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  • 特開-キャリパーゲージ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022091495
(43)【公開日】2022-06-21
(54)【発明の名称】キャリパーゲージ
(51)【国際特許分類】
   G01B 3/24 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
G01B3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020204363
(22)【出願日】2020-12-09
(71)【出願人】
【識別番号】515085923
【氏名又は名称】株式会社カセダ
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】加世田 光義
【テーマコード(参考)】
2F061
【Fターム(参考)】
2F061AA16
2F061AA31
2F061AA32
2F061AA33
2F061DD22
2F061FF07
2F061FF10
2F061FF36
2F061FF43
2F061FF73
2F061GG08
2F061GG13
2F061HH04
2F061JJ61
2F061JJ67
2F061JJ71
2F061SS02
2F061VV46
(57)【要約】
【課題】特に狭い場所にある物品の高さや長さを、より簡便かつ正確に測定できるキャリパーゲージを提供すること。
【解決手段】キャリパーゲージの2本のアームのそれぞれの先端に1つずつの測定子を有し、かつ、それぞれのアームから、アームが可動する面と平行に、2つの測定子が同方向に延びた構造を有するキャリパーゲージ。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリパーゲージの2本のアームのそれぞれの先端に1つずつの測定子を有し、かつ、それぞれのアームから、アームが可動する面と平行に、2つの測定子が同方向に延びた構造を有するキャリパーゲージ。
【請求項2】
2本のアームが固定アームと可動アームからなる請求項1に記載のキャリパーゲージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に幅や高さ等を測定するキャリパーゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~4に示すように、管の内径や間隔、物体の幅や厚さ等を測定するキャリパーゲージは公知である。このようなキャリパーゲージは図1及び2に示すものである。
キャリパーゲージは、その2本のアーム先端部に設けた測定子を対象物に接触させて、アーム先端同士の間隔を測定するので、定規等のように直接目盛りを当てなくてもよい。
そのため、アームが届く場所であれば、ある程度狭い場所の測定対象物も測定できる。
【0003】
しかし、狭い空間内にある凸部の高さを測定する際には、その凸部を厚さとして測定することは困難である。そのため、現場では、図3に示すように、箱型内部等の場合に応じて例えば硬質板の表面を凸部の頂部に接触させ、その表面と凸部底部との間隔を測定することで凸部高さを測定している。
但し、実際には、現場にて硬質板を測定箇所に挿入できなかったり、固定できなかったりするために、硬質板を使用して測定することができない測定対象物が多い。また仮に硬質板を併用して測定する場合であっても、凸部を直接測定しないので、硬質板の当て方を適切にしないと、正確に測定できない。
また、キャリパーゲージは2本のアームの少なくとも一方が測定対象物を押圧するように付勢されている。その結果、上記のように測定対象物表面に硬質板を当てて、その硬質板を基に測定する場合には、硬質板を押圧した結果、その押圧する力により硬質板が変位する可能性がある。図3でいえば、キャリパーゲージの測定子が硬質板を押し上げてしまう。そうすると、正確に測定することが困難になる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-20502号公報
【特許文献2】特開平8-136201号公報
【特許文献3】特開2005-181247号公報
【特許文献4】特開平10-19503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、特に狭い場所にある物品の高さや長さを、より簡便かつ正確に測定できるキャリパーゲージを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
1.キャリパーゲージの2本のアームのそれぞれの先端に1つずつの測定子を有し、かつ、それぞれのアームから、アームが可動する面と平行に、2つの測定子が同方向に延びた構造を有するキャリパーゲージ。
2.2本のアームが固定アームと可動アームからなる1.に記載のキャリパーゲージ。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、特に狭い箇所にある物品の高さや長さをより簡単かつ正確に測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】従来のキャリパーゲージを示す図
図2】従来のキャリパーゲージを示す図
図3】従来のキャリパーゲージを使用した測定方法を示す図
図4】本発明のキャリパーゲージを示す図
図5】本発明のキャリパーゲージを示す図
図6】本発明のキャリパーゲージを示す図
図7】本発明のキャリパーゲージを示す図を使用した測定方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、キャリパーゲージの2本のアームの先端に設けた測定子が互いに同じ方向に設けられたものである。
以下、本発明について具体的に説明する。
【0010】
(キャリパーゲージのアーム及び測定子以外の部分)
本発明のキャリパーゲージのアーム及び測定子以外の本体の部分に関しては、公知のものを採用できる。表示部分はデジタル表示でも目盛板表示でも良い。
また2本のアーム間の角度や変位を測定結果に変換するための、電子的機構や機械的機構についても、公知のものを採用できる。
【0011】
(キャリパーゲージのアーム)
本発明におけるキャリパーゲージは2本のアームを有する。
この2本のアームの一方を固定アームとして本体に固定し、他方のアームを可動アームとして、本体に設けた回転軸を中心にして、固定アームに接近・離間する方向に可動するように設けることができる。また本体内に設けたバネ等により、可動アームは、その先端の測定子の方向に向けて付勢されていても良い。本体に設けたボタン等を操作して、付勢に抗して可動アームを動かすことができる。
なお、2本のアーム共に、本体に設けた回転軸を中心にして互いに接近・離間する方向に可動するように設けることができる。
2本のアームの形状や長さ等は独立して任意に決定できる。測定対象物の形状や大きさ等により、公知の形状のアーム、直線状、円弧状等の形状やその他の形状から選択し採用しても良い。
【0012】
(測定子)
本発明のキャリパーゲージのアーム先端に測定子が設けられる。このとき従来のキャリパーゲージの測定子と同様に、アーム先端から測定子先端が屈曲するようにして設けられる。測定子はアームと一体の部材として成形されていてもよく、アーム先端に別の部材として取り付けられても良い。また測定子の先端に金属やセラミックス製のボールを回転可能に埋め込んでもよく、ボールを回転不能に固定したり、測定子先端にボールを取り付けずに、測定子を構成する部材がそのまま先端部を形成したりすることもできる。
アーム先端部に設けた測定子の形状は、図4に示すように、先端が尖った形状でも良く、図5に示すように、先端を球面形状にすることもできる。さらに図5では、2本のアーム先端から曲がる方向に延びた測定子の長さはそれぞれ異なるが、同じでも良い。これらの測定子の長さや形状はそれぞれ独立して任意に決めることができる。
アームに対する測定子が伸びる向き(アーム先端で、アームから測定子を曲げる向き)は、例えば図4図5のように直角にすることができる。
しかし、測定対象物や測定環境に応じて、アームに対する測定子が伸びる向きを図7の場合のように直角ではなく、測定子の先端がアームの先端よりも更に先に位置するような角度(アームが伸びる方向を0度とすると、30~80度程度)としても良い。
【0013】
本発明においては、2本のアーム先端のそれぞれに設けた測定子は、互いに同方向に延びた構造をして形成される。ここで互いに同方向とは、図4に示す測定子のアーム先端に対する向きのように、本体に設けたアームの回転軸からみて同じ回転方向に向いた状態をいう。
図6(ア)にキャリパーゲージの側面図を示す。
図5及び図6(ア)において本体の厚さや形状、アームや測定子の厚さや形状は任意に決定できる。
図6(ア)は、2本のアームは同一平面上にある。しかしながら、図6(ア)において、2本のアームを同一平面上に設けることに代えて、図6(イ)に示すように、1方のアームを他方のアームの上に位置させることができる。このとき可動するアームの可動する面には、他方のアームが存在しない。
【0014】
(キャリパーゲージを使用した測定方法)
本発明のキャリパーゲージは、基本的な操作方法は従来のキャリパーゲージと同様である。測定対象物の測定する部位の両端に測定子を当てて、その測定子の先端の間隔を表示させ、読み取ればよい。
但し、本発明のキャリパーゲージは、測定子を設けた向きからみて、管等の中空体の内径や部品そのもの厚さを測定するには不向きな場合がある。
図7に本発明のキャリパーゲージを特に有効に活用できる測定環境を示す。
図7は箱状の容器内に設けた凸部の高さ(容器内面表面から凸部の頂部までの長さ)を測定するときの図であり、キャリパーゲージの一方のアーム先端の測定子を凸部の底部の容器内面表面に接触させ、他方のアーム先端の測定子を凸部の頂部に接触させることにより、2つの測定子先端の距離を測り・表示する。この測定値が凸部の高さとなる。このような測定環境のとき、アームに対する測定子が伸びる角度を90度よりも小さくしてもよい。
【0015】
図7で使用したキャリパーゲージは凸部底部と容器内面との間で形成される隅部に測定子先端を接触させても良く、その際には図7で示すように、測定子先端は球状よりも尖った形状であることが好ましい。
図7は容器開口部正面から測定対象物の凸部正面を測定するので、2本のアームは同一平面上にある構造を有していても良い。
なお、このときに、可動のアームを凸部の底部又は凸部の頂部に当てて、固定アームを凸部の頂部又は凸部の底部に当てることができる。
【0016】
また、何らかの制約により、凸部の正面ではなく、凸部の横での高さを測定することがある。そして、容器開口部から測定対象物の凸部の頂部と底部に測定子を合わせる場合、厳密には凸部の頂部の縁部と、凸部底部と容器内面との間で形成される隅部に、それぞれ測定子を密着させる。このとき、正確に凸部高さを測定できる。
しかしながら、厳密に凸部の頂部の縁部と、その直下にある凸部の底部と容器内面との間で形成される隅部に、それぞれ測定子を密着させることが困難なときがある。このとき、2つの測定子先端を結ぶ線は、原理的には凸部の高さを示す線に対して、平行ではなく斜めになるので、正確な高さの測定は困難な可能性がある。
このような場合には、一方のアームが可動してなる可動面に他方のアームを存在させないキャリパーゲージを使用することにより、凸部の頂部の測定部と、その直下にはない容器内面の測定部との間の最短の長さをより正確に測定でき、この測定結果を凸部高さとすることができる。
【0017】
(測定対象物)
本発明のキャリパーゲージが測定するに適した測定対象物は、特に図7に示すような容器等の内部や、装置や機械の内部等の奥まった場所に位置する、組み付けた部材や部品の、任意の基準面からの高さ、設置面からの長さ等である。また成形された内面形状の凸部高さ等でも良い。また、一方の箇所を基準にした別の部品や部材のある箇所の位置等も測定することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7