), 1.33 (s, 9H), 9.37 (s, 9H), 0.06 (s, 6H); HRMS (ESI) calcd for C28H46N5O2Si+ [M+H+] 512.3415, found 512.3414.
【0258】
(C) 化合物10cの合成(R1 =4-(t-BuO)C6H4CH2
【化68】
化合物9c (576 mg、1.13 mmol) を出発物質として、化合物10aと同様な方法により、シリカゲルクロマトグラフィー(Hexane/EtOAc = 7:3から6:4)で精製後、化合物10c(413 mg、収率:75%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.12 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.87 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 5.77 (s, 1H), 4.48-4.43 (m, 1H), 4.20 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.02 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 3.76 (d, J = 18.9 Hz, 1H), 3.34 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.29 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.11 (d, J = 19.2 Hz, 1H), 2.87-2.72 (m, 4H), 2.39-2.35 (m, 2H), 2.16 (d, J = 4.4 Hz, 1H), 1.64-1.39 (m, 4H), 1.29 (s, 9H), 0.86 (s, 9H), 0.03 (s, 3H), 0.02 (s, 3H); HRMS (ESI) calcd for C28H48N3O2Si+ [M+H+] 486.3510, found 486.3511.
【0259】
(D) 化合物11cbの合成(R1 = 4-(t-BuO)C6H4CH2-、R2 = i-Bu)
【化69】
化合物10c (108 mg、0.222 mmol)とイソ吉草酸 (35.0 μL、0.287 mmol、1.3当量) を出発物質として、化合物11と同様な方法により、シリカゲルクロマトグラフィー(Hexane/EtOAc = 3:7 からDCM/MeOH = 95:5)で精製後、化合物11cb(85.2 mg、収率:67%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.31 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 6.94 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 5.95-5.84 (m, 3H), 4.07 (d, J =13.9 Hz, 1H), 3.99 (d, J =13.2 Hz, 1H), 3.82 (d, J =19.4 Hz, 1H), 3.44 (d, J =13.1 Hz, 1H), 3.39 (d, J =13.0 Hz, 1H), 3.17 (d, J =19.4 Hz, 1H), 2.99-2.91 (m, 2H), 2.80 (m, 2H), 2.48-2.42 (m, 2H), 2.29 (d, J = 3.7 Hz, 1H), 2.18-2.10 (m, 1H), 2.04-1.92 (m, 2H), 1.72 (dd, J = 13.2 Hz, J = 5.2 Hz, 1H), 1.54-1.46 (m, 1H), 1.31 (s, 9H), 0.96-0.91 (m, 15H), 0.09 (s, 6H); HRMS (ESI) calcd for C33H56N3O3Si+ [M+H+] 570.4085, found 570.4085.
【0260】
(E) 化合物11cbから化合物12cbbの合成(R1 = 4-(i-BuCO2)C6H4CH2-、R2 = i-Bu、R3 = i-Bu)
【化70】
化合物11cb (34.8 mg、0.0611 mmol)を出発物質として、化合物13と同様な方法により、pTLC (EtOAc 100%)で精製後、化合物12cbb(17.4 mg、収率:50%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.48 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.06 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.54 (d, J = 10.2 Hz, 1H), 6.01-5.91 (m, 1H), 5.71 (s, 1H), 4.63 (d, J = 14.3 Hz, 1H), 4.27 (dd, J = 14.6 Hz, J = 2.2 Hz, 1H), 3.82 (d, J = 19.4 Hz, 1H), 3.45 (s, 2H), 3.15 (dd, J = 19.3 Hz, J = 2.1 Hz, 1H), 3.00 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.92-2.81 (m, 3H), 2.47 (m, 2H), 2.41 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 2.29-2.13 (m, 6H), 2.09-2.01 (m, 2H), 1.67 (dd, J = 13.2 Hz, J = 5.5 Hz, 1H), 1.57-1.49 (m, 1H), 1.06-0.94 (m, 18H); HRMS (ESI) calcd for C33H50N3O5 + [M+H+] 568.3745, found 568.3746.
【0261】
(D) 化合物11caの合成(R1 = 4-(t-BuO)C6H4CH2-、R2 = Bn)
【化71】
化合物10c (125 mg、0.257 mmol)とフェニル酢酸を出発物質として、化合物11aaと同様な方法により、pTLC(DCM/MeOH = 9:1)で精製後、化合物11ca(73.9 mg、収率:47%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.35-7.24 (m, 7H), 6.95 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 5.87-5.81 (m, 2H), 5.63 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 3.90-3.78 (m, 3H), 3.54 (d, J = 16.2 Hz, 1H), 3.50 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 3.43 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 3.39 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 3.13 (dd, J = 19.2 Hz, J = 1.8 Hz, 1H), 2.98 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 2.89 (s, 1H), 2.80-2.77 (m, 2H), 2.46-2.41 (m, 2H), 2.32 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 1.64 (dd, J = 13.0 Hz, J = 5.4 Hz, 1H), 1.47-1.40 (m, 1H), 1.32 (s, 9H), 0.91 (s, 9H), 0.06 (s, 6H); HRMS (ESI) calcd for C36H54N3O3Si+ [M+H+] 604.3929, found 604.3924.
【0262】
(E) 化合物11caから化合物12caaの合成(R1 = 4-(OH)C6H4CH2-、R2 = Bn、R3 = Bn)
【化72】
化合物11ca (25.0 mg、0.0414 mmol)を出発物質として、化合物12acaと同様な方法により、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc 100%からDCM/MeOH = 95:5)で精製後、化合物12caa(19.1 mg。収率 84%)を黄色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.37-7.17 (m, 12H), 6.81 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 6.31 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 5.93-5.85 (m, 1H), 5.49 (s, 1H), 4.30 (d, J = 14.0 Hz, 1H), 4.11 (dd, J = 14.1 Hz, J = 1.7 Hz, 1H), 3.71-3.66 (m, 3H), 3.58 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 3.50 (d, J = 14.6 Hz, 1H), 3.34 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 3.30 (d, J = 12.6 Hz, 1H), 3.00 (dd, J = 19.2 Hz, J = 2.0 Hz, 1H), 2.92-2.89 (m, 1H), 2.85 (s, 1H), 2.77-2.74 (m, 2H), 2.40-2.34 (m, 2H), 2.17 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 1.56 (dd, J = 13.4 Hz, J = 4.5 Hz, 1H), 1.44-1.37 (m, 1H); HRMS (ESI) calcd for C34H38N3O4 + [M+H+] 552.2857, found 552.2859.
【0263】
実施例2:抗狂犬病ウイルス活性評価法
上記実施例において、DMSOにて10 mMストックとして調製された各被検化合物は、まず100 μMもしくは40 μMとなるように10%牛胎仔血清添加イーグル培地(以下、培地)で希釈し、それから目的の終濃度となるようにさらに培地で希釈を行い、その希釈液50 μlを96穴プレートの各穴に滴下した。さらにその各穴に、Gaussia Luciferase(GLuc)を発現する組換え狂犬病ウイルス1088株(1088/GLuc)4×102感染単位およびNeuro-2a細胞4×104個を含む培地50 μlを添加し、多連式マイクロプレートミキサーNS-4P(アズワン社製)にて30秒間振盪後、37℃かつ5%CO2存在下で3日間培養した。培養後、プレートの各穴にルシフェラーゼの基質となるセレンテラジン25 μlを滴下し、直ちに発光プレートリーダー LuMate(Awareness Technology社製)に装填して10秒間の振盪を行った後、相対発光量(RLU)の測定を行った。
【0264】
下表は、上記実施例において合成した、式XIIの化合物の抗狂犬病活性試験の結果を示す。IC50が5μM以下であればA、5μM超かつ10μM以下であればB、10μM超かつ30μM未満であればCと分類する。naは、該当なしを意味する。いくつかの化合物は、抗狂犬病ウイルス剤として検討されているT-705(商品名:ファビピラビル、IC50値=30μM)より高い活性を示すことが分かった。
下表は、式XIIの化合物の抗狂犬病活性を示す。IC50が5μM以下であればA、5μM超かつ10μM以下であればB、10μM超かつ30μM以下であればCと分類する。naは、該当なしを意味する。
【表1】
【0265】
(注記)
以上のように、本開示の好ましい実施形態を用いて本開示を例示してきたが、本開示は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および他の文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0266】
本開示は、新規化合物を提供し、この化合物は、製薬、農業等でその利用を見出す。